K 5623
:2010
(1)
まえがき
この追補は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,工業標準原案を具
して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正
したもので,これによって,JIS K 5623:2002 は改正され,一部が置き換えられた。
日本工業規格
JIS
K
5623
:2010
亜酸化鉛さび止めペイント
(
追補 1)
Lead suboxide anticorrosive paint
(Amendment 1)
JIS K 5623:2002
を,次のように改正する。
2.
(引用規格)の JIS K 5108 鉛丹(顔料)を,削除する。
2.
(引用規格)の JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性(キ
セノンランプ法)を,JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候
性及び促進耐光性(キセノンランプ法)に置き換える。
2.
(引用規格)の JIS K 5622 鉛丹さび止めペイントを,削除する。
2.
(引用規格)に JIS K 8034 アセトン(試薬)及び JIS K 8680 トルエン(試薬)を,追加する。
7.6
(鉛の定量)の“鉛の定量の試験は,この規格の
附属書による。ただし,試料として亜酸化鉛の粉末を
用いる。
”を,
“鉛の定量の試験は,
附属書 1(規定)(溶剤不溶物中の全鉛の定量)による。ただし,試料
として亜酸化鉛の粉末を用いる。
”に置き換える。
7.16
(溶剤不溶物)の“溶剤不溶物の試験は,JIS K 5622 の
附属書 1 による。ただし,この試験に用いる
溶剤の組成は,トルエンとアセトンを 1:1(容積比)で混合する。
”を,
“溶剤不溶物の試験は,
附属書 2
(規定)
(溶剤不溶物の定量)による。ただし,この試験に用いる溶剤の組成は,JIS K 8034 に規定するア
セトン及び JIS K 8680 に規定するトルエンを 1:1(容積比)で混合する。
”に置き換える。
7.17.2
(見本品)の“見本品は,JIS K 5108 に規定する鉛丹の特号 80 g をビーカー50 ml に取り,
”を,
“見
本品は鉛丹とし,鉛丹[四三酸化鉛(Pb
3
O
4
)97.0 %以上のもの]80 g をビーカー50 ml に取り,
”に置き換
える。
7.17.3
(試験片及び規定見本品の作製・枚数)の“見本品”を,すべて“規定見本品”に置き換える。
附属書(規定)(溶剤不溶物中の全鉛の定量)を,附属書 1(規定)(溶剤不溶物中の全鉛の定量)に置き
換える。
2
K 5623
:2010
附属書 2(規定)(溶剤不溶物の定量)を,附属書 1(規定)の次に追加する。
3
K 5623
:2010
附属書 1(規定) 溶剤不溶物中の全鉛の定量
1.
要旨 溶剤不溶物に硝酸と過酸化水素水とを加えて鉛分を溶かし,硫酸を加えて硫酸鉛として沈殿さ
せて分離する。これを酢酸アンモニウム溶液に溶かし,キシレノールオレンジ溶液を指示薬として,エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液で鉛をキレート滴定して,対応する全鉛の量を溶剤不溶物中の質量
分率として求める。
2.
試薬 試薬は,次による。
a)
エタノール(99.5)は,JIS K 8101 に規定するもの。
b)
硝酸(1+2)は,JIS K 8541 に規定する硝酸を用いて調製する。
c)
過酸化水素水(1+9)は,JIS K 8230 に規定する過酸化水素を用いて調製する。
d)
硫酸(1+1)及び硫酸(1+100)は,JIS K 8951 に規定する硫酸を用いて調製する。
e)
酢酸アンモニウム溶液(30
w
/
v
%
)は,JIS K 8359 に規定する酢酸アンモニウムを用いて調製する。
f)
酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH 値 5)は,JIS K 5601-1-1 の 3.3.3[緩衝液の調製 酢酸−酢酸ナト
リウム緩衝液(pH 値 5)
]に規定するもの。
g)
キシレノールオレンジ溶液(0.1
w
/
v
%
)は,JIS K 5601-1-1 の 3.3.2 b) [キシレノールオレンジ溶液(0.1
w
/
v
%
)
]に規定するもの。
h) 0.01
mol/l
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液は,JIS K 5601-1-1 の 3.3.1.3(0.01 mol/l エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウム溶液)に規定するもの。
3.
操作 操作は,次による。
a)
試料は,7.16 で得た溶剤不溶物を用いる。コニカルビーカー300 ml に,鉛として約 0.45 g を含むよう
に試料を正確にはかりとる。
b)
少量のエタノール(99.5)で潤した後,硝酸(1+2)25 ml 及び過酸化水素水(1+9)10 ml を加え,
時計皿で覆って加熱して溶かす。
c)
不溶物があるときは,更に水 50 ml を加えて 5 分間煮沸し,コニカルビーカー500 ml にろ紙(定量分
析用 5 種 C)を用いてろ過して入れ,時計皿,コニカルビーカー,ろ紙及びろ紙上の残留物を熱水で
十分に洗う。
d)
コニカルビーカー中の液に硫酸(1+1)20 ml を加え,硫酸白煙が発生するまで加熱する。
e)
d)
の液を放冷した後,水 75 ml とエタノール(99.5)75 ml とを加えて 1 時間静置する。
f)
沈殿物をろ紙(定量分析用 5 種 C)を用いてろ過し,沈殿物とろ紙とを硫酸(1+100)で十分に洗う。
g)
コニカルビーカー300 ml に沈殿物をろ紙とともに入れ,酢酸アンモニウム溶液(30
w
/
v
%
)30 ml を加
えて加熱し沈殿物を溶かす。
h)
コニカルビーカー300 ml に沈殿物をろ紙(定量分析用 5 種 C)を用いてろ過した後,コニカルビーカ
ー,ろ紙及びろ紙上の残留物を水で十分に洗う。
i)
全量フラスコ 250 ml にろ紙及び洗液を入れ,標線まで水を加える。
j)
コニカルビーカー300 ml に,全量フラスコの中から正確に 25 ml を分取し,水 75 ml と酢酸−酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH 値 5)5 ml とを加える。
k)
指示薬としてキシレノールオレンジ溶液(0.1
w
/
v
%
)0.3 ml を加えて,0.01 mol/l エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム溶液で滴定し,液の色が紫を経て黄色に変わったときを終点とする。
4
K 5623
:2010
4.
計算 溶剤不溶物中の全鉛は,次の式によって算出する。
100
250
25
072
002
.
0
×
×
×
×
=
m
F
V
A
ここに,
A
:
溶剤不溶物中の全鉛(%)
V
:
滴定に要した 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウム溶液の量(ml)
F
:
0.01 mol/l
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
溶液のファクタ
0.002 072
:
0.01 mol/l
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
溶液 1 ml に相当する鉛の質量(g)
m
:
試料の質量(g)
250
25
:
試料溶液の分取比
5
K 5623
:2010
附属書 2(規定) 溶剤不溶物の定量
1.
要旨 試料に溶剤を加えて溶剤可溶物を溶かし,遠心分離して得た固形物を溶剤不溶物として,これ
を試料中の質量分率として求める。
2.
装置及び器具 装置及び器具は,次による。
a)
遠心分離機は,
3 000 min
−
1
∼
15 000 min
−
1
の性能をもつもの。
b)
沈殿管は,ガラス製又はステンレス鋼製で底が丸く,容量が約
50 ml
のもの。
3.
操作 操作は,次による。
a)
あらかじめ質量をはかった沈殿管に試料
10 g
を正確にはかりとる。
b)
製品規格に規定する溶剤を,約
20 ml
加えて,ガラス棒でよく混合する。ガラス棒に付着した固形物
は,希釈用溶剤で沈殿管の中に洗い落とし
(
1
)
,液量が沈殿管の約
4/5
になるまで溶剤を加える。
注
(
1
)
ガラス棒に固形物が付着する場合には,ガラス棒と沈殿管とは,常に一緒にして質量をはか
る。
c)
沈殿管は,溶剤の蒸発を防ぐためにふたをした後,遠心分離機にかけ,
3 000 min
−
1
∼
4 000 min
−
1
で
20
分∼
30
分間運転して分離する。ただし,カーボンブラック,クロム酸塩,有機顔料など分離しにくい
顔料を含む場合は,
8 000 min
−
1
∼
15 000 min
−
1
で
30
分間遠心分離機にかけ分離する。
d)
さらに,溶剤を毎回
30 ml
ずつ用いて,b)及び c)によって,混合・沈殿・流出の操作を
3
回繰り返す。
e)
沈殿管の底を熱水の中に浸した後,木片に綿布を
5
∼
6
枚重ねた上に底を数回軽く打ち当て,この操作
を繰り返して沈殿物を内壁から離す。
f)
沈殿管を温度
105
±
2
℃の乾燥器中で
2
時間乾燥し,デシケータ中で放冷した後,その質量をはかっ
て沈殿物の質量を求める。ただし,酸化銅(
I
)を含む場合は,溶剤不溶物を,温度
55
±
2
℃の乾燥
器中で
30
分間乾燥し,デシケータ中で
24
時間放置して沈殿物の質量を求める。
g)
次に,得られた沈殿物を,めのう製乳鉢でよくすりつぶして均一にした後,はかり瓶に移し,温度
105
±
2
℃の乾燥器中で約
30
分間乾燥した後,溶剤不溶物の分析に用いる。
4.
計算 試料中の溶剤不溶物は,次の式によって算出する。
100
1
2
×
=
m
m
A
ここに,
A
:
溶剤不溶物(
%
)
m
2
:
沈殿物の質量(
g
)
m
1
:
試料の質量(
g
)