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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 3821-1990 

限外ろ過モジュールの純水透水性能試験方法 

Testing methods for pure water permeabilty flow of ultrafiltration modules 

1. 適用範囲 この規格は,限外ろ過モジュール(1)のうち,中空糸形,スパイラル形及びプリーツ形モジ

ュールの初期純水透水性能の試験方法について規定する。 

注(1) ウエット膜(モジュール中に水を満たして出荷したもの,ぬれた膜が乾燥しないようにポリエ

チレンフィルムなどで密閉して出荷したもの,又は出荷時は乾燥しているが一度湿潤した後は

湿潤水状態で保存するもの。)に限る。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没) 

JIS B 7546 隔膜式圧力計 

JIS B 7551 フロート形面積流量計 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 3802 膜用語 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

規格値である。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802によるほか,次のとおりとする。 

(1) 限外ろ過モジュール 限外ろ過膜を納めたモジュール。 

(2) 透水性能 単位時間,単位圧力当たりモジュールを透過する水の量。通常,25℃における値に換算す

る。 

(3) ダミーモジュール 純水透水性能試験装置の配管の組立て,洗浄などのときに限外ろ過モジュールの

代わりに使用するハウジング。 

(4) 平均膜差圧 限外ろ過モジュールの入口圧力と出口圧力との相加平均から透過水圧力を差し引いた値。 

(5) 透過水流量 単位時間にモジュールを透過する水量。 

3. 水 JIS K 0101の2.(9)(a)(蒸留水)に規定する蒸留水又はイオン交換を行った後,試験を行う限外ろ

過モジュールの膜と同等又はより小さい孔径の膜でろ過した水とする。 

4. 純水透水性能試験装置 純水透水性能試験装置(以下,”装置”という。)は,次のとおりとする。 

(1) 装置の構成及び部品 装置は,タンク,ポンプ,限外ろ過モジュール,配管,圧力計,温度計,流量

計などの計装部品及び圧力調節を行うバルブ類で構成し(2),構成部品は,ステンレス鋼,プラスチッ

クスなどのさびを発生しにくい材料を用いる。 

また,装置は,洗浄,清掃及び滅菌が容易で,配管内に液だまりを生じない構造であること。装置

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K 3821-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の構成例を図1に示す。 

注(2) モジュールへの供給水量を調節するため及び測定条件を一定に保つためにバイパスラインを設

けてもよい。 

図1 装量の構成例 

(2) タンク 容量が100〜200lで,ふた付き構造であって,底部が円すい形又は鏡形のもの(3)。 

注(3) 底部に排水口の付いたものが望ましい。 

(3) ポンプ 試験条件を満足できるもの。 

(4) 配管及びバルブ類 常用運転圧力に耐える設計仕様のもの。 

(5) 圧力計 JIS B 7546に規定する圧力計のうち,最小目盛が20kPa {0.2kgf/cm2},最大目盛が透過水量測

定時における圧力の1.5〜2倍,精度等級が1.5級以上のもので,標準圧力計で校正したもの。 

(6) 温度計 JIS B 7411に規定する温度計,半導体センサー方式によるディジタル温度計又はその他の方

式による温度計をあらかじめ標準温度計で校正したもの。 

(7) 流量計 JIS B 7551に規定する流量計のうち,最小目盛が0.1m3/hのもので,最大測定流量が測定する

流量の1.5〜2倍程度の流量計又はそれと同等以上の性能をもつもの。 

5. 装置の洗浄 装置の洗浄は,次のとおりとする。 

(1) 装置にダミーモジュールを取り付ける。 

(2) タンクに洗浄水としての水を入れる。 

(3) ポンプを運転して,すべての配管の中を洗浄する。汚れと装置の材質に応じ,酸,アルカリ,酸化剤

などの洗浄剤を用いることができる。この場合,タンクに洗浄剤を入れ,(2)で入れた水と混合し,洗

K 3821-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

浄液とする。必要に応じてタンクの中の洗浄液を交換する。 

参考 洗浄液が希薄で汚れによって消費され,洗浄液としての効果がなくなる場合は,洗浄液の濃度

を分析して消費量分を補充するか,又は新しく洗浄液を作り直すとよい。 

(4) 汚れが出てこなくなるまで洗浄を繰り返し,新しい水を用いてすすぎ洗いをする。 

(5) 系内の水を抜いた後,ダミーモジュールを,試験をする限外ろ過モジュールに交換する。 

(6) タンクに3.の水を入れる。 

(7) 透過水弁を閉じてポンプを運転し,膜の一次側を約30分間洗浄する。次に,透過水弁を開き,モジュ

ール出口圧力計が10〜100kPa {0.1〜1kgf/cm2} になるようにモジュール出口弁を調節し,膜の二次側

を約30分間運転する。 

(8) 新しい水を用いてすすぎ洗いをする。 

備考 洗浄剤を使用した場合には,洗浄剤が残留していないことを分析によって確認する。 

6. 試験操作 試験操作は,次のとおりとする。 

(1) タンクに3.の水を入れる。 

(2) ポンプを運転して,試験条件を次のとおり調節する。 

(2.1) モジュール入口水の温度は,20〜30℃の範囲内で,かつ,試験中には試験温度の±1℃に保つこと。 

(2.2) 平均膜差圧は,次の式によって求め,100〜200kPa {1〜2kgf/cm2} の範囲にあること。 

p

o

i

mtm

P

P

P

P

2

+

ここに, 

Pmtm:平均膜差圧 (kPa) {kgf/cm2} 

Pi:モジュール入口圧力 (kPa) {kgf/cm2} 

Po:モジュール出口圧力 (kPa) {kgf/cm2} 

Pp:透過水圧力 (kPa) {kgf/cm2} 

(2.3) 回収率は,次の式によって求め,100%にしないこと。50〜90%が望ましい。 

100

×

i

t

Q

Q

R=

ここに, 

R:回収率 (%) 

Qt:モジュール入口の水温がt℃のときの透過水流量 (m3/h) 

Qi:モジュール入口流量 (m3/h) 

(3) 運転を開始してから10分後に次の項目についての測定を行う。 

(a) モジュール入口水温 

(b) モジュール入口流量 

(c) 透過水流量 

(d) モジュール入口圧力 

(e) モジュール出口圧力 

(f) 透過水圧力 

7. 計算 

7.1 

温度による補正 25℃(標準温度)における透過水流量への換算を,次の式によって行う。 

(

)

25

1

25

t

Q

Q

t

α

K 3821-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

Q25:25℃における透過水流量 (m3/h) 

Qt:モジュール入口水温がt℃のときの透過水流量 (m3/h) 

α:試験を行った限外ろ過モジュールの製造業者の指定する温度

補正係数 

t:モジュール入口水温 (℃) 

7.2 

圧力による補正 平均膜差圧100kPa {1kgf/cm2} における透水性能の計算を,次の式によって行う。 

100

25×

mtm

P

Q

C=

ここに, 

C:平均膜差圧100kPa {1kgf/cm2},温度25℃における透水性能 

(m3/h/100kPa) {m3/h/kgf/cm2} 

Q25:25℃における透過水流量 (m3/h) 

Pmtm:平均膜差圧 (kPa) {kgf/cm2} 

8. 試験の報告書項 試験の報告事項は,次のとおりとする。 

(1) 試験を行った限外ろ過モジュール 

(a) 形状・形式 

(b) 品番 

(c) 製造業者名 

(d) 製造番号 

(2) 試験条件 

(a) モジュール入口圧力 

(b) モジュール出口圧力 

(c) 透過水圧力 

(d) モジュール入口水温 

(e) 透過水流量 

(f) モジュール入口流量 

(3) 純水透水性能 

(a) 平均膜差圧100kPa {1kgf/cm2},25℃における値 (m3/h/100kPa) {m3/h/kgf/cm2} 

K 3821-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

昭和63年度純水製造用膜JISの原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

木 村 尚 史 

東京大学 

(分科会長) 

○ 大 矢 晴 彦 

横浜国立大学 

仲 川   勤 

明治大学 

○ 村 山 義 夫  財団法人造水促進センター 

岩 崎 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

○ 小 島   襄 

通商産業省立地公害局 

○ 寺 西 大三郎 

通商産業省基礎産業局 

○ 細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

神 沢 千代志 

工業技術院化学技術研究所 

安 宅 光 雄 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

○ 山 田 純 男 

工業技術院製品化学研究所 

石 井 蔵之助 

日本ミリポアリミテッド 

松 永 有志夫 

日本ポール株式会社 

成 尾 匡 一 

富士写真フイルム株式会社 

岸   敬 治 

東洋ろ紙株式会社 

○ 茶屋道   宏 

旭化成工業株式会社 

○ 中 西 祥 晃 

ダイセル化学工業株式会社 

(UF幹事) 

○ 川 崎 睦 男 

日東電気工業株式会社 

竹 内   弘 

東レ株式会社 

斎 藤 幸 嗣 

デュポン・ジャパンリミテッド 

後 藤 勝 治 

東洋紡績株式会社 

秋 本   稔 

日本電気株式会社 

○ 鈴 木 一 男 

株式会社日立製作所 

藤 江 信 夫 

富士通株式会社 

足 立 一 雄 

三共株式会社 

矢 谷 幸 三 

武田薬品工業株式会社 

○ 綱 川 延 孝 

第一製薬株式会社 

石 倉   武 

株式会社東芝 

○ 吉 原 誠 一 

三菱重工業株式会社 

○ 太 田 嘉 治 

野村マイクロ・サイエンス株式会社 

佐 藤   武 

栗田工業株式会社 

鳴 戸   智 

オルガノ株式会社 

(関係者) 

和 田 靖 也 

工業技術院標準部 

浦 野 四 郎 

工業技術院標準部 

飯 嶋 啓 子 

工業技術院標準部 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

備考 ○印は,限外ろ過膜分科会委員