サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8376:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度[Ba(CH3COO)2] ···································································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 4 

6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 5 

6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 5 

6.6 酸化性物質(NO3として)······························································································· 5 

6.7 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 6 

6.8 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 7 

6.9 カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr) ····································································· 10 

7 容器······························································································································ 13 

8 表示······························································································································ 13 

K 8376:2019  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8376:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8376:1994を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8376:2019 

酢酸バリウム(試薬) 

Barium acetate (Reagent) 

Ba(CH3COO)2  FW:255.42 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる酢酸バリウムについて規定する。 

警告1 酢酸バリウムは,劇物なので,粉じんを吸入しないようにし,粘膜,皮膚に付着しないよう

にする。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8111 塩化亜鉛(試薬) 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8159 塩化マグネシウム六水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬) 

JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬) 

JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8487 ジフェニルアミン(試薬) 

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8554 硝酸ストロンチウム(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS Z 8802 pH測定方法 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

酢酸バリウムは,白い結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)に溶けにくい。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに塩化鉄(III)溶液(100 g/L)0.2 mLを加

えると,赤褐色になる。 

b) A液10 mLに硫酸(1+5)1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

background image

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度[Ba(CH3COO)2] 

質量分率 % 

99.0 以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

pH(50 g/L,25 ℃) 

− 

7.4〜8.5 

6.4 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.5 

酸化性物質(NO3として) 質量分率 % 

0.005 以下 

6.6 

ナトリウム(Na) 

質量分率 % 

0.01 以下 

6.7 

カリウム(K) 

質量分率 % 

0.01 以下 

6.7 

銅(Cu) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.8 

カルシウム(Ca) 

質量分率 % 

0.05 以下 

6.9 

ストロンチウム(Sr) 

質量分率 % 

0.1 以下 

6.9 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.8 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.8 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度[Ba(CH3COO)2] 

純度[Ba(CH3COO)2]の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gをはか

りとり,JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶

かし,水を加えて100 mLにしたもの。溶液は,ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。 

2) エリオクロムブラックT希釈粉末(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブ

ラックT 0.10 gをはかりとり,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを加えて混合したもの。

希釈粉末は,褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) エリオクロムブラックT溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブラッ

クT 0.5 gをはかりとり,JIS K 8891に規定するメタノールを加えて溶かし,JIS K 8891に規定する

メタノールを加えて100 mLにしたもの。保存する場合,更にJIS K 8201に規定する塩化ヒドロキ

シルアンモニウム0.5 gを加えて調製し,褐色ガラス製瓶に保存する。 

4) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム複合溶液(0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液) 

JIS K 8111に規定する塩化亜鉛,JIS K 8159に規定する塩化マグネシウム六水和物及びJIS K 8107

に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 c) 5) 

(0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム複合溶液)に従って,調製,標定及び計

算したもの。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

・ 自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料1.0 gを全量フラスコ500 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで

加え混合する。 

2) その25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに正確にとり,次のいずれかの方法で滴定

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。 

2.1) 水75 mL,アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10)2 mL及び指示薬として,エリオクロムブ

ラックT希釈粉末0.03 g〜0.04 g又はエリオクロムブラックT溶液2,3滴を加え,0.01 mol/L 

EDTA2Na複合溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から赤紫を経て青に変わる点とする。 

2.2) 光度滴定によって,610 nm〜660 nmで0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液で滴定を行う。終点は,変曲

点とする。 

d) 計算 純度[Ba(CH3COO)2]は,次の式によって算出する。 

100

500

25

2

554

002

.0

×

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A: 純度[Ba(CH3COO)2](質量分率 %) 

V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液の体積

(mL) 

f: 0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.002 554 2: 0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液1 mLに相当する

Ba(CH3COO)2の質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。 

ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底

試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水

を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて20 mLにす

る。 

2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通

すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。 

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

pH(50 g/L,25 ℃) 

pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。 

2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え

て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーなど

にとる。 

2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ

けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。 

6.5 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2) による。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3) による。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mL及び硝酸(1+

2)10 mLを加えて溶かし,水を加えて25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,

硝酸(1+2)10 mLを加え,水を加えて25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物

(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

6.6 

酸化性物質(NO3として) 

酸化性物質(NO3として)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定する特級のもの。 

2) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

3) ジフェニルアミン溶液 JIS K 8487に規定するジフェニルアミン10 mgをビーカー200 mLなどには

かりとり,JIS K 8951に規定する硫酸100 mLを加えて溶かす(B液)。JIS K 8116に規定する塩化

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

アンモニウム2.0 gを別のビーカー500 mLなどにはかりとり,水200 mLを加えて溶かす(C液)。

C液を氷で冷やしながら,温度の上昇を抑えながらB液を徐々に加えて混合する。調製した液は,

ほとんど無色である。 

4) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)を調製する場合は,110 ℃で乾燥したJIS K 8548に規

定する硝酸カリウム1.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線ま

で加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合

する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

・ 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを乾いたビーカー100 mLにはかりとり,氷で冷却しながら硫酸22 mL

を温度が上昇しないように徐々に加える。室温まで加温し,酢酸の臭気を感じなくなるまでゆすり

ながら放置する。 

2) 比較溶液の調製は,硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)0.5 mLをビーカー100 mLにとり,炭酸ナト

リウム0.01 gを加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する。氷で冷却しながら硫酸22 mLを温度が上昇しな

いように徐々に加え,室温まで加温する。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,ジフェニルアミン溶液3 mLを加え,沸騰水浴上で時計皿などを載せて

90分間加熱する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,ビーカーの上方又は側方

から観察して,色を比較する。 

d) 判定 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くないとき,“酸化性物質

(NO3として):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

6.7 

ナトリウム(Na)及びカリウム(K) 

ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積1

を徐々に加える。 

2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト

リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合

する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリ

エチレン製瓶などに保存する。 

3) カリウム標準液(K:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウム

1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレ

ン製瓶などに保存する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

background image

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

ナトリウム(Na) 

589.0 

カリウム(K) 

766.5 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水50 mLを加えて溶かし,沸

騰するまで加熱し,硫酸(1+15)20 mLを加えた後,室温まで冷却し,水を加えて200 mLにする。

3時間放置した後,遠心分離し,上澄み液120 mLをとる(S液)。S液50 mL(試料量1 g)を全量

フラスコ100 mLにとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,S液50 mL(試料量1 g)を全量フラスコ100 mLにとり,ナトリウム標準液(Na:

0.1 mg/mL)1.0 mL及びカリウム標準液(K:0.1 mg/mL)1.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合

する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ

ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 n1が,n2−n1より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.01 %以下(規格値),カリ

ウム(K):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。 

100

000

1

1

2

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: X液に含まれる試料の質量(g) 

6.8 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,6.8.1又は6.8.2のいずれかによる。 

6.8.1 

原子吸光分析法 

原子吸光分析法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。 

2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と

水の体積3とを混合したもの。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

4) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454

に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにし

たもの。 

5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム

background image

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

20 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

6) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水

和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 

mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。 

7) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて

混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に

水を標線まで加えて混合する。 

8) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

1) pH計 6.4 b) 2) による。 

2) フレーム原子吸光分析装置 6.7 b) による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。 

表3−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

銅(Cu) 

324.8 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加

えて溶かし,水を加えて80 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)

5.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)5.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mL,塩酸(2+1)1 

mL及び水を加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。 

3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに,水を加えて5 mLとする。 

4) 試料溶液及び比較溶液にくえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L)2 mLを加え,pH計を用いて,

塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを

直ちに加え,水を加えて100 mLにする。 

5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振

り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液からの酢

酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(水相)は捨てる。 

6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激

しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ

ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる

まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3) の空

試験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。

さらに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り

混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。 

7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してアセチレン−空気フレームの状態

を最適にしておき,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空気フレーム中に噴

霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取

る。 

8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 n1−n3が,n2−n1より大きくないとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):

質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。 

6

1

2

3

1

10

000

 1

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.8.2 

ICP発光分光分析法 

ICP発光分光分析法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.8.1 a) 3) による。 

2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.8.1 a) 6) による。 

3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.8.1 a) 7) による。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.8.1 a) 8) による。 

5) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)を調製する場合は,次のいずれかによる。 

5.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか

りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

5.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝

酸75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,

ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合

する。 

注記 イットリウム標準液は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための内標準である。使

background image

10 

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用目的に合致した場合には,市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)を用いてもよい。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に

示す。 

表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例 

測定元素 

測定波長 nm 

銅(Cu) 

324.754 

鉛(Pb) 

220.353 

鉄(Fe) 

238.204 

イットリウム(Y) 

360.074 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,イ

ットリウム標準液(Y:1 mg/mL)100 μL及び水を標線まで加え,混合する(X液)。 

2) 全量フラスコ100 mLを4個準備する。それぞれに塩酸(2+1)3 mL及びイットリウム標準液(Y:

1 mg/mL)100 μLを加え,表5に示す各標準液の体積を4段階加え,水を標線まで加え,混合する

(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表5−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

銅標準液(Cu) 

0.01 

0.5 

1.0 

1.5 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

0.5 

1.0 

1.5 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

0.5 

1.0 

1.5 

3) ICP発光分光分析装置は,アルゴンプラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態

にする。 

4) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関

係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析

結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

5) X液,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率

を計算する。 

f) 

判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規

格値),鉛(Pb):質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

6.9 

カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr) 

カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の試験方法は,6.9.1又は6.9.2のいずれかによる。 

background image

11 

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.9.1 

原子吸光分析法 

原子吸光分析法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.8.1 a) 3) による。 

2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ

ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して溶

かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加え

て混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,

更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレン製瓶などに保存

する。 

3) ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8554に規定する硝酸ス

トロンチウム2.42 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて1 000 mLにする。この液100 mL

を全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

・ フレーム原子吸光分析装置 6.7 b) による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表6に示す。 

表6−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

422.7 

ストロンチウム(Sr) 

460.7 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,水

を加えて100 mLにする(S液)。S液20 mL(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mLにとり,水を

標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,S液20 mL(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mLにとり,カルシウム標準液

(Ca:0.1 mg/mL)1.0 mL及びストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL)2.0 mLを加え,水を標線ま

で加えて混合する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表6に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ

ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 n1が,n2−n1より大きくないとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.05 %以下(規格値),ストロ

ンチウム(Sr):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.7 e) の注記によって求めることができる。 

6.9.2 

ICP発光分光分析法 

ICP発光分光分析法は,次による。 

background image

12 

K 8376:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.8.1 a) 3) による。 

2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,カルシウム標準液(Ca:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ

ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して溶

かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加え

て混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレン製瓶などに保存する。 

3) ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8554に規定する硝酸ス

トロンチウム2.42 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて1 000 mLにする。 

4) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 6.8.2 a) 5) による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ピストン式ピペット 6.8.2 b) 1) による。 

2) ICP発光分光分析装置 6.8.2.b) 2) による。 

c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表7に

示す。 

表7−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例 

測定元素 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

396.847 

ストロンチウム(Sr) 

421.552 

イットリウム(Y) 

360.074 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,イ

ットリウム標準液(Y:1 mg/mL)100 μL及び水を標線まで加え,混合する(X液)。 

2) 全量フラスコ100 mLを4個準備する。それぞれに塩酸(2+1)3 mL及びイットリウム標準液(Y:

1 mg/mL)100 μLを加え,表8に示す各標準液の体積を4段階加え,水を標線まで加え,混合する

(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表8−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

カルシウム標準液(Ca) 

0.1 

0.25 

0.5 

ストロンチウム標準液(Sr) 

0.25 

0.5 

0.75 

3) ICP発光分光分析装置は,アルゴンプラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態

にする。 

4) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関

係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析

結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

13 

K 8376:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5) X液,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率

を計算する。 

f) 

判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.05 %

以下(規格値),ストロンチウム(Sr):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“酢酸バリウム”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号