K 7383
:2002 (ISO 11468:1997)
(1)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,塩ビ工業・環境協会(VEC)/財団法人日本規格
協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11468:1997,Plastics―Preparation
of PVC pastes for test purposes
―Dissolver method を基礎として用いた。
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K 7383
:2002 (ISO 11468:1997)
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目 次
ページ
序文
1
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
原理
1
4.
装置及び材料
2
4.1
ディゾルバ
2
4.2
はかり
3
4.3
スパチュラ
3
4.4
ストップウォッチ
3
4.5
恒温水槽
3
4.6
可塑剤
3
5.
サンプリングと状態調節
3
6.
ペースト組成
3
7.
ペーストの調製
4
8.
ペースト調製の報告書
4
解 説
5
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日本工業規格
JIS
K
7383
:2002
(ISO 11468
:1997
)
プラスチック―試験に供するポリ塩化ビニル
ペーストの調製方法―ディゾルバ法
Plastics
―Preparation of PVC pastes for test purposes―Dissolver method
序文 この規格は,1997 年に第 1 版として発行された ISO 11468,Plastics―Preparation of PVC pastes for test
purposes
―Dissolver method を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業
規格である。
1.
適用範囲 この規格は,塩化ビニル樹脂(PVC)から得られるポリ塩化ビニルペーストを調製するため
のディゾルバ法について規定する。このポリ塩化ビニルペーストは,レオロジー的性質に関して様々な塩
化ビニル樹脂を特徴付けるために,また,様々な出荷の一貫性を確立する手段として用いられる。
この方法は,他の組成(例えば,安定剤の入った)のペーストを調製するためにも用いられるが,その
ようなペーストは樹脂の区分の目的には使用できない。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)
,MOD
(修正している)
,NEQ(同等でない)とする。
ISO 11468
:1997,Plastics―Preparation of PVC pastes for test purposes―Dissolver method (IDT)
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す
るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追
補を含む。
)を適用する。
JIS K 6720-2
プラスチック―塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー(PVC)―第 2 部:試験片の作り方
及び諸性質の求め方
備考 ISO 1060-2:1998, Plastics―Homopolymer and copolymer resins of vinyl chloride―Part 2:Preparation
of test samples and determination of properties
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等であ
る。
JIS K 7100
プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気
備考 ISO 291:1997, Plastics―Standard atmospheres for conditioning and testing からの引用事項は,こ
の規格の該当事項と同等である。
3.
原理 ポリ塩化ビニルペーストは,ディゾルバ中で塩化ビニル樹脂と可塑剤を混合することによって
調製する。この規格の目的のために,プラスチゾルは液状可塑剤中にけん濁した塩化ビニル樹脂で構成さ
れる液状の組成物として定義する。
2
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4.
装置及び材料
4.1
ディゾルバ 二重壁をもつ円筒状の混合容器及び水平で粗い歯をもつ混合用円板(ディゾルバディ
スク)が付いているモータで駆動する回転軸で構成するのが望ましい。ディゾルバディスクは,エネルギ
をポリ塩化ビニルペーストに伝え,ペースト成分を容器の中心部で回転軸に沿って下方に移動させ,混合
容器壁に沿って上方に移動させる(
図 1 参照)。
図 1 ディゾルバ(二重壁)
混合容器の大きさは,必要とするペーストの量によって変えることができる。適切な大きさは,
表 1 か
ら選択するのが望ましい。
表 1 ディゾルバ及び混合容器の寸法
ディゾルバ 1
2
3
ディスク
ディスクの直径 40±1 50±1 80±1
歯の数 12
12
12
ディスクの厚さ mm
約 1.5
約 1.5
約 1.5
回転軸の直径 mm
約 15
約 15
約 15
回転軸の回転 min
-1
2
500
±100 2
000
±100 1
250
±50
ビーカー底からのディスクの高さ mm
20
±1 25±1 40±1
混合容器
内径 mm
65
±1 80±1 120±1
高さ mm
≧85
≧110
≧180
ペーストの量
g 200±10 400±20 1
500
±75
3
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駆動モータと回転軸は,高さが調節できるように台(スタンド)に固定する。混合容器を保持する装置
は,回転軸が混合容器の中心に位置するように,台(スタンド)の基部に固定する。
回転速度は(
表 1 参照),混合サイクル中は一定に保つ。
ディゾルバディスクは,ステンレス鋼製とする。歯は,前端が垂直方向から 30°後退した台形又は平行
四辺形をしており,ディスクの円周の周りに垂直方向に上向きと下向きで交互になるように取り付ける(
図
2
参照)
。
図 2 ディゾルバディスク
ディスクの直径,厚さ,歯の数,回転軸の直径及び容器の底からの高さは,
表 1 による。
混合容器はステンレス鋼製で,
表 1 に示す内径及び高さでなければならない。
混合中に発生する摩擦熱を除くために,効率の良い外部冷却装置(例えば,水冷式の二重壁のついた混
合容器)を使用する必要がある。
安全のために,混合容器で囲まれていない回転軸上部は,覆いによって保護されなければならない。
回転軸の電動装置は,ディゾルバディスクが容器の中にあるときだけ駆動系が作動するように設定され
た安全回路に接続させなければならない。
4.2
はかり 0.5 g の精度をもったもの。
4.3
スパチュラ 柔軟なプラスチック製のもの。
4.4
ストップウォッチ
4.5
恒温水槽 23 ℃±1 ℃に保持できるもの。
4.6
可塑剤 JIS K 6720-2 に示された標準配合ペースト A 又は B に用いられる可塑剤。
5.
サンプリングと状態調節 凝集物のない塩化ビニル樹脂の代表的な試料を,JIS K 7100 に従って 23 ℃,
50
% RH の雰囲気中で,水分が平衡に達するまで状態調整する。樹脂試料は,使用に供されるまでこの状
態で貯蔵する。
6.
ペースト組成 1 回のサイクルで調製されるペースト量は,表 1 に示す限度内でなければならない。
樹脂の区分の目的には,JIS K 6720-2 に示す標準配合ペースト A 又は標準配合ペースト B を用いる。正確
な配合は,ペースト調製報告書に記述する。
4
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7.
ペーストの調製 用いるペースト配合(6.参照)に規定される塩化ビニル樹脂試料及び可塑剤の質量
を,1
g の精度まで量る。可塑剤及び塩化ビニル樹脂試料を,23 ℃±1 ℃の温度条件で状態調整する。可
塑剤を混合容器に移し,塩化ビニル樹脂を粉体が完全にぬれるまで,手でかき混ぜながら混ぜ込む。混合
されていない成分をスパチュラ(4.3)で混合容器壁から取り除き,混合物中に混ぜる。充てんされた混合
容器は,次のいずれかの方法で 23℃に保持する。
a)
二重壁混合容器(望ましい方法)の場合には,混合容器の壁の間に,恒温水槽(4.5)から水を循環さ
せる。
又は,
b)
二重壁でない混合容器の場合には,混合容器を恒温水槽中に置く。
混合容器をディゾルバディスクの中心の真下に置き,
表 1 に示す高さまでディスクを下げる。
表 1 に示した速度で 150 秒±5 秒間,混合物をかくはんする。その後,かくはんを停止する。スパチュ
ラで,回転軸,混合容器壁に付着したペースト及び混合されない成分を取り除き,これらを混合物中に加
える。最後に,混合物を前と同じ速度で,更に 150 秒±5 秒間かくはんする。ペーストの温度を記録する。
ペーストの温度は,全操作中で 35 ℃を超えてはならない。もし,これらの条件で塩化ビニル樹脂がペ
ーストにならなかったり,ペーストの温度が 35 ℃を超えた場合には,更に可塑剤の割合を増やしてペー
ストを調製する。
ペーストを粘度測定用に使用する場合には,例えば,700 Pa 程度の減圧下で脱泡し,泡が壊れた後,5
分間この減圧で保持する。その後,使用に供するまでの間,恒温水槽中などで 23 ℃±1 ℃の温度で貯蔵
する。
8.
ペースト調製の報告書 ペースト調製の報告書には,次の事項を記載する。
a)
この規格の名称及び番号
b)
試験材料を特定できる詳細情報
c)
使用したペースト配合
d)
混合が終了した時点でのペーストの温度
e)
ペースト調製年月日
f)
この規格との相違点
日本工業標準調査会標準部会 化学製品技術専門委員会構成表
氏名
所属
(委員会長) 宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学生体材料工学研究所
(委員)
大 久 泰 照
昭和シェル石油株式会社中央研究所
堀 友 繁
財団法人バイオインダストリー協会
奥 山 通 夫
社団法人日本ゴム協会
笠 野 英 秋
拓殖大学工学部
加 茂 徹
独立行政法人産業技術総合研究所
木 原 幸 弘
社団法人日本化学工業協会
桐 村 勝 也
社団法人日本塗料工業会
髙 野 忠 夫
財団法人化学技術戦略推進機構
高 橋 信 弘
東京農工大学農学部
西 川 輝 彦
石油連盟
西 本 右 子
神奈川大学理学部
古 川 哲 夫
財団法人日本消費者協会
槇 宏
日本プラスチック工業連盟