K 6347-1
:2003
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ゴム工業会
(JRMA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 6347-1:1999 は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS K 6347
の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6347-1
第 1 部:自動車,一般設備及び一般家庭用
JIS K 6347-2
第 2 部:バルク輸送用
JIS K 6347-3
第 3 部:充てん用ホース及びホースアセンブリ
K 6347-1
:2003
(2)
目 次
ページ
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
種類
1
4.
品質
2
4.1
外観
2
4.2
性能
2
5.
構造
4
6.
寸法
4
7.
最小曲げ半径
4
8.
測定及び試験方法
4
8.1
内径の測定
4
8.2
外径の測定
4
8.3
耐圧性試験
4
8.4
低温曲げ試験
5
8.5
外面層の静的オゾン劣化試験
6
8.6
ガス透過試験
6
8.7
ホース引張試験
7
8.8
耐 LP ガス性試験
7
8.9
ゴム層の引張試験
7
8.10
ゴム層の老化試験
7
8.11
ゴム層の浸せき試験
7
9.
表示
7
JIS K 6347-1
:2003
(1)
日本工業規格
JIS
K
6347-1
:2003
液化石油ガス用ゴムホース(LPG ホース)―
第 1 部:自動車,一般設備及び一般家庭用
Rubber hoses for liquefied petroleum gases (LPGs)
―Part 1 : Automobile,
General equipment and home application
―Specification
1.
適用範囲 この規格は,液化石油ガス(LP ガス)を供給することを目的に,自動車,一般設備及び一般
家庭用に使用する可とう性ゴムホースの要求事項について規定する。
この規格で規定するホースの最高使用圧力は,自動車用高圧ホースについては 2.12 MPa,一般設備用高
圧ホースについては 1.8 MPa 及び低圧ホースについては 0.3 MPa とし,使用温度範囲は,一般設備用高圧
ホース及び低圧ホースについては−25 ℃〜+40 ℃,並びに自動車用高圧ホースについては−30 ℃〜+
60
℃とする。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS K 6251
加硫ゴムの引張試験方法
JIS K 6257
加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−熱老化特性の求め方
JIS K 6258
加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐液性の求め方
JIS K 6330-1
ゴム及びプラスチックホース試験方法−第 1 部:ホース及びホースアセンブリの寸法
測定
JIS K 6330-2
ゴム及び樹脂ホース試験方法−第 2 部:耐圧性試験
JIS K 6330-4
ゴム及びプラスチックホース試験方法−第 4 部:低温雰囲気下における柔軟性
JIS K 6330-7
ゴム及び樹脂ホース試験方法−第 7 部:外面層の静的オゾン劣化試験
3.
種類 ホースの種類は,最高使用圧力及び用途によって表 1 のとおり区分する。
K 6347-1
:2003
(2)
表 1 ホースの種類
種類
略号
用途
自動車用 A
自動車の充てん口と LP ガス容器との間又は LP ガス容器と調整器との間に使用する高
圧用。
高圧ホース
一般設備用 H 一般設備,一般家庭用の LP ガス容器などと圧力調整器との間に使用する高圧用。
低圧ホース HL
一般家庭用の圧力調整機器と消費設備との間に使用する低圧用。
4.
品質
4.1
外観 ホースは,たわみ性に富み,内径,肉厚ともに均整で,きず,気泡,き裂,その他使用上の
支障があってはならない。
4.2
性能 ホースは,表 2〜4 の規定に適合しなければならない。
表 2 自動車用高圧ホース(A)
試験項目
性能
主な試験条件
適用箇
条
耐圧試験圧力
漏れ,局部的膨れなどの異
状があってはならない。
3.6 MPa
の圧力で 5 分間
8.3.1
最小破裂試験圧力 9.0
MPa
以下の圧力で破裂
してはならない。
加圧速さ毎分 49 MPa 以下
8.3.2
耐圧性試験
気密試験
漏れなどの異状があって
はならない。
2.12 MPa
の圧力で 3 分間
8.3.3
低温曲げ試験
低温で曲げたとき,ひび割
れその他の異状があって
はならない。
耐圧試験圧力をしたとき,
水漏れ,局部的膨れなどの
異状があってはならない。
0
5
30
−
−
℃,5 時間後
表 7 の
最 小 曲 げ 半 径 で 曲 げ た 後
に,耐圧試験圧力
8.4.1
外面層の静的オゾン劣化試験
き裂が発生してはならな
い。
呼び径 12 以下の場合,
表 7
の最小曲げ半径で曲げ,試
験時間は 96 時間。
呼び径 15 以上の場合,20%
の伸びを与え,試験時間は
72
時間。
8.5
ホース
ホースの引張試験(
1
)
膨れなどの異状があって
はならない。
荷重 1 kN,5 分後に気密試
験
8.7
引張強さ
MPa
8.0
以上
−
引張試験
切断時伸び % 200
以上
−
8.9
ゴム層
老化試験
引張強さ変化率 %
−25 以下 70±1 ℃,96 時間
8.10
引張強さ変化率 % 40
以下
内面ゴム
浸せき試験
体積変化率 %
+10〜−3
イソオクタン
23
±2 ℃,
2
0
70
+
時間
8.11.1
注(
1
)
ホースの引張試験は,呼び径 12 以下のホースについて行う。
K 6347-1
:2003
(3)
表 3 一般設備用高圧ホース(H)
試験項目
性能
主な試験条件
適用箇条
耐圧試験圧力
漏れ,局部的膨れなどの異
状があってはならない。
2.7 MPa
の圧力で 1 分間
8.3.1
耐圧性試験
気密試験
漏れなどの異状があっては
ならない。
1.8 MPa
の圧力で 30 秒間
8.3.3
低温曲げ試験
割れなどの異状があっては
ならない。
0
5
25
−
−
℃,24 時間後折
り曲げ
8.4.2
外面層の静的オゾン劣化試験
き 裂 が 発 生 し て は な ら な
い。
呼び径 12 以下の場合,
表 7 の最小曲げ半径で曲
げ,試験時間は 96 時間。
呼び径 15 以上の場合,
20
%の伸びを与え,試験
時間は 72 時間。
8.5
ガス透過試験 ml/m・h 30
以下
ブタンガス
5
0
45
+
℃,120 時間
8.6.1
ホースの引張試験(
1
)
膨れなどの異状があっては
ならない。
荷重 1 kN,5 分後に気密
試験
8.7
ホース
耐 LP ガス性試験
内面ゴムにぜい化,膨潤,
軟化などの異状があっては
ならない。
−20
0
5
−
℃及び 40
5
0
+
℃
LP
ガス混合液 24 時間
8.8
引張強さ
MPa
8.0
以上
−
引張試験
切断時伸び % 200
以上
−
8.9
ゴム層
老化試験
引張強さ変化率 %
−25 以下 70±1 ℃,96 時間
8.10
内面ゴム
浸せき試験
抽出物の質量割合 %
2.0
以下
イソオクタン 40±1 ℃
96
2
0
+
時間
8.11.2
表 4 低圧ホース(HL)
試験項目
性能
主な試験条件
適用箇条
耐圧試験圧力
漏れ,局部的膨れなどの異
状があってはならない。
0.8
MPa
の圧力で 1 分間
8.3.1
耐圧性試験
気密試験
漏れなどの異状があっては
ならない。
0.3 MPa
の圧力で 1 分間
8.3.3
低温曲げ試験
割れなどの異状があっては
ならない。
−25
0
5
−
℃,24 時間後折
り曲げ
8.4.2
外面層の静的オゾン劣化試験
き 裂 が 発 生 し て は な ら な
い。
50
±5 pphm,40±2 ℃,
表 7 の最小曲げ半径で曲
げ,96 時間
8.5
ガス透過試験 ml/m・h
呼び径 10
呼び径 14
呼び径 20
5
以下
7
以下
7
以下
プロパンガス 35±5 ℃,
60
±1 kPa
30
時間
8.6.2
ホース
ホースの引張試験(
1
)
膨れなどの異状があっては
ならない。
荷重 1 kN,5 分後に気密
試験
8.7
引張強さ
MPa
8.0
以上
−
引張試験
切断時伸び % 200 以上
−
8.9
ゴム層
老化試験
引張強さ変化率 %
−25 以下 70±1 ℃,96 時間
8.10
内面ゴム
浸せき試験
体積変化率 %
+10〜−3
−20
0
5
−
℃及び 40
5
0
+
℃
LP
ガス混合液 24±0.25
時間
8.11.3
K 6347-1
:2003
(4)
5.
構造 ホースの構造は,その用途に適合するものであって,内面ゴム層,補強層及び外面層からなる。
外面層は,ゴム,繊維,その他の材料からなり,外面層がゴムの場合はプリッキング加工(
2
)
を行う。
注(
2
)
プリッキング加工とは,ガスが内面ゴム層を透過して補強層にたまるのを防ぐため,外面ゴム
層及び補強層に達するまで一定の間隔に孔あけ加工を行うことをいう。
6.
寸法 ホースの寸法は,呼び径で表し,内径,内径許容差及び外径は,表 5 及び表 6 による。
表 5 高圧ホース
単位 mm
呼び径
内径
内径の許容差
外径
5 4.8
±0.5 17 以下
6 6.3
±0.5 18 以下
9 9.5
±0.5 23 以下
12 12.7
±0.5 28 以下
15 15.9
±0.7 31 以下
19 19.0
±0.7 34 以下
25 25.4
±0.7 50 以下
表 6 低圧ホース
単位 mm
呼び径
内径
内径の許容差
外径
10 10.0
±0.5 19 以下
14 14.5
±0.5 24 以下
20 19.5
±0.7 31 以下
7.
最小曲げ半径 ホースは,表 7 の最小曲げ半径に曲げることができるものとする。
なお,最小曲げ半径は,ホースの内側で測定する。
表 7 最小曲げ半径
単位 mm
高圧ホース
低圧ホース
呼び径
5 6 9 12 15 19 25 10 14 20
最小曲げ半径 90
110
140
170
210
240
350
140
180
210
8.
測定及び試験方法
8.1
内径の測定 ホースの内径の測定は,JIS K 6330-1 の 4.(内径)の方法による。
8.2
外径の測定 ホースの外径の測定は,JIS K 6330-1 の 5.(外径)の方法による。
8.3
耐圧性試験
8.3.1
耐圧試験圧力 耐圧試験圧力は,JIS K 6330-2 の 7.1(耐圧試験)の方法による。この場合,試験
圧力及び保持時間は,
表 8 による。
K 6347-1
:2003
(5)
表 8 耐圧試験圧力
種類
試験圧力
MPa
保持時間
min
自動車用 3.6
5
高圧ホース
一般設備用
2.7 1
低圧ホース 0.8 1
8.3.2
最小破裂試験圧力 ホースの最小破裂試験圧力は,JIS K 6330-2 の 7.3(最小破裂試験圧力)の方
法によって行う。この場合,加圧速さは,毎分 49 MPa 以下とする。
8.3.3
気密試験 ホースの気密試験は,JIS K 6330-2 の 7.5.1(A 法)の方法によって行う。この場合,試
験圧力及び保持時間は,
表 9 による。
表 9 気密試験
種類
試験圧力
MPa
保持時間
min
自動車用 2.12
3
高圧ホース
一般設備用
1.8 0.5
低圧ホース 0.3 1
8.4
低温曲げ試験
8.4.1
自動車用高圧ホースの低温曲げ試験 試験は,JIS K 6330-4 の 4.(B 法―低温曲げ試験)による。
この場合,試験温度及び保持時間は,
表 10 によって行い,ホースの曲げ半径は表 7 による。また,耐圧試
験圧力は
表 8 による。
表 10 試験温度及び保持時間
種類
試験温度
℃
保持時間
h
自動車用
−30
0
5
−
5
8.4.2
一般設備用高圧ホース及び低圧ホースの低温曲げ試験 ホースから長さ約 70 mm の試料を採り,
図 1 に示すように試料の一端から約 50 mm まで切ったものを試験片とする。試験片を−25
0
5
−
℃の低温恒温
槽に 24 時間放置した後取り出し,直ちに試験片を
図 1 b) に示すように折り曲げ,割れなどの異状の有無
を調べる。
K 6347-1
:2003
(6)
図 1 低温曲げ試験の折り曲げ
8.5
外面層の静的オゾン劣化試験 ホース外面層の静的オゾン劣化試験は,JIS K 6330-7 の 7.4(D 法)
の方法によって行う。この場合,曲げ半径は
表 7 に規定する最小曲げ半径とし,試験時間は 96 時間とす
る。ただし,呼び径 15 以上のものについては,JIS K 6330-7 の 7.3(C 法)によって試験片に 20 %の伸び
を与え,試験時間は 72 時間とする。
8.6
ガス透過試験
8.6.1
高圧ホースのガス透過試験 試験片は,自由長さ 500 mm となるように両端に金具を取り付けたも
のとする。試験片内の空気を純度 98 %以上のブタンガスで置き換え,
図 2 に示すような試験装置に取り
付け,試験温度を 45
5
0
+
℃に保ち,ボンベのバルブを開放した状態で 120 時間保持する。その後,捕集瓶を
用いて 1 時間後に試験片から透過するガスを集め,メスシリンダーでガス量を測定し,1 m 当たりの透過
量(ml)を求める。
ガスボンベ
導管
恒温水槽
試験片
水
捕集瓶
栓
自由長
図 2 高圧ホースのガス透過試験装置の一例
8.6.2
低圧ホースのガス透過試験 試験片は,自由長さ 900 mm とする。試験片内の空気を純度 98 %以
上のプロパンガスで置き換え,
図 3 に示すような試験装置に取り付けて試験温度を 35±5 ℃に保ち,プロ
パンガスの圧力を 60±1 kPa で 24 時間保持する。その後,捕集瓶を用いて 6 時間に試験片から透過するガ
スを集め,メスシリンダーでガス量を測定して 1 時間当たりの透過量(ml)を求める。
約 45°
7
0
m
m
5
0
m
m
a)
試験片
b)
折り曲げた状態
K 6347-1
:2003
(7)
ガスボンベ
導管
恒温水槽
試験片
水
捕集瓶
栓
自由長
R
三方コック
圧力調整器
水銀圧力計
図 3 低圧ホースのガス透過試験装置の一例
8.7
ホース引張試験 ホースの引張試験は,ホースの一端を固定し,他端に 1 kN の力を 5 分間かけた後,
目視で異状の有無を確認し,8.3.3 に規定する気密試験を行って,漏れ,その他の異状の有無を調べる。
8.8
耐 LP ガス性試験 ホースの耐 LP ガス性試験の試験片は,8.4.2 と同じようなものを用いる。試験片
を LP ガス混合液(
3
)
に−20
0
5
−
℃及び 40
5
0
+
℃で 24 時間,それぞれ浸せきした後取り出し,試験片を 8.4.2 の
図 1 b) と同じように折り曲げ,内面ゴムのぜい化,膨潤,軟化などの異状の有無を目視によって調べる。
注(
3
) LP
ガス混合液の質量割合は,通常プロパン 70 %,プロピレン 25 %及びブタジエン 5 %とす
る。
8.9
ゴム層の引張試験 ゴム層の引張試験は,JIS K 6251 の方法による。
8.10
ゴム層の老化試験 ゴム層の老化試験は,JIS K 6257 の方法によって,引張強さの変化率を測定す
る。この場合,試験温度は 70±1 ℃,試験時間は 96 時間とする。
8.11
ゴム層の浸せき試験
8.11.1
引張強さの変化率及び体積変化率 浸せき試験後の引張強さの変化率は,JIS K 6258 の 5.5.2 の e)
(引張強さ変化,切断時伸び及び引張応力変化の測定)の方法によって行い,変化率は 5.6.5(浸せき後の
引張強さ,切断時伸び及び引張応力の変化率)によって求める。体積変化率は 5.5.2 の a)(質量変化及び
体積変化の測定)の方法によって行い,変化率は 5.6.1(質量変化及び体積変化率)によって求める。この
場合,試験用油はイソオクタン 100 %とし,試験温度は 23±2 ℃,試験時間は 70
2
0
+
時間とする。
8.11.2
抽出物の質量測定及び割合 抽出物の質量測定は,JIS K 6258 の 5.5.2 の d)(抽出物の質量測定)
の方法によって行い,5.6.4(抽出物の質量割合)によって抽出物の質量割合を求める。この場合,試験用
油はイソオクタン 100%とし,試験温度 40±1 ℃,試験時間 96
2
0
+
時間とする。
8.11.3
LP
ガス混合液浸せき試験 LP ガス混合液浸せき試験は,LP ガス混合液(
3
)
に−20
0
5
−
℃及び 40
5
0
+
℃
で 24 時間±0.25 時間,
それぞれ浸せきした後取り出し,
直ちにデシケータに入れ約 40 分間室温で放冷し,
30
分以内に試験片の質量をはかり,JIS K 6258 の 5.6.1(質量変化率及び体積変化率)によって体積変化率
を求める。
9.
表示 ホースには,少なくとも 1m ごとに,最小限,内容が明りょう,かつ,容易に消えない方法で
表示する。
a
)
品名又はその略号
b
)
呼び径
K 6347-1
:2003
(8)
c
)
製造業者名又はその略号
d
)
製造年月又はその略号