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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8007-1992 

高純度試薬試験方法通則 

General rule for test methods of highly purified reagents 

1. 適用範囲 この規格は,高純度試薬の試験に関する共通事項について規定する。ただし,この規格と

個別規格との間に相違がある場合には,個別規格によるものとする。 

備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0114,JIS K 0115,JIS K 0116,JIS K 0121,

JIS K 0127,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0214及びJIS K 0215によるほか,次による。 

(1) 気密容器 開封後再び閉じることができる容器。日常の取扱い又は保存の間に,液体の浸入,内容物

の変質,揮散,損失などができるだけ少ないもの(硬質ガラス瓶,ポリエチレン瓶,缶,熱封して用

いるポリエチレン袋など)。 

(2) 密封容器 内容物の使用が開封時だけに限られる容器,又は開封せずにシリンジなどによって内容物

の取出しを行う容器。日常の取扱い又は保存の間に,気体の侵入ができるだけ少ないもの(アンプル,

バイアルなど)。 

(3) 希釈標準液 標準液を希釈して目的の濃度に調製した溶液。検量線用溶液として,又は検量線の校正

に用いる。 

(4) 混合標準液 異なる成分の標準液又は希釈標準液を混合することによって,各成分を目的の濃度に調

製した溶液。検量線用溶液として,又は検量線の確認に用いる。 

(5) 誘導結合プラズマ質量分析計 誘導結合プラズマを用いて元素をイオン化し,その質量を測定する装

置。 

(6) 誘導結合プラズマ質量分析法 誘導結合プラズマ質量分析計を用いる質量分析法。 

(7) サンプリングコーン 誘導結合プラズマ質量分析計におけるプラズマ源と質量分析計との結合部の部

品で,イオン源からイオンを取り込むための小孔付円すい状金属具。 

(8) スキマーコーン 誘導結合プラズマ質量分析計におけるプラズマイオン源と質量分析計との結合部の

部品で,サンプリングコーンを通過したイオンを質量分析計に取り込むための小孔付円すい状金属具。 

(9) サンプリング深さ 誘導結合プラズマ質量分析計における高周波コイル(サンプリングコーン寄りの

部分での管の中心軸)とサンプリングコーンの先端との距離。 

(10) イオンクロマトグラフ イオンクロマトグラフ分析によって溶液中のイオンを検出し,定量を行う装

置。 

(11) 分離カラム イオンクロマトグラフ法において,必要な成分の分離を行うためのカラム。 

(12) サプレッサー イオンクロマトグラフ法において,電気伝導度検出器を用いる場合に,目的イオンの

検出を損うことなく,バックグラウンドとなる電気伝導率を低減する装置。 

(13) 再生液 サプレッサーの機能を再生,又は継続的に維持するために用いる液体。除去液ともいう。 

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3. 共通事項 共通事項は,JIS K 0050による。 

4. 水及び試薬類 水及び試薬類は,この規格に規定するものを用いる。 

(1) 水 この規格で用いる水は,表1に示すA1〜A4の蒸留水又はイオン交換水とする。試験に用いるA1

〜A3の水については,試験対象成分について,個別規格で規定された試験方法を用いて測定した空試

験値が,試料での試験値の51以下であることを確認して用いる。 

表1 水の分類 

項目 

種別 

A1 

A2 

A3 

A4 

電気伝導率(1) (mS/m) (25℃) 

0.5 以下 

0.1(2)(3)以下 

0.1(2)以下 

0.1(2)以下 

有機体炭素 (TOC) (4)(mgC/l) 

1 以下 

0.5 以下 

0.2 以下 

0.05 以下 

亜鉛(5) (μgZn/l) 

0.5 以下 

0.5 以下 

0.1 以下 

0.1 以下 

シリカ(6) (μgSiO2/l) 

− 

50 以下 

5.0 以下 

2.5 以下 

塩化物イオン(7) (μgCl-/l) 

10 以下 

2 以下 

1 以下 

以下 

硫酸イオン(7) (μgSO42-/l) 

10 以下 

2 以下 

1 以下 

以下 

過マンガン酸カリウムによる試験 (ml) (8) 

− 

0.5 以下 

0.3 以下 

0.2 以下 

注(1) 測定は,JIS K 0552による。 

(2) 水精製装置の出口水を,電気伝導率計の検出部に直接導入して測定したときの値。 
(3) 最終工程のイオン交換装置の出口に,精密ろ過器などのろ過器を直接接続し,出口水を電気伝導率

計の検出部に直接導入した場合には,0.01 mS/m (25℃) 以下とする。 

(4) 測定は,JIS K 0551による。 
(5) 測定は,JIS K 0553による。 
(6) 測定は,JIS K 0555による。 
(7) 測定は,JIS K 0556による。 
(8) 水100mlをとり硫酸酸性とし,5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液の一定量を加えて,30分間加熱

したときに消費された5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液の量 (ml)。 

備考 A1〜A4の水の用途及び精製方法は,一般に次のようなものである。 

A1の水は,器具類の洗浄及びA2〜A4の水の原料に用いる。最終工程でイオン交換法によって精

製したもの,又はこれと同等の質が得られる方法で精製したもの。 

A2の水は,一般の化学分析及びA3〜A4の水の原料などに用いる。A1の水を用い,最終工程で

イオン交換装置・精密ろ過器などの組合せによって精製したもの,又はこれと同等の質が得られる
方法で精製したもの。 

A3の水は,試薬類の調製,微量成分の化学分析などに用いる。A1又はA2の水を用い,最終工

程で蒸留法によって精製したもの,又はこれと同等の質が得られる方法で精製したもの。 

A4の水は,有機物の試験[有機体炭素 (TOC),CODMnなどの試験],微量成分の化学分析などに

用いる。A1又はA2の水を用い,最終工程で酸化剤(過マンガン酸カリウムなど)を共存させた蒸
留法で精製したもの,又はこれと同等の質が得られる方法で精製したもの。 

(2) 試薬 試薬は,JISマーク表示品の最上級品又はこれと同等以上の品質のものを用いる。ただし,特

定用途のために市販されている高純度酸などの試薬(9)で,高純度試薬の個別規格に規定された試験に

よる空試験値が上記試薬より低いものについてはそれらを用いる。 

注(9) 超高純度試薬,精密分析用試薬,電子工業用薬品などの名称で,塩酸,硝酸,硫酸,ふっ化水

素酸,アンモニア水,四塩化炭素,クロロホルムなどの試薬が市販されている。 

5. 器具及び容器類 器具及び容器類は,この規格に規定するものを用いる。 

(1) ガラス器具 ガラス器具は,JIS R 3503に規定されている硬質1級のもの(10)(11)(12)を用いる。 

注(10) ガラスの成分であるナトリウム,カリウム,ほう素,けい酸,アルミニウムなどがわずかに溶

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出する。製品によってはひ素や亜鉛がわずかに溶出することもあるので,試験に支障がないこ

とを確認して用いる。 

(11) すり合わせ部分をもつ器具は,すり合わせ部分に汚れが付着しやすい。透明ずりのものを用い

る。 

(12) けい酸塩の分析を目的とする場合には,試験に支障がないことを確認して用いる。 

(2) 石英器具 石英器具は,透明石英ガラス製のもの(11)(12)を用いる。 

(3) 合成樹脂器具 合成樹脂器具は,四ふっ化エチレン樹脂(13),ポリエチレン樹脂(14),ポリプロピレン

樹脂(15),又はアクリル樹脂(16)製のものを用いる。 

注(13) 着色剤,充てん剤などを添加していないもの。鉄,クロム,ニッケル,銅,亜鉛などの重金属

がわずかに溶出することがある。成形時に混入した異物を含むこともあるので,試験に支障が

ないことを確認して用いる。 

(14) 高密度ポリエチレンで,着色剤,充てん剤などを添加していないもの。鉄,クロム,チタンな

どの重金属がわずかに溶出することがあるので,試験に支障がないことを確認して用いる。高

濃度の硝酸を用いる試験には用いない。 

(15) 着色剤,充てん剤などを添加していないもの。鉄,チタンなどの重金属がわずかに溶出するこ

とがあるので,試験に支障がないことを確認して用いる。高濃度の硫酸を用いる試験には用い

ない。 

(16) メタクリル酸エステル樹脂。難燃剤などを添加していないもの。高濃度の塩酸を用いる試験に

は用いない。 

(4) 白金器具 白金器具は,JIS H 6201,JIS H 6202及びJIS H 6203に規定するもの(17)を用いる。 

注(17) 合金成分又は不純物として,パラジウム,ロジウム,ルテニウム,イリジウム,金,銀,銅,

鉄などを含むため,試験に支障がないことを確認して用いる。 

(5) 保存容器 保存容器は,試験用溶液類の保存には,四ふっ化エチレン樹脂(13)又はポリエチレン樹脂(14)

製の気密容器を用いる。試験対象成分が溶出しないことを確認して用いる。 

6. 器具及び容器類の洗浄と保存 器具及び容器類の洗浄と保存は,この規格に従って行う。 

(1) ガラス器具及び石英器具の洗浄 ガラス器具及び石英器具は,温硝酸(1+1)で洗浄した後,水で十分

にすすぎ洗いする。購入後始めて使用するときには,前もって洗浄剤と水道水で洗浄し,水,アセト

ンの順で洗浄した後,上記の操作を行う。 

使用の直前には,試験目的によって必ずA1〜A3のいずれかの水で洗浄する。 

(2) 合成樹脂器具の洗浄 合成樹脂器具は,ポリエチレン製容器に入れた硝酸(1+3)に0.5日間以上浸した

後,水で十分すすぎ洗いする。購入後始めて使用するときには,前もって洗浄剤と水道水,水,アセ

トンの順で洗浄後,ポリエチレン製容器に入れた硝酸(1+3)に0.5日間以上浸し,0.5日間以上超音波

洗浄した後,水で十分すすぎ洗いする。 

使用の直前には,試験目的によって必ずA1〜A3のいずれかの水で洗浄する。 

(3) 白金器具の洗浄 白金器具は,硝酸(1+3)に浸して80℃以上で1日間以上加熱した後,水で十分すす

ぎ洗いする(18)。 

使用の直前には,試験目的によって必ずA1〜A3のいずれかの水で洗浄する。 

注(18) 前の試料による汚染が認められる場合には,二硫酸カリウムを溶融して汚染を取り除いた後,

この操作を行う。 

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(4) 保存容器の洗浄 保存容器(19)は,洗浄剤と水道水,水で洗浄後,硝酸(1+3)を満たして0.5日間以上

放置し,水,塩酸(1+1)の順で洗浄した後,試験目的によってA1〜A3のいずれかの水で十分に洗浄

する。 

注(19) 高濃度の標準液の保存などに使用した容器は用いない。 

(5) 器具類の保存 器具類は,洗浄後乾燥器(20)で乾燥し,デシケーターに保存する。 

注(20) 乾燥器内で循環する気流によって汚染されることがある。試験に支障がないことを確認して用

いる。 

備考 器具類は使用の都度洗浄する。洗浄した器具類の保存は必要な場合だけに限る。 

(6) 保存容器の保存 保存容器は,洗浄後乾燥器(20)で乾燥し,密栓して保存する。 

7. 試験環境 クリーンルーム及びクリーンベンチは,次のものを用いる。 

(1) クリーンルーム クリーンルームは,JIS B 9920によって浮遊微粒子数を測定したとき,粒径0.5μm

以上の粒子数が350 000個/m3以下(21)であり,かつ試験対象成分について個別規格で規定する試験方

法を用いて測定した空試験値が試料での試験値の51以下となるもの。 

注(21) JIS B 9920に規定された清浄度クラス7又はそれより清浄度の高いクラスに相当する。 

(2) クリーンベンチ クリーンベンチは,JIS B 9922に規定するクリーンベンチ(22)で,試験対象成分につ

いて個別規格で規定された試験方法を用いて測定した空試験値が,試料での試験値の51以下となるも

の。 

注(22) 有毒ガスを排気できるV形が適している。 

8. 試料調製及び検量線用溶液の調製と取扱い 試料調製及び検量線用溶液の調製と取扱いは7(1)のクリ

ーンルーム内で以下によって行う。 

(1) 試料調製 試料調製は,使用する水,試薬,器具,作業者からの汚染が最小限になるように注意して

行う。試料溶液の保存には,四ふっ化エチレン樹脂又はポリエチレン樹脂製の気密容器を用いる。 

備考1. 器具については,その材質だけでなく形状や寸法に留意する。例えば,抽出操作は,洗浄が

難しく汚染のおそれが多い分液漏斗を用いないで,小容量 (30〜50ml) の抽出管を用いるこ

とが望ましい。 

2. 加熱・濃縮のように長時間を要する操作は,7(2)のクリーンベンチの中で行う。 

(2) 検量線用溶液の調製 検量線用溶液としては,希釈標準液又は混合標準液を用いる。検量線用溶液の

調製は,使用する水,試薬,作業者からの汚染が最小限になるように注意して行う。検量線用溶液の

保存には,四ふっ化エチレン樹脂又はポリエチレン樹脂製の気密容器を用いる。 

(2.1) 希釈標準液の調製 希釈標準液の調製は,標準液(23)を一定量取り,希釈することによって行う。操

作は,次のとおり行う。 

(a) 標準液の容器をよく振った後開封し,直ちに標準液でビーカーを共洗いする。 

(b) 共洗いしたビーカーに,標準液を必要量より多めにとる。 

(c) 全量ピペット10ml以上を用い,標準液を適当な容量の全量フラスコ(24)にとる。 

(d) あらかじめ,硝酸,塩酸又は硫酸を用いてpH2以下の酸溶液を調製する(25)。 

(e) 酸溶液を全量フラスコの標線まで加え,栓をして振り混ぜる。 

(f) 調製した溶液を気密容器に移し代える。 

注(23) JIS K 8001の4.3(標準液)に従って調製する。JISに規定する標準液又は市販の標準液を用いて

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もよい。 

(24) 100ml又は1 000mlとする。 

(25) 通常は,水1 000mlに対し硝酸(1+1)3mlでよい。 

備考1. 希釈標準液は,使用の都度調製する。 

2. 標準液をそのまま検量線用溶液の一つとして用いる場合は,これと同時に用いる希釈標準液

の酸濃度を標準液の酸濃度と等しくなるように調製する。 

3. 更に,希釈する必要がある場合は,(a)〜(f)の操作に準じて希釈標準液を再度希釈する。 

4. 金属イオンは,ポリエチレン樹脂やガラスの表面に付着しやすい。特に低濃度の場合には測

定値に影響を与えることがあるので,容器の材質や酸濃度に注意する。 

(2.2) 混合標準液の調製 標準液又は希釈標準液を他の標準液又は希釈標準液と混合して調製する(26)。混

合によって沈殿の生成や濁りを生じない組合せに限る。操作は,(2.1)の操作に準じて行う。 

注(26) 測定法によって,測定時における共存成分間の妨害も考慮する必要がある。誘導結合プラズマ

発光分光分析法においては,元素同士でスペクトル線の重なりを生じやすい。 

また,誘導結合プラズマ質量分析法においては,共存成分の同位体ピークや酸化物ピークな

どが目的元素のスペクトルに重なる場合がある。 

誘導結合プラズマ発光分光分析法に適する混合標準液の一例を表2に示す。 

備考 混合標準液は,使用の都度調製し直ちに使用する。 

表2 誘導結合プラズマ発光分光分析用混合標準液の一例 

混合標準液 

元素 

Al,Ca,Mg 

Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Zn,V 

As,Ge,P,Se,Si 

(3) 試料溶液及び検量線用溶液の取扱い 試料溶液及び検量線用溶液は,汚染,蒸発などによる濃度変化

が最小になるように注意して取り扱う。 

備考1. 使用の直前によく振って用いる。 

2. 気密容器又は密封容器から取り出して使用する場合は,共洗いした容器に取る。 

3. 直接ピペットなどを気密容器に入れてはならない。 

また,いったん取り出した溶液を気密容器に戻してはならない。 

9. 一般試験方法 一般試験方法は,個別規格に共通する試験方法について規定する。 

なお,ここに規定する試験方法以外は,JIS K 8001の5.(一般試験方法)に規定する方法による。 

(1) 吸光光度法 この方法によって試験を行うときの一般事項は,JIS K 0115による。 

(2) フレームレス原子吸光分析法 この方法によって試験を行うときの一般事項は,JIS K 0121によるほ

か,次による。 

(2.1) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) フレームレス原子吸光分析装置 バックグラウンド補正が可能なもの。 

(b) 中空陰極ランプ 

(c) 電気加熱炉 黒鉛管又は高融点金属製フィラメントを加熱発熱体とする炉。 

(d) JIS K 0970に規定するプッシュボタン式液体用微量体積計。又は自動試料注入装置(27)。 

注(27) 必要に応じて用いる。用いる場合は,測定を7.(1)のクリーンルーム内で行う。 

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(2.2) 操作条件 操作条件は,必要に応じ次の項目について設定する。 

(a) 分析線波長 

(b) ランプ電流値 

(c) 分光器のスリット幅 

(d) バックグラウンド補正値 

(e) 加熱炉の材質と形状 

(f) 試料注入量 

(g) 乾燥過程における温度又は電流値及び時間 

(h) 灰化過程における温度又は電流値及び時間 

(i) 原子化過程における温度又は電流値及び時間 

(j) シースガスの種類及び流量又は圧力 

(k) 冷蒸気方式においては,流路形式,反応試薬の種類 

(2.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) フレームレス原子吸光分析装置を作動できる状態にする。 

(b) 試料溶液を(2.1)(d)の器具又は装置を用いて電気加熱炉に注入し,原子化を行い,分析線波長におけ

る指示値を読み取る。 

(c) 空試験液について(b)と同様の操作を行い,試料溶液について得た指示値を補正する。 

(d) JIS K 0121の7.1(定量法)(1)及び(2)に従って,検量線から試料溶液中の分析対象元素の濃度を算

出する。 

(2.4) 試験結果の表示 試料溶液中の分析対象元素の濃度が,定量下限より高いことを確認し,試料中の

濃度に換算する。分析対象元素の濃度が定量下限より低い場合には,定量下限を試料中の濃度に換

算し,その値以下とする。 

なお,空試験液が調製できない場合は,溶液を注入しないで得られた指示値で補正して試料中の

濃度を算出し,その濃度以下とする。 

(3) 誘導結合プラズマ発光分光分析法 この方法によって試験を行うときの一般事項は,JIS K 0116によ

るほか,次による。 

(3.1) 装置 装置は,次のとおりとする。 

(a) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 

(b) 自動試料導入装置(27) 

(3.2) 操作条件 操作条件は,必要に応じ次の項目について設定する。 

(a) 高周波出力 

(b) プラズマガス流量 

(c) 補助ガス流量 

(d) キャリヤーガス流量 

(e) 真空形の装置においてはパージガス流量 

(f) 観測高さ 

(g) 分光器のスリット幅 

(h) 分析線波長 

(i) 内標準法においては内標準線波長 

(j) 波長固定形の装置においては積分時間 

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(k) 波長走査形の装置においては波長走査範囲及び走査速度 

(3.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置の高周波プラズマを点灯し,分光器を作動できる状態にする(28)。 

(b) 水を噴霧し,バックグラウンドが正常レベルにあることを確認する(29)。 

(c) 空試験液を噴霧し,検量線法及び標準添加法においては分析線の発光強度を,内標準法においては

分析線及び内標準線の発光強度を測定する。 

(d) 試料溶液について(c)と同じ操作を行い,得られた発光強度を空試験液の発光強度で補正する。 

(e) JIS K 0116の9.2.1(光電測光法)に従って,検量線から試料溶液中の分析対象元素の濃度を算出す

る。 

注(28) 装置が安定化するまで十分に時間をとる。安定化にかかる時間は,装置によって異なる。 

(29) 前に測定した試料によるメモリー効果が見られる場合は,硝酸(1+10)を噴霧して汚染を除去す

る。汚染が残る場合には,ネプライザー,噴霧室及びトーチ管を取り外し,硝酸(1+3)に0.5日

間以上浸すか,又は硝酸(1+3)に浸して2時間以上加熱した後,A1又はA2の水で洗浄する。 

(3.4) 試験結果の表示 試料溶液中の分析対象元素の濃度が,定量下限より高いことを確認し,試料中の

濃度に換算する。分析対象元素の濃度が定量下限より低い場合には,定量下限を試料中の濃度に換

算し,その値以下とする。 

なお,空試験液が調製できない場合は,A1又はA2の水で得られた指示値で補正して試料中の濃

度を算出し,その濃度以下とする。 

(4) 誘導結合プラズマ質量分析法 

(4.1) 装置 装置は,次のとおりとする。 

(a) 誘導結合プラズマ質量分析計 

(b) 自動試料導入装置(27) 

(4.2) 操作条件 操作条件は,次の項目について設定する。 

(a) 高周波出力 

(b) プラズマガス流量 

(c) 補助ガス流量 

(d) キャリヤーガス流量 

(e) サンプリング深さ 

(f) シグナル測定用質量数 

(g) 質量数設定範囲 

(h) 積分時間(30) 

注(30) 1元素当たりのシグナル測定時間。ドエル時間及び積算回数で表示してもよい。 

(4.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 誘導結合プラズマ質量分析計の高周波プラズマを点灯し,質量分析計を作動できる状態にする(31)。 

(b) 水を噴霧し,バックグラウンドが正常レベルにあることを確認する(29)(32)。 

(c) 空試験液を噴霧し,検量線法及び標準添加法においては分析対象元素のシグナル(33)を,内標準法に

おいては分析対象元素のシグナル及び内標準元素(34)のシグナルを測定する。 

(d) 試料溶液について(c)と同じ操作を行い,得られたシグナルを空試験液のシグナルで補正する。 

(e) JIS K 0116の9.2.1(光電測光法)に従って,検量線から試料溶液中の分析対象元素の濃度を算出す

る。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(31) 装置が安定化するまで十分時間をとる。安定化に要する時間は装置によって異なる。必要があ

れば,質量軸校正を行う。 

(32) 注(27)の操作で汚染が除去できない場合は,サンプリングコーンとスキマーコーンを取り外し,

研磨粉で研磨した後,硝酸(1+20)及びA1又はA2の水で洗浄する。 

(33) 1価イオンの質量数におけるイオン強度を測定する。同位体がある場合には,妨害イオンがな

い限り最もアバンダンスの大きい質量数を用いて測定する。 

(34) 試料中に無視し得る濃度しか含まれず,かつ,酸化物イオンや水酸化物イオンなどの妨害イオ

ンを生じない元素を選択する。通常はインジウム,ロジウム,カドミウムなどを用いる。 

(4.4) 試験結果の表示 (3.4)による。 

(5) イオンクロマトグラフ法 この方法によって試験を行うときの一般事項は,JIS K 0127による。 

(5.1) 試薬 試薬は,次のものを用いる。 

(a) 溶離液 溶離液は,装置の種類及び分離カラムに充てんしたイオン交換体の種類によって異なる(35)。

溶離液の種類及び濃度を変えてクロマトグラムの分離状態を確認し,分離状態の良好な溶離液を用

いる。 

(b) 再生液 再生液は,装置の種類及びサプレッサの種類によって異なる(36)。再生液の種類及び濃度を

変えてサプレッサの性能を確認し,良好な性能の得られる再生液を用いる。 

注(35) 例えば,炭酸水素ナトリウム溶液 (4 mmol/l) と炭酸ナトリウム溶液 (4 mmol/l) の混合溶液。 

(36) 例えば,硫酸 (15 mmol/l) 溶液。 

(5.2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) イオンクロマトグラフ 

(b) シリンジ 測定用溶液の一定量をイオンクロマトグラフに注入するために用いる。 

(5.3) 操作条件 操作条件は,必要に応じ次の項目について設定する(37)。 

(a) 分離カラム 

(b) サプレッサ 

(c) 溶離液の種類,濃度及び流量 

(d) 再生液の種類,濃度及び流量 

(e) 温度(38) 

(f) 検出器の種類 

注(37) サプレッサを必要としない装置又は測定条件下では(b),(d)を省く。 

(38) 恒温槽の温度。装置によって恒温槽にカラムを収納している場合,カラムと検出器を収納して

いる場合などがある。 

(5.4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラム(39)に溶離液を一定の流量(40)で流し,サ

プレッサ(41)を用いる装置では,サプレッサに再生液を一定の流量で流しておく。 

(b) シリンジを用いて試料溶液をイオンクロマトグラフに注入し,一定の流量の溶離液で溶離し,クロ

マトグラムを記録する。 

(c) クロマトグラム上の分析対象イオンに相当するピークについて,ピーク高さ又はピーク面積を測定

する。 

(d) 空試験液について,(b),(c)と同じ操作を行い,試料溶液について得たピーク高さ又はピーク面積値

を補正する。 

K 8007-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(e) 検量線から目的イオンの量を求め,試料溶液中の分析対象イオンの濃度を算出する。 

注(39) ステンレス鋼製又は合成樹脂製の管に,強塩基性陰イオン交換樹脂などの陰イオン交換体を充

てんしたものを用いる。 

(40) 1〜3ml/min。 

(41) 溶離液中の陽イオンに対して十分なイオン交換能力をもった陽イオン交換膜からなるもの,又

はこれと同等の性能をもつ陽イオン交換体を充てんしたカラム用いる。 

備考1. サプレッサを用いない方式の装置では,必要に応じ,温度,脈流,電気的ノイズなどによる

ベースラインの安定性への影響を減らし,高感度化して用いる。 

2. 目的イオンの濃度が定量下限以下の場合には,目的イオンの測定に対し共存成分による妨害

が無視できる試料について,濃縮カラムを用いて試料を濃縮後,分離カラムを用いてもよい。 

(5.5) 試験結果の表示 (3.4)による。 

(6) ガスクロマトグラフ法 この方法によって試験を行うときの一般事項は,JIS K 0114による。 

(6.1) 装置 装置は,次のとおりとする。 

(a) ガスクロマトグラフ 

(b) シリンジ 気体試料又は液体試料の一定量をガスクロマトグラフに導入するために用いる。 

(6.2) 操作条件 操作条件は,必要に応じ次の項目について設定する。 

(a) カラムの種類(42) 

(b) カラム用管の内径及び長さ 

(c) カラム槽の温度 

(d) キャリヤーガスの種類及び流量 

(e) 燃料ガス及び助燃ガスの種類及び流量(又は圧力)(43) 

(f) 検出器の種類 

(g) 試料量 

(h) 試料気化温度 

注(42) 充てんカラム,中空毛管カラム,充てん毛管カラムなどに使用されている充てん剤又は毛管内

壁への固定相。 

(43) 水素炎イオン化検出器,炎光光度検出器,又はアルカリ熱イオン化検出器を使用する場合に設

定する。 

(6.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) ガスクロマトグラフを作動できる状態にする。 

(b) (6.2)の操作条件に設定し,基線の変動が10分間につき記録計のフルスケールの1%以内であること

を確認する。 

(c) シリンジを用いて測定用試料をガスクロマトグラフに導入し,ガスクロマトグラムを記録する。 

(d) ガスクロマトグラム上の試料各成分又は分析対象成分に相当するピークについて,ピーク高さ又は

ピーク面積を測定する。 

(e) JIS K 0114の8.(定量分析)に従って定量する。 

(6.4) 試験結果の表示 試料中の濃度に換算する。試験項目が純度の場合には,純度として測定した成分

名を併記する。 

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K 8007-1992  

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付表1 引用規格 

JIS B 9920 クリーンルーム中における浮遊微粒子の濃度測定方法及びクリーンルームの空気清浄度

の評価方法 

JIS B 9922 クリーンベンチ 

JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS H 6203 化学分析用白金ボート 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析のための通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析方法通則 

JIS K 0121 原子吸光分析のための通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0551 超純水中の有機体炭素 (TOC) 試験方法 

JIS K 0552 超純水の電気伝導率試験方法 

JIS K 0553 超純水中の金属元素試験方法 

JIS K 0555 超純水中のシリカ試験方法 

JIS K 0556 超純水中の陰イオン試験方法 

JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

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原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

 川 瀬   晃 

工業技術院化学技術研究所化学標準部 

 増 田   優 

通商産業省基礎産業局生物化学産業課 

 細 川 幹 夫 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

◎ 久保田 正 明 

工業技術院化学技術研究所化学標準部無機計測課 

 鈴 木 正 信 

通商産業省通商産業検査所化学部試薬課 

○ 喜多川   忍 

通商産業省通商産業検査所化学部試薬課 

 岡 本 恵 司 

通商産業省通商産業検査所大阪支所化学部試薬課 

 藤 貫   正 

社団法人日本分析化学会 

 栗 原   力 

財団法人化学品検査協会 

 中 村   靖 

日本鉱業株式会社研究開発本部分析部 

 坂 田   

社団法人日本分析機器工業会(株式会社島津製作所) 

 松 原 道 夫 

セイコー電子株式会社 

 池 田 久 幸 

横河電気株式会社 

 草 野 信 夫 

丸善石油化学株式会社 

○ 木 本   勝 

日本ソーダ工業会 

○ 鶴 田 利 行 

硫酸協会 

 宮 崎   健 

メタノール・ホルマリン協会 

 堀   良 万 

徳山曹達株式会社 

 橋 本 俊 夫 

旭硝子株式会社 

 岸 部 武 彦 

東亜石油株式会社 

○ 中 村   穣 

森田化学工業株式会社 

○ 芝 山   正 

関東化学株式会社 

 北 田 佳 伸 

和光純薬工業株式会社 

 高 野 虞美子 

東京化成工業株式会社 

 重 高   昇 

キシダ化学株式会社 

 渡 辺   明 

橋本化成工業株式会社 

 宮 森   勝 

東京応化工業株式会社 

 北 岸 洋 之 

純正化学株式会社 

○ 田 坂 勝 芳 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

○ 山 本 健 一 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

(事務局) 

○ 大 越 市 郎 

日本試薬連合会 

 備考 ○印は分科会委員を兼任,◎印は分科会委員長