サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8202:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 1 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(C12H8N2・HCl・H2O) ······························································································ 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 3 

6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.5 鉄分析適合性 ················································································································ 4 

7 容器······························································································································· 5 

8 表示······························································································································· 5 

K 8202:2019  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8202:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8202:1995を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8202:2019 

1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬) 

1,10-Phenanthroline hydrochloride monohydrate (Reagent) 

               C12H8N2・HCl・H2O  FW:234.68 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物について規定する。 

注記 別名:塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物,塩酸-o-フェナントロリン一水和物 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

background image

K 8202:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

性質 

4.1 

性状 

1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物は,白又はごくうすい黄からごくうすい赤の結晶又は結晶性粉末

で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸

湿性がある。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料0.1 gに水100 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると,

白い沈殿が生じる。 

b) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 335 cm-1,1 599 cm-1,1 546 cm-1,

1 453 cm-1,885 cm-1,849 cm-1,779 cm-1,718 cm-1及び464 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この

場合,試料調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたとき

の赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの一例 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(C12H8N2・HCl・H2O) 

質量分率 % 

99.0 以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.1 以下 

6.4 

鉄分析適合性 

− 

試験適合 

6.5 

K 8202:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(C12H8N2・HCl・H2O) 

純度(C12H8N2・HCl・H2O)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

3) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

4) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用

い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 4)(0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)によって,調製,標定及び計算す

る。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

・ 自動滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) コニカルビーカー200 mLなどに二酸化炭素を除いた水25 mL及びエタノール(95)25 mLをとり,

これに試料0.5 gを0.1 mgの桁まではかりとる。 

2) 次のいずれかの方法で滴定する。 

・ 指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定す

る。終点は,液のうすい紅色が30秒間持続する点とする。 

・ JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極及び参照電極に銀−塩化銀

電極を用いて,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。この場合の終点は,変曲点とする。 

なお,指示電極及び参照電極を組み合わせた複合電極を用いてもよい。 

3) 別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

d) 計算 純度(C12H8N2・HCl・H2O)は,次の式によって算出する。 

(

)

100

468

023

.0

2

1

×

×

×

=

m

f

V

V

A

ここに, 

A: 純度(C12H8N2・HCl・H2O)(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積

(mL) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積

(mL) 

f: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.023 468: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当する

C12H8N2・HCl・H2Oの質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

K 8202:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。 

澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 

参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL

とし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を

加えて20 mLにする。 

2) 試料溶液は,試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物

の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。

この場合,試料1.0 gをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを加え,強熱温度は,600 ℃±50 ℃

とし,強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

6.5 

鉄分析適合性 

鉄分析適合性の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

K 8202:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料0.12 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す

る(B液)。 

次の2),3) 及び4) の操作を並行して行う。 

2) 試料溶液の調製は,全量フラスコ20 mLに鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)4 mLを正確にとり,塩酸(2

+1)1 mL,水5 mL及び塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加え,5分間放置

する。B液0.50 mLを加えて混合し,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mLを加え,水を標線まで

加えて混合し,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する(X液)。 

3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ20 mLに塩酸(2+1)1 mLをとり,水10 mL及び塩化ヒドロ

キシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加え,5分間放置する。B液2.50 mLを加えて混合し,

酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mLを加え,水を標線まで加えて混合し,20 ℃〜30 ℃で15分

間放置する(Y液)。 

4) 対照液の調製は,全量フラスコ20 mLに塩酸(2+1)1 mLをとり,水10 mL及び塩化ヒドロキシ

ルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加え,5分間放置する。B液0.50 mLを加えて混合し,酢酸

アンモニウム溶液(250 g/L)5 mLを加え,水を標線まで加えて混合し,20 ℃〜30 ℃で15 分間放

置する(Z液)。 

5) X液及びY液を,Z液を対照として,吸収セルを用いて,分光光度計で波長510 nmにおける吸光

度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定し,比較する。 

d) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“鉄分析適合性:試験適合(規格値)”とする。 

1) X液から得られる吸光度は,0.35以上 

2) Y液から得られる吸光度は,0.01以下 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号