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K 3810-3

:2003

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人バイオイ

ンダストリー協会 (JBA)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,

経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 3810-3 : 1997 は改正され,この規格に置き換えられる。

JIS K 3810

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 3810-1

  第 1 部:培養による直接検出法

JIS K 3810-2

  第 2 部:DNA 蛍光染色による間接検出法

JIS K 3810-3

  第 3 部:PCR による検出法


K 3810-3

:2003

(2)

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  マイコプラズマの検出限界及び検出感度

2

5.

  試験方法

2

5.1

  装置及び器具

2

5.2

  試薬類

3

5.3

  試料からの DNA 抽出

3

5.4

  PCR 反応

3

5.5

  結果の判定

4

 


日本工業規格(案)

JIS

 K

3810-3

:2003

マイコプラズマの検出法−

第 3 部:PCR による検出法

Mycoplasma detection methods

Part 3: Nested PCR assay

1.

適用範囲  この規格は,培養細胞及び細胞培養に用いる試薬類並びに細胞培養によって生産された製

品中のマイコプラズマを PCR (polymerase chain reaction)  法によって検出する方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 3600

  バイオテクノロジー用語

JIS K 3604

  組織培養用培地(最小必須培地)

JIS K 8101

  エタノール (99.5)(試薬)

JIS K 8839

  2-プロパノール(試薬)

3.

定義  この規格で用いられる主な用語の定義は,JIS K 3600 によるほか,次による。

a)

蒸留水  JIS K 3604 で規定する純水。

b)

マイコプラズマ  無細胞培地で発育可能な無細胞壁原核生物。DNA をゲノムとする。発育にコレステ

ロールを要求しないものはアコレプラズマと呼ばれる。

c)

コロニー形成単位 [Colony Forming Unit (CFU)  ]  寒天培地上で 1 個のコロニーを形成する試料 1 ml

中のマイコプラズマの量。

d)

プライマー  DNA を酵素的に合成する際に用いる断片で,PCR 法を用いる場合に DNA 合成の開始に

必す(須)な合成オリゴヌクレオチド。

e)

二段階 PCR 法(nested PCR)  特異性及び検出感度を高めるため,一度 PCR を行い,PCR 産物を再

度 1 回目の PCR 領域内に新たにプライマーを設定し,2 回目の PCR を行う方法。1 回目及び 2 回目の

PCR

に用いるプライマー,並びに PCR 反応液をそれぞれ

表 及び表 に示す。


2

K 3810-3

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  1  マイコプラズマ検出用プライマー

(A)

  マイコプラズマ検出用プライマー

MCGpF1 : 5'-ACACCATGGGAG (C/T) TGGTAAT-3

MCGpR1 : 5'-CTTC (A/T) TCGACTT (C/T) CAGACCCAAGGCAT-3'

1

回目  PCR

MCGpF2 : 5'-GTTCTTTGAAAACTGAAT-3'

MCGpR2 : 5'-GCATCCACCA (A/T) A (A/T) ACTCT-3'

2

回目  PCR

(B)

  アコレプラズマ検出用プライマー

AF5 : 5'-CTAACTAACACTTAGCACAA-3'

AR6 : 5'-ACTGTGTGCCCTTTGTTCCTT-3'

1

回目  PCR

AF3 : 5'-GTCACTCAAACAAGTAACCA-3'

AR5 : 5'-TTTCAAAGATCTCAATTAGG-3'

2

回目  PCR

  2  マイコプラズマ検出用 PCR 反応液

a)

  1 回目の PCR の反応条件

b)

  2 回目の PCR の反応条件

組成(成分)

添加量

µl

組成(成分)

添加量

µl

滅菌蒸留水

50

滅菌蒸留水

59.0

10

倍緩衝液

10

10

倍緩衝液

10.0

dNTP

混合溶液(各 1.25 mmol/L)

16.0

dNTP

混合溶液(各 1.25 mmol/L)

16.0

プライマーMCGpF1 又は AF5 (10 pmol/

µl)

  2.0

プライマーMCGpF2 又は AF3 (10 pmol/

µl)

  2.0

プライマーMCGpR1 又は AR6 (10 pmol/

µl)

  2.0

プライマーMCGpR2 又は AR5 (10 pmol/

µl)

  2.0

塩化マグネシウム溶液 (25 mmol/L)

  8.0

塩化マグネシウム溶液 (25 mmol/L)

  8.0

Taq

ポリメラーゼ (1 unit/

µl)

  2.0

Taq

ポリメラーゼ (1 unit/

µl)

  2.0

試料

10

試料(1 回目の PCR 産物)

    1.0

総量 100

総量 100.0

4.

マイコプラズマの検出限界及び検出感度  この方法では,核酸である DNA を検出するためマイコプ

ラズマの活性又は不活性の区別ができない。また,この方法を用いた検出感度については,陽性対照とし

て Mycoplasma hyorhinis  (ATCC 29052 又は IFO 14858)及び  Mycoplasma arginini  (ATCC 23838 又は IFO

14476

)1 CFU を含む試料中のマイコプラズマを検出できることを必要とする。

5.

試験方法

5.1 

一般  PCR によるマイコプラズマの検出は,次による。

このとき,反応及び検出系の確認として Mycoplasma hyorhinis 及び Mycoplasma arginini を陽性対照とし

て用いる。

5.2

装置及び器具

a)

サーマルサイクラ  PCR 反応に用いる温度変換装置。

b)

水平形電気泳動装置  泳動槽及び定電圧装置。

c)

UV

トランスイルミネータ  放電管から発生させた紫外線のうち波長 254∼365 nm の範囲にある特定

の波長を取り出すフィルタを備えていて,平板ゲルなどに含まれる吸収物質の検出及び観察を行うた

めの装置。

d)

遠心分離器

e)

分光光度計


3

K 3810-3

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f)

容器  容器は,PCR 反応及び高熱(100  ℃)に影響を及ぼさないものとする  (

1

)

注(

1

)

一般的にポリプロピレン製遠心分離管(0.2∼0.5 ml)が用いられている。

5.3

試薬類  試験に用いる試薬類は,次による。

a)

ドデシル硫酸ナトリウム  (SDS)  溶液  (100 g/L)  

b)

酢酸ナトリウム溶液  (3 mol/L)

c)

グリコーゲン  生化学用グリコーゲン

d)  2-

プロパノール  JIS K 8839 による。

e)

エタノール  (体積分率 75 %)  JIS K 8101 による。

f)

dNTP

混合溶液  デオキシリボヌクレオチド-3’-三りん酸の混合物。

g)

塩化マグネシウム溶液  (25 mmol/L)  

h)  Taq DNA

ポリメラーゼ  Taq DNA ポリメラーゼ (1 unit/

µl)

i)

アガロースゲル

j)

PCR

用 10 倍緩衝液  その組成を表 に示す。表 の組成を混合し,塩酸で pH 8.0 に調節する。これ

を高圧蒸気滅菌器で滅菌し,−20  ℃で保存する。PCR 用緩衝液の塩類濃度が 10 倍濃いものを PCR

用 10 倍緩衝液とする。

  3  PCR 用 10 倍緩衝液の組成

トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン-HCl (pH8.4)

100 mmol/L

塩化カリウム 500 mmol/L

塩化マグネシウム

20 mmol/L

ゼラチン(日本薬局方)

  0.1 g/L

k)  6

倍色素液  電気泳動用サンプルと混合し,サンプルの比重を大きくするとともに泳動状況を把握す

るための混合液で,体積分率 0.25 %ブロモフェノールブルー,体積分率 0.25 %キシレンシアノールな

どの色素と体積分率 40 %しょ糖とからなる。

l)

臭化エチジウム溶液  通常 10 mg/ml を原液とし,約 0.4

µg/ml で用いる。

m)

サイズマーカ  100∼1 000 bp の DNA サイズの既知のもの。

5.4

試料からの DNA 抽出

a)

試料 1 ml に SDS 溶液  (100 g/L) 100

µl を加え,激しく 10 回以上かき混ぜた後,5 分間氷冷する。

b)

酢酸ナトリウム溶液  (3 mol/L) 0.5 ml を加え,緩やかに 5 回以上振り混ぜた後,30 分間氷冷する。

c)

約 12 000×で 10 分間冷却遠心分離し,その上澄み液約 1 ml を別の新しい遠心管に移す。

d)

グリコーゲン 20 mg に蒸留水 1 ml を加えて溶かし,その 5

µl と 2-プロパノール 1 ml とを加えて振り

混ぜた後,30 分間氷冷する。

e)

約 12 000×で 15 分間遠心し,DNA を沈殿させる。

f) DNA

ペレットをエタノール  (体積分率 75 %) 5 ml で 3 回洗浄する。

g) DNA

ペレットを風乾させた後,蒸留水 10

µl に溶かし,分光光度計で 260 nm における吸光を確認す

る。これを PCR 用試料とする。

5.5

PCR

反応

5.5.1

1

回目 PCR の操作  操作は,次による。

a) PCR

用反応容器に滅菌した蒸留水 50

µl を加える。

b) PCR

用 10 倍緩衝液 10

µl を加える。

c) dNTP

混合溶液 16

µl を加える。


4

K 3810-3

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d) MCGpF1

及び MCGpR1 のプライマー[

表 1 (A)  ]又は AF5 及び AR6 のプライマー[表 (B)  ]を各々

2

µl ずつ加える。

e)

塩化マグネシウム溶液  (25 mmol/L) 8

µl を加える。

f) Taq

DNA

ポリメラーゼ溶液(1 unit/

µl) 2 µl を加える。

g)  5.4. g)

で調製した PCR 用試料 10

µl を加え,振り混ぜる。

h)

サーマルサイクラを用いて,初めに 94  ℃ 30 秒間の加熱操作を行い,次に 1 サイクルを 94  ℃ 30 秒

間,55 ℃  2 分間及び,72 ℃  2 分間の条件で 30 サイクルを繰り返す。最後に 72 ℃  3 分間の反応を行

う。

i)

反応終了後,この PCR 反応液 10

µl をとり,6 倍色素液 2 µl と混合し,1 %アガロースゲル電気泳動を

実施した後,臭化エチジウム溶液を加える。UV トランスイルミネータを用いて,DNA バンドを検出,

確認する。

5.5.2

2

回目 PCR の操作手順

a) PCR

用反応容器に滅菌した蒸留水 59

µl を加える。

b) PCR

用 10 倍緩衝液 10

µl を加える。

c) dNTP

混合溶液 16

µl を加える。

d) MCGpF2

及び MCGpR2 プライマー又は AF3 及び AR5 プライマーを各々2

µl ずつ加える。

e)

塩化マグネシウム溶液  (25 mmol/L) 8

µl を加える。

f) Taq

DNA

ポリメラーゼ溶液(1 unit /

µl) 2 µl を加える。

g) 1

回目の PCR 反応産物液 1

µl を加える。

h)

サーマルサイクラを用いて,初めに 94  ℃ 30 秒間の加熱操作を行い,次に 1 サイクルを 94  ℃ 30 秒

間,55  ℃  2 分間及び 72  ℃  3 分間の条件で 30 サイクルを繰り返す。最後に 72  ℃  3 分間の反応を行

う。

i)

反応終了後,この PCR 反応液 10

µl をとり,6 倍色素液 2 µl と混合し,1 %アガロースゲル電気泳動を

実施した後,

臭化エチジウム溶液を加える。

UV

トランスイルミネーターを用いて DNA バンドを検出,

確認する。このとき,対照として同時に DNA のサイズマーカを並列して泳動し,サイズを確認する。

5.6

結果の判定

5.6.1 PCR

反応生成物と,同時に電気泳動したサイズマーカーとを比較して,陽性,陰性又は不明確か

を判定する。バンドの検出が不明確の場合は,5.5.1 及び 5.5.2 の操作を繰り返す。さらに,不明の場合は,

不明確と判定する。