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日本工業規格

JIS

 K

7002

-1988

工業用グルコース  イソメラーゼ

Glucose Isomerase for Industrial Use

1.

適用範囲  この規格は,工業用グルコース  イソメラーゼ(以下,グルコース  イソメラーゼという。)

について規定する。

引用規格: 

JIS K 8101

  エタノール (99.5) [エチルアルコール (99.5)]

(試薬)

JIS K 8258

  カルバゾール(試薬)

JIS K 8470

  L-システィン一塩酸塩(1 水化物)(試薬)

JIS K 8824

  ぶどう糖(無水)

(試薬)

JIS K 9009

  りん酸二水素ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 9019

  りん酸水素二ナトリウム・12 水(試薬)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製化学用体積計

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。

(1)

異性化率  反応液中のぶどう糖とフラクトースとの和に対するフラクトースの重量割合。

(2)

最大活性  固定化酵素を反応塔に充てんし,所定の条件で通液運転を開始した後,最大流速を得ると

きの酵素活性。

(3)

初期活性  酵素活性と通液時間との間の対数回帰式を用い,通液開始時間(0 時間)に補外した酵素

活性。

(4)

活性半減期  異性化率 45%を得るための所定の条件下において,残存活性が初期活性の

2

1

となるまで

の時間。

(5)

生産性  酵素 1kg によって異性化された生産物(異性化率 45%に換算したもの。)を乾燥質量 (kg) に

よって表したもの。

3.

種類  グルコース  イソメラーゼの種類は,次のとおりとする。

3.1

液状製品  微生物菌体内外から得られた酵素を精製した製品で,液状のもの。

3.2

固定化製品

(1)

微生物菌体又は酵素を結着剤を用いて固定化した製品。

(2)

微生物菌体又は酵素を包括剤を用いて固定化した製品。

(3)

微生物菌体又は酵素を担体を用いて固定化した製品。

(4)

微生物菌体又は酵素を結着剤,

包括剤又は担体のうち 2 種類若しくは 3 種類を用いて固定化した製品。


2

K 7002-1988

4.

品質  グルコース  イソメラーゼの品質は,表のとおりとする。

表  グルコース  イソメラーゼの品質

品質

液状製品

固定化製品

活性

(U/ml)

表示値以上

最大活性

(U/g)

表示値以上

活性半減期

(h)

表示値以上

生産性

当事者間の協定による。

5.

試験の一般条件

5.1

試薬  試薬は,日本工業規格に適合する最上級品位のものを用いる。JIS マーク表示許可品目として

指定されていない場合の試薬は,通商産業省の試薬表示認証制度に基づいて認証された最上級品位のもの

を用いる。

なお,JIS マーク表示品又は試薬表示認証制度に基づいて認証されたものがない場合は,試験に支障の

ないものを用いる。

5.2

ガラス器具類  ガラス器具類は原則として JIS R 3503(化学分析用ガラス器具)及び JlS R 3505(ガ

ラス製化学用体積計)に規定されているものを用いる。

5.3

水  電気伝導率が 5

µS/cm 以下の蒸留水又はイオン交換水を用いる。

6.

試験方法

6.1

活性

6.1.1

試薬及び器具

(1)

試験管  外径 25mm,長さ 200mm の丸底のものであって,体積 50ml の位置に標線の付いたもの。

ただし,発色用に使用するものにあっては,標線のないもの。

(2)

恒温水槽  かくはん機付きて,60±0.5℃に保持できるもの。

(3)

ぶどう糖溶液 (0.2mol/l)    65℃,減圧下で 5 時間乾燥し,デシケーター中で放冷した JIS K 8824[ぶ

どう糖(無水)

(試薬)

]1.8g を量り取り,全量フラスコ 50ml に入れ,りん酸塩緩衝液 (0.2mol/l) (pH7.2)

25m1

及び硫酸マグネシウム溶液 (0.1mol/l) 5ml を加えて溶かし,りん酸塩緩衝液 (0.2mol/l)  を標線ま

で加える(

1

)

(4)

試験用酵素液  酵素液 1ml 又は 1g を取り,全量フラスコ 100ml に入れ,りん酸塩緩衝液 (0.02mol/l)  を

標線まで加える。

この液の一定量を全量ピペットを用いて取り,全量フラスコに入れ,りん酸塩緩衝液 (0.02mol/l)  を

標線まで加えて試験用酵素液とする。

(5)

りん酸塩緩衝液 (0.2mol/l) (pH7.2)    JIS K 9009[りん酸二水素ナトリウム二水和物(試薬)]31.2g を

量り取り,少量の水に溶かして全量フラスコ 1 000ml に入れ,水を標線まで加える(A 液)

別に,JIS K 9019[りん酸水素二ナトリウム・12 水(試薬)

]71.63g を量り取り,少量の水に溶かし

て全量フラスコ 1 000ml に入れ,水を標線まで加える(B 液)

pH

計を用いて混合液が pH7.2 になるように,A 液及び B 液をよくかき混ぜなから合わせる。

(6)

りん酸塩緩衝液 (0.02mol/l)    りん酸塩緩衝液 (0.2mol/l) (pH7.2) 50ml を全量ピペットで取り,全量フ


3

K 7002-1988

ラスコ 500ml に入れ,水を標線まで加える。

(7)

過塩素酸 (0.5mol/l)    過塩素酸(含量 60%)27ml をビーカーに取り,水 473ml を加える。

(8)

硫酸 (70%)   硫酸(含量 97%以上)90ml を水 38ml 中に徐々に加える(

1

)

(

2

)

(9)

システィン溶液 (1.5

w

/

v

%)

  JIS K 8470[L-システイン−塩酸塩(1 水化物)

(試薬)

]0.15g を水に溶

かして 10ml とする(

1

)

(10)

カルバゾールエタノール溶液 (0.12

w

/

v

%)

  JIS K 8258[カルバゾール(試薬)

]12mg を JIS K 8101〔エ

タノール (99.5) [エチルアルコール (99.5)]

(試薬)

〕に溶かして 10ml とする。

(11)

フラクトース溶液 (500

µg/ml)    真空乾燥した後,デシケーター中で放冷したフラクトース 50mg を正

確に量り取り,少量の水に溶かして全量フラスコ 100ml に入れ,水を標線まて加える。冷暗所に保存

する。

(12)

フラクトース溶液 (10

µg/ml)    フラクトース溶液 (500µg/ml) 20ml を全量ピペットでとり,全量フラ

スコ 1 000ml に入れ,水を標線まて加える(

1

)

(

1

)

使用時に調製する。

(

2

)

急激な温度上昇を避けるため冷却しなから硫酸を加える。

6.1.2

操作

(a)

ぶどう糖溶液 (0.2mol/l) 1ml を全量ピペットを用いて,標線の付いた試験管 3 本にそれぞれ入れ,60

±0.5℃に保った恒温水槽に 5 分間以上浸す。

(b)

試験用酵素液 1ml を全量ピペットを用いて試験管 3 本のそれぞれに加え,振り混ぜた後,60±0.5℃に

保った恒温水槽中に 60 分間浸す。

(c)  3

本の試験管のそれぞれに過塩素酸 (0.5mol/l) 2ml を加えて反応を停止させ,直ちに氷浴中に 5 分間浸

して冷却する。

(d)  3

本の試験管のそれぞれに水を加え 50ml とし,

これを試料液とする。

試料液は氷浴中に浸し冷却する。

(e)

標線のない試験管 3 本のそれぞれに試料液 1ml を全量ピペットで取り,これらにシスティン溶液

(1.5

w

/

v

%) 0.2ml

を加え氷浴中に浸す。

(f)

氷浴中に浸したまま,3 本の試験管のそれぞれに硫酸 (70%) 6ml を加え,十分に振り混ぜる。

(g)

氷浴中で 5 分間冷却した後,3 本の試験管のそれぞれにカルバゾールエタノール溶液 (0.12

w

/

v

%) 0.2ml

を加え,十分に振り混ぜる。

(h)  3

本の試験管を,60±0.5℃に保った恒温水槽に 10 分間浸した後,直ちに氷浴中に 2 分間浸す。次に室

温と同じ水温の水浴中に約 5 分間浸し,室温と同一温度とする。

(i) 10mm

のセルを用いて波長 560nm 付近で吸光度を測定する。

(j)

水 1ml 及び (10

µg/ml)  フラクトース溶液 1ml を試験管 3 本のそれぞれに全量ピペットを用いて取り,

これらにシスティン溶液 (1.5

w

/

v

%) 0.2ml

を加えた後氷浴中に浸し,(f)(g)(h)及び(i)の順で操作を行

い,フラクトースの標準溶液の吸光度を測定する。

(k)  (a)

の操作に次いで過塩素酸 (0.5mol/l) 2ml を加えた後,(b)(d)(e)(f)(g)(h)及び(i)の順で操作

を行い空試験とする。

6.1.3

計算  次の式によってグルコース  イソメラーゼの活性 (U/ml) を算出する。ただし,酵素活性の

1

単位 (1U) は,60℃,1 分間に上記条件下で 1

µmol のフラクトースを生成する活性をいう。


4

K 7002-1988

(

)

(

)

180

1

60

1

50

×

×

×

=

N

F

B

A

U

ここに,  U:  グルコース  イソメラーゼの活性 (U/ml) 

A

:  反応液の吸光度(3 本の平均値)

B

:  空試験の吸光度(3 本の平均値)

F

: (10

µg/ml)  フラクトース溶液の吸光度(3 本の平均値)

N

:  水の吸光度

6.2

最大活性

6.2.1

試薬及び器具

(1)

ぶどう糖溶液(反応基質)(45

w

/

w

%) 

  無水結晶ぶどう糖(日本農林規格特級品)を用いて次の操作に

よって調製したもの。

(a)

無水結晶ぶどう糖 4.5kg を 60℃の水 5 400ml に溶解し,60℃に保ちながら 1 時間以上かき混ぜる。

(b)

 25

℃まで冷却した後,硫酸マグネシウム・七水和物 2.05g を少量の水に溶かしたものを,かき混ぜ

ながら加える。

(c)

炭酸ナトリウム溶液 (8.3

w

/

v

%)

(無水炭酸ナトリウム 8.3g を水に溶解して 100ml としたもの。

)を

用いて所定の pH に調整する。

(d)

屈折率計を用いて屈折率(

3

)

を測定し,糖濃度を 45

w

/

w

%

に調整する。

(

3

)

ぶどう糖溶液 (45

w

/

w

%)

の屈折率は20℃の場合1.408 5,40℃の場合1.405 0である。

(2)

酵素剤  湿潤製品又は乾燥製品を次の操作によって調製したもの。湿潤製品にあっては約 30ml,乾燥

製品にあっては膨潤後カラムに充てんしたときの体積が約 30ml となる量を取り,これに反応基質約

100ml

を加えて,温水浴に浸して,約 50℃に保ちながら減圧し 30 分以上脱気(

4

)

する。乾燥酵素剤質

量と充てん容積との関係は,

乾燥酵素剤の適当量をカラムに充てんし,

反応基質の通液を開始した後,

1

日経過し安定した固定化酵素床の高さと,カラムの内径とから求める。

(

4

)

脱気操作中に突沸,発泡などによって酵素剤が失われないよう注意しながら行う。

(3)

異性化装置  次に示す仕様の送液ポンプ,カラム及び恒温水槽で構成されたもの。構成例を図に示す。

(a)

送液ポンプ  流速の調節が毎時 20∼200ml の範囲内で可能であって,流速の変動が±2%以内のもの。

(b)

異性化カラム  内径 15mm,長さ 400mm のガラス製であって,カラムの上下には,酵素剤の流失を

防止するためのフィルタの設置,上下端末はゴム管,塩化ビニル管などのチューブの接続及び 60℃

に保つためのジャケットをもつ構造のもの。

(c)

恒温水槽  異性化カラムを 60±0.5℃に保温するための温水の調製に用いるもので,水温の変動が±

0.5

℃以内に調節できるもの。


5

K 7002-1988

図  異性化装置の構成(一例)

6.2.2

操作

(a)

異性化カラムに反応基質を用いて 6.2.1(2)で説明した酵素剤約 30ml を流し込み(

5

)

,酵素剤上部の空間

にガラスウールをゆるく充てんする。

(b)

反応基質を送液ポンプを用いて,異性化カラムの上部から下向流で通液する。流出液中のぶどう糖量

又はフラクトース量を 1 日 1 回以上測定し異性化率を求め,異性化率が 0.40∼0.45 の範囲に入るよう

に流速を設定する。

(c)

異性化率を液体クロマトグラフ,旋光度又はシスティン−カルバゾール法によって測定する。

(

5

)

気泡が混入しないように注意して行う。

6.2.3

計算  次の式によってグルコース  イソメラーゼの活性  (E)  を求め,活性  (E)  の最大値  (E

max

)

最大活性とする。

÷

ø

ö

ç

è

æ

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

X

W

FS

E

51

.

0

51

.

0

ln

51

.

0

ここに,

E

酵素活性(

6

)

 (U/g)

F

流速

 (ml/min)

S

反応基質の濃度

  (

µmol/ml) (2.98mmol)

W

酵素量

 (g)

X

異性化率

  (

)

(

6

)

単位体積当たりの酵素活性を求める場合には,6.2.1(2)(a)で求めた酵素質量と充てん体積の関係

から計算によって求める。

6.3

活性半減期

6.3.1

試薬及び器具

(1)

ぶどう糖溶液(反応基質)(45

w

/

w

%)

  6.2.1(1)と同じ。

(2)

酵素剤  6.2.1(2)と同じ。

(3)

異性化装置  6.2.1(3)と同じ。

6.3.2

操作  6.2.2(a)(c)に準じて,流量が最大活性の

2

1

となるまで操作を続ける。

6.3.3

計算  6.2.3(a)(c)に準じて,酵素活性を計算し,通液時間との間の対数回帰式を求める。初期活

性は,対数回帰式から通液開始時間(

0

時間)に補外した酵素活性をいう。活性半減期は,初期活性が

2

1

なる時間をいう。


6

K 7002-1988

6.4

生産性

6.4.1

試薬及び器具

(1)

ぶとう糖溶液(反応基質)(45

w

/

w

%)

  6.2.1(1)と同じ。

(2)

酵素剤  6.2.1(2)と同じ。

(3)

異性化装置  6.2.1(3)と同じ。

6.4.2

操作  6.2.2(a)(c)と同じ。

6.4.3

計算  次の式によってグルコース  イソメラーゼの生産性

  (P)

を求める。

þ

ý

ü

î

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ−

=

t

T

W

tSX

F

P

2

ln

exp

1

2

ln

0

ここに,

P

:  異性化率 0.45 としたときの酵素の生産性

F

0

:  初期活性に対応した流速(

7

)

 (ml/h)

W

:  酵素量 (g)

S

:  基質濃度 (g/ml)

T

:  運転時間 (h)

t

:  活性半減期 (h)

X

:  異性化率  (−)

(

7

)

  6.2.3

の計算式を用い,を初期活性とし,を0.45として を求め60倍したもの。

7.

表示  容器又は包装に,次の項目を表示する。

(a)

基質溶液に添加する薬剤の名称

(b)

基質溶液の pH

(c)

活性(液状製品に限る。

(d)

最大活性(固定化製品に限る。

(e)

活性半減期(固定化製品に限る。

(f)

製造業者名

(g)

製造年月日又は出荷年月日


7

K 7002-1988

“工業用グルコース  イソメラーゼ”素案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

中  里      敏

工業技術院化学技術研究所

(主査)

前  田  英  勝

工業技術院生物工業技術研究所

町  田  晴  夫

名糖産業株式会社八王子工場

島  田  光太郎

合同酒精株式会社研究開発部

小  林  文  男

合同酒精株式会社研究開発部

南      善  朗

ナガセ生化学工業株式会社福知山工場

松  平  昌  樹

参松工業株式会社

ステン  クヌーセン

ノボ・インダストリー・ジャパン株式会社技術サービス部

滝  嶋  匡  次

工業技術院標準部繊維化学規格課

飯  嶋  啓  子

工業技術院標準部繊維化学規格課

(事務局)

柴  田      雄

財団法人日本規格協会

(協力者)

中  村  厚  三

東京大学農学部

小  高  俊  彦

大和化成株式会社

バイオテクノロジー専門委員会  工業用グルコース  イソメラーゼ分科会  構成表

氏名

所属

(主査)

中  村  厚  三

東京大学農学部

清  水      信

財団法人バイオインダストリー協会

桜  井  俊  彦

工業技術院標準部

前  田  英  勝

工業技術院生物工業技術研究所

坂  口  博  脩

ノボ・インダストリー・ジャパン株式会社

島  田  光太郎

合同酒精株式会社

南      善  朗

ナガセ生化学工業株式会社

松  平  昌  樹

参松工業株式会社

菅  野  智  栄

昭和産業株式会社

三  輪  泰  造

日本食品化工株式会社


8

K 7002-1988

化学分析部会  バイオテクノロジー専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

鈴  木  周  一

埼玉工業大学

太  田  隆  久

東京大学

遠  藤      勲

理化学研究所

川  瀬      晃

工業技術院化学技術研究所

山  内  愛  造

工業技術院繊維高分子材料研究所

前  田  英  勝

工業技術院微生物工業技術研究所

岡  林  哲  夫

通商産業省基礎産業局

阿  部  英  郎

東洋エンジニアリング株式会社

冨  田  房  男

協和発酵工業株式会社

三  木  敬三郎

東亜燃料工業株式会社

池  永      裕

キリンビール株式会社

安  田  武  夫

ライフエンジニアリング株式会社

西  野  賢  貴

東レ株式会社

坂  田      衞

株式会社島津製作所

島  田  光太郎

合同酒精株式会社

仲      恭  寛

天野製薬株式会社

古  川  敬一郎

宝酒造株式会社

倉  林      肇

住友ベークライト株式会社

大  熊  道  雄

株式会社日立製作所

吉  崎  健  一

財団法人バイオインダストリー協会

桜  井  俊  彦

工業技術院標準部

(事務局)

和  田  靖  也

工業技術院標準部標準課

浦  野  四  郎

工業技術院標準部繊維化学規格課

飯  嶋  啓  子

工業技術院標準部繊維化学規格課