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K 2541-3

:2003

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 2541-3

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)燃焼管式酸素法

JIS K 2541

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 2541-1 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 1 部:酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴

定法

JIS K 2541-2 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 2 部:微量電量滴定式酸化法

JIS K 2541-3 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 3 部:燃焼管式空気法

JIS K 2541-4 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 4 部:放射線式励起法

JIS K 2541-5 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 5 部:ボンベ式質量法

JIS K 2541-6 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 6 部:紫外蛍光法

JIS K 2541-7 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 7 部:波長分散蛍光 X 線法(検量線法)


K 2541-3

:2003

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  試験の原理

2

4.

  試薬

2

5.

  試験器

3

6.

  試料の採取方法及び調製方法

7

7.

  試験の手順

7

7.1

  試験の準備

7

7.2

  試料のはかり採り

8

7.3

  燃焼

8

7.4

  停止

9

7.5

  滴定

9

7.6

  空試験

9

8.

  計算方法

9

9.

  精度

10

10.

  試験結果の報告

10

附属書(参考)燃焼管式酸素法

11

 


日本工業規格

JIS

 K

2541-3

:2003

原油及び石油製品−硫黄分試験方法

第 3 部:燃焼管式空気法

Crude oil and petroleum products

−Determination of sulfur content

Part 3: Quartz-tube combustion method (Air method)

1.

適用範囲  この規格は,原油,軽油及び重油で硫黄分が 0.01 質量%以上を燃焼管式空気法によって定

量する方法について規定する。

備考1.  次のものを含む,添加剤入り試料には適用できない。

a)

不溶性硫酸塩を生成する金属(バリウム,カルシウムなど)

b)

燃焼して酸を生成する元素(リン,窒素,塩素)

2.

この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて

にわたって  規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切

な安全上及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。

参考  この規格群には,参考表 に示す試験方法がある。

参考表  1  試験方法の種類

規格群

試験方法の種類

適用油種(例)

測定範囲

K 2541-1 

酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴
定法

自動車ガソリン,灯油,軽油

1

∼10 000 質量 ppm

K 2541-2 

微量電量滴定式酸化法

自動車ガソリン,灯油,軽油

1

∼1 000 質量 ppm

K 2541-3 

燃焼管式空気法

原油,軽油,重油 0.01 質量%以上

附属書(参考)燃焼管式酸素法

K 2541-4 

放射線式励起法

原油,軽油,重油 0.01∼5 質量%

K 2541-5 

ボンベ式質量法

原油,重油,潤滑油 0.1 質量%以上

附属書(規定)

誘導結合プラズマ発光法

潤滑油 0.05 質量%以上

K 2541-6 

紫外蛍光法

自動車ガソリン,灯油,軽油

3

∼500 質量 ppm

K 2541-7 

波長分散蛍光 X 線法(検量線法)

自動車ガソリン,灯油,軽油

5

∼500 質量 ppm

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1601

  指示熱電温度計

JIS C 1602

  熱電対

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

JIS K 1101

  酸素

JIS K 2251

  原油及び石油製品−試料採取方法

JIS K 2601

  原油試験方法


2

K 2541-3

:2003

JIS K 2839

  石油類試験用ガラス器具

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

JIS K 8102

  エタノール(95)

(試薬)

JIS K 8230

  過酸化水素(試薬)

JIS K 8517

  二クロム酸カリウム(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8896

  メチルレッド(試薬)

JIS K 8897

  メチレンブルー(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS Q 0034

  標準物質生産者の能力に関する一般要求事項

JIS Q 0035

  標準物質の認証−一般的及び統計学的原則

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

3.

試験の原理  950∼1 100  ℃に加熱した石英製燃焼管中に空気を導入して試料を燃焼させる。生成した

硫黄酸化物を過酸化水素水(3  %)に吸収させて硫酸とし,この硫酸を水酸化ナトリウム標準液で中和滴

定して硫黄分を求める。

4.

試薬  試薬は,次による。

a)

過酸化水素水(3  %)  JIS K 8230 に規定する過酸化水素水(30  %)1 容に 9 容の水を加えたもの。

この溶液は褐色瓶に入れて保存する。

b)  0.05 mol/L 

水酸化ナトリウム標準液  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム約 2 g を水に溶かして

1 000 mL

としたもの。褐色瓶に入れソーダ石灰を詰めた保護管を付けて,空気中の二酸化炭素が吸収

されないようにして保存する。

この溶液の標定は,次によって行う。

1)  JIS K 8005

に規定する乾燥したスルファミン酸 1∼1.25 g を 0.1 mg のけたまではかり採り,全量フ

ラスコ 250 mL を用いて  水で標線まで薄める。

2)  1

)で調製したスルファミン酸溶液 25 mL を全量ピペットで三角フラスコに採り,JIS K 8001 に規

定するブロムチモールブルー指示薬溶液を用いて水酸化ナトリウム溶液で滴定する。溶液が黄から

青に変わった点を終点とし,滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量から,次の式によって水酸化

ナトリウム標準液のモル濃度を算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅 0.000 1 に丸める。

V

A

N

030

.

1

=

ここに,

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

A

:  スルファミン酸のはかり採り量(g)

V

:  滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量(mL)

備考  硫黄分の少ない試料の場合は,0.02 mol/L 水酸化ナトリウム標準液を用いる。


3

K 2541-3

:2003

c)

混合指示薬(

1

)

  次の 2 種類の溶液を等量ずつ混合したもの。この混合指示薬は褐色瓶に入れて保存す

るが,1 週間以上経過したものを使用してはならない。

注(

1

)

混合指示薬の代わりにメチルパープルの 0.1  %溶液を用いてもよい。

1)

JIS K 8896

に規定するメチルレッド 0.125 g を JIS K 8102 に規定するエタノール(95)100 mL に溶

かしたもの。

2)

JIS K 8897

規定するメチレンブルー0.083 g を JIS K 8102 に規定するエタノール(95)100 mL に溶

かしたもの。

d)

活性炭  粒状活性炭とする。

e)

硫酸(11)  水 50 mL に JIS K 8951 に規定する硫酸 50 mL を加えたもの。

なお,硫酸を加える時は,水をかき混ぜながら徐々に行う。

f)

水酸化ナトリウム溶液  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム 30 g を水 100 mL に溶かしたもの。

g)

硫黄分認証標準物質  JIS Q 0034 及び JIS Q 0035 に従って認証されたもの。

参考  社団法人石油学会から供給されている。

h)

水  JIS K 0557 に規定した A3 のもの。

5.

試験器  試験器は,次による。

a)

試験器の構成  試験器は,1)∼11)からなり,その構成の一例を図 に示す。

単位  mm

  1  燃焼管空気法試験器構成の一例

1)

燃焼管  透明石英ガラス製で図 に示す形状及び寸法のもの(

2

)

注(

2

)  JIS K 2839

に規定する

図 154 のものが相当する。


4

K 2541-3

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単位  mm

a

球面すり合わせ

b

)テーパすり合わせ

  2  燃焼管

2)

吸収管  上部吸収管及び下部吸収管からなり JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で図 

示す形状及び寸法のもの(

3

)

注(

3

)  JIS K 2839

に規定する

図 64 及び図 79 のものが相当する。


5

K 2541-3

:2003

単位  mm

  3  吸収管

3)

トラップ  JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で吸収管と共通すり合わせで接続可能なも

の。その一例を

図 に示す(

4

)

注(

4

)  JIS K 2839

に規定する

図 65 のものが相当する。


6

K 2541-3

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単位  mm

  4  トラップ(一例)

4)

アダプタ  JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で  燃焼管及び吸収管と共通すり合わせで

接続可能なもの。その一例を

図 に示す(

5

)

注(

5

)  JIS K 2839

に規定する

図 156 が相当する。

単位  mm

                    a)球面すり合わせ                          b)テーパすり合わせ

  5  アダプタ(一例)

5)

栓  JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で  燃焼管と共通すり合わせで接続可能なもの。そ

の一例を

図 に示す(

6

)

注(

6

)  JIS K 2839

に規定する

図 155 が相当する。


7

K 2541-3

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単位  mm

  6  栓(一例)

6)

空気洗浄装置  次のものを図 に示す順番で連結したもの。

6.1)

活性炭用瓶  JIS R 3503 に規定する図 69 のもの。

6.2)

空瓶  容量 1 L 以上で外径 8 mm の接続管をもつもの。

6.3)

洗浄瓶  JIS R 3503 に規定する図 48 のもの(共通すり合わせろ過板付きガス洗浄瓶 250 mmG1 が

望ましい。

7)

電気炉(固定)  炉内温度を測定するための温度計(

7

)

を備え,燃焼管を 950∼1 200  ℃の温度に保つ

ことができるもの。

なお,電気炉(固定)長さは,約 210 mm が適切である。

注(

7

)

温度計は,JIS C 1601 に規定する 2.0 級以上の指示熱電温度計と,JIS C 1602 に規定する白金ロ

ジウム−白金(PR)の 0.4 級又は 0.5 級の熱電対からなる。

8)

電気炉(移動)(

8

)

  炉内温度を測定するための温度計(

7

)

を備え,燃焼管を常用 500∼600  ℃,最高

800

∼900  ℃に加熱することができるもの。

注(

8

)

ガスバーナを用いてもよい。

9)

流量計  毎分 2 300∼3 000 mL の空気流量を測定できるもの。

10)

ボート  試料容器として用いるボートは磁製又は石英製で燃焼管に挿入できる表 に示す寸法のも

の。

  1  ボート

単位  mm

高さ

長さ

10

∼14 8∼11 60∼80

11)

吸引ポンプ  空気を 5 000 mL/min 以上吸引できるもの。

6.

試料の採取方法及び調製方法  試料の採取方法及び調製方法は,次による。

a)

試験用試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,又はそ

れらに準じた方法によって採取及び調製する。

7.

試験の手順  試験の手順は,次による。

7.1

試験の準備

a)

空気洗浄装置の瓶に活性炭,硫酸(1+1)

,水酸化ナトリウム溶液及び水を約 100 mL ずつ

図 に示す

配列の順番に入れる。


8

K 2541-3

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備考  水が中性であることの確認のために水にフェノールフタレン指示薬を加えておき,赤に着色し

た(中性からアルカリ性に変化)ときに水を取り替える。

b)

空気洗浄装置と流量計及び栓を接続する。

c)

電気炉(固定)のスイッチを入れ,電気炉(固定)の温度を 950∼1 100  ℃にする。

d)

下部吸収管にアダプタ及び上部吸収管を取り付けた後,アダプタと燃焼管のすり合わせ部から空気漏

れがないように注意してはめ込み,止め金具で止める。

e)

栓を燃焼管に接続し,吸引ポンプを作動させて毎分 2 500±100 mL の割合で空気を吸引できるように

流量調製コックを調節する。

f)

あらかじめ中和した過酸化水素水(3  %)(

9

)

を下部吸収管に 35 mL,上部吸収管に 15 mL 採った後,

トラップを接続する。

注(

9

)

過酸化水素水の中和は,次のようにして行う。

過酸化水素水(3  %)を三角フラスコに採り,これに混合指示薬 4 滴又は 5 滴を加える。溶

液が赤紫を呈したならば,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム標準液を用いて薄い灰青となるまで滴

定,中和する。ただし,指示薬にメチルパープルを用いた場合は,紫から灰青に変化するまで

滴定する。

7.2

試料のはかり採り  試料をあらかじめ十分に空焼き(例えば,700∼900  ℃で 3 時間以上)したボー

トに適切量(

10

)

入れ,0.1 mg のけたまではかる。

注(

10

)

試料のはかり採り量は,硫黄分概略値及び水酸化ナトリウム標準液のモル濃度に応じて次の式

によって算出する。ただし,0.1∼1.0 g の範囲を超えてはならない。

E

8

S

N

M

=

ここに,

M

:  試料のはかり採り量(g)

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

S

E

:  硫黄分概略値(質量%)

備考  原油など軽質分を含む試料は,試料のはかり採りを速やかに行うとともに,はかり採り後,直

ちに燃焼管に入れる。

7.3

燃焼

a)

電気炉(固定)の温度が 950∼1 100  ℃,空気流量が毎分 2 500±100 mL であることを確認した後,栓

を燃焼管から外して試料の入ったボートを燃焼管の栓側から約 200 mm 奥の位置に入れ,直ちに栓を

燃焼管に接続する。

b)

電気炉(移動)のスイッチを入れ,燃焼管の栓側の端から電気炉(移動)を徐々に移動させながら燃

焼管を加熱する。この際,試料に着火しないように,また,吸収管に青い煙が出ないように加熱速度

及び移動速度を調節する。

c)

ボート内や燃焼管内壁に付着した試料がなくなった後(

11

)

,更に 10 間分ボートを強熱(800∼900  ℃)

して,試料を完全に燃焼させる(

12

)

注(

11

)

ここまでの加熱時間は 30 分ぐらいが望ましいが,試料の量を多くしたり,試料の性状によって

はこの時間内で終了させることが困難となるので,多少加熱時間を延長するとよい。

(

12

)

燃焼管の両端又は吸収管の下部に未燃焼試料やすすが認められた場合は,汚れた部分を清浄に

した後,試験をやり直す。


9

K 2541-3

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7.4

停止  燃焼が終了後ポンプを止め,燃焼管とアダプタとの接続を切り離す。下部吸収管からアダプ

タ,トラップを取り外し,内側を少量の水で数回洗い,その洗液を下部吸収管に入れる。上部吸収管の吸

収液を下部吸収管に移した後,下部吸収管から取り外し,内側を少量の水で数回洗い,その洗液を下部吸

収管に集め,これを滴定溶液とする。三角フラスコで滴定する場合は滴定溶液を三角フラスコに入れ,ト

ラップ,上部吸収管及び下部吸収管の洗液は三角フラスコに入れる。

7.5

滴定  滴定溶液に混合指示薬を 5 滴又は 6 滴加え 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム標準液で滴定し(

13

)

薄い赤紫から薄い灰青になった点を終点とする(

14

)

。さらに,1 滴を加えると緑に変わることで終点の確認

ができる。

注(

13

)

滴定に用いるビュレットは容量 10 mL のもので,目量 0.05 mL 以下のものが望ましい。

(

14

)

指示薬にメチルパープルを用いた場合は,紫から灰青に変化するまで滴定する。

7.6

空試験  試料及びボートを用いないで 7.17.37.4 及び 7.5 と同じ操作を行う。

8.

計算方法  計算方法は,次による。

硫黄分は次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸め幅 0.01 に丸める。

M

V

V

N

S

)

(

603

.

1

0

=

ここに,

S

:  硫黄分(質量%)

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

V

:  試料の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

V

0

:  空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

M

:  試料のはかり採り量(g)

備考1.  試験結果の点検  試験結果の真度(偏り)の点検は,硫黄分認証標準物質を用い,硫黄分を

測定し,試験結果と標準値の差が認証標準物質の標準偏差の 3 倍以内であることを確認する。

これを超えた場合は,試験器,試薬,試験の手順を点検した後,再度硫黄分認証標準物質の

測定を行う。

2.

塩素分の補正方法  原油の場合は次の操作によって塩素分の補正を行うことができる。

a)

7.5

の滴定操作終了後の溶液をビーカ 200 mL に移す。下部吸収管内又は三角フラスコを

水で洗浄し,その洗液も合わせる。

この溶液に過酸化水素水(30  %)1 mL 及び濃硝酸 3 mL を加え,指示薬の色が無色透

明になるまで煮沸した後,室温まで放冷する。この溶液を滴定用ビーカにアセトン 50 mL

を用いて洗い移し,硝酸銀標準液で電位差滴定するか,又は共栓付き三角フラスコに水

を用いて洗い移し,硝酸銀標準液及びチオシアン酸カリウム標準液で指示薬滴定する。

装置,指示薬及び滴定操作は,JIS K 2601 に規定する塩分試験方法(滴定法)に準じて

行う(

15

)

なお,空試験は 7.5 の滴定操作終了後の溶液について,上記と同様の操作を行う。

注(

15

)

滴定に用いる硝酸銀及びチオシアン酸カリウムの標準液は,塩素量に応じて適切

な濃度のものを調製する。

3.

次の式によって硫黄分を算出する。

1)

電位差滴定の場合

M

V

V

N

V

V

N

S

)]

(

)

(

[

603

.

1

R

S

2

0

1

=


10

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2)

指示薬滴定の場合

M

v

v

N

V

V

N

V

V

N

S

)]

(

)

(

)

(

[

603

.

1

R

S

3

R

S

2

0

1

+

=

ここに,

S

:  硫黄分(質量%)

N

1

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

N

2

:  硝酸銀標準液のモル濃度(mol/L)

N

3

:  チオシアン酸カリウム標準液のモル濃度(mol/L)

V

:  試料の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

V

0

:  空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

V

S

:  試料(7.5)の滴定操作終了後の溶液の滴定に要した硝酸銀標

準液の量(mL)

V

R

:  空試験(7.6)の滴定操作終了後の溶液の滴定に要した硝酸銀

標準液の量(mL)

v

S

:  試料(7.5)の滴定操作終了後の溶液の滴定に要したチオシア

ン酸ナトリウム標準液の量(mL)

v

R

:  試料(7.6)の滴定操作終了後の溶液の滴定に要したチオシア

ン酸ナトリウム標準液の量(mL)

M

:  試料のはかり採り量(g)

9.

精度  精度は,次による。

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率 0.95)は,次による。

備考  試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6 によって処理する。

a)

室内併行精度  同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間に同一試料を 2 回試験

したとき,試験結果の差の許容差を

表 に示す。

b)

室間再現精度  異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験して

求めた 2 個の試験結果の差の許容差を

表 に示す。

  2  精度

単位  質量%

室内併行許容差

室間再現許容差

0.01

+0.01X 0.01+0.03X

備考  表中の は,試験結果の平均値である。

10.

試験結果の報告  試験の結果には次の事項を記載する。

a)

試料の名称,採取場所及び採取年月日

b)

日本工業規格番号:JIS K 2541-3

c)

8.

によって得られた結果

d)

特記事項


11

K 2541-3

:2003

附属書(参考)燃焼管式酸素法

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規格の一部ではない。

1.

適用範囲  この附属書は,原油,軽油及び重油で硫黄分が 0.01 質量%以上を燃焼管式酸素法によって

定量する方法について規定する。

備考1.  次のものを含む添加剤入り試料には適用できない。

a)

不溶性硫酸塩を生成する金属(バリウム,カルシウムなど)

b)

燃焼して酸を生成する元素(リン,窒素,塩素)

2.

この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて

にわたって  規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切

な安全上及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。

参考  この試験方法は,固体燃料中の硫黄分試験方法を参考にして試験器,試薬など共用できるよう

にしたもので日本独自の方法である。

2.

引用規格  引用規格は,本体 2.による。

3.

試験の原理  1 150∼1 200  ℃に加熱した石英製燃焼管中に酸素を送入して試料を燃焼させる。生成し

た硫黄酸化物を過酸化水素水(1  %)に吸収させて硫酸とし,この硫酸を水酸化ナトリウム標準液で中和

滴定して硫黄分を求める。

4.

試薬  試薬は,次による。

a)

過酸化水素水(1  %)  JIS K 8230 に規定する過酸化水素水(30  %)35 mL に水を加え,全量 1 000 mL

としたもの。この溶液は,褐色瓶に入れて保存する。

b)  0.05 mol/L 

水酸化ナトリウム標準液  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム約 2 g を水に溶かして

1 000 mL

としたもの。褐色瓶に入れソーダ石灰を詰めた保護管を付けて,空気中の二酸化炭素が吸収

されないようにして保存する。

この溶液の標定は,次によって行う。

1)  JIS K 8005

に規定する乾燥したスルファミン酸 1∼1.25 g を 0.1 mg のけたまではかり採り,全量フ

ラスコ 250 mL を用い水で希釈して全量を 250 mL とする。

2)  1

)で調製したスルファミン酸溶液 25 mL を全量ピペットで三角フラスコに採り,JIS K 8001 に規

定するブロムチモールブルー指示薬溶液を用いて水酸化ナトリウム溶液で滴定する。溶液が黄から

青に変わった点を終点とし,滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量から,次の式によって水酸化

ナトリウム標準液のモル濃度を算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅 0.000 1 に丸める。

V

A

N

030

.

1

=

ここに,

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

A

:  スルファミン酸のはかり採り量(g)


12

K 2541-3

:2003

V

:  滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量(mL)

備考  硫黄分の少ない試料の場合には,0.02 mol/L 水酸化ナトリウム標準液を用いる。

c)

混合指示薬(

1

)

  次の 2 種類の溶液を等量ずつ混合したもの。この混合指示薬は褐色瓶に入れて保存す

るが,1 週間以上経過したものを使用してはならない。

注(

1

)

混合指示薬の代わりにメチルパープルの 0.1  %溶液を用いてもよい。

3)  JIS K 8896

に規定するメチルレッド 0.125 g を JIS K 8102 に規定するエタノール(95)100 mL に溶

かしたもの。

4)  JIS K 8897

に規定するメチレンブルー(2 水塩)0.083 g を JIS K 8102 に規定するエタノール(95)

100 mL

に溶かしたもの。

d)

酸素  JIS K 1101 に規定するもの。

e)

クロム酸混液(

2

)

  JIS K 8951 に規定する硫酸に JIS K 8517 に規定する二クロム酸カリウムを飽和した

もの。

注(

2

)

使用済みのクロム酸混液は,無害化処理しなければならない。

f)

硫酸(11)  水 50  mL に JIS K 8951 に規定する硫酸 50 mL を加えたもの。

なお,硫酸を加えるときは,水をかき混ぜながら徐々に行う。

g)

ソーダ石灰  粒子径 1 mm から 2 mm の粒状のもの。

h)

硫黄分認証標準物質  JIS Q 0034 及び JIS Q 0035 に従って認証されたもの。

参考  社団法人石油学会から供給されている。

i)

水  JIS K 0557 に規定する A3 のもの。

5.

試験器  試験器は,次による。

a)

試験器の構成  試験器は,1)∼10)からなり,その構成の一例を附属書図 に示す。

単位  mm

附属書図  1  燃焼管酸素法試験器の構成(一例)


13

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参考  試験中,試験器系内は酸素の送入によって加圧されているので,酸素や燃焼ガスが漏れやすい。

これを防止するため,試験器内に次に示す系内減圧調整装置を取り付け,系内圧力を大気圧付

近に保つように水流ポンプで吸引するとよい。

参考図  1  系内減圧調整装置(一例)

1)

燃焼管  透明石英ガラス製で附属書図 に示す形状寸法のもの(

3

)

注(

3

)  JIS K 2839

に規定する

図 77 がこれに相当する。

単位  mm

附属書図  2  燃焼管(一例)

2)

アダプタ  JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で,燃焼管及び吸収管と共通すり合わせで

接続可能なもの。その一例を

附属書図 に示す(

4

)

注(

4

)  JIS K 2839

に規定する

図 78 がこれに相当する。

単位  mm

附属書図  3  アダプタ(一例)


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3)

吸収管  上部吸収管及び下部吸収管からなり,JIS R 3503 に規定するほうけい酸ガラス-1 製で,附

属書図 に示す形状及び寸法のもの(

5

)

注(

5

)  JIS K 2839

に規定する

図 64 及び図 79 がこれに相当する。

単位  mm

附属書図  4  吸収管

4)

栓  硫黄分を含まない耐熱性ゴム栓に,酸素用ガラス管及びステンレス鋼棒挿入用ガラス管を取り

付け,

附属書図 に示すように組み立てたもの。

単位  mm

附属書図  5  栓(組立の一例)

5)

電気炉  炉内温度を測定するための温度計(

6

)

を備え,燃焼管を 1 150∼1 200  ℃の温度に保つことが

できるもの。

なお,電気炉は,通常固定させているが移動できる構造のものでもよい。

注(

6

)

温度計は,JIS C 1601 に規定する 2.0 級以上の指示熱電温度計と,JIS C 1602 に規定する白金ロ

ジュウム−白金(PR)の 0.4 級又は 0.5 級の熱電対からなる。

6)

ガスバーナ(

7

)

  燃焼管を部分的に約 900  ℃まで加熱できるもの。

注(

7

)

ガスバーナの代わりに電気炉形式のものを用いてもよい。

7)

流量計  毎分 900∼1 100 mL の酸素流量を測定できるもの。


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8)

移動架台  燃焼管,吸収管などを組み立てた状態で保持し,移動できるもの。その一例を附属書図

6

に示す。

なお,電気炉が移動できる構造のものは,移動架台がなくてもよい。

単位  mm

附属書図  6  移動架台(一例)

9)

酸素洗浄装置  次に規定するものを附属書図 に示す順番で連結したもの。

9.1)

ソーダ石灰用瓶  JIS R 3503 に規定する図 69 のもの。

9.2)

空瓶  容量 1 L 以上で外径 8 mm の接続管をもつもの。

9.3)

洗浄瓶  JIS R 3503 に規定する図 48 もので,共通すり合わせろ過板付きガス洗浄瓶 250 mmG1 が

望ましい。

10)

ボート  試料容器として用いるボートは磁製又は石英製で燃焼管に挿入できる附属書表 に示す寸

法のもの。

附属書表  1  ボート

単位  mm

高さ

長さ

10

∼14 8∼11 60∼80

6.

試料の採取方法及び調製方法  試料の採取方法及び調製方法は,次による。

a)

試験用試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,又はそ

れらに準じた方法によって採取及び調製する。

7.

試験の手順  試験の手順は,次による。

7.1

試験の準備

a)

酸素洗浄装置の瓶にソーダ石灰,クロム酸混液及び硫酸(1+1)を約 100 mL ずつ

附属書図 に示す

配列の順番に入れる。

b)

酸素洗浄装置と流量計及び栓を接続する。

c)

電気炉のスイッチを入れ,電気炉の温度を 1 150∼1 200  ℃にする。

d)

下部吸収管にアダプタ及び上部吸収管を取り付けた後,アダプタと燃焼管とのすり合わせ部から酸素

漏れがないように注意して両者をはめ込み,止め金具で止める。

e)

栓を燃焼管に接続し,酸素を毎分 1 000±100 mL の割合で送入できるように流量を調整する。その後,

栓は外しておく。

f)

あらかじめ中和した過酸化水素水(1  %)(

8

)

を下部吸収管に 35 mL 入れる。

注(

8

)

過酸化水素水の中和は,次のようにして行う。


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過酸化水素水(1  %)を三角フラスコに採り,これに混合指示薬 4 滴又は 5 滴を加える。溶

液が赤紫を呈したならば,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム標準液を用いて薄い灰青となるまで滴

定して中和する。ただし,指示薬にメチルパープルを用いた場合は,紫から灰青に変化するま

で滴定する。

7.2

試料のはかり採り  あらかじめ 750∼900  ℃で 3 時間以上空焼きしたボートに試料を適切量(

9

)

入れ,

0.1 mg

のけたまではかり採る。

注(

9

)

試料のはかり採り量は,硫黄分概略値及び水酸化ナトリウム標準液のモル濃度に応じて,次の

式によって算出する。ただし,0.1∼1.0 g の範囲を超えてはならない。

E

8

S

N

M

=

ここに,

M

:  試料のはかり採り量(g)

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

S

E

:  硫黄分概略値(質量%)

備考  原油など軽質分を含む試料は,試料のはかり採りを速やかに行うとともに,はかり採り後,直

ちに燃焼管に入れる。

7.3

燃焼

a)

電気炉の温度が 1 150∼1 200  ℃,酸素流量が毎分 1 000±100 mL であることを確認した後,栓を燃焼

管から外して試料の入ったボートを燃焼管に入れ,直ちに栓を燃焼管に接続する。

b)

上部吸収管にあらかじめ中和した過酸化水素水(1  %)

8

)を 15 ml 入れた後,酸素流量が毎分 1 000

±100 mL であることを確認する。

c)

ボートをステンレス鋼製棒で電気炉入口近くの適切な位置まで移動させながら,燃焼管を加熱する。

この際,試料に着火しないように蒸発及び分解させる。

次いで,ボートをステンレス鋼製棒で除々に送り込み,急速な加熱による不完全燃焼を起こさせな

いように注意しながら燃焼を終わらせる。

d)

さらに,ボートをステンレス鋼製棒で電気炉の内部に送り(

10

)

,約 10 分間強熱する。その間にガスバ

ーナを用いて燃焼管内壁に付着した炭化物を完全に燃焼させる(

11

)

注(

10

)

ボートを電気炉の中央部に送り込んだ後,ステンレス鋼製棒は直ちに最初の位置に戻しておく。

ここまでの加熱時間は 30 分ぐらいが望ましいが,試料の量を多くしたり,試料の性状によって

はこの時間内で終了させることが困難となるので,多少加熱時間を延長するとよい。

(

11

)

燃焼管の両端又は吸収管の下部に未燃焼試料やすすが認められた場合は,汚れた部分を清浄に

した後,試験をやり直す。

e)

燃焼管と吸収管を移動させ,燃焼管の末端部及び細管部を電気炉カバーの外に出す。末端部からアダ

プタと接続部の間に白煙が生じなくなるまでガスバーナで加熱する。

7.4

停止  燃焼が終わったら,燃焼管とアダプタとの接続を切り離し,酸素の送入を止める。下部吸収

管からアダプタ及び上部吸収管を取り外し,吸収液は下部吸収管に移す。次に,アダプタと上部吸収管の

内側を少量の水で数回洗い,その洗液を下部吸収管に集め,これを滴定溶液とする。

7.5

滴定  滴定溶液に混合指示薬 5 滴又は 6 滴を加え 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム標準液で滴定し(

12

)

薄い赤紫から薄い灰青になった点を終点とする(

13

)

。さらに,1 滴を加えると緑に変わることで終点の確認

ができる。

注(

12

)

滴定に用いるビュレットは容量 10 mL のもので,目量 0.05 mL 以下のものが望ましい。


17

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(

13

)

指示薬にメチルパープルを用いた場合は,紫から灰青に変化するまで滴定する。

7.6

空試験  試料及びボートを用いないで 7.17.37.4 及び 7.5 と同じ操作を行う。

8.

計算方法  計算方法は,次による。

硫黄分は次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸め幅 0.01 に丸める。

M

V

V

N

S

)

(

603

.

1

0

=

ここに,

S

:  硫黄分(質量%)

N

:  水酸化ナトリウム標準液のモル濃度(mol/L)

V

:  試料の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

V

0

:  空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL)

M

:  試料のはかり採り量(g)

備考1.  試験結果の点検  試験結果の真度(偏り)の点検は,硫黄分認証標準物質を用い,硫黄分を

測定し,試験結果と標準値の差が認証標準物質の標準偏差の 3 倍以内であることを確認する。

これを超えた場合は,試験器,試薬,試験の手順を点検した後,再度硫黄分認証標準物質の

測定を行う。

2.

塩素分の補正方法  原油の場合は,本体 8.  備考 2.によって塩素分の補正を行うことができる。

9.

精度  精度は,次による。

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率 0.95)は,次による。

備考  試験結果が許容差を外れた場合には JIS Z 8402-6 によって処理する。

a)

室内併行精度  同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間に同一試料を 2 回試験

したとき,試験結果の差の許容差を

附属書表 に示す。

b)

室間再現精度  異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験して

求めた 2 個の試験結果の差の許容差を

附属書表 に示す。

附属書表  2  精度

単位  質量%

室内併行許容差

室間再現許容差

0.01

+0.02X 0.03+0.03X

備考  表中の は,試験結果の平均値である。

10.

試験結果の報告  試験の結果には次の事項を記載する。

a)

試料の名称,採取場所及び採取年月日

b)

日本工業規格番号:JIS K2541-3 

附属書

c)

8.

によって得られた結果

d)

特記事項