>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 K

7239

-1991

エポキシ樹脂の酸無水物系硬化剤中の

遊離酸分測定方法

Determination of free acid in acid anhydride-based

hardeners for epoxide resins

1.

適用範囲  この規格は,エポキシ樹脂の硬化剤として用いる酸無水物系硬化剤中の微量の遊離酸分を

測定する方法について規定する。ただし,分子中にカルボン酸基を 1 個以上含有する酸無水物系硬化剤に

は適用できない。

備考1.  この試験方法は,遊離酸がローダミン6G 塩基を発色させる原理を応用したもので,510nm の

吸光度を測定して微量の遊離酸を定量する方法である。

測定範囲は,遊離酸分 0.1∼1.0%で,繰返しの変動係数は,2∼10%である。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS K 0068

  化学製品の水分試験方法

JIS K 0115

  吸光光度分析のための通則

JIS K 8680

  トルエン(試薬)

JIS K 8687

  ナトリウム(試薬)

JIS K 8900

  2−ブタノン(試薬)

JIS K 9012

  りん酸三ナトリウム・12 水(試薬)

JIS P 3801

  ろ紙(化学分析用)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製化学用体積計

JIS Z 8401

  数値の丸め方

関連規格  JIS K 4128  無水フタル酸

JIS K 7231

  エポキシ樹脂及び硬化剤の試験方法通則

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

酸無水物系硬化剤  分子中に酸無水物基を 1 個以上もち,これによってエポキシ樹脂を硬化させるこ

とができる酸無水物。

(2)

遊離酸  酸無水物系硬化剤を加水分解することによって得られるカルボン酸基を分子中に 2 個以上含

有する化合物。

(3)

遊離酸分  試料中に含まれる遊離酸を質量百分率で示した数値。

3.

器具及び装置  器具及び装置は,次のとおりとする。


2

K 7239-1991

(1)

化学はかり  感量 0.1mg のもの。

(2)

フラスコ,漏斗及び瓶  JIS R 3503 に規定する所定の容量のもの,又はこれと同様以上の品質のもの。

(3)

全量フラスコ,メスピペット及び全量ピペット  JIS R 3505 に規定する所定の容量のもの,又はこれ

と同様以上の精度のもの。

(4)

ろ紙  JIS P 3801 に規定する 5 種 B のもの,又はこれと同様以上の品質のもの。

(5)

分光光度計  JIS K 0115 に規定する分光光度計であって,測定波長 510nm,セルの厚み 10mm 及びス

リット幅 0.005mm のもの,又はこれと同様以上の精度のもの。

4.

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(1)

トルエン  JIS K 8680 に規定するトルエンに 10w/v g の合成ゼオライト 4A 型(Na 塩)を入れ,1 日

以上静置した後上澄み液を採り,

水分を JIS K 0068 に規定するカールフィッシャー法によって定量し,

水分が 20ppm 以下のもの。

(2)  2

−ブタノン  JIS K 8900 に規定する 2−ブタノンに 10w/v g の合成ゼオライト 4A 型(Na 塩)を入れ,

1

日以上静置した後上澄み液を採り,水分を JIS K 0068 に規定するカールフィッシャー法によって定

量し,水分が 20ppm 以下のもの。

(3)

標準遊離酸(

1

)

  測定対象とする酸無水物系硬化剤の試料 10g に蒸留水 60ml を加え 3 時間煮沸し,室

温まで放冷後,析出した結晶をろ過,水洗し,乾燥したもの。

(

1

)

標準遊離酸は,赤外線吸収スペクトル分析によって酸無水物の吸収がないことを確認した後使

用することが望ましい。

(4)

りん酸三ナトリウム水溶液  JIS K 9012 に規定するりん酸三ナトリウム 0.1g を蒸留水 10ml に溶かし

たもの。

(5)

金属ナトリウム  JIS K 8687 に規定するもの。

(6)

トルエン・2−ブタノン混合溶媒  4.(1)に規定するトルエン及び 4.(2)に規定する 2−ブタノンを容量比

95 : 5

に混合したもの。

(7)

ローダミン 6G 溶液  ローダミン 6G(CAS No. 989-38-8 又は Colour Index No. CI-45160 参照)を乳鉢

で粉砕したもの 20mg をりん酸三ナトリウム水溶液 10 ml に分散させ,

分液漏斗に移し,

トルエン 200ml

を加えて軽く振り混ぜて抽出する。1 時間静置後,ろ過し,着色瓶に移す。この中に,金属ナトリウ

ム粒をカミソリなどで 0.5∼1mm 厚に切った薄片,0.5∼1g を加えて,12 時間以上静置保存したもの。

参考1. CAS とは,米国の Chemical Abstract Service のことで,我が国では,化学技術情報協会がここ

と基本契約しており,化学技術情報協会と契約した者がコンピュータによって情報を入手で

きるようになっている。

2. Colour

Index

とは,米国の The American Association of Textile Chemists and Colorists 及びイギリ

スの The Society of Dyers and Colourists の共同編集で 1956 年に発行された図書名のことである。

3.

金属ナトリウムは,この試験の操作上危険はないが,直接水と接触すると,激しく反応する

ので取扱いには注意する。また,金属ナトリウムを扱う際には,手袋をするなどして直接手

に触れないよう注意する。

5.

操作

5.1

検量線の作成  検量線の作成は,次による。

(1)

ブランク値の測定  全量フラスコ 10ml にローダミン 6G 溶液 2ml(

2

)

を全量ピペットで採り,

トルエン・


3

K 7239-1991

2

−ブタノン混合溶媒で標線まで希釈する。この溶液をセルに採り,分光光度計を用いて 510nm の吸

光度を,トルエンを対照として発色 5 分後に測定する(

3

)

(

2

)  JIS K 0068

に規定するカールフィッシャー法によって使用直前に,水分を測定する。20ppm 以

上のときは,再度調製する。

(

3

)

吸光度は0.30∼0.50とし,これを外れるときは,再度調製する。

(2)

標準遊離酸溶液の調製  標準遊離酸試料 0.1mg 当量を 0.1mg まで全量フラスコ 100ml に量り採り,2

−ブタノン 50ml を加え室温で完全に溶解する。次にトルエンを加えて標線まで希釈する。この中か

ら 10ml を全量ピペットで別の 100ml 全量フラスコに採り,トルエンを加えて標線まで希釈する。

(3)

標準遊離酸溶液の吸光度測定  全量フラスコ 10ml にローダミン 6G 溶液 2ml を全量ピペットで加え,

その上に,標準遊離酸溶液 1.0ml をメスピペットで採り,添加する。次にトルエン・2−ブタノン混合

溶媒で標線まで希釈する。この溶液をセルに採り,分光光度計を用いて 510nm の吸光度をトルエンを

対照として発色 5 分後に測定する。同様にして,標準遊離酸溶液 1.5ml,2.0ml 及び 2.5ml を用いたと

きの吸光度を測定する。

(4)

検量線の作成  5.1(3)で得られた吸光度から 5.1(1)で得られたブランク値を差し引いた値を縦軸,遊離

酸量  (

µg)  を横軸に取り,原点を通る直線を引き検量線とする(

4

)

(

4

)

検量線は,遊離酸測定を行う日ごとに作成する。

5.2

試料溶液の吸光度測定  試料溶液の吸光度測定は,次による。

(1)

試料溶液の調製  試料 0.2g を,全量フラスコ 50ml に 0.1mg まで正確に量り採る。トルエン・2−ブタ

ノン混合溶媒約 30ml を加えて室温で溶解した後,トルエン・2−ブタノン混合溶媒で標線まで希釈す

る。

(2)

試料溶液の吸光度測定  全量フラスコ 10ml にローダミン 6G 溶液 2ml を全量ピペットで加え,その上

に,1∼5ml の試料溶液をメスピペットを用いて 0.05ml まで正確に量り採り,添加する。次にトルエ

ン・2−ブタノン混合溶媒で標線まで希釈する。この溶液をセルに採り,分光光度計を用いて 510nm

の吸光度を,トルエンを対照として発色 5 分後に測定する。同様の操作を 2 回繰り返す。

6.

計算  遊離酸分は,次の式によって算出し,2 回の測定値の平均値を JIS Z 8401 によって小数点以下

2

けたに丸める。

S

D

A

C

×

×

10

ここに,

C

:  遊離酸分 (%)

A

:  試料溶液の吸光度からブランク値を差し引き,検量線より求

めた遊離酸量  (

µg)

D

:  希釈倍率=50 (ml)  /試料溶液の添加量 (ml)

S

:  試料量 (mg)

7.

報告  報告には,次の事項を記入する。

(1)

試料名

(2)

試験結果

(3)

試験年月日

(4)

その他必要とする事項

JIS 7239

  新規原案作成委員会  構成表


4

K 7239-1991

氏名

所属

(委員長)

垣  内      弘

エポキシ樹脂技術協会[横浜国立大学(名誉教授)]

阿  部  巳喜雄

通商産業省基礎産業局

櫻  井  俊  彦

工業技術院標準部

北  野      武

工業技術院繊維高分子材料研究所

宮  入  裕  夫

東京医科歯科大学医用器材研究所

野  口  義  男

航空宇宙技術研究所

(幹事)

中  原      武

日立化成工業株式会社

(幹事)

国  武  憂  璽

大日本インキ化学工業株式会社

(幹事)

井  上  恒  市

新日本理化株式会社

溝  口  健  一

日本化薬株式会社

中  村  裕  一

日本チバガイギー株式会社

(幹事)

才  木  研三郎

日本ゼオン株式会社

柘  植  盛  男

住友ベークライト株式会社

(幹事)

藤  基  佳  久

ソマール株式会社

河  村  憲  行

東芝ケミカル株式会社

河  本  紀  雄

日東電工株式会社

中  島  博  行

三菱電機株式会社

与那原  邦  夫

ユニオン化成株式会社

(事務局)

伊  東  達  郎

エポキシ樹脂技術協会