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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 5950-1979 

精製漆 

Refined Rhus Lacquer 

1. 適用範囲 この規格は,精製漆及びその試験方法について規定する。 

引用規格: 

JIS K 1409 化繊用二酸化チタン 

JIS K 8101 エチルアルコール (99.5) エタノール (99.5) (試薬) 

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(無水)(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

2. 用語の意味 

2.1 

精製漆 原料漆液を用途に応じて適当に処理加工したもの。 

(1) 生漆 本品は,原料漆液から異物をこし除いたもので,1級は最も良質の原料漆を用い,主として美

術漆工芸並びに高級漆器の下地及びろいろ塗みがきのすり塗などに用いられ,2級以下は下地・ふき

漆・木材の防水防腐・金属の防せい,染色型紙などに用いる。 

(2) なしじ漆 本品は,原料漆のうち最も良質のものを用い,透明度を高め黄色をおびさせるため,雌黄

又はその他の色材を適当に加え,なやしとくろめを行って仕上げ,主としてなしじ塗(金,銀,すず

粉などの上に塗る)又は木目を表す研摩塗にも用いる。 

(3) 透ろいろ漆 本品は,透明な良好の原料を用い,主として各種顔料・染料を混入して彩漆又は木目を

表す研摩塗に用いる。 

(4) 透つや漆 本品は,透明度の良好な原料漆を用い,必要な補助剤を適当に加えたもので,透明の仕上

塗(研摩しないもの)及び各種彩漆に用いる。 

(5) 透はく下漆 本品は,主として金,銀,すずはくなどをはりつける下塗に用いる。 

(6) 透中塗漆 本品は,主として透明塗の中塗に用いる。 

(7) 透つや消漆 本品は,透明のつや消塗に用いる。 

(8) 黒ろいろ漆 本品は,良質の原料漆を用い,黒色研摩仕上塗に用いる。 

(9) 黒つや漆 本品は,黒色の上塗に用いる。 

(10) 黒はく下漆 本品は,主として金,銀,すずはくをはりつける下塗に用いる。 

(11) 黒中塗漆 本品は,主として中塗に用いる。 

(12) 黒つや消漆 本品は,黒色のつや消の上塗に用いるもので,比較的つやのない原料を用いる。 

2.2 

原料漆液 原料漆液とは,漆科植物の樹幹から採集したままの漆液をいう(この漆液は空気中に放

置すると乾燥皮膜を形成し,その主成分は2個の水酸基を有する多価フェノールである)。 

2.3 

なやし なやしとは,精製漆の乾燥皮膜に光沢又は肉のりを与えるため,かき混ぜて練る操作をい

う。 

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2.4 

くろめ くろめとは,原料漆液をかき混ぜながらその表面に放射熱を与えて水分を除去することで,

精製漆の種類により,必要な補助剤を加えることがある。 

3. 種類 精製漆の種類は,次のとおりとする。 

(1) 生漆 生漆1級 

  生漆 2級 

  生漆 3級 

  生漆 4級 

(2) 透漆 

なしじ漆 

1級 

なしじ漆 

2級 

透ろいろ漆 

1級 

透ろいろ漆 

2級 

透つや漆 

1級 

透つや漆 

2級 

透つや漆 

3級 

透つや漆 

4級 

透はく下漆 

1級 

透はく下漆 

2級 

透中塗漆 

1級 

透中塗漆 

2級 

透つや消漆 

1級 

透つや消漆 

2級 

(3) 黒漆 

黒ろいろ漆 

1級 

黒ろいろ漆 

2級 

黒つや漆 

1級 

黒つや漆 

2級 

黒つや漆 

3級 

黒つや漆 

4級 

黒はく下漆 

1級 

黒はく下漆 

2級 

黒中塗漆 

1級 

黒中塗漆 

2級 

黒つや消漆 

1級 

黒つや消漆 

2級 

4. 品質 

4.1 

生漆 生漆は,原料漆液から固形物を除いたもので,表1の規定に合格しなければならない。 

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表1 

試験項目 

 
種類 

乾燥時間 

硬化時間 

分析試験 

加熱減量 

滴定量 

ml 

含窒素物 

ゴム質 

生漆 1級 

 6以内 

 5以内 

28以下 

2.5以上 

1.5〜5.0 

7.0以下 

生漆 2級 

 8以内 

 7以内 

30以下 

2.4以上 

1.5〜5.0 

10.0以下 

生漆 3級 

10以内 

 9以内 

35以下 

2.2以上 

1.5〜5.0 

13.0以下 

生漆 4級 

12以内 

10以内 

38以下 

1.7以上 

1.5〜5.0 

18.0以下 

4.2 

透漆 透漆は,原料漆液になやし及びくろめの操作を行った後固形物を除いたもので,表2の規定

に合格しなければならない。 

表2 

試験項目 

 
種類 

塗膜試験 

透明度試験 

乾燥時間 

みがき試験 

分析試験 

加熱減量 

滴定量 

ml 

なしじ漆  1級 

合格 

合格 

18以内 

合格 

3〜6 

3.0以上 

なしじ漆  2級 

合格 

合格 

18以内 

合格 

3〜6 

2.7以上 

透ろいろ漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

合格 

3〜6 

3.2以上 

透ろいろ漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

合格 

3〜6 

2.9以上 

透つや漆  1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

透つや漆  2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

透つや漆  3級 

合格 

合格 

12以内 

− 

3〜6 

2.1以上 

透つや漆  4級 

合格 

合格 

12以内 

− 

3〜6 

1.9以上 

透はく下漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

透はく下漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

透中塗漆  1級 

合格 

合格 

 8以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

透中塗漆  2級 

合格 

合格 

 8以内 

− 

3〜6 

2.2以上 

透つや消漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

透つや消漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

4.3 

黒漆 黒漆は,原料漆液になやし及びくろめの操作を行い,鉄粉又は水酸化鉄で着色した後固形物

を除いたもので,表3の規定に合格しなければならない。 

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表 3 

試験項目 

 
種類 

塗膜試験 

黒み試験 

乾燥時間 

みがき試験 

分析試験 

加熱減量 

滴定量 

ml 

黒ろいろ漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

合格 

3〜6 

3.2以上 

黒ろいろ漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

合格 

3〜6 

2.9以上 

黒つや漆  1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

黒つや漆  2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

黒つや漆  3級 

合格 

合格 

12以内 

− 

3〜6 

2.1以上 

黒つや漆  4級 

合格 

合格 

12以内 

− 

3〜6 

1.9以上 

黒はく下漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

黒はく下漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

黒中塗漆  1級 

合格 

合格 

8以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

黒中塗漆  2級 

合格 

合格 

8以内 

− 

3〜6 

2.2以上 

黒つや消漆 1級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.6以上 

黒つや消漆 2級 

合格 

合格 

10以内 

− 

3〜6 

2.4以上 

5. 試料採取方法 試験を行う精製漆100kg又はその端数ごとに容器1個を任意に抜き取り,各容器の中

身を十分に混合してから,その中から約100gずつをとり,これを合わせてよく混和し,その50gをJIS R 

3503(化学分析用ガラス器具)に規定する広口共せんびん60mlに入れ,密せんして試験を行う場所に送

る。 

6. 試験方法 

6.1 

試験の条件 乾燥試験,塗膜試験,透明度試験及びみがき試験に用いる試験片は,温度20℃,湿度

80%の状態で乾燥させたものとする。硬化試験に用いる試験片は,温度20℃,湿度70%の室内で乾燥させ

たものとする。 

見本品は当事者の間で選んだもので,この規格で見本品と比べて行う試験以外の他の試験に合格したも

のでなければならない。 

6・2 乾燥時間 試料を清浄なガラス板 (165×60mm) に漆はけ(1)で1dm2について約0.6gの割合でなるべ

く均等の厚さに塗り,6.1に規定した条件で塗面を水平に置き,この規格に規定した乾燥時間の最長限に達

したとき,直ちに指頭を塗面に触れてみて粘着性を感じないときは,試料は規定時間内に乾燥したものと

する。 

注(1) 試験に用いる漆はけは,人の頭髪で作られたもので,幅約30mmのものとする。 

6・3 硬化時間 質量で試料3.1gに対し,との粉(2)4.6gをガラス板上にとり,まずとの粉に水2.3gを加え,

へらで練り合わせた後これに試料を混合し,均等に練り合わせる。これを清浄な木板(3)に1dm2につき約

3gの割合で,なるべく均等な厚さにへらで塗り,この規格に規定した硬化時間の最長限に達したとき,直

ちに塗面を指のつめで押して,塗面に明らかなつめ跡を生じないときは,試料は規定時間内に硬化したも

のとする。 

注(2) 試験に使用するとの粉は,やましなとの粉とする。 

(3) 試験に使用する木板は,ひのき材又はかつら材とし,165×60×7mmの大きさのものとする。 

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6.4 

塗膜試験 6.2によって得た塗膜と同時に調製した見本品の塗膜とを比べてその状態を検査し,見本

品に比べて光沢及び平らさが劣らず,油のにじみ出る程度が大きくなく,かつ塗膜に小あなを生じないと

きは合格とする。 

6.5 

透明度試験 試料の質量1に対してJIS K 1409(化繊用二酸化チタン)に規定する二酸化チタンを

質量0.8の割合に採取して練り合わすと同時に見本品を同様の割合で練り合わせ,これを別々に漆はけ(1)

で清浄なガラス板 (165×60mm) に同じ厚さに塗り,塗面を下向きにして水平に置き,6.1の条件で24時

間を経てから塗面の色を検査し,見本品に比べて白さが少なくないときは合格とする。 

6.6 

黒み試験 黒漆では6.2によって得た塗膜と同時に調製した見本品の塗膜とを比べてその黒みを検

査し,見本品に比べて黒みが少なくないときは合格とする。 

6.7 

みがき試験 試料及び見本品を別々にすりガラス板に漆はけ(1)で1回塗り6.1の条件で72時間放置

した後,塗面をまず水とするが炭(4)とでとぎ,次に水とろいろ炭(5)とでとぎ,更になたね油ととの粉(2)を

のり状に練り合わせたものを木綿布につけて炭のとぎ跡のなくなるまでみがいた後,指頭にとの粉(2)を付

着させて塗面の油気を除いてから,面の状態を検査する。見本品に比べて光沢が悪くなく,その他の欠点

がないものを合格とする。 

注(4) するが炭は,あぶらぎり(やまぎり又はどくえともいう)から作られたもので,年輪面を平ら

にといで使用するものとする。使用のときはこの面を塗面に当て,直線的往復運動を行わせる。 

(5) ろいろ炭は,えごのき,さるすべり又はやまつばきから作られたもので,年輪面を平らにとい

で使用するものとする。使用のときはこの面を塗面に当て,円形運動を行わせる。 

6.8 

加熱減量 試料1gを質量既知のビーカー又は結晶ざら (25ml) にとり,かき混ぜながら水浴上で加

熱し,あわが全く消失するのを待って105〜l10℃に熱した恒温器に入れ,30分間加熱してからとり出して

デシケータ−中で冷却後ひょう量して減量を求め,次の式によって加熱減量の百分率を算出する。 

100

)g(

)g(

(%)

×

試料

減量

加熱減量

6.9 

滴定量 

6.9.1 

試料の調製(生漆・透漆) 6.8によって水分を除いたものに無水アルコール(6)20mlを加え,よく

かき混ぜて静置し不溶物を沈降させる。上澄液は傾斜法によって質量既知のろ紙でろ過し,この操作を繰

り返し,ろ過した液が着色しないようになったら,更にろ紙を無水アルコール(6)で洗う。ろ過した液と洗

液を合わせて無水アルコール(6)を加えて全容量を100mlとし,滴定量試験の試料とする。ろ紙の上の不溶

物は,このまま含窒素物及びゴム質の定量に用いる。 

6.9.2 

試料の調製(黒漆) 6.8によって水分を除いたものにエーテル20mlを加えて溶解し,濃塩酸を滴

加して黒みを消してから静置して不溶物を沈降させる。上澄液は傾斜法により,あらかじめ少量の水を入

れた分液漏斗中にろ紙でろ過して入れ,ろ過した液が着色しなくなるまでエーテルで洗う。エーテル層を

水で数回洗っかてからJIS K 8987〔硫酸ナトリウム(無水)(試薬)〕に規定する硫酸ナトリウムを加えて

脱水し,三角フラスコ中にろ紙でろ過し,エーテルを留出させ,エチルアルコールを加えて全容量を100 ml

とする。 

6.9.3 

試験方法 以上の方法によって得た生漆,透漆,黒漆などのアルコール溶液から20mlをガラス管

(7)にとり,無水アルコール(6)10mlを加え,N/4水酸化バリウム溶液を,この規格に示す滴定量の最少限だ

け加えて,せんをしてよく振り,管を直立静置して液の上層1〜2mmが透明となったとき,直ちに透過光

線によってその色を観察し,上澄液がわずかに紅色になるときは,滴定量は規定の数値に達しないものと

する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(6) 無水アルコールはJIS K 8101〔エチルァノレコール (99.5) エタノール (99.5) (試薬)〕に規定

するエチルアルコールを用いる。 

(7) ガラス管は内径約15mm,高さ約400mm,容量約60mlであって共せんのものとする。 

6.10 含窒素物 6.9で得た無水アルコール不溶物を熱湯で洗ってから105〜110℃で恒量になるまで乾燥

し,ろ紙上の残留物の量を求め,次の式により含窒素物の百分率を算出する。 

100

(g)

6.8

(g)

(%)

×

の採取試料

残留物

含窒素物

6.11 ゴム質 6.10で得た洗液を蒸発乾固し,105〜l10℃で恒量になるまで乾燥して残留物の量を求め,次

の式によってゴム質の百分率を算出する。 

100

(g)

6.8

(g)

(%)

×

の採取試料

残留物

ゴム質

参考 滴定量とウルシオール%又はラッコール%との対照表 精製漆の品位は滴定量で表す。滴定量

の1mlはウルシオール又はラッコール2.415%に相当するから,滴定量からウルシオール又はラ

ッコールの%を算出することができる。表4は滴定量0.6〜3.8mlに相当するウルシオール又は

ラッコールの%を示したものである。 

表4 

滴定量 

ml 

ウルシオール

又は 

ラッコ−ル 

滴定量 

ml 

ウルシオール

又は 

ラッコ−ル 

滴定量 

ml 

ウルシオール

又は 

ラッコ−ル 

0.6 

14 

1.7 

41 

2.8 

68 

0.7 

17 

1.8 

43 

2.9 

70 

0.8 

19 

l.9 

46 

3.0 

72 

0.9 

22 

2.0 

48 

3.1 

75 

1.0 

24 

2.1 

51 

3.2 

77 

1.1 

27 

2.2 

53 

3.3 

80 

1.2 

29 

2.3 

56 

3.4 

82 

1.3 

31 

2.4 

58 

3.5 

85 

1.4 

34 

2.5 

60 

3.6 

87 

1.5 

36 

2.6 

63 

3.7 

89 

1.6 

39 

2.7 

65 

3.8 

91