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日本工業規格

JIS

 K

7062

-1992

ガラス繊維強化プラスチックの

アイゾット衝撃試験方法

Testing method for Izod impact strength of

glass fiber reinforced plastics

1.

適用範囲  この規格は,ガラス繊維強化プラスチック(以下,GFRP という。)のアイゾット衝撃試験

(以下,衝撃試験という。

)方法について規定する。

備考1.  この方法による試験は,衝撃曲げ試験の一種である。すなわち,規定寸法の試験片を,片持

ばりの状態で支持し,その一端を規定の速度及び破断に要するエネルギーより大きな規定の

エネルギーで衝撃し,1回の衝撃によって試験片を破断するのに要したエネルギーを測定し,

その GFRP の耐衝撃性,もろ(脆)さ,粘り強さなどの特性を測定するものである。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 7502

  外側マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS B 7739

  非金属材料用振り子形衝撃試験機

JIS K 6900

  プラスチック用語

JIS K 7011

  構造用ガラス繊維強化プラスチック

JIS K 7100

  プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位は,従来単位によるものであって,参考とし

て併記したものである。

2.

用語の定義  この規格に用いる主な用語の定義は,JIS K 6900 によるほか,次のとおりとする。

(1)

アイゾット衝撃試験  試験片の一端を試験片中央部で試験片支持台に垂直に固定し,他端は試験片の

固定端から 22mm 隔たっている位置を衝撃試験機のハンマで,1 回の衝撃によって試験片を破断し,

アイゾット衝撃値を測定する試験。

(2)

吸収エネルギー  試験片を破断するのに要したエネルギー (J) {kgf・cm}。

(3)

アイゾット衝撃値  吸収エネルギー (J) {kgf・cm}  を試験片の中央部の元の断面積で除した値 (kJ/m

2

)

{kgf

・cm/cm

2

}

(4)

破断  試験片が衝撃試験機のハンマで 1 回の衝撃によって二つ以上に分離すること。

備考  衝撃後,試験片のガラス繊維が完全に分離しない場合は,衝撃方向に手で静かに折り曲げ,そ

の結果,試験片の曲げ剛性が失われていると判断できるときには,破断したものとみなしてよ

い。


2

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(5)

フラットワイズ衝撃  試験片を,元の板の面に垂直な方向から衝撃すること。

(6)

エッジワイズ衝撃  試験片を,元の板の面に平行な方向から衝撃すること。

(7)

ひょう量  衝撃試験機のハンマの,試験片衝撃位置に対する持ち上げ位置の位置エネルギーの大きさ

の呼び容量。

(8)

衝撃刃の刃縁  試験片に衝撃を与える衝撃試験機のハンマの刃先部分の頂部の直線部分。

(9)

打撃中心  衝撃試験機のハンマが水平回転軸中心線の周りに揺動するとき,ハンマの全質量がその点

に集中して運動しているとみなせる位置。

(10)

衝撃速度  衝撃試験機のハンマが試験片を衝撃する瞬間におけるハンマの打撃中心の線速度。

(11)

空振り  試験片支持台に試験片を載せないで,持ち上げ位置から衝撃試験機のハンマを振り下ろし,

振り上がり側に振り上がらせること。

(12)

試験機のエネルギー損失  置き針を伴って,衝撃試験機のハンマを持ち上げ位置から空振りさせたと

きの振り上がり位置を測定し,それから計算した二つの位置間における位置エネルギーの差。

3.

試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度

3.1

試験片の状態調節  試験片は,原則として,試験前に JIS K 7100 の標準温度状態 2 級及び標準湿度

状態 2 級[温度 23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]において 48 時間以上状態調節する。

3.2

試験温度及び湿度  試験は原則として 3.1 と同じ温湿度[温度 23±2℃,相対湿度 (50±5) %)]の室

内で行う。

4.

試験機及び測定器具

4.1

試験機  衝撃試験を行う試験機は,JIS B 7739 に規定するアイゾット衝撃試験機に適合したもので

なければならない。衝撃試験機の一例を

図 に示す。


3

K 7062-1992

図 1  アイゾット衝撃試験機の一例

備考1.  衝撃試験機は,その主要部分の分解・再組立て,模様替えを行った場合又は据付け替えを行

った場合には,改めて精度に関する検査を行い,JIS B 7739の規定に適合することを確認し

た後使用する。

2.

前項に該当しないときでも,使用頻度に応じ,一定期間ごとに精度の再確認を行うことが必

要である。

3.

衝撃速度は,毎秒 3.5±0.35m とする。

衝撃試験機のハンマを自由に下げたとき,指針が 180°になるようにベッドの水平合わせ

を行う。試験片の破断時に振動その他の不都合が生じないように,強固に据え付けて使用し

なければならない。

衝撃試験機は,その使用前後において,JIS B 7739 の 6.9(ハンマのエネルギー損失の検査)

の  (2)  で規定する試験機のエネルギー損失の検査を行うことが望ましい。

4.2

寸法測定器

4.2.1

マイクロメータ  マイクロメータは,試験片の幅及び高さを測定するもので,JIS B 7502 に規定す

るマイクロメータで,測定範囲 0∼15mm のもの又はこれと同等以上の精度のものとする。

4.2.2

ノギス  ノギスは,試験片の長さ及び試験片支持台間の距離を測定するもので,JIS B 7507 に規定

するノギスの最大測定長 150mm,最小読取値 0.05mm のもの又はこれと同等以上の精度のものとする。

5.

試験片

5.1

試験片の形状及び寸法


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(1)

フラットワイズ衝撃試験片  フラットワイズ衝撃試験片の形状及び寸法を図 及び表 に示す。

(2)

エッジワイズ衝撃試験片  エッジワイズ衝撃試験片の形状及び寸法を図 及び表 に示す。

図 2  フラットワイズ衝撃

試験片と衝撃方向

図 3  エッジワイズ衝撃

試験片と衝撃方向

表 1  フラットワイズ衝撃試験片の寸法

単位  mm

試験片の寸法

高さ[呼び厚さ

(

1

)

h

試験片の種類

長さ

l

標準寸法

許容範囲

(

2

)

b

フラットワイズ衝撃試験片

65

±2 3

2

∼6 10±0.2

(

1

)

試験片を採取した板の厚さに相当する寸法をいう。

(

2

)

呼び厚さの適用可能な範囲をいう。

備考  一方向材やガラスロービングクロス材のような異方性材料の場合

には,試験片の高さは,標準寸法又は許容範囲内での標準寸法以下
とすることが望ましい。

表 2  エッジワイズ衝撃試験片の寸法

単位  mm

試験片の寸法

幅[呼び厚さ

(

1

)

b

試験片の種類

長さ

l

高さ

h

標準寸法

許容範囲

(

2

)

エッジワイズ衝撃試験片 65±2 10±0.2

4 3

∼6

5.2

試験片の作製  試験片の作製は,次による。

(1)

試験片は,他の関連する規格又は当事者間の協定によって,ハンドレイアップ成形,プレス成形など

各種成形法によって成形された成形板から機械加工によって作る。

この場合,試験片の厚さの調整のために機械加工などを行ってはならない。

また,成形裏面が平滑でなくても,そのままとし,削ってはならない。

(2)

異方性の板状の材料を試験する場合,試験片の採取方法と採取方向は当事者間の協定による。

(3)

試験片の作製方法は,アイゾット衝撃値に大きく影響を及ぼすので,他の関連する規格又は当事者間

の協定による方法及び条件に従わなければならない。

機械加工するときに切削熱やクラックの発生などによって材料の性質が変化しないように,十分注

意しなければならない。


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5.3

試験片の数

(1)

それぞれの条件ごとに原則として 10 個の試験片について試験することとする。この場合,試験する材

料のアイゾット衝撃値のばらつきが少ない(

3

)

ときは,5 個の試験片でもよく,また当事者間の協定に

よってもよい。

(

3

)

ばらつきの少ないことの目安は,試験結果の変動係数(7.4参照)が10%以下とする。

(2)

衝撃後,試験片がかなりの曲げ剛性を残存し,破断とみなせない場合には,この試験片の値は捨て,

この分の試験片を追加する。

6.

操作

(1)

試験片の中央部付近の 3 か所以上で高さ 及び幅 を 0.01mm まで正確に測定し,その平均値を算出

する。

(2)

使用する試験機のひょう量は,試験片を破断するのに要するエネルギーが,ひょう量の 10∼80%(

4

)

なるように選ぶ。

(

4

)

ひょう量の10∼70%で行うことが望ましい。

(3)

衝撃試験機のハンマを持ち上げ位置に支持装置で保持し,置き針をハンマの回転軸に取り付けられた

置き針駆動金具に接触させる。

備考  衝撃試験機のハンマの持ち上げ角度は,原則として 150°とする。

(4)

試験片を

図 に示すように試験片支持台に長さ方向が垂直になるように取り付ける。このとき,試験

片の長さ方向の中央を試験片支持台間の上面に一致させるように試験片の位置を正確に決める。

なお,試験片の長さ方向の中央と試験片支持台の上面との食い違いは,1.0mm 以下でなければなら

ない。

また,試験片支持台に取り付けられた試験片の幅方向の中央と衝撃刃の刃縁の中点との食い違いは,

1mm

以下でなければならない。

備考  材料によっては,締付け圧力が試験値に影響を及ぼすことがあるので,トルクレンチなどによ

って締付け圧力を一定に保つ必要がある。

(5)

衝撃試験機のハンマの支持を静かに外してハンマを振り下ろし,1 回の衝撃で試験片を破断させ,そ

のときの振り上がり角度を読み取る。

(6)

試験が終了した試験片について,その破壊様相を観察し,

表 に示す破壊形式の中から試験片の破壊

様相に該当するものを選択し,その結果を記録する。

また,ほとんどの試験片が破断とみなせない場合は,その旨を記録し,試験をやめるか,試験片の

寸法を許容範囲内で変えて試験するかを当事者間の協定によって決める。

備考  破壊形式を選択するとき,複数の破壊形式を必要とする場合には,代表的な破壊形式を引張破

壊/層間はく離のように二つだけ選択する。


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図 4  アイゾット衝撃試験機の試験片支持台, 

ハンマの刃緑及び試験片の相互関係


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2

表 3  破壊様相の分類(矢印:衝撃方向)

破壊形式

破断

 (A)

引張破壊

 (B)

圧縮破壊

 (C)

層間はく離

 (D)

座屈圧壊

 (E)

フラッ

トワ

イズ衝

破壊様

エッジ

ワイ

ズ衝撃

破壊の説明    短繊維強化材に

みられる破壊であ
る。

  試験片の衝撃面

側で繊維破壊や割
れなどが生じる破
壊。単独で生じる

ことは少なく,層
間はく離を伴うこ
とが多い。

  試験片の衝撃裏

面側で繊維破壊や
割れなどが生じる
破壊。

  引張破壊と同様
に,層間はく離を
伴うことが多い。

  この破壊は他の破壊形式 [(A),(B),(C),

(E)]

と共存する。

  エッジワイズ試

験に固有の破壊で
あり,特に連続繊
維強化において剛

性,じん性がある
程度高い場合に生
じる破壊。


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7.

計算

7.1

吸収エネルギー  吸収エネルギーは,次の式(1)によって算出する。

ú

û

ù

ê

ë

é

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

+

'

)

cos

'

cos

(

)

cos

cos

(

α

α

β

α

α

α

α

β

WR

E

 (1)

ここに,

E

吸収エネルギー (J) {kgf・cm}

WR

ハンマの回転軸周りのモーメント (N・m) {kgf・cm}

α

ハンマの持ち上げ角度  (゚)

α

´:

ハンマを持ち上げ角度

αから空振りさせたときの振り上

がり角度  (゚)

β

試験片破断後のハンマの振り上がり角度  (゚)

7.2

アイゾット衝撃値  アイゾット衝撃値は,次の式(2)によって算出する。

3

1

10

×

bh

E

a

(2)

ここに,  a

1

:  アイゾット衝撃値 (kJ/m

2

)

E

:  吸収エネルギー (J)

b

:  試験片の中央部の幅 (mm)

h

:  試験片の中央部の高さ (mm)

参考

アイゾット衝撃値 a

1

を従来単位 {kgf・cm/cm

2

}

によるときは,次の式

(3)

によって算出する。

bh

E

a

1

(3)

ここに,  a

1

:  アイゾット衝撃値 {kgf・cm/cm

2

}

E

:  吸収エネルギー {kgf・cm}

b

:  試験片の中央部の幅 {cm}

h

:  試験片の中央部の高さ {cm}

7.3

試験結果の丸め方

  アイゾット衝撃値 a

1

 (kJ/m

2

) {kgf

・cm/cm

2

}

は,各試験片ごとに算出し,その平

均値を

JIS Z 8401

によって整数位に丸める。

7.4

標準偏差及び変動係数

  標準偏差及び変動係数は,次の式

(4)

及び式

(5)

によって算出し,

JIS Z 8401

によって有効数字 2 けたに丸める。

1

2

)

(

å 

n

s

x

x

 (4)

100

×

x

s

CV

 (5)

ここに,

s

標準偏差

CV

変動係数 (%)

x

個々の測定値

x

測定値の平均値

n

測定値の数

8.

報告  報告には,必要に応じて次の事項を記入する。

(1)

試験した材料の種類,区分及び製造業者名

備考  種類及び区分は JIS K 7011 による。

(2)

試験片の種類,構成,ガラス繊維の体積,質量含有率

(3)

試験片の採取方法及び採取方向(異方性材料の場合)

(4)

試験片の作製方法


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(5)

試験片の形状,寸法及び試験片の衝撃方向(フラットワイズ衝撃又はエッジワイズ衝撃)

備考1.  フラットワイズ衝撃の場合では,同一材料でも,試験片の高さによって,アイゾット衝撃値

は異なるので,例えば,試験片の高さが標準寸法又は平均値5.00mm の場合,試験片にはそ

れぞれ

試験片(標準高さ)又は試験片(高さ5.00mm)のように明記することが望ましい。

2.

エッジワイズ衝撃の場合では,試験片の幅によってアイゾット衝撃値が異なるような材料の

場合には,例えば,標準幅又は平均幅 5.00mm の試験片を用いたとすれば,試験片にはそれ

ぞれ

試験片(標準幅)又は試験片(幅 5.00mm)のように明記することが望ましい。

(6)

試験した試験片の数

(7)

試験片の状態調節の温度,湿度及び時間

(8)

試験室の温度及び湿度

(9)

試験機の性能(ひょう量,衝撃速度,ハンマの持ち上げ角度など)

(10)

試験結果[試験片で得られた個々の値,平均値,測定値の範囲(又は標準偏差)及び変動係数,破断

しない試験片の有無,破壊様相など]

(11)

試験年月日

(12)

当事者間で協定した事項

(13)

その他必要とする事項

関連規格  JIS K 6911  熱硬化性プラスチック一般試験方法

JIS K 7110

  硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法

JIS Z 2242

  金属材料衝撃試験方法

JIS Z 8203

  国際単位系 (SI) 及びその使い方

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態


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ガラス繊維強化プラスチックの衝撃試験方法

工業標準原案作成本委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

宮  入  裕  夫

東京医科歯科大学医用器材研究所

(委員)

中  島  邦  雄

通商産業省基礎産業局

細  川  幹  夫

工業技術院標準部

池  上  皓  三

東京工業大学精密工学研究所

劔  持      潔

工業技術院製品科学研究所

野  口  義  男

科学技術庁航空宇宙技術研究所

永  井  正  洋

東京医科歯科大学医用器材研究所

高  野  忠  夫

財団法人高分子素材センター

持  舘      武

社団法人自動車技術会

後  藤  卒士民

有限会社材料プロセス研究所

黒  木  勝  也

財団法人日本規格協会

有  光  希  昭

日東紡績株式会社 FRP 研究所

西  本      敬

大日本硝子工業株式会社

渋  谷  千  之

昭和高分子株式会社東京研究所

杉  山      武

東陶機器株式会社

辻  野  一  行

日立化成工業株式会社

福  谷      翼

東洋精機製作所

栗  原  貞  夫

社団法人強化プラスチック協会

(事務局)

矢  作  雅  男

社団法人強化プラスチック協会

備考  ○印は,分科会委員。