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K 2536-3:2003  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 2536の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2536-1 石油製品−成分試験方法 第1部:蛍光指示薬吸着法 

JIS K 2536-2 石油製品−成分試験方法 第2部:ガスクロマトグラフによる全成分の求め方 

JIS K 2536-3 石油製品−成分試験方法 第3部:ガスクロマトグラフによる芳香族の求め方 

JIS K 2536-4 石油製品−成分試験方法 第4部:タンデム式ガスクロマトグラフによる成分の求め方 

JIS K 2536-5 石油製品−成分試験方法 第5部:ガスクロマトグラフによる酸素化合物の求め方 

JIS K 2536-6 石油製品−成分試験方法 第6部:酸素検出式ガスクロマトグラフによる酸素分・酸素

化合物の求め方 

K 2536-3:2003  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 3 

4. 試験の原理 ····················································································································· 3 

5. 試験器及び器具 ··············································································································· 3 

5.1 ガスクロマトグラフ ······································································································· 3 

5.2 マイクロシリンジ ·········································································································· 3 

6. 試薬 ······························································································································ 4 

7. 試験の準備 ····················································································································· 4 

7.1 ガスクロマトグラフの調整······························································································· 4 

7.2 試験条件の設定 ············································································································· 4 

7.3 質量相対感度の測定 ······································································································· 7 

8. 試料の採取方法及び調製方法 ····························································································· 8 

9. 試験の手順 ····················································································································· 8 

9.1 試料の直接測定 ············································································································· 8 

9.2 内標準添加試料の測定 ···································································································· 8 

10. 計算方法及び精度 ········································································································· 11 

10.1 計算方法 ···················································································································· 11 

10.2 精度 ·························································································································· 12 

11. 試験結果の報告············································································································· 13 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 2536-3:2003 

石油製品−成分試験方法 

第3部:ガスクロマトグラフによる芳香族の求め方 

Liquid petroleum products−Testing method of components 

Part 3: Determination of aromatic components by gas chromatography 

1. 適用範囲 この規格は,JIS K 2254に規定する常圧法蒸留試験方法による終点が220 ℃以下の石油製

品中のベンゼン,トルエン,キシレン及び芳香族をガスクロマトグラフ法で定量する方法について規定す

る。 

備考1. この規格による定量範囲はベンゼン,トルエン,キシレン及び芳香族それぞれ0.1質量%(容

量%)以上である。 

2. この規格のTCEPカラムを使用し,表3の試験条件によって,芳香族炭化水素以外にメタノ

ール,メチルターシャリーブチルエーテル(以下,MTBEという。)及び灯油分が測定できる。 

3. この規格によって得られたベンゼン,トルエン,キシレン,芳香族,メタノール,MTBE及

び灯油分の試験結果に疑義が生じた場合はJIS K 2536-2によって試験しなければならない。 

4. この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて

にわたって規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適

切な安全及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

参考 この規格群には,参考表1に示す試験方法がある。 

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K 2536-3:2003  

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参考表 1 試験方法の種類 

規格群 

種類 

試験する成分 

適用区分 

単位 

適用油種例 

K 2536-1 

蛍光指示薬吸着法 飽和分 

オレフィン分 
芳香族分 

終点が315 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

容量% 

自動車ガソリン 
航空ガソリン 
航空タービン燃料油 
灯油 

K 2536-2 

ガスクロマトグラ
フによる全成分の
求め方 

全成分 
ベンゼン 
トルエン 
キシレン 
メタノール 
エタノール 
MTBE 
ETBE 
灯油分 

終点が250 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

質量% 
又は 
容量% 

自動車ガソリン 

附属書(規定) 
ガスクロマトグラ
フによる迅速な全
成分の求め方 

K 2536-3 

ガスクロマトグラ
フによる芳香族の
求め方 

芳香族分 
ベンゼン 
トルエン 
キシレン 

終点が220 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

自動車ガソリン 
航空ガソリン 

K 2536-4 

タンデム式ガスク
ロマトグラフによ
る成分の求め方 

ベンゼン 
トルエン 
キシレン 
メタノール 
MTBE 
灯油分 

終点が250 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

容量% 

自動車ガソリン 

K 2536-5 

ガスクロマトグラ
フによる酸素化合
物の求め方 

メタノール 
MTBE 

K 2536-6 

酸素検出式ガスク
ロマトグラフによ
る酸素分・酸素化
合物の求め方 

酸素分 
メタノール 
エタノール 
MTBE 
ETBE 
その他の酸素化合物 

質量%
又は 
容量% 

自動車ガソリン 

注(1) 終点は,JIS K 2254に規定する常圧法蒸留試験方法による。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0512 水素 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

JIS K 2254 石油製品−蒸留試験方法 

JIS K 2536-2 石油製品−成分試験方法−第2部:ガスクロマトグラフによる全成分の求め方 

JIS K 8680 トルエン(試薬) 

JIS K 8858 ベンゼン(試薬) 

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K 2536-3:2003  

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JIS K 9703 2,2,4-トリメチルペンタン(試薬) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 芳香族分 単環又は多環の芳香族炭化水素,芳香族オレフィン炭化水素の総和。 

b) 灯油分 この試験方法では,n-トリデカン及びn-テトラデカンの合計量(容量%)に係数14を乗じて

算出したもの。 

4. 試験の原理 極性のある固定相液体を塗布したキャピラリカラム(以下,カラムという。)によって,

試料中の芳香族分を他の飽和分及びオレフィン分から選択的に溶出させる。これを,水素炎イオン化検出

器で検出し,クロマトグラム及びピーク面積積分値を記録させる。成分名が既知のクロマトグラムと比較

して個々の芳香族炭化水素を同定し,内標準法によって,ベンゼン,トルエン,キシレン(エチルベンゼ

ンを含む。)及びその他の芳香族炭化水素の濃度(質量%)を算出し,それぞれの濃度を集計して芳香族分

を求める。 

備考 この規格のTCEPカラムを使用し,表3の試験条件によって,芳香族炭化水素以外にメタノー

ル,MTBE及び灯油分が測定できる。 

5. 試験器及び器具 試験器及び器具は,次による。 

5.1 

ガスクロマトグラフ 次に示すa)〜e)の各主要部からなる。ここに示す以外の構造上の規定につ

いてのガスクロマトグラフに共通する一般事項は,JIS K 0114の規定による。 

a) 試料導入部 カラムが取り付けられるスプリット方式のもので,230〜250 ℃の温度に保つことができ

るもの。 

b) カラム槽 カラム槽は,40〜250 ℃の温度範囲で,±0.5 ℃の精度で制御できるもの。 

c) カラム 石英又はステンレス製の毛管内面に,極性のある固定相液体としてTCEP[1,2,3-トリス(2-

シアノエトキシ)プロパン],PEG-20M(ポリエチレングリコール-20M)を塗布するか又は化学結合

させたもの。その一例を表1に示す。 

表 1 カラム(一例) 

固定相液体 

TCEP 

PEG-20M 

内径 

mm 

    0.22 

    0.25 

長さ 

50 

30 

液層の膜厚 

μm 

    0.42 

    0.25 

d) 検出器及び検出器槽 検出器は,水素炎イオン化検出器を用い,検出器槽はカラム温度又はそれ以上

の温度に保つことができるもの。 

e) データ処理装置 クロマトグラムを記録するとともに,個々のピークの保持時間,ピーク面積積分値

及び全ピーク面積積分値に対する割合(%)を記録できるもの。 

5.2 

マイクロシリンジ 試料導入量に応じて,適切な容量の(1〜10 μL)のものを使用する。 

なお,1 μLのものは針の先端までワイヤが通っており,はかり採った試料の全量が導入できるもの。 

備考 自動試料導入装置を使用してもよい。 

K 2536-3:2003  

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6. 試薬 試薬は,次による。 

a) cis-デカリン 純度99質量%以上のもの。 

b) n-ウンデカン 純度99質量%以上のもの。 

c) ベンゼン JIS K 8858に規定するもの。 

d) トルエン JIS K 8680に規定するもの。 

e) エチルベンゼン 純度99質量%以上のもの。 

f) 

1,2,4-トリメチルベンゼン 純度99質量%以上のもの。 

g) n-ブチルベンゼン 純度99質量%以上のもの。 

h) 2,2,4-トリメチルペンタン JIS K 9703に規定するもの。 

i) 

ヘリウム又は窒素 純度99.9容量%以上のヘリウム又はJIS K 1107に規定する窒素。 

j) 

水素 JIS K 0512に規定するもの。 

k) メタン 純度50 %以上のもの。 

7. 試験の準備 試験の準備は,次による。 

7.1 

ガスクロマトグラフの調整 ガスクロマトグラフの調整は,次による。 

a) カラムをガスクロマトグラフの規定の位置に接続する。 

b) キャリヤーガスボンベの元弁及びボンベ側の圧力調整器を開いて,二次圧力を0.5〜0.9 MPaに調整す

る。次にガスクロマトグラフ側のキャリヤーガス調圧弁及び流量調整器を徐々に開き,試料導入部の

合計流量が毎分70〜100 mLになるように調整し,その流量を記録しておく。 

c) カラムにキャリヤーガスを毎分0.5〜0.8 mL流す。 

d) カラムの出口から溶出した成分を直ちに検出器に送るため,キャリヤーガスと同種のガスをカラムの

出口に毎分30〜50 mL流す。 

備考 カラムと配管の各連結部に石けん水を塗って,キャリヤーガスの漏れがないことを確かめる。 

e) ガスクロマトグラフの電源を入れ,カラム槽のふたを開き,カラム槽の温度を室温にする。 

f) 

水素炎イオン化検出器の燃料ガス及び助燃ガスとして,水素及び空気を流す。直ちに点火器を用いて

検出器の燃焼ノズルのガスに点火する。 

参考1. このとき水素ガス量は多めに,空気量は少なめに設定すると点火しやすい。点火したかどう

かは,検出器出口に鏡を当て,鏡面に水蒸気が付着して曇ることによって確認できる。 

2. 水素及び空気を,使用するガスクロマトグラフに最適の流量に設定する。水素及び空気の流

量を変更したときは,燃焼が継続していることを再確認する。 

g) 試料導入部及び検出器槽を230〜250 ℃の間の任意の一定温度に保つ。 

h) データ処理装置の電源を入れ,ピーク面積積分値を測定するための条件を設定する。 

7.2 

試験条件の設定 試験条件の設定は,次による。 

a) 表2に準じてカラム槽の温度条件を設定した後,カラム槽の昇温機構及びデータ処理装置を作動させ

てデータ処理装置の基線が安定していることを確認する(2)。 

注(2) データ処理装置のピーク出力の全幅を1 mVに設定し,基線の変動が約10分間に0.01 mV以下

であることを確認する。 

参考 カラムを初めて使用する場合は,カラムの空焼き中に溶出してくる固定相液体の軽質不純物や

残存溶剤によって検出器の汚染を避けるためカラムの出口は検出器を接続せずに,カラムの使

用上限温度(一例として,TCEPの場合は130 ℃,PEG-20Mの場合は210 ℃)で1〜2時間保

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持する。 

室温まで放冷した後,カラムの出口を検出器に接続し,a)と同様に基線が安定していること

を確認する。 

b) 図1(3)又は図2(3)に示すクロマトグラム(一例)と同等の分離性能が得られるように,キャリヤーガス

流量,スプリット比などを調整して,試験条件を設定する。表2に試験条件の一例を示す。 

注(3) 試料によっては,飽和分及びオレフィン分の溶出が終わる前に,ベンゼン及びトルエンが溶出

し,それらの上に重なることがあるのでベンゼン及びトルエンのピークが単一成分のピークで

あることをクロマトグラムで確認する。 

備考 この試験方法のTCEPカラムを使用し,表2の試験条件を変更することによって,芳香族炭化

水素以外にメタノール,MTBE及び灯油分が測定できる。表3に試験条件の一例を示す。また,

ガスクロマトグラムの一例を図1に示す。 

表 2 試験条件(一例) 

固定相液体 

TCEP 

PEG−20M 

キャリヤーガス 

種類 

 ヘリウム 

ヘリウム 

入口流量 

mL/min 100 

 80 

線速度 

cm/s  22.5 

 27 

スプリット比 

 200:1 

100:1 

カラム温度 

℃  80→130 

 40(4分間保持)→ 
210(5分間保持) 

昇温速度 

℃/min   1〜2 

  4 

導入部温度 

℃ 250 

230 

検出器温度 

℃ 250 

230 

試料導入量 

μL   0.1〜0.5 

  0.1〜0.5 

表 3 メタノール,MTBE及び灯油分を測定時の試験条件(一例) 

固定相液体 

TCEP 

キャリヤーガス 

種類 

 ヘリウム 

入口流量 

mL/min 100 

線速度 

cm/s  22.5 

スプリット比 

 200:1 

カラム温度 

℃  40(5分間保持)→130 

昇温速度 

℃/min   1〜2 

導入部温度 

℃ 250 

検出器温度 

℃ 250 

試料導入量 

μL   0.1〜0.5 

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図 1 TCEPカラムによる調製ガソリンのクロマトグラム(一例) 

参考 スプリット比の確認 クロマトグラムの分離が適切でない場合は,次の方法によってスプリッ

ト比を測定し,確認するとよい。 

a) 7.1に従ってガスクロマトグラフの調整が終了した後,7.2 a)に従ってクロマトグラムの基

線が安定していることを確認する。 

b) メタン2〜3 μLを10 μLのマイクロシリンジに採り,ガスクロマトグラフに迅速に導入し,

直ちにデータ処理装置を始動させる。 

c) メタンのピークを検出した後,保持時間を出力させる。保持時間からキャリヤーガスの線

速度及びスプリット比を次の式によって求める。メタンのピークが検出されないときは,

水素炎イオン化検出器の炎が消えていないこと,及びカラム接続部でキャリヤーガスの漏

れがないことを確認した後,改めてa)〜c)を行う。 

T

L

S=

60

2

2

×

×

×

=

π

D

S

R

R

F

S=

p

ここに, 

S: 線速度(cm/s) 

L: カラムの長さ(cm) 

T: メタンの保持指数(s) 

R: キャリヤーガス流量(mL/min) 

D: カラムの内径(cm) 

Sp: スプリット比(カラム流量に対する試料導入口の流量) 

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K 2536-3:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F: 試料導入口の流量(mL/min) 

π: 円周率(3.14) 

7.3 

質量相対感度の測定 質量相対感度の測定は,次による。 

a) 相対感度測定試料の調製 50 mLの共栓付三角フラスコに,表4に示す炭化水素を沸点の高い順に1 

mgのけたまではかり採り,約20 gの相対感度測定試料を調製する。相対感度測定試料の各炭化水素

成分について濃度(質量%)を計算し,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅を0.000 1に丸める。 

表 4 相対感度測定試料 

炭化水素 

混合割合(質量%) 

混合する順番 

内標準物質(cis-デカリン,n-ウンデカン) 

 5 

① 

n-ブチルベンゼン 

 5 

② 

1,2,4-トリメチルベンゼン 

 5 

③ 

エチルベンゼン 

 5 

④ 

トルエン 

 5 

⑤ 

ベンゼン 

 5 

⑥ 

2,2,4-トリメチルペンタン 

70 

⑦ 

備考1. 内標準物質は,TCEPを固定相液体とするカラムを用いる場合,cis-デカリン,PEG-20Mを固

定相液体とするカラムを用いる場合,n-ウンデカンを用いる。 

2. メタノール,MTBE及び灯油分の相対感度は表5の相対感度測定用試料を調製し,7.3の操作

によって求める。 

なお,表4ではC10芳香族炭化水素の代表としてn-ブチルベンゼンを使用しているが,こ

れは1,2,4-トリメチルベンゼンに重なるおそれがあるので,i-ブチルベンゼンに変更している。 

表 5 相対感度測定試料 

炭化水素 

混合割合(質量%) 

混合する順番 

内標準物質(cis-デカリン) 

 5 

① 

n-テトラデカン 

 5 

② 

n-トリデカン 

 5 

③ 

i-ブチルベンゼン 

 5 

④ 

1,2,4-トリメチルベンゼン 

 5 

⑤ 

エチルベンゼン 

 5 

⑥ 

トルエン 

 5 

⑦ 

ベンゼン 

 5 

⑧ 

MTBE 

 5 

⑨ 

メタノール 

 3 

⑩ 

2,2,4-トリメチルペンタン 

52 

⑪ 

b) 各成分の質量相対感度の測定 この測定は,1)〜3)によって行う。 

備考 ベンゼン,トルエン及びキシレンを求める場合は,必ずこの操作を行い,芳香族分(芳香族成

分の合計)を求める場合は,表6に示す質量相対感度を用いてもよい。 

1) 相対感度測定試料0.1〜0.5 μLを1 μLのマイクロシリンジに採り,ガスクロマトグラフの試料導入

口に速やかに導入し,直ちにカラム槽の昇温機構及びデータ処理装置を始動させる。 

2) 相対感度測定試料の全炭化水素が溶出し,クロマトグラムの記録が終了したら,ピーク面積積分値

を出力させる。 

3) 1)及び2)の操作を3回以上繰り返し行い,次の式によって質量相対感度を小数点以下3けたまで

計算して,その平均値を求め,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅を0.01に丸める。 

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K 2536-3:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

s

s

i

i

iw

/

/

M

A

M

A

f=

ここに, fiw: 相対感度測定試料に含まれる芳香族炭化水素iの質量相対感度 
 

Ai: 相対感度測定試料に含まれる芳香族炭化水素iのピーク面積積

分値 

Mi: 相対感度測定試料に含まれる芳香族炭化水素iの濃度(質量%) 

As: 内標準物質のピーク面積積分値 

Ms: 内標準物質の濃度(質量%) 

表 6 芳香族成分の質量相対感度 

成分名 

TCEP法による 

質量相対感度 

PEG−20M法による

質量相対感度 

ベンゼン 

1.09 

1.06 

トルエン 

1.08 

1.06 

p-キシレン 

1.00 

1.04 

m-キシレン 

1.00 

1.04 

o-キシレン 

1.00 

1.04 

エチルベンゼン 

1.06 

1.04 

1,2,4-トリメチルベンゼン 

1.03 

1.03 

cis-デカリン 

1.00 

− 

n-ウンデカン 

− 

1.00 

8. 試料の採取方法及び調製方法 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調

製方法によるか,又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。 

9. 試験の手順 試験の手順は,次による。 

9.1 

試料の直接測定 試料の直接測定は,次による。 

a) あらかじめ冷蔵庫などで冷却した試料を,1 μLのマイクロシリンジに0.1〜0.5 μL採り,7.2 b)で得

られた試験条件に設定したガスクロマトグラフに迅速に導入し,直ちにカラム槽の昇温機構及びデー

タ処理装置を始動して,クロマトグラム及びピーク面積積分値を記録する。 

b) 使用する内標準物質(cis-デカリン又はn-ウンデカン)及びエチルベンゼンに相当する保持時間のピ

ークの有無を確認する。もし,試料中に内標準物質と同一保持時間の成分が含まれている場合には,

計算する際に注(4)に示す補正を行う。 

9.2 

内標準添加試料の測定 試料を直接測定した後に,内標準添加試料の測定を次によって行う。 

a) 内標準物質0.4 gを約20 mLの共栓付フラスコに採り,その質量を1 mgのけたまではかる。これに試

料8 mLを加えて,その質量を1 mgのけたまではかり,混合したものを試験用試料とする。試験用試

料は測定ごとに調製する。 

備考 調製した試験用試料を直ちに試験しない場合は,冷蔵庫に保管する。 

b) あらかじめ冷蔵庫などで冷却した試験用試料を,1 μLのマイクロシリンジに0.1〜0.5 μL採り,ガス

クロマトグラフに迅速に導入し,直ちにカラム槽の昇温機構及びデータ処理装置を始動させる。 

備考 試験用試料の導入量は,芳香族分の濃度に応じて適切な量をあらかじめ決めておく。例えば,

芳香族分の濃度が50 %の場合は0.1 μL,1 %の場合は0.5 μLを導入する。 

c) 試料の全炭化水素が溶出し,クロマトグラムの記録が終了したら,ピーク面積積分値を出力する。 

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K 2536-3:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 MTBEピークには,微量の脂肪族炭化水素ピークが重なるので,MTBEのピーク面積は,デー

タ処理装置の接線法で求める。また,接線法でピーク処理してもMTBEの濃度は,重複成分の

妨害でプラスの誤差があるが,MTBEの濃度を正確に求めたい場合には,試験試料と似た組成

で,かつ,MTBEを含まない自動車ガソリンを9.1 a)の操作で測定し,次に示す計算式で補正

後のMTBEのピーク面積を求める。 

なお,この補正計算式は注(4)の計算式を応用したものである。 

d

c

b

M

A

A

A

A

A

×

=

ここに, 

AM: MTBEのピーク面積積分値 

A: 9.2 c)で記録したMTBE及びMTBEと同一保持時間の成分と

の合計のピーク面積積分値 

Ab: 9.1 a)で記録したMTBEと同一保持時間の成分のピーク面積

積分値 

Ac: 9.2 c)で記録したエチルベンゼンのピーク面積積分値 

Ad: 9.1 a)で記録したエチルベンゼンのピーク面積積分値 

d) TCEPカラムを用いた場合は,図2のクロマトグラム(一例),PEG-20Mカラムを用いた場合は,図3

のクロマトグラム(一例)を参考にして,試料のクロマトグラムの芳香族炭化水素の成分を同定する。 

e) 同定できない個々の芳香族炭化水素があるときは,表7に示す炭化水素表を参考にして,該当する数

種の試薬によって保持時間を確認する。 

表 7 芳香族炭化水素及びその密度 

芳香族炭化水素名 

記号 

密度 

(15 ℃)(g/cm3) 

炭素数 

ベンゼン 

0.884 

 6 

トルエン 

To 

0.872 

 7 

エチルベンゼン 

EB 

0.871 

 8 

p-キシレン 

pX 

0.865 

 8 

m-キシレン 

mX 

0.868 

 8 

o-キシレン 

oX 

0.884 

 8 

イソプロピルベンゼン 

iPB 

0.866 

 9 

n-プロピルベンゼン 

nPB 

0.866 

 9 

1-メチル-3-エチルベンゼン 

1M3EB 

0.869 

 9 

1-メチル-4-エチルベンゼン 

1M4EB 

0.865 

 9 

1,3,5-トリメチルベンゼン 

135TMB 

0.869 

 9 

1-メチル-2-エチルベンゼン 

1M2EB 

0.885 

 9 

1,2,4-トリメチルベンゼン 

124TMB 

0.880 

 9 

1,2,3-トリメチルベンゼン 

123TMB 

0.898 

 9 

イソブチルベンゼン 

iBB 

0.857 

10 

sec-ブチルベンゼン 

secBB 

0.866 

10 

tert-ブチルベンゼン 

tertBB 

0.871 

10 

1-メチル-3-イソプロピルベンゼン 

1M3iPB 

0.865 

10 

1-メチル-4-イソプロピルベンゼン 

1M4iPB 

0.861 

10 

1-メチル-3-プロピルベンゼン 

1M3PB 

0.865 

10 

1,3-ジエチルベンゼン 

13DEB 

0.868 

10 

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10 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 7 芳香族炭化水素及びその密度(続き) 

芳香族炭化水素名 

記号 

密度 

(15 ℃)(g/cm3) 

炭素数 

n-ブチルベンゼン 

nBB 

0.864 

10 

1-メチル-4-プロピルベンゼン 

1M4PB 

0.862 

10 

1-メチル-2-イソプロピルベンゼン 

1M2iPB 

0.881 

10 

1,4-ジエチルベンゼン 

14DEB 

0.866 

10 

1,3-ジメチル-5-チルベンゼン 

13DM5EB 

0.869 

10 

1,2-ジエチルベンゼン 

12DEB 

0.884 

10 

1-メチル-2-プロピルベンゼン 

1M2PB 

0.878 

10 

1,4-ジメチル-2-チルベンゼン 

14DM2EB 

0.881 

10 

1,3-ジメチル-4-エチルベンゼン 

13DM4EB 

0.880 

10 

1,2-ジメチル-4-エチルベンゼン 

12DM4EB 

0.879 

10 

1,3-ジメチル-2-エチルベンゼン 

13DM2EB 

0.895 

10 

1,2-ジメチル-3-エチルベンゼン 

12DM3EB 

0.896 

10 

1,2,4,5-テトラメチルベンゼン 

1245TeMB 

0.891 

10 

1,2,3,5-テトラメチルベンゼン 

1235TeMB 

0.894 

10 

1,2,3,4-テトラメチルベンゼン 

1234TeMB 

0.909 

10 

インダン 

Indan 

0.968 

 9 

ナフタレン 

Naph 

0.975 

10 

図 2 TCEPカラムによる分解ガソリンのクロマトグラム(一例) 

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11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 3 PEG-20Mカラムによる分解ガソリンのクロマトグラム(一例) 

10. 計算方法及び精度 計算方法及び精度は,次による。 

10.1 計算方法 計算方法は,次による。 

a) 芳香族炭化水素のそれぞれの濃度を次の式で求め,小数点以下2けたまで計算する。芳香族炭化水素

のうち,ベンゼン,トルエン及びキシレン(o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン及びエチルベンゼ

ンの各濃度を集計)は,JIS Z 8401の規定によってそれぞれ丸めの幅を0.1に丸める。 

W

f

A

W

A

C

×

×

×

×

=

iw

s

s

i

iw

100 

ここに, Ciw: 芳香族炭化水素iの濃度(質量%) 
 

Ai: 芳香族炭化水素iのピーク面積積分値 

As: 内標準物質のピーク面積積分値(4) 

Ws: 内標準物質のはかり採り量(g) 

W: 試料のはかり採り量(g) 

fiw: 芳香族成分iの炭素数に応じた質量相対感度(5) 

注(4) 内標準物質と同一保持時間の成分が試料中に含まれている場合には,内標準物質のピーク面積

積分値を次の式によって求める。 

d

c

b

s

A

A

A

A

A

×

=

ここに, As: 内標準物質のピーク面積積分値 
 

A: 9.2で記録した内標準物質cis-デカリン又はn-ウンデカンと内

標準物質と同一保持時間の成分との合計のピーク面積積分値 

Ab: 9.1で記録した内標準物質と同一保持時間の成分のピーク面積

積分値 

Ac: 9.2で記録したエチルベンゼンのピーク面積積分値 

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12 

K 2536-3:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Ad: 9.1で記録したエチルベンゼンのピーク面積積分値 

(5) 表7に示す炭素数8,9及び10の芳香族炭化水素の質量相対感度は,7.3 b)3)で求めた質量相

対感度を用いる。ただし,C8芳香族炭化水素成分はエチルベンゼンの質量相対感度,C9芳香族

炭化水素成分は1,2,4-トリメチルベンゼンの質量相対感度,C10芳香族炭化水素成分は,n-ブチ

ルベンゼンの質量相対感度を用いる。 

なお,同定できない個々の芳香族炭化水素については,n-ブチルベンゼンの質量相対感度を

用いる。 

b) a)で求めた芳香族炭化水素の濃度を次の式によって集計し,芳香族分の濃度を求め,JIS Z 8401の規

定によって丸めの幅を0.1に丸める。 

iW

3W

2W

1W

AW

C

C

C

C

C

+

+

+

+

=

・・・・

ここに, CAW: 芳香族分の濃度(質量%) 
 

CiW: 芳香族炭化水素iの濃度(質量%) 

備考1. 濃度を容量%で算出する場合は,次の式で計算する。ただし,同定できない個々の芳香族炭

化水素の密度については,0.88を用いる。 

i

iw

iv

d

d

C

C

×

=

iV

3V

2V

iV

AV

C

C

C

C

C

+

+

+

+

=

・・・・

ここに, CiV: 芳香族iの濃度(容量%) 
 

CAV: 芳香族分の濃度(容量%) 

di: 表7に示す芳香族炭化水素の15 ℃の密度(g/cm3) 

d: JIS K 2249の規定によって測定した試料の15 ℃の密度

(g/cm3) 

2. メタノール,MTBE及び灯油分は,10.1 a)及び備考1.に準じて計算し,JIS Z 8401の規定に

よって丸めの幅を0.1に丸める。 

なお,メタノール,MTBE,n-トリデカン及びn-テトラデカンの密度は,表8を用いる。 

表 8 各成分の密度 

単位 g/cm3 

成分 

密度 15 ℃ 

メタノール 

0.796 

MTBE 

0.745 

n-トリデカン 

0.756 

n-テトラデカン 

0.762 

3. 灯油分は,備考2.で求めたn-トリデカン及びn-テトラデカンの合計量(容量%)に係数14(6)

を乗じて,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅を0.1に丸める。ただし,灯油分が1.0容量%

未満の場合は,すべて1.0容量%未満とする。 

注(6) 市販灯油中のn-トリデカンとn-テトラデカンの合計量の平均値に,市販灯油間のこれらの成分

のばらつき(3シグマ限界)を考慮して算出した係数。 

10.2 精度 精度は,次による。 

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。 

備考 試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。 

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13 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回試

験したときの試験結果の差の許容差を表9に示す。 

b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し

たとき,2個の試験結果の差の許容差を表9に示す。 

表 9 精度 

単位 質量% 

成分 

濃度範囲 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

ベンゼン 

0.5〜5 

0.04X+0.11 

0.13X+0.33 

トルエン 

5〜25 

0.06X 

0.18X 

キシレン 

3〜15 

0.07X 

0.21X 

芳香族分 

− 

X(740−3.35X)10-4+0.06 

X(1 400−5.69X)10-4+0.11 

備考 Xは各成分の試験結果の平均値。 

参考 表9に示す芳香族分の式によって算出した許容差を参考図1に示す。 

参考図 1 精度 

11. 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) 日本工業規格番号:JIS K 2536-3 

c) 10.1によって得られた結果 

d) 特記事項