サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8132:2017  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(SrCl2・6H2O) ······································································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 4 

6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 4 

6.5 硝酸塩(NO3) ·············································································································· 5 

6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5 

6.7 硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4) ···················································································· 6 

6.8 ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) ························ 8 

6.9 カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·················································· 10 

6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ································································································· 12 

7 容器······························································································································ 13 

8 表示······························································································································ 13 

K 8132:2017  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8132:2010は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8132:2010によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8132:2017 

塩化ストロンチウム六水和物(試薬) 

Strontium chloride hexahydrate 

SrCl2・6H2O  FW:266.62 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる塩化ストロンチウム六水和物について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフィー通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬) 

JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬) 

JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8586 スルファニル酸(試薬) 

JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬) 

JIS K 8832 ブルシンn水和物(試薬) 

background image

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬) 

JIS K 9552 メチルチモールブルー(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 8802 pH測定方法 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

塩化ストロンチウム六水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,水に極めて溶けやすく,エタノール(99.5)

にやや溶けやすい。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料0.5 gに水20 mLを加えて溶かし,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると白の沈殿が生じる。 

b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,ガスバーナー

の無色炎中1)に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。白金線の先端

約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナ一の無色炎中に入れると赤が現れる。 

注1) 炎色試験に用いるガスバーナーは,炎の長さ約120 mm,内炎の長さ約30 mm程度とする。白

金線は,内炎の最上部から約10 mmの位置に水平に入れる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(SrCl2・6H2O) 

質量分率 % 

99.0 以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

pH(50 g/L,25 ℃) 

− 

5.0〜7.0 

6.4 

硝酸塩(NO3) 

質量分率 % 

0.005 以下 

6.5又は6.7 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 % 

0.001 以下 

6.6又は6.7 

ナトリウム(Na) 

質量分率 % 

0.01 以下 

6.8 

カリウム(K) 

質量分率 % 

0.01 以下 

6.8 

マグネシウム(Mg) 

質量分率 ppm 

2 以下 

6.8 

カルシウム(Ca) 

質量分率 % 

0.03 以下 

6.8又は6.9 

バリウム(Ba) 

質量分率 % 

0.02 以下 

6.9 

background image

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−品質(続き) 

項目 

規格値 

試験方法 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.9又は6.10 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.9又は6.10 

試験方法 

6.1 

一般事項 

一般事項は,次による。 

a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確

認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認

して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。 

注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan 

Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標

準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所

(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市

販の認証標準液がある。 

d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の

調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。 

注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認

定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。 

6.2 

純度(SrCl2・6H2O) 

純度(SrCl2・6H2O)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) メチルチモールブルー JIS K 9552に規定するもの。 

2) ジエチルアミン 純度が質量分率98.0 %以上のもの。 

3) 0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.1 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K 8107

に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,6.1 d)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

自動滴定装置 (必要な場合に用いる。)光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

試料1 gをコニカルビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mLを加えて溶かし,

ジエチルアミン5 mL及び指示薬としてメチルチモールブルー約35 mgを加え,0.1 mol/L EDTA2Na溶

液で滴定する。終点は,液の色が青から無色又はうすい灰色に変わる点とする。 

または,光度滴定によって,波長610 nm〜660 nm付近で0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。終点

は,変曲点とする。 

d) 計算 純度(SrCl2・6H2O)は,次の式によって算出する。 

100

662

026

.0

×

×

×

=

m

f

V

A

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

A: 純度(SrCl2・6H2O)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した0.1 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL) 

f: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.026 662: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するSrCl2・6H2Oの

質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試薬用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。 

澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[6.3 

c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 

mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて20 mLにす

る。 

2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す

り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

pH(50 g/L,25 ℃) 

pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。 

2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え

て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと

る。 

2) JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につけた試料溶液

の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。 

6.5 

硝酸塩(NO3) 

硝酸塩(NO3)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ブルシン溶液 JIS K 8832に規定するブルシンn水和物1 g及びJIS K 8586に規定するスルファニ

ル酸0.1 gをはかりとり,塩酸(2+1)5 mL及び水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。

褐色ガラス製瓶に保存する。 

なお,塩酸(2+1)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

2) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加える。 

3) 硫酸(4+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積4を徐々に加える。 

4) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)を調製する場合は,110 ℃で乾燥したJIS K 8548に規

定する硝酸カリウム1.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線ま

で加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合

する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mLを加えて溶か

し,硫酸(1+5)6 mLを加え,水で25 mLにする。ろ紙(5種C)でろ過し,ろ液10 mL(試料量

0.4 g)を別の共通すり合わせ平底試験管にとる。 

2) 比較溶液の調製は,硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)2.0 mL及び硫酸(1+5)2.4 mLを共通すり

合わせ平底試験管にとり,水を加えて10 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硫酸(4+1)10 mLを振り混ぜながら徐々に加え,ブルシン溶液0.5 mL

を加えて沸騰水浴中で20分加熱し,流水で冷却して10分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,色を比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩(NO3):質量分率0.005 %以下(規格値)”と

する。 

試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄より濃くない。 

6.6 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム

1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水15 mLを加えて溶か

し,塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)4.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,

塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて

振り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす

る。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.7 

硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4) 

硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) 6.5 a) 4)による。 

2) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 6.6 a) 4)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) メンブランフィルター(ろ過が必要な場合に用いる。) 孔径約0.2 μmのメンブランフィルターを装

着したもので,JIS K 0557に規定されたA4の水で洗浄したもの。 

2) 試料調製用シリンジ(ろ過が必要な場合に用いる。) 1 mL〜2.5 mLの容量をもつもの。 

注記1 溶液中のごみなどを除くために,メンブランフィルターとともに用いて,溶液をろ過す

る。 

3) 試料導入装置 ループインジェクト方式で,容量5 μL〜200 μLのもので,イオンクロマトグラフに

試料の一定量を再現よく導入できるもの。 

4) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

5) イオンクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0127に規定するもので,サプレッサー及び金属を除

去できる前処理装置(金属除去サプレッサーなど)をもつもの。装置の例を,図1に示す。 

background image

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A :溶離液 
B :デガッサー 
C :ポンプ 
D :バルブ 
E :分離カラム 
F :サプレッサー 
G :検出器 
H :前処理装置 
I :バルブ 
J :試料 
K :超純水 
L :再生液 
M :廃液 

図1−イオンクロマトグラフの例 

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

1) 検出器の種類 恒温槽内に設置された又は温度補償機能付き電気伝導度検出器。 

2) カラム充塡剤 基材に陰イオン交換体を表面被覆したもの。 

3) 分離カラム 内径2 mm〜5 mm,長さ10 cm〜25 cmのステンレス鋼製又は合成樹脂製のもので,分

離カラムの汚染を防ぐため,ガードカラムを接続したもの。 

4) ガードカラム 分離カラムを劣化などから守るカラム。試料又は移動相に含まれるきょう雑物・不

純物による分離カラムの汚染,劣化などを防ぐ目的で,分離カラムの上流(通常,インジェクター

と分離カラムとの間)に接続する。通常,サイズの小さなカラムを用いる。 

5) カラム温度 使用するカラムの仕様に適し,ピークの分離が確保できる温度に設定する。 

6) 溶離液 溶離液は,装置の種類及びカラムに充塡した陰イオン交換体の種類によって異なるので,

硝酸イオン(NO3-)及び硫酸イオン(SO42-)のそれぞれが可能な限り分離度2)1.3以上で分離できる

ものを用いる。 

注記2 溶離液は,脱気するか,又は脱気した水を用いて調製するとよい。操作中,溶離液に新

たな気体が溶け込むのを避けるための対策を講じるとよい。 

注2) イオンクロマトグラフの性能として分離度(R)は1.3以上が望ましい。定期的に確認する

とよい。分離度を求めるには,溶離液を一定の流量(例えば,0.5 mL/min〜2 mL/min)で流

す。クロマトグラムのピーク高さがほぼ同程度となるような濃度の陰イオン混合溶液を調

製して,クロマトグラムを作成し,次の式によって算出する。 

2

1

1

R

2

R

)

(

2

W

W

t

t

R

+

×

=

     tR1<tR2 

ここに, 

tR1: 第1ピークの保持時間(秒) 

tR2: 第2ピークの保持時間(秒) 

W1: 第1ピークのピーク幅(秒) 

W2: 第2ピークのピーク幅(秒) 

7) 溶離液の流量 カラムの最適流量に設定する。 

8) 再生液 再生液は,100 mmol/L 硫酸などが用いられ,あらかじめ分離カラムと組み合わせてベース

background image

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ラインの位置及びピーク感度の確認を行い,サプレッサーの性能を確保する。金属除去サプレッサ

ーの場合,このサプレッサー用の再生液として,しゅう酸アンモニウム溶液(50 mmol/L)などが用

いられる。 

9) 再生液の流量 サプレッサーの能力が維持できる最適流量。 

10) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 適切な注入量を選択する。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標

線まで加えて混合する。濁りがある場合,メンブランフィルターでろ過する。 

2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ50 mLそれぞれに,ピストン式ピペットで,表2に示す

各標準液(各分析種:0.01 mg/mL)の体積を3段階はかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

別に用いた水を空試験溶液とする。試料の調製にメンブランフィルターを用いた場合は,同様に

ろ過する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表2−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y0(空試験溶液) 

Y1 

Y2 

Y3 

硝酸塩標準液(NO3) 

0.01 

0.05 

0.15 

0.25 

硫酸塩標準液(SO4) 

0.01 

0.03 

0.04 

0.05 

3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流しておく。再

生液を一定の流量で流しておく。 

4) Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及び試料溶液の一定量を,試料導入装置を用いてイオンクロマトグラ

フに注入して,クロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ硝酸イオン(NO3-)及び硫酸イオン(SO42-)のピークの保持時間は,確認して

おく。 

e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,分析種の含有率を算出する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって得られた含有率が,次に適合するとき,“硝酸塩(NO3):質量分

率0.005 %以下(規格値),硫酸塩(SO4):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.8 

ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) 

ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。 

2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト

リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合

する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリ

エチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

3) カリウム標準液(K:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウム

background image

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレ

ンなどの樹脂製瓶に保存する。 

4) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8995に規定する硫酸マ

グネシウム七水和物10.1 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加

えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,

塩酸(2+1)15 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まない

ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

5) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ

ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加えて溶かし,沸騰しない程度に加

熱して溶かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線

まで加えて混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mL

を加え,更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの

樹脂製瓶に保存する。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。 

表3−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カリウム(K) 

766.5 

ナトリウム(Na) 

589.0 

マグネシウム(Mg) 

285.2 

カルシウム(Ca) 

422.7 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL及び水を加

えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL,ナトリウ

ム標準液(Na:0.1 mg/mL)1.0 mL,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)1.0 mL,マグネシウム標準

液(Mg:0.01 mg/mL)0.20 mL,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)3.0 mL及び水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.01 %以下(規格値),

カリウム(K):質量分率0.01 %以下(規格値),マグネシウム(Mg):質量分率2 ppm以下(規格値),

10 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

カルシウム(Ca):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。 

n1は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。 

なお,含有率を質量分率ppmに換算する場合は,Aに10 000を乗じる。 

100

000

 1

1

2

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.9 

カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。 

2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) 6.8 a) 5)による。 

3) バリウム標準液(Ba:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,バリウム標準液(Ba:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8155に規定する塩化バリウム

二水和物1.78 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)

25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。 

4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)1 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合す

る。使用時に調製する。 

5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶

かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2

+1)3 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

6) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)を調製する場合は,次のいずれかによる。 

6.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか

りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

6.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝

酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)上で加熱して溶かし,

全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フラスコ1 000 mLに加

えた後,水を標線まで加えて混合する。 

注記 イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための

background image

11 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

内標準である。市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場合に

は,市販のものを用いてもよい。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に

示す。 

なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。 

表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

396.847 

バリウム(Ba) 

493.408 

鉛(Pb) 

220.353 

鉄(Fe) 

238.204 

イットリウム(Y) 

360.074 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水10 mLを加えて溶かし,硝

酸(1+2)2 mL,ピストン式ピペットを用いてイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)100 μL及び水

を標線まで加え混合する(X液)。 

2) 全量フラスコ100 mLを3個準備する。それぞれに硝酸(1+2)2 mL,イットリウム標準液(Y:1 

mg/mL)100 μL及び水10 mLを加えて溶かし,ピストン式ピペットを用いて表5に示す各標準液の

体積を3段階加え,水を標線まで加え混合する(それぞれ,Y1液,Y2液,Y3液とする。)。 

表5−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y1 

Y2 

Y3 

カルシウム(Ca) 

0.1 

1 500 

3 000 

6 000 

バリウム(Ba) 

0.1 

1 000 

2 000 

4 000 

鉛(Pb) 

0.01 

250 

500 

1 000 

鉄(Fe) 

0.01 

250 

500 

1 000 

3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸(1+2)2 mL及びイットリウム標準液(Y:1 

mg/mL)100 μLをとり,水を標線まで加え混合する(Z液)。 

4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

5) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関係線

のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果

に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

6) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。 

background image

12 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率

を計算する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.03 %

以下(規格値),バリウム(Ba):質量分率0.02 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率5 ppm以下(規

格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。 

2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と

水の体積3とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する(必要な場合に用いる。)。 

3) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3)による(必要な場合に用いる。)。 

4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム

10 gを水に溶かして100 mLにする。使用時に調製する。 

5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454

に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす

る。 

6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.9 a) 4)による。 

7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.9 a) 5)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表6に示す。 

表6−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー200 mlにはかりとり,水40 mL及び塩酸(2+1)1 mLを

加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー200 mLにはかりとり,水40 mL及び塩酸(2+1)1 mLを

加えて溶かす。鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)0.5 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)0.5 mLを加え,

水を加えて80 mLにする。 

3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに水を加えて5 mLにする。 

4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用い

て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 約5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 

mLを直ちに加え,水を加えて100 mLにする。 

13 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振り

混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液からの

上層(酢酸ブチル相)をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの上層(酢酸ブチル相)

をY液とし,下層は捨てる。 

6) 試料溶液からの下層(水相)を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく

振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)

は捨てる。再び,下層(水相)に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれ

るまで放置して下層(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た下層(水相)

に3)の空試験溶液を加え,更にくえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加えた後,pH

計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約 5.5に調節する。さらに,NaDDTC

溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分か

れるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分離してZ液とする。 

7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,

Y液をフレーム中に噴霧し,個別規格に示す分析種の測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設

定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,測定対象分析種の吸光度を測定し,

X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指示植n3を読み取る。 

8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):

質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

n1−n3は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。 

なお,含有率を質量分率ppmに換算する場合は,Aに10 000を乗じる。 

6

1

2

1

10

000

 1

3

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“塩化ストロンチウム六水和物”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

14 

K 8132:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号