K 5629 : 2002
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本塗料
工業会 (JPMA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これ
によって JIS K 5629 : 1992 は,改正され,この規格に置き換えられる。
JIS K 5629 : 2002
には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量
日本工業規格
JIS
K
5629
: 2002
鉛酸カルシウムさび止めペイント
Calcium plumbate anticorrosive paint
1.
適用範囲 この規格は,主として亜鉛めっき鋼製品の地肌塗りに用いる鉛酸カルシウムさび止めペイ
ントについて規定する。
備考 この規格で規定する鉛酸カルシウムさび止めペイントは,さび止め顔料として鉛酸カルシウム
をワニスで練り合わせて作った液状の酸化によって自然乾燥する塗料で,はけ塗り又は吹付け
塗りに適している。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS G 3141
冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3302
溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
JIS G 3303
ぶりき及びぶりき原板
JIS G 4401
炭素工具鋼鋼材
JIS K 2235
石油ワックス
JIS K 5500
塗料用語
JIS K 5516
合成樹脂調合ペイント
JIS K 5600-1-1
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 1 節:試験一般(条件及び方法)
JIS K 5600-1-2
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 2 節:サンプリング
JIS K 5600-1-3
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 3 節:試験用試料の検分及び調整
JIS K 5600-1-4
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 4 節:試験用標準試験板
JIS K 5600-1-5
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 5 節:試験板の塗装(はけ塗り)
JIS K 5600-1-6
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 6 節:養生並びに試験の温度及び湿度
JIS K 5600-1-8
塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 8 節:見本品
JIS K 5600-3-2
塗料一般試験方法−第 3 部:塗膜の形成機能−第 2 節:表面乾燥性(バロチニ法)
JIS K 5600-4-3
塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 3 節:色の目視比較
JIS K 5600-5-1
塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 1 節:耐屈曲性(円筒形マンドレ
ル法)
JIS K 5600-5-6
塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 6 節:付着性(クロスカット法)
JIS K 5600-6-1
塗料一般試験方法−第 6 部:塗膜の化学的性質−第 1 節:耐液体性(一般的方法)
JIS K 5600-7-6
塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性
JIS K 5600-7-7
塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性(キセノンラン
プ法)
2
K 5629 : 2002
JIS K 5600-8-2
塗料一般試験方法−第 8 部:塗膜劣化の評価−第 2 節:膨れの等級
JIS K 5600-8-4
塗料一般試験方法−第 8 部:塗膜劣化の評価−第 4 節:割れの等級
JIS K 5600-8-5
塗料一般試験方法−第 8 部:塗膜劣化の評価−第 5 節:はがれの等級
JIS K 5601-1-l
塗料成分試験方法−第 1 部:通則−第 1 節:試験一般(条件及び方法)
JIS K 5601-1-2
塗料成分試験方法−第 1 部:通則−第 2 節:加熱残分
JIS K 5622
鉛丹さび止めペイント
JIS K 5633
エッチングプライマー
JIS K 8005
容量分析用標準物質
JIS K 8355
酢酸(試薬)
JIS K 8322
クロロホルム(試薬)
JIS K 8371
酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8625
炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659
でんぷん(溶性)
(試薬)
JIS K 8913
よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951
硫酸(試薬)
JIS P 3801
ろ紙(化学分析用)
JIS R 3202
フロート板ガラス及び磨き板ガラス
JIS R 6253
耐水研磨紙
JIS S 6050
プラスチック字消し
JIS Z 1522
セロハン粘着テープ
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 5500 による。
4.
品質 品質は,6.によって試験したとき,表 1 による。
表 1 品質
項目
品質
容器の中での状態
かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になるものとする。
塗装作業性
はけ塗りで塗装作業に支障があってはならない。
乾燥時間 h
(表面乾燥性)
8
以下
塗膜の外観
塗膜の外観が正常であるものとする。
上塗り適合性
上塗りに支障があってはならない。
耐屈曲性
直径 6mm の折り曲げに耐えるものとする。
付着安定性
はがれを認めないものとする。
耐塩水性
塩化ナトリウム水溶液に 96 時間浸しても異常があってはならない。
付着性
付着性に異常があってはならない。
加熱残分 %
70
以上
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウム
(2CaO
・PbO
2
) %
20
以上
屋外暴露耐候性 12 か月間の試験で塗膜に膨れ,割れ及びはがれがあってはならない。
3
K 5629 : 2002
5.
見本品 見本品は,JIS K 5600-1-8 の区分によって,表 2 による。
表 2 見本品
見本品の区分
試験項目
観察項目
形態
設定方式
品質水準
色及びつや
中心見本品
塗膜の外観
色むら,つやむら,はけ目,
流れ及びしわ
塗膜見本
又は
塗料見本
協定見本品
又は
社内見本品
限度見本品
6.
試験方法
6.1
サンプリング サンプリングは,JIS K 5600-1-2 による。
6.2
試験用試料の検分及び調整 試験用試料の検分及び調整は,JIS K 5600-1-3 による。
6.3
試験の一般条件 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1,JIS K 5600-1-6 及び JIS K 5601-1-1 によるほ
か,次による。
6.3.1
試験の場所
a)
養生及び試験を行う場所は,特に規定する以外は,JIS K 5600-1-6 の 4.1(標準条件)で,直射日光を
受けず,養生及び試験に影響を与えるガス,蒸気及びほこりなどがなく,通風の少ない室内とする。
b)
拡散昼光は,JIS K 5600-4-3 の 5.2(自然昼光照明)による。ただし,5.3(色観察ブースの人工照明)
に規定する色観察ブースを用いても差し支えない。
6.3.2
試験片の作製
6.3.2.1
試験板 試験板は,JIS K 5600-1-4 による。ただし,特に指定する以外は,耐水研磨紙によって
調整した鋼板 (150×70×0.8mm) を用いる。耐塩水性,付着性及び耐候性の試験には,JIS G 3302 に規定
する亜鉛めっき鋼板の SGH400 ZC Z27 を用い,試験板の大きさは,耐塩水試験及び付着性試験の場合,150
×70×2.3mm とし,耐候性試験の場合は,300×150×2.3mm とする。
備考 鋼板は,JIS G 3141 に規定する SPCC-SB の鋼板とする。耐水研磨紙は,JIS R 6253 に規定する
P280
を用いる。
6.3.2.2
試料の塗り方 試料の塗り方は,特に規定する以外は,はけ塗りとし,JIS K 5600-1-5 によって,
1
回ごとの塗り付け量は,100cm
2
当たり 0.4±0.05ml とする。必要があれば,製品に規定するシンナーを
用いて,20%(質量比)以下で薄めてもよい。
6.3.2.3
乾燥方法 乾燥方法は,特に規定する以外は,自然乾燥とする。
なお,塗り終わってからの試験片の保持は,JIS K 5600-1-1 の
表 1 による。
6.3.2.4
試験片の周辺塗り包み 試験片の周辺塗り包みは,特に規定する以外は,試験板の両面に試料を
塗り,塗面が乾いた後,試料を用いて試験片の周辺を塗り包む。
なお,
液に浸して試験する試験片のほか,
塗膜の長期耐久性を試験する試験片の場合も同様に処理する。
6.4
容器の中での状態 容器の中での状態の試験は,JIS K 5600-1-1 の 4.1.2a)(液状塗料の場合)による。
6.5
塗装作業性 塗装作業性の試験は,JIS K 5600-1-1 の 4.2.3a)(1 回塗りの場合)による。ただし,試
験板は溶剤洗浄によって調整したぶりき板 (500×200×0.3mm) とする。塗り付け量は,100cm
2
当たり 0.8
±0.05ml とする。判定は,はけ塗り作業に特に困難を感じないときは,
“はけ塗りで塗装作業に支障がな
い。
”とする。
備考 ぶりき板は,JIS G 3303 に規定する電気めっきぶりきの SPTE5.6/5.6 T2 とする。
4
K 5629 : 2002
6.6
乾燥時間 乾燥時間の試験は,JIS K 5600-3-2 による。ただし,試験板は,溶剤洗浄によって調整し
たガラス板 (200×100×2mm) を用い,すき間 100
μm のフィルムアプリケータ塗りとし,乾燥時間は,8
時間とする。
備考 ガラス板は,JIS R 3202 のフロート板ガラス及び磨き板ガラスとする。
6.7
塗膜の外観 塗膜の外観の試験は,JIS K 5600-1-1 の 4.4 による。ただし,判定は,塗ってから 48
時間おいて,試験片の塗膜の色とつやが,見本品に比べて差異が少なく,色むら,つやむら,はけ目,流
れ及びしわの程度が見本品に比べて大きくないときは,
“塗膜の外観が正常である。
”とする。
6.8
上塗り適合性 上塗り適合性の試験は,次による。
6.8.1
試験板 試験板は,研磨によって調整した鋼板 (200×100×0.8mm) とする。
6.8.2
試験片の作製 試験板 1 枚の片面に試料を 1 回塗りし,48 時間おいたものを試験片とする。6.8.3
で上塗りするとき,同時に別の試験板 1 枚の片面に同じ上塗り塗料を同じ方法で塗装した後,乾燥したも
のを原状試験片とする。
6.8.3
操作 試験片の塗面に,上塗りに用いる塗料として,JIS K 5516 に規定する合成樹脂調合ペイント
1
種白をはけで 1 回塗り重ねて,塗り作業に支障がないかどうかを調べる。その塗り付け量は,100cm
2
当
たり 0.5±0.05ml とする。さらに,48 時間乾燥した後,拡散昼光の下ではじき,割れ,穴,膨れ及びはが
れを調べ,次いで原状試験片と比べて,つや,粘着及びしわの差異を調べる。ただし,試験片の周囲の幅
10mm
は観察の対象から除く。
6.8.4
判定 判定は,上塗りしたとき塗り作業に支障がなく,上塗り塗膜に,はじき,割れ,穴,膨れ及
びはがれを認めず,原状試験片に比べて,つやの差異,粘着,しわの程度が大きくないときは,
“上塗りに
支障がない。
”とする。
6.9
耐屈曲性 耐屈曲性の試験は,JIS K 5600-5-1 によるほか,次による。
6.9.1
試験板 試験板は,研磨によって調整した鋼板 (150×50×0.3mm) とする。
6.9.2
操作 試験板 2 枚の片面に試料を 1 回塗って 24 時間おいた後,120±2℃に保った恒温器で 1 時間
加熱し,取り出して標準条件に 1 時間おいた後,試験装置はタイプ 1 を用い,試験片を直径 6mm のマン
ドレルの周りに沿って折り曲げて,塗膜の割れ及び素地からのはがれを目視によって調べる。
6.9.3
判定 判定は,試験片 2 枚について,塗膜に割れ及びはがれを認めないときは,“直径 6mm の折り
曲げに耐える。
”とする。
6.10
付着安定性 付着安定性の試験は,次による。
6.10.1
装置及び材料 装置及び材料は,次による。
a)
促進耐候性試験機は,JIS K 5600-7-7 に規定するもの。
b)
定性分析用ろ紙は,JIS P 3801 に規定する定性分析用とする。
c)
セロハン粘着テープは,JIS Z 1522 に規定する幅 18mm のもの。
d)
カッタナイフは,
図 1 に示す形状・寸法のもので,JIS G 4401 に規定する SK2 で作り,硬さは HV 820
±30 で,折取線から折り取って新しい刃先を出し,適切なホルダに取り付け,手に持って用いるよう
にしたもの。
e)
消しゴムは,JIS S 6050 に規定するもの。
6.10.2
試験片の作製 試験片の作製は,次による。
a)
試験板の枚数は 2 枚とし,試料を 24 時間間隔で 2 回塗り,24 時間乾燥させた後,促進耐候性試験機
を用いて 60 時間照射する。
b)
さらに,この試験片に,JIS K 5516 に規定する合成樹脂調合ペイント 1 種白を,100cm
2
当たり 0.5±
5
K 5629 : 2002
0.05ml
の割合で塗り付け,16 時間乾燥した後,再び促進耐候性試験機を用いて 60 時間照射する。
c)
この試験片を 24 時間以内に,JIS K 5600-6-1 の 7.[方法 1(浸せき法)
]によって 23±1℃の水に 24
時間浸し,取り出して表面の水を JIS P 3801 に規定する定性分析用ろ紙でふき取り,一般状態で 30
分間乾燥したものを試験片とする。
6.10.3
操作 操作は,次による。
a)
試験片 2 枚について,試験片の中央にカッタナイフを用いて,互いに 30 度の角度で交わり素地に達す
る長さ 40mm の切りきずを
図 2 のように付ける。切りきずを付けるにはスチール製の定規などを用い
て,カッタナイフの刃先を塗面に対して 35∼45 度の範囲で一定の角度に保ち,約 0.5 秒間かけて等速
で引く。
b)
次に,交差する 2 本の切りきずの上から,
図 2 のように接着部分の長さが約 50mm になるようにセロ
ハン粘着テープをはり付け,消しゴムでこすって塗膜にテープを完全に付着(
1
)
させる。
注(
1
)
テープの接着部分の全面を消しゴムで均等にこすり,気泡があるときは消しゴムで気泡をつぶ
すようにこする。
c)
テープを付着させてから 90±30 秒の間に,
テープの一方の端を持って
図 3 のように塗面に直角に保ち,
瞬間的に引きはがす。
図 1 カッタナイフの刃の一例
図 2 テープのはり付け方
図 3 テープをはがす方向
6.10.4
判定 試験片 2 枚の双方に,切りきずに沿って幅 1mm 以上の下塗りと上塗りの塗膜間のはがれを
認めないときは,
“はがれを認めない。
”とする。
6.11
耐塩水性 耐塩水性の試験は,JIS K 5600-6-1 によるほか,次による。
6.11.1
試験片の作製 試験板は 3 枚とし,試験板に JIS K 5633 に規定するエッチングプライマー1 種を
100cm
2
当たり 0.6g 以下で流れない程度にはけで塗る。3 時間乾燥させた後,試料を 24 時間間隔で 2 回塗
る。168 時間放置して乾燥させた後,JIS K 5600-5-6(クロスカット法)によって試験片の素地面に達する
X
状の切りきずをカッタナイフでつける。その後試験片の周辺を融解したパラフィン(
2
)
に浸して引き上げ,
塗り包んで冷したものを試験片とする。
注(
2
) JIS K 2235
に規定するパラフィンワックスで,融点55∼65℃のものとする。
6.11.2
試験液 塩化ナトリウム水溶液 (30g/L) とする。
6
K 5629 : 2002
6.11.3
操作 浸せき温度は 23±2℃,浸せき時間は 96 時間とする。試験片を取り出して流水で洗い,立
て掛けて一般状態で 24 時間放置した後,目視によって塗膜を調べる。
6.11.4
判定 判定は,試験片 3 枚のうち,2 枚以上の塗膜に,膨れ,さび,割れ及びはがれを認めないと
きは,
“塩化ナトリウム水溶液に 96 時間浸しても異常がない。
”とする。
6.12
付着性 付着性の試験は,JIS K 5600-5-6 による。ただし,6.11 の耐塩水性試験が終わった試験片の
X
カット部について,直ちに付着性の試験を行う。判定は,試験片 3 枚のうち,2 枚以上の塗膜について,
試料と亜鉛めっき面とのはがれの程度が X カット部のいずれかの方向に,1.5mm 以内のときは,
“付着性
に異常がない。
”とする。
6.13
加熱残分 加熱残分の試験は,JIS K 5601-1-2 による。ただし,試験条件は,加熱温度 105±2℃,
加熱時間 1 時間とする。
6.14
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量 溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量は,この規格の附属
書による。
6.15
屋外暴露耐候性 屋外暴露耐候性の試験は,JIS K 5600-7-6 によるほか,次による。
6.15.1
試験片の作製 試験板は 3 枚とし,試験板に JIS K 5633 に規定するエッチングプライマー1 種を,
100cm
2
当たり 0.6g 以下で流れない程度にはけで塗る。3 時間乾燥させた後,試料を 24 時間間隔で 2 回塗
り,24 時間放置した後,JIS K 5516 に規定する合成樹脂調合ペイント 1 種の灰色(明度 V6∼7 のもの)を,
24
時間間隔で 100cm
2
当たり 0.5±0.05ml の割合で 2 回はけで塗り,7 日間放置して試験片とする。
なお,試験片の周辺及び裏面は,試料で 2 回以上試験に影響がないよう塗り包んでおく。
6.15.2
操作
a)
試験の開始時期は,4 月又は 10 月とする。
b)
試験の期間は,12 か月とする。
c)
試験観察の時期は,開始後 12 か月後とする。
d)
評価項目と評価方法 評価項目は,暴露後の試験片について膨れ,はがれ及び割れで評価する。評価
方法は,JIS K 5600-8-2,JIS K 5600-8-4 及び JIS K 5600-8-5 による。
6.15.3
判定 12 か月の試験で,膨れ,はがれ及び割れがないとき,表 1 の耐候性の規定に適合するもの
とする。
6.15.4
記録の保存期間 5 年間とする。
6.15.5
試験の実施及び管理 試験の実施及び管理は,JIS K 5600-7-6 の附属書 1 による。ただし,塗料製
造業者による試験の実施及び公共試験機関への試験の委託は,製品の過去における成績と使用実績に基づ
いて適切な時期を選んで行うが,少なくとも 5 年間に 1 回以上,製品を公共の試験機関に送って試験を委
託する。
なお,記録の保存期間は 5 年間とする。
7.
検査 検査は,6.によって試験し,表 1 に適合しなければならない。ただし,耐候性は,過去に生産
された製品について,この規格の JIS K 5600-7-6 の
附属書 1(耐候試験の実施及び管理)によって品質の
長期管理が行われ,その耐候性試験の成績が適切であるときは,現在の製品が適合するものとする。
8.
表示 鉛酸カルシウムさび止めペイントの容器には,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなけ
ればならない。
a)
規格の名称
7
K 5629 : 2002
b)
正味質量又は正味容量
c)
製造業者名又はその略号
d)
製造年月又はその略号
e)
製造番号又はロット番号
f)
シンナーの種類(別紙でもよい。
)
参考1. 鉛酸カルシウムさび止めペイントの取扱いなどについては,この規格に規定するほか,法令
で規定されており,また,公団・団体などからも規則・注意事項などが定められている。
2.
この規格の品質の規定に示した項目の試験に必要な試験板の材質,寸法及び枚数並びに試験
日数は,
参考表 1 のとおりである。この試験には,試料が約 500ml 必要である。
8
K 5629
: 20
02
参考表 1 鉛酸カルシウムさび止めペイント
9
K 5629 : 2002
附属書(規定) 溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量
序文 この附属書は,溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムの定量について規定する。
1.
要旨 溶剤不溶物に,酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合液を加えて鉛酸カルシウムを溶かし,遊
離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して,対応する鉛酸カルシウムの量を溶剤不溶物中の百分
率として求める。
2.
試薬 試薬は,次による。
a)
クロロホルムは,JIS K 8322 に規定するもの。
b)
酢酸は,JIS K 8355 に規定するもの。
c)
酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸溶液は,
JIS K 8371
に規定する酢酸ナトリウム三水和物 30g
に酢酸 (1+1) (
1
)25ml
を加え,加熱して溶かした後,放冷する。別に,JIS K 8913 に規定するよう化
カリウム 2.4g を水 2ml に溶解して,先の溶液に加えて混合する。
d)
酢酸ナトリウム酢酸溶液 (20
w
/
v
%)
は,JIS K 8371 に規定する酢酸ナトリウム三水和物 20g を,酢酸 (1
+19) (
2
)
に溶かして 100ml にする。
e) 0.1mol/L
チオ硫酸ナトリウム溶液は,JIS K 8637 に規定するチオ硫酸ナトリウム 26g と,JIS K 8625
に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.2g とを量り取る。溶存酸素を含まない水 1L に溶かしてよく振
り混ぜ,栓をして 2 日間放置後,上澄み液を取る。JIS K 8005 に規定するよう素酸カリウムを,温度
約 130℃で 2 時間乾燥し,過塩素酸マグネシウムを入れたデシケータの中で放冷する。共通すり合わ
せ三角フラスコ 200ml に,よう素酸カリウム 0.09∼0.11g を正確に量り取り水 25ml に溶かす。JIS K
8913
に規定するよう化カリウム 2g と,JIS K 8951 に規定する硫酸を用いて調製した硫酸 (1+5) 5ml
を加える。直ちに栓をして,共通すり合わせの部分をよう化カリウム溶液 (10
w
/
v
%)
で潤して密栓し
穏やかに振り混ぜた後,暗所に 5 分間放置する。0.1mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,液が赤
茶色からうすい黄色になったとき,
次の f)で規定するでんぷん溶液約 0.5ml を加えて更に滴定を続け,
液の色が青から無色になったときを終点とする。
別に,
水 25ml によう化カリウム 2g と硫酸 (1+5) 5ml
とを加え,この溶液について空試験を行う。ファクタは,次の式によって算出する。
(
)
100
567
003
.
0
2
1
A
V
V
m
F
×
× −
=
ここに,
F
:
0.1mol/L
チオ硫酸ナトリウム溶液のファクタ
m
:
よう素酸カリウムの質量 (g)
A
:
よう素酸カリウムの含量 (%)
0.003 567
:
0.1mol/L
チオ硫酸ナトリウム溶液 1ml に相当するよう
素酸カリウムの質量 (g)
V
1
:
滴定に要した 0.1mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の量
(ml)
V
2
:
空試験に要した 0.1mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
量 (ml)
f)
でんぷん溶液は,
JIS K 8659
に規定するでんぷん 1g を量り取り,水約 10ml を加えて混和した後,熱
水 100ml 中にかき混ぜながら加える。約 1 分間煮沸し,冷却した後,上澄み液を取るか又はろ紙でろ
過する。使用の都度調製する。
10
K 5629 : 2002
注(
1
)
,(
2
)
酢酸 (1+1) 及び (1+19) は,
JIS K 8355
に規定する酢酸を用いて調製する。
3.
操作
操作は,次による。
a)
試料は,
JIS K 5622
の
附属書 1
の溶剤不溶物の方法で得た溶剤不溶物を用いる。共通すり合わせ三角
フラスコ 200ml に鉛酸カルシウムとして約 0.4g を含むように試料を正確に量り取る。
b)
クロロホルム 7ml と酢酸 3ml との混合溶液を加えて,振り動かして試料を潤す。
c)
緩やかに振り動かして溶剤不溶物を液中に分散させた後,酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸
溶液を全量加える。
d)
フラスコの栓を残りの酢酸ナトリウム−よう化カリウム混合酢酸溶液で潤し,
密栓し 10 分間ときどき
振り動かす。
e)
鉛酸カルシウムが残っているときは,先端を平らにしたガラス棒で押しつぶして,鉛酸カルシウムの
色が見えなくなるまで完全に溶解する。
f)
酢酸ナトリウム酢酸溶液 (20
w
/
v
%) 30ml
を加える。
g)
不溶物があるときは,ガラスろ過器 1G3 でろ過し,少量の酢酸ナトリウム酢酸溶液 (20
w
/
v
%)
を用い
て洗う。ろ過する代わりに遠心分離機を用いてもよい。
h)
ろ液と洗液とを合わせ,0.1mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液が赤茶色からうすい黄色に
なったときにでんぷん溶液 0.5ml を加え,更に滴定を続けて,青から無色になったときを終点とする。
i)
三角フラスコに栓をして激しく振り混ぜ,再び着色するときは更に滴定を続け,無色になるときを終
点とする。
4.
計算
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウムは,次の式によって算出する。
100
57
017
.
0
×
×
×
m
F
V
A
=
ここに,
A
:
溶剤不溶物中の鉛酸カルシウム (%)
V
:
滴定に要した 0.1mol/L チオ硫酸ナトリウムの溶液の量
(ml)
F
:
0.1mol/L
チオ硫酸ナトリウムの溶液のファクタ
0.017 57
:
0.1mol/L
チオ硫酸ナトリウムの溶液 1ml に相当する鉛
酸カルシウムの質量 (g)
m
:
試料の質量 (g)
11
K 5629 : 2002
原案作成委員会組織 構成表
氏名
本委員会
分科会
所属
(委員長)
増 子
○
千葉工業大学
(委員)
西 出 徹 雄
○
経済産業省製造産業局
本 橋 健 司
○
独立行政法人建築研究所
寺 岡 憲 吾
○
防衛庁装備局
橋 本 進
○
財団法人日本規格協会
冨 樫 晃
○
社団法人日本自動車部品工業会
近 藤 照 夫
○
清水建設株式会社
田 中 誠
○
財団法人鉄道総合技術研究所
本 村 均
○
日本道路公団
帆 刈 均
○
都市基盤整備公団
高 橋 孝 治
○
社団法人日本塗装工業会
小 俣 一 夫
○
日本建築仕上材工業会
福 島 稔
○
日本鋼橋塗装専門会
池 田 順 一
○
財団法人日本ウエザリングテストセンター
橋 本 定 明
○
財団法人日本塗料検査協会
吉 田 豊 彦
○
社団法人色材協会
斉 藤 吉 治
○
○
カシュー株式会社
清 水 福 士
○
○
カナヱ塗料株式会社
下 山 忠 美
○
○
川上塗料株式会社
武 田 廉太郎
○
○
関西ペイント株式会社
徳 永 行 文
○
○
神東塗料株式会社
岩 見 勉
○
○
大日本塗料株式会社
吉 田 留 夫
○
○
中国塗料株式会社
増 田 道 広
○
○
株式会社トウペ
曽 我 元 昭
○
○
日本ペイント株式会社
常 盤 寛
○
○
ロックペイント株式会社
(オブザーバー) 穐 山 貞 治
○
経済産業省産業技術環境局
(委員)
松 平 忠 志
○
松平技術士事務所
伊 藤 義 人
○
専門技術者
長 尾 進
○
専門技術者
山 崎 不二雄
○
専門技術者
安 達 良 光
○
関西ペイント株式会社
門 田 進
○
日本ペイント株式会社
(事務局)
豊 田 常 彦
○
○
社団法人日本塗料工業会
(文責 門田 進)
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日本工業標準調査会 標準部会 化学製品技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学生体材料工学研究所
大 久 泰 照
昭和シェル石油株式会社中央研究所
奥 泉 仁 一
財団法人バイオインダストリー協会
奥 山 通 夫
社団法人日本ゴム協会
笠 野 英 秋
拓殖大学工学部機械システム工学科
加 茂 徹
独立行政法人産業技術総合研究所
木 原 幸 弘
社団法人日本化学工業協会
桐 村 勝 也
社団法人日本塗料工業会
髙 野 忠 夫
財団法人化学技術戦略推進機構
高 橋 信 弘
東京農工大学農学部
西 川 輝 彦
石油連盟技術環境部
西 本 右 子
神奈川大学理学部
古 川 哲 夫
財団法人日本消費者協会
槇 宏
日本プラスチック工業連盟