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K7244-10:2005 (ISO 6721-10

:1999)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本プラスチック工業連盟(JPIF)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 6721-10:1999,Plastics  −

Determination of dynamic mechanical properties  − Part10:Complex shear viscosity using a parallel -plate

oscillatory rheometer を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 7244-10

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)不確かさ

JIS K 7244

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 7244-1

第 1 部:通則

JIS K 7244-2

第 2 部:ねじり振子法

JIS K 7244-3

第 3 部:曲げ振動−共振曲線法

JIS K 7244-4

第 4 部:引張振動−非共振法

JIS K 7244-5

第 5 部:曲げ振動−非共振法

JIS K 7244-6

第 6 部:せん断振動−非共振法

JIS K 7244-7

第 7 部:ねじり振動−非共振法                                    (作成予定)

JIS K 7244-8

第 8 部:縦せん断振動−波動伝ぱ法                            (作成予定)

JIS K 7244-9

第 9 部:引張振動−音波パルス伝ぱ法                        (作成予定)

JIS K 7244-10

第 10 部:平行平板振動レオメータによる複素せん断粘度


K7244-10:2005 (ISO 6721-10

:1999)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  原理

2

5.

  装置

2

5.1

  試験装置  3

5.2

  恒温槽 3

5.3

  温度測定及び制御 3

5.4

  円板及び試験片部 3

5.5

  校正 4

6.

  試料の採取 

4

7.

  手順

4

7.1

  試験温度 

4

7.2

  円板間距離の零点調整 

4

7.3

  試験片の取り付け

4

7.4

  試験片の状態調節

4

7.5

  試験方式(応力制御又はひずみ制御)  5

7.6

  試料の熱安定性の決定  5

7.7

  線形粘弾性挙動領域の決定  5

7.8

  周波数依存性の測定 6

7.9

  温度依存性の測定 6

8.

  結果の表示 

6

8.1

  記号

6

8.2

  複素せん断弾性率及び複素せん断粘度の計算

6

9.

  精度

8

10.

  試験報告 

9

附属書 A(参考)不確かさ

11

 


日本工業規格

JIS

 K

7244-10

:2005

(ISO 6721-10

:1999

)

プラスチック−動的機械特性の試験方法−

第 10 部:平行平板振動レオメータによる

複素せん断粘度

Plastics

Determination of dynamic mechanical properties

Part10:

Complex shear viscosity using a parallel-plate oscillatory rheometer

序文  この規格は,1999 年に第 2 版として発行された ISO 6721-10,Plastics−Determination of dynamic

mechanical properties−Part10:Complex shear viscosity using a parallel-plate oscillatory rheometer を翻訳し,技術

的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1. 

適用範囲  この規格は,平行平板振動レオメータによって,主として角周波数 0.01rad・s

1

∼100rad・s

1

の範囲で,ポリマー溶融体の動的粘弾性特性を決定する方法について規定する。この範囲外の角周波数

も適用可能である(

備考 1.参照)。この方法は,次のような動的粘弾性特性の測定に使用される。すなわち,

複素せん断粘度

η

,動的せん断粘度

η

′ ,複素せん断粘度の異相成分

η

′′ ,複素せん断弾性率

G

,せん断損

失弾性率

G

′′

及びせん断貯蔵弾性率

G

である。この方法は,主として 10 MPa・s くらいまでの複素せん断粘

度の測定に適している(

備考 2.参照)。

備考1.  角周波数測定範囲は,測定装置の仕様によるが,試験片の応答によっても制限される。1 周

期の測定データを得るための時間は角周波数の逆数に比例するので,0.1rad・s

1

以下の角周波

数で試験するときには,測定時間が急激に増加する。その結果,低角周波数で測定すると,

試験片の劣化又は重合が進行し,測定データに影響が現れる可能性が高くなる。高角周波数

では,試験片周端部のゆがみ又は破壊のため,試験結果が不確かになる場合がある。

2.

測定可能な複素せん断粘度の範囲は,試験片の寸法に依存し,また,測定装置の仕様にも依

存する。同一寸法の試験片を使用した場合には,測定範囲の上限は,装置の測定可能なトル

ク,変位角度の分解能,及びコンプライアンスによって制限される。しかし,このコンプラ

イアンスに関しては,補正が可能である。

3.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 6721-10:1999

,Plastics−Determination of dynamic mechanical properties−Part10:Complex shear

viscosity using a parallel-plate oscillatory rheometer (IDT)


2

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 7244-1

  プラスチック−動的機械特性の試験方法−第 1 部:通則

備考 ISO 

6721-1:1994

  Plastics  −  Determination of dynamic mechanical properties  −  Part 1: General

principles が,この規格と一致している。

JIS Z 8402-1

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定義

備考 ISO 

5725-1:1994

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results  − Part

1: General principles and definitions が,この規格と一致している。

ISO 472:1999

  Plastics−Vocabulary

参考  JIS K 6900:1994  プラスチック−用語(ISO 472:1988, Plastics−Vocabulary)は,最新版では

ない。

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 7244-1JIS Z 8402-1 及び ISO 472:1999 によるほか,

次による。

3.1

ひずみ制御方式 (controlled-strain mode)  正弦波振動を一定の角度変位で与えて試験する方式。

3.2 

応力制御方式 (controlled-stress mode)  正弦波振動を一定のトルクで与えて試験する方式。

3.3 

複素せん断粘度 

η

(complex shear viscosity)

  粘弾性体に正弦波振動を与えた場合の動的応力

( )

t

i

t

ω

σ

σ

exp

0

=

と動的ひずみ速度

( )

t

γ

&

との比である。ここで,せん断ひずみ

( )

t

γ

は,

( )

(

)

δ

ω

γ

γ

=

t

i

t

exp

0

で与えられる。また,

0

σ

及び

0

γ

は,それぞれ応力の振幅とひずみの振幅とであり,

ω

は角周波数,

δ

応力とひずみとの間の位相角,

t

は時間である。

複素せん断粘度は,パスカル・秒(Pa・s)で表す。

3.4

動的せん断粘度 

η

′ (dynamic shear viscosity)  複素せん断粘度の実数部。

動的せん断粘度は,パスカル・秒(Pa・s)で表す。

3.5

複素せん断粘度の異相成分 

η

′′ (out-of-phase component of the complex shear viscosity)  複素せん断

粘度の虚数部。

複素せん断粘度の異相成分は,パスカル・秒(Pa・s)で表す。

4. 

原理  試験片を,同軸平行円板の間に保持する(図 参照)。試験片の厚さは,円板の直径に比べて小

さい。

試験片に,一定角周波数で正弦波のトルク又は角度変位のいずれかを与える。これらは,それぞれ“応

力制御方式”及び“ひずみ制御方式”と呼ぶ。応力制御方式では,変位とトルク−変位間の位相差を測定

する。ひずみ制御方式では,トルクと変位−トルク間の位相差を測定する。

複素せん断弾性率

G

,せん断貯蔵弾性率

G

,せん断損失弾性率

G

′′

,位相角

δ

及びこれらに対応するせ

ん断粘度の各項(3.参照)は,測定したトルク,変位及び試験片寸法から決定する。これらの数値を算出

する場合に,試験片は線形粘弾性応答を示すと仮定する。

使用する振動モードは,モードⅠ(JIS K 7244-1 の 4.参照)である。

5. 

装置


3

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

5.1 

試験装置  試験装置は,2 枚の同軸で,剛直な平行円板で構成し,試験片は円板の間に置く(図 1

参照)

。円板の一方を一定角周波数で振動させ,他方は固定する。装置に必要な条件は,一定角周波数で正

弦波のトルク又は角度変位を受ける試験片から,トルク及び角度変位の振幅,並びにそれらの間の位相差

を測定できることである。

トルク測定装置は,一方の平板に接続し,試験片を変形させるのに必要なトルクを測定する。

角度変位測定装置は,可動側の平板に接続して,角度変位及び角周波数を測定する。

装置は,動的特性の試験で測定される最小トルク振幅の±2  %以内の正確さで,トルクを測定できなけ

ればならない。

角度変位は,±20×10

6

rad 以内の正確さで測定できなければならない。

角周波数は,測定値の±2  %以内の正確さで測定できなければならない。

 
 
 
 
 
 
 
 

1  試験片

ω

=角周波数

d

=試験片厚さ

D

=円板の直径

  1  平行平板レオメータの概要

5.2 

恒温槽  加熱は,強制対流,高周波加熱又は適切な方法によって行う。

例えば,窒素雰囲気のような特定の試験条件を設定するために,円板及び試験片部を恒温槽に入れるこ

とも可能である。

恒温槽と円板及び試験片部が接触しないことを確認する。

5.3 

温度測定及び制御  試験温度は,温度計を固定側の円板に接触させるか又は埋め込んで測定するこ

とが望ましい。試験温度の精度は,設定温度が 200  ℃までの範囲では設定温度±0.5  ℃以内,200∼300  ℃

までは±1.0  ℃以内,300  ℃を超える範囲では±1.5  ℃以内とする。温度計測装置は,0.1  ℃の分解能をも

つものとし,±0.1  ℃以内の正確さをもった温度校正装置によって校正されたものでなければならない。

5.4 

円板及び試験片部  円板及び試験片部は,2 枚の同軸平行円板及びそれらの円板の間に挟まれた試験

片で構成する。円板表面は,算術平均粗さ

Ra

=0.25

µm に仕上げ,目視による欠陥などがあってはならな

い。

試験結果は,円板表面の材質によって変化することがあるが,これは,表面材質の異なった円板を用い

て試験することによって確認できる。

円板の直径

D

は,一般に 20∼50 mm であり,±0.01 mm まで寸法を測定する。

試験片の厚さ

d

は,円板間の距離として定義され,±0.01 mm まで測定する。特性値の測定誤差を最小

ω

φ

D

d


4

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

にするためには,試験片の厚さは 0.5∼3 mm の範囲にあり,円板の直径と試験片の厚さとの比が 10∼50

の範囲にあることを推奨する。低粘度の高分子液体では,これらの推奨範囲から外れた寸法で測定しても

よい。円板同士が平行でないことによって起こる円板間距離の変動は,±0.01 mm 以内とする。試験中の

円板間距離の変動は,±0.01 mm 以内とする。

5.5 

校正  試験機製造業者の取扱説明書に従い,試験機のトルク,角度変位及び角周波数の応答特性を

それぞれ測定することによって,レオメータを定期的に校正する。

校正は,試験温度で実施することが望ましい。

6. 

試料の採取  試験片調製に関する固有の方法及び試験装置への取付けを含む試料採取手順は,関連す

る材料の規格に規定されたものによるか,又は受渡当事者間の協定による。測定する試験片は,一般的に

3∼5 g 程度の少量なので,実質的には採取した材料の代表的なものになる。

試料又は試験片が吸湿性であるか揮発性成分を含む場合には,粘度変化を防止するか又は最小にするよ

うに保管しなければならない。試験片調製に先立って,試料の乾燥が必要になることもある。

試験片は,射出成形,圧縮成形によるか,又はシートから切り出して円板形状にする。又は,円板の間

にペレット,液体又は溶融高分子を充てんしてもよい。試験片が酸化しにくいか又は揮発分の損失が少な

いときに限り,溶融状態で取り付けてもよい。

試験片には,目視できる不純物及び気泡が含まれてはならない。試験片は,試験前又は後に目立った変

色を示してはならない。

7. 

手順

7.1 

試験温度  粘度には温度依存性があるために,通常,試料間の比較が目的の測定は同じ温度で行う。

詳細は関連する材料の規格に規定されたものによるか,又は受渡当事者間の協定による。

7.2 

円板間距離の零点調整  装置を試験温度で熱平衡状態にさせる。平衡時間は 15∼30 分を推奨する。

円板を互いに接触するまで移動させてから,円板間距離の指示計を零に設定する。

7.3 

試験片の取付け  試験片は,6.で規定するように,固体又は溶融状態で装置に取り付ける。試験片は,

2 枚の平板間のすき間を完全に充てんしなければならない。測定開始前に,円板周端部からはみ出した余

分な試料は,取り除く。

さらに,円板とよく密着するように,試験片をわずかに押しつぶしてもよいが,そのとき,試験片が円

板周端部の外側にはみ出さないように,十分に注意する。

試験片と円板とを試験温度で,十分に熱平衡状態に達するまで保持する。この保持時間を予熱時間と呼

ぶ。どのような試験装置,円板及び試料片形状,ポリマー,試験片厚さ,取付け手順及び試験温度であっ

ても,予熱時間は設定を 10  %ずつ長くしながら測定を繰り返すことによって決定する(

備考参照)。複素

せん断弾性率

G

,せん断貯蔵弾性率

G

及びせん断損失弾性率

G

′′

の測定値に変化がなくなった時を予熱時

間とする。

備考  試料の熱安定性は,時間依存性を測定することで確認できる(7.6 参照)。

装置と試験片とが試験温度に達したとき,

円板間距離と等価である試験片厚さ

d

を測定する

5.4 参照)

この試験片の厚さの値が,すべての計算で使われる。

7.4 

試験片の状態調節  試験片は測定前に,試験温度で一定時間せん断のない状態に置く,及び/又は

あらかじめせん断を掛けることによって状態調節する。


5

K 7244-10

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7.5 

試験方式(応力制御又はひずみ制御)  ひずみ制御方式又は応力制御方式の装置を用いて測定を行

う。

ひずみ制御方式では,一定角周波数の正弦波変位を印加し,その結果発生する正弦波トルクとトルク−

角度変位間の位相差とを測定する。

応力制御方式では,一定角周波数の正弦波トルクを印加し,その結果発生する正弦波角度変位とトルク

−角度変位間の位相差とを測定する。

この規格に従った試験片の動的レオロジー特性の測定は,線形粘弾性領域の挙動に限定される。この規

格では,線形粘弾性挙動は,粘度又は弾性率が印加された応力若しくはひずみに依存しないものとして定

義する。この仮定は,試験データの解析に必要である。それ故に,応力制御方式又はひずみ制御方式の振

動の振幅は,試験片の変形が線形粘弾性領域内に入るように設定する必要がある。

線形粘弾性挙動領域の限界を決定する方法は,7.7 を参照する。

7.6 

試料の熱安定性の決定  特定の材料の試験に先だって,材料の熱安定性を決定するため,試験温度

における時間依存性を測定する。その場合,測定は,同一の平板及び試料片形状と角周波数とを用い,引

き続き行う試験と同じトルク又は角度変位で行う。

  複数の振動周波数で測定することが必要となる場合が

ある(

備考 1.参照)。熱安定時間は,測定開始後,

G

G

G

′′

のいずれかの測定値が初期値から 5  %変

化するまでの経過時間として定義される(

備考 2.参照)。熱安定時間は所定の温度及び角周波数における時

間として,例えば,250  ℃,1rad・s

1

において 500 秒と表示される。同一試料の新しい試験片を用いて引

き続き行う測定は,同一温度で熱安定時間より短い時間内で完了しなければならない。

備考1.  レオロジー特性に対する試験片劣化の影響は,低周波数の振動で測定することによって,容

易に識別できる。

2.

弾性率の初期値を決定する場合に,測定開始直後の不安定な出力波形を削除する場合もある。

ある種の材料に対しては,早い劣化又は架橋のために熱安定性時間以内に望ましい結果が得られないこ

とがある。このような場合,試験報告には,測定時間内に起きた弾性率の変化の割合を記載する。この値

は,時間依存性から求められる。

7.7 

線形粘弾性挙動領域の決定

7.7.1 

ひずみ制御方式の場合  ひずみ制御方式を用いる場合には,ひずみ依存性を測定することによって,

振幅の最大許容値を決定する。

ひずみ依存性の測定は,同一の平板及び試験片形状を用い,引き続き行われる試験と同程度の角周波数

と温度とで行う。線形粘弾性挙動の限界が角周波数依存性をもつことを確認するために,複数の周波数で

測定を行う場合もある。1  %未満の円板周端部のひずみから開始し,徐々にひずみを増加させながら,広

範囲に測定することが望ましい。

線形粘弾性領域内において振動振幅の最大許容値を求めるために,複素せん断弾性率

G

,せん断貯蔵弾

性率

G

及びせん断損失弾性率

G

′′

を振幅の関数として測定する。

実際の測定で使うひずみの最大値は,

G

G

G

′′

のいずれかの値が線形粘弾性領域の値から 5  %ず

れるときのひずみの最小値よりも,更に小さくしなければならない。線形粘弾性領域の特性を決定できな

い場合には,試験報告に記載する。

備考  ある種の材料では,非常に小さなひずみ領域においてだけ線形粘弾性領域が現れる。関連する

測定誤差があるため,この領域における正確な特性が決定できない場合がある。


6

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

7.7.2 

応力制御方式の場合  応力制御方式を用いる場合,応力依存性を測定することによって,線形粘弾

性挙動の範囲を決定する。応力依存性の測定は,同一の平板及び試験片形状及び角周波数を用い,引き続

き行われる試験と同程度の角周波数と温度とで行う。線形粘弾性挙動の限界が角周波数依存性をもつこと

を確認するために,複数の周波数において測定を行う場合もある。1  %未満の円板周端部のトルクから開

始し,徐々にトルクを増加させながら,広範囲に測定することが望ましい。

線形粘弾性領域内においてトルクの最大許容値を求めるために,複素せん断弾性率

G

,せん断貯蔵弾性

G

及びせん断損失弾性率

G

′′

をトルクの関数として測定する。

G

G

G

′′

のいずれかの値が線形粘弾性領域の値から 5  %ずれるときのトルクの最小値に対し,実

際の測定で使われるトルクの最大値を,更に小さくしなければならない。

線形粘弾性領域の特性を決定できない場合には,試験報告に記載する(7.7.1

備考参照)。

7.7.3 

線形粘弾性挙動の確認  測定が線形粘弾性領域内で行われたことを確認するために,更に出力波形

を調べてもよい。

線形粘弾性挙動を仮定すると,加えた正弦波変位又は正弦波トルクに対して,それぞれ結果として生じ

るトルク又は角度変位は,同じく正弦波になる。出力が正弦波でないことは,非線形挙動であることを示

す。この場合,実験データの解析で置かれた仮定が不適切なので,得られた弾性率と粘度とは正確ではな

い。このような線形粘弾性の確認を行った場合には,試験報告に記載する。

7.8 

周波数依存性の測定  試験片の周波数依存性を測定するときに,特に低周波数の測定では,試料が

劣化しないことの確認が必要である。また,高周波数の測定では,試験片のゆがみ又は破壊がないことの

確認が必要である。

例えば,劣化,架橋又はメルトフラクチャによる試験片の変化は,試験結果に影響を与える。このよう

な変化の影響は,試験終了後に,そのまま同一の試験片を同一の測定条件で繰り返し測定を行い,その結

果を比較することによって確認できる。

一般にメルトフラクチャとして知られる円板周端部において試験片のゆがみが起こると,その測定は,

無効である。しかし,試験片にゆがみが生じる前に得られた測定結果は,有効である。

7.9 

温度依存性の測定  低温から高温へ温度依存性を測定する場合,試験前に試験片を円板の間で溶融

し,その後測定開始温度に冷却することによって,試験片と円板との間の物理的な密着を良好にすること

も必要になる。

温度依存性を測定するときには,装置の熱膨張によって生じる寸法変化の補正を考慮する。幾つかのシ

ステムは,ジグの線膨張係数を用いて,この補正を自動的に行うソフトウェアを備えている。

試験片の劣化と試料のゆがみに関しては,7.8 も参照する。

8. 

結果の表示

8.1 

記号

  円板の直径(m)

d

  円板間距離(m)

  トルク(N・m)

θ

  角度変位(rad)

ω

  (振動の)角周波数(rad・s

1

f

π

ω

2

=

, は周波数(Hz)

σ

  せん断応力(Pa)

γ

  せん断ひずみ(無次元)


7

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

G

    せん断貯蔵弾性率(Pa)

G

′′

    せん断損失弾性率(Pa)

G

    複素せん断弾性率(Pa)

η

′     動的せん断粘度(Pa・s)

η

′′     複素せん断粘度の異相成分(Pa・s)

η

  複素せん断粘度(Pa・s)

δ

  位相差又は損失角(rad)

t

  時間(s  )

8.2 

複素せん断弾性率及び複素せん断粘度の計算  次の式の調和関数の応力

( )

t

σ

( )

t

i

t

ω

σ

σ

exp

0

=

を受ける線形粘弾性液体では,次の式の調和関数のひずみ

( )

t

γ

( )

(

)

δ

ω

γ

γ

=

t

i

t

exp

0

が結果として得られる。

ここに,

0

σ

及び

0

γ

それぞれ応力及びひずみの振幅

ω

角周波数

δ

応力−ひずみ間の位相差又は損失角

次の式も定義される。

    せん断貯蔵弾性率

( )

0

0

/

cos

γ

δ

σ

=

G

    せん断損失弾性率

( )

0

0

/

sin

γ

δ

σ

=

′′

G

    複素せん断弾性率

G

i

G

G

′′

+

=

*

    動的せん断粘度

ω

η

/

G

′′

=

複素せん断粘度の異相成分

ω

η

/

G

=

′′

    複素せん断粘度

η

η

η

′′

=

i

*

ここに,

i は

1

i

=

さらに,

G

*

*

ωη

i

G

=

のように表すことができる。

平行平板の強制振動法では,試験片が線形粘弾性応答すると仮定すると,流動の運動方程式は,次の式

によって与えられる。

(

)

( )

( )

[

]

(

)

δ

θ

ω

ω

π

i

exp

i

32

/

0

4

0

′′

+

=

G

G

d

D

T

ここに,

0

T

トルクの振幅

0

θ

角度変位の振幅

この式は慣性とコンプライアンスとの項が小さいと仮定している。ポリマー溶融体を測定する場合に,

特に低い角周波数で,かつ,試験片の剛性が装置の剛性と比較して小さい場合に,これらの仮定によって

生じる誤差は,一般に小さくなる(

備考参照)。

備考

慣性とコンプライアンス項との補正は多くの研究者,例えば,

 Marin [1]

Walters [2]

及び

Whorlow [3]

によって提案されている。

そこで,加えられた角周波数に対する,せん断貯蔵弾性率

G

及びせん断損失弾性率

G

′′

は,次の式によ

って求める。


8

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

( )

4

0

0

/

cos

32

D

dT

G

π

θ

δ

=

及び,

( )

4

0

0

/

sin

32

D

dT

G

π

θ

δ

=

′′

位相差

δ

は,実験で求められる。

先に記載したせん断弾性率と粘度との関係式から,次の式が得られる。

( )

4

0

0

/

sin

32

D

dT

π

ωθ

δ

η

=

及び,

( )

4

0

0

/

cos

32

D

dT

π

ωθ

δ

η

=

′′

角度変位

θ

,円板の周端部において試験片のひずみ

γ

は,次の式によって求める。

d

2

/

θ

γ

=

一般に,市販の装置は,測定データから複素せん断弾性率及びその実数部と虚数部との値を算出するソ

フトウェアを備えている。トルクと変位振幅及び正弦波トルク−変位振幅間の位相差を測定して解析する

方法は,別の方法でもよい。また,慣性とコンプライアンスとの補正を行う場合には,異なった補正方法

でもよい。これらの手順の詳細は,現時点では,この規格の適用範囲外である。弾性率と粘度との算出方

法が,ここで提示された方法と基本的に異なる場合には,その方法の原理を試験報告に記載する。

9. 

精度  次に掲げる精度のデータは,

1995

年に,

10

か所の試験機関で実施された一連の試験によって得

られた

[

4

]

この試験では,

3

種類の角周波数を使用し,総合的な測定が行われた。

r

s

及び

R

s

は,それぞれ併行標準

偏差及び再現標準偏差である。

r

及び は,それぞれ併行精度限界値及び再現精度限界値である(JIS Z 8402-1 参照)

m

は,それぞれの角周波数における弾性率の平均値である。

ラウンドロビン試験では,

2

種類の材料が使用された。充てん材を含まない高密度ポリエチレン(

PE

HD

)と充てん材を含まないポリプロピレン(

PP

)である。

PE

HD

試験片は,圧縮成形で作製され,

PP

試験片は,射出成形で作製された。すべての試料は,ラウンドロビン試験の主催者から参加者に供給され

た。測定装置には,ひずみ制御方式レオメータ及び応力制御方式レオメータの両者が使用された。

ポリエチレン,

G

190

℃)

角周波数

平均値

m

併行精度

再現精度

rad

s

-1

Pa

r

s

(%)

r

(%)

R

s

(%)

R

(%)

              1

            6130

3.0 8.4 9.4

26.4

            10

          25500

2.0 5.5 8.9

24.8

     100

     91300

1.6 4.4 7.9

22.2


9

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

ポリエチレン,

G

′′

190

℃)

角周波数

平均値

m

併行精度

再現精度

rad

s

-1

Pa

r

s

(%)

r

(%)

R

s

(%)

R

(%)

              1

            8320

1.6 4.5 8.5

23.9

            10

          28900

1.3 3.7 8.4

23.4

     100

     79600

1.2 4.3 7.5

21.0

ポリプロピレン,

G

210

℃)

角周波数

平均値

m

併行精度

再現精度

rad

s

-1

Pa

r

s

(%)

r

(%)

R

s

(%)

R

(%)

              1

          1590

3.4 9.4 11.3

31.7

            10

        12000

2.5 6.9 10.5

29.3

     100

    47800

2.5 7.1 9.3

26.1

ポリプロピレン,

G

′′

210

℃)

角周波数

平均値

m

併行精度

再現精度

rad

s

-1

Pa

r

s

(%)

r

(%)

R

s

(%)

R

(%)

              1

          3880

2.4 6.6 10.3

28.8

            10

        15400

2.4 6.8 9.5

26.7

     100

    36000

2.7 7.7 9.1

25.6

この規格に従って実施した測定の不確かさは,

附属書 に詳細に記載している。

10. 

試験報告  試験報告には,次の事項を含めなければならない。

a)

この規格の番号

b)

試験参照番号

c)

測定日

d)

測定者の特定に必要なすべての事項

e)

試験材料の特定に必要なすべての事項

f)

試験片の調製及び円板間充てん状態の詳細

g)

試験機に関する記載:円板の直径,円板間距離及び円板表面の材質を含む。

h)

試験温度(℃)

i)

予熱時間(

s

j)

力学的平衡状態になるまでの時間及びあらかじめせん断をかけた場合には,その条件の詳細

k)

熱平衡時間(

s

l)

測定時間(

s

m)

応力制御方式の試験では,円板周端部の応力値(

Pa

又は,ひずみ制御方式の試験では,円板周端部のひずみ


10

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

n)

必要に応じて,ひずみ振幅,角周波数,温度又は時間の関数として,次の事項による。

せん断貯蔵弾性率

G

Pa

せん断損失弾性率

G

′′

Pa

複素せん断弾性率

G

Pa

動的せん断粘度

η

′ (

Pa

s

複素せん断粘度の異相成分

η

′′ (

Pa

s

複素せん断粘度

η

Pa

s

位相差又は損失角

δ

rad

 tan

δ

o)

何らかの補正を加えた場合には,その詳細

p)

試験片にメルトフラクチャ又は劣化が見られる場合には,その観察結果

q)

受渡当事者間の協定によって,測定条件がこの規格と異なる場合には,その条件


11

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

附属書 A(参考)不確かさ

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

せん断貯蔵弾性率及びせん断損失弾性率は,それぞれ次の式によって算出する。

4

0

0

cos

32

D

dT

G

π

θ

δ

=

A.1

4

0

sin

32

D

dT

G

o

π

θ

δ

=

′′

A.2

で表すと,対応する不確かさは,次の式で求められる。

(

)

[

]

5

.

0

2

2

0

2

2

0

2

4

cos

D

T

d

G

+

+

+

+

=

θ

δ

 (A.3)

(

)

[

]

5

.

0

2

2

0

2

2

0

2

4

sin

D

T

d

G

+

+

+

+

=

′′

θ

δ

 (A.4)

ここで,下線は各々の成分の不確かさを示す。成分の不確かさは,各項の数値に対し,例えば,校正,

及び/又は分解能の不確かさの比として決定される。例えば,20×10

4

rad の角度変位の測定に対し,

±20×10

6

rad の確度であれば,測定値の成分の不確かさは,0.01 になる。

角周波数の測定,温度依存性及び劣化と非線形粘弾性との効果による不確かさの寄与を含めると,

G

G

′′

の不確かさは,次の式のように書き換えられる。

(

)

[

]

5

.

0

2

2

2

2

2

2

0

2

2

0

2

4

cos

SL

DE

F

D

T

d

G

+

+

+

+

+

+

+

+

=

φ

θ

δ

 (A.5)

(

)

[

]

5

.

0

2

2

2

2

2

2

0

2

2

0

2

4

sin

SL

DE

F

D

T

d

G

+

+

+

+

+

+

+

+

=

′′

φ

θ

δ

 (A.6)

ここに,

F

角周波数の誤差による成分の不確かさ

φ

温度変動による粘度の成分の不確かさ

DE: 試料の劣化による成分の不確かさ

SL: 非線形粘弾性効果による成分の不確かさ

これら各々の項の不確かさは,次に示すパラメータ及び許容差を用いて算出される。

円板の直径,

 25

mm

試験片の厚さ,

d

 1.5

mm

周端部のひずみ

5

トルク

測定値の±2  %

角度変位

±20×10

6

rad

円板の直径

±0.01 mm

円板間距離

±0.01 mm

円板の偏心

±0.01 mm

角周波数

測定値の±2  %


12

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

温度,

θ

θ

≦200  ℃では,±0.5  ℃

2 0℃<

θ

≦300  ℃では,±1.0  ℃

θ

>300  ℃では,±1.5  ℃

G

及び

G

′′

の測定値の不確かさを決定するために,次のような仮定がおかれる。

−  損失角

δ

が 17 度から 73 度の範囲では,cos

δ

及び sin

δ

は,3  %の最大不確かさをもつ[

4

]。

−  角周波数の 2  %の誤差は,

G

及び

G

′′

の測定値に 2  %の誤差を生じる。すなわち,log(

G

)及び

log(

G

′′

)は,log(

ω

)の線形関数であり,その傾きは 1 である。

−  試料の劣化と,

(線形粘弾性領域が成り立つ限界のひずみ決定に関係する。

)非線形粘弾性による誤

差は,極端な場合には,

G

及び

G

′′

の測定値に 0  %から 5  %の誤差を生じる。

これらの仮定に基づいて,粘度の温度依存性と温度との誤差を考慮した場合の

G

及び

G

′′

の測定値の不

確かさを見積もって,

附属書 .1 に示した。

なお,ラウンドロビン試験で使用された PE−HD 試料及び PP 試料では,温度走査の試験結果から,弾

性率の温度依存性は,およそ 1  %/℃であった。 

附属書 .1  せん断貯蔵弾性率

G

及びせん断損失弾性率

G

′′

の測定における不確かさ

G

及び

G

′′

の測定値の不確かさ

粘度の温度依存性

%/℃

温度の誤差

±℃

劣化と非線形粘弾性との
影響が共に 0  %と仮定し

た場合

劣化と非線形粘弾性との
影響が共に 5  %と仮定し

た場合

0

− 4.2  8.2

1 0.5  4.2

8.2

1 1.0  4.3

8.3

3 1.0  5.2

8.8

これらの不確かさには,試験片の慣性効果及び装置固有の要因,すなわち,平板の非平行性と偏心,周

端部効果,装置の慣性効果及び装置のコンプライアンスは,考慮されていない。

これらの要因は,測定値の不確かさを大きくする。


13

K 7244-10

:2005 (ISO 6721-10:1999)

参考文献

[1]   MARIN, G.: Rheological Measurement, edited by COLLYER, A.A and CLEGG, D.W., Elsevier

     Applied Science, London,1988. 
[2]   WALTERS, K.: Rheometry,  Chapman and Hall Ltd,  London,1975.

[3]   WHORLOW, R.W.: Rheological Techniques, Second Edition,  Ellis Horwood series in physics and   
      its applications, 1992. 
[4]   RIDES, M. and ALLEN,  C.R.G.: Round robin for parallel plate oscillatory rheometry using    
      polyethylene and polypropylene melts, NPL Report CMMT(A)11, January 1996(National  Physical  
            Laboratory, Teddington, Middlesex, TW110LW, United Kingdom). 
[5]   DEALY,J.M. and WISBRUN,  K.: Melt rheology and its role in plastics processing, Chapman and  
          Ha11, 1995. 
[6]   MACOSKO, C.: Rheology ― Principles, Measurements and Applications, VCH Publishers, NY, 
     1994.