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K 8593:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法 ························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 外観 ···························································································································· 3 

6.3 密度(20 ℃) ··············································································································· 3 

6.4 留分[(30 ℃〜60 ℃)又は(35 ℃〜60 ℃)] ···································································· 3 

6.5 水分 ···························································································································· 3 

6.6 不揮発物 ······················································································································ 3 

6.7 酸(HClとして) ·········································································································· 3 

6.8 鉛(Pb),鉄(Fe)及び硫黄化合物(Sとして) ·································································· 6 

6.9 ベンゼン(C6H6) ·········································································································· 9 

6.10 硫酸着色物質 ·············································································································· 10 

7 容器······························································································································ 11 

8 表示······························································································································ 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

K 8593:2015  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8593:2007は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成27年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8593:2007によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8593:2015 

石油エーテル(試薬) 

Petroleum ether (Reagent) 

序文 

この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: 

Specifications−Second series R 73 Petroleum spirit 40/60を基とし,技術的内容を変更して作成した日本工業

規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる石油エーテルについて規定する。 

警告1 石油エーテルは,特に引火性が強いので火気を避け,また,有害なので蒸気を吸入しないよ

うに注意し,皮膚,粘膜などに付着しないようにする。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ

ート:JIS Z 7250−2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい猶

予期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な措

置をとらなければならない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series R 73 

Petroleum spirit 40/60(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法 

JIS K 0066 化学製品の蒸留試験方法 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0068 化学製品の水分測定方法 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール) 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0119 蛍光X線分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0148 表面化学分析−全反射蛍光X線分析法(TXRF)によるシリコンウェーハ表面汚染元素の

定量方法 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬) 

JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8529 臭素(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

石油エーテルの主成分はペンタン,イソペンタン,ヘキサンなど炭素数3〜8(C3〜C8)の脂肪族炭化

水素の混合物であり,無色の揮発性の液体で特異な臭いがある。また,エタノール及びエチルエーテルに

極めて溶けやすく,水にほとんど溶けない。 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

蒸留温度 

(30 ℃〜60 ℃) 

蒸留温度 

(35 ℃〜60 ℃) 

外観 

ハーゼン単位 

10以下 

10以下 

6.2 

密度(20 ℃) 

g/mL 

0.620〜0.660 

0.620〜0.660 

6.3 

留分 

体積分率 % 

90以上 

90以上 

6.4 

水分 

質量分率 % 

0.015以下 

0.015以下 

6.5 

不揮発物 

質量分率 % 

0.001以下 

0.001以下 

6.6 

酸(HClとして) 

質量分率ppm 

5以下 

5以下 

6.7 

鉛(Pb) 

質量分率ppm 

1以下 

1以下 

6.8 

鉄(Fe) 

質量分率ppm 

1以下 

1以下 

6.8 

ベンゼン(C6H6) 

質量分率 % 

0.025以下 

0.025以下 

6.9 

硫黄化合物(Sとして) 

質量分率 % 

0.005以下 

0.005以下 

6.8 

硫酸着色物質 

試験適合 

試験適合 

6.10 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

外観 

外観の試験方法は,JIS K 0071-1による。 

6.3 

密度(20 ℃) 

密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。 

6.4 

留分[(30 ℃〜60 ℃)又は(35 ℃〜60 ℃)] 

留分[(30 ℃〜60 ℃)又は(35 ℃〜60 ℃)]の試験方法は,JIS K 0066の附属書(B法による方法)

による。 

6.5 

水分 

水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。容量滴定法の場合,

試料10 g(15.6 mL)をとり,滴定溶媒は,メタノールとする。電量滴定法の場合は,試料2 g(3.1 mL)

をとる。 

6.6 

不揮発物 

不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4 (1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。この場

合,試料100 g(156 mL)をとり,蒸発させる容器に適量ずつ入れて,残分は0.1 mgの桁まではかる。 

6.7 

酸(HClとして) 

酸(HClとして)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 水酸化カリウム溶液(250 g/mL)(必要な場合に用いる。) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム

29.4 gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。 

3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口に時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ

ウム溶液(250 g/L)を入れたもの,又はソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れ

た管)を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。 

3.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。 

3.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から二酸化炭素を除いたもの。 

3.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないよ

うに採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。 

4) pH 6.8の緩衝液 0.1 mol/L りん酸二水素カリウム溶液50 mL及び0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液

11.82 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加え混合する。 

4.1) 0.1 mol/L りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液

用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mLに入れ,適量の水で溶か

し,水を標線まで加えて混合する。ほうけい酸ガラス製瓶,ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存

する。 

4.2) 0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:8.00 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液20 mLを全量

フラスコ100 mL(ポリプロピレン製などのもの)に正確にとり,水を標線まで入れ,ファクター

が1.000になるように計算量の水を正確に加える。 

4.2.1) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の調製,標

定及び計算は,次による。 

4.2.1.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gを,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器

500 mLにはかりとり,水150 mLを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置する。

その上澄み液54 mLを,ポリエチレンなどの樹脂製の気密容器1 000 mLにとり,水を加えて

1 000 mLとし,混合する。必要があれば,ソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を

入れた管)を付けて保存する。 

4.2.1.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を

用い,次のとおり行う。 

4.2.1.2.1) 認証標準物質1)のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

4.2.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾燥

する。 

4.2.1.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4 g〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコ

ニカルビーカー100 mLに移し,水25 mLを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモール

ブルー溶液数滴を加え,4.2.1.1)で調製した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点

は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。 

注1) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合

センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証

標準物質生産者がある。 

4.2.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

09

097

0

A

V

.

m

f

×

×

=

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったアミド硫酸の質量(g) 

A: アミド硫酸の純度(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL) 

0.097 09: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するアミド硫

酸の質量を示す換算係数(g/mL) 

5) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規

定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

6) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102

に規定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

7) 0.05 mol/L 塩酸(HCl:0.729 2 g/L) 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ200 mLに正確にとり,水

を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保存する。ファクターは,1 mol/L 塩酸のファク

ターをそのまま用いる。 

7.1) 1 mol/L塩酸(HCl:36.46 g/L) 1 mol/L 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。 

7.1.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸90 mLをとり,水を加えて1 000 mLとし,混合した後,気密

容器に入れて保存する。 

7.1.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム

を用い,次のとおり行う。 

7.1.2.1) 認証標準物質1)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

7.1.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾

燥する。 

7.1.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム1.3 g〜1.4 gを0.1 mgの桁まではか

りとり,コニカルビーカー200 mLに移し,水20 mLを加えて溶かす。指示薬としてブロモフ

ェノールブルー溶液数滴を加え,7.1.1)で調製した1 mol/L 塩酸で滴定する。この場合,終点付

近で煮沸して二酸化炭素を除き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫か

ら青みの緑になった点とする。 

7.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

99

052

.0

A

V

m

f

×

×

=

ここに, 

f: 1 mol/L 塩酸のファクター 

m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g) 

A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 塩酸の体積(mL) 

0.052 99: 1 mol/L 塩酸1 mLに相当する炭酸ナトリウムの質量を示

す換算係数(g/mL) 

8) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.000 g/L) 4.2.1)の1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mL

を全量フラスコ200 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリ

エチレンなどの樹脂製気密容器に入れる。使用時に調製する。 

なお,ファクターは,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクターを用いる。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

メスピペット又はミクロビュレット JIS R 3505に規定する最小目盛0.01 mLのもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて,空気を置換した分液

漏斗100 mLに二酸化炭素を除いた水25 mL及びブロモチモールブルー溶液3滴を速やかに加え,

液面に窒素を通じながら,0.05 mol/L 塩酸又は0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液を液の色が中間

色 2)になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて加える。直ちに試料50 g(78.1 mL)を

加え,2分間激しく振り混ぜ,下層(水相)の色を観察する。 

2) 下層(水相)の色が,中間色からアルカリ性側の色(青)を現す場合は,操作を終了する。 

3) 下層(水相)の色が,中間色より酸性側(黄)を現す場合は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流

量で約2分間通じて,空気を置換した分液漏斗100 mLに下層(水相)を移し,液面に窒素を通じ

ながら,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.13 mLを加え,下層(水相)の色を観察する。 

注2) pH 6.8の緩衝液約25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに入れてブロモチモールブ

ルー溶液3滴を加えたときの色。 

d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(HClとして):質量分率5 ppm以下(規

格値)”とする。 

1) c) 2)の操作によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)

を示す。 

2) c) 3)の操作によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)

を示す。 

注記 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.001 823 g HClに相当する。 

6.8 

鉛(Pb),鉄(Fe)及び硫黄化合物(Sとして) 

鉛(Pb),鉄(Fe)及び硫黄化合物(Sとして)の試験方法は,6.8.1又は6.8.2のいずれかによる。 

6.8.1 

蛍光X線分析法 

蛍光X線分析法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合

する。 

2) 混合標準液 

2.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 次のいずれかを用いる。 

2.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し

た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。 

2.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な

場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販

の標準液を用いる。 

2.1.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量

フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加

えて混合する。 

2.1.4) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mL

にはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

2.2) 硫黄標準液(S:1 mg/mL) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム5.44 gを水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.3) 混合標準液(Pb:0.01 mg/mL,Fe:0.01 mg/mL,S:0.5 mg/mL) 次のものを用いる。 

鉛標準液(Pb:1 mg/mL)0.2 mL,鉄標準液(Fe:1 mg/mL)0.2 mL及び硫黄標準液(S:1 mg/mL)

10 mLを全量フラスコ20 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

2) 支持体 石英製で表面が平滑なもの。 

3) 全反射蛍光X線分析装置 装置の構成は,JIS K 0119に規定するもの。 

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

分析条件は,JIS K 0148の10.1(測定準備)に従う。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認している場合には,その条件を用い

てもよい。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料の調製は,支持体上にピストン式ピペットで7.5 μLをスポットし,自然乾燥する(放置する。)。 

2) 比較溶液の調製は,混合標準液1 mLを全量フラスコ10 mLにとり,水を標線まで加えて混合した

後,支持体上にピストン式ピペットで5 μLをスポットし,105 ℃で乾燥する。 

3) 全反射蛍光X線測定装置の一般事項は,JIS K 0119による。 

4) 全反射蛍光X線測定装置は,装置を起動しX線を発生させるなどによって,試料から発生する蛍光

X線の強度を測定できる状態にする。 

5) 比較溶液の乾燥痕の中心のX線強度が最大になる場所を探す。 

6) 試料及び比較溶液中の分析種の濃度と対応する蛍光X線の強度を測定する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率1 ppm以下(規格値),鉄(Fe):

質量分率1 ppm以下(規格値),硫黄化合物(Sとして):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

試料の示す蛍光X線の強度は,比較溶液のものより小さい。 

6.8.2 

フレーム原子吸光法及び比濁法 

鉛(Pb)及び鉄(Fe)は6.8.2.1による。硫黄化合物(Sとして)は6.8.2.2による。 

6.8.2.1 

フレーム原子吸光法 

鉛(Pb)及び鉄(Fe)の原子吸光法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) 6.8.1 a) 1)による。 

2) 鉛標準液及び鉄標準液 

2.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 6.8.1 a) 2.1)による。 

2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 次のものを用いる。 

2.2.1) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

2.2.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

3) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

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K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種の測定波長の例 

単位 nm 

分析種 

測定波長 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,ドラフト内で試料50 g(78.1 mL)を蒸発皿などにとり,水浴上で蒸発乾固し,

冷却後,硝酸(1+2)5 mLを加えて溶かし,少量の水で全量フラスコ100 mLに移し,水を標線ま

で加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,ドラフト内で試料50 g(78.1 mL)を蒸発皿などにとり,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)

5.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水浴上で蒸発乾固し,冷却後,硝酸(1+2)

5 mLを加えて溶かし,少量の水で全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(Y

液)。 

3) 空試験溶液の調製は,硝酸(1+2)5 mLを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を標線まで加え

て混合する(Z液)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。Z液,X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸

光度を測定し,Z液の指示値(n3),X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値n1からZ液の指示値n3を引いたn1−n3を,Y液の指示値n2からX液の

指示値n1を引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率1 ppm以下(規格値),鉄(Fe):

質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。 

n1−n3は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)を求める場合は,次の式によって計算する。 

6

1

2

3

1

10

000

1

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.8.2.2 

比濁法 

硫黄化合物(Sとして)の比濁法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/L)(種晶溶液) 10 ℃に冷却した塩化バリウム溶液(100 g/L)8 mLに硫

酸カリウム・希エタノール溶液1 mLを加え振り混ぜる。正確に1分間後に用いる。 

2.1) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mLにする。 

2.2) 硫酸カリウム・希エタノール溶液 JIS K 8962に規定する硫酸カリウム0.02 gを水70 mLに溶か

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

して,JIS K 8101に規定するエタノール(99.5)で100 mLにする。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

4) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。 

5) 水酸化カリウム・エタノール溶液(30 g/L) JIS K 8101に規定するエタノール(99.5)70 mLに水

を加えて100 mLにする(A液)。JIS K 8574に規定する水酸化カリウム35.0 gにA液を加えて溶か

し,A液で100 mLにする。使用時に調製する。 

6) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして

100 mLにする。ポリエチレンなど樹脂製瓶に保存する。 

7) 飽和臭素水 JIS K 8529に規定する臭素3 mL〜4 mLに水を加えて100 mLにする。激しく振り混ぜ,

放置後,上澄み液を用いる。褐色ガラス製瓶に保存する。 

8) 硫黄標準液(S:0.01 mg/mL) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム5.44 gを全量フラスコ1 000 mL

にはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 

mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例

として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ還流冷却器付き蒸留フラスコ JIS R 3503に規定するもの。 

3) 水浴 6.8.2.1) b) 2)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1 g(1.6 mL)を共通すり合わせ還流冷却器付き蒸留フラスコにはかりとる。 

2) 比較溶液の調製は,硫黄標準液(S:0.01 mg/mL)5.0 mLを共通すり合わせ還流冷却器付き蒸留フ

ラスコにとる。 

3) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,水酸化カリウム・エタノール溶液(30 g/L)10 mLを加え,30

分間加熱還流させた後,冷却器を通して水20 mLを加え,冷却器を取り外し,水浴上で蒸発乾固す

る。これに,飽和臭素水5 mLを加え,15分間水浴上で加熱した後,塩酸(1+3)で中和し,更に

塩酸(1+3)1 mLを加え,煮沸して臭素を除き,全量が約5 mLになるまで濃縮した後,水酸化ナ

トリウム溶液(100 g/L)で中和して,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸(2+1)

0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。さらに,JIS K 8102に規定するエタノール(95)3 mL及び

塩化バリウム溶液(100 g/L)(種晶溶液)2 mLを加えて,振り混ぜた後,30分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫黄化合物(Sとして):質量分率0.005 %以下(規格

値)”とする。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.9 

ベンゼン(C6H6) 

ベンゼン(C6H6)の試験方法は,次による。 

a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 石英ガラス製吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,材質が石英

ガラス製で光路長が10 mmのもの。 

2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

background image

10 

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)による。この場合,波長255 nmで水を対照液とし

て吸光度を測定する。 

c) 計算 含有率は,次式によって求める。 

6.

17

A

B=

ここに, 

B: ベンゼン(C6H6)の含有率(質量分率 %) 

A: 試料の吸光度 

17.6: 吸光度を含有率に換算する係数 

6.10 硫酸着色物質 

硫酸着色物質の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(1+39) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積39とを混合する。 

2) ブロモチモールブルー溶液 6.7 a) 5)による。 

3) 硫酸[質量分率(95±0.5)%] 硫酸[質量分率(95±0.5)%]の調製は,あらかじめJIS K 8951

に規定する硫酸の純度を求める。希釈が必要な場合は,計算量の水をとり,注意して徐々に加えて

硫酸濃度を質量分率(95±0.5)%に調節する。 

硫酸の純度 共通すり合わせ三角フラスコ100 mLの質量を0.1 mgの桁まではかり,JIS K 8951

に規定する硫酸1.0 gを入れ,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。共通すり合わせ三角フラスコを

冷却しながら水20 mLを徐々に加える。ブロモチモールブルー溶液数滴を加え,1 mol/L 水酸化ナ

トリウム溶液で滴定する。終点は液の色が黄から青みの緑に変わった点とする。 

硫酸の純度は,次の式によって算出する。 

100

04

0.049

1

2

×

×

×

=

m

m

f

V

A

ここに, 

A: 硫酸の純度(H2SO4)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL) 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m2: 試料を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量(g) 

m1: 共通すり合わせ三角フラスコの質量(g) 

0.049 04: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するH2SO4の質

量を示す換算係数(g/mL) 

3.1) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g /L) 6.7 a) 4.2.1)による。 

4) 比色原液 比色原液の調製は,次による。 

4.1) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分

率100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,

全量フラスコ1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。 

4.2) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %とし

ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ

1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。 

4.3) 硫酸銅(II)比色原液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物62.4 g(質量分率100 %とし

ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ

1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。 

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11 

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準“比色標準液A”は,次による。 

表3に示す割合によって比色標準液A 5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に調製する。 

表3−硫酸着色物質試験用比色標準液A 

単位 mL 

比色標準液

の記号 

比色原液 

水 

塩化コバルト(II) 

塩化鉄(III) 

硫酸銅(II) 

0.1 

0.4 

0.1 

4.4 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 6.8.2.2 b) 1)による。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に試料5 mLを入れ,約10 ℃に冷却する。振り混ぜ

ながら,約10 ℃に冷却した硫酸[質量分率(95±0.5)%]5 mLを,30 ℃を超えないように注意

して徐々に加え,約10 ℃に冷却し,約10 ℃で15分間放置する。 

2) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色を,共通すり合わせ平底試験管の側

面から観察して比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸着色物質:試験適合”とする。 

試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色は,比色標準液Aの色より濃くない。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“石油エーテル”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 蒸留温度範囲 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造業者名又はその略号 

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12 

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 8593:2015 石油エーテル(試薬) 

ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series, 
R 73 Petroleum spirit 40/60 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

試薬として用いる
石油エーテルにつ
いて規定。 

R73 

試薬として用いる
石油エーテルにつ
いて規定。 

一致 

2 引用規格 

3 種類 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

JISとしては“特級の1号及び2号”と規
定しているが,技術上の差はない。 

4 性質 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

一般的な説明事項であり,技術上の差は
ない。 

5 品質 

R73.1 

変更 

品質に差のある項目:密度,水分 
追加した項目:酸,硫酸着色物質 

ISO規格は,長期間内容の見直しが行わ
れておらず,技術的な差異も軽微である。 

6 試験方法 

6.1 一般事項 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

編集上の差異であり,技術上の差異では
ない。 

6.2 外観 

R73.2.1 

一致 

6.3 密度 
(20 ℃) 

比重瓶法又は振動
式密度計法 

R73.2.2 

比重瓶法 

選択 

振動式密度計の方法も使用可能に
なった。 

精度の高い振動式密度計を選択できるよ
うにした。 
ISO規格の見直し時に,改正提案を行う
予定。 

6.4 留分蒸留
温度[(30 ℃
〜60 ℃)又は
(35 ℃〜
60 ℃)] 

蒸留試験法 

R73.2.5 

蒸留試験法 

変更 

操作法などを変更。 

技術的な差異は軽微であり,対策は考慮
しない。 

2

K

 8

5

9

3

2

0

1

5

background image

13 

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6.5 水分 

カールフィッシャ
ーの容量滴定法又
は電量滴定法 

R73.2.8 

カールフィッシャ
ーの容量滴定法 

選択 

電量滴定法の方法も使用可能にな
った。 

試料量の少ない電量滴定法を選択できる
ようにした。 
ISO規格の見直し時に,改正提案を行う
予定。 

6.6 不揮発物 

R73.2.4 

一致 

6.7 酸(HCl
として) 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

品質確保のために必要。 
ISO規格の見直し時に,改正提案を行う
予定。 

6.8 鉛(Pb),
鉄(Fe)及び
硫黄化合物(S
として) 

6.8.1 蛍光X
線分析法 

蛍光X線分析法 

R73.2.6 
R73.2.7 

選択 

蛍光X線分析法の方法も使用可能
になった。 

試料量が少なく,同時多元素の分析が可
能な蛍光X線分析法を選択できるように
した。 
ISO規格の見直し時に,改正提案を行う
予定。 

6.8.2.1 フレ
ーム原子吸光
法 

原子吸光法[鉛
(Pb),鉄(Fe)] 

R73.2.7 

変更 

試料量,標準液の添加量など。 

技術的な差異は軽微であり,対策は考慮
しない。 

6.8.2.2 比濁
法 

比濁法[硫黄化合
物(Sとして)] 

R73.2.6 

変更 

試薬の濃度など。 

技術的な差異は軽微であり,対策は考慮
しない。 

6.9 ベンゼン
(C6H6) 

R73.2.5 

一致 

6.10 硫酸着
色物質 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

品質確保のために必要。 
ISO規格の見直し時に,改正提案を行う
予定。 

7 容器 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

規格適合性を評価する関係で必要な項目
を追加。 

8 表示 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

2

K

 8

5

9

3

2

0

1

5

background image

14 

K 8593:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD 

関連する外国規格 

米国 Reagents chemicals American Chmical Sosiety: specifications (Ed.10) Petroleum ether 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 一致 ················ 技術的差異がない。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

− 選択 ················ 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

K

 8

5

9

3

2

0

1

5