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K 5110 : 2005 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本無機薬品協会

(JICIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 5110:2000は改正され,この規格に置き換えられる。 

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 3711:1990,Lead chromate pigments 

and lead chromate−molybdate pigments−Specifications and methods of testを基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 5110には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)水抽出液の酸度又はアルカリ度の試験方法 

附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

K 5110:2005  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 種類 ······························································································································ 3 

4. 品質 ······························································································································ 3 

5. サンプリング ·················································································································· 4 

6. 全鉛含有量の定量 ············································································································ 4 

6.1 容量法(電気分解分離を用いる)·························································································· 4 

7. 可溶性鉛含有量の定量 ······································································································ 6 

7.1 可溶性鉛の抽出 ············································································································· 6 

7.2 可溶性鉛の定量 ············································································································· 7 

8. 試験結果の記録 ··············································································································· 8 

9. 表示 ······························································································································ 8 

附属書1(規定)水抽出液の酸度又はアルカリ度の試験方法 ························································ 10 

附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 11 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 5110:2005 

黄鉛(顔料)及びモリブデートオレンジ(顔料) 

Chrome yellow pigments and molybdate orange pigments -Specifications and 

methods of test 

序文 この規格は,1990年に第2版として発行されたISO 3711,Lead chromate pigments and lead chromate

−molybdate pigments−Specifications and methods of testを元に,技術的内容を変更して作成した日本工業規

格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変

更の一覧表をその説明を付けて,附属書2に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,カラーインデックス番号として,ピグメントオレンジ21,ピグメントイエロ

ー34(黄鉛)及びピグメントレッド104(モリブデートオレンジ)に属し,はん(汎)用用途に適用する顔料の種

類,品質及び試験方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 3711:1990,Lead chromate pigments and lead chromate-molybdate pigments−Specifications and 

methods of test (MOD) 

参考 カラーインデックス番号は,次の2か所で発行されている。 

− The society of Dyers and Colourists,PO Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,West 

Yorkshire BD1 2JB,United Kingdom 

− The American Association of Textile Chemists and Colorists,National Headquarters,Box 12215,

Research Triangle Park,NC 27709,USA 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 5101-1-2 顔料試験方法−第1部:分散性評価のための分散方法−第2節:ペイントコンディシ

ョナ形振とう機 

備考 ISO 8780-2:1990,Pigments and extenders−Methods of dispersion for assessment of dispersion 

characteristics−Part2:Dispersion using an oscillatory shaking machineからの引用事項は,この規

格の該当事項と同等である。 

JIS K 5101-1-5 顔料試験方法−第1部:分散性評価のための分散方法−第5節:フーバーマラー 

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K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 5101-2-1 顔料試験方法−第2部:色の比較−第1節:目視法 

備考 ISO 787-1:1982,General methods of test for pigments and extenders−Part1:Comparison of colour 

of pigmentsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 5101-3-1 顔料試験方法−第3部:着色力−第1節:有色顔料の相対着色力及び淡色の測定(目

視比較法) 

備考 ISO 787-16:1986,General methods of test for pigments and extenders−Part16:Determination of 

relative tinting strength (or equivalent colouring value) and colour on reduction of coloured pigments

−Visual comparison method からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 5101-5-2 顔料試験方法−第5部:分散性の評価方法−第2節:分散度の変化による評価 

JIS K 5101-9 顔料試験方法−第9部:耐光性 

備考 ISO 787-15:1986,General methods of test for pigments and extenders−Part15:Comparison of 

resistance to light of coloured pigments of similar tipesが,この規格と一致している。 

JIS K 5101-13-1 顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法 

備考 ISO 787-5:1980,General methods of test for pigments and extenders−Part5:Determination of oil 

absorption valueが,この規格と一致している。 

JIS K 5101-13-2 顔料試験方法−第13部:吸油量−第2節:煮あまに油法 

JIS K 5101-14-1 顔料試験方法−第14部:ふるい残分−第1節:湿式法(手動法) 

JIS K 5101-15-1 顔料試験方法−第15部:加熱減量−第1節:105 ℃揮発性物質 

備考 ISO 787-2:1981,General methods of test for pigments and extenders−Part2:Determination of matter 

volatile at 105 degrees Cが,この規格と一致している。 

JIS K 5101-16-1 顔料試験方法−第16部:水溶分−第1節:煮沸抽出法 

JIS K 5101-16-2 顔料試験方法−第16部:水溶分−第2節:常温抽出法 

JIS K 5101-17-2 顔料試験方法−第17部:pH値−第2節:常温抽出法 

備考 ISO 787-9:1981,General methods of test for pigments and extenders−Part9:Determination of pH 

value of aqueous suspensionが,この規格と一致している。 

JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8731 尿素(試薬) 

JIS K 8847 ヘキサメチレンテトラミン(試薬) 

JIS K 8896 メチルレッド(試薬) 

JIS K 9563 キシレノールオレンジ(試薬) 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

備考 ISO 385-1:1984,Laboratory glassware-Burettes−Part1:General requirements,ISO 1042:1983 

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K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Laboratory glassware−One mark volumetric flasksからの引用事項は,この規格の該当事項と同

等である。 

ISO 787-4:1981,General methods of test for pigments and extenders−Part4:Determination of acidity or 

alkalinity of aqueous extract 

ISO 3696:1987,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods 

ISO 3856-1:1984,Paints and varnishes−Determination of soluble metal content−Part1:Determination of lead 

content−Flame atomic absorption spectrometric method and dithizone spectrometric method 

ISO 6713:1984,Paints and varnishes−Preparation of acid extracts from paints liquid or powder form 

3. 種類 種類は,表1による。 

表 1 種類 

顔料の種類 

顔料の色 

カラーインデックス番号 

化学種 

黄鉛 

緑みの黄色及び
レモン色 

ピグメントイエロー34 
2部,77603参照 

硫酸クロム酸鉛(Ⅱ) 

黄色 

ピグメントイエロー34 
2部,77600参照 

クロム酸鉛(Ⅱ) 

だいだい色 

ピグメントオレンジ21 
2部,77601参照 

塩基性クロム酸鉛(Ⅱ) 

モリブデートオ
レンジ 

だいだい色から
赤 

ピグメントレッド104 
2部,77605参照 

硫酸クロム酸鉛(Ⅱ)−モ
リブデン酸鉛(Ⅱ) 

参考 黄鉛(顔料)及びモリブデートオレンジ(顔料)は,更に次の二つに区分する。 

− 一般形(タイプ1):クロム酸鉛(Ⅱ)又は塩基性クロム酸鉛(Ⅱ)からなる黄色又は赤の顔料。このクロム

酸鉛には,硫酸鉛(Ⅱ)及び/又はモリブデン酸鉛(Ⅱ)若しくはその他の水不溶性共沈化合物を含む場合

と含まない場合とがある。この一般形の顔料は,有機着色剤及び体質顔料を含まない。 

なお,カラーインデックス番号が,ピグメントイエロー34及びピグメントレッド104に相当する顔

料は,顔料の結晶構造の調整に必要な場合に限り,例えば,アルミニウム及び/又はけい酸塩の共沈

化合物を含ませることができる。 

− 安定形(タイプ2): クロム酸鉛(Ⅱ)又は塩基性クロム酸鉛(Ⅱ)からなる黄色又は赤の顔料。このクロム

酸鉛(Ⅱ)には,硫酸鉛(Ⅱ)及び/又はモリブデン酸鉛(Ⅱ)若しくはその他の水不溶性共沈化合物を含む

場合と含まない場合とがある。この安定形の顔料は,有機着色剤及び体質顔料を含まない。  

これらの顔料には,ある種の顔料特性を改善する目的で,製造工程中に他の材料を特別に含ませる

ことができる。 他の材料にはカプセル化のための不定形シリカも含まれる。安定形の場合には,購入

者は販売者に対して他の材料の使用によって改善される特性及び全鉛含有量の最低申告値の掲示を求

めることができる。 

4. 品質  

a) 黄鉛(顔料)及びモリブデートオレンジ(顔料)は,表2に規定する品質及び表3に示す条件付品質に適

合しなければならない。条件付品質は, 受渡当事者間の合意によって規定する。 

b) 合意した比較顔料は,表2の品質に適合するものでなければならない。 

表 2 品質 

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K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

品質項目 

単位 

規格値 

試験方法 

加熱減量 

%(質量分率) 

1以下 

JIS K 5101-15-1による。 

水溶分(常温抽出法) 

%(質量分率) 

2以下 
 

JIS K 5101-16-2による。 
試料採取量は20 gとする。 

水抽出液の酸度又は
アルカリ度 

顔料100 g当たりの0.1 
mol/L溶液の量mL 

20以下 

附属書1による。試料採取量は20 gと
する。 

pH値(常温法) 

4〜8 

JIS K 5101-17-2による。 

ふるい残分(45μm) 

%(質量分率) 

0.3以下 

JIS K 5101-14-1による。 

表 3 条件付品質 

品質項目 

単位 

規格値 

試験方法 

色 

− 

受渡当事者間で合意した許容差
の範囲内で受渡当事者間で合意
した比較顔料[4.b)による。]と比
べて同等である。 

JIS K 5101-2-1による。 

うすめ色 

− 

JIS K 5101-3-1による。 

着色力 

− 

分散性 

− 

受渡当事者間で合意した比較顔
料[4.b)による。]と比べて劣らな
い。 

JIS K 5101-1-2,JIS K 5101-1-5 又はJIS K 
5101-5-2による。 

耐光性 

− 

JIS K 5101-9による。 

吸油量 

mL/100 g 

受渡当事者間で合意した値から
15 %以上相違してはならない。 

JIS K 5101-13-1又はJIS K 5101-13-2によ
る。 

全鉛含有
量 
(Pb) 

%(質量分
率) 

受渡当事者間で合意した値から
3 %(質量分率)以上相違しては
ならない。 

6.による。 

可溶性鉛 
(Pb) 

%(質量分
率) 

必要な場合には,受渡当事者間
で合意した値を取り決める。 

7.による。 

5. サンプリング JIS K 5600-1-2に従って,試験する製品から代表サンプルを採取する。 

6. 全鉛含有量の定量  

6.1 

容量法(電気分解分離を用いる)  

6.1.1 

原理 試料を硝酸に溶かし,電気分解によって,鉛を酸化鉛(Ⅳ)として析出分離する。析出した酸

化鉛(Ⅳ)を硝酸及び過酸化水素に溶かし,エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム二水和物溶液による

キレート滴定で全鉛含有量を求める。 

6.1.2 

試薬 試薬は,すべて分析用等級に適合するものだけを使用する。水は, ISO 3696に規定された

等級3以上の純度のものを使用しなければならない。 

参考1. ISO 3696には,化学分析用水の要求品質及び試験方法が規定されている。規定されている等

級3は,次のとおりである。 

25 ℃におけるpH値(許容範囲) 

5.0〜7.5 

25 ℃における電気伝導率mS/m(最大値)  

0.5 

被酸化性物質(酸素相当含有量) mg/L(最大値) 

0.4 

110 ℃加熱蒸発残分mg/kg(最大値) 

2. JIS K 0557に規定されているA3の水は,ISO 3696に規定されている等級3の要求品質を満

たしている。 

警告 試薬の使用に当たっては,法令及び職場の安全衛生規則に従わなければならない。 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 硝酸 JIS K 8541に規定するもの。 

b) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。 

c) 尿素 JIS K 8731に規定するもの。 

d) 硝酸銅(Ⅱ)  

e) アセトン JIS K 8034に規定するもの。 

f) 

0.025mol/L EDTA溶液 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム二水和物

9.306 3 gを全量フラスコ1 000 mLにとり,水に溶かし,水を標線まで加えて十分に振り混ぜる。 

g) キシレノールオレンジ混合物 JIS K 9563に規定するキシレノールオレンジ1 gとJIS K 8150に規定

する塩化ナトリウム100 gとを十分に混合する。 

h) ヘキサメチレンテトラミン JIS K 8847に規定するもの。 

6.1.3 

装置及び器具 通常の実験室用器具のほか,次の装置及び器具を使用する。 

a) 電気分解装置  

b) 白金電極  

6.1.4 

操作 操作は,次のとおりとし,2回行う。 

a) 試料 5.によって採取した試料約0.25 gを1 mgのけたまではかりとり,250 mLトールビーカー中に

入れる。 

b) 試料溶液の調製 試料に硝酸10 mL,水10 mL及び硝酸銅(Ⅱ)少量を加える。加熱して試料を溶かし,

過酸化水素10滴を加え,緩やかに煮沸する。水50 mLを加えて希釈し,硝酸5 mL及び尿素少量を添

加し,加熱して煮沸する。 

備考 この操作段階で,少量の不溶解物が残っても定量には支障がない。 

c) 電気分解による酸化鉛(Ⅳ)としての鉛の分離 白金電極(陽極)をアセトンに浸して,脂肪分を完全

に除去した後,電気分解装置によって白金電極に酸化鉛(Ⅳ)を析出させる。電気分解終了後,電解電

圧を変更せずに電極を静かに溶液の上に持ち上げ,洗浄瓶からの水流で洗浄する。 

参考 電気分解の最適電圧は,使用する装置によって決まり,通常1.6〜2.8 Vである。したがって,

使用する装置の最適電圧を求める目的で,鉛含有既知のクロム酸鉛(Ⅱ)による予備試験を行う

必要がある。最適電圧では顕著な気体の発生が起こらず,酸化鉛(Ⅳ)が完全に析出する。電気

分解の条件の一例を示す。 

かき混ぜないで,2 Vで電気分解を開始する。数秒間後,析出が認められたときに電圧を1.6

〜1.7 Vに下げる。緩やかにかき混ぜながら80 ℃で30分間電気分解を継続する。30分間経過

後,ビーカーを1〜2 cm高く持ち上げて,さらに15分間電気分解を続ける。次いで,ビーカー

を元の位置に戻して,このとき露出した電極に酸化鉛(Ⅳ)の析出があるか否かを目視で観察す

る。もし,析出が起こっていたならば,電気分解を更に15分間継続し,電気分解を終了する。 

d) キレート滴定による鉛の定量 酸化鉛(Ⅳ)の析出した白金電極を,水150 mL,硝酸3 mL及び過酸化

水素2 mLを入れた250 mLビーカーに15分間浸し,析出した鉛を速やかに溶解させる。溶液から白

金電極を取り去り,同時に電極を水洗する。溶液が50 mLとなるまで蒸発し,残留する過酸化水素を

完全に分解する。次に,水100 mLを加え,キシレノールオレンジ混合物0.1 gを加えた後,黄色から

桃色に変色するまで,ヘキサメチレンテトラミン少量を添加する。次に,ヘキサメチレンテトラミン

0.4〜0.5 gを追加して加える。かき混ぜながら,0.025 mol/L EDTA溶液で,黄色に変色するまで滴定す

る。 

6.1.5 

計算及び結果の表し方  

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 計算 顔料の全鉛含有量w(Pb)は,次の式によって算出し,質量分率として表示する。 

100

518

00

.0

)

Pb

(

2

×

×

=

m

V

w

ここに, 

w(Pb): 全鉛含有量(%) 

m2: 試料の質量(g) 

V: 0.025 mol/L EDTA溶液の消費量(mL) 

0.005 18: 0.025 mol/L EDTA溶液1 mLに相当する鉛(Pb)の質量

(g) 

全鉛含有量を酸化鉛(Ⅱ)として表示する場合には,次の式による。 

100

558

00

.0

)

PbO

(

2

×

×

=

m

V

w

ここに, 

w(PbO): 酸化鉛(Ⅱ)の質量分率として表示した顔料の全鉛含

有量(%) 

m2: 試料の質量(g) 

V: 0.025 mol/L EDTA溶液の消費量(mL) 

0.005 58: 0.025 mol/L EDTA溶液1 mLに相当する酸化鉛

(Ⅱ)(PbO)の質量(g) 

b) 分析結果の記録 分析結果の記録は,次のとおりとする。 

2回の分析の結果,得られた全鉛含有量[w(Pb)]の差が0.8 %(質量分率)以下の場合は,二つの分析結果

の平均値を計算し,その結果を0.1 %のけたまで記録する。差が0.8 %(質量分率)を超える場合は,6.1.4

の操作を繰り返す。 

参考 分析精度 

− 繰返し精度(r):同一試料を,同一分析者が,同一分析室で同一器具を使用し,標準化された

試験方法によって,短時間内に2回,定量を繰り返した結果の差異は,確率95 %で,0.85 %

以内と期待される。 

− 再現精度(R):同一試料を,異なる分析室の分析者によって,標準化された試験方法で定量し

た二点の結果の差異は,確率95 %で,2.0 %以内と期待される。 

7. 可溶性鉛含有量の定量  

7.1 

可溶性鉛の抽出  

備考 ここに規定する抽出法は,ISO 6713の7.1に基づくものである。 

7.1.1 

試薬 試薬は,分析用等級に適合するものだけを使用する。水は,ISO 3696に規定された等級3

以上の純度のものを使用しなければならない。 

参考 水については,6.1.2の参考を参照。 

警告 試薬の使用に当たっては,法令及び職場の安全衛生規則に従わなければならない。 

a) 塩酸 c(HCl)=(0.07 mol/L) JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製したもの。 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 塩酸(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸1容に,水1容を加える。 

7.1.2 

装置及び器具 通常の実験室用器具のほか,次の装置及び器具を使用する。 

a) 適切な機械式かくはん機  

b) pH計 電極を備えるpH計。 

c) ろ過膜及びろ過器 ろ過膜の孔径は,0.15 μmのもの。7.1.3のb)の操作で澄明なろ液が得られるもの。 

d) 水浴 23 ℃±2 ℃に維持可能なもの。 

7.1.3 

操作 操作は,次のとおり行う。 

a) 試料 6.で得られた全鉛含有量から,次の式によって可溶性鉛含有量の定量に用いる試料の質量m3を

算出する。 

5.0

)

Pb

(

60

3

×

=w

m

ここに, 

m3: 可溶性鉛含有量の定量に用いる試料の質量(g) 

w(Pb): 顔料の全鉛含有量[%(質量分率)] 

60: 代表的な黄鉛の平均鉛含有量[%(質量分率)] 

b) 抽出 抽出は,次のとおり行い,2回実施する。 

試料(m3)を1 mgのけたまではかりとり,清浄で乾燥した1 000 mLビーカー中に入れる。ビーカー

をかくはん機にセットし,あらかじめ水浴で23 ℃±2 ℃に調節した塩酸(0.07 mol/L)500 mLを加える。

ビーカーを水浴に入れ,直ちにかき混ぜを開始する。pH計の電極を懸濁液中に浸し,必要があれば,

塩酸(1+1)によってpH値を調節する。抽出の全期間を通して,かき混ぜの強さは,顔料が均一な懸濁

液となるように調節し,かつ,飛散しないように注意する。かき混ぜは60±1分間継続し,全期間を

通して懸濁液が23 ℃±2 ℃を保つように調節する。懸濁液のpH値は,塩酸(1+1)を注意深く添加し

て一定に保つ。かき混ぜが終了した後,懸濁液を更に60±1分間,23 ℃±2 ℃に静置する。懸濁液を

傾斜法でろ過する。最初の10分間に得られたろ液を適切なガラス容器にとり,直ちに栓をする。ろ液

の可溶性鉛の定量は,可能な限り速やかに行い,抽出液調製後4時間以内に定量を行わなければなら

ない。 

7.2 

可溶性鉛の定量 可溶性鉛の定量は,フレーム原子吸光法(AAS法)による。ただし,受渡当事者間

の合意によって,これ以外の定量法を用いてもよい。 

参考 フレーム原子吸光法による測定には,JIS K 0102の54.1(フレーム原子吸光法)による方法もあ

る。 

7.2.1 

フレーム原子吸光法  

a) 検量線の作成 ISO 3856-1の3.4.1に規定する方法によって作成する。 

b) 定量 7.1によって調製したろ液を用い,ISO 3856-1の3.4.3に規定する方法によって定量する。 

c) 計算及び結果の表し方 顔料の可溶性鉛含有量w(Pb)sは,次の式によって算出し,質量分率として表

示する。 

2

6

3

10

10

)

Pb

(

500

Pb)s

(

×

×

×

×

=

m

F

w

ρ

ここに, 

w(Pb)s: 可溶性鉛含有量[%(質量分率)] 

ρ(Pb): 検量線から求めた試料溶液中の鉛濃度(μg/mL) 

F: ISO 3856-1の3.4.3による希釈係数 

m3: 7.1.3a)による試料の質量(g) 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 試験結果の記録 試験結果の記録には,少なくとも次の事項を記載する。 

a) 試験を行った製品の識別に必要とする詳細な資料 

b) この規格の適用 

c) 可溶性鉛の定量に用いた試験方法 

d) 試験結果及び試験した製品が,この規格の規定に適合するか否か 

e) この規格で規定する試験手順との相違点 

f) 

試験年月日 

9. 表示 製品の包装の外面に,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格の名称 

b) 種類 

c) 正味質量 

d) 製造年月又はその略号 

e) 製造番号又はロット番号 

f) 

製造業者名又はその略号 

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K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定) 水抽出液の酸度又はアルカリ度の試験方法 

序文 この附属書は,1981年に第1版として発行されたISO 787-4の必要箇所を翻訳し,作成したもので

ある。 

1. 適用範囲 この附属書は,本体の表2に規定する水抽出液の酸度又はアルカリ度の試験方法に適用す

る。 

2. 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

分析には,すべて分析用と認められた試薬だけを使用する。水は,ISO 3696に規定する等級3以上の純

度のものを使用しなければならない。 

参考 水については,本体の6.1.2の参考を参照。 

a) 塩酸(0.05mol/L) JIS K 8001の4.5(5.5)によって調製したもの。 

b) 水酸化ナトリウム(又は水酸化カリウム)溶液(0.05mol/L) JIS K 8001の4.5(19.5)によって調製したも

の,又はJIS K 8574に規定する水酸化カリウムを用いてJIS K 8001の4.5(19.5)に従って調製したもの。 

c) メチルレッド溶液 JIS K 8896に規定するメチルレッドをエタノール体積分率60 %に溶かして1 g/L

としたもの。 

3. 装置及び器具 通常の実験室用器具のほか,次の装置及び器具を使用する。 

a) ビュレット JIS R 3505に規定する容量50 mLのもの。 

b) pH計 校正済みのもので,pH値0.1まで測定可能なもの。 

4. 操作 操作は,次のとおりとし,4.2のa)又はb)の測定を2回行う。 

4.1 

試料溶液の調製 JIS K 5101-16-1に従って完全に透明なろ液を調製する。 

備考 受渡当事者間の合意のある場合には,JIS K 5101-16-2に従ってもよい。 

4.2 

定量  

a) 指示薬法(A法) 試料溶液100 mLに指示薬としてメチルレッド溶液5滴を加える。このとき,溶液が

オレンジ色であれば中性と認める。 

溶液が黄色(アルカリ性)の場合には,0.05 mol/L塩酸でオレンジ色の終点となるまで滴定する。溶液

が赤(酸性)の場合には,0.05 mol/L水酸化ナトリウム又はカリウム溶液でオレンジ色の終点になるまで

滴定する。 

備考1. 指示薬法(A法)は,試料溶液が着色している場合には使用できないので,電位差測定法(B法)

を用いる。 

2. 受渡当事者間の合意によって,メチルレッド以外の指示薬を用いてもよい。 

b) 電位差滴定法(B法) 試料溶液100 mLにpH計の電極を浸し,pH値を読み取る。 

pH値が,4〜8の場合には,中性と認める。 

pH値が,8を超える(アルカリ性)場合には,0.05 mol/L塩酸でpH値が8未満となる点まで滴定する。 

pH値が,4未満(酸性)の場合には,0.05 mol/L水酸化ナトリウム又はカリウム溶液でpH値が4を超

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10 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

えるまで滴定する。 

c) 繰り返し測定 2回の測定結果が,5 %を超えて相違する場合は,改めて4.の操作を繰り返さなけれ

ばならない。 

5. 結果の表し方及び記録  

a) 計算 酸度(アルカリ度)は,次の式によって算出する。 

m

V

m

V

A

125

2

100

5.2

=

×

×

×

=

ここに, 

A: 製品100 gの抽出液を中和するのに要した0.1 mol/Lのア

ルカリ(塩酸)溶液の容量(mL)で表示する酸度(アルカリ
度) 

m: 試料溶液の調製に用いた試料の質量(g) 

V: 水酸化ナトリウム(又は水酸化カリウム)溶液又は塩酸の

消費量(mL) 

b) 結果の記録 抽出液が中性の場合には,“中性”と記録する。抽出液が酸性又はアルカリ性で,滴定を

行った場合には,確定した二つの値の平均値を記録する。 

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11 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 5110:2005 黄鉛(顔料)及びモリブデートオレンジ(顔料) 

ISO 3711:1990 黄鉛(顔料)及びモリブデートオ
レンジ(顔料)−規格及び試験方法 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びそ
の内容 
表示箇所:本体,附属書 
表示方法:点線の下線又は実
線の側線 

(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策 

項目番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内
容 

1.適用範囲 

ISO 
3711 

IDT 

− 

2.引用規格 

JIS K 5101-2-1 
JIS K 5101-3-1 
JIS K 5101-14-1 
JIS R 3505 
 
JIS K 5101-1-2 
JIS K 5101-9 
JIS K 5101-13-1 
JIS K 5101-15-1 
JIS K 5101-16-2 
JIS K 5101-17-2 
JIS K 5600-1-2 
ISO 787-4 
ISO 3696 
ISO 3856-1 
JIS K 5101-13-2 
JIS K 5101-16-1 
JIS K 8001 
JIS K 8034 
JIS K 8107 
JIS K 8150 
JIS K 8180 
JIS K 8230 
JIS K 8541 
JIS K 8574 
JIS K 8731 
JIS K 8847 
JIS K 8896 
JIS K 9563 
ISO 6713 

ISO 787-1 
ISO 787-16 
 
ISO 385-1 
ISO 1042 
ISO 8780-2 
ISO 787-15 
ISO 787-5 
ISO 787-2 
ISO 787-8 
ISO 787-9 
 
ISO 787-4 
ISO 3696 
ISO 3856-1 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ISO 648, 
ISO 787-7 
ISO 787-20 
ISO 842, 
ISO 4793 

MOD/変更 
MOD/追加 
 
 
 

国際規格は古
く,最新のISO
を引用していな
いため,これに
対応する最新
JISを引用した。 

実質な技術的
差異はないが,
国際規格の見
直しの際,提案
を行う。 

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12 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びそ
の内容 
表示箇所:本体,附属書 
表示方法:点線の下線又は実
線の側線 

(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策 

項目番号 

内容 

項目
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内
容 

3.種類 

黄鉛とモリブデー
トオレンジの2種
類に分類 

種類 
JISとほぼ同
じ。 

MOD/変更 

タイプⅠ及びⅡ
を参考とした。 

ISO見直し時
に提案を検討 

4.品質 

表3 
 

MOD/選択 

吸油量の試験方
法に煮あまに油
法を追加(表3)
し,2法の選択
とした。 

ISO規格で規
定されている
精製あまに油
は,国内で入手
が困難なため。
ISOへ提案す
る。 

5.サンプリ
ング 

JIS K 5600-1-2に
よる。 

ISO 842 

MOD/変更 

引用規格の変更 

ISO 842はISO 
1512と統合さ
れISO 15528と
して発行され
ているためこ
れに対応する
JISに変更し
た。 

6.全鉛含有
量の定量 
 

− 

6.1 
 

重量法 

MOD/削除 

重量法を削除 

重量法は,問題
が生じたとき
の基準となる
方法であるが,
有毒な硫化水
素を使用して
おり,また,国
内で使用され
ていないため
削除。TBT協定
の適用除外条
項に該当する。 

6.1 容量法 

6.2 

容量法 

IDT 

7.可溶性鉛
含有量の定
量 
 

7.1 可溶性鉛の
抽出 

7.1 
 

可溶性鉛の抽
出 

IDT 

この試験方法
は,有害なシア
ン化カリウム
を用いること
から削除した。
TBT協定の適
用除外条項に
該当。 

7.2 可溶性鉛の
定量 
AAS法による。 

7.2 

可溶性鉛の定
量 
AAS法又はジ
チゾン吸光高
度法による。 

MOD/削除 

ジチゾン吸光高
度法を削除。 

8.試験結果
の記録 

IDT 

− 

background image

13 

K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ)国
際規
格番
号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びそ
の内容 
表示箇所:本体,附属書 
表示方法:点線の下線又は実
線の側線 

(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策 

項目番号 

内容 

項目
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内
容 

9.表示 

製品に表示すべき
項目を規定。 

− 

MOD/追加 

JIS認証制度に
対応するため追
加。 

附属書1(規
定)水抽出
液の酸度又
はアルカリ
度の試験方
法 

ISO 787-4の試験
方法を規定(抜粋) 

表2 

− 

MOD/変更 

試験方法を規定 

ISOでは試験
方法として規
格を引用して
いるだけであ
り,これに対応
する試験方法
がJIS化されて
いないため利
用者の利便性
を考慮して追
加した。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 技術的差異がない。 
  ― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  ― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  ― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。 

2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― MOD…………… 国際規格を修正している。 

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K 5110:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

関連規格 JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水