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K 8214:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算) ···················································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 3 

6.4 エタノール溶状 ············································································································· 4 

6.5 吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算) ········································································· 5 

6.6 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 5 

6.7 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 6 

6.8 鋭敏度 ························································································································· 6 

7 容器······························································································································· 7 

8 表示······························································································································· 7 

K 8214:2020  

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人

日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を

改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で

ある。これによって,JIS K 8214:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

日本産業規格          JIS 

K 8214:2020 

2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩(試薬) 

2,3,5-Triphenyltetrazolium hydrochloride (Reagent) 

  

C19H15ClN4  FW:334.80

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩について規定する。 

注記 別名:TPTZ,TTZ,TTC,テトラゾリウムレッド,塩化2,3,5-トリフェニル-2H-テトラゾリウ

ム 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8223 過塩素酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8824 D(+)-グルコース(試薬) 

JIS K 8886 無水酢酸(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

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種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 性状 

2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩は,白からうすい黄の粉末で,水及びエタノール(99.5)に溶

けやすく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。熱及び光によって分解する。105 ℃で乾燥した試料の

融点(分解)は,約240 ℃である。 

4.2 定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数 3 053 cm−1,1 525 cm−1,1 488 cm−1,

1 458 cm−1,1 171 cm−1,1 001 cm−1,771 cm−1,723 cm−1及び687 cm−1付近に主な吸収ピークを認める。こ

の場合,試料調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの

赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

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表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算) 

質量分率 % 

98.0〜102.0 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

エタノール溶状 

− 

試験適合 

6.4 

吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算) 

− 

0.70 以上 

6.5 

乾燥減量(105 ℃) 

質量分率 % 

5.0 以下 

6.6 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.2 以下 

6.7 

鋭敏度 

− 

試験適合 

6.8 

試験方法 

6.1 一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算) 

純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。 

1) 無水酢酸 JIS K 8886に規定するもの。 

2) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率

70.0 %〜72.0 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 f)[0.1 mol/L過

塩素酸(酢酸溶媒)]に従って,調製,標定及び計算したもの。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

・ 電位差滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料0.6 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,無水酢酸50 mLを加えて溶かす(溶

けにくい場合,加温する。)。0.1 mol/L過塩素酸(酢酸溶液)でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)

によって,指示電極にガラス電極及び参照電極に銀−塩化銀電極,又はそれらを組み合わせた複合

電極若しくは複合金属電極を用い,電位差滴定を行う(V1 mL)。 

2) 滴定の終点は,変曲点とする。 

3) 別に同一条件で空試験を行って滴定量(V2 mL)を補正する。 

d) 計算 純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算)は,次の式によって算出する。 

(

)

100

100

100

)

(

480

033

.0

2

1

×

×

×

×

=

B

m

f

V

V

A

ここに, 

A: 純度(C19H15ClN4)(乾燥物換算)(質量分率 %) 

B: 6.6で求めた乾燥減量(105 ℃)(質量分率 %) 

f: 0.1 mol/L過塩素酸(酢酸溶液)のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.033 480: 0.1 mol/L過塩素酸(酢酸溶液)1 mLに相当するC19H15ClN4

の質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

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1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水

を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。 

ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底

試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g//L)1 mLを加え,更に

水を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更

に水を加えて20 mLにする。 

2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の

有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 エタノール溶状 

エタノール溶状の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。 

3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。 

ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底

試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に

水を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)を加

えて溶かし,更にエタノール(95)を加えて20 mLにする(A液)(この溶液は,6.8の試験にも用

いる。)。 

2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の

有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

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2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.5 吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算) 

吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

・ 緩衝液(pH 7.0) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)に規定するもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。 

2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.1 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,緩衝液(pH 7.0)

を加えて溶かし,緩衝液(pH 7.0)を標線まで加えて混合する。その1 mLを全量フラスコ100 mL

に正確にとり,緩衝液(pH 7.0)を標線まで加えて混合する。 

2) 緩衝液(pH 7.0)を対照として,試料溶液の波長245 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波

長における吸収の測定)によって測定する。 

d) 計算 吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算)は,次の式によって算出する。 

(

)

100

100

1.0

C

m

D

B

×

×

=

ここに, 

B: 吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算) 

C: 6.6で求めた乾燥減量(105 ℃)(質量分率 %) 

D: 測定された吸光度の値 

m: はかりとった試料の質量(g) 

e) 判定 計算して得られた値が,0.70以上のとき,“吸光度(10 mg/L,245 nm)(乾燥物換算):0.70以

上(規格値)”とする。 

6.6 乾燥減量(105 ℃) 

乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,次による。 

a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 平形はかり瓶 JIS R 3503の付図57に規定するもの又は類似のもので,試料を入れた場合,試料の

厚さが5 mm以下になる容量のもの。 

2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。 

3) 定温乾燥器 105 ℃±2 ℃に調節できるもの。 

b) 操作 操作は,次による。 

1) 試料1.0 gをあらかじめ恒量にした平形はかり瓶(W1 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W2 g)。こ

の場合,試料量m gは,(W2−W1)gとする。 

なお,試料の質量を別途はかり込んでから平形はかり瓶に加えてもよい(m g)。 

2) 平形はかり瓶をはかり瓶の蓋をずらすなどし,定温乾燥器に入れ,105 ℃で3時間乾燥する。 

3) 乾燥後,平形はかり瓶に蓋をしてデシケーターに入れ,室温まで放冷する。 

4) その質量を0.1 mgの桁まではかる(W3 g)。 

c) 計算 乾燥減量(105 ℃)は,次の式によって算出する。 

100

3

2

×

=

m

W

W

E

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ここに, 

E: 乾燥減量(105 ℃)(質量分率 %) 

d) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“乾燥減量(105 ℃):質量分率5.0 %以下(規

格値)”とする。 

6.7 強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,次による。 

a) 試薬 試薬は,次による。 

・ 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,これと類似の形状の石英るつぼ,又はJIS H 6201に規

定する白金るつぼ。るつぼの大きさは,試料がその容量の1/3以下になるもの。 

2) デシケーター 6.6 a) 2)による。 

3) 電気炉又は湿式灰化装置 500 ℃±50 ℃に調節できるもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

なお,排気に注意して行う。 

1) 試料1.0 gをあらかじめ恒量としたるつぼ(W4 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W5 g)。この場合,

試料量m gは,(W5−W4)gとする。 

なお,試料の質量を別途はかり込んでからるつぼに加えてもよい(m g)。 

2) 硫酸3 mLを可能な限り試料全体に行き渡るように加える。 

3) 熱板(ホットプレート)上又は湿式灰化装置で硫酸の白いミストが生じなくなるまで加熱する。炭

化が不十分な場合,冷却後に硫酸1 mLを加え,再び硫酸の白いミストが生じなくなり,炭化する

まで加熱する。 

4) るつぼを電気炉又は湿式灰化装置で,500 ℃±50 ℃で炭化物がなくなるまで強熱する。 

5) 電気炉又は湿式灰化装置から取り出したるつぼを速やかにデシケーターに入れる。 

なお,強熱後のるつぼをデシケーターに入れるとデシケーター内部の空気が膨張し,デシケータ

ーの蓋が落下しやすいため,蓋をずらして空気を抜くとよい。 

6) デシケーター内で放冷後,るつぼを取り出し,0.1 mgの桁まで質量をはかる(W6 g)。 

d) 計算 強熱残分(硫酸塩)は,次の式によって算出する。 

100

4

6

×

=

m

W

W

F

ここに, 

F: 強熱残分(硫酸塩)(質量分率 %) 

e) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“強熱残分(硫酸塩):質量分率0.2 %以下(規

格値)”とする。 

6.8 鋭敏度 

鋭敏度の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

1) グルコース溶液(0.1 g/L) JIS K 8824に規定するD(+)-グルコース10 mgを全量フラスコ100 mL

にはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合したもの。 

2) 水酸化ナトリウム溶液(40 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム4.12 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

なお,滴定用溶液1 mol/L水酸化ナトリウム溶液を用いてもよい。 

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b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 試験管 透明で容量が10 mL程度のもの。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 6.4のA液20 mLを全量フラスコ100 mLにとり,水を標線まで加えて混合する(B液)。 

2) 試料溶液の調製は,B液1.0 mLを試験管にとり,グルコース溶液(0.1 g/L)1.0 mL及び水酸化ナト

リウム溶液(40 g/L)1.0 mLを加え,沸騰水浴中で2分〜3分間加熱する。 

3) 試験管の上方又は側方から色を観察する。 

d) 判定 試料溶液の色が赤いとき,“鋭敏度:試験適合(規格値)”とする。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

この規格の全ての要求事項に適合する容器には,次の事項を表示する。 

a) この規格の番号 

b) 名称“2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号