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K 3703-1

:2004

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人バイオインダストリー協会(JBA)/

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 6888-1:1999,Microbiology of food

and animal feeding stuffs

−Horizontal method for the enumeration of coagulase-positive staphylococci

(Staphylococcus aureus and other species)

−Part 1: Technique using Baird-Parker agar medium を基礎として用い

た。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案

登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 3703-1

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 3703

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 3703-1 

第 1 部:ベアード・パーカー寒天培地

JIS K 3703-2 

第 2 部:ウサギ血しょう(漿)フィブリノーゲン寒天培地


K 3703-1

:2004

目  次

ページ

0.

  序文

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  一般原則  

2

5.

  希釈液及び寒天培地

3

6.

  装置及びガラス器具  

5

7.

  試料の採取 

6

8.

  試料の調製 

6

9.

  実施手順

6

10.

  結果の表示  

8

11.

  精度

10

12.

  試験報告書 

10

参考文献  

10

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

11

 


日本工業規格

JIS

 K

3703-1

:2004

コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌など)

の菌数測定方法−第 1 部:ベアード・パーカー寒天

培地

Horizontal method for the enumeration of coagulase-positive staphylococci

(Staphylococcus aureus and other species)

Part 1:Technique using Baird-Parker agar medium

0.

  序文  この規格は,1999 年に第 1 版として発行された ISO 6888-1:1999,Microbiology of food and animal

feeding stuffs

−Horizontal method for the enumeration of coagulase-positive staphylococci (Staphylococcus aureus

and other species)

−Part 1: Technique using Baird-Parker agar medium を翻訳し,技術的内容を変更して作成し

た日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,

附属書(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格は,ベアード・パーカー寒天培地(以下、寒天培地という。)を用いて 35  ℃又は

37

℃で好気的に培養して得られるコロニー数を測定する方法について規定する。

この規格は、人が摂取する食品及び動物用飼料(これらは、工業標準化法の適用対象となるものに限る。

中に存在するコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の菌数測定を目的とする[参考文献 1

)]。

  食品及び動物用飼料には多種多様な製品が存在するため,特定の製品に関しては,この測定方法がすべ

てに適しているとは限らない。その場合,正当な技術的理由があれば,このような製品に限定される別の

方法を用いてもよい。しかし,可能な限りこの測定方法を適用するように努めなければならない。

  JIS K 3703 規格群で,エンテロトキシン産生株を含むコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の菌数測定方法につ

いて二つの測定方法(JIS K 3703-1 及び JIS K 3703-2)を規定している。主に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus 

aureus

)が対象であるが,S. intermedius  及び  S. hyicus  の一部も対象となる。

一般的には JIS K 3703-1 をエンテロトキシン産生株を含むコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の菌数測定に適

用する。しかし,次に示す菌によって汚染される可能性のある食材(生乳から製造されたチーズ及び生肉

製品など工業標準化法の対象とならないものは除く。

)に限っては,JIS K 3703-2 に示す手順を適用するこ

とが望ましい。

−  ベアード・パーカー寒天培地上に非定形コロニーを形成するブドウ球菌


2

K3703-1:2004

−  求めるコロニーが埋もれてしまうようなバックグラウンド・フローラ〔細菌そう(叢)

  JIS K 3703-1 では,ブドウ球菌の確認はコアグラーゼ陽性反応に基づいている。しかし,黄色ブドウ球

菌にはコアグラーゼ陽性反応が弱い菌株があることが知られている。この反応の弱い菌株は他の細菌と混

同される可能性があるが,JIS K 3703-1 には含まれていない試験を追加することによって識別することが

できる。その試験法には,リゾスタフィンの感受性,溶血性毒素の産生,耐熱性ヌクレアーゼの産生,マ

ンニトール分解による酸産生の試験などがある[参考文献 2

)]。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 6888-1:1999

,Microbiology of food and animal feeding stuffs−Horizontal method for the

enumeration of coagulase-positive staphylococci (Staphylococcus aureus and other species)

−Part

1: Technique using Baird-Parker agar medium (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 3702-2

  コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌など)の菌数測定方法−第 2 部:ウサ

ギ血しょう(漿)フィブリノーゲン寒天培地

ISO 6887-1

  Microbiology of food and animal feeding stuffs−Preparation of the test sample, initial

suspension and decimal dilutions for microbiological examination

− Part 1: General rules for the

preparation of the initial suspension and decimal dilutions

ISO 7218

  Microbiology of food and animal feeding stuffs−General rules for microbiological examination

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(coagulase-positive staphylococci)  この規格の試験によって,寒天培

地上に定形及び/又は非定形コロニーを形成し,コアグラーゼ陽性反応を示す細菌。

3.2

コアグラーゼ陽性ブドウ球菌の菌数測定(enumeration of the coagulase-positive staphylococci    こ

の規格の試験によって得られる製品 1 ml 又は 1 g 当たりのコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の数の測定。

3.3 

精製水  JIS K 8008 の 3.2 に規定するA2の水。

備考  これを超す精製度のものを使用することに関しては制限しない。

なお,滅菌水は,イオン交換水の品質以上のものをオートクレーブ滅菌又はフイルターでろ

過し滅菌したものとする。また,市販の精製水を用いる場合は,この規定の精製水と同等以上

の品質のものとする。

4.

一般原則

4.1

製品が液体の場合は規定量の製品を,液体でない場合は規定量の試料懸濁液を試料とし,寒天平板

培地 2 枚に塗抹する。

さらに,

試料の 10 倍段階希釈液を同一希釈段階につき寒天平板培地 2 枚に塗抹する。

4.2 35

℃又は 37  ℃(

1

)で各寒天平板培地を好気的に培養し,24 時間後及び 48 時間後に判定する。

(

1

)

この温度は,関係者で合意を得るものとし,試験報告書に記載する。


3

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4.3

菌数測定のための適切な希釈段階(9.4)の寒天平板培地に発育した定形及び/又は非定形コロニー

数を測定し,併せてコアグラーゼ試験結果が陽性であることを確認したうえで,製品 1 ml 又は 1 g 当たり

のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数とする。 

5.

希釈液及び寒天培地

5.1

一般的な試験指針  一般的な試験指針は ISO 7218 による。

5.2

希釈液  ISO 6887-1 及び試験対象の製品を規定する規格による。

5.3

ベアード・パーカー寒天培地(

2

)  市販の培地を用いてもよい。その場合,製造業者の取扱説明書

に厳密に従う。

(

2

) Proteus

属の存在が疑われるときは,ベアード・パーカー寒天培地[参考文献 2)]にスルファメ

タジン[参考文献 3)]を加える。

5.3.1

基礎培地

5.3.1.1

組成

  1  基礎培地の組成

単位:培地 1 000 ml 当たりの成分の質量

カゼインペプトン(パンクレアチン消化物)

10.0 g

酵母エキス

1.0 g

肉エキス

5.0 g

ピルビン酸ナトリウム

10.0 g

グリシン

12.0 g

塩化リチウム

5.0 g

寒天

 12

∼22 g(

3

精製水

残量(ml)

(

3

)

寒天のゲル強度による。

5.3.1.2

調製  各成分又は粉末基礎培地に精製水を加え,加温して溶解する。必要であれば,滅菌後 25  ℃

で pH が 7.2±0.2 となるようにあらかじめ調整し,適切な容量のフラスコ又は瓶に 100 ml ずつ分注する。

その後,速やかに 121  ℃で 15 分間,滅菌する。

5.3.2

溶液

5.3.2.1

亜テルル酸カリウム溶液

5.3.2.1.1

組成

  2  亜テルル酸カリウム溶液の組成

亜テルル酸カリウム  (K

2

TeO

3

)

4

1.0 g

精製水

100 ml

(

4

)

市販の亜テルル酸カリウムがこの試験に適していることを事前に確認してお
くことが望ましい(5.3.2.1.2

5.3.2.1.2

調製  最小限の加熱で亜テルル酸カリウムを精製水に完全に溶解する。固形物は,白色の不溶

物が水中に生じるものは用いない。その後,速やかに孔径 0.22

µm のメンブランフィルターを用いてろ過

し,滅菌する。溶液は調製後,3  ℃±2  ℃で保存し,1 か月以内に用いる。ただし,白色の沈殿物が生じ

たものは用いない。

5.3.2.2

卵黄液  濃度は、約 20

%又は製造業者の取扱説明書による。

備考  調製済みの市販品があれば,それを用いる。自製するときは,無きずの殻をもつ新鮮な鶏卵を

用い,液体洗剤とブラシを用いて卵を洗浄し,流水ですすぐ。その後,エタノール(体積分率


4

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70

%)に 30 秒間浸せきして殻を消毒し,次いで,大気中に放置して乾燥させる。

無菌条件下で卵を割り,卵の殻の半分から他の半分へ卵黄を移す。これを繰り返して,卵黄

を卵白から分離する。滅菌済みフラスコ(6.5)に卵黄を入れ,その体積の 4 倍の滅菌水を加え

てよく混和する。47  ℃に設定したウォーターバス(6.4)中で混合物を 2 時間加熱してから,3  ℃

±2  ℃で 18∼24 時間放置し,沈殿物を生じさせる。上澄み液を新しい滅菌済みフラスコに無菌

的に集め,卵黄液とする。

調製後,卵黄液は,3  ℃±2  ℃で保存し 72 時間以内に用いる。

5.3.2.3

スルファメタジン溶液(sulfamethazinesulfamezathinesulfadimidine

備考  この溶液は,試料中に Proteus 属の存在が疑われるときにだけ用いる。

5.3.2.3.1

組成

  3  スルファメタジン溶液の組成

スルファメタジン

0.2 g

水酸化ナトリウム溶液, 0.1 mol/L

10 ml

精製水

90 ml

5.3.2.3.2

調製  スルファメタジンを水酸化ナトリウム溶液に溶解する。精製水で全量が 100 ml になるよ

う希釈し,その後,速やかに孔径 0.22

µm のメンブランフィルターを用いてろ過し,滅菌する。この溶液

は,調製後,3  ℃±2  ℃で保存し 1 か月以内に用いる。

5.3.3

最終使用培地

5.3.3.1

組成

  4  最終使用培地の組成

基礎培地(5.3.1

100 ml

亜テルル酸カリウム溶液(5.3.2.1

1.0 ml

卵黄液(5.3.2.2

5.0 ml

スルファメタジン溶液(5.3.2.3) 
  (試料中に Proteus 属の存在が疑われるとき)

2.5 ml

5.3.3.2

調製  基礎培地を溶解し,ウォーターバス(6.4)を用いて約 47  ℃まで冷却する。無菌条件下で,

他の 2 種類の溶液(5.3.2.1 及び 5.3.2.2)を加える。試料中に Proteus 属の存在が疑われるときは,スルフ

ァメタジン溶液(5.3.2.3)も加える。各溶液は,あらかじめウォーターバス中で 47  ℃に温めておき,各溶

液を加えた後はよく混和する。

5.3.4

寒天平板培地の調製  最終使用培地(5.3.3.2)を滅菌済みシャーレに寒天の厚さが約 4 mm となる

ように分注して,固化させる。調製した寒天平板培地は,3  ℃±2  ℃で保存し,24 時間以内に用いる。使

用前に,培地の表面から液滴が消えるまで寒天平板培地を乾燥させる。

備考  市販の寒天平板培地を用いる時は,製造業者の取扱説明書に従う。

5.4

ブレインハートインフュージョンブロス(BHI ブロス)

5.4.1

組成

  5  ブレインハートインフュージョンブロスの組成

単位:培地 1 000 ml 当たりの成分の質量

ペプトン(動物組織の酵素消化物)

10.0 g

乾燥子ウシ脳浸出物  (

5

)

12.5 g

乾燥ウシ心臓浸出物  (

5

)

5.0 g

グルコース

2.0 g


5

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単位:培地 1 000 ml 当たりの成分の質量

塩化ナトリウム

5.0 g

無水りん酸水素二ナトリウム(Na

2

HPO

4

2.5 g

精製水

残量(ml)

(

5

代替品の使用も可

5.4.2

調製  必要に応じて加熱しながら,各成分又は市販の培地を精製水に溶解する。滅菌後 25  ℃で

pH7.4

±0.2 となるように調整し,適切な容量の試験管(6.5)に培地を 5∼10 ml ずつ分注する。その後,

速やかに 121  ℃で 15 分間,培地を滅菌する。

5.5

ウサギ血しょう  市販の乾燥ウサギ血しょうを,製造業者の取扱説明書に従って滅菌精製水で溶解

する。乾燥ウサギ血しょうが入手できない場合,滅菌した新鮮ウサギ血しょうと滅菌精製水とを体積比 1:

3

で混ぜて希釈する。くえん酸カリウム又はくえん酸ナトリウムを血液凝固防止剤として用いた場合(

6

),

EDTA

(エチレンジアミン四酢酸)溶液を,EDTA が 0.1

%となるように,滅菌精製水で溶解又は希釈した

血しょうに加える。製造業者の指定がなければ,滅菌精製水で溶解又は希釈した血しょうは直ちに用いな

ければならない。

使用前に,コアグラーゼ陽性ブドウ球菌株とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌株とを用いて各ロットの血し

ょうを試験する。

(

6

しゅう酸血しょう又はヘパリン血しょうでは,EDTA は不要である[参考文献 4)]。

参考  コアグラーゼ陽性ブドウ球菌株(Staphylococcus aureus subsp.  aureus JCM2151=ATCC 6538P

=CCRC 10451 =CIP 53.156 =DSM 346 =FDA 209P =IAM 12082 =NBRC 12732 (

7

)=IID 671=KCTC

1927 =NCIMB 8625 =NCTC 7447 =NRIC 1136 =NRRL B-313 =RIMD 3109007

コアグラーゼ陰性ブドウ球菌株(Staphylococcus epidermidis JCM2414 Type strain=ATCC 14990

=DSM 20044 =IAM 12013

(

7

)

微生物株の分譲業務は,平成 14 年 7 月 1 日付で財団法人醗酵研究所(IFO)から独立行政

法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)に移行された。NBRC 番号は,IFO

番号と同一である。

6.

装置及びガラス器具

備考  仕様に合えば,ガラス器具の代わりに使い捨て器具を用いてもよい。

通常の微生物試験用器具を次に示す。

6.1

オーブン及びオートクレーブ  オーブンは,170∼180  ℃に設定可能なもので,主にガラス,金属な

どを滅菌するのに用いる。オートクレーブは,飽和蒸気温度が最低 121  ℃(制御部の温度制御±1  ℃)に

設定できるもの。

6.2

インキュベータ  接種済みの培地,寒天平板培地及び試験管を 35  ℃±1  ℃又は 37  ℃±1  ℃で保温

するためのもの。

6.3 

器具乾燥機又はインキュベータ  温度範囲 25  ℃∼50  ℃で,±1  ℃に維持できるもの。

6.4 

ウォーターバス,又は類似の装置  47  ℃±2  ℃を維持できるもの。

6.5

試験管,フラスコ又はスクリューキャップ付き試験管  適切な容量で,培地の滅菌及び保存並びに

液体培地のインキュベーションに用いる。特に,滅菌済み溶血性試験用試験管(haemolysis tube)又は寸法

約 10 mm×75 mm の丸底試験管などがよい。

6.6

シャーレ  ガラス製又はプラスチック製で滅菌済みのもの。


6

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6.7

白金線及びパスツールピペット  滅菌済みの市販品を用いることができる。

6.8

吐出式メスピペット  容量が 1 ml,2 ml 及び 10 ml で,それぞれ 0.1 ml,0.1 ml 及び 0.5 ml の目盛付

きのもの。

6.9

スプレッダ  滅菌済みで,ガラス又はプラスチック製のもの。

6.10  pH

メータ  目盛が 0.01  ,25  ℃における精度が±0.1  のもの。

7.

試料の採取  試料の採取方法については,この規格では規定しない。試験対象の製品からの試料採取

について,特定の日本工業規格が存在しない場合は関係者で合意を得ることが望ましい。

試験対象を代表する試料が,輸送中又は保存中に損傷を受けず,かつ変化もなく試験室に届けられるこ

とが重要である。

8.

試料の調製  試験対象の製品に適用される日本工業規格に従って試料を調製する。このような規格が

ない場合には,関係者で調製について合意を得ることが望ましい。

9.

実施手順

9.1

試料,試料懸濁液及び希釈液  試料,試料懸濁液及び希釈液は,ISO 6887-1 及び試験対象の製品に

適用する特定の規格による。

9.2

接種

9.2.1

滅菌済みの吐出式メスピペット(6.8)を用いて,製品が液体の場合は 0.1 ml を,液体以外の製品

の場合は試料懸濁液(10 倍希釈)0.1 ml を,2 枚の寒天平板培地(5.3.4)にそれぞれ塗抹する。必要であ

れば,試料の 100 倍希釈液,それにつづく 10 倍段階希釈液についても同様の手順を繰り返す。

9.2.2

ある製品において,測定するコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数が少ないことが予想される場合,液体

製品の場合は 1.0 ml を,他の製品の場合は試料懸濁液 1.0 ml を大きな寒天平板培地(直径 140 mm)1 枚,

又は小さな寒天平板培地(直径 90 mm)3 枚に塗抹することによって,検出限界を 10 倍まで上げることが

可能である。繰返し測定するため,寒天平板培地大 2 枚又は寒天平板培地小 6 枚を用意する。

9.2.3

スプレッダー(6.9)を用いて,シャーレの縁に触れないよう注意しながら,寒天平板培地上に試

料を可能な限り素早く慎重に塗抹する。寒天平板培地にふたをして,室温で 15 分間乾燥させる。

9.3

培養  9.2.3 に従って調製した寒天平板培地を倒置して,インキュベーター(6.2)中で 35  ℃又は 37  ℃

(

8

)で 24±2 時間培養する。その後,更に 24±2 時間培養する。

(

8

)

この温度は,関係者で合意を得るものとし,試験報告書に記載する。

9.4

適切な希釈段階の寒天平板培地の選定及び判定

9.4.1 24

±2 時間の培養後,定形コロニーが出現している場所に寒天平板培地の裏面から印を付けていく。

すべての寒天平板培地を 35  ℃又は 37  ℃で更に 24±2 時間培養し,

新たに出現した定形コロニーに印を付

ける。また,非定形コロニーにも印を付ける(

備考 1.)。

希釈しない液体製品を接種した寒天平板培地又は液体以外の製品の最も低倍の試料希釈液を接種した寒

天平板培地上に存在する定形及び/又は非定形コロニーは 15 個以上でなければならない(15 個未満の場

合は,9.4.3 及び 10.2 の方法で菌数が推定できる。

連続した 2 段階の希釈試料液で,出現したすべてのコロニーが 300 個以内(コアグラーゼ陽性ブドウ球

菌の定形コロニーを 150 個以内及び/又は非定形コロニーを 150 個以内を含む。

)の寒天平板培地だけ(

考 2.)を菌数測定のために選択する。コアグラーゼ確認試験(9.5)のためにコロニー個を選ぶ(一般に,


7

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定形コロニーだけである場合は定形コロニー5 個,非定形コロニーだけである場合は非定形コロニー5 個,

又は両型のコロニーが出現している場合は定形コロニー5 個及び非定形コロニー5 個を各寒天平板培地か

ら選ぶ。

備考1.  定形コロニーは,黒色又は灰色で,光沢があり,凸状の形態で,24 時間培養後の直径は 1∼

1.5 mm

,48 時間培養後の直径は 1.5∼2.5 mm であり,かつ周囲が透明帯となっている。少な

くとも 24 時間培養すると,乳白光を発するリングがコロニーに密着して,透明帯内に現れる

ことがある。

非定形コロニーとは,次のいずれかの形態を示すものをいう。

a) 

光沢のある黒色のコロニーで,細幅の白色縁をもつこともある。透明帯は存在しないか,

かろうじて見える程度である。乳白光を発するリングは存在しないか,ほとんど見えない。

b) 

透明帯のない,灰色のコロニー。

備考2.  ブドウ球菌以外に属する細菌で,ブドウ球菌に類似した外観をもつコロニーを形成するも

のがある。確認試験前に,グラム染色による顕微鏡試験によって,ブドウ球菌と他の菌群を

鑑別できる。

9.4.2 1.0

ml

の試料を 3 枚の小寒天平板培地上に塗布した場合(9.2.2 参照)

,以後の菌数測定方法及び確

認手順においては,これら 3 枚の寒天平板培地をひとまとめにして取り扱う。

9.4.3

コアグラーゼ陽性ブドウ球菌数が少ない場合,定形及び非定形コロニーを含むすべての寒天平板培

地を保管する。9.4.1 の条件を満たすすべての定形及び/又は非定形コロニーについて確認試験を行う。

9.5

確認試験(コアグラーゼ試験)  選択した各コロニー(9.4)の表面から菌体を取り,滅菌済みの白

金線(6.7)などでブレインハートインフュージョンブロス(5.4)の入った試験管に接種する。35  ℃又は

37

℃(

9

)で 24±2 時間培養する。ウサギ血しょう(5.5)0.3 ml(製造業者が異なる量を指定すればその量

による。

)の入った滅菌済みの試験管(6.5)に,この培養液 0.1 ml を無菌的に加え,35  ℃又は 37  ℃(

9

)

で培養する。4∼6 時間培養した後,試験管を傾けて血しょうが凝固しているかを調べる。試験結果が陰性

であれば,24 時間培養後に再試験する。体積の半分以上が凝固していれば,コアグラーゼ試験は陽性であ

るとみなす。各ロットの血しょうの陰性対照として,滅菌したブレインハートインフュージョンブロス

5.4)0.1 ml を推奨量のウサギ血しょう(5.5)に加え,菌を接種せずに培養したものを用いる。対照血し

ょうが凝固反応を示さなければ,試験は有効である。

備考 市販品を用いる場合は,製造業者の指定する方法による。

(

9

)

この温度は,関係者で合意を得るものとし,試験報告書に記載する。

10.

結果の表示

10.1

菌数が通常の場合

10.1.1

コアグラーゼ陽性ブドウ球菌数(a)の算出  算出は,寒天平板培地のそれぞれにおいて行う。コ

アグラーゼ陽性ブドウ球菌と確認された菌数(a)は,次の式によって算出する。

c

A

b

c

A

b

a

nc

nc

nc

c

c

c

×

+

×

=

ここで,

A

c

コアグラーゼ確認試験(9.5)の定形コロニー数


8

K3703-1:2004

A

nc

コアグラーゼ確認試験(9.5)の非定形コロニー数

b

c

コアグラーゼ陽性反応の定形コロニー数

b

nc

コアグラーゼ陽性反応の非定形コロニー数

c

c

寒天平板培地(9.4)上に出現した全定形コロニー数

c

nc

寒天平板培地(9.4)上に出現した全非定形コロニー数

数値は,四捨五入して整数とする。

10.1.2

試料のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数(N)の算出  連続した 2 段階の希釈試料液で,出現したす

べてのコロニーが 300 個以内(コアグラーゼ陽性ブドウ球菌の定形及び/又は非定形コロニーを 150 個以

内を含む。

)の寒天平板培地において,10.1.1 に従って各寒天平板培地のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数を

算出する。連続する 2 段階の希釈試料液から,次の式を用いて試料中に存在するコアグラーゼ陽性ブドウ

球菌数(N)の加重平均を算出する。

(

)

d

n

n

V

a

N

2

1

1

.

0

+

=

å

ここで,

å

選定した全寒天平板培地上に出現したコアグラーゼ陽性
ブドウ球菌の全コロニー数

V

各寒天平板培地への接種量(ml)

n

1

選定した希釈倍率の寒天平板培地数

n

2

n

1

に続く希釈倍率の寒天平板数

d

選定した試料希釈液(n

1

)の希釈率

算出結果は,四捨五入して有効数字 2 けたとする。

この結果を,1 ml 当たり(液体製品)又は 1 g 当たり(液体製品以外)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌

数とする。菌数は,1.0∼9.9 の数値に 10

x

は,整数を示す。

)を乗じた形で記述する。

10.1.3

例  ある製品について希釈液 0.1 ml を塗抹して菌数測定を行ったところ,次のような結果となった。

−  選定した試料希釈率(10

-2

)の寒天平板培地に出現したコロニー数:

定形コロニー:65 個及び 85 個並びに非定形コロニー:0 個

−  選定した希釈率に続く 10 倍希釈率(10

-3

)の寒天平板培地に出現したコロニー数:

定形コロニー:3 個及び 7 個並びに非定形コロニー:0 個

釣菌したコロニー数は,次による。

− 65 コロニーから 5 コロニーを取り,5 コロニーすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=65

を得た。

− 85 コロニーから 5 コロニーを取り,3 コロニーがコアグラーゼ陽性であったことから,a=51 を得た。

−  3 コロニーから 3 コロニーすべてをとり,そのすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=3 を

得た。

−  7 コロニーから 5 コロニーを取り,5 コロニーすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=7 を

得た。

272

57

10

22

.

0

7

3

51

65

2

=

×

+

+

+

=

N


9

K 3703-1

:2004

これを四捨五入し,5.7×10

4

(CFU/ml)(

10

)となった。

(

10

コロニー形成単位  [Colony Forming Unit (CFU)]

10.2

菌数が少ない場合の推定法

10.2.1

希釈しない液体製品を塗抹した寒天平板培地又は液体以外の製品の最も低倍の試料希釈液を塗抹

した寒天平板培地上に存在する定形及び/又は非定形コロニーが 15 個未満である場合,

菌数は次のように

算出する。

a) 

液体製品については,1 ml 当たりのコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数を次の式によって推定する。

2

e

×

=

å

V

a

N

ここで,

å

a

選定した全寒天平板培地上に出現したコアグラーゼ陽性
ブドウ球菌の全コロニー数(10.1.1

V

各寒天平板培地に塗抹した試料の量(ml)

b)

液体製品以外については,1 g 当たりのコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数を次の式によって推定する。

d

V

a

N

×

×

=

å

2

e

ここで,

å

a

選定した全寒天平板培地上に出現したコアグラーゼ陽性
ブドウ球菌の全コロニー数(10.1.1

d

試料懸濁液の希釈率

V

各寒天平板培地に塗抹した試料の量(g)

10.2.2

液体製品又は試料懸濁液(液体以外の製品)を塗抹した 2 枚の寒天平板培地のそれぞれにおいてコ

アグラーゼ陽性ブドウ球菌のコロニーが出現しない場合,

次のように結果を報告する

(塗抹量 0.1 ml の例)

− 1

ml

当たり(液体製品)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数は,10(CFU/ml)未満。

− 1 g 当たり(液体製品以外)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数は,10 /dは試料懸濁液の希釈率)

(CFU/g)未満。

試料 1 ml を塗抹した場合,次のように結果を推定し報告する。

− 1

ml

当たり(液体製品)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数は,1(CFU/ml)未満。

− 1

g

当たり(液体製品以外)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数は,1 /d(CFU/g)未満。

11.

精度  ISO 7218 参照

12.

試験報告書  試験報告書には次の事項を明記する。

−  製品を完全に特定するために必要な全情報

−  採用した試料の採取方法(判明している場合)

−  採用した試験方法

−  採用した培養温度


10

K3703-1:2004

−  この規格で規定していない操作又は任意の操作についての詳細及び試験結果に影響を及ぼす可能性の

ある事項についての詳細

−  得られた結果

参考文献

1

)  Baird-Parker,A.C. J. Appl. Bacteriol.,25(1),1962,pp. 12-19.

2

)  Kloos W.E., Systematics and the natural history of staphylococci. In: Staphylococci, J. Appl. Bacteriol. Symp. 

Suppl., 69,1990, pp. 25 - 37; and Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology, 9

th

 ed.,1994.

3

)  Smith,B.A. and Baird-Parker,A.C. J. Appl. Bacteriol.

27(1)

,1964,pp. 78-82.

4

)  Baird-Parker,A.C. The Staphylococci

  (ed. Cohen

,J.O.),Wiley-Interscience,New York,London,1972,

p. 11.


11

K 3703-1

:2004

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 3703-1

:2004  コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌など)の菌数測定

方法−第 1 部:ベアード・パーカー寒天培地

ISO 6888-1

:1999,食品及び動物用飼料の微生物試験−コアグラーゼ陽性ブドウ

球菌(黄色ブドウ球菌など)の菌数測定方法−第 1 部:ベアード・パーカー寒天

培地

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の項目ごと

の評価及びその内容 
  表示箇所:本体 
  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の

理由及び今後の対策

項目 
番号

内容

項目
番号

内容

項 目 ご と
の評価

技術的差異の内容

1.

適 用範

 

MOD/

追加

補足説明を追加。

除外規定を追加。

適用範囲の重要な補足説明のため

原国際規格の序文項目番号 0.1∼
0.3

の記述を適用範囲に移した。

工業標準化法の対象とならないも
のを除いた。

2.

引 用規

 

 2 

MOD/

追加  JIS K3703を追加。

原国際規格の序文項目番号 0.2 の

記述を適用範囲に移したため引用
規格とした。

3.

定義 

 3 

MOD/

追加  精製水を追加。

水の定義が記載されていないため
追記した。

4.

一 般原

 

 4 

IDT

5.

希 釈液

及び寒天
培地 

MOD/

削除

MOD/

追加

5.3.2.2

  卵黄液のアルコール

噴霧による火炎滅菌を削除。 

5.4.1

  表 5 に注を追加。

危険を伴う手順なので削除した。

BSE

を考慮し注を追加した。

6.

装 置及

びガラス 

6

MOD/

追加

6.1

及び 6.7 で,内容の概要を

追記。

原国際規格 に内容の 記載が なく

ISO

規格の参照だけである。参照


12

K3703-1:2004

器具 

ISO

規格の JIS 化を準備する。

7.

試 料の

採取 

IDT

8.

試 料の

調製 

IDT

9.

実 施手

 

MOD/

追加  9.5 の備考として市販品使用時

の注を追加。

市販品の使用を想定して注を追記
した。

10.

結 果

の表示 

10 

MOD/

追加

10.1.2

,10.1.3 及び 10.2.1 で単

位を追加した。

単位の記載がないため追記した。 

11.

精度 

11 

IDT

12.

試 験

報告書 

12 

IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  IDT………………  技術的差異がない。

    ―  MOD/削除………  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    ―  MOD/追加………  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    ―  MOD/変更………  国際規格の規定内容を変更している。

2. JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。

2

K 3703-1


0

000