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K 2541-1

:2003

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 4260:1987,Petroleum products and

hydrocarbons

−Determination of sulfur content−Wickbold combustion method を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 2541-1

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 2541

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 2541-1 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 1 部:酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴

定法

JIS K 2541-2 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 2 部:微量電量滴定式酸化法

JIS K 2541-3 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 3 部:燃焼管式空気法

JIS K 2541-4 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 4 部:放射線式励起法

JIS K 2541-5 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 5 部:ボンベ式質量法

JIS K 2541-6 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 6 部:紫外蛍光法

JIS K 2541-7 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 7 部:波長分散蛍光 X 線法(検量線法)


K 2541-1

:2003

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  試験の原理

3

4.

  試薬

3

5.

  試験器

4

6.

  試料採取方法

6

7.

  試験の手順

6

8.

  点検試験

8

9.

  計算方法及び結果

9

10.

  精度

9

11.

  試験結果の報告

9

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

11

 


日本工業規格

JIS

 K

2541-1

:2003

原油及び石油製品−硫黄分試験方法

第 1 部:酸水素炎燃焼式

ジメチルスルホナゾⅢ滴定法

Crude oil and petroleum products

−Determination of sulfur content

Part 1: Wickbold combustion method

序文  この規格は,1987 年に第 1 版として発行された ISO 4260:1987,Petroleum products and hydrocarbons

−Determination of sulfur content−Wickbold combustion method に規定された滴定方法については Visual

titration method

を翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変

更の一覧表をその説明を付けて,

附属書(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格はガソリン,灯油及び軽油中の硫黄分 1∼10 000 質量 ppm を酸水素炎燃焼式ジメ

チルスルホナゾⅢ滴定法によって定量する方法について規定する。

備考1.  この方法は硫黄分 1∼10 000 質量 ppm に適用できるが,特に,硫黄分 300 質量 ppm 未満の留

出油の定量に適している。硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料は,次のいずれかによって測

定する。

1)

試料を溶剤で薄めて全量を燃焼させる。

2)

試料全量を燃焼させず必要量だけを燃焼させる。

3)

吸収液を分取して滴定する。

2.

この試験方法は,ハロゲン 100 質量 ppm 以上,カルシウム 5 質量 ppm 以上,りん 2 質量 ppm

以上,鉛 2 質量 ppm 以上を含む試料,その他不溶性硫酸塩を生成する金属を含む試料には適

用できない。

3.

ガソリン,灯油及び軽油について,酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴定法によって得

られた試験結果に疑義が生じた場合は,JIS K 2541-2 に規定する微量電量滴定式酸化法で試

験しなければならない。

4.

この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて

に規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切な安全上

及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。

5.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 4260:1987

,Petroleum products and hydrocarbons−Determination of sulfur content−Wickbold


2

K 2541-1

:2003

combustion method (MOD)

参考  この規格群には,参考表 に示す試験方法がある。

参考表  1  試験方法の種類

規格群

試験方法の種類

適用油種(例)

測定範囲

K 2541-1 

酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴
定法

自動車ガソリン,灯油,軽油

1

∼10 000 質量 ppm

K 2541-2 

微量電量滴定式酸化法

自動車ガソリン,灯油,軽油

1

∼1 000 質量 ppm

K 2541-3 

燃焼管式空気法

原油,軽油,重油 0.01 質量%以上

附属書(参考)燃焼管式酸素法

K 2541-4 

放射線式励起法

原油,軽油,重油 0.01∼5 質量%

K 2541-5 

ボンベ式質量法

原油,重油,潤滑油 0.1 質量%以上

附属書(規定)

誘導結合プラズマ発光法

潤滑油 0.05 質量%以上

K 2541-6 

紫外蛍光法

自動車ガソリン,灯油,軽油

3

∼500 質量 ppm

K 2541-7 

波長分散蛍光 X 線法(検量線法)

自動車ガソリン,灯油,軽油

5

∼500 質量 ppm

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0512

  水素

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

JIS K 1101

  酸素

JIS K 2251

  原油及び石油製品−試料採取方法

備考  自動サンプリングの場合には ISO 3171:1988 によってもよい。

JIS K 2541-2

  原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 2 部:微量電量滴定式酸化法

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8223

  過塩素酸(試薬)

JIS K 8230

  過酸化水素(試薬)

JIS K 8680

  トルエン(試薬)

JIS K 8809

  フタル酸水素カリウム(試薬)

JIS K 8962

  硫酸カリウム(試薬)

JIS K 9551

  過塩素酸バリウム(試薬)

JIS K 9703

  2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)

JIS Q 0034

  標準物質生産者の能力に関する一般要求事項

JIS Q 0035

  標準物質の認証−一般的及び統計学的原則

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

備考  ISO 641:1975  Laboratory glassware−Interchangealbe spherical ground joints からの引用事項は,

この規格の該当事項と同等である。

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

ISO 641:1975

  Laboratory glassware−Interchangeable spherical ground joints

ISO 3171:1988

  Petroleum liquids−Automatic pipeline sampling


3

K 2541-1

:2003

3.

試験の原理  試料を酸水素炎で燃焼させ,生じた硫黄酸化物を過酸化水素水(3  %)に吸収させて硫

酸にする。吸収液中の硫黄の定量は,吸収液を濃縮し,これに緩衝液とアセトンを加え,ジメチルスルホ

ナゾⅢを指示薬として溶液中の硫酸イオンを過塩素酸バリウム標準液で滴定し硫黄分を求める。

4.

試薬  試薬は,次による。

a)

酸素  JIS K 1101 に規定するもの。

b)

水素  JIS K 0512 に規定するもの。

c)

アセトン  JIS K 8034 に規定するもの。

d)

溶剤  JIS K 9703 に規定する 2,2,4-トリメチルペンタン又は硫黄分が 1 質量 ppm 未満の石油系溶剤。

e)

過酸化水素水溶液  JIS K 8230 に規定する過酸化水素水(30  %)1 容に 9 容の水を加えたもの。この

溶液は褐色瓶に入れて保存する。

f)

フタル酸水素カリウム緩衝液  JIS K 8809 に規定するフタル酸水素カリウム 20 g を水に溶かし,全量

を 1 000 mL としたもの。

g)

ジメチルスルホナゾⅢ指示薬  市販最上級品のジメチルスルホナゾⅢ[2,7-ビス(スルホ-4-メチルフ

ェニル)アゾ-1,8-ジヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸ナトリウム塩]0.1 g を水 100 mL に溶か

したもの(

1

)

。この指示薬は褐色瓶に入れて保存する。

注(

1

)

滴定終点の変色が不明りょうになったら調製し直す。

h)

過塩素酸バリウム標準液(0.002 5 mol/L)  JIS K 9551 に規定する過塩素酸バリウム(3 水塩)約 0.98

g

をはかり採り,少量の水と JIS K 8223 に規定する過塩素酸から調製した過塩素酸溶液(10 容量%)

4

∼5 滴を加え,全量フラスコ 1 000 mL に移し,水を標線まで加えたもの。

この溶液の標定は,次によって行う。

1)  JIS K 8962

に規定する硫酸カリウムを 105∼110  ℃で 3 時間以上乾燥したもの約 0.44 g を 1 mg のけ

たまで正しくはかり採り,全量フラスコ 1 000 mL に移し,水を標線まで加え,これを硫酸カリウム

溶液とする。

次の式によって硫酸カリウム溶液のモル濃度を算出し,JIS Z 8401 の規定によって有効数字 3 け

たに丸める。

27

.

174

K

C

=

ここに,

C

:  硫酸カリウム溶液のモル濃度(mol/L)

K

:  はかり採った硫酸カリウムの質量(g)

2)

硫酸カリウム溶液 10 mL を全量ピペットで正確にビーカー200 mL に採り,水 10 mL を加える。

3)

アセトン約 50 mL 及びフタル酸水素カリウム緩衝液 5 mL を加え,

ジメチルスルホナゾⅢ指示液を 4

∼5 滴滴下し,マグネチックスターラを用いてかき混ぜながら,過塩素酸バリウム溶液で滴定する。

溶液が紫から緑青に変わり,1 分間以上変色しなかったときを終点とする(

2

)

注(

2

)

白色板を背景にして滴定すると終点が見やすい。

4)

水 20 mL を採り,3)の操作と同様に滴定し,これを空試験とする。

5)

次の式によって過塩素酸バリウム標準液のモル濃度を算出し,JIS Z 8401 の規定によって有効数字

3

けたに丸める。

B

A

C

M

=

10


4

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ここに,

M

:  過塩素酸バリウム標準液のモル濃度(mol/L)

A

:  滴定に要した過塩素酸バリウムの溶液の量(mL)

B

:  空試験に要した過塩素酸バリウム溶液の量(mL)

C

:  硫酸カリウム溶液のモル濃度(mol/L)

i)

過塩素酸バリウム標準液(0.005 mol/L)  過塩素酸バリウム(3 水塩)約 1.95 g をはかり採り,h)と

同様に調製し,標定したもの。

j)

硫酸標準液(250 質量 ppm)  質量既知の全量フラスコ 100 mL に,硫黄含量 21.92 質量%のジブチル

スルフィド 0.98 g を 0.1 mg のけたまではかり採り,JIS K 8680 に規定するトルエンを加えて溶解し,

さらに,トルエンを標線まで加えた後,その質量をはかる。次いで,この溶液 25 mL を全量ピペット

で全量フラスコ 250 mL に採り,トルエンを標線まで加えたもの。

この硫黄標準値は,次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅 0.1 に丸める。

5

10

2

219

.

0

×

=

T

M

A

ここに,

A

:  硫黄標準値(質量 ppm)

M

:  ジブチルスルフィドのはかり採り量(g)

T

:  全量フラスコ 100 mL にはかり採ったジブチルスルフィドとト

ルエンの質量(g)

備考  硫黄標準液用試薬としてジヘキシルニ硫化物(硫黄含有量 27.36 質量%)又はジベンゾチオフ

ェン(硫黄含有量 17.40 質量%)を用いてもよい。

k)

硫酸標準液(50 質量 ppm)  全量フラスコ 100 mL に硫黄標準液(250 質量 ppm)を全量ピペットで

20 mL

はかり採り,JIS K 8680 に規定するトルエンを標線まで加えたもの。この硫黄標準値は A/5 で

あり,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅 0.1 に丸める。

l)

硫酸標準液(質量 ppm)  全量フラスコ 100 mL に硫黄標準液(250 質量 ppm)を全量ピペットで 2

mL

はかり採り,JIS K 8680 に規定するトルエンを標線まで加えたもの。この硫黄標準値は A/50 であ

り,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅 0.1 に丸める。

m)

硫黄分認証標準物質  硫黄分標準物質は,JIS Q 0034 及び JIS Q 0035 に従って認証されたもの。

参考  社団法人石油学会から供給されている。

n)

水  JIS K 0557 の A3 による。

5.

試験器  a)∼c)からなり,その構成の一例を図 及び図 に示す。

a)

酸水素炎燃焼装置  図 に示すバーナ,燃焼管などからなる。

なお,操作上の安全を保つために,次の附属器具を備えているもの。

1)

放出弁  停電時に燃焼ガスを自動的に大気中に放出できるもの。

2)

逆火防止器  バーナの炎が酸素及び水素ラインへ逆火するのを防ぐことができるもの。

3)

防護板  装置の前面に取り付ける。

b)

真空ポンプ  排気能力毎分 25 L 以上のオイルレス真空ポンプ。

c)

試験容器  試料のはかり採り量に応じた適切なガラス製容器,常温で揮発性の試料は,図 に示す密

閉できる容器を用いて蒸発損失を防ぐようにする。


5

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  1  酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴定法試験器の構成(一例)

  2  密閉形試験容器(一例)


6

K 2541-1

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6.

試料採取方法  JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料調製方法又はそれに準じた方

法によって採取及び調製する。

7.

試験の手順  試験手順は,次による。

備考1.  試験器はガラス部分が多く,しかも酸水素炎の高温燃焼を行うので,安全上,常に正しい操

作を行う必要がある。

2.

燃焼中の断水,停電,真空ポンプの停止などの異常時に対して,試料の燃焼中断,バーナの

抜出し,水素減圧弁の閉鎖などの対策及び手順をあらかじめ確立しておかなければならない。

参考  酸素と水素の流量及び圧力,系内の圧力など試料の燃焼条件は,装置によって多少異なるので,

製造メ−カのその取扱説明書によって行うとよい。試料の燃焼条件の一例を次の

参考表 に示

す。

参考表  2  試料の燃焼条件(一例)

項目

試料の燃焼条件

水素圧力 290

kPa

酸素圧力 490

kPa

一次酸素流量

6.5

∼ 8.5 L/min

二次酸素流量

3.5

∼ 5.0 L/min

系内圧力 97.0∼98.3 kPa

水素流量

4.0

∼ 5.0 L/min

a)

試験器の準備

1)

ガス配管接続部に漏れがないこと及びガラス部分の内面が清浄であることを確認する。

2)

ボンベ中の酸素及び水素の量が燃焼操作の必要量に十分であることを確認し,それぞれの圧力調整

器で試験器へ通じるガスを規定の圧力(

参考表 2)になるように調節する。

3)

顔面保護具又は保護めがね,皮革製手袋などの防護器具を身に付ける。

4)

真空ポンプを始動し,バーナを燃焼管に差し込み,バーナを手で支えながら一次及び二次酸素減圧

弁を開き,流量計を見てそれぞれ規定の流量(

参考表 2)に調節する。次に減圧調節弁を開き,系

内を規定の圧力(

参考表 2)に調節する。

5)

冷却水を冷却系内に流す。

6)

吸収管トラップを外し,吸収管内に過酸化水素水溶液 50 mL を入れて,再び吸収管トラップを元の

位置に戻す。

7)

バーナを外し,バーナホルダに保持する。

b)

試料のはかり採り  6.で採取した試料を試験容器に表 に示す量を 10 mg のけたまではかり採る。

  1  試料のはかり採り

硫黄分概略値(質量 ppm)

試料のはかり採り量(g)

  1

以上      10 未満 50∼30

10

以上      30 未満 30∼20

30

以上     300 以下 20∼ 5

備考1.  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料は硫黄分概略値に応じ表 に従って試料をはかり採った

後,溶剤を加えて十分に混合する。この希釈試料は全量を燃焼させる。

2.

粘ちょうな試料及び芳香族分の多い試料は

表 に示す量をはかり採った後に,溶剤を加えて

十分に混合する。この希釈試料は全量を燃焼させる。


7

K 2541-1

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c)

燃焼

1)

水素減圧弁を開き,流量計を見て規定の流量(

参考表 2)に調節し,30 秒間以上水素を流し系内の

空気を追い出す。

2)

バーナをホルダに保持したまま点火器(

3

)

をバーナの口に当てて点火する。この際,バーナの炎に注

意し,逆火していないことを確かめる(

4

)

次に,燃焼管すり合わせ部にバーナの炎がなるべく当たらないようにして速やかにバーナを燃焼

管に差し込む。

注(

3

)

ガスライタなどを用い,マッチは,使用してはならない。

(

4

)

逆火現象は見ても分かるが,バーナすり合わせ部に手を触れると熱くなっている。逆火現象が

起きた場合には,水素の圧力を少し上げる。

3)

系内が規定の圧力に保たれていることを確認した後,試料管を試験容器に底まで入れて試料コック

を徐々に開き試料を燃焼させる。この際,バーナの炎の長さを試料コック又は減圧調節弁で適宜調

節し,不完全燃焼(

5

)

が起こらないようにする。また,燃焼管冷却水が沸騰すると,振動によって燃

焼管が破損する危険があるので,このような場合には冷却水を増量するか,又は燃焼速度を小さく

する。

注(

5

)

燃焼管内で不完全燃焼による炭化現象が起きた場合は,速やかに燃焼操作を停止し管内を洗浄

する。通常の洗浄で炭化物を除去できない場合は温硝酸などで洗い,次に十分に水洗する。バ

ーナに炭化現象が起きた場合は,電気炉中にバーナを垂直に立て,約 700  ℃の空気気流中で除

去する。

4)

試料管が空気を吸引する直前まで試料を燃焼させた後,試料コックを閉じ試験容器を取り外す。取

り外した試験容器の内部を溶剤によって洗浄した後,再び試料管を試験容器の底まで入れ,試料コ

ックを徐々に開き洗液を燃焼させる。この洗浄・燃焼操作を 2∼3 回繰り返す。

備考  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料で全量を燃焼させない場合には,必要量を燃焼後試料コッ

クを閉じ試験容器を取り外した後,試料管中に残存する試料を燃焼させるため,試験容器を交

換し,溶剤だけを用いて燃焼を行う。

なお,取り外した試験容器は速やかにその質量をはかり,試料の燃焼量を求める。

d)

停止

1)

試料の燃焼が終わった後,試料コックを閉じて系内を規定の圧力に調節し,酸素−水素ガスが燃焼

している状態でバーナを抜き出してバーナホルダに保持する。

2)

直ちに水素,一次酸素,次に二次酸素の順に,それぞれの減圧弁を閉じ,更に酸素及び水素ボンベ

の元弁を閉める。

3)

減圧調節弁を閉じて系内を大気圧にした後,真空ポンプを停止する。

備考  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料で吸収液を分取して滴定する場合は,減圧調節弁を閉じる

前に 2∼3 分空気を通し,吸収液中に溶解している二酸化炭素を追い出しておく。

e)

吸収液中の硫酸イオンの定量

1)

吸収管トラップ,燃焼管及び吸収管を水で洗浄し,吸収液とともにドレイントラップに洗い落とす。

2)

ドレイントラップの内容液をビーカー500 mL に移し,更に,ドレイントラップを水で洗浄しその洗

液をビーカー500 mL 移した後,20∼50 mL に加熱濃縮して室温まで放冷する。

3)

フタル酸水素カリウム緩衝液(2  %)5 mL をビーカー500 mL に加え,次いでビーカー500 mL 中の

全溶液に対して約 2 倍量のアセトンを加え,更にジメチルスルホナゾⅢ指示薬を 4∼5 滴滴下する。


8

K 2541-1

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4)

試料の硫黄分に応じて

表 に示す過塩素酸バリウム標準液を選び,マグネチックスターラを用いて

かき混ぜながら滴定する(

2

)

。溶液が紫から緑青に変わり,1 分間以上変色しなくなったときを終点

とする。

  2  滴定に用いる過塩素酸バリウム標準液

試料の硫黄分(質量 ppm)

過塩素酸バリウム標準液のモル濃度(mol/L)

  1

以上  30 未満

0.00 5

30

以上 300 以下 0.005

備考  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料で吸収液を分取して滴定する場合は,ドレイントラップの

内容液及びドレイントラップ洗液を全量フラスコ 300 mL に移して標線まで水を加えて混合し

た後,ビーカー500 mL に全量ピペットで 20∼50 mL をはかり採り,これを 3)以下によって滴

定する。

f)

空試験  空試験は,酸素及び水素だけを試料の場合と同じ操作で同一時間燃焼させ,e)によって滴定

する。

備考  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料で試験燃焼後の吸収液を分取して滴定した場合には,空試

験の吸収液も同様に分取して滴定する。

8.

点検試験  試験操作及び試験器が正常であることを確認するため,4. j)∼l)に規定する硫黄標準液

又は 4. m)に規定する硫黄分認証標準物質を 7.の手順によって測定し,標準値又は認証値とのかたよりを

確認する。

a) 1

回の試験の場合は 1 回の試験結果と標準液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値との差は次の

許容範囲になければならない。

2

R

x

µ

ここに,

x

:  試験結果(質量 ppm)

μ

:  硫黄標準液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値

(質量 ppm)

R

:  この規格の室間再現許容差(質量 ppm)

b)  n

回の試験の場合は 回の試験結果の平均値と標準液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値との

差は次の許容範囲になければならない。

2

1

R

xbar

µ

ここに,  xbar

試験結果の平均値(質量 ppm)

μ

硫黄標準液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値
(質量 ppm)

R

1

)

/

1

1

(

2

2

n

r

R

(質量 ppm)

R

この規格の室間再現許容差(質量 ppm)

r

この規格の室内併行許容差(質量 ppm)

n

試験回数

c

)

試験結果が許容範囲内にあることを確認する。許容範囲内になければ,試験器を点検し,再試験をす

る。


9

K 2541-1

:2003

9.

計算方法及び結果  硫黄分は,次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸めの幅を 1 に丸

める。

000

1

)

(

06

.

32

×

=

W

B

A

M

S

ここに,

S

:  硫黄分(質量 ppm)

M

:  過塩素酸バリウム標準液のモル濃度(mol/L)

A

:  試料の吸収液の滴定に要した過塩素バリウム標準液の量

(mL)

B

:  空試験の吸収液の滴定に要した過塩素酸バリウム標準液の

量(mL)

W

:  試料のはかり採り量(g)

備考  硫黄分が 300 質量 ppm を超える試料で 7. e)で分取して滴定した場合は,(AB)に[吸収液

全量(mL)/分取量(mL)

]を乗じる。また,直接測定で試料全量を燃焼させない場合には,

式中の を試料の燃焼量に読み替える。

10.

精度  試験結果の許容差(確率 0.95)は,次による。

なお,この精度は硫黄分 300 質量 ppm 以下の試料に適用する。

備考  試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6 の規定によって処理する。

a

)

室内併行精度  同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を 2 回試験し

たとき,試験結果の差の許容差を

図 に示す。

b

)

室間再現精度  異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験して求

めた 2 個の試験結果の差の許容差を

図 に示す。

  3  精度

11.

試験結果の報告  試験結果には,次の事項を記載する。

a

)

試料名,採取場所及び採取年月日

b

)

日本工業規格番号:JIS K 2541-1


10

K 2541-1

:2003

c

)

9.

によって得られた結果

d

)

特記事項


11

K 2541-1

:2003

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 2541-1

:2003  原油及び石油製品−硫黄分試験方法  第 1 部:酸水素炎燃焼式ジメ

チルスルホナゾⅢ滴定法

ISO 4260

:1987  石油製品及び炭化水素化合物−硫黄分試験方法−ウイッ

クボルド燃焼法−目視滴定

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )  国 際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ご

との評価及びその内容 
  表示箇所:本体 
  表示方法:点線の下線又は側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目 
番号

内容

項目
番号

内容

項 目 ご と の
評価

技術的差異の内容

1.

適用範囲

ガソリン,灯油及び軽
油中の硫黄分 1∼10 000
質量 ppm

ISO 4260 

1

石油製品の硫黄分 10∼

10 000 ppm

天然ガス及びオレフィ
ン中の硫黄分 1∼10 000

ppm

MOD/

変更

MOD/

削除

適用濃度範囲が異なる。

JIS

は天然ガス及びオレフィ

ンを適用していない。

石油学会の検討結果によっ
て,低濃度側を 1 ppm からと
した。

なお,この試験方法は 2002
年度の定期見直し時に,廃止
提案をしている。

JIS

規格体系が異なる。

2.

引用規格

引用する JIS を規定。

2

ISO 641

ISO 3170

ISO 3171

ISO 4850

MOD/

追加

ISO

規格では引用していない

が,JIS にある項目について

は,その JIS を引用して追加
している。

ISO

規格で引用している規格

については,それらに相当す
る JIS を引用している。

追加した JIS は ISO 規格では
規格化されていない。

ISO

規格に規定された技術的

内容は,ほかに引用した JIS
に含まれている。

 
 
 
 
 

1

K 2541-1


2003


12

K 2541-1

:2003

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )  国 際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ご

との評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線又は側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目

番号

内容

項目

番号

内容

項 目 ご と の

評価

技術的差異の内容

3.

試験の原理

試 験 方 法 の 概 要 と 吸
収 液 の 分 析 法 概 要 を

記述

3

次の 4 方法の試験概要
を記述。

1

)目視滴定法(ジメ

チ ル ス ル ホ ナ ゾ Ⅲ 滴
定法を許容)

2

)比濁滴定法

3

)濁度滴定法

4

)電気伝導度滴定法

MOD/

削除

JIS

はジメチルスルホナゾⅢ

滴定法だけを規定している。

目視滴定法の指示薬はジメ
チルスルホナゾⅢが他の指

示薬に比べ発色が鋭敏であ
ることから採用した。

比濁滴定法,濁度滴定法,電
気伝導度滴定法は紫外蛍光
法及び電量滴定法に比べ,作

業性が悪く国内では使用さ
れていない。2002 年度の定期
見直し時に,廃止提案をして

いる。

4.

試薬

ガス,溶剤,吸収液,

指示薬,滴定液,硫黄
標 準 液 用 硫 黄 化 合 物
及 び 硫 黄 分 標 準 物 質

を規定。過塩素酸バリ
ウ ム 標 準 液 の 標 定 方
法を規定。

4 9

項の個別分析法で規

定 し て い る 試 薬 の ほ
かに,ガス,溶剤,吸
収液,指示薬,滴定液

及 び 硫 黄 標 準 液 用 の
硫黄化合物を規定。

MOD/

追加

JIS

はアセトン,フタル酸水

素カリウム緩衝液,ジブチル
スルフィドを用いた硫黄分
標準物質,硫黄分認証標準物

質,試薬の調製方法及び過塩
素酸バリウム標準液の標定
方法を追加している。

アセトン,フタル酸水素カリ

ウム緩衝液は石油学会の検
討によって,滴定の感度向
上,呈色の復帰に効果が認め

られたので追加した。 
ジブチルスルフィドを用い
た硫黄分標準物質,硫黄分認

証標準物質,試薬の調製方法
及び過塩素酸バリウム標準
液の標定方法は使用者の利

便性を考慮し,追加した。

 
 
 
 
 

1

K 2541-1


2003


13

K 2541-1

:2003

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )  国 際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ご

との評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線又は側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目

番号

内容

項目

番号

内容

項 目 ご と の

評価

技術的差異の内容

5.

試験器

酸水素炎燃焼装置,真
空 ポ ン プ 及 び 試 験 容

器について規定。

5

燃焼装置,安全装置に
ついて規定。

酸 水 素 炎 燃 焼 装 置 は
ガス,液体試料用と粘

ちょう試料,固体試料
用 に 分 け て 規 定 し て
いる。

MOD/

変更

MOD/

削除

装置の細部構成は異なる。

JIS

は固体試料用装置は規定

していない。粘ちょう試料は

溶剤希釈によって対応して
いる。

装置メーカーのノウハウに
よって,細部構成は異なる。

固体試料は適用範囲外。

6.

試 料 採 取 方

試 料 採 取 方 法 及 び 調
製方法を規定。

6

7

JIS

に同じ。

予 期 硫 黄 分 に 対 し て
試 料 採 取 量 を 規 定 し
ている。

IDT

MOD/

変更

適用濃度範囲が異なる。

JIS

は 7.  試験の手順に記載。

7.

試験の手順

a

)試験器の準備,b)

試料のはかり採り,c)
燃焼,d)停止,e)吸

収 液 中 の 硫 酸 イ オ ン
の定量,f)空試験につ
いて規定。

8

燃焼操作の手順は 1)
試験器具の洗浄,2)
装置の組立て,3)装

置の準備,4)酸水素
炎の点火,5)吸収液
供給の調整,6)試料

の燃焼について規定。
試 料 の 燃 焼 は 一 般 ガ
ス試料,低硫黄ガス試

料 , 液 化 石 油 ガ ス 試
料,液体試料,加鉛ガ
ソ リ ン 試 料 及 び 粘 ち

ょ う 試 料 又 は 固 体 試
料に区分

MOD/

変更

MOD/

削除

ガス流量,圧力等の試験手順
の細部は異なる。

JIS

はガス試料,加鉛ガソリ

ン,固体試料は適用外であ

る。

装置メーカーのノウハウに
よって,試験機の細部構成が
異なるため,試験手順の細部

は異なる。

JIS

規格体系が異なる。

 

1

K 2541-1


2003


14

K 2541-1

:2003

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )  国 際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ご

との評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線又は側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目

番号

内容

項目

番号

内容

項 目 ご と の

評価

技術的差異の内容

7.

試験の手順

9

次の 4 方法の滴定法を
記述。

1

)目視滴定法(ジメ

チ ル ス ル ホ ナ ゾ Ⅲ 滴
定法を許容)

2

)比濁滴定法

3

)濁度滴定法

4

)電気伝導度滴定法

MOD/

削除 

JIS

はジメチルスルホナゾⅢ

滴定法だけを規定している。

滴定時,呈色の復帰性をよく
するためフタル酸水素カリ
ウム緩衝液を,感度向上のた

めアセトンを加えている。

比濁滴定法,濁度滴定法,電
気伝導度滴定法は紫外蛍光

法及び電量滴定法に比べ,作
業性が悪く国内では使用さ
れていない。2002 年度の定期

見直し時に,廃止提案をして
いる。 
フタル酸水素カリウム緩衝

液,アセトンの添加は石油学
会の検討結果を採用した。

8.

点検試験

標 準 溶 液 及 び 標 準 物
質 測 定 に よ る 方 法 を
規定。

10

標 準 溶 液 測 定 に よ る
方法を規定。

MOD/

追加

JIS

は点検方法を詳細に規定

している。また,点検試薬に
標準物質を追加している。

使用者の利便性を考慮し,追
加した。

9.

計 算 方 法 及

び結果

質量 ppm 硫黄分を丸
めの幅を 1 に丸める。

11

質量 ppm

mg/

3

又は 質量% で

表記する。

IDT

MOD/

削除

JIS

はガス試料は適用外であ

る。

JIS

規格体系が異なる。

10.

精度 300 質量 ppm 以下の試

料 に 対 し て 精 度 を 規

定。

12

13

1

∼10 000 質量 ppm の

試 料 に 対 し て 精 度 を

規定。 
エ チ レ ン , プ ロ ピ レ
ン,ブタンなどの特殊

例を規定。

MOD/

変更

MOD/

削除

適用濃度範囲が異なる。

JIS

はガス試料は適用外であ

る。

JIS

は 300∼10 000 質量 ppm

の精度は確認していない。

JIS

規格体系が異なる。

11.

試験結果の

報告

報告事項を規定。

14

JIS

に同じ。

IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

1

K 2541-1


2003


15

K 2541-1

:2003

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  IDT………………  技術的差異がない。 
    ―  MOD/削除………  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    ―  MOD/追加………  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    ―  MOD/変更………  国際規格の規定内容を変更している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。 

1

K 2541-1


2003