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K 3812

:2003

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人バイオインダストリー協会 (JBA)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

JIS K 3812

には,次に示す附属書がある。

附属書(規定)  用語の定義


K 3812

:2003

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目  次

ページ

1.  適用範囲

1

2.  引用規格

1

3.  定義

1

4.  共通事項

1

5.  電気泳動の分類

1

6.  電気泳動装置 

1

6.1  構成

1

6.2  電源部

2

6.3  泳動部

2

6.4  附属装置  3 
7.  泳動液

3

8.  支持体

3

9.  電気泳動装置の安全性 

3

10.  操作方法 

3

10.1  電気泳動装置の設置場所 

3

10.2  安全についての注意事項 

3

10.3  試料の準備 

4

10.4  操作

4

11.  定性分析

5

12.  定量分析 

5

12.1  絶対検量線法

5

12.2  内部標準法 

5

12.3  被検成分追加法

6

13.  分離性能の評価方法

7

13.1  理論段数  (N)

7

13.2  分離度  (R

S

)

7

附属書(規定)用語の定義 

8

 


日本工業規格

JIS

 K

3812

:2003

電気泳動分析通則

General rules for electrophoretic analysis

1.

適用範囲  この規格は,電気泳動装置を用いて化学種及び粒子の定性及び定量分析を行う場合の通則

について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0213

  分析化学用語(電気化学部門)

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS Z 8103

  計測用語

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0213 及び JIS Z 8103 によるほか,附属書(規定)

による

4.

共通事項  共通事項は,JIS K 0050JIS K 8001 及び JIS R 3503 による。

5.

電気泳動の分類  電気泳動を分離の原理によって次のとおり分類する。

a)

泳動液に均一な電位こう配がかかる条件で分離する方法(ゾーン電気泳動など)

b)

泳動液組成を調節して,泳動液の部位によって電位こう配が異なる状態を安定に形成させて分離する

方法(等速電気泳動,等電点電気泳動など)

6.

電気泳動装置

6.1

構成  電気泳動装置は,図 で示す電源部,泳動部及び附属装置で構成する。


2

K 3812

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電源部

泳動部 
(電極)

(電極槽)

(泳動槽

)

分取装置

検出・記録装置

データ処理装置

試料導入装置

検出予備操作 
のための装置

温度制御

装置

  1  電気泳動装置の基本構成の一例

6.2

電源部  電源部は,次による。

a)

陽極及び陰極の電源端子をそれぞれ少なくとも一つ以上備える。

b)

電源端子間に加える電圧,電流,又は電力のうち,少なくとも一つを調節できるもの。

c)

b)

で調節した値の精度がよいもの。

d)  b)

で調節した値が安定に保たれるもの。

e)

電源部を収納する容器の材質が耐薬品性に優れているもの。

f)

通電中は電源端子が使用者の身体に直接触れることのないように,電源端子の形状が設計されている

もの。

6.3

泳動部  泳動部は,次による。

a)

電極端子  陽極及び陰極の電極端子はそれぞれ対応する電源端子と接続が容易な構造とし,陽極及び

陰極電源端子の判別が容易にできるように設計されたもの。接続後も通電中は使用者の身体に直接触

れることのないようにに設計されたもの。

b)

電極  電極は電極槽中に設置され,白金線など電極槽液に対し耐電食性の材質を用い,電極端子と接

続されたもの。電極と電極端子との接続部分も電極槽液に対し耐電食性であるように設計されたもの。

電極端子と電極の接続部分及び電極は通電中は使用者の身体に直接触れることのないよう設計された

もの。

c)

電極槽  泳動液を収納する容器で,電極と泳動液を電気的に接続できる構造のもの。また,泳動時,

電極付近の泳動液に生じる組成変化の影響が泳動槽液に及ばない程度の量の泳動液を収納できるよう

に設計されたもの。電極槽の材質は,泳動液によって浸されたり,泳動液を汚染したりすることのな

いもの。

    参考  電極槽内と泳動槽〔d)〕内とで泳動液の組成が異なる場合,電極槽内の液を電極槽液と呼んで

区別することがある。

d)

泳動槽  泳動液又は泳動液を含浸した支持体を安定に保持でき,これらと接する面が平滑な絶縁性の

    材料製で,これらと接しない面から放熱又は冷却できるもの。電気泳動槽断面の形状と寸法は一定で

    あるもの。分析目的に応じた性能をもつ1台の電気泳動装置泳動部に、複数個の泳動槽を装着するこ

    ともできる。


3

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6.4

附属装置  電気泳動装置に附属する装置は以下とする。

a)

試料導入装置

b)

検出予備操作のための装置

c)

検出・記録装置

d)

分取装置

e)

データ処理装置

f)

温度制御装置

7.

泳動液  泳動液は,試料化学種又は粒子を成分分離に適した性状とするための溶液で,適当な電気伝

    導性,イオン強度,pH などをもち,泳動の種類によって緩衝液,酸,塩基,両性電解質溶液,又はそ

    れらの混合溶液とする。分離性能を向上させるため,界面活性剤などを添加剤として加えてもよい。

参考  泳動液だけで電気泳動を行う場合と,8.  の支持体に泳動液を含浸させて電気泳動を行う場合と

がある。

8.

支持体  泳動液を含浸支持して安定な展開面を形成させるとともに,濃度こう配,pH こう配などを制

御又は固定させたもので,その種類は次による。

a)

繊維  ろ紙,セルロースアセテート膜などを用いる。

b)

粒子  合成高分子ゲル粒子,シリカゲル粒子などを用いる。

c)

ゲル  寒天ゲル,アガロースゲル,合成高分子ゲル(ポリアクリルアミドゲルなど)などを用いる。

合成高分子ゲルの場合は,グラジェントゲルも用いる。

9.

電気泳動装置の安全性  電気泳動装置は,安全性に十分注意して次のように設計する。

a)

通電部分(電源端子,電極端子,電極,泳動液及び支持体)を被覆するよう設計し,通電中は直接使

用者の身体に触れさせない。また,電気配線や電気泳動槽には難燃性の材料を用いる。

b)

泳動部の被覆上又はその近傍で導電性溶液の容器が転覆した場合でも,発火などの危険を生じない。

c)

電流又は電圧が装置の使用限界値を超えた場合,

自動的に供給が絶たれる機構を備えているか,

又は,

装置の使用限界値を越えないよう制御できる機構を備えている。

10.

操作方法

10.1

電気泳動装置の設置場所  設置場所は,次による。

a)

温度 5∼30  ℃,相対湿度 30∼85 %で急激な変化を生じない場所。

b)

振動がなく,直射日光の当たらない場所。

c)

腐食性ガス及びほこりが少なく,換気がよい場所。

d)

大型変圧器,高周波加熱炉などから強い磁気や高周波の影響がない場所。

e)

接地抵抗 100 Ω 以下の接地点がある場所。

10.2

安全についての注意事項  安全のため,次の事項に十分注意する。

a)

試料及び分析に使用する化学薬品の取扱いは,爆発性,引火性,毒性,有害性などに十分注意して行

い,それらの廃棄についても安全化,無害化などの配慮をする。

b)

電気泳動装置を接地する場合は,電気用品安全法の諸規定に従う。

c)

高圧容器詰めのガスを使用するときは,

“高圧ガス保安法”の諸規定に従う。


4

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なお,高圧ガス保安法に規定する圧力以下の容器を装置の近くで用いるときにも,容器が転倒しな

いように,壁,実験台などに固定しなければならない。

d)

電気泳動装置の操作に先立ち,配管の接続部,流液路などからガス漏れ及び液漏れがないかどうかを

十分に検査する。

e)

装置の点検及び修理は,電源を切って行う。

10.3

試料の準備  個別規格で定めた条件に従って試料を準備する。

10.4

操作

10.4.1

分析条件の設定  個別規格で定めた条件に従って,次の項目についてそれぞれの値に調節する。

a)

泳動液の種類

b)

泳動液以外の支持体を用いる場合は,その種類(グラジェントゲルを用いる場合は,ゲルなどの組成

変化の内容)

10.4.2

試料の導入  個別規格で定めた条件に従って,試料を導入する。

10.4.3

通電条件  個別規格で定めた条件に従って,電圧,電流,又は電力の値を調節する。時間的に変化

させる場合は,初期値,変化させた時間,変化率,変化後の値などの各種プログラムを調節する。

供給電源は,電気泳動装置の仕様に指定された電圧,電気容量及び周波数で,電圧変動は 10 %以下,

周波数の変動がないこと。

10.4.4

試料成分の検出  試料成分の検出方法は,次による。

a)

泳動中検出法  泳動槽の一部に設けられた検出器によって,電気泳動中に検出する。

b)

泳動後検出法  泳動終了後,支持体上に試料成分を固定し,必要があれば染色し,支持体上を走査し

て検出する。又は,支持体から試料成分を抽出して検出する。

10.4.5

検出結果の記録  検出結果の記録方法は,次による。

a)

泳動中検出法を用いた場合の記録方法は,電気泳動開始直後からの検出時間及びそのときの検出器の

出力を連続的に記録する。

b)

泳動後検出法を用いた場合の記録方法は,分画した泳動液の分画番号と検出器の出力と対応させて記

録する。支持体上を走査する場合は,支持体の一端から他端までの走査時間又は走査距離及びそのと

きの検出器の出力を連続的に記録する。

    備考,a)  及び b)  で得られた,走査時間又は走査距離と検出器出力の連続的な記録を電気泳動図と呼

ぶ。

10.4.6

記録の整理  記録の整理は,次の事項について行う。

a)

日付及び測定者名

b)

電気泳動装置の製造者名又はその形式記号

c)

試料名及び試料導入量(µl 又は ml)

d)

泳動液を調製するために用いた試薬の製造業者名及び規格

e)

泳動液の種類

f)

支持体の種類,泳動断面の形状,大きさ及び長さ(µm 又は mm)

g)

調節した電圧,電流,又は電力条件

h)

泳動槽温度又は室温(℃)

i)

検出器の種類及び操作条件

j)

化学反応を利用した場合は,反応液,反応試薬の種類,量 (ml) 及び反応条件。

k)

その他の必要事項


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11.

定性分析  10.4.5 で記録された電気泳動図において,被検成分の存在によって検出器の出力が変化し

た時間又は距離を測定する。このとき同一条件下で測定した未知成分及び推定成分の測定値  (

2

),並びに形

状  (

3

)  を比較して行う。この場合,測定値及び形状が同じであっても,必ずしも両者が同一であるとは限

らないので,支持体の種類を変えるなど分離条件を変えて測定するか,又は次の定性手法を併用して確か

める。

a)

異なる検出器の使用

b)

化学反応の利用

c)

質量分析法などの利用

注(

1

)  測定値とは,10.4.5 で得られた検出時間,支持体上の距離,移動速度,移動度などである。

同一日,同一分析条件における一定成分の繰返し分析における値のばらつきは,5 %以下でなけ

ればならない。

(

2

)  形状とは,10.4.5 で得られた支持体上の走査結果の画像によるものである。

12.

定量分析  10.4.5 で記録された電気泳動図において,検出器の出力が被検成分の存在によって類似ガ

ウス曲線を描いて変化したとき(これをピークと呼ぶ。

)に,このピークの面積は被検成分の濃度に比例す

る。したがって,これを用いて次のいずれかの方法によって被検成分の定量を行う。

12.1

絶対検量線法  被検成分の純品の既知量を段階的に導入し,ピーク面積(又はピーク高さ)を記録

する。次に成分量を横軸に,ピーク面積(又はピーク高さ)を縦軸に取って

図 のように検量線を作成す

る。同一条件のもとで試料を導入し,検出,記録し,ピーク面積(又はピーク高さ)から検量線によって

被検成分の量を求め,試料中の成分量を算出する。この方法は,全測定操作を厳密に一定条件のもとで行

なう。

X

成分量

y

ピー

ク面

又は

ピー

ク高

  2  検量線

12.2

内部標準法  被検成分の純物質 (X) の既知量  (M

X

)  に内部標準物質 (S) の既知量  (M

S

)  を添加し

た混合試料の電気泳動図を記録し,X 及び S のピーク面積(それぞれ A

X

及び A

S

)を測定する。横軸に M

X

と M

S

との比(M

X

/M

S

)  をとり,縦軸に A

X

と A

S

との比(A

X

/A

S

)をとって,

図 のような関係線を作成する。


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X

Mx 
Ms

y

Ax 
As

  3  内部標準法による検量線

試料の既知量  (m)  に対して,内部標準物質の既知量  (n)  を検量線の範囲内に入るように適切に加えて

均一に混合し,内部標準物質のピーク面積が検量線作成の際とほぼ同じ大きさになるように導入量を加減

し,同一条件の下で電気泳動図を記録する。

泳動図から被検成分と内部標準物質とのピーク面積の比 y=  (A'

X

/A'

S

)  を求め,次に関係線から試料成分

量  (M'

X

)  と内部標準物質量  (M'

S

)  との比 xM'

X

/M'

S

を求めて,次の式によって試料成分量の含有率 C (%)

を算出する。ピーク面積の代わりにピーク高さを用いてもよい。

100

×

×

m

n

x

C

ここに,  C:  含有量 (%) 

x:  試料成分量と内部標準物質量との比

m:  試料の既知量

n:  内部標準物質の既知量

内部標準物質には,そのピークが,被検成分のそれと完全に分離するが,なるべく近くなるような物質

が望ましい。

12.3

被検成分追加法

  原試料の電気泳動図から被検成分 A 及び他の任意の成分 B のピーク面積又は高さ

a

1

及び b

1

を求める。次に試料の一定量 に成分 A の純物質の既知量

ΔW

A

を加え,再び同一条件下で電気

泳動図を記録し,成分 A 及び B のピーク面積 a

2

及び b

2

を求めて次の式によって成分Aの含有率 C (%)  を

算出する。ピーク面積の代わりにピーク高さを用いてもよい。

C=  (W

A

/W)  ×100=[∆W

A

/(a

2

/b

2

b

1

/a

1

−1)W]×100

ここに,

C:  成分 A の含有量 (%)

a

1

:  はじめに測定した成分 A のピーク面積

b

1

:  はじめに測定した成分 B のピーク面積

a

2

:  試料の一定量に成分 A の既知量を加えたときの成分 A のピー

ク面積

b

2

:  試料の一定量に成分 A の既知量を加えたときの成分 B のピー

ク面積

∆W

A

:  成分 A の純物質の既知量

W:  成分 A を加えたときの試料の量

∆W

A

の量は,a

2

/a

1

の値が 1.2∼2.0 の間に入るように加えることが望ましい。


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13.

分離性能の評価方法

  分離性能の評価方法は,ゾーン電気泳動の場合には,適切な対照物質について

の理論段数及び分離度によって行う。

13.1

理論段数 

(

N

)  理論段数 によって分離効率を表す。理論段数は電気泳動図において対照物質の検

出時間又は距離及びピーク幅から次の式によって求める。

N=16 (t

S

/W)

2

=5.54 (t

S

/W

1/2

)

2

ここに,

N:  理論段数

t

S

:  対照物質の検出時間又は距離

W:  ピーク幅(時間又は距離単位)

W

1/2

:  ピーク半値幅(ピーク高さが 1/2 時のピーク幅,時間又は距離

単位)

13.2

分離度 

(

R

S

)  隣接する二つの成分の分離度 R

S

を次の式によって求める。

R

S

=2 (t

S2

t

S1

) / (W

1

W

2

)

ここに,  R

S

:  隣接する二つの成分の分離度

t

S1

:  隣接する二つの成分のうちの一つの検出時間又は距離

t

S2

:  隣接する二つの成分のうちのもう一つの検出時間又は距離

W

1

:  隣接する二つの成分のうちの一つのピーク幅(時間又は距離単

位)

W

2

:  隣接する二つの成分のうちのもう一つのピーク幅(時間又は距

離単位)


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附属書(規定)  用語の定義

用語

定義

電気泳動移動速度 
electrophoretic   velocity

試料成分分子又は粒子が,一定時間内に移動した見掛けの距離。電荷をもたない分

子又は粒子でも,電気浸透が存在する場合は電気浸透流速に等しい移動速度を示
す。 

電気泳動移動度 
electrophoretic   mobility

電気泳動による泳動液中の分子又は粒子の移動速度を,その場の電場の強さで除し
て得られる値。電気浸透が存在するときは,電気浸透移動度がゼロの状態に補正す
る。 

泳動液 
(electrophoresis) carrier solution

試料分子又は粒子を成分分離に適した性状とするための溶液で,適当な電気伝導
性,イオン強度,pH などをもち,泳動の種類によって緩衝液,酸,塩基,両性電

解質溶液又はそれらの混合溶液を適宜用いる。 

グラジェントゲル(又はこう

配ゲル) 
pore gradient gel

電気泳動支持体としての合成高分子ゲルのうち,ゲル密度が連続的に変化するよう

調製したもの。たん白質などの生体高分子の分離能を広い分子量範囲で向上させる
ために用いる。 

後続液 
terminating solution

等速電気泳動において用いられる溶液で,分離したい試料成分イオンと同符号で,
かつ,どの試料成分イオンよりも移動度の小さいイオンを含むもの。通常,溶液中
の反対符号のイオンとしては,先行液と同じものが選択される。 

先行液 
leading solution

等速電気泳動において用いられる溶液で,分離したい試料成分イオンと同符号(正,
負)で,かつ,どの試料成分イオンよりも電気泳動移動度の大きいイオンを含むも

の。通常、溶液中の反対符号のイオンとしては,移動度の小さいものが選択される。

層 
layer

等速電気泳動において各種イオンが互いに界面を保ったまま分離されているとき、

これらのイオンの界面と界面の間に存在する領域。 

ゾーン 
zone

試料成分分子又は粒子が泳動液と混じりあいながら,かつ局在している場合の領

域。 

ゾーン電気泳動 
zone electrophoresis

泳動液の組成が泳動槽全体にわたって均一(したがって泳動液中の電位こう配も均

一)な条件で,試料成分分子又は粒子を細いゾーンとして導入し,移動させながら
互いに重ならないゾーンとして分離する電気泳動。 

電気泳動 
electrophoresis

水溶液中で電場をかけたとき,電荷をもつ化学種及び粒子が電荷と反対符号の電極
方向へ移動する現象。 

電気浸透 
electro-osmosis

管の長さ方向に電場がかかって泳動槽内面又は支持体表面と泳動液との間に生じ
る電気二重層の可動部分の電荷が泳動槽又は支持体分子の電荷と同符号の電極方
向へ移動するときに,粘性で泳動液も移動する現象。

電気浸透移動度 
electro-osmotic mobility

電気浸透流速を電場の強さで除して得られる値。 
 
 


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用語

定義

電気浸透流速 
electro-osmotic velocity 

泳動槽又は支持体の表面に平行な方向に電場をかけたとき,電気浸透によって泳動
液中の水分子が一定時間内に移動した距離。 

電気二重層 
electrical double layer 

泳動槽の材料分子や,泳動液を含浸する支持体の材料分子が,泳動液と接すること
によって電荷をもつとき,その電荷と反対符号の電荷をもつ泳動液中のイオンが泳
動槽内面又は支持体表面に吸着し,イオンの二重層を形成する。これを電気二重層

と呼ぶ。 

等速電気泳動 
isotachophoresis

先行液と後続液の境界点に試料を導入し,電圧をかけることによってそれぞれの試

料成分イオンを電気泳動移動度の順に連続した層状に分離し,その界面を保ったま
ま等速で移動させ検出器に到達させる電気泳動。このとき泳動液中の電位こう配は
先行液の位置では低く,階段状に次第に高くなっており,この状態が安定に保たれ

ている。 

等電点電気泳動 
isoelectric focusing

泳動液に緩衝液の代わりに両性電解質混合物を加え,電圧をかけることによって泳

動液中に pH こう配を形成し,試料イオンをその等電点の位置に収れんさせること
によって分離する電気泳動。 
  このとき泳動液中の各部分における電位こう配は両性電解質と試料イオンの濃

度に依存する。したがって,試料イオンが収れんしたのちは,泳動液中の電位こう
配の変化曲線は安定に保たれている。 

両性電解質混合物 
ampholite mixture

種々の等電点をもつ両性電解質を混合し,等電点電気泳動において安定な pH こう
配が形成できるようにしたもの。市販品もある。