K 6828-1:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本エマルジョン工業会(JFIA)/財団法人 日
本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによってJIS K 6828は廃止され,JIS K 6828-1,JIS K 6828-2及びJIS K 6828-3に置き換えられる。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 1625:1998,Plastics−Polymer
dispersions−Determination of non-volatile matter (residue) at specified temperaturesを基礎として用いた。
JIS K 6828-1には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定)試験条件
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6828の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6828-1 不揮発分の求め方
JIS K 6828-2 白化温度及び最低造膜温度の求め方
JIS K 6828-3 粗粒子量(ろ過残さ)の求め方
K 6828-1:2003
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 原理 ······························································································································ 2
5. 装置 ······························································································································ 2
5.1 平底皿 ························································································································· 2
5.2 乾燥器 ························································································································· 2
5.3 分析用はかり ················································································································ 2
5.4 デシケータ ··················································································································· 3
6. サンプリング ·················································································································· 3
7. 手順 ······························································································································ 3
8. 結果の表し方 ·················································································································· 3
9. 精度 ······························································································································ 3
10. 試験報告書 ··················································································································· 4
附属書A(規定)試験条件 ····································································································· 5
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表···································································· 6
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日本工業規格 JIS
K 6828-1:2003
合成樹脂エマルジョン−
第1部:不揮発分の求め方
Plastics−Polymer dispersions−Determination of non-volatile matter
(residue) at specified temperatures
序文 この規格は,1998年に第2版として発行されたISO 1625 : 1998,Plastics−Polymer dispersions−
Determination of non-volatile matter (residue) at specified temperaturesを元に,技術的内容を変更して作成した
日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。変更の一覧表をそ
の説明を付けて,附属書1(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,合成樹脂エマルジョンの不揮発分を測定する方法について規定する。
この規格は,規定の試験条件下で化学的に安定なすべての合成樹脂エマルジョンに適用できる。また,
この規格は,充てん剤,顔料,その他の添加剤を含む合成樹脂エマルジョンの配合物にも適用できる。
備考1. 加熱時間を一定にすることが妥当であれば,合成ゴムラテックスにも適用できる(JIS K
6387-2では,試料2 gの加熱による質量減が0.5 mg以下となるまで乾燥を繰り返すと規定し
ている。)。
2. 合成樹脂エマルジョン又は合成ゴムラテックスの不揮発分は,基本的にポリマー成分と少量
の補助原料(乳化剤,保護コロイド,安定化剤,造膜助剤として添加される溶剤,濃縮ゴム
ラテックスの保存剤など)とから成る。可塑化された試料の場合,通常は可塑剤も不揮発分
に含める。
3. 不揮発分の測定に,赤外線又はマイクロ波照射による乾燥を利用することがあるが,これら
の方法は,はん用的でないため標準化されていない。ポリマーの組成によっては,処理中に
分解する傾向があり,不正確な結果となる。
4. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 1625:1998,Plastics−Polymer dispersions−Determination of non-volatile matter (residue) at
specified temperatures (MOD)
2
K 6828-1:2003
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2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング
備考 ISO 15528:2000,Paints, varnishes and raw materials for paints and varnishes−Samplingが,この規
格と一致している。
参考 ISO 1625では,ISO 842:1984を引用していたが,この規格は2000年に廃止され,ISO 15528
に置き換えられた。
JIS K 6387-1 ゴムラテックス−第1部:サンプリング
備考 ISO 123:1985,Rubber latex−Samplingが,この規格と一致している。
JIS K 6387-2 ゴムラテックス−第2部:全固形分の求め方
備考 ISO 124:1997,Latex, rubber−Determination of total solids contentからの引用事項は,この規格の
該当事項と同等である。
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 不揮発分(non-volatile matter) 規定の条件下で蒸発(乾燥)させて得られる残留分。
4. 原理 測定する試料に応じて規定の温度及び時間で,皿の中に薄く均一に塗布した試料を,乾燥器に
よって加熱乾燥する。測定は大気圧で行う。
用途によっては,真空中で乾燥するのが望ましい。その場合は,受渡当事者間で合意した条件,又はJIS
K 6387-2に規定する方法を使用する。
試料の不揮発分は,加熱乾燥前後の質量を測定することによって求める。
5. 装置
5.1
平底皿 直径70±10 mm,縁の高さが少なくとも5 mmの金属製の皿。アルミニウム製のふたが,
この目的に適している。
備考1. ゴムラテックスには,覆い付きの皿が望ましい。
2. 粘度の高い合成樹脂エマルジョン又はラテックスの場合,約70±10 mm×120±10 mmの大
きさに切り取った厚さ約0.1 mmのアルミニウムはくが推奨できる。これを半分に折り畳み,
静かに押し合わせて,試料を押し広げることができる。
3. 受渡当事者間の合意がある場合は,規定外の容器(例えば,直径50 mm程度の平底皿)を用
いてもよい。
5.2
乾燥器 選択した温度(附属書A参照)を±2 ℃に保持できるもの。受渡当事者間で,他方式(例
えば,自然対流式)の乾燥器を使用すると合意している場合を除き,強制循環式の乾燥器を使用する。複
数の受渡当事者間で測定を行う場合は,同一方式の乾燥器を使用する。
備考 揮発性の引火性物質を含んでいる合成樹脂エマルジョン及びラテックスは,爆発又は引火を避
けるため注意して取り扱い,国の法規制に従う。
5.3
分析用はかり 0.1 mgまで読み取れるもの。
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K 6828-1:2003
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5.4
デシケータ 適切な乾燥剤,例えば,塩化コバルトを含浸させたシリカゲルなどを入れたもの。
6. サンプリング 測定用の試料は,JIS K 6387-1又はJIS K 5600-1-2で規定する方法のいずれかによっ
て採取する。
7. 手順 測定は2回行う。
平底皿(5.1)を脱脂し,清浄にする。平底皿を乾燥器(5.2)中で選択した温度及び時間(附属書A参
照)で乾燥し,デシケ−タ(5.4)中で常温まで放冷する。
試料1.0±0.2 g(m0)を1 mgの精度で平底皿にはかりとり,均一に広げる。
受渡当事者間の合意があれば,試料の量は1 g以外でもよいが,2.5 gを超えてはならない。
0.1 mgまでの精度でひょう量するときは,試料の量は0.2〜0.4 gの範囲でもよい。この場合,附属書A
に規定する乾燥時間は,同じ結果が得られることが同種の試料で確認済みであれば,短縮してもよい。
試料の量が1 g以外の場合は,このことを試験報告書に記録する。
粘度の高い,又は皮張りしやすい試料の場合は,風袋としてひょう量済みの針金(例えば,塗装してい
ないペ−パークリップ)で試料を均一に塗り広げるか,アルミニウムはく(5.1備考2.参照)を使用する。
備考 試料を均一に塗り広げるため,試料の2分の1から同量程度の量のイオン交換水又は同等の純
度の水で薄めてもよい。
合成樹脂エマルジョン又はラテックスは,加熱時に表面の皮張りが破裂し,試料が飛び散ることがある
ので,試料の厚さは,可能な限り薄くする。
あらかじめ設定温度まで昇温した乾燥器に,試料入りの平底皿を移し,その中で規定時間(附属書A参
照)放置する。
乾燥終了後,平底皿をデシケ−タ中に移し,室温まで放冷する。平底皿を蒸発残留分とともに1 mgま
でひょう量する。
8. 結果の表し方 不揮発分Nは次の式によって算出し,試料に対する質量分率(%)で表示する。
100
0
1
0
2
×
=
m
m
m
m
N
−
−
ここに,
N: 不揮発分(%)
m0: 平底皿の質量(g)
m1: 平底皿と試料との質量(g)
m2: 平底皿と蒸発残留分との質量(g)
2個の測定値の差が0.5 %を超える場合(例えば,53.7 %及び53.1 %),この測定値を破棄し,差が0.5 %
以内となるまで,7.を繰り返す。
2個の有効な測定値の平均値を算出し,JIS Z 8401によって,小数点以下1けたに丸める。
9. 精度 規定する手順に正確に従えば,次の精度で試験結果を得ることができる。
a) 繰返し精度 同一試料を,同一装置で,同一測定者が測定した場合の試験結果の差は0.6 %未満であ
る。
b) 再現精度 同一試料を,別の試験室で,別の測定者が測定した場合の試験結果の差は1 %未満である。
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10. 試験報告書 試験報告書には,次の事項を含める。
a) この規格の番号
b) 試料の特定に必要なすべての情報
c) 測定条件(乾燥温度及び時間)
d) 試料の量
e) 試験結果
f)
規定の方法と異なる事項
g) 試験中に認められた異常現象
h) 試験年月日及び場所
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K 6828-1:2003
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附属書A(規定)試験条件
製品の不揮発分は絶対的な値ではなく,多くの場合,測定時の加熱温度と時間とに依存する。熱分解及
び低分子量成分,可塑剤の蒸発,又は何らかの添加剤による残留溶剤のために,不揮発分の測定値は相対
的であり,真の値ではない。
したがって,不揮発分の測定条件は,合成樹脂エマルジョン又はラテックスの種類に応じて,受渡当事
者間の合意によって,表A.1に示す条件の中から選択する。
表 A.1
条件
加熱時間
h
温度
℃
A
B
C
D
2
1
1
0.5
80
105
125
140
備考 真空乾燥機を用いると条件が大幅に変化するため,この附属書で規定する範囲には含めない(本
体4.を参照)。
6
K 6828-1:2003
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附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6828-1:2002 合成樹脂エマルジョン−第1部:不揮発分の求め方
ISO 1625:1998 プラスチックス−ポリマー分散液−規定温度における不揮
発分(加熱残分)の求め方
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ご
との評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
合成樹脂エマルジョ
ン
ISO 1625
1.
ポリマー分散液
IDT
−
2.引用規格
JIS K 5600-1-2
JIS K 6387-1
JIS K 5387-2
JIS Z 8401
2.
ISO 123:1985
ISO 124:1997
ISO 842:1984
MOD/追加
IDT
IDT
MOD/追加
MOD/削除
JIS K 5600-1-2は,ISO 842
を改正したISO 15528:2000
に対応している。技術的差異
はない。
JIS Z 8401を追加
ISO 842は,現在ISO 15528
に改正されているため,削
除。
3.定義
不揮発分
3.
JISに同じ
IDT
−
4.原理
試料を規定された乾
燥条件下で乾燥し,乾
燥前後の質量を測定
する。
4.
JISに同じ
IDT
−
6
K
6
8
2
8
-1
:
2
0
0
2
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K 6828-1:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ご
との評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
5.装置
乾燥器:強制循環式乾
燥器
試料採取容器:70±10
mm径の縁付き平底皿
(縁なし平底皿や方
形のアルミニウムは
くを折りたたんだも
のも使用できる。)
規定外の径の容器は,
受渡当事者間の合意
による。
5.
JISに同じ
MOD/追加
旧JISで規定されていた“50
mm径の平底皿”も,受渡当
事者間の合意によって採用
できることを備考として追
加。
旧JISとの継続性を考慮して追
加したもの。
次回改正時に見直しを検討す
る。
6.サンプリン
グ
JIS K 6387-1又はJIS
K 5600-1-2の方法
6.
ISO 123又はISO
842の方法
MOD/変更
ISO 842は,ISO 15528:2000
に改正され,JIS K 5600-1-2
が対応している。技術的差異
はない。
7.手順
試料のはかり込み,乾
燥及び質量の測定方
法
7.
JISに同じ
MOD/追加
“必要に応じて水で薄めて
もよい”という手順をJIS
に追加。
試料が高粘度な場合に,均一に
乾燥しやすくするために追加。
8.結果の表し
方
二つの平均を取り,
0.1 %まで記録する。
8.
JISに同じ
MOD/変更
JISでは,数値の丸め方は,
JIS Z 8401によるとした。
9.精度
繰返し精度0.6 %,再
現精度1 %
9.
JISに同じ
IDT
−
10.試験報告書
規定する8項目を含
む。
10.
JISに同じ
IDT
−
附属書A(規
定)
試験条件
Annex A
JISに同じ
IDT
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
7
K
6
8
2
8
-1
:
2
0
0
2
8
K 6828-1:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
8
K
6
8
2
8
-1
:
2
0
0
2