K 5629
:2010
(1)
まえがき
この追補は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,工業標準原案を具
して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正
したもので,これによって,JIS K 5629:2002 は改正され,一部が置き換えられた。
日本工業規格
JIS
K
5629
:2010
鉛酸カルシウムさび止めペイント
(
追補 1)
Calcium plumbate anticorrosive paint
(Amendment 1)
JIS K 5629:2002
を,次のように改正する。
2.
(引用規格)の JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性(キ
セノンランプ法)を,JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候
性及び促進耐光性(キセノンランプ法)に置き換える。
2.
(引用規格)の JIS K 5622 鉛丹さび止めペイントを,削除する。
6.14
(溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量)の“溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量は,この規格の
附属書による。”を,
“溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量は,
附属書 1(規定)
(溶剤不溶物中の鉛酸カ
ルシウムの定量)及び
附属書 2(規定)(溶剤不溶物の定量)による。”に置き換える。
附属書(規定)(溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量)を,附属書 1(規定)(溶剤不溶物中の鉛酸カル
シウムの定量)に置き換える。
附属書 2(規定)(溶剤不溶物の定量)を,附属書 1(規定)の次に追加する。
2
K 5629
:2010
附属書 1(規定) 溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量
1.
要旨 溶剤不溶物に,酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合液を加えて鉛酸カルシウムを溶かし,遊
離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して,対応する鉛酸カルシウムの量を溶剤不溶物中の質量
分率として求める。
2.
試薬 試薬は,次による。
a)
クロロホルムは,JIS K 8322 に規定するもの。
b)
酢酸は,JIS K 8355 に規定するもの。
c)
酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸溶液は,JIS K 8371 に規定する酢酸ナトリウム三水和物 30
g
に酢酸(1+1)(
1
)
25 ml
を加え,加熱して溶かした後,放冷する。別に,JIS K 8913 に規定するよう
化カリウム 2.4 g を水 2 ml に溶解して,先の溶液に加えて混合する。
d)
酢酸ナトリウム酢酸溶液(20
w
/
v
%
)は,JIS K 8371 に規定する酢酸ナトリウム三水和物 20 g を,酢
酸(1+19)(
2
)
に溶かして 100 ml にする。
e) 0.1
mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液
1) 0.1
mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液は,JIS K 8637 に規定するチオ硫酸ナトリウム 26 g と,JIS K 8625
に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.2 g とをはかりとる。溶存酸素を含まない水 1 000 ml に溶かし
てよく振り混ぜ,栓をして 2 日間放置後,上澄み液を取り,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液とす
る。
2) 0.1
mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液のファクタは,次によって標定し,計算式によって算出する。
標定は,JIS K 8005 に規定する,よう素酸カリウムを,温度約 130 ℃で 2 時間乾燥し,過塩素酸
マグネシウムを入れたデシケータの中で放冷する。共通すり合わせ三角フラスコ 200 ml に,よう素
酸カリウム 0.09 g∼0.11 g を正確にはかりとり,水 25 ml に溶かす。JIS K 8913 に規定するよう化カ
リウム 2 g と,JIS K 8951 に規定する硫酸を用いて調製した硫酸(1+5)5 ml とを加える。直ちに
栓をして,共通すり合わせの部分をよう化カリウム溶液(10
w
/
v
%
)で潤して密栓し穏やかに振り混
ぜた後,暗所に 5 分間放置する。0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,液が赤茶色からうす
い黄色になったとき,f)で規定するでんぷん溶液約 0.5 ml を加えて更に滴定を続け,液の色が青か
ら無色になったときを終点とする。別に,水 25 ml によう化カリウム 2 g と硫酸(1+5)5 ml とを
加え,この溶液について空試験を行う。
ファクタは,次の式によって算出する。
100
)
(
567
003
.
0
2
1
A
V
V
m
F
×
−
×
=
ここに,
F
:
0.1 mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液のファクタ
m
:
よう素酸カリウムの質量(g)
A
:
よう素酸カリウムの含量(%)
0.003 567
:
0.1 mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液 1 ml に相当する
よう素酸カリウムの質量(g)
V
1
:
滴定に要した 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の量
(ml)
V
2
:
空試験に要した 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の
量(ml)
3
K 5629
:2010
f)
でんぷん溶液は,JIS K 8659 に規定するでんぷん 1 g をはかりとり,水約 10 ml を加えて混和した後,
熱水 100 ml 中にかき混ぜながら加える。約 1 分間煮沸し,冷却した後,上澄み液を取るか又はろ紙で
ろ過する。使用の都度調製する。
注(
1
)
,(
2
)
酢酸(1+1)及び酢酸(1+19)は,2. b)の酢酸を用いて調製する。
3.
操作 操作は,次による。
a)
試料は,
附属書 2(規定)の溶剤不溶物の方法で得た溶剤不溶物を用いる。共通すり合わせ三角フラ
スコ 200 ml に鉛酸カルシウムとして約 0.4 g を含むように試料を正確にはかりとる。
b)
クロロホルム 7 ml と酢酸 3 ml との混合溶液を加えて,振り動かして試料を潤す。
c)
緩やかに振り動かして溶剤不溶物を液中に分散させた後,酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸
溶液を全量加える。
d)
フラスコの栓を残りの酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸溶液で潤し,密栓し 10 分間ときどき
振り動かす。
e)
鉛酸カルシウムが残っているときは,先端を平らにしたガラス棒で押しつぶして,鉛酸カルシウムの
色が見えなくなるまで完全に溶解する。
f)
酢酸ナトリウム酢酸溶液(20
w
/
v
%
)30 ml を加える。
g)
不溶物があるときは,ガラスろ過器 1G3 でろ過し,少量の酢酸ナトリウム酢酸溶液(20
w
/
v
%
)を用
いて洗う。ろ過する代わりに遠心分離機を用いてもよい。
h)
ろ液と洗液とを合わせ,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液が赤茶色からうすい黄色に
なったときにでんぷん溶液 0.5 ml を加え,
更に滴定を続けて,
青から無色になったときを終点とする。
i)
三角フラスコに栓をして激しく振り混ぜ,再び着色するときは更に滴定を続け,無色になるときを終
点とする。
4.
計算
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムは,次の式によって算出する。
100
57
017
.
0
×
×
×
=
m
F
V
A
ここに,
A
:
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウム(%)
V
:
滴定に要した 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の量
(ml)
F
:
0.1 mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液のファクタ
0.017 57
:
0.1 mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液 1 ml に相当する鉛酸
カルシウムの質量(g)
m
:
試料の質量(g)
4
K 5629
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附属書 2(規定) 溶剤不溶物の定量
1.
要旨 試料に溶剤を加えて溶剤可溶物を溶かし,遠心分離して得た固形物を溶剤不溶物として,これ
を試料中の質量分率として求める。
2.
装置及び器具 装置及び器具は,次による。
a)
遠心分離機は,3 000 min
−
1
∼15 000 min
−
1
の性能をもつもの。
b)
沈殿管は,ガラス製又はステンレス鋼製で底が丸く,容量が約 50 ml のもの。
3.
操作 操作は,次による。
a)
あらかじめ質量をはかった沈殿管に試料 10 g を正確にはかりとる。
b)
製品規格に規定する溶剤を,約 20 ml 加えて,ガラス棒でよく混合する。ガラス棒に付着した固形物
は,希釈用溶剤で沈殿管の中に洗い落とし(
1
)
,液量が沈殿管の約 4/5 になるまで溶剤を加える。
注(
1
)
ガラス棒に固形物が付着する場合には,ガラス棒と沈殿管とは,常に一緒にして質量をはか
る。
c)
沈殿管は,溶剤の蒸発を防ぐためにふたをした後,遠心分離機にかけ,3 000 min
−
1
∼4 000 min
−
1
で 20
分∼30 分間運転して分離する。ただし,カーボンブラック,クロム酸塩,有機顔料など分離しにくい
顔料を含む場合は,8 000 min
−
1
∼15 000 min
−
1
で 30 分間遠心分離機にかけ分離する。
d)
さらに,溶剤を毎回 30 ml ずつ用いて,b)及び c)によって,混合・沈殿・流出の操作を 3 回繰り返す。
e)
沈殿管の底を熱水の中に浸した後,木片に綿布を 5∼6 枚重ねた上に底を数回軽く打ち当て,この操作
を繰り返して沈殿物を内壁から離す。
f)
沈殿管を温度 105±2 ℃の乾燥器中で 2 時間乾燥し,デシケータ中で放冷した後,その質量をはかっ
て沈殿物の質量を求める。ただし,酸化銅(I)を含む場合は,溶剤不溶物を,温度 55±2 ℃の乾燥
器中で 30 分間乾燥し,デシケータ中で 24 時間放置して沈殿物の質量を求める。
g)
次に,得られた沈殿物を,めのう製乳鉢でよくすりつぶして均一にした後,はかり瓶に移し,温度 105
±2 ℃の乾燥器中で約 30 分間乾燥した後,溶剤不溶物の分析に用いる。
4.
計算 試料中の溶剤不溶物は,次の式によって算出する。
100
1
2
×
=
m
m
A
ここに,
A
:
溶剤不溶物(%)
m
2
:
沈殿物の質量(g)
m
1
:
試料の質量(g)