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K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

JIS K 3850-3

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  プラズマ灰化装置の操作条件の設定

附属書 B(規定)  超音波浴槽の作動条件の設定及び標準化

附属書 C(規定)  校正方法

附属書 D(規定)  構造体計数基準

附属書 E(規定)  繊維識別方法

附属書 F(規定)  長さ 5

µm を超えるアスベスト繊維及び繊維束,並びに PCM 相当アスベスト繊維

の濃度の測定

附属書 G(規定)  結果の計算

附属書 H(規定)  セルロースエステル試料捕集フィルタの適合性試験方法

附属書 I(参考)  空気サンプル採取の計画

附属書 J(参考)  文献

JIS K 3850

シリーズは,次に示す四つの部からなる。

第 1 部  位相差顕微鏡法及び走査電子顕微鏡法

第 2 部  直接変換−透過電子顕微鏡法

第 3 部  間接変換−透過電子顕微鏡法

第 4 部  固定発生源−プラントからのアスベスト飛散−繊維計数測定法


日本工業規格

JIS

 K

3850-3

 : 2000

 (ISO/DIS

13794

 : 1996

)

空気中の繊維状粒子測定方法−

第 3 部:間接変換−

透過電子顕微鏡法

Measuring method for airborne fibrous particles

Part 3 : Indirect-transfer transmission electron microscopy method

序文  この規格は,1996 年に発行された ISO/DIS 13794, Amibient air−Determination of asbestos fibres−

Indirect-transfer transmission electron microscopy method

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

この規格は,屋内空気環境を含む広範囲の環境大気中における浮遊アスベストの分析に適用できるもので

あり,アスベスト繊維の存在が予想されるいろいろな大気環境の詳細な評価のためのものである。最も信

頼できる医学的根拠によれば,繊維濃度,繊維サイズ及び種類が吸入の危険性評価に関係する因子である

ので,繊維計測技術は唯一の合理的な方法である。環境大気中の浮遊繊維の多くはアスベストではないの

で,個々の繊維を識別する必要がある。環境大気中の浮遊アスベストは,繊維径が位相差顕微鏡の分解能

よりも小さいものが多い。この規格は,微細な繊維の識別に必要な分解能をもち,かつ,種々のアスベス

ト繊維を明確に識別することのできる現在唯一の技術である透過電子顕微鏡に基づいている。十分な分析

が行えれば,環境大気中の浮遊繊維の種類を明確に識別することもできるが,この方法によって個々の繊

維を識別するのには分析費用が高くかかることになる。アスベストに違いないような場合でも,装置の不

備や粒子の性質によって,幾らかの繊維はアスベストと明確に判定できない場合もある。試料と装置の条

件がこの測定法に影響する。したがって,アスベスト繊維の識別と計数のための非常に詳細な取り決めが

必要となる。

アスベストは単繊維又は繊維束に加えて,他の粒子との集合体かどうかが分からない粒子集合体としても

空気捕集試料中に見つけられ,非常に複雑である。このような複雑な構造体に結合したアスベスト繊維及

び繊維束の数は,独立して観測される繊維及び繊維束の数よりも多いことが多いし,それらの多くは直接

変換 TEM 法においては完全に覆い隠されていることもある。この規格に定められた方法は,アスベスト

繊維の選択的集積と有機物及び水溶性物質の除去ができる試料作製手順を示したもので,大部分の繊維の

複合塊と集合体をそれぞれの繊維及び繊維束に分散させる効果をもっており,結果として空気捕集試料中

のアスベストをより正確に定量化できる。

すべての実行可能な試料作製技術は浮遊粒子の変化をもたらす。

空気中での 3 次元の分散状態から 2 次元のフィルタ表面上への粒子捕集は粒子状態の変化をもたらし試料

中の幾つかの粒子は試料作製手順によって変化する。この方法は,複合塊と繊維集合体を分散させるが,

繊維及び繊維束のサイズ分布への他の影響は最小にできる。


2

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

用いる装置技術は複雑であり,詳細,かつ,論理的手順は測定の主観的予見を減らすものであるので,こ

の規格はやむをえず複雑なものになっている。規格中に指定したデータ記録方法は,新しい医学的根拠が

提供されたとき繊維計数データについての再評価に耐えられるように計画されている。

この規格は 1 枚の空気捕集フィルタの分析方法を規定している。しかし,環境大気中のアスベスト計測に

おける最大の潜在的誤差の一つは,フィルタ試料間の可変性に関係している。この理由から,この規格の

正確さと精度を明記するため,繰り返しサンプリングを計画する必要がある。この間接変換法から得られ

た結果と直接変換法の結果との比較は,それほど重要なことではなく,繊維サイズ,アスベスト種及び浮

遊アスベスト発生源の性質を考慮に入れた特定の場における両方法の比較研究が必要である。

1.

適用範囲

1.1

測定物質  この規格は,環境大気中のアスベスト構造体の濃度測定のための透過電子顕微鏡を用い

た方法について規定する。試料作製手順は,捕集粒子の灰化と分散を組み合わせたもので,その結果粒子

集合体及び混成物質粒子と結合したアスベストを含むすべてのアスベストが計測される。アスベスト繊維

及び束の長さ,幅及びアスペクト比を測定し,これからアスベストの種類別の密度を用いて,浮遊アスベ

ストの総質量濃度が計算できる。この方法は,実在するアスベストの繊維種別を測定できる。しかし,角

せん(閃)石鉱物の中の各アスベスト繊維とそれと類似の非アスベストとを区別することはできない。

1.2

試料の種類  この方法は,ポリカーボネートフィルタ又はセルロースエステル(セルロース又はニ

トロセルロースの混合エステル)フィルタによって採気量が既知の試料について規定している。この方法

は,屋外及び建物内空気のアスベスト分析に適している。

1.3

計測範囲  分析フィルタ試料上で測定できる濃度範囲の上限は,7 000 構造体/mm

2

で,下限は,試

料面積当たり 2.99 構造体の検出に相当している。これらの数値で表される濃度は,採気量に関係し,試料

作製手順で選択された希釈又は濃縮の程度による。特にこの方法は,高濃度浮遊粒子(10

µg/m

3

以上)の

測定,又は直接変換 TEM 法では他の粒子状物質によってアスベスト繊維が覆い隠されているような場合

の検出及び同定に適している。理論上,検出できるアスベスト繊維サイズの下限はない。実際上には,非

常に小さいアスベスト繊維を観察する顕微鏡測定者の能力に左右される。したがって,最小の長さ 0・5

µm

が報告結果に採用される最短のアスベスト繊維として規定する。

1.4

検出限界  理論的検出限界は,ろ過による採気量の増加,試料作製中の濃縮及び試料上の電子顕微

鏡観察領域の増加によって下がる。実際に観察できる TEM 試料面積による最小到達検出限界は,灰化及

び水分散過程後に残る総懸濁粒子濃度に支配され,分散粒子の化学的性質に依存する。清浄な地方の大気

に相当する約 10

µg/m

3

の総懸濁粒子濃度をもつ 4 000L の大気をろ過したと仮定すると,TEM 試料面積

0.195mm

2

を測定した場合,0.5 構造体/L の分析感度が得られ,これは 1.8 構造体/L の検出限界に相当す

る。観察する TEM 試料面積を増やすことによって,より低い検出限界が得られ,また,標本作製過程で

の試料濃縮によっても低い検出限界を得ることができる。

繊維サイズを限定した低倍率での TEM 観察で,

より速く,かつ,広い領域について測定することによって,5

µm より長い繊維及び繊維束である PCM 相

当繊維の検出限界を下げることができる。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 3850-2

  空気中の繊維状粒子測定方法  第 2 部:直接変換−透過電子顕微鏡法

備考  ISO 10312 : 1995  Amibient air−Determination of asbestos fibres−Direct-transfer transmission


3

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

electron microscopy method

が,この規格と一致している。

ISO 4225

  Air quality−General aspects−Vocabulary

ISO 4226

  Air quality−General aspects−Units of measurement

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducibility for a standard test

method by inter-laboratory tests

ISO 7708

  Air quality−Particle size fraction definitions for health-related sampling

ISO STANDARDS HANDBOOK 2

  Units of measurement

ISO STANDARDS HANDBOOK 3

  Statistical Mrthods

3.

原理  浮遊粒子試料は,電池式又は電源式吸引ポンプを用いて,ある量の空気を最大ポアサイズ

0.4-

µm のキャピラリーポア・ポリカーボネート (PC) メンブレンフィルタ又は最大ポアサイズ 0.8µm のセ

ルロースエステル(セルロース又はニトロセルロースの混合エステル)メンブレンフィルタを通過吸引さ

せることによって捕集する。フィルタの一部を酸素プラズマ法によって灰化し,残った灰を酢酸で pH3.0

∼4.0 に調整した蒸留水中に分散させる。分析用フィルタは,この既知量の懸濁液を最大ポアサイズ 0.2

µm

のキャピラリーポア・ポリカーボネート・メンブレンフィルタ又は最大ポアサイズ 0.22

µm のセルロース

エステル・メンブレンフィルタを用いてろ過捕集して作る。TEM 試料は真空蒸着によって表面にカーボン

薄膜を付けた,ポリカーボネートの分析用フィルタから作られる。そのカーボン蒸着フィルタから小片を

切り取り TEM 試料グリッドに載せ,フィルタの素材を溶解抽出法によって溶解除去する。この処理は,

TEM

試料グリッドの目開きを覆っている薄いカーボン膜を残し,そのカーボン膜は個々の粒子を元のフィ

ルタ位置のまま保持している。セルロースエステルの分析用フィルタはフィルタの細孔構造をつぶすよう

化学的に処理され,つぶされたフィルタ表面は,すべての粒子が露出するように酸素プラズマ中でエッチ

ングする。カーボン薄膜をフィルタ表面上に蒸着し,そのフィルタの小片を切り取る。この小片を TEM

試料グリッドに載せ,フィルタの素材を溶解抽出法によって除去する。

両処理法で作製した TEM 試料グリッドについて,任意に選んだグリッドの目開きで繊維の計測を行う

前に,その試料が分析に適するかどうか判定するためのチェックを高倍率と低倍率の両方で観察する。選

んだ TEM 試料グリッド上の粒子又は繊維の負荷が高すぎるならば,より低い繊維濃度の他の試料グリッ

ドを分析用に選ぶ。

TEM

分析においては,電子回折 (ED) は繊維の結晶構造の検査に用い,繊維の元素組成はエネルギー分

散形 X 線分析 (EDXA) によって分析する。幾つかの理由から,個々の繊維をすべて明確に識別すること

は難しく,各繊維は,識別手順に従って分類される。個々の繊維を分類し記録するのに簡単な決まり(コ

ード)が用いられる。繊維の分類手順は形態観察,制限視野電子回折パターン,そして定性及び定量エネ

ルギー分散形 X 線分析に基づいている。クリソタイルの特定は,定量 ED だけで確定できる。角せん石は,

定量 EDX 分析と定量晶帯軸方向 ED によって判定できる。

大気捕集サンプル中には,単独の繊維に加え,他の粒子と結合したりより複雑な繊維の集合体を含んで

いる。また,ある粒子は,他の物質とともにアスベスト繊維の混成物を形成したりしている。個々の繊維

及びこれらのより複雑な構造体を“アスベスト構造体”と呼ぶ。この間接試料作製方法は,これらの複雑

な構造体を構成する大部分を分離分散させ,構成要素である繊維及び繊維束を直接変換方法より正確に定

量分析できる。

このコードシステムは,繊維構造体の形を記録し,個々の構造体の見掛けの形状を記載する。この二つ

を記録することで分析者は繊維計数データの説明を不要にし,あとで TEM 試料を再分析せずに評価する


4

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

ことができる。何段階かのレベルの分析を詳細に規定することによって,その高度のレベル分析では繊維

のより厳密な判断を行うことができる。

この方法は,ある特別なサンプルについてあらかじめ知り得た知識に基づいた又はそれを欠く場合の最

小の繊維判断基準である。個々の繊維識別のためにこの最小の判断基準が適用され,判断の程度を個々の

繊維について記録しておく。すべての分類された構造体の長さ及び幅を記録する。顕微鏡試料の分析面積

内に発見されたアスベスト構造体の数は,試料捕集フィルタを通過した空気量,灰化した捕集フィルタの

割合,ろ過した水懸濁液の割合及び計数フィルタ面積を用いて構造体/L で表される浮遊アスベスト濃度

を計算する。アスベストの質量濃度は,アスベストの各種類ごとの推定密度及び繊維の長さと幅を用いて

計算する。

4.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は ISO 4225 によるほか,次による。

4.1

針状 (acicular)   例えば,針のように,長さに比較して細い直径をもつ極めて細長い結晶によって

表される形。

4.2

角せん石 (amphibole)   鉄マグネシウム系けい酸塩鉱物の造岩鉱物群で,次の組成式をもつもの。

A

0

1

B

2

C

5

T

8

O

22

 (OH, F, Cl)

2

ここに,  A:  カリウム,ナトリウム 

B

:  第二鉄,マンガン,マグネシウム,カルシウム,ナトリウム

C

:  アルミニウム,クロム,チタン,鉄,マグネシウム,第二鉄

T

:  けい素,アルミニウム,クロム,第一鉄,チタン

角せん石の類縁鉱物の中には,これらの元素が Li, Pb 又は Zn によって部分的に置き換わったものもあ

る。角せん石は,けい素と酸素の比率 4 : 11 の Si−O 4 面体の複鎖構造で特徴づけられる。円柱状又は繊

維状のプリズム状結晶を示し,約 56°と 124°の角度で交差する 2 方向のプリズム状へき開をもつ。

4.3

角せん石アスベスト (amphibole asbestos)   アスベスト様形態をもつ角せん石。

4.4

分析用フィルタ (analytical sensitivity)   試料捕集フィルタを灰化して水に分散させたものをろ過

捕集したフィルタ。それを用いて TEM 試料グリッドを作製する。

参考  4.4A 分折感度  構造体/L で表される計算で求められた浮遊アスベスト構造体濃度。1 本のア

スベスト構造体が計数された場合と等しい。この方法では,分析感度について細かく規定して

いない。

4.5

アスベスト様形態 (asbestiform)   繊維が高い抗張力と柔軟性をもつ鉱物の繊維形態の特殊なタイ

プ。

4.6

アスベスト (asbestos)   破砕又は加工したときに,長く,細く,柔軟で強い繊維に容易に分かれ,

アスベスト様形態の特性をもつ結晶化した蛇紋石及び角せん石族に属するけい酸塩鉱物グループに適用さ

れる用語。最も一般的なアスベスト種の CAS(

1

)

登録番号は,クリソタイル(12001-29-5),クロシドライト

(12001-28-4)

,グリュネライト・アスベスト(アモサイト)(12172-73-5),アンソフィライト・アスベスト

(77536-67-5)

,トレモライト・アスベスト(77536-68-6)及びアクチノライト・アスベスト(77536-66-4)。

(

1

) Chemical

Abstract

Service

4.7

アスベスト構造体 (asbestos structure)   単独繊維,又は他の粒子を付着又は付着していないアスベ

スト繊維又は繊維束の集団。

4.8

灰化フィルタブランク  (ashed filter blank)    大気サンプル捕集に用いるのと同じタイプの未使用メ

ンブレンフィルタから間接変換法によって作られた TEM 標本での繊維数。


5

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

4.9

アスペクト比 (aspect ratio)   繊維状物質の長さと幅の比。

4.10

ブランク (blank)   バックグラウンド値の測定のために行う未使用のフィルタから作られた TEM

試料で計数した構造体数。

4.11

カメラ長 (camera length)   レンズ操作のない状態での,試料とその電子回折パターン間の距離に等

しい投影長さ。

4.12

クリソタイル (chrysotile)   次の名目組成をもつ蛇紋石族に属する繊維状鉱物の一つ。

Mg

3

Si

2

O

5

 (OH)

4

ほとんどの天然クリソタイルは,この名目的組成からわずかにずれている。クリソタイルのある種類に

おいては,Si が Al

3

に少し置換されている。Mg が Al

3

, Fe

2

, Fe

3

, Ni

2

, Mn

2

及び Co

2

によって少し置換

されていることもある。クリソタイルは最も普及しているアスベストの種類である。

4.13

へき開 (cleavage)   結晶学的方向の一つに沿って鉱物が割れる状態。

4.14

へき開片 (cleavage fragment)   へき開面に沿って割れた結晶の破片。

4.15

クラスタ (cluster)   2 本以上の繊維又は繊維束が一つの集合体中でランダムに配向している一つの

構造体。

4.16

直接変換法のブランク (direct-transfer blank)   灰化残さ(渣)の懸濁液ろ過に用いられているのと

同タイプの未使用フィルタから直接変換法で作られた TEM 試料を計数した構造体の数。

4.17  d

間隔 (d-spacing)   結晶中のある原子面と全く等しい隣接する平行な原子面の間の距離。

4.18

電子回折 (elcctron diffraction)   試料の結晶構造を調べるのに用いる電子顕微鏡の技術。

4.19

電子散乱力  (electron scattering power)   物質の薄い層が飛んできた電子をその元の方向から散乱

させる大きさ。

4.20

空のビーカブランク  (empty beaker blank)    最初の試料として空のビーカについて直接法によって

作られた TEM 試料において計数された繊維数。

4.21

エネルギー分散 線分析 (energy dispersive X-ray analysis)   半導体の検出器と多チャンネル分析

装置を用いた X 線のエネルギーと強度の測定。

4.22

ユーセントリック (eucentric)   観察対象領域が電子ビームと交差する傾斜軸上にあり,かつ,焦点

面内にあるときの状態。

4.23

フィールドブランク (field blank)   空気捕集場所へもっていき,フィルタカセットを開け,その後

閉じたフィルタ。このフィルタをバックグラウンド構造体数の測定のために用いる。

4.24

単繊維 (fibril)   これ以上繊維の性質や外観を失うことなく,より小さく長さ方向に裂けることの

できないアスベストの単一の繊維。

4.25

繊維 (fibre)   平行又は階段状の側面をもつ長く伸びた粒子。この規格においては,繊維はアスペク

ト比が 5 : 1 かそれ以上で,最短長さが 0.5

µm のものと定義する。

4.26

繊維束 (fibre bundle)   より細い繊維径をもつ繊維が長さ方向に平行にそろった構造体。繊維束は,

片方又は両方が分岐していることが多い。

4.27

繊維構造体 (fibrous structure)   他の粒子を付着している又は付着していない繊維又は連結繊維の

集合体。

4.28

ファンネルブランク (funnel blank)   蒸留水をろ過したフィルタから直接変換法によって作られた

TEM

試料を計数した構造体数。

4.29

晶癖 (babit)   特徴的な不規則性を含む鉱物の特徴的な結晶成長形態又はこれらの複合した形。


6

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

4.30

検出限界 (limit of detection)   計算で求められた構造体/L で表される浮遊アスベスト構造体濃度

で,分析において 2.99 アスベスト構造体の計数に相当するもの。

4.31

マトリックス (matrix)   1 本又はそれ以上の繊維又は繊維束をもち,繊維でない一つの粒子又は塊

状集団によって一部が隠されている構造体。

4.32

ミラー指数 (Miller index)   結晶軸に関して結晶面の位置を特定するために用いる三つ又は四つの

整数値の組合せ。

4.33  PCM

相当繊維  (PCM equivalent fiber)    長さが 5

µm を超え,径が 0.2∼3.0µm の間にあるアスペク

ト比 3 : 1 以上の繊維。

4.34  PCM

相当構造体  (PCM : equivalent structure)    長さが 5

µm を超え,径が 0.2∼3.0µm の間にあるア

スペクト比 3 : 1 以上の繊維構造体。

4.35

基本構造体 (primary structure)   TEM 像において分離独立して存在する繊維構造体。

4.36

レプリカ作製 (replication)   電子顕微鏡の試料作製方法の一つで,表面の薄膜複製を作ること。

4.37

制限視野電子回折 (selected area electron dffiraction)   試料の微小領域の結晶構造を調べるための

電子顕微鏡技術。

4.38

蛇紋石 (serpentine)   次の名目組成式をもつ造岩鉱物の 1 群

Mg

3

Si

2

O

5

 (OH)

4

4.39

構造体 (structure)   単一の繊維,繊維束,クラスタ又はマトリックス。

4.40

双晶 (twinning)   同じ種類の単結晶が互いにある一定の結晶学的相対位置関係で接合して産出し

た形態。

4.41

未開綿繊維 (unopened fibre)   それを構成する単繊維又は繊維に分離されていない大きい直径のア

スベスト繊維束。

4.42

晶帯軸 (zone-axis)   同一結晶帯に属する結晶面の交差端に平行な結晶の中心を通る線又は結晶学

的方向。

5.

単位記号及び略号(ISO 4226 及び ISO No.2 を参照)

5.1

単位記号

eV

:電子ボルト

kV

:キロボルト

L/min

:リットル/毎分

µg

:マイクログラム(10

6

グラム)

µm  :マイクロメートル(10

6

メートル)

nm

:ナノメートル(10

9

メートル)

W

:ワット

5.2

略号

DMF

:ジメチルホルムアミド

ED

:電子回折

EDXA

:エネルギー分散 X 線分析

FWHM

:半値幅

HEPA

:高性能粒子除去

MEC

:混合エステル・セルロース


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K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

PC

:ポリカーボネート

PCM

:位相差顕微鏡

SAED

:制限視野電子回折

SEM

:走査電子顕微鏡

STEM

:走査透過電子顕微鏡

TEM

:透過電子顕微鏡

UICC

:国際対がん連合

6.

装置及び器具

6.1

空気捕集−装置及び消耗品

6.1.1

フィルタカセット  フィルタ全面に突き出し 2cm 未満のカウル (cowls) をもった直径 25∼50mm の

3

ピースカセットから成るフィールドモニターをサンプル捕集に用いる。このカセットには最大ポアサ

σ

イズ 0.4

µm のポリカーボネートフィルタ又は最大ポアサイズ 0.8µm のセルロースエステル(MEC 又はニ

トロセルロース)フィルタを用いる。フィルタを取り付けたら,空気漏れを防ぐために伸縮セルロースバ

ンド又は粘着テープを用いる。フィルタの周囲から大きい空気漏れが起きないようにフィルタの組み立て

がきつく締まっていることを確かめるなど適切な予防策をとる。

備考  空気捕集にフィルタを用いる前に,フィルタのロットから取り出した代表フィルタをアスベス

ト構造体の検出のために 10.8 に記載するように分析し,

附属書 に記載するように適切かどう

か試験する必要がある。

この方法では,直接変換法 JIS K 3850-2 における最大ポアサイズよりも大きいポアサイズの

試料捕集セルロースエステルフィルタの使用が可能である。粒子及び繊維が直接変換法によっ

て高い効率で TEM グリッドに変換されていることが必要であるので,捕集した粒子及び繊維

がフィルタ表面近くに保持されていることを確かめるため,より小さい最大ポアサイズフィル

タの使用を JIS K 3850-2 で指定している。この間接変換法においては,粒子及び繊維がフィル

タに捕集されていれば試料捕集の間にフィルタ内部へ深く侵入するか否かは重要ではない。

6.1.2

捕集ポンプ  捕集ポンプは,必要とする分析精度を達成するのに十分な吸引量をもたなければなら

ない。フィルタを通過する面速度は 4.0∼70cm/s の間とする。用いる捕集ポンプは,フィルタ通過空気流

量にぶれがあってはならないし,捕集時間を通して±10%以内で初期吸引量を維持する必要がある。一定

流量又は制御ポンプによるクリティカルオリフィス (critical orifice) はこれらの条件を満たす。柔軟なチュ

ーブをフィルタカセットと捕集ポンプとの接続に用いる。個々のポンプの吸引量の校正が必要である。

備考  特定の粒子サイズの捕集効率は面速度によって変化する。浮遊粒子のサイズ分布に依存して分

析結果が面速度によって変わる可能性がある。

6.1.3

架台  架台は,捕集に必要な高さにフィルタカセットを固定するために用い,ポンプの振動が伝わ

らないようにして用いる。

6.1.4

可変面積流量計  選んだ流量の検定に適した範囲をもつ可変面積流量計が,空気捕集装置の校正に

必要である。


8

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

6.2

試料作製室  アスベスト特にクリソタイルは,多くの実験室試薬中に様々の量が含まれている。多

くの建築材料は,かなりの量のアスベスト又は他の鉱物繊維を含んでいて作製中に不注意に混入して分析

の妨げになることがある。作製中に外来のアスベスト繊維による TEM 試料の汚染が最小であることを確

かめることは最も重要である。すべての試料作製段階において試料の汚染が最小である環境を維持しなく

てはならない。試料作製室の基本条件は,ブランク試験が 10.8 に詳細に規定された条件を満たすことであ

る。TEM 試料作製に適した最低限の装置は,正圧の流出フードである。しかし,試料作製の作業に慣れる

ことは,清潔な装置を用いることよりも重要である。試料作製はブランク値が許容できることを確認した

後に行うことが必要である。

備考  バルクアスベスト試料の操作を含む諸々の活動は,TEM 試料が汚染される可能性があるので,

TEM

試料作製と同じ場所で行わないことが望ましい。

6.3

分析機器

6.3.1

透過電子顕微鏡  1.0nm 以上の解像度及び約 300∼100 000 の倍率範囲をもつ加速電圧 80∼120kV

で作動する TEM を用いることが望ましい。スクリーン上で約 100 000 の倍率を得る性能が繊維の形態を見

るために必要である。この倍率が直接に得られない場合,双眼鏡でスクリーン像を光学的に拡大すること

でもよい。観察スクリーン(蛍光板)は(

図 に示すような)同心円とミリメータ目盛をもち,これで繊

維像の長さ及び幅を 1mm 単位まで測ることができる。

0.01

ラジアン以下の Bragg 角によって,TEM はスクリーン上で 20 000 倍の焦点の合った像を得ること

によって,0.6

µm

2

以下の面積の ED が行える。この性能は,個々の粒子から独立の ED パターンを得て,

個々の粒子の識別をするのに必要な最小間隔を示している。もし,制限視野電子回折 (SAED) を用いるな

らば,個々の TEM 装置の性能は,通常,次の関係式を用いて計算する。

A

=0.785 4×(D/M+2 000×C

s

×

θ

3

2

ここに,

A

:  実効 SAED 有効面積  (

µm

2

)

D

:  制限視野絞り径(

µm)

M

:  対物レンズの倍率

C

s

:  対物レンズの球面収差計数 (mm)

θ

:  最大必要 Bragg 角(ラジアン)

対物レンズの球面収差係数によって決まる基本的限界があるために,より小さい制限視野絞りを,次々

に用いて実効 SAED 面積をどこまでも小さくすることは不可能である。

もし,晶帯軸 ED 分析を行うならば,TEM にゴニオメータ台を組み込み,TEM 試料が次のどちらかに

なるようにする。

a) 360

°回転と試料面中に対して少なくとも+30∼−30°傾斜する両方の動き。又は

b)

試料面の 2 方向に対して少なくとも+30∼−30。傾斜する。

ゴニオメータがユーセントリックな傾斜をするなら分析は非常に容易になるが,これは絶対必要という

わけではない。もし,EDXA 分析と晶帯軸 ED が同じ繊維に対して必要ならば,試料の傾斜と EDXA スペ

クトルが試料ホルダを変えることなく得られるタイプのゴニオメータが必要である。

TEM

は,直径 250nm 未満の電子プローブを形成できる電子源とコンデンサレンズシステムをもつこと

が必要である。

備考  これらの必要な機器性能を得るため,試料周辺の汚染防止装置を用いることが推奨される。


9

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 1  TEM 観察スクリーンに印された計測用目盛の例

6.3.2

エネルギー分散 線分析  TEM は,MnK

αピークで 180eV (FWHM)  よりよい分解能が得られるエ

ネルギー分散 X 線分析装置を附属する。TEM と EDXA 装置の独特の組合せの性能は,多数の幾何学的要

因に依存しているので,その必要性能は,既知の電子ビーム径を用いて,細い繊維から実際に X 線強度を

測定して明らかにされる。半導体の X 線検出器は低エネルギー域では最低の感度であり,そのため,クロ

シドライトのナトリウムの分析は,性能検査によく用いる。この電子顕微鏡及び X 線分析器の組合せで加

速電圧 80kV で直径 250nm 以内の電子プローブで照射する通常の分析条件下で,直径 50nm 以下の UICC

クロシドライト繊維からバックグラウンドを引いた NaK

αの積算ピークとして 1 カウント/s (cps)  以上の

計数率をもたらす。この性能試験におけるピーク/バックグラウンド比は,1.0 を超えている。

EDXA

ユニットは,バックグラウンド値の減算処理法,元素ピーク値の定性及びバックグラウンド値を

差し引いたピーク面積の計算法を備えている。

6.3.3

コンピュータ  多くの繰り返し演算計算が必要であり,これらは比較的単純なコンピュータプログ

ラムで容易に処理できる。晶帯軸 ED パターン分析のために,より複雑なプログラムを組み込む必要があ

るので十分なメモリのついたコンピュータが必要である。


10

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

6.3.4

プラズマ灰化装置  試料捕集フィルタの灰化のため,及び MEC フィルタから TEM 試料を作製す

るために,50W 以上の放射周波数能力をもつプラズマ灰化装置が必要である。灰化装置は制御された酸素

流量が供給される。必要があれば改良して,急速な空気流入が粒子状態をかく(撹)乱しないように空気

導入速度を調節するバルブを付ける。

備考  酸素供給及び空気導入ラインに,フィルタを介在させることが推奨される。

6.3.5

真空蒸着装置  0.013Pa 以下の真空状態にできる真空蒸着装置を,メンブレンフィルタ上へのカー

ボン蒸着のために用いる。試料支持台は,顕微鏡用スライドガラスを蒸着処理中連続的に回転できるもの

が必要である。

備考  回転するスライドが,蒸着処理の間,約 45°の角度で傾斜させることのできる機構が推奨され

る。拡散ポンプに付いている液体窒素のコールドトラップは,ポンプ装置からの油によるフィ

ルタ表面の汚染の可能性を最小にするために用いる。真空蒸着装置は,TEM 試料の ED パター

ンの内標準が必要なときに,金又は他の標準物質の薄膜蒸着を行うためにも用いる。

6.3.6

スパッタ蒸着装置  金ターゲットをもったスパッタ蒸着装置は,ED パターンの内標準用金蒸着の

ために用いる。他の標準物質の使用も可能である。経験からスパッタ蒸着装置は,標準物質の厚さをより

よく制御できることが知られている。

6.3.7

ビーカ  ほうけい酸ガラス製のビーカを 50ml が試料捕集フィルタのプラズマ灰化の際の容器とし

て用いる。

6.3.8

液体ろ過の吸引源  液体拡散ろ過のために少なくとも 20kPa の真空度を作れるポンプを必要とす

る。水流ポンプが適している。

6.3.9

ろ過器  ガラス製ろ過器が水懸濁液のろ過に用いる。このろ過器は多孔焼結ガラスフィルタ支持台,

垂直側壁をもつろ過槽,ろ過槽とフィルタとの固定クランプ,及び真空フラスコ又はろ過マニホールドか

らなっている。適合した器具部品を

図 に示す。

6.3.10

溶媒溶解器 (Jaffe washer)   溶媒溶解器の目的は,フィルタ上の繊維及び他の粒子を保持している

蒸着カーボン膜をそのままにしたフィルタ表面からフィルタポリマーを溶解させるためのものである。

様々の溶媒とフィルタ材質に対して満足できる溶解器の一例を

図 に示す。一般にクロロホルム又は 1 メ

チル−2 ピロリドンがポリカーボネートフイルタの溶解に用い,ジメチルホルムアミド又はアセトンがセ

ルロースエステルフイルタの溶解に用いる。クロロホルムとアセトンは,高い蒸発率のため溶媒槽の容量

は 10∼50ml を必要とし,更に処理の間に溶媒の補給を必要とするかもしれない。ジメチルホルムアミド

と 1 メチル−2 ピロリドンは低い蒸気圧をもつので,溶媒の量はかなり少なくてもよい。すべての洗浄は

排気フードの中で行い,溶媒溶解の間ペトリ皿のふたをして,試料を挿入したり移動したりしないことが

推奨される。溶解器はそれぞれの試料群ごとに用いる前に洗浄しておく。

6.3.11

凝縮溶解器 (Condensation washer)   フィルタポリマーをより速く溶解させるため,又はフィルタ

ポリマーの溶解が困難である場合に,フラスコ,凝縮器,冷却アセンブリー,加熱マントル及び温度制御

器からなる凝縮溶解器を用いる。フィルタのタイプによってアセトン又はクロロホルムを溶媒として用い

る場合の適切な組合せ例を

図 に示す。

6.3.12

スライド加熱器又はオーブン  セルロースエステルフィルタから,TEM 試料を作製する際に,ス

ライドを加熱するにはスライド加熱器又はオーブンを用いる。これは温度 65∼70℃に維持できることが必

要である。


11

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6.3.13

超音波浴槽  超音波浴槽は,試料捕集フィルタから灰化し水に懸濁させるためと TEM 試料作製の

ための器具類の洗浄に用いる。超音波浴槽は,周波数約 50kHz でガラスビーカ 50ml 中の水 40ml に 0.05

∼0.1W/ml のエネルギー吸収を行わせるのに十分な能力が必要である。

6.3.14

カーボン格子レプリカ  カーボン格子レプリカは,1mm 当たり平行線が約 2 000 で TEM の倍率の

校正に用いる。

6.3.15  EDXA

の校正用グリッド  校正用標準鉱物を分散させた TEM 試料グリッドが EDXA システムの校

正に用いる。校正用鉱物に適したものはリーベカイト(青石綿,クロシドライト)

,クリソタイル,ハロイ

サイト,フロゴパイト(金雲母)

,ウォラストナイト(けい灰石)及びバスタマイトである。ナトリウムの

ための EDXA システム校正用鉱物は,金製 TEM グリッド上に用意する必要がある。

図 2  吸引ろ過器の例


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備考  溶媒は液面がステンレス網の下面に接するまで加える。

図 3  溶媒溶解器 (Jaffwasher) の例

図 4  凝縮溶解器の概略図

6.3.16

カーボン棒削り器  くびれたカーボン棒を用いることによって,最小の加熱でカーボンをフィルタ

上に蒸着させることができる。

6.3.17

使い捨てマイクロピペットチップ  使い捨てマイクロピペットチップは,pH 調整のために約 50

µl

の容量のもの,及びセルロースエステルフィルタから TEM 試料の作製の際に約 30

µl の容量の溶液を移し

替えできるもの。

6.3.18

温度計  0∼100℃範囲の温度計を超音波浴槽の検定に用いる。

6.3.19

ストップウォッチ  ストップウォッチを超音波浴槽の検定に用いる。

6.4

消耗品


13

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

6.4.1

セルロースエステルフィルタ  最大ポアサイズ 0.22

µm の残さ灰懸濁液のろ過用液体ろ過器に適し

た径のセルロースエステル(MEC 又はニトロセルロース)フィルタ。

6.4.2

ポリカーボネートフィルタ  最大ポアサイズ 0.2

µm の残さ灰懸濁液のろ過用液体ろ過器に適した

径のポリカーボネートフィルタ。

6.4.3

セルロースエステルフィルタ  ポアサイズ 5

µm の液体ろ過器の使用に適した径のセルロースエス

テルフィルタ(MEC 又はニトロセルロース)

6.4.4

ペトリ皿  残さ灰懸濁液のろ過によって準備された分析用フィルタの保管のためのペトリ皿。

6.4.5

銅製電子顕微鏡グリッド  200 メッシュの TEM グリッドが推奨される。10.7.2 の条件に適合する

均一サイズのグリッド目開きをもつグリッドを選定する。精度管理上,各グリッド目開きの移動を容易に

するため,各グリッド目開きに番号又はアルファベット付けしたグリッドを用いることが推奨される。

6.4.6

金製電子顕微鏡グリッド  ナトリウム分析が繊維識別の上で必要なとき TEM 試料を載せるための,

200

メッシュの金 TEM グリッドを推奨する。10.7.2 の条件に合致する均一サイズのグリッド目開きをもつ

グリッドを選ぶべきである。精度管理上,各グリッド目開きの移動を容易にするため,各グリッド目開き

の番号又はアルファベット付けしたグリッドを用いることが推奨される。

6.4.7

アルミニウムはく  アルミニウムはくは,プラズマ灰化及び超音波処理の段階においてビーカを覆

うために用いる。厚さ 0.015∼0.020mm のアルミニウムはくが適している。

6.4.8

カーボン棒電極  真空蒸着装置でフィルタへのカーボン蒸着をするのに用いる分析化学的に純粋

なカーボン。

6.4.9

電子顕微鏡用器具及び消耗品  先鋭ピンセット,メス用ホルダとメス刃,顕微鏡用スライドガラス,

両面粘着テープ,レンズティッシュ,金線,タングステンフィラメント及びその他の通常用いる消耗品が

必要である。

6.4.10

対照用アスベスト試料  基本的なアスベスト鉱物の対照用 TEM 試料作製のためのアスベスト試料。

UICC

鉱物セットはこれに適している。

7.

試薬類

7.1

繊維を含まない水  新しく蒸留した繊維を含まない水,又は他の方法で処理した繊維を含まない水

を用いる。

7.2

クロロホルム  [1% (v/v)  エタノールで保管している]ガラス内で蒸留した分析用のもの。

7.3

1

メチル−ピロリドン  分析用のもの

7.4

ジメチルホルムアミド  分析用のもの

7.5

氷酢酸  分析用のもの

7.6

アセトン  分析用のもの

警告  適切な健康及び安全規則に従って試薬類を用いる。

8.

空気サンプル捕集  必要とする分析感度は,サンプル捕集に先立って確立されるべきパラメータであ

る。分析感度は,分析中の 1 構造体の検出に相当する構造体濃度として定義する。TEM 試料作製の間接変

換法においては,分析感度は捕集空気量,捕集フィルタの実効面積,灰化した捕集フィルタの面積,分析

用フィルタの面積及び構造体を計数した TEM 試料の面積の関数である。特定の分析感度に達しているか

の確認のために用いるグリッド目開き数 は,次の式によって計算する。


14

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

(

)

(

)

s

a

f

g

d

s

V

F

V

A

S

V

A

k

×

×

×

×

×

ここに,

A

s

:  分析用フィルタの有効面積 (mm

2

)

V

d

:  残さ灰の分散に用いた水量 (ml)

S

:  構造体の分析感度(構造体/L)

A

g

:  グリッド目開きの平均面積 (mm

2

)

V

f

:  水懸濁液ろ過量 (ml)

F

a

:  灰化したサンプル捕集フィルタの割合

V

s

:  捕集空気量 (L)

サンプリングと分析パラメータとの様々な組合せに関する検査に必要なグリッド目開き数の例を,

表 1

に示す。

空気サンプルは,6.1.1 に示すようなカセットを用いて捕集する。サンプリング時間中,フィルタカセッ

トはポンプの振動から隔離されたスタンドで支持する。カセットは,地面又は床から約 1.5∼2.0m の高さ

で垂直に近く下方向に向け,柔軟なチューブでポンプと接続して保持する。校正した可変面積流量計をカ

セツトの入口に取り付けて,捕集時間の初めと終わりにカセットの前面での捕集空気流量を測定する。こ

れらの二つの測定の平均値は,総捕集空気量の計算に用いる。

備考  流量計から捕集されるサンプルへの繊維汚染を防ぐために使用前に可変面積流量計を洗浄する。

浮遊アスベストの環境発生源のモニタリングのための基本計画は

附属書 に記載している。サンプリン

グ後,

実験室へ戻るためにフィルタ面を上向きにし,

カセット開口部にふたをする。

9.8

に記載したように,

フィールドブランクフィルタも同様にこん(梱)包し,試料と同様な分析処理を施す。

表 1  特定の分析感度と検出限界を得るのに要求される最小グリッド目開き数の例

捕集空気量 (L)

分析感度

(構造体/

L

検出限界

(構造体/

L

500

1 000

2 000

3 000

4 000

5 000

10 000

0.1

0.3  1

297 649 325 217 163 130  65

0.2

0.6

649 325 163 109  82  65  33

0.3

0.9  433

217

109 73 55 44 22

0.4

1.2  325

163 82 55 41 33 17

0.5

1.5  260

130 65 44 33 26 13

0.7

2.1  186 93 47 31 24 19 10

1.0

3.0  130 65 33 22 17 13  7

2.0 6.0

65

33

17

11

9

7

4

3.0

9.0

44 22 11  8  6  5  4

4.0  12

33

17 9 6 5 4 4

5.0  15

26

13 7 5 4 4 4

7.0  21

19

10 5 4 4 4 4

10

30

13 7 4 4 4 4 4

備考  表 において,試料捕集フィルタの半分を灰化し,分散に用いた水量は 40ml,ろ

過した分散溶液の量は 34ml,分析フィルタの有効面積は 199mm

2

,TEM グリッド

の目開きの間隔を 85

µm と仮定する。検出限界は,構造体の計数 0 に対するポア

ソン分布の上側 95%信頼限界として定義される。バックグラウンド値が 0 のとき

は,分析感度の 2.99 倍に等しい。ブランクフィルタの分析中に観測された 0 では

ないバックグラウンド値は,検出限界を悪くする。


15

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

9.

分析方法

9.1

はじめに  試料捕集フィルタの灰化,残さ灰の分散,及び水懸濁液のろ過の手順は,2 種類の試料捕

集フィルタとも同じである。分析用フィルタから TEM 試料を作製する技術は,ポリカーボネートとセル

ロースエステルのフィルタとで異なる。用いる試料作製方法は 9.4 又は 9.5 のどちらかで,空気捕集に用い

たメンブレンフィルタによって異なる。開ける前のサンプルカセットの清掃,カーボン蒸着装置の準備,

使用可能な試料グリッドの基準,及びブランク値分析の条件などは二つの試料処理技術とも同じである。

TEM

分析,構造体計数,繊維同定及び結果報告は,フィルタの種類又は試料作製技術によらず共通である。

ブランクサンプル基準の適合性は装置及び消耗品の清浄さに依存する。顕微鏡用スライドガラス及びガ

ラス器具のようなすべての消耗品はアスベスト汚染源となると考える。使用前にガラス器具はすべて洗浄

する必要がある。使用前及び各サンプルを扱う間に,空気捕集フィルタ又は TEM 試料に接触する道具及

びガラス器具をすべて洗浄する。可能であれば,使い捨ての消耗品を用いる。

備考  すべての粒子汚染と繊維のガラス器具からの分離を確認するため,すべての表面を洗剤中に浸

した清潔な紙タオルで強くこすり,流水中で数回すすぐことを薦める。その後,繊維を除去し

た水を用いてガラス器具を少なくとも 2 回すすぐ。

9.2

サンプルカセットの洗浄  アスベスト繊維は空気捕集カセットの外部表面に付着し,これらの繊維

は処理中の不注意によってサンプルに移動する。この汚染の可能性を防ぐため,カセットをきつくシール

したことを確認した後,それを洗浄装置及びカバーフードのところへもっていく前にぬれた紙タオルで各

捕集カセットの外部表面をぬぐう。

9.3

分析用フィルタの作製

9.3.1

灰化するフィルタ領域の選択  達成すべき分析精度によって,試料捕集フィルタの 4 分の 1 又は半

分を灰化する。新しく洗浄したピンセットを用い,捕集カセットから試料捕集フィルタを取り出し,2 枚

目洗浄した切断用平面として用いる顕微鏡用スライドガラスの上に載せる。新しく洗浄した湾曲メス刃を

フィルタに接して押し付け,そこから刃を揺り動かすことによってフィルタの必要面積を切り取る。必要

によってこの処理を繰り返す。

9.3.2

試料捕集フィルタの灰化  選んだフィルタ部分を 50ml ほうけい酸ガラスビーカ中に入れ,捕集し

た粒子面が下向きになっていることを確かめる。厚さ 0.015∼0.02mm のアルミニウムはくの 6cm×6cm 四

角片でビーカを覆い,ビーカの端に出たアルミニウムはくを折り曲げ,密閉する。プラズマ灰化の間,ガ

ス交換が行われるように針で 10∼20 個の穴をアルミニウムはくに開ける。

プラズマ灰化装置のチャンバサ

イズによっては,数個のサンプルフィルタを同時に灰化することができる。同じ方法で用意した少なくと

も一つの空のビーカを各灰化サンプル処理ごとに灰化チャンバ内に並べて置くべきである。フィルタが完

全に灰化したことが見えるまで赤熱放電が観察される最低出力を用いてプラズマ灰化処理を行う。プラズ

マ灰化装置の出力を最大にし,最低 3 時間この状態で処理する。灰化処理が完了した後,チャンバ内に空

気を送りビーカを取り出す。

備考  もし,プラズマ灰化装置を過度の放射周波数出力で用いると,ビーカから粒子及び繊維の消失

が起きることになる。MEC 又はセルロースナイトレイトフィルタの灰化処理の間に,もし,放

射周波数出力が超過すると突然猛烈な発火が起きて酸化状態となり致命的となる。この結果ビ

ーカから繊維が消失し,

チャンバの内部を汚染し,

サンプルの相互汚染を起こす可能性がある。

PC

フィルタの灰化においても同様のことが考えられる。規定した手順による灰化処理によって

これらの問題が避けられる。突然の発火が起きないように放射周波数出力が設定されているこ

とを確認するため,酸化の最終段階でブランクフィルタの灰化を注意深く観察することを推奨


16

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

する。

9.3.3

試料捕集フィルタの残留灰の水懸濁化  ビーカの上のアルミニウムはくを外す。使い捨てピペット

チップを用い,50

µl の氷酢酸を加え,その後 40ml の新鮮な蒸留水を加える。新しい 6cm×6cm 四方のア

ルミニウムはくでビーカを覆い,密閉されるようビーカの端に出たアルミニウムはくを曲げる。ビーカを

超音波浴槽の中に置き,校正出力で浴槽を 5 分間作動させる。

9.3.4

水懸濁液のろ過装置の組合せ  分析用フィルタ上に粒子を均等にたい積させることが重要である

ので,水懸濁液ろ過には非常に慎重な処理が必要である。次の手順で行う。

a)

ろ過装置をセットし,真空源を接続する。

b)

液面が上昇するまで,ろ過装置の底部分に新鮮な蒸留水を加える。

c)

水の液面上に 5

µm ポアサイズのセルロースエステルフィルタを置く。このフィルタは中心に置く。フ

ィルタが底部分に接するように真空引きを極短時間行う。

d)

セルロースエステルフィルタの上に新鮮な蒸留水を加え,水面上に分析用フィルタ(最大ポアサイズ

0.2

µm のキャピラリーポアポリカーボネートフィルタ又は最大ポアサイズ 0.22µm のセルロースエス

テルフィルタ)を置く。底部分に接している両方のフィルタをもち上げるため再び極短時間の真空引

きを行う。

e)

ろ過槽を置き,装置に固定する。

9.3.5

水懸濁液ろ過  水懸濁液ろ過の前に,40ml の新鮮な蒸留水によって漏斗(ろ過液槽)のブランク

を作る。ろ過する水懸濁液量は粒子濃度又はアスベスト繊維濃度による。一般的に分析に適した粒子数又

は繊維数になるように分析用フィルタを作るのは難しいので,異なる分取量をろ過して数種の分析用フィ

ルタを作製する必要がある。水懸濁液は安定でなく,クリソタイルを酸性水中に過度に浸すことは繊維か

らマグネシウムの溶出を引き起こすことになる。それゆえ,すべての分析用フィルタを素早く作製するこ

とが必要である。もし,有効面積 199mm

2

のろ過装置を用いて 5ml より少ない水量でろ過したとすると分

析フィルタ上の粒子は均質にたい積していることが明確ではない。そこで,5ml より少ないろ過量を必要

とする場合は,分取液を蒸留水中に入れ 5ml を超える水量にする。

懸濁液分取液をろ過液槽に入れ,真空引きを行う。もし,分取液の量がろ過液槽の容量よりも大きい場

合,液槽の液体レベルが,深さ 5cm 以下になる前に次のろ過液を加える。この予防策に失敗すると,ろ過

した粒子の揺乱と不均質性をもたらすことになる。

真空引きを行っている間に,ろ過器具の固定を外し,ろ過液槽を取り去る。洗浄したピンセットを用い

て,分析用フィルタを外し,ペトリ皿に移す。ペトリ皿にふたをする前にフィルタを乾燥させる。

ビーカブランク値をとるため,40ml 全部の分散液のろ過によって分析用フィルタを一つだけ作製する。

備考  最低の懸濁液分取量でも分析フィルタ上の残さ灰量が多すぎるという場合を除き,1ml,5ml

及び 34ml に相当する分析用フィルタを用意することを推奨する。フィルタに 1ml より少ない

量の分取液が必要であるような粒子及び繊維濃度がもし,考えられるならば,まず,1ml の懸

濁液を洗浄したビーカに移し,全量が 100ml となるよう新鮮な蒸留水で薄める。完全に混合さ

せるために振った後,元の懸濁液の 0.1ml 及び 0.3ml の量に相当する薄めた懸濁液の 10ml と

30ml

の分取液をろ過する。元の懸濁液から,1ml,5ml 及び 33ml もろ過して,330 倍の濃度範

囲に対応する五つの分析用フィルタが用意できる。もし,分取液量を増加させるようにろ過す

れば,器具の洗浄は最小限にすることができる。もし,アスベスト繊維が高濃度であることが

分かっている水懸濁液の場合,あるサンプルから別のものへの相互汚染は別の漏斗ブランク値

を挟むことによって確認できる。異なった試料のろ過の場合には,ろ過器具を洗浄する。


17

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

9.4

ポリカーボネート分析用フィルタから TEM 試料の作製

9.4.1

カーボン蒸着用のフィルタ領域の選別  カーボン蒸着中に,ポリカーボネートフィルタの代表的な

部分の小片を載せる支持台として清浄な顕微鏡用スライドを用いる。フィルタの一部分を,スライドガラ

スに固定するのに両面粘着テープを用いる。接着の間,ポリカーボネートフィルタを引っ張ってはならな

い。新しく洗浄したピンセットを用いて,ポリカーボネートフィルタをペトリ皿から移し,切断用平面と

して用いる別の清浄な顕微鏡用スライドガラス上に置く。新しく洗浄した湾曲メス刃を用いて,フィルタ

と接したところで押し,そこから刃を揺すりながらフィルタを切断する。必要によってこの操作を繰り返

す。数個の小片が顕微鏡用スライドガラス上に載せられることになる。各々のフィルタ処理の間に,メス

刃及びピンセットを洗浄及び乾燥しなくてはならない。

スライドガラスにフィルタ小片の識別を記入する。

9.4.2

フィルタ小片へのカーボン蒸着  蒸着源から 10∼12cm 離して,回転傾斜台の上にフィルタの一部

分を載せたスライドガラスを置き,蒸着チャンバを 0.013Pa 以下に真空引きする。カーボン蒸着は非常に

短い時間の照射によって行い,電極棒を数秒間冷却する。もし,カーボン蒸着が速すぎるとポリカーボネ

ートフィルタの小片が湾曲し始め,表面が丸まってしまう。この丸まりは,クロロホルム中で容易に溶解

しないポリマーの層を作り,満足な TEM 試料を作ることが不可能になる。必要なカーボンの厚さはフィ

ルタ上の粒子のサイズによるが,約 30∼50nm あれば十分である。もし,カーボン膜が薄すぎると,大き

な粒子が後の作製段階中に膜を破り,

試料上のグリッド目開きはほとんど不完全な損傷のあるものとなる。

厚すぎるカーボン膜はコントラストのない TEM 像をもたらし,ED パターン分析がしにくくなる。カーボ

ン膜の厚さは可能な限り薄くしなくてはならないが,TEM 試料のほとんどのグリッド目開きを損傷のない

状態に残す必要がある。

9.4.3

溶媒溶解器の使用  図 に示すように,ステンレス鋼製のブリッジ上に数片のレンズティッシュを

置き,クロロホルム又は 1 メチル−2 ピロリドンをメッシュの下側にメニスカスが接するレベルまで容器

に満たし,レンズティッシュに十分にしみ込ませる。

9.4.4

溶媒溶解器への試料挿入  湾曲メス刃を用いて,カーボン蒸着フィルタの一部分から 3 片の 3mm

角のカーボン蒸着ポリカーボネートフィルタを切る。フィルタの有効面の中心及び周囲を考慮して 3 片の

正方形試料を選ぶ。TEM グリッド上にカーボン面を上にして各正方形フィルタ小片を置き,溶媒溶解器内

の十分溶剤を含んだレンズティッシュ上にグリッドとフィルタを置く。同じレンズティッシュ片上に 1 サ

ンプルからの 3 試料グリッドを置く。溶媒溶解器にふたをし,溶解器を少なくとも 8 時間保持させる。

備考  幾つかのポリカーボネートフィルタは,溶媒溶解器内で完全に溶解せず,3 日間ぐらいクロロ

ホルムに暴露させても溶解しないことがある。もし,カーボン蒸着中にフィルタの表面が過度

に加熱されていると,この問題はより厳しくなる。残留未溶解フィルタポリマーの問題は,幾

つかの方法で解消できることが分かっている。

a) 20%

の 1, 2 ジアミノエタン(エチレンジアミン)と 80%の 1 メチル−2 ピロリドンとの混合

液を溶媒溶解器中で用い,フィルタ表面が過熱されていても 15 分間でポリカーボネートフィ

ルタを完全に溶解させる。この溶媒を用いるために,グリッドを溶媒溶解器のステンレス製

メッシュ上に直接置き,レンズペーパーは用いない。15 分後,もう一つのペトリ皿にステン

レス製ブリッジを移し,液面がメッシュの下側に接するまで蒸留水を加える。約 15 分後,メ

ッシュを移動し,グリッドを乾燥させる。水溶解性粒子試料を TEM グリッド上に保持した

い場合には,2 回目の溶解に蒸留水の代わりにエタノールを用いるとよい。

b)

溶媒溶解器の使用において,ポリカーボネートフィルタの溶解にクロロホルムよりも 1 メチ

ル−2 ピロリドンの方がより効果的な溶媒であることが分かっている。もし,レンズペーパ


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ーを用いず,グリッドを溶媒溶解器のステンレス製メッシュ上に直接置くならば,この溶媒

はより効果的である。2∼6 時間の溶解時間で十分であることが分かつている。完全に溶解し

た後,ステンレス製メッシュを溶媒溶解器から取り出し,グリッドを乾燥させる。1 メチル

−2 ピロリドンの蒸発は非常に遅い。もし,グリッドをもっと速く乾燥させたいなら,ステ

ンレス製ブリッジをもう一つのペトリ皿に移し,液面がメッシュの下側に接するまで蒸留水

を加える。約 15 分後,メッシュを取り出し,グリッドを乾燥させる。

TEM

グリッド上に水溶解性粒子試料を保持しておきたい場合は,2 回目の溶解の蒸留水を

エタノールに変えることができる。

c)

溶媒溶解処理後に溶媒としてクロロホルムを用いた TEM グリッド凝縮溶解によって,約 30

分間で残留フィルタの材質の多くを取り去ることができる。この処理法を行うため,試料グ

リッドを載せたレンズティッシュ片を定常処理状態にある凝縮溶解器の冷却フィンガーへ移

す。グリッドを挿入後,約 30 分間で溶解が行われる。

9.4.5

PC

フィルタから TEM 試料の迅速作製方法

備考  9.4.4a)に示したフィルタ溶解手順を用いることによって,TEM 試料を PC フィルタから迅速

に作製することができる。クロロホルムを用いて試料を溶媒溶解器中で約 1 時間溶解し,次に

凝縮溶解器中で約 30 分間溶解する。

9.5

セルロースエステル分析用フィルタから TEM 試料の作製

9.5.1

作製前のフィルタ領域の選別  清浄なピンセットを用いて,フィルタをペトリ皿から取り出し,そ

れを清浄した顕微鏡用スライドガラス上に置く。清浄な湾曲メス刃を用いて,フィルタの一部分を切り離

す。

9.5.2

セルロースエステルフィルタを消失するための溶液の準備  35ml のジメチルホルムアミド,50ml

の新鮮な蒸留水と 15ml の氷酢酸を混合する。この混合液を清浄な瓶に貯える。混合液は安定で,作製後 3

か月間は使用可能である。

9.5.3

フィルタ崩壊手順  使い捨てチップ付きマイクロピペットを用いて,清浄した顕微鏡用スライドガ

ラス上に 15∼25

µl/cm

2

の崩壊液を移し,ピペットチップの端を用いてフィルタ小片を置く領域全体に液体

を広げる。空気泡ができないよう約 20 度の角度でフィルタの端を傾け,崩壊液の上に捕集面を上にしてフ

ィルタ小片を置く。ティッシュペーパーをフィルタの端に接触させておくことによってフィルタに吸収さ

れていない液を取り除く。一つ以上のフィルタ小片を 1 枚のスライドガラス上に置くことができる。スラ

イドガラスを 10 分間温度 65∼70℃で温度制御スライド加温器上又はこの温度のオーブン内に置く。フィ

ルタは元の厚さの約 15%までゆっくり崩壊する。この処理法は,上側表面に粒子及び繊維を埋め込んだ薄

い透明なポリマー膜を作る。

9.5.4

フィルタ表面のプラズマエッチング  特定のプラズマ灰化装置の操作条件を,附属書 に示す。

プラズマ灰化装置中に崩壊処理したフィルタ片を載せた顕微鏡用スライドガラスを置き,決められた時間

と条件のもとでエッチングする。適正な状態でエッチングが行われるように注意する。エッチングの後,

チャンバ内にゆっくり空気を導入し顕微鏡用スライドガラスを取り出す。

備考  プラズマ灰化装置の空気導入には,チャンバが大気圧に到達する時間が 2 分間を超えるように

バルブを調整しておく。急激な空気導入はエッチングフィルタ表面上の粒子を乱すことになる。

9.5.5

カーボン蒸着  9.4.2 に示すように崩壊フィルタ小片を載せた顕微鏡用スライドガラスにカーボン

を蒸着処理する。


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9.5.6

溶媒溶解器の使用  ステンレス製ブリッジ上に数片のレンズティッシュを置き,液面がメッシュの

下側に接するレベルまでジメチルホルムアミド又はアセトンで溶解器を満たし,レンズティッシュに十分

しみ込ませる。

9.5.7

溶媒溶解器への試料挿入  9.4.4 に示すように溶媒溶解器中に試料を置く。試料は,通常約 4 時間

で透明化される。

9.5.8

セルロースエステルフィルタから TEM 試料の迅速作製方法  セルロースエステルフィルタ溶解処

理のもう一つの改良方法は,溶媒溶解処理法より迅速に TEM 試料を作製することができる。試料を約 1

時間溶媒溶解器中で溶解した後,試料を載せたレンズティッシュ片をアセトン溶媒を用いた凝縮溶解器の

冷却フィンガーへ移す。凝縮溶解器を約 30 分間運転する。この処理は残留フィルタポリマーをすべて取り

除く。

備考  ジメチルホルムアミドは,凝縮溶解器には用いない。

9.6

TEM

試料グリッドの許容基準  TEM 試料が特定の質的基準に合致していなければ有効なデータは

得られない。試料捕集フィルタの残さの不完全な分散,又は不適切なろ過による粒子の不均一な沈殿に特

に注意を払わなくてはならない。グリッド目開きの完全性を検査するために極低倍率  (×300∼×1 000)  で

最大ろ過液を分取した三つの TEM グリッドすべてを検査する。もし,残さがグリッド目開きの広い領域

に分散されずに観察されたならば,試料捕集フィルタが不完全に灰化されているか,又はフィルタ材質が

この作製方法に適していないことになる。すべてのフィルタとグリッドを破棄することになる。もし,フ

ィルタがこの分析処理法に適していないと考えられた場合,

附属書 に記載した方法で,このフィルタ材

質が分析に適しているかどうかを確かめられる。そして,試料捕集フィルタの他の部分から試料を再び作

製する。

もし,最大ろ過分取液のろ過に対応する TEM グリッド上の粒子沈殿が均一に見えたなら,次に,繊維

計数に適当な残さ量の TEM グリッドの組合せを選ぶことが必要である。もし,次のような状態ならグリ

ッドを破棄する。

a)

カーボン支持膜が TEM 試料グリッド面積の約 75%より少ない。

b) TEM

試料のフィルタ材質がフィルタ溶解段階で取り除かれていない。もし,TEM 試料に未溶解フィ

ルタ材質の領域が見られ,そしてもし,三つの試料グリッドの少なくとも二つが透明化されていない

場合,更に溶媒溶解を行うか,又は分析用フィルタから新しい試料を作製することになる。

c)

試料粒子が過負荷である。もし,試料グリッドの大多数のグリッド目開きの約 10%がふさがっている

なら,試料は過負荷と判定される。グリッドが過負荷すぎると,ED 及び EDXA による個々の粒子の

選別分析が難しくなり,そのフィルタでは満足な分析ができない。他の粒子による繊維の覆い隠しに

よって,構造体数の低い評価をもたらすことになる。より少ない分取量をろ過したフィルタから作っ

た試料を選別する。

d)

試料上の粒子沈殿がグリッド目開きごとに均一に分布していない。もし,試料上の粒子沈殿が,ある

グリッド目開きから次の目開きへ明らかに均一になっていないなら,試料は不均一と判定される。こ

の状態は水懸濁液のろ過においてフィルタの不適切な挿入,又は少量の分取液の希釈中の不十分な混

合によって引き起こされる。多数のグリッド目開きの計測を行わなければ,このフィルタの満足でき

る分析はできない。

e)

正確な計数を行うのに,多すぎる繊維構造体を TEM グリッドが負荷している。もし,グリッドが約 7

000

構造体数/mm

2

を超えていると正確な計数はできない。この場合,少ない分取量をろ過したフィ

ルタから作った試料を選択する。


20

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f)

全グリッドを被うカーボン膜がグリッド目開きの約 25%を超えて破れている。カーボン膜の破損は過

度の沈殿面でしばしば起きるので,破損のない目開きで計数すると構造体数の低い評価をもたらす。

分析用フィルタの他の部分から試料を作製するか,又は少ない分取液をろ過したグリッドを選ぶ。

備考  もし,許容できない数のグリッド目開きが破損したカーボンレプリカ膜をもっために試料が不

合格である場合,カーボン蒸着フィルタに再度カーボン蒸着処理を行い,新しい試料を作製す

る。より大きな粒子ほどより厚いカーボン膜で保持される。もし,この処理で許容できる試料

グリッドにならないなら,このフィルタは分析できない。より少ない粒子を載せた分析用フィ

ルタから作製したグリッドを選ぶ。

9.7

TEM

による構造体計数の方法

9.7.1

はじめに  この計測は,特定の数のグリッド目開き上に現れたアスベスト構造体を計数することで

ある。繊維構造体は形態観察,ED パターン及び EDXA スペクトルに基づいてグループ分けが行われる。

計数するアスベスト構造体の総数は,

必要とする統計精度によって変わる。

アスベスト構造体がない場合,

計測しなくてはならない TEM 試料グリッドの領域は要求される分析感度によって決まる。計数された構

造体数の正確さは,計数された構造体の総数だけでなく,グリッド目開きごとの均一分布性に依存してい

る。よりよい正確さが必要な場合は,更に構造体計数を追加する。

捕集したフィルタ上の構造体密度の推定は,一つの試料グリッドの小さい領域内で見つかる構造体たい

積物からは求められないので,作製した三つのグリッドのうち,二つのグリッドの目開きを幾つか分析す

る。その後,この結果を構造体密度の計算に結びつける。計数された構造体は,おおよそ 20 000 倍の倍率

で行い,分析したグリッド目開きが最低四つになるまで続ける場合を除き,100 個目のアスベスト構造体

を観察したグリッド目開きの分析で終了する。さもなければ,特定の分析感度が得られるグリッド目開き

数まで構造体計数を続ける。

備考  分析するグリッド目開きの数の範囲は,通常 4∼20 である。もし,十分な空気量がフィルタを

通して捕集されていないと,9.7.4 の計算は,分析するグリッド目開きの数が実際的でないくら

い大きくなることを示している。この状態が起きたときは,分析感度のより大きな値を受け入

れなくてはならない。

9.7.2

平均グリッド目開き面積の測定  平均グリッド目開き面積は,用いる TEM 試料グリッドの形に対

して測定する。10 グリッドから選んだ 10 目開きの平均の標準偏差が 5%以下とする。一つの追加の方法と

して,又は 5%の標準偏差判断基準が達成されない場合,TEM で測定する各グリッド目開きの大きさは,

校正した倍率でその都度測定しなくてはならない。

9.7.3

TEM

の調整及び校正の手順  構造体計数を行う前に,装置の仕様書に基づいて TEM を調整する。

附属書 の手順に従って TEM 及び EDXA システムを校正する。

9.7.4

分析すべきグリッド目開きの数  構造体計数を始める前に,選んだ分析感度を得るための測定試料

面積を計算する。次の式から分析する最大のグリッド目開き数を計算する。

(

)

(

)

s

a

f

g

d

s

V

F

V

A

S

V

A

k

×

×

×

×

×

ここに,

k

:  分析すべきグリッド目開きの数で,大きいほうの整数に丸め

る。

A

s

:  試料フィルタの面積 (mm

2

)

V

d

:  残さの分散に用いた水量 (ml)

S

:  必要な分析感度(構造体/L)

A

g

: TEM 試料グリッド目開きの面積 (mm

2

)


21

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V

f

:  ろ過した水懸濁液の量 (ml)

F

a

:  灰化した試料捕集フィルタの比率

V

s

:  捕集した空気量 (L)

9.7.5

構造体計数及びサイズ分析の一般的手順  フィルタから用意された少なくとも二つの試料グリッ

ドを用いて構造体計数を行う。各グリッドから任意に数個のグリッド目開きを選び,そのデータから計算

結果を得る。

構造体計数データを記録するため

図 に示すような様式を用いる。最初の試料グリッドを TEM に挿入

する。

備考  異なる電顕観察者が同じグリッド目開きを再分析する精度管理測定を容易にするため,試料ホ

ルダ軸に平行又は直角な標準的移動方向にそって試料にグリッドを挿入する。これはグリッド

目開きのバーに平行な走査方向を与える。観察者は,全員グリッド目開き上の同じ開始点から

走査を始め,同様の走査パターンをとっていることを確認する。この手順によって,観察者が

必要によって追加分析を行う際に繊維構造体の再配置を迅速にできる。


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図 5  構造体計数様式の例 


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代表的なグリッド目開きを選び,蛍光板上の倍率を校正値(約 20 000 倍)に設定する。TEM 蛍光板の

中心の映像がユーセントリック点になるまでサンプル高さを調整する。ゴニオメータ傾斜角をゼロに設定

する。構造体計数様式の項目 1 に,グリッドを識別するのに用いる番号と文字を記入する。項目 2 に,観

察するグリッド目開きの識別を記録する。グリッド目開きの一つが蛍光板上に見えるように試料の位置決

めする。試料移動ハンドルによってある一方向に像を動かし,グリッド目開きの反対側に達するまで繊維

構造体を探して試料を注意深く分析する。他の試料移動ハンドルを用いて直角方向に蛍光板の直径より少

ないあらかじめ決めた距離まで像を移動し,先の方向と反対方向へ像を走査する。全部のグリッド目開き

図 に示すものと同様のパターンで分析されるまで,この方法で計測を続ける。繊維状構造体が検出さ

れたときは,構造体計数様式の 3 列目の基本構造の欄に加算数を記入し,

附属書 に規定されているよう

に必要な識別手順を実行し,5 列目におおよその成分的分類を記入する。

附属書 の手順によって構造体

の形態学的分類を行い,6 行目にその結果を記入する。TEM 観察蛍光板上で基本構造体の長さと幅を mm

単位で計測し,7 及び 8 行目にこれらの計測値を記入する。分散クラスタ又は分散マトリックスに対し,

それぞれの構造体構成物に構成物分類及び形態の分類を指定し,長さ及び幅を計測し,4∼8 行目にデータ

を記入する。構造体構成物の計数を行い,総構造体の加算数を表にするため構造体計数様式の 4 行目を用

いる。もし,アスベスト以外の繊維が検出されたら,分かる範囲の形態とタイプを記入する。一つの繊維

構造体の分析と測定が終了したら,試料位置を元の観察位置に正確に戻す。これを怠ると余分の観察や 2

回の繊維計数をすることになる。100 番目の繊維状構造体が記録されたグリッド目開きが終了するまで,

又は 9.7.4 によって計算される特定の分析感度に達するのに必要なグリッド目開き数になるまでのどちら

かの測定を続ける。最低二つの試料グリッドからおおよそ同じデータが出るはずである。9.7.4 によって計

算された値は気にせず,最小四つのグリッド目開き上の繊維状構造体の計数を行う。

9.7.6

長さ 5

µmを超えるアスベスト繊維及び繊維束の濃度測定  より低い倍率での TEM 試料の追加分析

によって 5

µm を超える長さのアスベスト繊維及び繊維束だけの計数を行い,統計的な信頼性を向上させる

検討を行う。

附属書 に記載した手順に従って,長さ 5

µm を超える繊維及び繊維束の追加分析を行う。長

さ 5

µm を超えるすべてのアスベスト繊維及び繊維束の計数には,おおよそ 10 000 倍の倍率,又は径の範

囲が 0.2∼3.0

µm の繊維及び繊維束だけの計数を行う場合には,おおよそ 5 000 倍の倍率を用いる。100 繊

維及び繊維束が記録されたグリッド目開きが終了するまで,又は必要な分析感度を得るのに十分な試料領

域を計測するまで続ける。クリソタイル又は角せん石鉱物の 1 種というように識別又は推測できる構造体

についてだけ基本 TEM 測定又は追加 TEM 測定で記録する。この制限は関心のある鉱物に対し最良の統計

的正確さが得られることを確認する意図をもっている。

9.7.7

アスベスト繊維及び繊維束の質量濃度の概算  もし,分析の基本目的が質量濃度の概算であるなら,

統計的信頼性をより高めた計数を行うために総濃度に大きく影響する大きな構造体についての構造体計数

を行うことが戦略的である。手順は,

附属書 に示す。


24

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図 6  TEM 試料測定のための試料走査手順の例

9.8

ブランク及び精度管理分析  空気サンプルを採取する前に,分析手順の平均バックグラウンドのア

スベスト構造体数を求めるため 100 枚のフィルタのロット当たり最低 2 枚の未使用フィルタを分析する必

要がある。平均バックグラウンドとして全種類のアスベスト構造体数が 10 構造体/mm

2

を超えるか,又

は平均バックグラウンドとして長さ 5

µm を超えるアスベスト繊維数が 1.0 繊維/mm

2

を超えることが分か

ったなら,空気サンプルの採取前に汚染源を探し,改善しなくてはならない。

備考  試料捕集フィルタに起因するバックグラウンド汚染は,1 枚,3 枚一組又は 10 枚一組のフィル

タを灰化処理することによって判定できる。単一のフィルタに起因するバックグラウンド汚染

は,これらの測定間で分析された増加量から計算される。これらの 3 測定において一定のバッ

クグラウンド値が得られたら,汚染は分析手順中の何か他の原因に起因している。

少なくとも一つの現場開放ブランクと一つの現場閉鎖ブランクとを各分析のサンプルに含める。開放現

場ブランクは,捕集地点にもっていき前面ふたを外した未使用のフィルタカセットである。開いたカセッ

トはサンプル採取の全期間サンプルと同じ位置及び方向に置くが,フィルタを通して空気を吸引しない。

サンプル採取が完了した後に,前面ふたを戻し,カセットは現場開放ブランク分析用とする。現場閉鎖ブ

ランクは捕集地点にもっていき閉じたままの未使用フィルタカセットである。

試料作製過程での外来のアスベスト繊維による汚染は,報告する試料の結果に比べて重要でないと確認

するために,ブランク値測定の継続的プログラムを確立する。少なくとも一つの漏斗及び一つの空のビー

カのブランク値は各サンプル処理段階ごとに確認する。さらに,少なくとも 1 枚の未使用フィルタを 1 枚

の顕微鏡用スライドガラス上で作製した試料の組ごとに加える。

最初の分析と,その後の一定間隔をおいて行った分析において,既知のアスベスト濃度の試料を十分に

分析して確認する。構造体計数手順中に主観による部分があるので,主観の影響を最小限にするため幾つ


25

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

かの試料を異なった顕微鏡観察者によって再計数することが必要である。このような再計数は,異なる顕

微鏡観察者による計数間の比較による方法が適用され,顕微鏡観察者間及び分析室間の多様性が特徴づけ

られる。これらの精度管理分析は,おおよそ分析の 10%を構成している。再現結果は 5%信頼レベルで異

なってはならない。

9.9

結果の算出  附属書 に示した手順を用いて結果を計算する。試料の TEM 分析に先立って,分析

レベルを記載する。結果を計算する前に,結果に含まれる構成物成分及び形態の分類について記載する。

クラスタ及びマトリックスの計数基準の適用より先に,カイ二乗適合度テストは,各グリッド目開きから

見つけられた基本のアスベスト構造体の数を用いて遂行される。濃度結果は,クラスタ及びマトリックス

計数基準の適用の後,アスベスト構造体の数を用いて計算される。

10.

測定結果の特質

10.1

はじめに  継続的精度管理プログラムと一緒にこの分析方法を用いることが重要である。精度管理

プログラムは標準サンプルとブランクサンプルを用い,分析室間及び分析室内の分析を含んでいる。

10.2

繊維識別上の妨害及び限界  装置上の限界と幾つかの繊維の特性によって,すべてのクリソタイル

繊維を明りょうに識別することは不可能である。校正された ED パターンは,選択した繊維の間違った識

別の可能性を取り除くのに必要である。しかし,形態及び ED パターンともに視覚による検査にだけ基づ

いているために,繊維の間違った識別の可能性が存在している。識別の間違いの最も多いのは,ハロイサ

イト,巻いたバーミキュライト又はパリゴルスカイトと混同することである。これらは EDXA の使用と

ED

パターン中のクリソタイルの 0.73nm(002)反射の観察によってクリソタイルと区別することができる。

クリソタイル繊維の場合のようにすべての角せん石繊維を完全に識別することは,装置上の限界と幾つ

かの繊維の特性から不可能である。

さらに,

その完全な識別は時間とコストの限界から実際上困難である。

晶帯軸 ED 技術を分類基準に含めないときは,ある角せん石の組成とほぼ同じ組成をもつ多くの他の鉱物

粒子が角せん石として間違って分類される。しかし,ランダム方向の ED の援助と同じくすべての繊維に

ついての定量 EDXA 測定を行う場合は,識別を間違いそうもない。特に,同じサンプル中の他の似た繊維

が晶帯軸法によって角せん石と識別されたときは間違いはない。角せん石はアスベスト形態の性質を表し

やすい鉱物であるので,アスペクト比を増すことでその識別ミスを更に減らすことができる。

10.3

精度及び正確さ

10.3.1

精度  得られる分析精度は,計数した構造体数と分析フィルタ上の粒子たい積の均一性に依存して

いる。構造体が分析用フィルタ上にランダムにたい積していると仮定して,もし,100 構造体が計数され

負荷が少なくとも 3.5 構造体/グリッド目開きであるなら,計数手順のコンピュータモデリングによると

約 10%の変動率が予測される。N を計数した構造体数とすると計数される構造体数が減少するにつれて,

精度も,また,おおよそ

N

の割合で減少する。実際上,環境大気サンプルのろ過捕集によって得られ

た粒子たい積物が理想的に分布していることはまれであり,精度はそれに対応して減少することが分かっ

ている。精度の低下は,次のような数個のファクタの結果である。

a)

ろ過捕集した粒子たい積物の不均一性

b)

構造体計数基準の適用による繊維分布のかたより

c)

繊維構造体の判断について顕微鏡観察者間の変動

d)

繊維の検出及び識別能力についての顕微鏡観察者間の変動

この分析方法を用いた 1 個の構造体濃度測定方法についての 95%信頼区間は,100 構造体が 10 グリッド

目開きにわたって計数されたとき,おおよそ±25%である。


26

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

10.3.2

正確さ  正確さを決めるのに有効な個別の方法はない。

備考  ポリカーボネートメンブレンフィルタにカーボン蒸着後,粒子状物質は検出可能な損失なしに

TEM

試料に変換されることが実証されている。しかし,フィルタが粒子を大量に捕集している

と,カーボン蒸着の前に幾らかの物質が消失しているかもしれない。直接変換キャピラリーポ

アポリカーボネート法と直接変換セルロースエステルフィルタ法との良好な類似性は,線速度

8cm/s

で捕集された実験室内で発生させたクリソタイル・アスベストのエアロゾルで明らかに

なっている。実験室内で発生させたクリソタイル・アスベストと現場で捕集したアスベストを

用いて直接変換法と比較すると,この間接試料作製法は 5

µm より長い繊維数についてはよく類

似しており,2.5

µm より長い繊維数では増加傾向があることが示された。このように間接試料

作製法はアスベストが他の構成物と混ざっているエアロゾル物質については直接変換法と異な

る結果をもたらすかもしれない。

10.3.3

分析室間と分析室内の分析  分析室間と分析室内の分析は,この方法を用いるときに顕微鏡観察者

間で生じる系統的な誤りを監視するために必要である。これらの分析は,方法全体と個々の顕微鏡観察者

の能力の両方を試験するためのものである。1 枚のフィルタの異なる部分の切片から TEM グリッドを繰り

返し作製し,異なる顕微鏡観察者によって分析を行うことは,方法全体の再現性試験である。繊維計数の

正しさの確認(二人以上の分析者によって TEM グリッドの同じグリッド目開き上のアスベスト構造体を

計数したときに差異があってはならない。

)は,訓練用及び異なる顕微鏡観察者の能力分析の両方に用いる

ことができる。7.4.1 及び 7.4.2 に定められた目印付き TEM グリッドを用いることは,特別なグリッド目開

きの再装着を容易にするために推奨される。

10.4

検出限界  この方法の検出限界は,捕集空気量の選択,灰化した試料捕集フィルタの分割の割合,

ろ過した残さの水懸濁液の分取割合,分析用フィルタの面積,及び TEM で分析した試料の面積によって

変わる。また,未使用フィルタ上のアスベスト構造体のバックグラウンド値に関係する。検出限界は各試

料分析ごとに見積もる。

備考  実際上,分析フィルタ上の各粒子は,粒子を障害物なしに識別することができるのに十分な距

離で隣接粒子から離れていなければならないことから,検出下限界は総浮遊粒子濃度によって

しばしば決定される。TEM 試料の作製において,分析フィルタ上で約 25

µg/cm

2

を超える粒子

負荷は一般的に起こらないようにする。もし,許される消費時間内に分析を行うのなら,全サ

イズの構造体について TEM 分析できる試料領域は,大抵の場合 10∼20 のグリッド目開きに限

定される。典型的な大気環境又は建物内環境では,1 構造体/L の分析感度が得られることが

分かっている。空気が特別に清浄な幾つかの環境においては,分析感度を 0・1 構造体/L 又は

それ以下に下げることが可能である。5

µm より長い繊維束に対しては,特別に低い倍率で測定

することで許容消費時間内に分析できる TEM 試料面積を拡大することができ,結果として検

出下限界を下げることになる。分析中に構造体が検出されなかったら,フィルタ上の構造体が

ポアソン分布をしていると仮定すると,95%の上側信頼限界は分析感度の 2.99 倍に相当する濃

度として表される。

計数構造体がゼロに対するこの 95%信頼限界は検出限界として与えられる。

未使用サンプルフィルタのアスベスト構造体汚染がしばしばあるので,このことも検出限界の

議論に加えなくてはならない。

11.

試験報告  試験報告は,少なくとも次のような項目を含むものとする。

a)

この規格の番号


27

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

b)

サンプルの明記

c)

サンプル捕集日時とすべての必要なサンプル捕集データ

d)

測定日

e)

測定者

f)

必要な試料作製データ

g)

この規格に規定されていない手法又は付加手法として認められているもの。

h)

構造体計数データの完全な記載。表には次のデータを含むものとする。

グリッド目開き数,構造体数,識別の規範,構造体の種別,構造体の長さ及び幅  (

µm),構造体に関

するあらゆる注釈。

i)

適用した最小許容識別規範と最大許容識別規範の説明(

表 D.1 及び表 D.2 参照)

j)

濃度値の計算に用いた識別及び構造体規範の明記。

k)

濃度値をクリソタイルと角せん石構造体とに分け,アスベスト構造体/L で表す。

l)

濃度値に対する 95%信頼区間限界,アスベスト構造体/L で表す。

m)

分析感度,アスベスト構造体/L で表す。

n)

検出限界,アスベスト構造体/L で表す。

o)

角せん石があれば,その基本的種類を示す成分データ

p)  5

µm より長いすべてのアスベスト繊維及び繊維束に対する項目  g)m)

q) PCM

相当アスベスト繊維に対する項目  g)m)

構造体計数データに適した様式の例は,

図 及び図 に示す。


28

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 7  試料と準備するデータの報告様式の例 


29

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 8  構造体計数データの報告様式の例


30

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 A(規定)  プラズマ灰化装置の操作条件の設定 

A.1

はじめに  プラズマ灰化装置は,試料捕集フィルタの完全な灰化とセルロースエステル分析フィル

タから TEM 試料を作製するときのエッチング処理に用いる。

PC

又はセルロースエステル試料捕集フィルタの完全灰化のため,プラズマ灰化装置は,フィルタが完全

に灰化されたことが分かるまでグロー放電の起きる最小の出力で用いる。フィルタの完全な灰化を確実に

するため,その後プラズマ灰化装置を最大出力で 3 時間以上作動させる。

セルロースエステル分析フィルタから TEM 試料を作製する処理によって,フィルタのスポンジ状の構

造が溶媒の作用によって崩壊し,より薄いポリマー膜になる。崩壊によって元のフィルタ表面上にあった

幾らかの粒子はポリマーの中に完全に埋没する。この試料作製処理は,ポリマーの表面層を酸化するため

のプラズマエッチング処理も伴っている。

フィルタ崩壊段階で埋没した粒子をエッチング処理で露出させ,

その後,粒子は元のフィルタ上の位置を変えることなく蒸着カーボン膜に付着することによる。エッチン

グの程度は極めて敏感で,個々の灰化装置は性能が異なる。したがって,個々のプラズマ灰化装置につい

て,崩壊したフィルタ表面のエッチング量が分かるよう校正しておく。校正は,放射周波数出力と酸素導

入率を調整して,分析フィルタと同じタイプのポアサイズの未崩壊の 25mm 直径セルロースエステルフィ

ルタについて,それが完全に酸化するのに要する時間を計測して行う。

A.2

方法  用いたものと同種の未使用の径 25mmMEC 又はニトロセルロースフィルタを顕微鏡用スライ

ドガラスの真ん中に置く。灰化装置のチャンバのほぼ中央にスライドを置く。チャンバを閉じ,チャンバ

に酸素を 8∼20ml/min の流量で導入しながら約 40Pa の圧力に真空引きする。プラズマ強度が最大となるよ

う装置の目盛を調整する。フィルタが完全に酸化する時間を計測する。約 15 分間でフィルタが完全に酸化

する操作条件を設定する。崩壊したフィルタのエッチングには,この操作条件で 8 分間作動させる。

備考  高い放射周波数出力でのプラズマ酸化は,未崩壊のセルロースエステルフィルタを縮ませたり

カールさせたりし,しばしば突然の猛烈な発火を引き起こす。より低い出力では,フィルタが

移動せずに残り,フィルタがほとんど透明になるまでゆっくり薄くなる。このような猛烈な発

火が起きないような放射周波数出力で用いる。多数のフィルタをエッチングするときは,エッ

チング速度が減少するので,対応した条件に校正する。


31

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 B(規定)  超音波浴槽の作動条件の設定及び標準化

B.1

はじめに  超音波浴槽は,試料捕集フィルタの残さの分散を行うために用いる。分散のための超音

波処理時間の引き延ばしは,アスベスト構造体のサイズ分布に影響を与え,構造体濃度を変えることにな

るので,水懸濁液による超音波エネルギー吸収率及び試料の超音波処理時間を標準化することは重要であ

る。

試料ビーカの中身へのエネルギー吸収率は,超音波浴槽のデザイン,浴槽内の試料の位置及びガラスの

厚さによって変わる。したがって,用いる位置で校正し,いつもその位置に試料ビーカを置く。作動中超

音波浴槽内の水の温度は上昇し,平衡温度に達する。試料ビーカへのエネルギー伝達は浴槽内の水の温度

とともに増えるので,平衡温度で浴槽を作動させる。

試料に吸収された超音波エネルギーは熱として現れ,超音波エネルギーの吸収速度はカロリーメータ的

に計測される。B.2 に規定した計測方法を用いる。

B.2

処理  超音波浴槽中の水位が使用水位になっていることを確かめる。平衡温度に達するまで浴槽を

作動させ,必要に応じて浴槽中に初めから温水を入れればこの処理を速くすることができる。50ml のビー

カに約 20℃の水 40ml を入れ,その温度を計る。浴槽のスイッチを切った状態で,校正した位置にビーカ

を置く。60∼90 秒間の後,ビーカを取り出し,内容物の温度をはかる。ビーカの内容物を捨てる。新しい

約 20℃の水 40ml を用い,超音波浴槽を作動させ,最初の計測と同じ時間浴槽内にビーカを置き,初めと

終わりの温度をはかる。次の式を用いて試料によるエネルギー吸収率を計算する。

(

)

t

R

1

2

185

.

4

θ

θ

×

ここに,

R

エネルギー吸収率 (W/ml)

θ

2

超音波浴槽作動による温度上昇

θ

1

超音波浴槽不作動による温度上昇

t

時間(秒)

もし,エネルギー吸収率が設定された範囲よりも高いならば,超音波浴槽用の出力供給に可変トランス

を用い,エネルギー吸収率がこの測定処理として決められた 0.05∼0.1W/ml の範囲内となるよう作動状態

を調節する。

備考  ビーカへのエネルギー伝達は温度とともに増加するので,常時平衡温度で超音波浴槽を作動さ

せる。浴槽の校正を行う際の温度測定に,温度計を用いる場合には,温度計の存在は超音波処

理中のエネルギー吸収を増加させるので,浴槽作動中はビーカ内に温度計を入れてはならない。

しかし,低熱容量の熱電対は,作動中の温度計測に用いる。


32

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 C(規定)  校正方法

C.1

TEM

の校正

C.1.1

蛍光板上の TEM 像の倍率校正  電子顕微鏡は製造業者の取扱説明書に従って設置する。最初に,

一定期間ごとに回折格子レプリカを用いて分析に用いる倍率を校正する。校正を行う前にユーセントリッ

ク(真正)位置に試料高さを合わせる。観察蛍光板上で,格子像の繰り返しの都合のよい数が占める距離

を測定し,倍率を計算する。装置のメンテナンスの後,又は作動状態を変更した後は,常に校正を行う。

観察蛍光板上の像の倍率は,写真のプレート又はフィルムで得られる倍率と同じではない。これらの間の

比率は同一形の TEM では一定である。

C.1.2

ED

カメラ常数の校正  ED モードで用いるときの TEM のカメラ常数を校正する。カーボン膜上に

金の薄膜を蒸着又はスパッタリングした試料グリッドを用いる。試料をユーセントリック位置に合わせ,

ED

条件を選び膜上の金の像を得る。得られたパターンが見えるよう対物レンズ電流を調節し,観察蛍光

板上又は記録像上で一番内側の二つの環の直径を計る。次の関係から,蛍光板及び写真プレート又はフィ

ルムの両方について,環直径を基礎としたカメラ常数

λ

×を計算する。

(

)

2

2

2

0

.

2

l

k

h

D

a

L

+

+

×

×

× =

λ

ここに,

λ

入射電子の波長 (nm)

L

カメラ長 (nm)

a

金の単位胞の寸法 (nm : 0.40786nm)

D

(hkl)

回折環直径を基礎としたリングの直径 (nm)

校正物質として金を用いたときのカメラ常数は,次の式で求める。

λ

×L=0.117 74×D mm. nm(1 番目のリング)

λ

×L=0.101 97×D mm. nm(2 番目のリング)

C.2

EDXA

システムの校正  EDXA システムの低エネルギー及び高エネルギーピークに対するエネルギ

ー校正を定期的に行う。EDXA システムの強度スケールの校正は,ナトリウム,マグネシウム,アルミニ

ウム,けい素,カリウム,カルシウム,マンガン及び鉄元素を含む参照けい酸塩鉱物の EDXA スペクトル

及び関連の参照鉱物から得られる元素濃度が約 10%の精度で定量組成データを得られるようにする。定量

的分析がこれ以外の元素を含む鉱物について必要なら,本体中に示した以外の参照標準を必要とする。よ

く物性が調べられた鉱物標準によって,7.3.1 及び 7.3.2 の装置取扱説明に合致した TEM-EDXA 組合せの校

正ができ,それによって異なる装置間の EDXA データの比較ができる。校正には参照鉱物が必要である。

参照鉱物の選択基準は,角せん石又は蛇紋石に限りなく近いマトリックスをもったけい酸塩鉱物でなけれ

ばならない。それらの個々の小片が組成的に数パーセント以内で均質であることなどである。

これらの標準物質の組成を電子線マイクロプローブ分析,又は化学的方法によって分析する。選択され

た同一標準鉱物を小片に砕き,粉砕した鉱物を水に分散させ,すぐにその懸濁液をろ過してフィルタ試料

を用意する。これらのフィルタから TEM 試料を作製する方法は 9.に記載してある。これらの TEM 試料は

あらゆる TEM−EDXA システムの校正に用いることができる。それによって,比較可能な組成分析結果を

異なった装置から得ることができる。

備考  標準鉱物のマイクロプローブ分析は,附属書 に見られるような通常の技術によって得られる。

要するに,鉱物はまずポリメチルメタクリレイト又はエポキシ樹脂の台中に埋め込まれる。鉱


33

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

物小片を埋め込んだ台は,表面が平らな鏡面のように磨き上げられる。どこでも入手可能な,

できれば個々の元素の酸化物から成る適切な参照標準を用いてこの表面を分析する。鉱物中の

水含有量を量ることが必要であり,クリソタイルの場合は質量比で 13%に達する。この水含有

量は真空装置内での損失によって変化することがある。

標準鉱物の水懸濁液は,アルカリ及びアルカリ土類金属がこれらの元素を含む鉱物から部分

的に溶出することがあるので準備の後,直ぐにろ過しなくてはならない。

電子マイクロプローブ分析の結果は,けい素に対する原子又は質量パーセント比で表す。EDXA システ

ムから得られるけい素に対する同元素の X 線ピーク比はピーク面積比と原子又は質量パーセント比間の関

係を計算するために用いる。方法は Cliff と Lorimer によって規定されている(

附属書 参照)。

入射電子ビームによって薄膜試料内で発生した X 線は,

試料と相互作用する可能性は低い。

したがって,

質量吸収及び蛍光発生による影響は無視できる。

元素 i を含むけい酸塩鉱物試料について,

次の関係が TEM

で定量分析を行う際に用いる。

si

i

i

si

i

A

A

k

C

C

×

ここに,

C

i

元素

i

の濃度又は原子比率

C

si

けい素の濃度又は原子比率

A

i

元素

i

の積分ピーク面積

A

si

けい素の積分ピーク面積

k

i

けい素に対する元素

i

の 比(定数)

特定の装置の配置及び特定の粒子サイズに対して,k

i

の値は一定である。

粒子サイズによるピーク面積比への影響を補正に取り入れるために(

附属書 J

Small

らを参照)

,異な

った範囲の繊維径に対する常数 k

i

の値を別々に得て

Cliff

Lorimer

の方法を発展させて繊維径の各範囲ご

とに

20

回の

EDXA

分析を行うことを推奨する。

繊維径の範囲は,

<0.25

µ

m, 0.25

0.5

µ

m, 0.5

1.0

µ

m,> 1.0

µ

m

が適している。

TEM

TEM

グリッドを挿入し,約

20 000

倍より高い校正した倍率で像を得て,試料高さをユーセント

リック点に合わせる。もし,

X

線検出器が横挿入形であるなら,

X

線検出器に対して試料を傾ける。幅

0.5

µ

m

より小さい独立した繊維又は粒子を選び,適切な径の電子プローブを用いて

EDXA

スペクトルを積算する。

良好なスペクトルが得られたら,バックグラウンド減算を行い,ピーク中心部のエネルギーウインドウを

用いて各元素についてのバックグラウンドを補正したピーク面積を計算する。各特定元素のピーク面積と

けい素のピーク面積の比を計算する。校正に用いるバックグラウンドを差し引いたピーク面積は,すべて

400

カウントを超えなければならない。

各標準鉱物の

20

粒子について,

この処理を繰り返す。

明らかに外部から侵入した粒子の分析を破棄する。

各標準鉱物の各特定元素ごとに及び繊維の各直径範囲ごとにピーク面積比の算術平均 k

i

比)を計算す

る。検出器性能の低下がないことを確認するため定期的に,この決められた検査を行う。これらの 比は,

Cliff

Lorimer

の関係式を用いて未知の繊維の基本的濃度を計算するのに用いる。


34

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 D(規定)  構造体計数基準

D.1

はじめに

  独立した繊維に加えて,粒子及び繊維の集合体が空気サンプル中にしばしば捕集される。

“アスベスト構造体”とされるアスベスト繊維及び粒子の分類は,繊維束,クラスタ及びマトリックスと

して画定される。分析者が繊維の集合体をどのようにして

1

本の存在として割り当てるか,又は集合体を

形成している個々の繊維の数をどのように見積もるかが,

TEM

試料の計数結果に大きく影響している。そ

のため,これらの複雑なマトリックスの判断がすべての分析者に対して同じで,計数結果が意味をもつも

のにするために,計数基準の合理的なシステムを定義することが重要である。特定の構造体計数基準を課

すことは,一般に,その一部は不確定の健康影響情報を根拠とした解釈が,検出された個々のアスベスト

構造体からなされることによる。健康影響に基づくいかなる説明をすることもこの規格の意図ではなく,

構造体計数データを記録することとこれらのデータを後で説明することを明確に分けることが意図である。

この規格に規定した記録システムは,もし,異なる範囲の判断基準が必要となった場合でも試料を再分析

する必要がないよう,後の判断に適した簡明な方法で記録するために構造体の明確な形態的記載をしてい

る。実際上,この記録システムは

5

µ

m

より長い繊維を含む構造体かどうかなどの各々の複雑な繊維状構造

体の寸法の記録を可能にしている。この扱い方は,吸入性粒子の考察,アスベスト暴露歴一覧との比較な

ど,データの後の評価を可能にする。構造体の形態的な様々の種類の例,及びそれらを記録する方法につ

いて

図 D.1

に示した。

D.2

構造体の定義及び扱い

  独立して存在する個々の繊維構造体は,基本構造体という。各々の基本構

造体は,繊維,繊維束,クラスタ又はマトリックスという。

D.2.1

繊維

  最小長さ

0.5

µ

m

でアスペクト比

5 : 1

以上の平行又は階段状側面をもつ粒子を

1

本の繊維と

定義する。クリソタイル・アスベストに対しては,単繊維を

1

本の繊維と定義する。階段状側面をもつ繊

維の幅は最大幅と最小幅の平均値とする。この平均値はアスペクト比を決める幅として用いる。

D.2.2

繊維束

  見掛け上くっついている平行な繊維からなる集まりは

1

本の繊維束として定義し,その幅

は束の幅の平均値とし,長さはその構造体の最大長さとする。繊維束の包括的アスペクト比は,繊維束に

含まれている

5 : 1

以上のアスペクト比をもつ独立の構成繊維を含めるものである。繊維束は一端又は両端

が分岐した繊維を示すことがある。

D.2.3

クラスタ

  繊維束を伴うか,又は伴わない

2

本以上のランダムな方向を向いた繊維の集団をクラス

タと定義する。クラスタには

2

種類がある。

分散クラスタ(タイプ D

  繊維が分散又は広がった網状形態で,独立の繊維又は繊維束の少なくとも

一つが分離して識別でき,その寸法を測定できる。

密集クラスタ(タイプ C

  複雑で密に結合した網状形態で,独立の繊維又は繊維束の一端又は両端が

不明りょうであり,独立の繊維及び繊維束の寸法を明確には計測できない。

実際には,同じ構造体中にこの両タイプのクラスタの特性が表れる。その場合は,その構造体は分散ク

ラスタとし,計数基準によって構造体構成物を記録する論理的処理を行う。クラスタの扱い方は

図 D.2

例に図解した。


35

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 D.1  種々の構造体の基本的な形態

D.2.4

マトリックス

1

本以上の繊維又は繊維束が一つの粒子又は重複した非繊維状粒子に付着してい

るか,又は部分的に覆い隠されている。この構造体をマトリックスと定義する。その

TEM

像では,繊維

に付着した粒子と

TEM

像の中で偶然に重複した粒子との区別ができない。それは,そのような構造体が,

実際に複雑な粒子であるか,又はフィルタ上で粒子と繊維が単純な重複によってできたのか不明であるか

らである。

マトリックス構造体は

2

本以上の繊維を伴うので,マトリックスの計数方法を詳細に決めることは重要

である。マトリックスは異なる特性を呈し,二つのタイプが決められる。

分散マトリックス(タイプ D

  一つの粒子又は関連する粒子集団によって構成される構造体,重複又


36

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

は付着した繊維若しくは繊維束を伴い,その中の独立の繊維又は繊維束の少なくとも一つが分離して識別

でき,その寸法が計測できる。

密集マトリックス(タイプ C

  一つの粒子又は関連する粒子集団によって構成される構造体で,その

中の独立の繊維又は繊維束が構造体の中に若しくは構造体から突き出ているように見え,独立の繊維及び

繊維束の寸法は明確には計測できない。

実際には,同じ構造体中にこの両タイプのマトリックスの特性が表れる。その場合は,構造体は分散マ

トリックスとすることにし,計数基準に従い構造体構成物を記録する論理的処理を行う。処理の例を

図 D.3

に示す。

D.2.5

5

µ

m

より大きいアスベスト構造体

  最大寸法が

5

µ

m

を超える繊維,繊維束,クラスタ又はマトリ

ックス。

5

µ

m

より大きいアスベスト構造体は,

5

µ

m

より長いアスベスト繊維又は繊維束を必ずしも含まな

い。

D.2.6

5

µ

m

より長いアスベスト繊維又は繊維束

5

µ

m

を超える長さのあらゆる幅の繊維又は繊維の束。

D.2.7

PCM

相当構造体

5

µ

m

より長く,径が

0.2

3.0

µ

m

の間にあり,アスペクト比が

3 : 1

以上のあら

ゆる繊維,繊維束,クラスタ又はマトリックス。

PCM

相当構造体は,

5

µ

m

を超える長さの繊維又は繊維束

若しくは

PCM

相当繊維を含む必要はない。

D.2.8

PCM

相当繊維

5

µ

m

より長く,径が

0.2

3.0

µ

m

の間にあり,アスペクト比が

3 : 1

以上の平行又

は階段状側面をもつ粒子。クリソタイルにおいては,

PCM

相当繊維は常に繊維束である。


37

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 D.2  複雑なアスベスト・クラスタの記録例


38

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 D.3  複雑なアスベスト・マトリックスの記録例


39

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

D.3

他の構造体計数基準

D.3.1

グリッドバーと交差する構造体

図 D.4

に図解したように,グリッド目開き部の

2

側面のグリッド

バーと交差する構造体だけを計数する。その構造体の寸法は,

図 D.4

の破線で示されるように,構成物の

隠れた部分が隠れていない部分に相当すると考えて記録する。例えば,グリッドバーと交差する繊維の長

さは,見えている長さの

2

倍として測る。グリッド目開きの他の二つの側面のどちらかと交差する構造体

は計数に含めない。

D.3.2

視野外に延びる繊維

  グリッド目開き部の走査の間に,視野外に延びた繊維の

2

重計数を避けなが

ら組織的に正しく計数する。一般に,視野外に延びた繊維は二つの象限にあるときだけ計数するように規

則を決めることとする。

その方法は

図 D.5

に図解した。試料を繊維の他端に移動することによって繊維の長さをはかり,次の走

査計数を始める前に試料位置を元の視野に戻す。視野内に末端のない繊維は数えない。

D.4

データ記録方法

D.4.1

はじめに

  特定された形態的コードは,コンピュータデータ処理を楽にし,個々のアスベスト構造

体の重要な特徴を完全に再現する記録を残すように設計されている。その方法は,顕微鏡観察者が個々の

基本構造体を四つの基本カテゴリ繊維,繊維束,クラスタ及びマトリックスの一つに分類するように指定

している。

D.4.2

繊維

  構造体計数様式上に,

D.2.1

で定義した繊維を記号“

F

”と記録する。繊維がクラスタかマト

リックスの部分として計数される場合には,

それがクラスタ又はマトリックスの構成物であるかに応じて,

繊維を記号“

CF

”又は“

MF

”と記録する。

D.4.3

繊維束

  構造体計数様式上に,

D.2.2

で定義した繊維束を記号“

B

”と記録する。繊維束がクラス

タかマトリックスの分離して計数される部分であるなら,それがクラスタかマトリックスかの構成物に応

じて,繊維束を記号“

CB

”又は“

MB

”と記録する。

D.4.4

分散クラスタ(タイプ D

  構造体計数様式上に,

D.2.3

に定義したタイプ

D

の独立したクラスタ

を記号“

CD

”と記録し,

2

けたの数字が続く。構造体を構成する繊維及び繊維束の合計数の分析者の概算

を最初の数字は表している。

数字は

1

9

であり,

9

より多い繊維又は繊維束からなる構成物であるなら

“+”

で表す。

2

番目の数字は同じ方法で構造体に含まれる

5

µ

m

より長い繊維又は繊維束の合計を表す。クラス

タの全体寸法は,

2

直角方向の最大寸法で表し記録する。長さを減らすため,五つまでの繊維又は繊維束

までコード“

CF

(クラスタ繊維)及び“

CB

(クラスタ繊維束)を用いて別に記録する。突き出た構成

物の繊維及び繊維束を計数した後に,もし,クラスタの中に繊維の集団が残った場合,それは“

CR

(ク

ラスタ残留)と記録する。もし,クラスタ残留がクラスタ中の二つ以上の場所で残っていれば,二つ以上

のクラスタ残留を記録する必要がある。どのようなクラスタについても

6

以上のクラスタ残留は記録しな

い。クラスタ残留は計測し,

2

けたの数字で表し,全体のクラスタと同様の方法で規定する。もし,基本

のクラスタ又はクラスタ残留中の構成繊維及び繊維束の数が

1

9

の範囲外であるなら,

構成繊維及び繊維

束の数に関する付加情報を“コメント”欄に記入する。


40

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 D.4  グリッドバーにかかった構造体の計数の仕方

図 D.5  観察視野からはみ出した繊維の計数の仕方

D.4.5

密集クラスタ(タイプ C

  構造体計数様式上に,

D.2.3

に定めたようなタイプ

C

の独立したクラ

スタは記号“

CC

”と記録し,次に

2

けたの数字を続ける。構成繊維及び繊維束の数を表す

2

けたの数字は,

タイプ

D

のクラスタと同じ方法で記入する。

2

直角方向のクラスタ全体寸法はタイプ

D

のクラスタと同じ

方法で記録する。定義によって,密集クラスタの構成要素である繊維及び繊維束は独立して計測すること

ができないので,構成する繊維及び繊維束を別々に図表に記入することはできない。


41

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

D.4.6

分散マトリックス(タイプ D

  構造体計数様式上に,

D.2.4

に定めたようなタイプ

D

の独立した

マトリックスは,記号“

MD

”と記録し,次に

2

けたの数字を続ける。

2

けたの数字はタイプ

D

のクラス

タと同じ方法で記入する。マトリックス全体寸法は,タイプ

D

のクラスタと同じ方法で記録する。規定の

長さを少なくするため,五つまでの構成繊維又は繊維束までコード“

MF

(マトリックス繊維)及び“

MB

(マトリックス繊維束)を用いて別に記録する。突き出た構成繊維及び繊維束を計数した後に,もし,ク

ラスタの中に繊維の集団が残るなら,それは“

MR

(マトリックス残留)と記録する。マトリックス残留

がマトリックス中の二つ以上の場所に現れたら,二つ以上のマトリックス残留を記録する必要がある。ど

んなマトリックスについても

6

以上のマトリックス残留は記録しない。マトリックス残留は計測し,

2

たの数字を割り当て,全体のマトリックスと同様の方法で規定する。もし,基本のマトリックス又はマト

リックス残留中の構成繊維及び繊維束の数が

1

9

の範囲外であるなら,

構成繊維及び繊維束の数に関する

付加情報を“コメント”欄に記入する。

D.4.7

密集マトリックス(タイプ C

  構造体計数様式上に,

D.2.4

に定めたようなタイプ

C

の独立した

マトリックスは記号“

MC

”と記録し,次に

2

けたの数字を続ける。

2

けたの数字はタイプ

D

のクラスタ

と同じ方法で記入する。

2

直角方向のマトリックス全体寸法は,タイプ

D

のクラスタと同じ方法で記録す

る。定義によって,密集マトリックスの構成要素である繊維及び繊維束は独立して計測することができな

いので,構成繊維及び繊維束を別々に図表に記入することはできない。

D.4.8

部分的に不明りょうな繊維及び繊維束の記録方法

  他の粒子によって不明りょうとなっている繊

維又は繊維束の長さの割合は,

1

本の繊維又は繊維束が独立した構成物として計測されるか,若しくはタ

イプ

C

のマトリックスの一部分又はマトリックス残留の一部分と考えられるかの判断に基づいて決められ

る。もし,不明りょうな部分の長さが全体の長さの三分の一より大きい可能性がないと判断されたなら,

繊維又は繊維束は別々に記録する突き出し形と考える。個々の部分的に不明りょうな繊維又は繊維束に割

り当てた長さは,見える長さに不明りょうな部分の最大可能長さを加えた長さとする。マトリックスを横

断して現れる若しくは両端がほぼ現れている繊維又は繊維束は,最大数

5

まで含められ,分離した繊維又

は繊維束の計数基準に従い記録する。もし,不明りょうな長さが全体の長さの三分の一より大きいなら,

繊維又は繊維束はタイプ

C

の密集マトリックスの一部分若しくはマトリックス残留の部分として考える。

D.5

PCM

相当構造体計数のための特別な考慮

PCM

相当構造体の計数のための最小アスペクト比とし

3 : 1

を用いる。この比率の定義は,歴史的な位相差顕微鏡計測的分析における構造体のサイズ範囲に対

する結果との比較を行うために必要であるが,このアスペクト比の定義の使用は最小

5 : 1

のアスペクト比

で全繊維サイズ分布を説明する能力に顕著に影響するものではない。

PCM

相当構造体だけの計数を必要と

する場合もある。コード化システムでは

5

µ

m

より長い繊維及び繊維束を含む

PCM

相当構造体及びそれ以

外の構造体とを区別することにしている。

備考

一般に,クラスタとマトリックスは,計数する繊維の最小寸法を大きくするにつれて構成要素

の数が小さくなる。したがって,

5

µ

m

より長い繊維及び繊維束だけを計数するために倍率を低

くしたときの計数値よりも,全繊維サイズについて計数したときの方が粒子構造体の構成繊維

の数は大きくなることが分かる。しかし,構造体を構成している繊維及び繊維束をより短いも

のまで記録しようとする場合,そのデータが計数する繊維のサイズ範囲及び使用倍率にかかわ

らず粒子構造体に対して一貫していなければならない。


42

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

D.6

アスベスト繊維及び繊維束の質量濃度概算のための特別な考察

  分析の基本目的が質量濃度を概算

することであるなら,質量濃度計算に最も影響する大きな構造体をいかにして高い統計的信頼性のある方

法で計数するかの方策を立てることが必要である。

質量濃度算出の信頼性を高めて計数した構造体の数は,

基本的に繊維径の分布範囲に依存している。質量濃度測定は,一般に小さい繊維及び繊維束よりも大きい

径の繊維及び繊維束に最も敏感である。例えば,クリソタイル単繊維が分散しているときに見られるよう

に繊維径分布が狭いなら,質量濃度は繊維数の濃度とほぼ同じ精度で測定される。もし,繊維径分布が広

いなら,繊維数濃度を求める

TEM

測定から導かれた質量濃度の算定は,統計学的に信頼できるものでは

ない。

次に示す方法は,質量濃度に大きく影響する大きい構造体に,より高い統計的重要性を与えるよう考え

られている。

まず,おおよそ

50

グリッド目開きをより低い倍率で概略調査して,グリッド上で検出できるアスベスト

繊維又は繊維束の最大繊維幅を決める。この構造体の体積を計算する。蛍光板上の

1mm

の幅がはじめに

選んだ大きい構造体の幅のおおよそ

10%

に相当するような値に

TEM

の倍率を合わせる。この倍率で規定

TEM

分析を行い,記録した全構造体の積算体積がはじめに選んだ構造体の体積の少なくとも

10

倍にな

ったところのグリッド目開きで分析を終了する。グリッドバーと交差するアスベスト構造体に対して,ア

スベストの質量濃度の算出の目的のため,グリッド目開き内にある繊維及び繊維束の隠れていない部分だ

けを計測する。

D.3.1

及び

図 D.4

に示した方法は無視する。


43

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 E(規定)  繊維識別方法

E.1

はじめに

  アスベスト繊維の識別に用いる判断基準は,分析の意図する目的に応じて選ぶことがで

きる。ある場合は,繊維を特定の鉱物種としてはっきりと識別したい要求がある。他の場合には,サンプ

ルの個々の繊維の厳密な識別を行わなくて十分なこともある。分析を行うのに要する時間は,すなわち,

分析コストについては,識別基準に応じて大きく変えることができる。特定の分析で繊維の識別のために

考慮する判断基準の組合せを分析を始める前に特定する。この基準の組合せは,分析の“レベル”として

言及するものとする。

装置上の限界とサンプルの特性に関係する種々の要因は,すべての個々の繊維を細かに特定する繊維識

別基準を完全に満足することを妨げることがある。それゆえ,分析に含まれる個々の浮遊アスベストの可

能性のある繊維に対して満足できる識別判断基準を記録する。例えば,

ED

EDXA

との両方を個々の繊

維の識別決定に用いたとき,ある理由から

ED

はん(斑)点は生じないがクリソタイルに相当する

EDXA

スペクトルをもたらしたクリソタイルの形態をもつ繊維は,識別についての信頼性のレベルを知らせる方

法の一つである。

E.2

ED

及び EDXA 技術

E.2.1

一般的事項

  はじめに,繊維を管状形態の繊維と管状形態でない繊維の基本的形態によって,二つ

のカテゴリに分類する。

ED

及び

EDXA

技術を用いて個々の繊維の分析を行う。繊維を

ED

及び

EDXA

よって分析するときに次の手順を用いる。

クリソタイルのようなある種の鉱物繊維の結晶構造は,

EDXA

分析に要する高密度電流によって容易に

損傷を受ける。したがって,繊維から

EDXA

スペクトルを得る分析が行われる前にこれらの敏感な繊維の

ED

分析を完了する。角せん石のような比較的安定した繊維は

ED

及び

EDXA

のどちらの分析を先にして

もよい。

E.2.2

ED

分析

ED

分析は,定性及び定量のどちらもできる。定性

ED

分析は,詳細な分析なしに

TEM

観察スクリーン上でランダムに向く繊維から得られる

ED

パターンの一般的特性の視覚的分析から成る。

クリソタイルのように円筒対称な繊維から得られる

ED

パターンは,繊維の軸が回転したときも変化しな

い。ランダムな方向を向くこれらの鉱物繊維からのパターンは,定量的に分析できる。円筒対称でない繊

維に対しては,入射電子線方向にほとんど平行に繊維の基本結晶軸が向いているときに得られる

ED

パタ

ーンだけが定量分析できる。この種の

ED

パターンを晶帯軸

ED

パターンという。晶帯軸

ED

パターン状態

で定量分析するために,

ED

パターンを写真上に記録し,既知の鉱物構造体のパターンに照らして一致度

を点検する。晶帯軸

ED

パターン分析と既知の鉱物構造体から計算された対応するデータとを比較するた

めに,コンピュータプログラムを用いる。特別の方向にある繊維についての晶帯軸

ED

パターンは,鉱物

繊維を明確に識別するのに十分ではないが,繊維を他の角度に傾けたり,他の晶帯軸に対応する異なる

ED

パターンを記録することは可能である。予想される鉱物の構造との一致度をみるために二つの晶帯軸間の

角度を調べておく。

ED

パターンの視覚分析の際には,

TEM

のカメラ長をおおよそ

250mm

の低い値に設定し,

ED

パターン

を拡大双眼鏡を通して観察する。この方法は,電子照射による繊維損傷の可能性を最小にする。しかし,

観察時に観察蛍光板を傾斜させなくてはならないが,それによってパターンがひずむ。もし,パターンを

正確に測定するために

ED

パターンを記録する際には,少なくとも

2m

のカメラ長を用いる。視覚的に評

価したり記録するために

ED

パターンを得る際,サンプル高さをユーセントリック(真正)点に正確に合


44

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

わせ,制限視野絞り内の像に焦点を合わせる必要がある。もし,これをしないと,制限視野領域から

ED

パターンが得られない構造体があるかもしれない。一般に,必要最小限の大きさの

ED

絞りを用いる必要

がある。

ED

パターンの精密計測については,校正用内標準を用いる。金の薄膜又は他の適切な校正物質を

TEM

試料の下地に加える。このコーティングは,真空蒸着又はより簡単なスパッタリングによって行う。多結

晶性の金薄膜は,すべての

ED

パターンに回折リングを生じ,これらのリングは校正に必要な情報をもた

らす。

ED

パターンを作るために,繊維の像を観察蛍光板の中心に移動し,試料の高さをユーセントリック位

置に合わせ,適当な制限視野絞りを電子線通路に挿入する。これによって繊維又はその一部分が照射領域

の大部分を占めるようになる。その絞りのサイズと繊維の部分は,分析する粒子以外の他の粒子を制限領

域から除外する。双眼鏡を通して

ED

パターンを観察する。観察の間に最も完全な

ED

パターンが得られ

るように対物レンズ電流を合わせる。もし,不完全な

ED

パターンが依然として得られるなら,最適

ED

パターンを得るため,粒子を制限視野内で動かしてみたり隣接粒子からの妨害の可能性を除去してみる。

もし,晶帯軸

ED

分析を繊維について行おうとする場合には,試料を適切な試料ホルダに装てんする。

最も適した試料ホルダは,

試料グリッドの回転及び

1

軸方向の傾斜を完全に行うことができるものである。

繊維の長さ方向とゴニオメータの傾斜軸が一致した繊維像を示すまで試料を回転し,繊維がユーセントリ

ック位置になるまでサンプル高さを調節する。

ED

に対称的な

2

次元のスポットの配列が表れるまで繊維

を傾ける。晶帯軸配列状態の認識には,操作者に若干の経験が要求される。晶帯軸状態を得るために繊維

を傾斜させる間に,スポットの強度が変化する様子を観察する。もし,弱い反射が強い反射のマトリック

ス部分に起きていたら,双晶又は多重回折が存在する可能性があり,計測と解釈のための回折スポットの

選択に注意を要する。電子回折及び多重回折についての十分な議論は,

附属書 J

に掲げた

J. A. Gard, P. B.

Hirsch, H. R. Wenk

らの

附属書 J

に見られる。

得られる晶帯軸パターンは,

すべてが決定的なわけではない。

少なくとも一方向の低い指数に相当する近接する面間隔の反射だけ記録する。パターン中の約

0.3nm

より

小さい

d-

間隔パターンは正確ではない。有用な指針は,最も低い反射角のスポットが最も内側の金の回折

リング

(111)

の内側に生じていることと,より小さい反射間隔をもつパターンが通常最も決定的であるとい

うことである。

図 E.1

に示すように,中心のスポットに最も近く,晶帯軸パターンの交差する二つの方向に沿った

5

のスポットを測定のために選ぶ。中心スポットからこれらのスポットまでの距離とその四つの角度は,計

測に必要なデータである。中心スポットは通常過剰露光であるので,計測の正確な原点にはならない。そ

のため,中心スポットをはさんで対称に配置する幾つかの対スポットで,かつ,繰り返し出現しているス

ポット間の測定によって必要な間隔が得られる。その距離は

0.3mm

よりよい精度,角度は

2.5

。よりよい

精度で測定しなくてはならない。

校正パターンの

1

番目又は

2

番目のリング

111

及び

200

の直径も,

0.3mm

よりよい精度で測定しなくてはならない。

校正物質として金を用いた場合,リングの直径を用いたカメラ定数は,次のように与えられる。

λ×L

0.117 74

×D

 mm. nm

1

番目のリング)

λ×L

0.101 97

×D

 mm. nm

2

番目のリング)


45

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 E.1  晶帯軸 SAED パターン計測の例

E.2.3

EDXA

測定

EDXA

スペクトルの解釈は,定性的又は定量的のどちらでも行うことができる。ス

ペクトルの定性的解釈には,繊維中の元素から生じた

X

線ピークが記録される。定量的解釈のためにバッ

クグラウンドを差し引いた正味ピーク面積が,繊維中の元素から生じた

X

線ピークについて求められる。

この方法は,シリコンを含む鉱物の定量分析に用いる。

EDXA

スペクトルを得るため,繊維の像を蛍光板

の中心に動かし,対物絞りを取り除く。適切な電子ビーム直径を選び,ビームを偏向させて繊維に当たる

ように合わせる。装置によっては

X

線検出器に向けて試料を傾けたり,また,ある装置では走査透過電子

顕微鏡

 (STEM)

操作モードを用いることが必要となる。

適切なスペクトルを得る積算時間は,繊維の径及び装置上の要因によって変わる。定量分析では,スペ

クトルの各ピークが統計的に根拠のあるカウント数をもっていなくてはならない。

Na

を含んだ細い径の繊

維の分析は,

Na

X

線検出器の最も敏感でない低いエネルギー範囲にあるので,最も微妙である。その

ため,そのような繊維中に

Na

の存在を確認するのに十分長い時間積算してスペクトルを得ることが必要

である。もし,バックグラウンドを補正した

SiK

α値が

10 000

カウントを超えて積算されたなら,満足で

きる定量分析が行えることが分かる。そのスペクトルはバックグラウンドが補正され,それぞれの元素ピ

ークの正味面積が求められる。

正味ピーク面積についてのコンピュータ解析による繊維の定量的

EDXA

識別の後は,その装置でのスペ

クトル比較によって同じサンプル中の他の繊維の識別も可能になる。目視比較は,しばしば短い積算時間

で行うことができる。


46

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

E.3

繊維分析データの解釈

E.3.1

クリソタイル

  クリソタイルの形態的構造は特徴的であり,経験上,難なく認識できる。しかし,

わずかではあるが他の鉱物でも同じような形態をしているものがあるので,形態観察単独ではほとんどの

サンプルに対して不十分である。もし,その鉱物の

ED

パターンの特徴が参照クリソタイルからのパター

ンに符号しているなら,クリソタイルから得られる

ED

パターンは,その鉱物に特有なものである。しか

し,その繊維の過去の履歴又は多くの他の要素によって,その繊維の結晶構造は損傷を受け,

ED

パター

ンが出現しないこともある。この場合には,

EDXA

スペクトラムは,このような形態的観察を補足するた

めの唯一のデータになる。

E.3.2

角せん石

  クリソタイル以外のアスベスト繊維に対する繊維識別方法は,複雑で時間がかかるので,

Rhoades

附属書 J

参照)によって開発されたコンピュータプログラムを晶帯軸

ED

パターンの解釈に用い

ることが推奨される。この

附属書 J

の文献は,空気サンプルの

TEM

分析中に遭遇しやすいすべての繊維

状鉱物に対する組成と結晶構造データを含んでおり,未知の繊維からの化学組成又は結晶構造データは,

この文献のデータと比較する。他の鉱物からのデータと一致する可能性もあるので,分析が特定のテスト

鉱物とデータとの一致をみることでは,未知のものを一義的に識別したことにはならない。しかし,ある

別種の構造の鉱物が,定量的

EDXA

と二つの晶帯軸

ED

パターンによって識別された角せん石繊維データ

と一致するデータをもたらすことはありえない。

角せん石繊維と推定される繊維は,

まず最初に化学組成に基づいて分類される。

定性的又は定量的

EDXA

情報がこの分類の基礎として用いる。出版された鉱物組成データから,未知の繊維の分析に用いる組成と

符号する鉱物群のリストを作る。さらに進め,

E.2.2

の図解に一致させ,最初の晶帯軸

ED

パターンを得る

必要がある。

幾つかの

ED

パターンが特徴的であると考えられるので,角せん石の識別のために特徴的な晶帯軸パタ

ーンを特定することは可能である。不運にも,

TEM

グリッド上のランダム方向を向いた繊維に対し,現在

用いている試料ホルダ及びゴニオメータはどれも不便で,あらかじめ選定した二つの晶帯軸への迅速な位

置決めができない。容易に得ることのできる低指数パターンを用い,

EDXA

データに基づいてあらかじめ

選定した鉱物の構造との一致性を試験するというのが最も実際的な扱い方である。ある特定の方向を向い

た非角せん石鉱物は,角せん石構造と一致する同様なパターンを生じることがあるので,このあらかじめ

選択されたリスト中の非角せん石鉱物の構造についても,未知の繊維の晶帯軸データと対照して調べなけ

ればならない。

晶帯軸

ED

の解釈は,その

EDXA

データと化学的に合致するとして,鉱物データファイルからあらかじ

め選んだ鉱物のすべてと対照させなくてはならない。通常,この方法は,答えを見つけるのに用いる鉱物

リストを短縮する。それから,識別のさらなる確認又はあいまいさを取り除くために,同じ繊維から得ら

れる他のパターンからの

2

番目の晶帯軸データの組合せを処理する。さらに,二つの晶帯軸の方向の間の

角度がその鉱物の構造を関連づけて調べられる。

その繊維が

c

軸双晶を含んでいるとその二つの晶帯軸

ED

パターンはその離れた双晶から生じている可能性があるので,二つの晶帯軸間の回転に注意する。実際に

は,繊維の完全な識別を必要とする特別な場合を除いて,その完全な識別が必要とされる繊維は非常にま

れである。


47

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

E.4

繊維分類カテゴリ

  繊維の決定的な識別を行うことは,常に可能ではない。これは装置上の限界又

は繊維の実際の特性のいずれかに起因している。多くの分析において,サンプルについて適用できる他の

知見があったり,又は,濃度が関心のあるレベル以下である場合には,個々の繊維の決定的識別は実際面

で必要としないことがある。したがって,分析方法は,装置上の限界と分析上の種々の要求の両方を考慮

しなくてはならない。繊維識別のためのシステムは,データを正確に記録するのを可能にする。分類方法

表 E.1

及び

表 E.2

に示されており,クリソタイルと角せん石それぞれの識別に向けられている。繊維は

これらのカテゴリに従って報告することになる。

この分析方法での一般原則は,まず初めに最も明確な繊維分類を行う,又は行おうとする分析のレベル

を決めることである。次に分析した個々の繊維について実際に分析した分類を記録する。その後,結果の

使用目的に応じて,繊維を“識別済”とした承認基準をどの分析後にもはっきりさせる。

未知のサンプルについて,次のような場合にクリソタイルが確認されたと認められる。

CD

カテゴリ中

1

繊維から校正済み

ED

パターンが記録した場合,又は

ED

パターンが,その校正済み装置によって記

録された場合,

AZQ

AZZ

又は

AZZQ

カテゴリ中に分類される繊維に対し,例外なく角せん石という記録

データが得られることによってだけ,角せん石が確認されたとして認められる。

表 E.1  管状形態をした繊維の分類

カテゴリ

記載

TM

管状形態,クリソタイルとするには不十分な特徴をしている。

CM

クリソタイルの形態の特徴を示す。

CD SAED

でクリソタイルと確認された。

CQ

定量 EDXA でクリソタイルの組成が確認された。

CMQ

クリソタイルの形態と定量 EDXA によるクリソタイルの組成が確認された。

CDQ SAED

でクリソタイルパターンを示し,かつ,定量 EDXA でクリソタイルの組成が得られたもの。

NAM

非アスベスト鉱物。

表 E.2  管状形態を呈さない繊維の分類

カテゴリ

記載

UF

未同定繊維。

AD

ランダム方向 SAED による角せん石(0.53nm 間隔の層線パターンを示す。

AX

定性 EDXA による角せん石。スペクトルは角せん石に一致する元素をもっている。

ADX

ランダム方向 SAED と定性 EDXA による角せん石。

AQ

定量 EDXA による角せん石。

AZ

晶帯軸 SAED パターンによる角せん石。

ADQ

ランダム方向 SAED と定量 EDXA による角せん石。

AZQ

晶帯軸 SAED パターンと定量 EDXA による角せん石。

AZZ

二つの晶帯軸 SAED パターンによる角せん石で,互いの角度が矛盾がない。

AZZQ AZZ

と定量 EDXA による角せん石。

NAM

非アスベスト鉱物。


48

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

E.4.1

クリソタイルと予想される管状の形態をもつ繊維の分類方法

  とき折,クリソタイルに似た管状形

態をもっている繊維に遭遇することがあり,その

ED

又は

EDXA

による分析で明らかな特徴が得られるこ

とがある。非晶質の可能性があり,その場合,

ED

技法は有効でない。又はグリッドが

EDXA

スペクトル

が得られる位置の外にあったのかもしれない。もし,そうでないとしたら,繊維は有機物起源なのかもし

れない。ただ形態と組成が不明りょうで無視できなかったかもしれない。このように個々の繊維を十分に

識別し,記録する必要がある。繊維の分類には様々の度合いの成功がある。

図 E.2

は管状形態を呈する繊

維に用いる分類方法を示している。この表の説明などは要しない。すべての繊維は,非アスベスト鉱物

(NAM)

として分類から外すか,

又は後の判断基準によってクリソタイル繊維計数に用いるのと同じ方法で

分類される。

形態は最初に行う検討であり,もし,これがクリソタイル標準サンプルに通常見られるのと同じでない

なら,

TM

として最初の分類をする。疑わしい形態は気にせず,

図 E.2

に従ってその繊維の

ED

又は

EDXA

を行う。形態がより決定的である場合には,クリソタイル形態

 (CM)

をもつ繊維として分類することが可

能である。

CM

として分類するには,次のような形態的特徴が必要である。

a)

個々の単繊維が

5 : 1

を超える高いアスペクト比をもっており,直径が約

30

40nm

である。

b)

その繊維の電子散乱力は,

60

90kV

の加速電圧で内部構造が見えるくらい,十分に低い。

c)

 UICC

クリソタイル試料が示すものと同じような管状の形態を思わせる内部構造のこん跡がある。こ

れらは電子ビームによって劣化しているかもしれない。

これらの形態的特徴をもつすべての繊維を

ED

法によって分析し,

図 E.3

に示す明確な特徴をもった回

折パターンを呈するものだけを

ED

によるクリソタイル

 (CD)

として分類する。クリソタイル確定のため

ED

パターンに関する特徴は,次のとおりである。

a)

 (002)

反射が

0.73nm

の間隔であることを確かめる。

b)

層ラインの繰り返し間隔は,

0.53nm

である。

c)

 (110)

及び

(130)

反射にしま(縞)模様(ストリーク)がある。

TEM

観察蛍光板上だけミリメートル目盛を用い,これらの観察が装置上で即座に行えるようにする。も

し,文書による繊維識別証明が必要なら,少なくとも一つの代表的な繊維の

TEM

顕微鏡写真を撮り,別

のフィルム又は写真板に

ED

パターンを記録する。このフィルム又は写真板は,金のような多結晶性の既

知の物質からの校正リングを携えている。この校正パターンは特定の繊維がクリソタイルであることを証

明し,ハロイサイト,パリゴルスカイト,タルク又はバーミキュライトのような他の管状又は渦巻き状を

したものではないことを証明する唯一の記録された証拠である。

ED

によってクリソタイルとしてはっき

りと識別できた繊維の割合は,いろいろでその一部は装置及び操作者の手順にも依存している。識別可能

ED

パターンをもたらさない繊維は,

EDXA

による分析がないと

TM

又は

CM

カテゴリに残される。

クリソタイルの

EDXA

分析で重要な二つの元素がある。繊維分類のための

EDXA

分析は,定量的でな

くてはならない。もし,スペクトルが

Mg

Si

の顕著なピークが適切な面積比率を表しており,他の元素

からのピークが小さいなら,その繊維は定量的

EDXA

分析によってクリソタイルとして,

CQ, CMQ

又は

CDQ

のカテゴリ別に分類される。


49

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 E.2  管状形態をした繊維に対する分類チャート


50

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 E.3  クリソタイルの SAED パターン

E.4.2

角せん石と予想される,管状形態でない繊維の分類方法

  管状形態でなく,明らかに生物起源では

なく,

5 : 1

以上のアスペクト比をもち,平行又は階段状側面をもつすべての粒子は,まず角せん石繊維と

推定する。

ED

及び

EDXA

法による繊維の分析は,繊維の特性及び数多くの装置上の限界によって成功の

程度が変化する。例え,もし,時間とコストに関係ないとしても,すべての繊維を完壁に識別することは

不可能である。さらに,角せん石の存在を確認することは,非常に時間のかかる方法である晶帯軸

ED

ターンの定量分析によってだけ達成できる。したがって,未知の発生源からの日常試料に対しては,この

分析方法は,晶帯軸

ED

分析の要求をそれぞれの代表的組成をもつ

1

繊維だけに制限する。ある試料にお

いては,晶帯軸方法によって繊維を更に詳しく識別する必要がある。発生源がよく分かっている試料に対

しては,晶帯軸方法による識別費用は正当化されないだろう。

ランダム方向

ED

パターンの

0.53nm

層間隔は角せん石を診断づけるものではない。しかし,多くの繊維

c

軸双晶があることは異なる軸方向をもった幾つかの結晶が平行に並んだことによってパターン中にス

ポットの層の配列をもたらす。回折スポットの層ライン上のランダムの配列は,繊維の高いアスペクト比

が関係しているとしても,角せん石アスベストの特徴であり,このような限られた判断上の価値をもって

いる。もし,このタイプのパターンが得られない場合,電子ビームに対して不適切な方向であるためか又

は繊維がある他の鉱物種であるかもしれないので,繊維の識別はまだ不明りょうということになる。

図 E.4

は角せん石繊維と予測される繊維に用いる繊維分類チャートを示している。このチャートは

ED

及び

EDXA

分析が組織的に行われた際に,角せん石繊維と予測される繊維に適用可能な分類経路をすべて

示している。まず最初に

EDXA

スペクトル又はランダム方向の

ED

パターンのどちらを得る試みがなされ

たかによって,二つの経路が可能である。未知起源の試料の通常の分析方法は,ランダム方向

ED,

定性

EDXA,

定量

EDXA,

及び晶帯軸

ED

の順序で繊維を分析する。最終的に割り当てられる繊維分類は,最高要

求レベルで成功した分析による決定か,又は装置上の限界のもとで決定されたものかである。結果の質に

影響するあらゆる装置上の限界は,記入しておかなければならない。各繊維から得られた最高の分類を計

数シートの適切な欄に記録する。種々の分類カテゴリは,繊維濃度計算の際に必要に応じて結合される。

個々の繊維の識別を行う際に得られた結果の完全な記録は,必要によってデータを再利用できるようにし

ておく。


51

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

未知のサンプルにおいて,もし,角せん石の存在があいまいに確認されているなら晶帯軸分析が必要と

なる。このレベルの分析に対して,すべての角せん石繊維と予測される繊維をランダム方向

ED

パターン

及び

EDXA

スペクトラム分析によって

ADQ

カテゴリに分類することを試みる。さらに,識別を確認する

ために晶帯軸方法によって見つかった各種の予想される角せん石繊維から少なくとも

1

繊維を分析する。

多くの場合,空気サンプル捕集場所に近接するアスベストの発生源の可能性についての情報があるので,

ある程度の識別のあいまいさは許容することができる。したがって,このような場合には低レベルの分析

を許容することができる。


52

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

図 E.4  管状形態をもたない繊維の分類チャート


53

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 F(規定)  長さ 5

µを超えるアスベスト繊維及び繊維束, 

並びに PCM 相当アスベスト繊維の濃度の測定

長さ

5

µ

m

を超えるアスベスト繊維及び繊維束に対して統計的正確さと分析感度を向上させるために,こ

の寸法範囲内の繊維及び繊維束だけの計数を低倍率で付加的に行うことがある。結果は“

5

µ

m

を超える長

さの繊維及び繊維束”として特記する。この分析のために,おおよそ

10 000

倍の倍率を用い,

附属書 D

の方法に従って各構造体形態コードを割り当てることを続ける。長さが

5

µ

m

を超える繊維及び繊維束だけ

記録する。また,長さが

5

µ

m

を超えるクラスタ及びマトリックスの構成物を記録する。

歴史的に労働環境におけるリスク予測の基礎となってきた繊維径が

0.2

0.3

µ

m

の間にあり,長さが

5

µ

m

を超える繊維状構造体(

PCM

相当アスベスト繊維)に対する統計的正確さと分析感度とを向上させること

が行われることがある。この拡大繊維計数には,おおよそ

5 000

倍の倍率を用いる。結果は“

PCM

相当ア

スベスト繊維”として特記する。この寸法範囲内のアスベスト構造体は,

5

µ

m

を超えるアスベスト繊維及

びアスベスト繊維束と一体化する必要はない。

100

アスベスト構造体が計数されるまで,又は

表 1

に従って計算された必要な分析感度を得るのに十分

な試料面積が分析されるまで,試料分析を続ける。

備考 PCM

繊維計数方法で分析するフィルタ面積に対応する試料面積は

0.785mm

2

であり,

200

メッ

シュグリッドの約

100

グリッド目開きに相当する。

ある国の基準では,長さが

2.5

µ

m

を超え径が

0.2

3.0

µ

m

の間のアスベスト繊維計数を必要と

している。この寸法範囲内での繊維計数には,おおよそ

5000

倍の倍率を用いる。

PCM

繊維計数方法及びある国の基準において定義されている繊維の最小アスペクト比は

3:

1

である。

このアスペクト比を試験報告中に特記するのであれば,

アスペクト比

3 : 1

の使用は,

この規格の中で許されている。

試験報告は,

本体 11.

に特記したすべての項目を含んでいなくてはならない。


54

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 G(規定)  結果の計算

G.1

はじめに

  次に規定した方法を用いて結果を計算する。結果は,コンピュータプログラムを用いて

簡便に計算することができる。

G.2

TEM

グリッド上の繊維状構造体分布の均一性試験

  グリッド目開き上で検出されたアスベスト構

造体がグリッド目開きごとにランダムに,かつ,均一に分布しているかどうかはカイ二次乗試験を用いて

点検する。個のグリッド目開き中で検出された構造体合計を とし,個のグリッド目開きの個々の面積

を A

i

A

k

とするならば,分析した

TEM

試料の合計面積は,

i

A

i

k

i

A

1

å

個々のグリッド目開き面積で表される観察された総分析面積に対する割合は,A

i

/

A

で与えられる。分析

した 個のグリッド目開きにわたって構造体がランダムに均一に分散しているなら,面積 A

i

1

グリッド

目開き中に付着している構造体の予測数は np

i

となる。そのグリッド目開き上で検出された構造体の観察

数を n

i

とするなら,

(

)

i

i

i

np

np

n

i

n

x

2

2

1

1

å

この値は自由度

  (

k

-1)

をもつ x

2

分布の信頼点と比較される。

0.1%

より低い信頼レベルの場合には,非常

に均一でないたい積に相当するのでサンプル分析を破棄することになる。もし,構造体計数がこの試験に

合格しないなら,結果の精度は不確かなものである。結果の精度は,グリッド目開きの追加分析によって

改善できる。粒子の不均一なたい積は,灰化後の残さ物の不完全な分散の結果,又は水懸濁液ろ過中の不

完全な分散の結果として起きる。したがって,最適な扱いは,元の試料捕集フィルタから新たに

TEM

料を作製することである。

G.3

分析感度の計算

  次の式を用いて,構造体/

L

で表される分析感度 を計算する。

(

)

(

)

s

a

f

g

d

s

V

F

V

A

k

V

A

S

×

×

×

×

×

ここに,

S

必要な分析感度(構造体/

L

A

s

分析フィルタの有効面積

 (mm

2

)

V

d

残さの分散に用いた水量

 (ml)

k

分析したグリッド目開き数

A

g

 TEM

試料グリッド目開きの面積

 (mm

2

)

V

f

水懸濁液のろ過量

 (ml)

F

a

試料捕集フィルタの灰化割合

V

s

空気捕集量

 (L)

G.4

構造体濃度の平均及び信頼区間の計算

  この規格に従って進める構造体計数において,グリッド目

開きの数は全体グリッド目開きから分析領域として選び,この小領域を基にして全グリッド目開きの構造

体計数を分析する必要がある。

95%

信頼をもつそのサンプル平均の区間は,集団の平均を含むことが必要

である。

G.4.1

平均構造体濃度の計算

  構造体/

L

で表される平均構造体濃度 を計算する。

C

S×n


55

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

ここに,

S

分析感度(構造体/

L

n

全分析グリッド目開きで検出された合計構造体数

G.4.2

信頼区間の計算

  グリッド目開き上の構造体の分布は,理論的にポアソン分布に近似されなければ

ならない。繊維の凝集及びサイズ依存識別効果のために,実際の構造体計数データは,しばしばポアソン

分布に従わない。特に高い構造体計数においてそうである。構造体計数データがポアソン分布に従って分

布しているという仮定は,そのデータによって判定されるより狭い信頼区間を導くことになる。さらに,

もし,ポアソン分布が仮定されるなら,分散は計数された構造体の総数にだけ関係する。したがって,

1

グリッド目開き上で計数された構造体数は,多くのグリッド目開き上で検出された同じ構造体数と同じ信

頼区間をもつことと考えられる。

しかし,

実際に計数した面積はフィルタの全面積に関して非常に小さく,

この理由から,たい積体の代表的な評価を行っていることを確かめるために,フィルタの異なる面積から

採った最小

4

グリッド目開きについて計数する。

ある試料の分散が予測できる,グリッド目開き当たり十分な構造体数がある高い構造体計数において,

その分布は平均及び分散とは独立の値をもつガウス分布に近似できる。暗黙のポアソン分布の仮定を超え

る場合の試料の分散の推定には,実際のデータによって求まった分散をもつガウス分布統計方法を用いる

のが信頼区間の計算の最も控え目な扱い方である。

少ない構造体計数においては,試料の信頼できる分散予測を得ることは不可能であり,分布はまた,非

対称となり,必ずしもポアソン的ではない。構造体が

30

かそれ以下では,分布は十分に非対称となり,も

はやガウス分布との適合理由はなくなり,試料の分散予測は信頼できない。したがって,構造体が

31

以下

の計数について,ポアソン分布の仮定は,信頼区間の計算のために用いる。

G.4.3

ポアソン分布 95%信頼区間の計算例

  計数された構造体の合計数は

4

未満に対して,

95%

信頼下限

界は

1

構造体未満に相当する。したがって,計数された構造体数

4

未満に対する信頼下限値を見積もるこ

とは意味がなく,ポアソン分布の一方の

95%

信頼上限界に対応して結果は“未満”として特記する。これ

らは,次のようになる。

0

構造体:その分析感度の

2.99

1

構造体:その分析感度の

4.74

2

構造体:その分析感度の

6.30

3

構造体:その分析感度の

7.75

4

を超える合計計数に対しては,

95%

信頼区間は,

表 G.1

に示す値を用いて計算する。

表 G.1

は,構造体

計数

470

までの両側ポアソン分布の

95%

信頼区間の上限及び下限を与える。

G.4.4

ガウス分布 95%信頼区間の計算例

  サンプル予測分散 S

2

は,次の式によって計算される。

(

)

( )

1

1

2

2

k

np

n

i

k

i

S

i

i

å

ここに,

n

i

i

番目のグリッド目開き上の構造体数

n

k

個のグリッド目開き中に検出された構造体合計数

p

i

i

番目のグリッド目開きによって代表される分析合計面積の

割合

k

グリッド目開きの数

計数された構造体の平均値が

n

と計算されたなら,ガウスの

95%

信頼区間の上限及び下限の値は,次の

ように与えられる。


56

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

k

ts

k

n

n

U

k

ts

k

n

n

L

ここに,  n

U

: 95%信頼上限界

n

L

: 95%信頼下限界

n

:  分析した全グリッド目開き中の合計構造体数

t

:  自由度  (k−1)  に対するスチューゲントの の値(確率 0.975)

s

:  標準偏差(サンプル予測分散の平方根)

k

:  グリッド目開きの数

表 G  1 95%信頼区間の上限及び下限

計数構造体  下側限界

上側限界  計数構造体

下側限界

上側限界

計数構造体  下側限界

上側限界

0 0  3.689(

1

) 46

33.678  61.358

92  74.164  112.83

1  0.025 5.572 47 34.534

62.501  93 75.061

113.94

2  0.242 7.225 48 35.392

63.642  94 75.959

115.04

3  0.619 8.767 49 36.251

64.781  95 76.858

116.14

4  1.090

10.242 50 37.112

65.919  96 77.757

117.24

5 1.624

11.669

51

37.973

67.056 97

78.657

118.34

6 2.202

13.060

52

38.837

68.192 98

79.557

119.44

7 2.814

14.423

53

39.701

69.326 99

80.458

120.53

8 3.454

15.764

54

40.567

70.459

100

81.360

121.66

9 4.115

17.085

55

41.433

71.591

110

90.400

132.61

10 4.795

18.391

56

42.301

72.721

120

99.490

143.52

11 5.491

19.683

57

43.171

73.851

130

108.61

154.39

12 6.201

20.962

58

44.041

74.979

140

117.77

165.23

13 6.922

22.231

59

44.912

76.106

150

126.96

176.04

14 7.654

23.490

60

45.785

77.232

160

136.17

186.83

15 8.396

24.741

61

46.658

78.357

170

145.41

197.59

16 9.146

25.983

62

47.533

79.482

180

154.66

208.33

17 9.904

27.219

63

48.409

80.605

190

163.94

219.05

18 10.668

28.448 64 49.286

81.727 200

173.24 229.75

19 11.440

29.671 65 50.164

82.848 210

182.56 240.43

20 12.217

30.889 66 51.042

83.969 220

191.89 251.10

21 13.00 32.101 67 51.922

85.088 230

201.24 261.75

22 13.788

33.309 68 52.803

86.207 240

210.60 272.39

23 14.581

34.512 69 53.685

87.324 250

219.97 283.01

24 15.378

35.711 70 54.567

88.441 260

229.36 293.62

25 16.178

36.905 71 55.451

89.557 270

238.75 304.23

26 16.983

38.097 72 56.335

90.673 280

248.16 314.82

27 17.793

39.284 73 57.220

91.787 290

257.58 325.39

28 18.606

40.468 74 58.106

92.901 300

267.01 335.96

29 19.422

41.649 75 58.993

94.014 310

276.45 346.52

30 20.241

42.827 76 59.880

95.126 320

285.90 357.08

31 21.063

44.002 77 60.768

96.237 330

295.36 367.62

32 21.888

45.175 78 61.657

97.348 340

304.82 378.15

33 22.715

46.345 79 62.547

98.458 350

314.29 388.68

34 23.545

47.512 80 63.437

99.567 360

323.77 399.20

35 24.378

48.677 81 64.328

100.68 370

333.26 409.71

36 25.213

49.840 82 65.219

101.79 380

342.75 420.22

37 26.050

51.000 83 66.111

102.90 390

352.25 430.72


57

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

計数構造体  下側限界

上側限界  計数構造体

下側限界

上側限界

計数構造体  下側限界

上側限界

38 26.890

52.158 84 67.003

104.00 400

361.76 441.21

39 27.732

53.315 85 67.897

105.11 410

371.27 451.69

40 28.575

54.469 86 68.790

106.21 420

380.79 462.18

41 29.421

55.622 87 69.684

107.32 430

390.32 472.65

42 30.269

56.772 88 70.579

108.42 440

399.85 483.12

43 31.119

57.921 89 71.474

109.53 450

409.38 493.58

44 31.970

59.068 90 72.370

110.63 460

418.92 504.04

45 32.823

60.214 91 73.267

111.73 470

428.47 514.50

(

1

)  0

構造体に対する片側上側95%信頼限界は2.99

G.4.5

結果計算方法のまとめ  要約すると,構造体計数データは,次のように計算する。

構造体が不検出  構造体濃度は,ポアソン分布の片側 95%信頼上限界に相当する濃度未満であると報告す

る。これは分析感度の 2.99 倍に等しい。

1

の構造体  1∼3 の構造体が計数されたときは,結果をポアソン分布の片側 95%信頼上限界に相当未

満として報告する。これらは次のとおりである。

1

構造体:分析感度の 4.74 倍

2

構造体:分析感度の 6.30 倍

3

構造体:分析感度の 7.75 倍

4

30 構造体  平均構造体濃度及び 95%信頼区間はポアソン分布の仮定に基づいて,表 G.1 に示す値によ

って報告する。

30

を超える構造体  30 を超えて構造体が計数されたときは,ガウス分布 95%信頼区間及びポアソンの 95%

信頼区間の両方を計算する。これらの二つの区間のうち大きい方を構造体濃度の精度説明に用いる。ガウ

スの 95%信頼区間が報告データに選ばれたときにも,ポアソンの 95%信頼区間は特記しておく。

G.5

構造体の長さ,幅及びアスペクト比の分布の計算  分布はすべて対数正規として近似されるので,

分布計算のためのサイズ範囲間隔は対数的にとらなければならない。サイズ間隔の選択に必要な他の特性

は,それらがサイズクラスの数を十分に与えなければならないということである。一方,個々のクラス中

に統計的に有効な構造体数を保持している。個々のサイズクラスが 10 間隔の繰り返しで,もし,5

µ

m

サイズクラス境界であるなら,判断は容易である。1 クラスからの次への割合が 1.468 なら,これらの条件

のすべてを満足するので,この値を用いる。対数正規に近似できる分布をグラフで表したとき,対数スケ

ールを縦軸にガウス分布を横軸に用いてプロットされる。

G.5.1

構造体長さの累積度数分布の計算  この分布は,測定されるある与えられた長さより短いか長いか

どちらかの構造体の合計数に対する割合を与える。これは次の関係式を用いて計算する。

( )

00

1

1

1

×

å

å

i

i

k

n

i

p

i

n

i

k

i

P

C

ここに,

C (P)

k

k

番目のクラスの上限界より短い長さの構造体の累積度数

パーセンテージ

n

i

i

番目の長さクラス中の構造体数

P

長さクラスの合計数


58

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

G.5.2

構造体幅累積度数の分布の計算

  この分布は,測定されるある与えられた幅より狭いか広いかどち

らかの構造体の合計数に対する割合を与える。

G.5.1

で用いられているものと同じ方法で,構造体長さを用

いて計算する。

G.5.3

構造体アスペクト比の累積度数分布の計算

  この分布は,測定するあるアスペクト比より小さいか,

大きいかどちらかのアスペクト比をもつ構造体の合計数の割合をもたらす,

G.5.1

で用いられているものと

同じ方法で,構造体アスペクト比を用いて計算する。

G.6

アスベスト繊維及び繊維束の質量濃度の推定計算

  アスベスト繊維及び繊維束の質量濃度の推定は,

D.6

に特記した方法に従って行った TEM 分析の結果から計算される。これは,次の関係式によって計算す

る。

j

j

L

W

j

n

j

D

S

M

×

å

×

×

×

×

×

2

3

1

10

25

.

0

π

ここに,

M

:  アスベストの質量濃度の算定 (ng/m

3

)

S

:  分析感度(構造体/L)

W

j

:  番目の構造体の幅  (

µm)

L

j

:  番目の構造体の長さ  (

µm)

D

:  そのアスベスト種の密度 (kg/m

3

)

n

:  個のグリッド目開きから記録されたアスベスト繊維及び繊

維束の総数

上の関係式において,アスベスト種の密度 (kg/m

3

)

を次のように仮定する。クリソタイル 2 550,クロ

シドライト 3 370,アモサイト 3 430,アンソフィライト 3 000,トレモナイト 3 000,及びアクティノライ

ト 3 100。アスベスト種の密度は,組成によって大きく変わるが,上記の規定した値はこの計算の目的には

十分に正確である。

備考

上の計算には密集クラスタ,密集マトリックス,クラスラー残物,又はマトリックス残留につ

いては,それらの構造体中の構成要素であるアスベスト繊維の合計体積が正確に予測できない

ので,計算には入れていない。


59

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 H(規定)  セルロースエステル試料捕集フィルタの 

適合性試験方法

H.1

はじめに

  未使用のセルロースエステルフィルタの灰化後に残った残さ物は,基本的にシリカの微

粒子の集合から成っている。測定できる濃度の限界を超えない限り,この残さ物は分析の妨害をしない。

これらの微粒子に加えて,数種類のセルロースエステルフィルタからの残さ物は元のフィルタの表面起源

のシリカ膜の破片を含んでいる。フィルタ表面起源の粒子の大部分は,プラズマ灰化処理の間に小面積に

縮んだシリカ膜によって互いに付着し合っている。通常シリカ膜の破片は水中で完全に分散しない。TEM

試料のほとんどのグリッド目開き上の粒子たい積物を大きく減らす結果をもたらし,結果として深刻な負

のバイアスを導くことになる。ほとんどの粒子が幾つかのシリカ膜の大破片に付着しているのが少数のグ

リッド目開き上に観察される。このような挙動を呈するメンブレンフィルタは,この分析方法に用いるこ

とは適当でない。空気サンプルを捕集する前に,この負の検出を呈しないことを確認するために,用いる

実際のロット番号からのフィルタをテストする必要がある。

H.2

テスト方法

  セルロースエステルフィルタの適合性試験の最適方法は,間接変換法によって用意し

た試料グリッドと直接変換法によってその同じフィルタから作ったグリッドを比較することである。この

試験に用いるフィルタは,空気吸引によってその表面に捕集された 1 種類のアスベスト繊維の均一なたい

積がなくてはならない。もし,間接変換作製法によって繊維数が 100%近く回収されており,また,もし,

H.1

に規定した影響の証拠が間接変換法によって作製されたグリッド上に観察されないなら,フィルタの

性能は満足できる。

一方,ブランクフィルタは次の方法によって試験する。試験する崩壊処理のセルロースエステルフィル

タの約 5cm

2

上に 5∼10nm 厚のカーボン膜を蒸着する。1cm 当たり約 80 メッシュの 304 形ステンレス鋼製

金網の 3cm×3cm 片を用いて溶媒溶解器を用意する。液面がメッシュの下側にちょうど接するまで溶解器

中にジメチルホルムアミドを注ぐ。そのメッシュ上にカーボン蒸着済フィルタの一部分をカーボン面を上

向きにして置く。約 2 時間の後,ピペットを用いて,ジメチルホルムアミドを取り除き,溶媒溶解器に新

しいジメチルホルムアミドを注ぐ。さらに 2 時間の後,溶媒溶解器からカーボンレプリカ支持メッシュを

取り出し,清潔な 50ml ほうけい酸ガラス製ビーカに入れる。メッシュ上の溶媒を蒸発させる。メッシュ

が乾燥した後,

アルミニウムはくでビーカを被い,

本体 9.

に示したようにアルミニウムはくに穴を空ける。

本体 9.

でフィルタの灰化について規定したのと同じ方法でカーボンレプリカを灰化する。カーボンレプリ

カからの粒子残さ物は,この処理後のステンレス鋼メッシュに漠然と付着して残る。初めから終わりまで

ビーカ中にステンレス鋼メッシュを残し,ブランクフィルタの分析のために

本体 9.

で示した方法によって

TEM

試料グリッドを用意する。EDXA スペクトラムが SiK

αピークだけを呈する平板状粒子の検出のため

TEM

試料を分析する。もし,そのような平板状粒子の濃度が 100 粒子/mm

2

を超えるなら,フィルタはこ

の分析方法での使用に不満足なものである。


60

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

附属書 I(参考)  空気サンプル採取の計画

I.1

はじめに

  サンプリング採取計画の重要な部分は,その目的を述べることであり,十分な試料の数

を捕集する。そのため測定場所は,必要な正確さと精度で十分規定し,TEM 分析に適した量の粉じん量が

捕集された試料フィルタをすべての捕集場所で得るようにする。

I.2

屋外環境での空気サンプル捕集

  天候状況は,屋外環境での空気サンプルを十分に捕集することを

制限するので,可能なときは,常にサンプリングは風が弱く低い湿度状態のもとで行う。天候状態,サン

プル採取期間中の風速と風向きを詳しく記録する。地方の地勢図に関係するすべての有用な情報,及び発

生源の種類と位置について記録する。

連続した多数の点でのサンプル採取では,複雑な場所及び発生源に関する十分な特徴を規定しておくこ

とが必要である。多数のサンプルは,場所の風上,風下で採取するとともに経験的に最大浮遊濃度が予想

される風下の位置で最低限 2 サンプルを採取することを推奨する。サンプルの位置は注意して記録する。

I.3

建物内での空気サンプル採取

  アスベスト含有建材が建物内大気中のアスベスト濃度に寄与してい

るかどうかの分析のため,これらの材料が用いられている建物内で空気サンプルがたびたび採取される。

空気サンプル捕集の最適な位置は,空気の流れのパターンを把握するために建物を徹底的に調査した後に

決める。アスベスト建築材料が現に用いられている区域から何度もサンプルを捕集し,浮遊アスベスト繊

維が予想されない付近の区域で対照サンプルを捕集する。空調システムの空気取り入れ口は,対照サンプ

ルの捕集場所としてしばしば用いる。可能なときは常に,建物の通常使用中に 4 時間を超える時間にわた

って,4∼70cm/s の面速度で定点サンプルを採る。


61

K 3850-3 : 2000 (ISO/DIS 13794 : 1996)

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