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K 7645

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まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人  日本婚礼写真協会(JBPS)/財団法

人  日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業

標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 18902:2001,Imaging materials−

processed photographic films

,  plates and papers−Filing enclosures and storage containers を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 7645

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)保存目的と使用目的の区別

附属書 B(参考)参考文献

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表


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目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  素材

2

4.1

  一般事項

2

4.2

  紙及び板紙

3

4.3

  プラスチック

4

4.4

  金属

4

4.5

  接着剤

4

4.6

  印刷インキ

5

5.

  包材

5

5.1

  一般事項

5

5.2

  包材の種類

5

5.3

  寸法

6

5.4

  とじ

7

6.

  素材及び包材仕様選択の指針

7

附属書 A(参考)保存目的と使用目的の区別

9

附属書 B(参考)参考文献

10

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

11

 


日本工業規格

JIS

 K

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:2003

写真−現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙

−包材,アルバム及び保存容器

Imaging materials

−processed photographic films, plates and papers−

Filing enclosures and storage containers

序文  この規格は,2001 年に第 1 版として発行された ISO 18902 : 2001,Imaging materials−Processed

photographic films

,  plates and papers−Filing enclosures and storage containers を元に,対応する部分(素材及

び仕様)については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である

が,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格として追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。変更の内容とその説

明を

附属書 1(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格は,現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙を保存するための包材,アルバ

ム及び保存容器について規定する。この規格における写真画像とは,黒白(銀・ゼラチン)画像,カラー

(色素・ゼラチン)画像,ジアゾ画像及びベシキュラー画像である。

この規格は,保存目的の写真について規定するものであり,

附属書 に述べる使用目的の写真について

は規定しない。この規格は,推奨される保存条件下で保存中の写真に,物理的又は化学的に影響を与え得

る特性だけ規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 18902 : 2001

,Imaging materials−Processed photographic films, plates and papers−Filing

enclosures and storage containers (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成

するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最

新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS P 0001

  紙・板紙及びパルプ用語

JIS P 8133

  紙,板紙及びパルプ−水抽出液 pH の試験方法

備考  ISO 6588:1981  Paper,  board and pulps−Determination of pH of aqueous extracts がこの規格と

一致している。

ISO 699:1982

  Pulps−Determination of alkali resistance

ISO 10716:1994

  Paper and board−Determination of alkali reserve


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ISO 14523:1999

  Photography−Processed photographic materials−Photographic activity test for enclosure

materials

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001 によるほか,次による。

a)

ブロッキング防止剤(anti-blocking agent)  表面に微小な凹凸を生じさせて接触面積を減らすことに

よって,摩擦係数を下げてブロッキングを防ぐ物質。

備考  ブロッキング防止剤の例として,タルク,シリカがある。

参考  ブロッキングとは,表面の平滑性が高いシートを重ね合わせたとき,互いに密着して滑りにく

くなることをいう。

b)

フェロタイピング(ferrotyping)光沢化(glazing)  平滑な表面に接触させることによって,粗い表

面が光沢をもつ平滑な表面状態に変化すること。

c)

ニュートンリング(Newtons rings)  密着した二つの透明なシートの表面間で,入射光と反射光との

干渉によって発生する,着色した環状又は縁取り状の模様。

d)

滑剤(slip agent)  表面の摩擦係数を下げるために使われる物質。

備考  滑剤は,通常アミド化合物である。

4.

素材

4.1

一般事項  包材用素材には,長時間にわたって徐々に放出されることによって写真画像又は写真材

料の成分を劣化させる,酸及び過酸化物が含まれないことが望ましい。例えば,紙が放散する過酸化物の

ような化学物質は,現像処理済み銀・ゼラチンマイクロフィルムの経年において発生する欠点の原因とな

り得る[参考文献 (1) 及び (2) 参照]

。また,紙に含まれる酸性物質は,紙そのものを劣化させる。

包材用素材は,化学的に安定でなければならない。不安定であれば,分解物が写真画像を形成する物質

に有害であったり,ちり又はほこりを発生させて,写真表面にすりきず又はめり込みを作ることがある。

硝酸セルロース,ポリ塩化ビニル及びグラシンペーパー[参考文献 (17) 参照]は,化学的又は物理的に

不安定な,使ってはならない素材の代表例である[参考文献 (3) 及び (4) 参照]

包材用素材の表面状態も重要である。包材用素材は,写真表面にすりきずを発生させるものであっては

ならない。粗い包材用素材の表面にはすりきずの問題があるが,一方,フェロタイピングを少なくするた

めには,包材用素材の表面は軽度の布目状又はマット状であることが望ましい。ほかにも,高湿度のよう

な過酷な環境下で現れる,包材用素材の有害な物理特性がある。その中には,グラシンペーパーによく見

られるしわ及び変形,又は滑らかなプラスチック表面に押し付けられて部分的又は全面的に光沢化するフ

ェロタイピングがある。

包材は,保存中の写真を損なうような破損又は構成部品の欠陥がなく,使用される全期間を通して,堅

ろうで信頼性が高いものでなければならない。

紙,板紙及びプラスチックから成る包材,スライドマウント,インキ及び接着剤は,ISO 14523 に規定

された写真活性度試験に適合したものでなければならない。ISO 14523 に規定する強制劣化試験によって,

包材用素材が,銀,色素又はジアゾ画像に対する化学的活性をもっているか,若しくはゼラチンバインダ

ーに汚染を生じさせるかを判定することができる[参考文献 (5) 参照]

。写真活性度試験は,アルバム素

材の化学的な影響の試験方法としても使える。

市販の紙,板紙,プラスチック素材,インキ又は接着剤のあるバッチが,写真の長期保存用として安全

(

1

)

と判定されても,次のバッチが同等の化学的純度,不活性度及び堅ろう性をもっているとは限らない。


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バッチごとに,この規格及び ISO 14523 に規定する試験及び評価を行わなければならない。

注(

1

)  ISO 14523

に規定する試験に適合し,使用上の支障がなく,かつ,物理的損傷を発生させるこ

ともない状態をいう。

4.2

紙及び板紙

4.2.1

基本的要件  包材用素材として使用する紙及び板紙は,ISO 14523 に規定する写真活性度試験に適

合したものでなければならない。

4.2.2

紙箱及び段ボール箱  写真画像に直接触れない板紙及び段ボール製の箱又は保存容器の,ISO 6588

に規定する方法によって測定された pH 値は,7.0∼9.5 の範囲とする。

ISO 10716

に規定する試験方法によって測定されたアルカリリザーブ(alkali reserve)は,質量モル濃度

(mol/kg)で表して,炭酸カルシウム(CaCO

3

)2%以上の添加に相当しなければならない。アルカリリザ

ーブは,アルカリ土類金属の炭酸塩又はその相等品の添加で達成されなければならない。アルカリリザー

ブは,紙又は板紙の全面にわたって均一でなければならない。

備考  炭酸マグネシウム(MgCO

3

)及び酸化亜鉛(ZnO)は,等モルを加えた場合,炭酸カルシウム

の 1.6%添加に相当するアルカリリザーブを与える。

参考  アルカリリザーブとは,外部からの酸の影響に対する緩衝作用をもつ物質又はその緩衝能力を

いう。

4.2.3

黒白写真画像及びカラー写真画像に接する紙包材  写真画像に直接接触する紙は,ISO 699 に規定

する試験方法によって測定されたアルファセルロースの含有量が 87%を超える,漂白サルファイトパルプ

又は漂白クラフトパルプを使用したものでなければならない。紙には,機械パルプ(ground pulp)

(参考;

ASTM D 1030 Appendix X5

及び TAPPI T 236om)のようなリグニン含有量の多いパルプ繊維,アラム・ロ

ジンサイズ剤(参考;TAPPI T 408om)及び金属微粒子が含まれてはならない。還元性硫黄(参考;TAPPI 

T 406om

)の含有量は,0.0008%未満でなければならない。

ISO 6588

に規定する方法で測定された pH 値は,7.0∼9.5 の範囲とする。ISO 10716 に規定する試験方法

によって測定されたアルカリリザーブ(alkali reserve)は,質量モル濃度(mol/kg)で表して,炭酸カルシ

ウム(CaCO

3

)2%以上の添加に相当しなければならない。アルカリリザーブは,次に述べるアルカリ土類

金属の炭酸塩又はその相等品によって達成されなければならない。アルカリリザーブは,紙又は板紙の全

面にわたって均一でなければならない。

使用されるサイズ剤の量は,包材,外装紙,挟み紙などの必要特性を達成するための最少量とする。サ

イズ剤を使う場合は,内添及び/又は表面サイズ剤として,中性又はアルカリサイズ剤を採用しなければ

ならない。紙を着色するための染料又は顔料は,白いボンド紙に直接重ね合わせて 48 時間蒸留水中につけ

た状態で,表面への浸出又はボンド紙への移りが生じないものとする。

紙素材の表面には,未離解物又は未蒸解物などの,すりきずの原因となるような突起があってはならな

い。また,写真表面へ転移する繊維も存在してはならない。紙素材は,保存中に写真表面へ転移する油脂,

可塑剤などを含まないものでなければならない。

紙素材は,耐折強度(ISO 5626

,引裂強度(ISO 1974

,引張強度(ISO 527-3

[各々参考文献 (8),(7)

及び (6) 参照]及び各々の製品に必要な力学的強度の試験に合格したものでなければならない。

高湿度又は水浸のような過酷な環境条件では,pH 値が 8.0 を超える紙は,長時間直接接触しているカラ

ー写真画像に黄色汚染やシアン色素の退色を生じさせ,また,ジアゾ写真においては,ジアゾ色素かぶり

を発生させる可能性がある。紙の pH 値は,環境汚染下におかれた場合又は酸性の写真を収納した場合,

時間とともに酸性側へ変化し,紙がもろくなったり変色することにも留意しておいた方がよい。このこと


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からも,紙包材の経年劣化を防ぐために,アルカリリザーブの付与が推奨される。炭酸カルシウム(CaCO

3

2%

又はそれに相当するモル当量の炭酸マグネシウム(MgCO

3

)の添加によって,紙の pH 値は 8.0 を超え

て,各々炭酸カルシウム(CaCO

3

)では約 8.6 に,炭酸マグネシウム(MgCO

3

)では約 9.6 になる。大きく

酸性側に変化した紙包材は,画像色素の安定性への悪影響を防ぐために,取り替えた方がよい。例えばシ

アン色素は,5.5∼6.0 の pH 域で無色のロイコ色素に変化する。

4.3

プラスチック  プラスチック素材は,ISO 14523 に規定する写真活性度試験に適合したものでなけれ

ばならない。

包材用素材として好ましいプラスチックは,ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)である。さ

らに,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン及びスパンボンドポリオレフィンが,可塑剤を含ま

ず化学的に安定であるため,使用可能である。その他のプラスチックにも使用可能のものがあるかもしれ

ないが,十分な確認がされていない。ポリ塩化ビニル,硝酸セルロースのような塩素又は硝酸基を含むプ

ラスチックは,使用してはならない。

参考  スパンボンドとは,ポリオレフィン樹脂を一軸延伸して繊維状にしたものである。

大量の可塑剤を含むプラスチックシート又は塗工層は,写真表面にはり付き又はフェロタイピングを起

こす可能性があるので,使用してはならない。残留溶剤又は可塑剤の種類又は量が明らかでないプラスチ

ックは,添加物が浸出して写真画像に悪影響を与えることが懸念される。

コンテナに使用されるプラスチック素材は,酸化アンチモンのようなハロゲン化合物を含まない難燃剤

及び酸化防止剤が添加されたものとする。

多くのプラスチックシートには,ブロッキング防止を目的として,表面の摩擦係数を下げるための滑剤

及びブロッキング防止剤が添加されている。その中には,包材として使われたとき,これら添加剤が油状

に表面にしみ出し,内部に保存されている写真に転写されるようなものもある。さらに,表面が油状にな

ったプラスチックシートには,ほこりや異物が付着しやすく,写真表面のすりきずや写真画像の劣化の原

因となる場合がある。現在,写真を長期保存するためのプラスチック素材に含まれてよい滑剤及びブロッ

キング防止剤を選択するための,標準化された試験方法はない。

プラスチック素材は,耐折強度(ISO 5626

,引裂強度(ISO 6383-2

,引張強度(ISO 527-3

[各々参

考文献 (8),(9)  及び (6) 参照]及び各々の製品に必要な力学的強度の試験に適合したものでなければなら

ない。

4.4

金属  金属素材は,ISO 14523 に規定する写真活性度試験に適合したものでなければならない。巻心,

リール及び保存容器に使用される金属素材は,アルマイト処理されたアルミニウム又はさびを生じないス

テンレススチールでなければならない。鋼鉄は,表面に粉末塗装,ブリキ加工,めっきなどの防せい(錆)

加工を施したものであれば使用可能である。ラッカー又はエナメルは,保存中に反応性のある揮発分又は

浸出物若しくは過酸化物を放出する可能性があるので,使用してはならない。

4.5

接着剤  包材ののり付け及び段ボール原紙のはり合せに使用される接着剤は,ISO 14523 に規定する

写真活性度試験に適合したものでなければならない。画像銀,ゼラチン,ベースフィルム又は紙支持体に

影響を与える成分若しくは硫黄,鉄又は銅を含む接着剤は,写真画像を劣化させる可能性がある。吸湿性

がある接着剤では,湿った部分で写真画像に影響を与える化学反応が促進されることがある。多くの接着

剤は経年とともに変色し,接触しているものを汚染し,接着力を失って包材のとじ部分がはがれる原因と

なる。粘着型の接着剤は長期安定性に欠けるので,使用しない方がよい。

ゴムのりのようなゴム系接着剤は,有害な溶剤又は可塑剤だけではなく,写真画像を劣化させる硫黄架

橋剤,架橋促進剤又は安定剤を含んでいる可能性があるので,たとえ“低活性”又は“硫黄フリー”と称


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するものであっても使用してはならない。

参考  アラビアゴムのりは,ゴム系接着剤ではない。

4.6

印刷インキ  印刷インキが銀マイクロフィルムに,顕微鏡レベルの微小なスポットを発生させるこ

とが既に知られている[参考文献 (1) 参照]

。したがって,包材の内側には印刷をしてはならない。包材

の印刷に使用されるインキは,白いボンド紙に直接重ね合わせて蒸留水中に 48 時間置かれた状態で,しみ

出し,にじみ又はボンド紙への転写が生じないものとする。さらにインキは,写真画像又は包材に悪影響

を与えるものを含んでいてはならない。インキは,ISO 14523 に規定する写真活性度試験に適合して,安

全性が確認されたものでなければならない。

5.

包材

5.1

一般事項  この箇条では,写真を収納するための幾つかの包材及びそれを構成する素材について規

定し,それぞれの長所及び短所についても述べる。どの包材又は素材を選択するかは,包材として要求さ

れる保護能力,使用頻度及び写真の用途によって決められる。

5.2

包材の種類  現像処理済み写真フィルム,乾板又は印画紙を収納し若しくはそれらに直接接触する

包材として,アルバム,アパーチュアカード,缶,箱,カートリッジ,カセット,写真袋,フォルダ,ジ

ャケット,ポケットスタイルページ,リール,スリーブ,長巻スリーブ,スライドマウント及びマウント

がある。包材を構成する素材は,すべて 4.の規定に適合したものでなければならない。

a)

アルバム  アルバムとは,バインダ又は本の構造であって,通常不透明で堅ろうな表紙及び裏表紙が

付き,各ページの一方の端がのり付け,縫製,又は金属性の棒若しくはリングでとじられているもの

をいう。

写真をアルバムに収納する方式として,台紙にはってプラスチックの保護フィルムで覆う方式,ポケッ

ト式ページ又は写真袋に収納する方式がある。アルバムの三つの縁からの光又はじんあいを防ぐために,

アルバムケース又はアルバム用の箱が使用されることがある。

参考  アルバムケースとは,アルバムを入れるために一辺が開口部となっている,すき間のない箱で

ある。

b)

アパーチュアカード  一つ又は二つ以上の窓があり,窓にマイクロフィルムを挟み又は差し込んで,

リーダ・プリンタに供するカードをいう。

c)

缶  ロール状の写真フィルムを収納する,金属又はプラスチックの容器をいう。

d)

箱  1 個又は 2 個以上の包材又は容器を収納する外箱で,素材として紙,板紙又はプラスチックが使

用可能である。

e)

カートリッジ  シングルリール又は巻心に巻かれた,ロール状の写真フィルムを収納する容器をいう。

f)

カセット  両端がそれぞれ別のリール又は巻心に固定されて一対となった,ロール状の写真フィルム

を収納する容器をいう。

g)

写真袋(バッグ)  1 枚の紙又はプラスチックシートの底部を二つ折りにし,両縁を接着剤,ヒート

シール,超音波又は他の機械的方法でとじ,残る一方の縁が開いている包材をいう。底部一杯まで移

動することの多い内容物を接着剤の影響から守るために,底部をのり付けによってとじてはならない。

写真袋には,さらなる防じん効果を目的とした開口部のふたが,

あるものとないものの 2 種類がある。

ふた付きの場合,接着剤,粘着テープなどによってふたを封じてはならない。ふたのない写真袋は,

開口部を上に向けて置かないようにすれば,ある程度の防じん性をもつ。プラスチックシート製の写

真袋では,開口部にジッパー方式のシール機能を付けて,ちり及び水の浸入を防ぐことができる。


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h)

フォルダ  1 枚の紙又はプラスチックシートを二つ折りにしただけで,のり付けされていないものを

いう。

i)

ジャケット  2 枚の透明なプラスチックシートを重ね合わせて,ヒートシール,超音波接合又はポリ

エステル系接着剤によって形成された 1 列又は 2 列以上に区分けされた収納部分に,マイクロフィル

ムを入れるようにしたものをいう。収納部分は,すりきずを付けずに現像処理済みマイクロフィルム

を出し入れできる構造でなければならない。

j)

ポケットスタイルページ  2 枚のプラスチックシートを重ね合わせて,その 3 辺又は 4 辺をヒートシ

ール又は超音波接合によってはり合わせ,面内に幾つかのポケットを作って,そこに写真を差し込む

ことができるようにしたものをいう。ポケットの寸法は各々スライド,シートフィルム,カットされ

たロールフィルム又はプリントの標準サイズに対応している。多くの場合ページの一辺に,リングバ

インダ又はアルバムの形式で使えるように,孔が開けてある。

k)

リール(スプール)  金属又はプラスチックの巻心にフランジを付けて,ロールフィルムを巻き込む

ようにしたものをいう。

l)

スリーブ  透明な,又は一方が半透明な 2 枚のプラスチックシートを重ね合わせて,ヒートシール,

超音波接合又はポリエステル系接着剤によって複数列に区分けされた収納部分に,写真フィルムを入

れるようにしたものをいう。収納部分は,すりきずを付けずに現像処理済み写真フィルムを出し入れ

できる構造でなければならない。ネガフィルム用のものはネガシートと呼ばれる。

m)

長巻スリーブ(チューブ)  2 枚のシートの向かい合った 2 辺をシールした筒状のもので,両端が開

いているものをいう。素材は通常プラスチックシートである。とじる方法として,ヒートシール,超

音波接合が用いられるが,シールするかわりにシートの両側を堅く折り曲げる方法もある。接着剤を

用いる場合は,はり合わせる部分から接着剤がはみ出してはならない。

n)

スライドマウント  スライド映写などのために写真フィルムを保持する枠をいう。素材は紙,プラス

チック又は金属で,接着剤又ははめ込みによって 2 枚を一体化する。写真フィルムを 2 枚のガラスに

挟んで,スライド映写することも可能である。写真フィルムがガラスに密着する場合は,ガラスに,

ニュートンリングを防ぐためのコーティングをしてもよい。

o)

マウント(マット)  2 枚の厚紙又は板紙をちょう(蝶)番方式でつなぎ,一方の紙に窓を作って,

写真画像が見えるようにしたものをいう。この方式は,通常,写真プリントの保存又は展示に使用さ

れる。

5.3

寸法  包材の寸法は,収納される写真のサイズ及び厚さ並びに数によって決められる。包材の大き

さは,収納すべき写真が完全に入り,また,取出しの際にすりきずを発生させず,同時に内部でずれが生

じないような,適切なものでなければならない。


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5.4

とじ  包材の,接着剤でとじられた部分に写真が直接触れる場合,不適切な接着剤,不適切な包材

の素材又は残留処理薬品の単独作用又は複合作用によって,とじの周辺で写真の汚染又はその他の,好ま

しくない現象が発生する可能性がある。この理由から,のり付け部分が写真袋の外側になるようにしてと

じなければならない。また,接着剤がとじの接合部分からはみ出してはならない。中央にとじがある写真

袋では,写真画像の重要な部分に,とじに起因する押し跡,汚れ及び/又は変退色が発生する可能性があ

る。底の部分にとじのある写真袋では,内部の写真が底の方に移動して行った場合,同様な問題が発生す

る。これらの理由によって,中央又は底にとじのある写真袋は使用してはならない。底部で二つ折りにし,

両縁をとじて作った写真袋には上に述べた問題点がなく,多くの場合好ましい。押し跡の発生を防ぐため

に,とじ部分の幅は狭いほどよい。このような留意のもとに作られた写真袋は,長期保存中に局部的に厚

くなったとじの部分に起因する押し跡及び変形を,軽減し又は未然に防ぐことができる。包材のしわも押

し跡の原因となり得るので,とじの部分は滑らかでしわのない状態でなければならない。写真袋は,とじ

部分が収納された写真に重ならないような,十分の大きさをもったものでなければならない。乳剤層が片

側だけの写真は,とじ部分が乳剤面に当たらない向きに収納されなければならない。

6.

素材及び包材仕様選択の指針  各素材及び包材には長所及び短所がある。紙包材は筆記性に優れ,不

透明で写真画像をばく(曝)光から守るが,内容確認又は使用のためには外へ取り出さなければならない。

プラスチックシートは通常,顔料で着色されたもの又はスパンボンドシートを除いて透明で,これを素材

とした包材では,内容の確認が容易であるが遮光性はない。プラスチックシートは,加工又はとじが紙よ

り困難で,静電気によるちりの付着の問題もある。

フォルダは最も扱いやすく,写真の出し入れに際してすりきずの発生も少ないが,ちり及びガス状の有

害物からの保護能力は最も低い。フォルダは,出し入れの頻度の高い用途に適している。

ポケットページ及びシースは通常透明で,遮光性はない。構造的には,出し入れに際してすりきずを発

生させやすいが,内部の写真画像が容易に見えるので,取り出さずに確認すればすりきずの心配はない。

しかし,出し入れ口からは空気中の有害物が侵入する。ポリエステルシート製のシースは,もしシート面

に折れ跡が生じていれば,すりきずの原因となる。一方,ポリオレフィンシート製のポケットページでは,

面内の折れ跡が発生しにくい。

ジャケットは,プラスチック包材の類にもれず遮光性に乏しいが,ちり及びすりきずからの保護という

観点では優れている。ジャケットでは,内部の写真画像の確認が容易で,取り出さずに見ることができる。

マウントは剛性をもっているために,取扱い中の写真を十分に保護できる。マウントでは写真画像の確

認が容易で,使用中の保護能力も高い。

紙又はスパンボンド製の写真袋で,特にふた付きのものは,光及び空気中のちりからの保護という観点

からは,最も優れている。また,内容を記載するための筆記性にも優れている。写真袋又は他の包材表面

への記入は,筆記具による跡を付けないために,写真を包材の外へ出して実施した方がよい。ただし筆記

のための出し入れは,すりきず発生の機会を増やすことになるので,注意して行う必要がある。写真袋は,

取り出し頻度の低い用途に最適といえる。

スライドマウントは,映写用の写真フィルムを保存するために便利であるが,光,湿気及び有害ガスに

対する保護効果はない。ガラスマウントは,写真フィルムをすりきずから守り,スライド映写の作業性も

よいが,ガラス表面が平滑であると,フェロタイピング又はニュートンリングの発生が起こり得る。さら

にガラスは,

高温高湿の環境に置かれると,表面が写真画像に有害なアルカリ性に変質する可能性がある。

ガラスマウントは間げきに水分を取り込むことがあり,その場合ガラス表面がさらに劣化し,また,かび


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が発生しやすくなる。

箱は,幾つかの写真を小分けして保存するのに便利で,光及びちりからの保護効果にも優れている。ま

た,箱には空間的余裕があるので,内容の確認をしたり目次を作って共に入れたりすることができるが,

一杯でないときには,内容物の保存状態が不安定になることがある。この場合,個々の写真に保護策を講

じるか,又はすき間に詰め物をして,写真が中で動いたり曲げられたりしないようにすることが必要にな

る。

アルバムは多数の写真を収納し,見るために便利であり,ある程度の堅ろう性をも備えて,保護能力を

もつ。しかし,アルバムは箱に比べると,光又はちりからの保護能力が不十分である。

アパーチュアカードは,スライドマウント同様に取扱いが簡便で,使用中にもマイクロフィルムが枠の

中に保持されていることから,度々取り出して見るような用途に適している。しかし,マイクロフィルム

の表面を覆っていないので,保護能力は低い。保存目的のオリジナルと使用目的のコピーの二つを,セッ

トとしてもつことが多い。


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附属書 A(参考)保存目的と使用目的の区別

保存目的の写真と使用目的の写真との区別は,必ずしも明確ではない。使用目的の写真は,公文書保管

所,記録センター,図書館及び博物館に置かれて容易に閲覧できるようになっており,有効に使われてい

る。しかし,便利に使用されることによって,破れ,折れ,すりきず,指紋,汚れなどの損傷を受け,強

い光や高温にさらされることもある。使用目的の写真は,保存場所とは全く異なる場所での湿度に調湿さ

れてしまうため,長期保存に好ましい状態にはなっていない。つまり使用目的の写真は,保存状態にある

とは見なさない方がよい。

長期保存が必要な写真を使用目的に供する場合は,コピーを作って,誤使用を防ぐためにコピーをオリ

ジナルの保管場所とは異なる所に置く方がよい。オリジナルは,使用される場合は該当する ISO 規格の要

件を満たした条件で使われ,

保存においても該当する ISO 規格に適合する条件に置かれることが望ましい。

オリジナルといえども,ときには取り出して見ることがある。もし全く見ないのであれば,保存の意味が

なくなる。もちろん,オリジナルを見る機会は頻繁でないほうがよい。

もし写真が,その有効期間内に 10 回以上閲覧されるようなものであれば,使用目的のコピーを作ること

が望ましい。


10

K 7645

:2003

附属書 B(参考)参考文献

(1) HENN

, R., WIEST, D.G. Microscopic spots in processed microfilm: Their nature and prevention.

Photographic Science and Engineering 7

, pp. 25-261, 1963 September-October

(2) POPE

, C. I.,  Blemish formation in processed microfilm. Journal of Research of the National Bureau of

Standards : Ad

−Physics and Chemistry 72A(3), pp.251-259, 1968 May-June

(3) CARROLL

, J.F., CALHOUN,  J.M. Effect of nitrogen oxide gases in processed acetate film. Journal of

the Society of Motion Picture and Television Engineers 64

, pp .501-507, 1955 September

(4) OSTROFF

,  E. Preservation of photographs. The Photographic Journal, pp. 309-314, 1967 October

(5) REILLY

, J.R., NISHIMURA, D.W., PAVAO,  L, ADELSTEIN,  P.Z. Photograph enclosures :

Research and specifications. Restaurator 10

, pp. 102-111, 1989

(6)

ISO 527-3:1995

,Plastics−Determination of tensile properties−Part 3: Test conditions for films and sheets

(7)

ISO 1974:1990

, Paper−Determination of tearing resistance (Elmendorf method)

(8)

ISO 5626:1993

,Paper−Determination of folding endurance

(9)

ISO 6383-2:1983

,Plastics−Film and sheeting−Determination of tear resistance−Part 2: Elmendorf

method

(10)

ISO 18901/FDIS:2001

, Imaging materials − Processed silver-gelatin type black-and-white films −

Specifications for stability

(11)

ISO 18905/DIS:2001

,Imaging materials−Ammonia-processed diazo photographic film−Specifications for

stability

(12)

ISO 18911:2000

,Imaging materials−Processed safety photographic films−Storage practices

(13)

ISO/DIS 18912:2001

, Imaging materials− Processed vesicular photographic film − Specifications for

stability

(14)

ISO 18918:2000

,Imaging materials−Processed photographic plates−Storage practices

(15)

ISO 18919:1999

,Imaging materials−Thermally processed silver microfilm−Specifications for stability

(16)

ISO 18920:2000

,Imaging materials−Processed photographic reflection prints−Storage practices

(17)

ASTM D 1030-95

  Standard Test Method for Fiber Analysis of Paper and paperboard, Appendix X5(

1

)

注(

1

) ASTM

,100 Barr Harbor Drive,  West Conshohocken. PA, 19428, USA で入手可能。

(18)

TAPPI T 236om-99

  Kappa number of pulp(

2

)

(19)

TAPPI T 406om-94

  Reducible sulfur in paper and paperboard(

2

)

(20)

TAPPI T 408om-88

  Rosin in paper and paperboard(

2

)

注(

2

)  Technical Association of Pulp and Paper Industry

, Box 105113, Technology Park, Atlanta, GA,

30348

, USA で入手可能。


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K 7645

:2003

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 7645

:2002  写真−現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙−包材,アルバ

ム及び保存容器

ISO 18902

:2001  写真−現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙−包

板,アルバム及び保存容器

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )  国 際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目

ごとの評価及びその内容 
  表示箇所: 
  表示方法:

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

項目 
番号

内容

項目 
番号

内容

項 目 ご と
の評価

技術的差異の内容

1.

適用範囲

現 像 済 み 写 真 の 保 存
容器

ISO 18902

1.

JIS

に同じ IDT

2.

引用規格

引用規格

2.

JIS

に同じ MOD/削除

外国規格は引用できないので参
考文献に記載した。

3.

定義

用語の定義

3.

JIS

に同じ IDT

4.

素材

容 器 用 素 材 と し て の

必要特性

4.

JIS

に同じ IDT

5.

包材

包 材 及 び 容 器 と し て
の必要特性

5.

JIS

に同じ。ただし,

包 材 の 名 称 が 異 な

る。

MOD/

変更

我が国での一般的な使わ
れ方を考慮して,“スリー

ブ”及び“長巻きスリーブ
(チューブ)

”に換えた。

“スリーブ”

:数こまごとに

カットされたフィルムを入
れる,複数列に区分けされ
た収納部分があるシート。

“長巻きスリーブ(チュー
ブ)

:長巻きのままフィル

ムを入れる筒状のもの。

日本の市場では,“シース”の名
称は使われていないため,この規

格では ISO における“sheeth(シ
ース)”に,同一物の名称である
“チューブ”の語を採用した。

6.

素材及び包

材 仕 様 選 択

の指針

素材選択の指針

6.

JIS

に同じ IDT

11

K 7645


2003


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K 7645

:2003

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  IDT………………  技術的差異がない。 
    ―  MOD/変更………  国際規格の規定内容を変更している。

2.

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。

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K 7645


2003