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日本工業規格

JIS

 K

3604

-1990

組織培養用培地(最小必須培地)

Medium for tissue culture (minimum essential medium)

1.

適用範囲  この規格は,バイオテクノロジー関連分野において,動物組織・細胞を培養するときに用

いる粉末培地のうち,イーグルの開発した最小必須培地(以下,粉末培地という。

)の系統について規定す

る。

備考1.  この規格の引用規格は,付表1に示す。

2.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参

考として併記したものである。

2.

共通事項  化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050 による。

3.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211 及び JIS K 3600 によるほか,次のとお

りとする。

(1)

滅菌  対象物中のすべての微生物(ただし,ウィルスを除く。)を殺滅又は除去すること。

(2)

純水  再蒸留水又はそれに準じるもの。例えば逆浸透膜に通した水をイオン交換樹脂に通したもの,

イオン交換水を蒸留したものなど。

4.

種類及び組成

4.1

粉末培地の種類  粉末培地の種類は,組成及び滅菌の適性によって表 のとおりとする。

表 1  粉末培地の種類

種類

備考

ろ過滅菌用

アール系

高圧蒸気滅菌用

主として 5%二酸化炭素,残部空気相下で使用する目的で開
発されたアールの炭酸水素系緩衝液を用いて調製されるも
の。

ハンクス系 ろ過滅菌用

主として空気相下で使用する目的で開発されたハンクスの
りん酸系緩衝液を用いて調製されるもの。

ろ過滅菌用

浮遊細胞系

高圧蒸気滅菌用

カルシウム塩を添加せずに浮遊培養可能としたもの。

4.2

粉末培地の組成  粉末培地の組成は,表 のとおりとする。


2

K 3604-1990

表 2  粉末培地の組成(単位:mg/1 000ml)  (

1

)

アール系

ハンクス系

浮遊細胞系

成分

ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用 ろ過滅菌用

ろ過滅菌用

高圧蒸気滅菌用

*L-

アルギニン 105

01

[L-アルギニン塩酸塩] [126∼130]

*L-

シスチン 24

[L-シスチン二塩酸塩] [31∼32]

02

[L-システィン塩酸塩一水和物] [31∼32]

03 *L-

グルタミン 292

0

292

292

0

*L-

ヒスチジン 31

04

[L-ヒスチジン塩酸塩一水和物] [41∼42]

05 *L-

イソロイシン 52

06 *L-

ロイシン 52∼53

*L-

リジン 58

07

[L-リジン塩酸塩] [72∼74]

08 *L-

メチオニン 14∼15

09 *L-

フェニルアラニン 32∼33

10 *L-

スレオニン 47∼48

11 *L-

トリプトファン 10∼11

*L-

チロシン 36∼37

12

[L-チロシン二ナトリウム二水和

物]

[51

∼52]

13 *L-

バリン 46∼47

14 *D-

パントテン酸カルシウム 1.0

*

塩化コリン 1.0

15

[重酒石酸コリン] [1.8]

16 *

葉酸 1.0

17 *

イノシトール 2.0

18 *

ニコチン酸アミド 1.0

19 *

ピリドキサール塩酸塩 1.0

20 *

リボフラビン 0.1

21 *

チアミン塩酸塩 1.0

I

アミノ酸・ビタミン・糖類

22 *D-

グルコース 1

000

*

塩化カルシウム 200

140

0

01

[塩化カルシウム二水和物] [265]

[186] [0]

02 *

塩化カリウム 400

400

400

03 *

りん酸二水素カリウム 0

60

0

*

塩化マグネシウム六水和物 200

200

0

200

04

[塩化マグネシウム(無水)

] [96∼100]

[93

∼100] [0]

[93

∼118]

*

硫酸マグネシウム七水和物 0

200

0

05

[硫酸マグネシウム(無水)

] [0]

[97

∼98]

[0]

06 *

塩化ナトリウム

6 800

8 000

6 500

∼6 800

*

りん酸二水素ナトリウム二水和物 150

150

0

1500

1

500

[りん酸二水素ナトリウム一水和
物]

[140] [140]  [0]

[1

327

∼1 400]

[1 400]

07

[りん酸二水素ナトリウム(無水)

] [115∼122] [115]

[0]

[0]

[1

150]

*

りん酸水素二ナトリウム二水和物 0

60

0

II

無機塩類

08

[りん酸水素二ナトリウム(無水)

] [0]  [47∼48]

[0]


3

K 3604-1990

アール系

ハンクス系

浮遊細胞系

成分

ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用 ろ過滅菌用

ろ過滅菌用

高圧蒸気滅菌用

01

フェノールレッド

0

∼17

02

ビオチン 0

0

∼0.02 0

0

0

∼0.02

03

こはく酸ナトリウム六水和物 0

100

0 0  100

04

こはく酸 0

75

0

0

75

III

その他

05

カナマイシン

0

∼60

(

1

)

粉末培地を溶かして1 000ml としたときの濃度として示してある(処方量で示す。

備考1.  *印で示した成分をすべて含有しなければならない。  [  ]  の成分については,対応する*印で示した成分に代

えて使用可能である。

III

その他”

の組成には,

イーグルの発表した論文  [H. Eagle, Science 130, 432 “Amino Acid

Metabolism in Mammalian Cell Cultures” (1959)]

に記載のない成分も存在するが,その処方量,又はその処方量

幅記載の範囲で使用可能である。

2.

炭酸水素ナトリウムについては,必要量を添加して使用する。高圧蒸気滅菌用培地については,高圧蒸気滅
菌後冷却して滅菌炭酸水素ナトリウム溶液を加える。

3.

こはく酸及びこはく酸ナトリウム六水和物を含有する高圧蒸気滅菌の可能な粉末培地については,高圧蒸気

滅菌後滅菌 L−グルタミン溶液を別に添加する。

5.

品質  粉末培地の品質は,6.による試験を行ったとき表 の品質を満足しなければならない。

表 3  粉末培地の品質

項目

品質

試験方法

相対的コロニー形成率 (%)

60

以上

6.1.4 (A)

相対的細胞増殖率 (%)

50

以上

6.1.4 (B)

バイオアッセイ(

2

)

細胞増殖率(倍) 10 以上

6.1.4 (C)

重金属 (wt ppm)

20

以下

6.2

水分 (wt%)

2.0

以下

6.3

浸透圧(

3

)

(mOsm/kg) 240∼330

6.4

アール系 
浮遊細胞系

4.7

∼6.7

6.5

ろ過滅菌用

ハンクス系 6.0∼7.2

pH(

3

)

高圧蒸気滅菌用 3.9∼5.0

アミノ酸組成

組成で規定したもの

だけを定量すること

6.6

(

2

)

バイオアッセイは,相対的コロニー形成率,相対的細胞増殖率又は細胞増殖率のうち
いずれかとする。

(

3

)

所定濃度の水溶液としての品質を示す。浸透圧は水 1kg 当たりのミリオスム濃度で表
す。

6.

試験方法

6.1

バイオアッセイ  HeLa 細胞などが,培地の処方成分のうちどれを欠いても増殖できないことを利用

して培地の成分が処方どおりかどうか,更に,毒物の混入がないかどうかを試験する。

6.1.1

試薬,培地,血清及び動物細胞  試薬,培地,血清及び動物細胞は,次のとおりとする(

4

)

(1)

炭酸水素ナトリウム溶液  JIS K 8622 に規定する炭酸水素ナトリウム 75.0g に純水を加えて 1 000ml

とした溶液。

(2)  L-

グルタミン溶液  JIS K 9103 に規定する L-グルタミン 29.2g に純水を加えて 1 000ml としたもの。

(3)  L-

セリン  JIS K 9105 に規定するもの。

(4)

ビオチン  含量 99%以上のもの。


4

K 3604-1990

(5)

参照培地(

5

)

  あらかじめ,参照非透析血清を加えた培地で 6.1.4(A)のコロニー形成試験又は,6.1.4(B)

若しくは 6.1.4(C)の細胞増殖計測試験を行い,(A)の場合はコロニー形成率が 100%近いこと,(B)の場

合は増殖率が 60 倍以上,(C)の場合は増殖率が 10 倍以上であることを確かめたもの。

(6)

参照非透析血清(

6

)

  コウシ血清 (CS)(

7

)

又はウシ胎児血清 (FBS) (

8

)

。この血清をあらかじめ参照培地

に加えて調製した培地によって,6.1.4(A)のコロニー形成試験,又は 6.1.4(B)の細胞増殖計測試験を行

い,(A)の場合はコロニー形成率が 100%近いこと,(B)の場合は増殖率が 60 倍以上であることを確か

めたもの。

(7)

透析血清(

9

)

  血清を孔径 10 000(分子量)カットの透析膜に入れ,20 倍量の生理的食塩水 (8.5g/l)  を

外液として,48 時間透析(

10

)

し,グルコース濃度が 0.5mg/以下となるようにしたもの。次いでバイオ

アッセイとして,

表 のとおり,参照培地に添加物質を加え,  (a) , (b)  及び (c) の 3 群を作り,試験・

確認をする。

表 4  参照培地に添加する物質と試験・確認内容

添加物質

試験・確認内容

物質名

6.1.4(A)

の試験による平均

コロニー形成率 (APE)

6.1.4(B)

の試験による細胞

増殖率 (AGR)

(a)

参照非透析血清 10vol%

100%

近いこと 60 倍以上

透析血清 10vol%

(b)

L-

セリン 0.2mmol

(a)

の 60%以上 (a)の 50%以上

(c)

透析血清 10vol%

(a)

の 50%以下 (a)の 40%以下

(8)  HeLa S3

細胞  試験に支障のない品質のもの(

11

)

(9)  V

ERO

-317

細胞  試験に支障のない品質のもの(

12

)

(10)

ダルベッコ−りん酸緩衝生理的食塩水(以下,PBS という。)

(11)

カルシウム及びマグネシウムイオンを含まない PBS(以下,CMFPBS という。)

(12)

トリプシン液  トリプシンを CMF−PBS に溶かし,濃度 2.5g/若しくは 1.0g/としたもの,又はこれ

に準じるもの。

(13)

メタノール  JIS K 8891 に規定するもの。

(14)

ギムザ液

(

4

)  6.1.1(1)

(7)(10)(11)及び(12)は滅菌して使用する。

(

5

)

本品は粉末培地の性能試験の参照品として使用するもので,各粉末培地製造者は 6.1.1(5)の試験

で合格したものを厳密な管理下に保管する。

(

6

)

本品は 6.1.1(6)の試験で合格したものを厳密な管理下に保管する。

(

7

) Calf

Serum

の略

(

8

)  Fetal Bovine Serum

の略

(

9

)

ゲルろ過(例えば,Sephadex G 50)によって低分子画分を除いた血清でもよい。

また,市販の透析血清を用いてもよい。

(

10

)

この間 2 回外液を交換する。

(

11

)  JCRB (Japanese Cell Resource Bank)

,RCB (Riken Cell Bank) ,ATCC (American Type Culture

Collection)

などで提供するもの,又はそれと同等の品質のもの。

(

12

) JCRB, RCB

などで提供するもの,又はそれと同等の品質のもの。

6.1.2

器具及び装置  器具及び装置は,次のとおりとする。

(1)

培養容器  アール系及び浮遊細胞系の培地の場合は JIS K 0950 に規定する記号 60 のプラスチック製


5

K 3604-1990

シャーレを,ハンクス系の培地の場合はプラスチック製フラスコ(滅菌済みで培養面積 25cm

2

又は容

量 50ml のもの)を用いる。

(2)

インキュベータ  温度 37±0.5℃に調節できるもの。ハンクス系の培地の試験に用いる。

(3)

二酸化炭素インキュベータ  温度 37±0.5℃,二酸化炭素濃度が 5±1%,相対湿度がほぼ 100%を保持

できるもの。アール系及び浮遊細胞系の培地の試験に用いる。

(4)

ろ過滅菌器  孔径 0.1∼0.22

µm のメンブランフィルタを取り付け,ろ過滅菌できるもの。材質に適し

た滅菌を行っておく。

(5)

高圧蒸気滅菌器  JIS T 7322 若しくは JIS T 7324 に規定するもの,又はそれらと同等以上の性能をも

つもの。

(6)

実体顕微鏡  5∼100 倍に拡大できるもの。

(7)

クリーンベンチ  JIS K 3801 によって試験を行ったとき,捕集効率 99.99%以上の HEPA フィルタを備

えたもの。

(8)

血球計算板  JIS T 4204 に規定するフックスローゼンタール計算板。

(9)

顕微鏡  100 倍に拡大できるもの。

6.1.3

試験培地の調製  参照ロットと試験ロット,2 種類の培地を同時に調製する。1 000ml 分の粉末培

地をはかりとり,純水約 900ml を加えて,よくかき混ぜながら溶かす。この溶液に必要量の炭酸水素ナト

リウムを加え,更に,純水を加えて 1 000ml にする。溶解後,速やかにろ過滅菌し,密栓できる容器に小

分けする。保存は 2∼10℃の冷暗所とする。高圧蒸気滅菌用培地の場合は,試験ロットについてろ過滅菌

のほか,121℃,15 分間の高圧蒸気滅菌による試験培地も調製する。このとき,炭酸水素ナトリウム溶液,

L-

グルタミン溶液は高圧蒸気滅菌後添加する。

なお,6.1.4(C)の細胞増殖計測試験を行う場合は,ビオチンを終濃度 0.02mg/となるように加える。あら

かじめビオチンを含む処方の培地の場合は,この添加は必要ない。

6.1.4

操作方法  次の(A)(B)又は(C)の試験を行う。バイオアッセイはすべてクリーンベンチ内で無菌

下に行う。

(A)  HeLa S3

細胞によるコロニー形成試験

(1)  6.1.3

で調製した参照培地に参照非透析血清を 10vol%加えた群(a),試験培地に透析血清を 10vol%と L-

セリン 0.2mol を加えた群(b)と,試験培地に透析血清 10vol%加えた群(c)を作製する。培養容器各群 4

個に,5ml ずつそれぞれの培地を分注し,アール系又は浮遊細胞系の場合は二酸化炭素インキュベー

タに入れておく。ハンクス系の場合はプラスチック製フラスコを用い,分注後は密栓して 37℃に保っ

たインキュベータに入れる。

(2) HeLa S3

細胞を,トリプシン液 (2.5g/l)  を加えて,はく離させた後,試験培地でこれを希釈して細胞

濃度 1×10

3

個/ml の細胞浮遊液を作る。

(3)

培養容器をインキュベータから取り出し,細胞浮遊液の 100

µl を,先端の孔径が 1mm 以上あるチップ

(微量分注器用 200

µl チップの先端を切断して用いればよい。)又はピペットを用いて手早く各容器に

入れ,容器をよく振って細胞を均一に混ぜた後,インキュベータに戻す。プラスチック製フラスコは

密栓する。

(4) 10

日間培養する。PBS で洗い,メタノールで 5 分間固定後,ギムザ液で染色する(

13

)

(5)

各群の 50 個以上の細胞からなるコロニーを実体顕微鏡を用いて数え,各群の平均コロニー形成率

(APE)  (

14

)

を算出した後,相対的コロニー形成率  (RPE)  (

15

)

を計算する。平均コロニー形成率及び相対

的コロニー形成率は,次の式から算出する。


6

K 3604-1990

100

A

APE

 (1)

( )

100

%

×

C

B

RPE

 (2)

ここに,  A:  平均コロニー数 

B

(1)

(b)

又は

(c)

の APE

C

(1)

(a)

の APE

(

13

)

浮遊細胞系の場合,固定などの操作のとき,はく離しないよう慎重に取り扱う。

(

14

)

  absolute plating efficiency

の略

(

15

)

  relative plating efficiency

の略

(B)

HeLa S3

細胞による細胞増殖計測試験

(1)

6.1.4 (A) (1)

による。

(2)

6.1.4 (A) (2)

による。ただし,細胞浮遊液の細胞濃度を 1×10

4

個/ml とする。

(3)

6.1.4 (A) (3)

による。

(4)

  7

日間培養後,トリプシン液  (2.5g/l)  を加え,はく離させて細胞浮遊液を作り,血球計算板及び顕

微鏡を用い細胞数を計数する。

(5)

各群の平均細胞数を算出した後,細胞増殖率  (AGR)

(

16

)

及び相対的細胞増殖率  (RGR)

(

17

)

を計算する。

細胞増殖率及び相対的細胞増殖率は,次の式から算出する。

000

1

D

AGR

 (3)

( )

100

%

×

F

E

RGR

 (4)

ここに,  D:  平均細胞数 

E

(1)

(b)

又は

(c)

の AGR

F

(1)

(a)

の AGR

(

16

)

  absolute growth rate

の略

(

17

)

  relative growth rate

の略

(C)

V

ERO

-317

細胞による細胞増殖計測試験

(1)

6.1.3

で調製した参照培地にビオチンを最終濃度 0.02mg/になるように加えた群 (a) と,試験培地にビ

オチンを最終濃度 0.02mg/になるように加えた群 (b) を作製する。培養容器各群 4 個に,5ml ずつそ

れぞれの培地を分注し,アール系又は浮遊細胞系の場合は二酸化炭素インキュベータに入れておく。

ハンクス系の場合はフラスコを用い,分注後は密栓して 37℃に保ったインキュベータに入れておく。

(2)

  V

ERO

-317

細胞を,トリプシン液(1.0g/l)を加えて,はく離させた後,トリプシン活性を阻害するため透

析血清を 10vol%含む参照培地に浮遊させる。1 275m/s

2

 {130G}

で 3 分間遠心分離し,上澄みを捨てた

後,沈殿の細胞を CMF−PBS5ml に浮遊させる。再度遠心分離した後,上澄みを捨て,沈殿の細胞を

CMF

−PBS に再浮遊させ,細胞数を計数して 7.5×10

5

個/ml 液を作る。

(3)

6.1.4(B)(3)

による。

(4)

6.1.4(B)(4)

による。

(5)

6.1.4(B)(5)

による。


7

K 3604-1990

6.2

重金属

  試料溶液に含まれる重金属が硫化ナトリウム溶液によって呈する硫化物の色と鉛溶液が硫

化ナトリウム溶液によって呈する色とを比較することによって重金属を鉛に換算して表す。

6.2.1

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(1)

硫酸

JIS K 8951

に規定するもの。

(2)

硝酸

JIS K 8541

に規定する含量約 70%のもの。

(3)

塩酸

JIS K 8180

に規定するもの。

(4)

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液

JIS K 8201

に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム 15.0g を

500ml

の水に溶かしたもの。

(5)

酢酸 (1mol/l)

JIS K 8355

に規定する酢酸 6g に水を加えて 100ml としたもの。

(6)

鉛溶液 (0.1mgPb/ml)

JIS K 8563

に規定する硝酸鉛 0.160g を硝酸 (100g/l) 10ml に溶かし,全量フラ

スコ 1 000ml に入れ水を標線まで加えたもの。この液の調製及び保存には可溶性鉛塩を含まないガラ

ス器具を用いる。

(7)

鉛溶液 (10

µ

gPb/ml) 

  鉛溶液 (0.1mgPb/ml) 10ml を全量フラスコ 100ml にとり,水を標線まで加えた

もの。使用時に調製する。

(8)

鉛標準液 Pb 10  JIS K 0015

に規定する Pb 10。

(9)

硫化ナトリウム溶液

JIS K 8949

に規定する硫化ナトリウム 5g を水 10ml 及び

JIS K 8295

に規定する

グリセリン 30ml の混液に溶かしたもの。褐色瓶に保存し,調製後 3 か月以内に使用する。

6.2.2

器具

器具は,次のとおりとする。

(1)

るつぼ

  磁製のもの。

(2)

電気炉

  1 000℃まで使用できるもの。

(3)

デシケーター

JIS Z 0701

に規定する A 型のシリカゲルを乾燥剤としたもの。

(4)

沸騰水槽

(5)

比色管

図 1

に示すもの。

図 1  比色管の例

6.2.3

操作方法

  操作方法は,次のとおりとする。

(1)

電気炉(約 1 000℃)で 1 時間空焼きし,放冷したるつぼに試料 1.0g をはかりとる。

(2)

それに硫酸及び硝酸各 3 滴を加え,徐々に加熱し,なるべく低温で炭化又は揮散させた後,更に,500


8

K 3604-1990

∼600℃に強熱し,完全に灰化する。

(3)

デシケーター中で放冷した後塩酸 2ml を加え,るつぼを時計皿で覆い沸騰水槽上で 10 分間加熱溶解

する。時計皿を取り除き,蒸発乾固させる。

(4)

次に塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 10ml と酢酸 (1mol/l) 2ml を加え,沸騰水槽上で 5 分間加温し

た後,比色管の中に,

JIS P 3801

に規定する 3 種のろ紙によってろ過し,入れる。さらに,るつぼ,

ろ紙,漏斗を洗った水も比色管に入れ,水を加えて 50ml の試験液とする。

(5)

別に試料を入れないで,

(1)

(4)

の操作を行って比較液とする。ただし,比色管にはあらかじめ鉛溶液

(10

µgPb/ml)  又は鉛標準液 Pb10 を 2.0ml 入れておく。

(6)

(4)

で得られた試験液と

(5)

で得られた比較液に硫化ナトリウム溶液を 2 滴ずつ加えてそれぞれよく振

り混ぜる。

(7)

  5

分間放置後両管を白色の背景を用いて上方又は側方から観察して液の色を比較する。試験液の色が

比較液の色より薄い場合は試料中の重金属は鉛として 20wt ppm 以下である。

6.3

水分

  試料 2.0g をはかりとり,

JIS K 0113

8.

(カールフィッシャー滴定方法)によって水分を定

量する。

6.4

浸透圧

  試料溶液の氷点を測定することによって浸透圧を求める。

6.4.1

試薬及び装置

  試薬及び装置は,次のとおりとする。

(1)

浸透圧計校正用液(

18

)

  試料の浸透圧の値より低いものと高いものの,2 種類を調製する(試料の浸透

圧が約 300mOsm/kg と予想される場合は例えば 100 及び 500mOsm/kg)

JIS K 8150

に規定する塩化ナ

トリウムを恒量となるまで乾燥し,シリカゲルを乾燥剤としたデシケーター中で放冷する。

表 5

に示

す浸透圧に対応する塩化ナトリウム量を正確にはかりとり,20.0±0.1℃の水 1 000ml に溶かす。

なお,容器は密栓して室温に保存する。

表 5  浸透圧計校正用液の種類

浸透圧

氷点

水 1 000ml に溶解する塩化ナトリウム量

mOsm/kg

℃ g

100

−0.1858 3.097

200

−0.372 6.265

300

−0.557 9.468

400

−0.743 12.694

500

−0.929 15.932

750

−1.394 24.055

1 000

−1.858 32.126

(

18

)

市販の校正用液を用いてもよい。冷所に保存すると窒素,

酸素の溶解量が増えることによって,浸透圧が増加する
(0.5mOsm/kg 程度)

(2)

浸透圧計

  浸透圧計は,次の各項目を満足するものとし,その基本構成の例を

図 2

に示す。

(a)

測定範囲

  0∼1 000mOsm/kg

(b)

再現性

  ±2mOsm/kg

(c)

冷却槽

  −10℃まで冷却でき,設定温度±0.5℃で制御できるもの。


9

K 3604-1990

図 2  浸透圧計の基本構成(例)

6.4.2

操作方法

  操作方法は,次のとおりとする。

(1)

浸透圧計の電源を入れ,冷却槽の温度が十分下がってから校正及び測定を行う。

(2)

低値の校正用液を測定する。±2mOsm/kg を超える誤差がある場合はゼロ調整を行う。次に高値の校

正用液を測定する。±2mOsm/kg を超える誤差がある場合はスパンを調整する。

(3)

規定量の粉末培地を 0.01g のけたまではかりとり,水に溶かして 1 000ml とする。炭酸水素ナトリウ

ムは加えない。

(4)

調製した試料の一定量をとり,浸透圧を測定する

(

19

)(

20

)(

21

)(

22

)

(

19

)

測定時の試料溶液の量を一定にする。

また,異なる種類のセルを混用しない。

(

20

)

溶液の氷点は液量や容器に左右されない物理量ではあるが,熱の移動効率に差が生じることに

よって測定温度に誤差を与えるので溶液が揺れないようにする。

(

21

)

同一の試料溶液を再度測定するときは試料溶液の温度を室温まで戻してから行う。

(

22

)

試料溶液や校正用液が蒸発によって濃縮しないようにふたをする。

また,放置時間をなるべく短くする。

6.5

pH

  ガラス電極を用いた pH 計で試料溶液の pH を測定する。

6.5.1

試薬及び装置

  試薬及び装置は,次のとおりとする。

(1)

中性りん酸塩 pH 標準液

JIS K 0020

に規定するもの,

又は

JIS Z 8802

6.3

によって調製したもの。

(2)

フタル酸塩 pH 標準液

JIS K 0019

に規定するもの,又は

JIS Z 8802

6.3

によって調製したもの。

(3)

ほう酸塩 pH 標準液

JIS K 0021

に規定するもの,又は

JIS Z 8802

6.3

によって調製したもの。

(4)

pH

JIS Z 8802

に定める II 型のもの。

6.5.2

操作方法

  操作方法は,次のとおりとする。

(1)

所定量の粉末培地を 0.01g のけたまではかりとり,水にとかして 1 000ml にする。この場合炭酸水素

ナトリウムは加えない。

(2)

JIS Z 8802

によって pH 計の校正を行う。

(3)

試料溶液の一定量をとり

JIS Z 8802

によって pH を測定する。

6.6

アミノ酸組成

培地中に含まれるアミノ酸を高速液体クロマトグラフ又はアミノ酸分析計を用いて

検出する。

6.6.1

試薬及び装置

  試薬及び装置は,次のとおりとする。

(1)

塩酸 (0.02mol/l)

JIS K 8180

に規定する塩酸 1.8ml に水を加え 1 000ml としたもの。

(2)

アミノ酸分析仕様の高速液体クロマトグラフ

(3)

溶離液

  分析計の種類に適した溶離液を用いる。


10

K 3604-1990

6.6.2

一般事項

  高速液体クロマトグラフを用いて分析する場合の一般事項は,

JIS K 0124

による。

6.6.3

操作方法

操作方法は,次のとおりとする。

(1)

試料の調製(一例)

  試料 500mg

(

23

)

を塩酸 (0.02mol/l)

(

24

)

に溶かして 50ml とする(ニンヒドリン法)

(

23

)

検出を蛍光法で行うときは試料の濃度をおよそ10分の1にする。

(

24

)

塩酸 (0.02mol/l)  の代わりに最初に流す溶離液を用いてもよい。

(2)

分析条件

  分析条件は機器によって異なるので各機器についての最適条件で行わなければならない。

次にその例を示す(

表 6

表 7

参照)

(a)

試料の注入量

  10

µl

(b)

カラム用管

  内径 4.6mm,長さ 60mm

(c)

カラム充てん  ()  

  強酸性陽イオン交換樹脂 (3

µm)

(d)

溶離液

  B1∼B5 の 5 種類

(e)

カラム温度

  32∼70℃(保持時間によって異なる)

(f)

流速

  0.35ml/min(各保持時間同一)

表 6  溶離液の例

溶離液の種類

B1 B2 B3 B4 B5

くえん酸リチウム四水和物

5.73g 9.80g 8.79g 9.80g

塩化リチウム 1.24g

6.36g

26.62g

38.16g

くえん酸一水和物 19.90g

12.00g

11.27g

3.30g

水酸化リチウム

− 8.40g

エタノール 30.0ml

30.0ml

10.0ml

− 30.0ml

チオジグリコール

5. 0ml

5. 0ml

ベンジルアルコール

− 3.0ml −

ポリオキシエチレンラウリルエーテル 
−35 (25g/100mlH

2

O)(

25

)

4.0ml 4.0ml 4.0ml 4.0ml 4.0ml

蒸留水を加えた後の溶離液の全量

1 000ml

1 000ml

1 000ml

1 000ml

1 000ml

pH

2.8 3.7 3.6 4.1

(

25

) BRIJ


11

K 3604-1990

表 7  分離条件の例

保持時間

溶離液(全体で 100%)

カラムの温度

流速

min  B1 B2 B3 B4 B5

℃ ml/min

0.0 38

10.0

17.9

100

  0

  0

  0

  0

18.0

 80

 20

  0

  0

  0

32

20.5

31.5

 70

 30

  0

  0

  0

31.6

52

39.0

43.0

 10

 90

  0

  0

  0

43.1

45

49.0

  0

100

  0

  0

  0

49.1

70

67.0

76.0

  0

  0

100

  0

  0

76.1

45

92.0

107.0

  0

  0

  0

100

  0

107.1

120.0

  0

  0

  0

  0

100

70

120.1

150.0

100

  0

  0

  0

  0

38

0.35

(3)

クロマトグラムの例(

26

)

(2)

で示した分析条件によるクロマトグラムの例を

図 3

に示す。


12

K 3604-1990

図 3  クロマトグラムの例

(

26

)

高圧蒸気滅菌用培地であるため L-グルタミンを含まない。

7.

表示

  容器には次の事項を表示しなければならない。

(1)

名称,種類

(2)

ロット番号

(3)

最終使用年月(

27

(4)

製造業者名

(5)

組成(

28

)(

29

(6)

調製法(

28

(7)

保存条件

(

27

)

製造年月日及び有効期間が併記してあれば省略できる。

(

28

)

カタログ又は取扱説明書の中に記載してもよい。

(

29

)

イーグルの MEM に関する論文と大幅に異なる成分を添加している場合にはその旨を明記する

こと。


13

K 3604-1990

付表 1  引用規格

JIS K 0015

  鉛標準液

JIS K 0019

  フタル酸塩 pH 標準液

JIS K 0020

  中性りん酸塩 pH 標準液

JIS K 0021

  ほう酸塩 pH 標準液

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0113

  電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則

JIS K 0124

  高速液体クロマトグラフ分析のための通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0950

  プラスチック製滅菌シャーレ

JIS K 3600

  バイオテクノロジー用語

JIS K 3801

  除菌用 HEPA フィルタのエアロゾル捕集性能試験方法

JIS K 8150

  塩化ナトリウム(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8201

  塩酸ヒドロキシルアミン(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8355

  酢酸(試薬)

JIS K 8541

  硝酸(試薬)

JIS K 8563

  硝酸鉛(試薬)

JIS K 8622

  炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)

(試薬)

JIS K 8891

  メタノール(メチルアルコール)

(試薬)

JIS K 8949

  硫化ナトリウム(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 9103

  L-グルタミン(試薬)

JIS K 9105

  L-セリン(試薬)

JIS P 3801

  ろ紙(化学分析用)

JIS T 4204

  血球計

JIS T 7322

  医療用高圧蒸気滅菌装置

JIS T 7324

  医療用小形高圧蒸気滅菌器

JIS Z 0701

  包装用シリカゲル乾燥剤

JIS Z 8802

  pH 測定方法


14

K 3604-1990

解説表

1

組織培養用培地(最小必須培地)工業標準新規原案作成委員会

(敬称略,順不同)

氏名

所属

◎○

梅  田      誠

横浜市立大学木原生物学研究所

増  田      優

通商産業省基礎産業局バイオインダストリー室

細  川  幹  夫

工業技術院標準部繊維化学規格課

杉  江  牧  子

工業技術院微生物工業技術研究所細胞機能部機能制御研究室

鈴  木  正  信

通商産業省通商産業検査所科学部試薬課

大  野  忠  夫

理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センタージーンバンク室

栗  原      力

財団法人化学品検査協会化学標準センター

青  木  幹  男

味の素株式会社開発企画室

天  本  十四郎

大正製薬株式会社総合研究所応用生物研究室

笹  川      滋

日本赤十字社中央血液センター研究部研究一課

飯  塚  雅  彦

株式会社バイオマテリアル研究所

加  納  義  明

株式会社ミドリ十字中央研究所蛋白免疫研究部

松  村  外志張

明治乳業株式会社ヘルスサイエンス研究所老化栄養学研究室

伊  井  一  夫

岩城硝子株式会社中山工場組織培養研究室

宿  谷      譲

栄研化学株式会社渉外部

渡  辺  敏  夫

ギブコ・オリエンタル株式会社企画部学術課

山  田  倫  久

極東製薬工業株式会社開発部

萩  田  慶  一

大日本製薬株式会社ラボラトリープロダクツ部開発学術課

梶岡実雄(前半)  日水製薬株式会社中央研究所

中家  茂(後半)  日水製薬株式会社開発研究部

事務局  内  田  惠  博

財団法人バイオインダストリー協会

関係者  浦  野  四  郎

工業技術院標準部繊維化学規格課

飯  嶋  啓  子

工業技術院標準部繊維化学規格課

松  本  満  男

通商産業省基礎産業局バイオインダストリー室

◎委員長  ○分科会委員兼任


15

K 3604-1990

化学分析部会  バイオテクノロジ−専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

鈴  木  周  一

埼玉工業大学工学部

川  瀬      晃

工業技術院化学技術研究所化学標準部

山  内  愛  造

工業技術院繊維高分子材料研究所素材合成部

太  田  隆  久

東京大学農学部

遠  藤      勲

理化学研究所化学工学研究室

大  熊  道  雄

横浜国立大学工学部

増  田      優

通商産業省基礎産業局

長  沢  勝  利

財団法人バイオインダストリー協会

白  木      勝

工業技術院微生物工業技術研究所

細  川  幹  夫

工業技術院標準部

角  田      勝

三菱化成株式会社ライフサイエンス室

三  木  敬三郎

東亜燃料工業株式会社基礎研究所

池  永      裕

キリンビール株式会社研究開発部

安  田  武  夫

ライフエンジニアリング株式会社

西  野  賢  貴

東レ株式会社東京本社研究開発企画部

坂  田      衞

株式会社島津製作所東京分析センター計測事業本部

島  田  光太郎

合同酒精株式会社研究開発部

仲      恭  寛

天野製薬株式会社研究開発部

中  島  和  男

宝酒造株式会社バイオインダストリー部

倉  林      肇

住友ベークライト株式会社医療機器事業部

緒田原  蓉  二

株式会社日立製作所システム事業部

(事務局)

吉  村  大  輔

工業技術院標準部繊維化学規格課

山  本  健  一

工業技術院標準部繊維化学規格課