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日本工業規格

JIS

 K

2519

-1995

潤滑油−耐荷重能試験方法

Lublicating oil

−Testing methods for load carrying capacity

1.

適用範囲  この規格は,主として極圧潤滑油の耐荷重能を測定する方法について規定する。

備考1.  この規格は危険な試薬,操作及び装置を使うことがあるが,安全な使用方法をすべてにわた

って規定しているのではないので,使用に先立って,適切な安全及び健康上の禁止事項を決

めておくとよい。

2.

この規格の引用規格を,

付表 に示す。

3.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであり,平

成 7 年 4 月 1 日以降,参考とする。

なお,≪  ≫を付けて示してあるのは,試験機における表示単位及び数値であって参考値

である。

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

耐荷重能  規定の試験機を一定の摩擦条件下で運転したときの滑り摩擦接触面に,焼付きその他の損

傷を起こさず,潤滑油によって支え得る最大荷重又は最大圧力。

曾田式四球法では合格限界荷重,チムケン法では OK 値で表す。

(2)

摩耗  機械的若しくは化学的な作用又は両者の複合によって試験用鋼球又は試験ブロック表面が損傷

すること。

(3)

摩耗こん  試験用鋼球又は試験ブロックの表面が摩耗によって損傷したこん跡。

(4)

焼付き  試験用鋼球又は試験カップと試験ブロックとの摩擦面における金属の部分的溶融。ここにい

う焼付きは,摩擦面が完全に接着するほど,甚だしい状態に達する以前の摩擦面の一部にでも目視で

溶融が認められるような場合を指す。

曾田式四球法では,ねじり指針の振れが一定の値を超えたときを焼付きといい,焼付きを生じない

最大油圧荷重を合格限界荷重,焼付きを生じる最小油圧荷重を焼付き限界荷重という。

(5)

スコーリング  チムケン法で,試験ブロック表面に現れる種々の摩耗こんの中で図 8(m)(q)に示す状

態をスコーリング,

図 8(a)(d)に示す状態をスコーリングなし,スコーリングを生じない最大荷重(荷

重皿に加えられたおもりの質量値)を OK 値,スコーリングを生じる最小荷重をスコア値という。

備考1.  最も一般的なスコーリングの形態は図8に示すように,比較的正常な摩耗こんの一部に局部的

な金属溶融を示す損傷のあるもので,通常溶融は摩耗こんの幅からはみ出して現れる。試験

カップの対応する表面には,あまりひどくない条こんを生じるのが普通である。

2.

チムケン法では,試験中,一般に試験カップ表面に生じる条こんと油中への多量の摩耗粉の

混入,異常音,振動などによって焼付きの生じたことを知ることができるが,焼付きの程度

が少ない場合は回転停止後,摩擦面を点検してはじめて分かることもある。


2

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3.

試験方法の種類  試験方法は,次の 2 種類とする。

(1)

曾田式四球法  曾田式四球摩擦試験機によって潤滑油の耐荷重能を試験する方法。

(2)

チムケン法  チムケン式極圧試験機によって潤滑油の耐荷重能を試験する方法。

備考  チムケン法試験カップ及び試験ブロックの品質及び検査方法については,附属書に示す。

4.

曾田式四球法

4.1

試験の原理  試験用鋼球を試料容器及び縦軸に固定し,試料容器に試料を満たす。縦軸を回転せず

静止のままで試験油圧に負荷してから毎分 750 回転で回転させ,規定時間内における焼付きの有無を調べ

る。この操作を 1 回ごとに試験用鋼球及び試料を変えて繰り返し,合格限界荷重を求め,これを耐荷重能

とする。

また,このときの摩耗こんの平均直径を求める。

4.2

曾田式四球摩擦試験機  図 及び図 に示す形状・寸法のもので,駆動部分,負荷部分及び試験部

分の 3 部分からなる。

(1)

駆動部分

(a)

縦軸駆動用電動機(

1

)

は,1.5kW 以上の三相交流誘導電動機とし,回転数は,周波数 50Hz で毎分 1 000

回転,60Hz で毎分 1 200 回転のもの。この電動機のベルト車の外径は,50Hz の場合 57.0mm,60Hz

の場合 47.5mm とする。

(

1

)

駆動用電動機は,変速式のものを用いると便利である。

(b)

歯車ポンプ駆動用電動機は,0.75kW 以上の三相交流誘導電動機とし,回転数は,周波数 50Hz で毎

分 1 500 回転,60Hz で毎分 1 800 回転のもので,歯車ポンプと直結させる。

(c)

縦軸外筒は,

図 に示すように,上部のラジアル玉軸受と下部のアンギュラ形ラジアル玉軸受とに

よって推力受台に取り付けられている回転体で,上端に外径 75.0mm のベルト車を備える。縦軸は,

縦軸外筒の内部を上下に移動し得る外径約 23mm,長さ約 200mm のもので,2 個の止め穴があり,

このいずれか一つと止めボルトで縦軸外筒に固定する。

(d)

駆動用ベルトは,幅約 25mm で,2 個の遊び車を経て,縦軸駆動用電動機用ベルト車と縦軸外筒用

ベルト車とに掛ける。


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図 1  曾田式四球摩擦試験機(一例)


4

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図 2  曾田式四球摩擦試験機(一例)

(2)

負荷部分

(a)

加圧用歯車ポンプは,最大使用圧力約 1.96MPa {20kgf/cm

2

}

,最大吐出量約 7L/min の容量のもの。

(b)

油タンクは直立円筒形で,その中央にふた付き注油口及び油面計を備え,下部には,ろ過用金網(

2

)

を取り付けた吸油口を備える。

なお,吸油口の出口には,吸油弁を取り付ける。

(

2

)

ろ過用金網は,JIS Z 8801に規定する425

µm を使用する。


5

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(c)

シリンダーは,油タンクの上部に接続し,内径 80.1mm で,その内部に加圧用ピストンを収める。

(d)

ピストンは,外径 80.0mm の中空の円筒状で,上部の円筒ころ軸受と下部の円筒ころ軸受とによっ

てシリンダー内に支えられたその上端には,試料容器を載せる支え台を備える。

(e)

支え台の下端は,スプラインになっており,ねじり棒固定台の内部に固定されているねじり棒に取

り付けたスプラインとはめ合わされて,上下に滑るような構造のもの。

(f)

ねじり棒は,直径 5mm,長さ約 350mm の JIS G 3522 に規定する A 種又は B 種とし,4.4 に従って

校正したとき,荷重 118N {12kgf}  におけるねじり目盛(度)が 25∼29 の範囲にあるもの。

(g)

圧力計(

3

)

は,JIS B 7505 に規定する最大目盛 1.47MPa {15kgf/cm

2

}

,細分目盛 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

のもの。

(

3

)

圧力計は,狂いを生じやすいので,時々検査する。

(h)

加圧用油は,JIS K 2213 に規定する 2 種(添加)ISO VG 68 を用い(

4

)

,油タンク内の規定油面まで

満たす。

(

4

)

少なくとも1年に1回,交換して用いる。

(3)

試験部分

(a)

試料容器は,

図 に示す形状・寸法のもの。

また,試料容器の内部には,3 個の試験用鋼球を球押さえで固定できるもの。

(b)

試験用鋼球は,JIS B 1501 に規定する 3/4(呼び直径 19.05mm)

,等級 40 のもの。

図 3  試験部分の組立図

(4)

器具

(a)

顕微鏡  試験用鋼球の摩耗こんを 0.01mm のけたまで測定できるもの。

備考  顕微鏡は視野にマイクロスケールの入ったものが便利である。

(b)

時計  時間を 1 秒のけたまで測定できるストップウオッチ。

(c)

温度計  JIS B 7410 に規定する COC 32。


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(d)

トルクレンチ  試験容器の締付ボルトを 9.8N・m {100kgf・cm}  程度に締付できるもの。

4.3

洗浄用溶剤  曾田式四球法の洗浄用溶剤は,次による。

(1)

工業ガソリン  JIS K 2201 に規定する種類 1 号。

(2)

アセトン  JIS K 1503 に規定するもの。

4.4

ねじり棒の校正法  この試験では,摩擦によるねじりモーメントをねじり棒のモーメントとつり合

わせ,そのねじり目盛が各荷重における一定の値を超えたときを焼付きとするため,用いるねじり棒は,1

年ごとに,又は誤った操作によって異常を生じたと思われる場合に校正する。

(1)

図 に示すように,油タンクの上面に取り付けてあるインジケーターを取り外し,代わりに支え腕を

取り付ける。この支え腕には,転がり軸受を内蔵した遊び車が付けてある。294N {30kgf}  の荷重に耐

えるひもを支え台背面のピンに掛け,支え台外周(半径 57mm)に沿って手前に引き出し,遊び車を

経て荷重つり皿に結び付ける。荷重つり皿は,4.9N {0.5kgf}  の荷重に調整する。おもりは,試験機に

附属している蓄圧器用おもり(1 枚の質量 500±2g)を用いる。

(2)

試料容器に 3 個の鋼球を固定し,縦軸にも 1 個の鋼球を固定する。縦軸を下げて,止めボルトで固定

する。

次に縦軸駆動用ベルトを外し,油圧調整弁及び吸油弁を全開にし,インジケーター用コック(又は

バルブ)を閉じる。歯車ポンプ駆動用電動機を始動し,試料容器の動きに注意しながら油圧調整弁を

絞っていくと,支え台が浮き上がる。試料容器の 3 個の鋼球と,縦軸の 1 個の鋼球が軽く接触するよ

うに,油圧調整弁を加減する。荷重つり皿を持ち上げて無負荷とし,ねじり棒の 0 点を目盛板で読み

取る。このとき,支え台を軽く左右に振らせた後,停止点の目盛を読むとよい。

次に,荷重つり皿を降ろしておもりを 1 枚載せて荷重を 9.8N {1kgf} とし,ねじり目盛を読む。こ

のときも,荷重つり皿を上下に振らせた後,停止の位置で目盛を読むとよい。さらに,おもりを 2 枚

ずつ加え,同じ操作で目盛を読む。このように 0N {0kgf},9.8N {1kgf},19.6N {2kgf}……と最大荷重

が 147N {15kgf}  になるまで 9.8N {1kgf}  ごとに目盛を読む。147N {15kgf}  になったら,前とは逆に

9.8N {1kgf}

ずつ荷重を減らし,同様の操作で 0N {0kgf} まで目盛を読む。これを 3 回繰り返す。目

盛の読みは,小数点以下 1 けたまで読む。

(3)

測定された各荷重ごとの 6 回の値を算術平均し,JIS Z 8401 の規定によって小数点以下 1 けたに丸め

る。

方眼紙の縦軸に荷重 (N {kgf}) を,横軸にねじり目盛(度)を取り,荷重−ねじり目盛線図を書き,

これを校正線図とする。


7

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図 4  ねじり棒校正装置

4.5

試料の採取及び調製方法  試験用試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料

の調製方法,又はそれに準じた方法によって行う。

4.6

試験の準備  曾田式四球法の試験の準備は,次による。

(1)

試験用鋼球,試料容器,ナット,球押さえ及び縦軸下端周辺を工業ガソリンによって洗浄し,さらに,

少量のアセトンで洗浄して乾燥させる。

備考  試験用鋼球,試料容器の内壁など,耐荷重能に影響を与える部分の取扱いには注意し,指など

で触れたり,試料以外の油を付着させてはならない。

(2)

試験に先立ち,油圧調整弁,吸油弁,蓄圧器弁,インジケーター弁及び圧力計弁を全開する。

(3)

縦軸回転数が毎分 750±30 回転であることを確認しておく。

(4)

縦軸の下端に 1 個の試験用鋼球(以下,回転球という。

)をナットで固定する。試料容器には,3 個の

試験用鋼球(以下,固定球という。

)を入れ,これを球押さえの三角溝部分で押さえ,ボルトで固定し

て,試料容器を支え台に取り付ける。この際,試料容器と球押さえとに記されているマークを合わせ,

3

個の固定球を均一に固定するように,ボルトを均等に締める(

5

)

(

5

)

ボルトの締付けは,トルクレンチをあらかじめ約9.8N・m{約100kgf・cm}にセットしておいて

用いると便利である。

(5)

縦軸を下げ,回転球を 3 個の固定球に接触させて,接触点の状態を調べる(

6

)

(

6

)

これには,つや消しトレーシングペーパーを回転球との間に挿入し,縦軸の上端を軽くたたき,

トレーシングペーパーの打こん(痕)を調べるとよい。この際,3個の打こんの大きさがほぼ均

等になるように,ボルトの締め具合によって固定球を調整する。


8

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(6)

試料(約 70ml)を試料容器中の固定球の上端が没するまで入れ,測定初期油温を 25±5℃とする。

(7)

縦軸を降ろし,上部の止め穴で確実に縦軸外筒に固定する。

4.7

試験の手順  曾田式四球法の試験の手順は,次による。

(1)

歯車ポンプ駆動用電動機を始動する。

(2)

試料の合格限界荷重を予測し,それに相当する油圧荷重から試験を始める。

(3)

蓄圧器用プランジャー(

7

)

の上に試験油圧荷重に相当するおもり(プランジャーの荷重を含む。

)を載せ,

圧力計を見ながら油圧調整弁を絞り,試験油圧荷重まで油圧を上げる(

8

)

。この際,蓄圧器用プランジ

ャーがプランジャー止めに接触しないようにしておもりを軽く回転しながら圧力の平衡を保つ。

(

7

)

プランジャーの荷重は4.9N {0.5kgf}  で,油圧0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

に相当する。

(

8

) 30

秒間以内に試験油圧荷重まで上げ,その後 5 秒間以内に始動する。

(4)

縦軸駆動用電動機を始動し,同時にストップウオッチを始動して,ねじり指針の動きを注視しながら

焼付き(

9

)

が認められなければ 60∼63 秒間保つ。

(

9

)

ねじり指針の振れを測定するには,目視で行うより,ねじり目盛記録装置によるのが正確であ

る。

(5)

試験中ねじり指針の振れが,それぞれの試験油圧に対し,

表 に示す目盛を超えたときを焼付きとす

る。

表 は個々の試験機の種々の強さのねじり棒に対する各試験油圧での焼付きねじり目盛を示したも

のである。


9

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表 1  焼付き判定表

荷重 118N {12kgf}  における校正ねじり目盛(

10

)

(度)

25.0 26.0 27.0 28.0 29.0

試験油圧

MPa {kgf/cm

2

}

焼付きねじり目盛(

11

)

(度)

0.049 { 0.5}

 1.0

 1.0

 1.1

 1.1

 1.2

0.098 { 1.0}

 2.5

 2.6

 2.7

 2.8

 2.9

0.147 { 1.5}

 4.1

 4.3

 4.4

 4.6

 4.7

0.196 { 2.0}

 5.6

 5.9

 6.1

 6.3

 6.5

0.245 { 2.5}

 7.2

 7.5

 7.8

 8.0

 8.3

0.294 { 3.0}

 8.7

 9.1

 9.4

 9.8

10.1

0.343 { 3.5}

10.3

10.7

11.1

11.5

11.9

0.392

{

4.0}  11.8 12.3 12.8 13.2 13.7

0.441 { 4.5}

13.4

13.9

14.4

15.0

15.5

0.490 { 5.0}

14.9

15.5

16.1

16.7

17.3

0.539 { 5.5}

16.5

17.1

17.8

18.4

19.1

0.588 { 6.0}

18.0

18.7

19.5

20.2

20.9

0.637 { 6.5}

19.6

20.3

21.1

21.9

22.7

0.686 { 7.0}

21.1

22.0

22.8

23.6

24.5

0.736 { 7.5}

22.6

23.5

24.5

25.4

26.3

0.784 { 8.0}

24.2

25.2

26.1

27.1

28.1

0.834 { 8.5}

25.8

26.8

27.8

28.8

29.9

0.883 { 9.0}

27.3

28.4

29.5

30.6

0.932 { 9.5}

28.8

30.0

0.980 {10.0}

30.4

使用例

例えば,校正ねじり目盛 26.4 を示すねじり棒の試験機で,0.441MPa

{4.5kgf/cm

2

}

油圧荷重で試験するときの焼付きねじり目盛は,14.1 である。

(

10

)  4.4

の校正によるねじり棒の強さを示す。

(

11

)

ねじり棒の強さは,4.2(2)(f)に規定された範囲で試験機ごとに異なるので,

一定の摩擦係数又は摩擦モーメントに対応するねじり目盛は,表のようにそ
れぞれ異なっている。表の 5 個の校正ねじり目盛の中間値に対応する焼付き
ねじり目盛は,内挿法によって求める。

備考  焼付きが生じたら,直ちに油圧調整弁を開き,歯車ポンプ駆動用電動機及び

縦軸駆動用電動機を停止する。

(6) 60

∼63 秒間経過したら,直ちに油圧調整弁を開き,歯車ポンプ駆動用電動機及び縦軸駆動用電動機を

停止する。

(7)

回転が止まったら縦軸を上げ,試料及び試験用鋼球を新しく取り替える。

(8)  (4)

で焼付きが認められなければ,試験油圧荷重を 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

ずつ高くし,焼付きが生じ

るまで(1)(7)の操作を行う。

(4)

で焼付きが認められたならば,試験油圧荷重を 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

ずつ低くし,焼付きが生

じなくなるまで(1)(7)の操作を行う。

(9)  (8)

で焼付きが生じる最小油圧荷重が得られたら同一油圧荷重で更に第 2 回目の操作を行い,再び焼付

きが生じた場合は,そのときの油圧荷重を焼付き荷重とする。この第 2 回目の操作で焼付きが生じな

い場合には,第 3 回目の操作を行い,焼付きが生じた場合はその油圧荷重を焼付き荷重,また,焼付

きが生じない場合には合格荷重とする。

(10) (9)

で,ある油圧荷重が試料に対する焼付き荷重と判定されたら,更にそれより 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

低い油圧荷重で試験を繰り返し,合格荷重が得られたら,

そのときの油圧荷重を合格限界荷重とする。

焼付き限界荷重は,合格限界荷重に 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

加えた値とする。


10

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(11)  (9)

で,ある油圧荷重が試料に対する合格荷重と判定されたら,更にそれより 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

い油圧荷重で試験を繰り返し,焼付き荷重が得られたら,そのときの油圧荷重を焼付き限界荷重とす

る。

合格限界荷重は,焼付き限界荷重から 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

減じた値とする。

(12) (8)

で焼付きが生じない最大油圧荷重が得られたら同一油圧荷重で更に第 2 回目の操作を行い,再び焼

付きが生じない場合は,そのときの油圧荷重を合格荷重とする。この第 2 回目の操作で焼付きが生じ

た場合には,第 3 回目の操作を行い,焼付きが生じない場合はその油圧荷重を合格荷重,また,焼付

きが生じた場合には焼付き荷重とする。

(13) (12)

で,ある油圧荷重が試料に対する合格荷重と判定されたら,更にそれより 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

高い油圧荷重で試験を繰り返し,焼付き荷重が得られたら,そのときの油圧荷重を焼付き限界荷重と

する。合格限界荷重は,焼付き限界荷重から 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

減じた値とする。

(14) (12)

で,ある油圧荷重が試料に対する焼付き荷重と判定されたら,更にそれより 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

低い油圧荷重で試験を繰り返し,合格荷重が得られたら,

そのときの油圧荷重を合格限界荷重とする。

焼付き限界荷重は,合格限界荷重に 0.049MPa {0.5kgf/cm

2

}

加えた値とする。

(15)

取り外した試験済みの 3 個の固定球は,必要に応じ摩耗こんを 0.01mm のけたまで読む。

備考  摩擦モーメントが一定値以下になるような合格荷重においても,摩耗こん内には,部分的焼付

きが生じている場合と生じていない場合とがあり,それに応じて摩耗こん径の大きさは,かな

り異なる。

参考  試験の手順を図式化して示すと参考図 のようになる。


11

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参考図 1  限界荷重を求める試験手順

4.8

結果  曾田式四球法の結果は,次による。

(1)

合格限界荷重を,JIS Z 8401 の規定によって 0.05MPa {0.5kgf/cm

2

}

単位に丸め,これを試料の耐荷重

能とする。

(2)

合格限界荷重における 2 回の繰返し試験(合格)で得られた 6 個の固定球の摩耗こん直径を顕微鏡を

用いて,滑り方向及びそれと直角方向に 0.01mm のけたまで測り,12 個の測定値の平均を JIS Z 8401

の規定によって 0.01mm の単位に丸め,これを摩耗こん径とする。

4.9

試験結果の報告  試験結果には,次の事項を記載する。

(1)

試料名,採取場所及び採取年月日

(2)  JIS

の規格番号:JIS K 2519

(3)

試験方法の名称及び 4.8 によって得られた結果

(4)

特記事項


12

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5.

チムケン法

5.1

試験の原理  試験カップを取り付けた試験機の上部試料槽に約 3L の試料を満たした後,試験機系内

を約 15 分間循環させながら,40∼42℃になるまで加熱する。

試験機に試験ブロックを取り付け,自動負荷装置に試験荷重のおもりを載せた後,給油弁を開き,試料

が下部試料槽に約半分たまったとき,試験機を規定の回転速度で駆動させ,30 秒間ならし運転を行う。な

らし運転後自動負荷装置を始動させて,試験ブロックと試験カップの間の潤滑油膜に荷重をかけ,10 分±

15

秒間におけるスコーリングの有無を調べる。この操作を 1 回ごとに新しい試験カップ及び試験ブロック

の新しい面を用いて繰り返し,OK 値及びスコア値を求める。

参考  この方法は,ASTM D 2782 を参考に規定した。

5.2

チムケン式極圧試験機  図 に示す形状・寸法のもので,駆動部分,負荷部分及び試験部分の 3 部

分からなる。

(1)

駆動部分

(a)

電動機は,1.5kW 以上の誘導電動機又はそれに相当するもので,回転軸を毎分 800±5 回転させるこ

とができるもの。

参考  電動機は,試験機の回転軸を荷重の大小にかかわらず毎分 800±5 回転に保つことができる

ものが望ましい。

(b)

回転軸は,2 個の転がり軸受で支持された水平軸で,先端が先細り円すい状になっているもので,

これに試験カップを固定できる固定用ナットを備えたもの。

備考  回転軸の半径方向の振れは,無負荷状態で手回しによる測定で 0.013mm 以下でなければな

らない。

また,回転軸に試験カップを取り付けた状態で試験カップ表面での半径方向の振れが

0.025mm

以上である場合は,試験結果に影響が生じる。このような場合は,回転軸や支持

軸受が摩耗しているか,損傷していることを意味するので,回転軸系を交換しなければな

らない。

(2)

負荷部分

(a)

レバー機構は,負荷レバーと摩擦レバーとからなる。負荷レバーには試験ブロックを取り付けたブ

ロックホルダーを載せ,摩擦レバーの刃形支点の上に載せる。摩擦レバーは刃形支点受けを介して

下部試料槽の中の刃形支点に載せ,片側(無負荷側)は止めピンによって支える。

(b)

負荷レバーの機械的てこ定数は 10 で,負荷レバーにかけた荷重皿上の荷重は 10 倍の力で試験ブロ

ックにかかる。負荷レバー右端の溝に 4.41N {0.45kgf}  荷重がかかれば,試験ブロックを押し上げる

負荷は,44.1N {4.5kgf}  の力となって働く。

負荷レバーと荷重皿の質量による付加荷重,すなわち,負荷レバー定数は,各試験機の負荷レバ

ーに刻印されている。

(c)

自動負荷装置は,荷重を載せた荷重皿を受ける荷重台と,これを一定速度で昇降させるスクリュー

ねじ部,電動機とそのスイッチなどからなり,荷重台の下部は通常ばねで受けてある。負荷レバー

に荷重を加えるとき,その負荷速度を毎秒 8.8∼13.3N {0.90∼1.36kgf}  の範囲の均一な速度にでき,

かつ,衝撃がないように負荷できること。

自動負荷装置の負荷速度は,次の式によって求める。


13

K 2519-1995

2

1

l

l

v

W

L

r

+

×

=

ここに,

L

r

:  負荷速度 (N/s) {kgf/s}

W

:  荷重 (N) {kgf}

v

:  自動負荷装置の荷重台の昇降速度 (mm/s)

l

1

:  試験機の荷重皿に 9.80N {kgf}  の荷重をかけたときのつり

ばねの伸び (mm)

l

2

:  自動負荷装置に荷重皿,つりばね及び 9.80WN {kgf}  の荷重

をかけたときの荷重台の変位(沈み)(

12

)(mm)

(

12

)

荷重台の下部をばねで受けていない自動負荷装置の場合は,l

2

=0とする。

参考  自動負荷装置の負荷速度は,ASTM D 2782 ANNEXES A 1.2.5 によって求めることもできる。

(3)

試験部分

(a)

試料供給装置は,加熱器を備えた上部試料槽,給油弁付き給油管,下部試料槽,ポンプ及び戻り管

からなる。給油弁からの試料は,試験カップと試験ブロックの間に供給され,下部試料槽に入り,

ポンプで上部試料槽に戻される。

(b)

試験カップは,円すい転がり軸受の外輪と同様の形状のもので,浸炭焼入れした鋼製のものとし,

品質及び検査方法は,

附属書による。

(c)

試験ブロックは,幅 12mm,長さ 10mm の四面体で,浸炭焼入れした鋼製のものとし,品質及び検

査方法は,

附属書による。

(d)

ブロックホルダーは,ブロック止めピンと鋼製のくさびによって試験ブロックを正しい位置に固定

できるもので,回転軸のガイドブッシングにはまる 1 対の腕部を備え,底部には負荷レバー上に載

る刃形支点をもっている。

ブロックホルダーは刃形支点によって試験カップと試験ブロックが正しく線接触して,均一な圧

力を受けるように設計されている。

(4)

器具

(a)

顕微鏡  試験ブロックの摩耗こんの幅を±0.05mm の精度で測定できるもの。

備考  顕微鏡は視野にマイクロスケールの入ったものが便利である。

(b)

時計  時間を 1 秒のけたまで測定できるストップウオッチ。

(c)

ダイヤルゲージ  JIS B 7503 に規定するもの。

(d)

マイクロメータ  JIS B 7502 に規定するもので,0.001mm のけたまで測定できるもの。

(e)

温度計  JIS C 1601 に規定する 1.0 級のもの。又はこれに相当するガラス製温度計とする。

(f)

金網  JIS Z 8801 に規定する目の開き 75

µm のもの。

(g)

永久磁石


14

K 2519-1995

図 5  チムケン式極圧試験機

5.3

洗浄用溶剤  チムケン法の洗浄用溶剤は,次による。

(1)

灯油  JIS K 2203 に規定する 1 号灯油。

(2)

アセトン  JIS K 1503 に規定するもの。

5.4

試料の採取及び調製方法  試験用試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料

の調製方法,又はそれに準じた方法によって行う。

5.5

試験の準備  チムケン法の試験の準備は,次による。


15

K 2519-1995

(1)

上部試料槽,下部試料槽,金網及び永久磁石に付着している金属粉と試料油を柔らかい布又は灯油で

取り除き清浄にした後,アセトンで洗浄し乾かす。

備考1.  金網は,下部試料槽の油戻り穴に取り付ける。

2.

永久磁石は,下部試料槽の摩擦レバーの真下に取り付ける。

(2)

上部試料槽への戻り管を別の容器に受け,下部試料槽の油戻り穴に灯油を注ぎながらポンプを回転さ

せ,戻り管及びポンプ内部を清浄にする。次いで少量のアセトンで同様の操作を行った後乾かす。

備考  アセトンの使用時には換気を十分行うと同時に,電源火花などによる引火に注意する。

(3)

ブロックホルダー,負荷レバー,摩擦レバー,カバー及び回転軸の試験カップ取付け部,ガイドブッ

シングを灯油で洗浄した後,さらに,少量のアセトンで洗浄し乾かす。

(4)

ブロックホルダーなどを取り付けないで試料約 1L を上部試料槽に入れ,試験機系内を循環させて共

洗いし,共洗い油を捨てる。

(5)

新しい試験カップと試験ブロックは灯油で洗浄し,清浄で柔らかい布又は紙でふいて乾かす。

また,使用する直前にアセトンですすぎ洗いして乾かす。

備考  試験カップ及び試験ブロックは,洗浄・乾燥後,手指などで汚してはならない。

(6)

試験カップを回転軸に取り付け,逆ねじの止めナットで確実に固定する。ただし,あまり堅く締め付

けて試験カップにひずみを生じさせることは避けなければならない。

次いで,試験機の適当な位置にダイヤルゲージを固定し,試験カップ表面で半径方向に直角に触針

先端を当て,回転軸を手回しによって回転させ,取り付けた試験カップが規定の振れ (0.025mm) 以内

で回転することを確認する。振れが規定値を超えるときは,カップを取り替えて再測定する。

備考  回転軸及びこれに取り付けた試験カップの温度は,65℃以下でなければならない。

(7)

試料約 3L を試験機の上部試料槽に入れる。試料の飛散を防ぐためカバーをした後,給油弁を全開に

し,ポンプを駆動して約 15 分間循環させながら,加熱器で 40∼42℃(

13

)

に予熱する。

(

13

)

温度の検出は上部試料槽の給油管にできるだけ近いところに温度計又は熱電対の先端が位置す

るように取り付ける。

備考 40℃の動粘度が約 5 000mm

2

/s {cSt}

以上の高粘度試料の場合は,十分な循環給油ができないこ

とがある。この場合は,OK 値やスコーリングに影響しない循環給油量を得るために 65℃以下

の範囲内で試料の温度を高くして試験するか,又は別の試料供給装置を使用してもよい。

(8)

給油弁を閉じ,ポンプを停止し,試験ブロックを取り付けたブロックホルダーを

図 に示す位置に取

り付ける。次に,

図 に示すように,すべての刃形支点が適正な位置になるように負荷レバー及び摩

擦レバーを調整する。

これらの取付けが完全であれば,摩擦レバーの先端を上下に軽く 2,3 回動かしたとき,負荷レバー

には横振れを生じない。横振れのあるときは,ブロックホルダーとレバーの取付けをやり直す。

(9)

給油管先端と試験カップの間隔を約 1.6mm に調整し,給油弁をわずかに開き,試料を試験カップ及び

試験ブロックに少量付着させ,回転軸を時計回りに 2,3 回手回しする。このとき,試験カップと試験

ブロックが正しく接していれば,試料は試験カップの幅全体にわたり均一な薄い油膜となる。


16

K 2519-1995

図 6  試験部分の組立図

図 7  レバー配置図

(10)

自動負荷装置の荷重台の高さをあらかじめ調整(

14

)

しておき,荷重皿を載せ,その上に試験荷重のおも

りを載せる。

荷重皿上部のかけがねが,負荷レバーの先端で無負荷の状態になるような位置にする。このとき,

負荷レバーに衝撃や横振れを与えないよう十分注意する。

(

14

)

自動負荷装置の荷重台の高さは,装置を駆動し始めてから,負荷レバーに負荷がかかり始まる

までの時間が約5秒間以内になるように調整する。

5.6

試験の手順

5.6.1

試料の測定  チムケン法の試料の測定は,次による。

(1)

試料について OK 値が予測できる場合は,その OK 値から試験を開始する。OK 値が予測できない場

合は,荷重 133N《30Lb》から試験を始める。負荷レバー及び荷重皿の質量は,荷重の一部とはみな

さない。

(2)

ブロックホルダーとレバー機構の取付けを狂わせないように注意して,カバーを取り付けてから,給

油弁を全開にし,試料が下部試料槽に約半分以上たまったとき,試験機の駆動を始め,30 秒間ならし

運転(

15

)

を行う。

(

15

)

ならし運転は,最初の15秒間で毎分800±5回転になるよう回転速度をゆっくり上昇させること

が望ましい。

(3)

自動負荷装置と時計を同時に始動して,

負荷速度が毎秒 8.8∼13.3N {0.90∼1.36kgf}  になるように荷重

をかける。

荷重が完全にかかるまでの間に,振動や異常音を生じた場合は,直ちに自動負荷装置を止め,試験

機を停止すると同時に給油弁を閉じる。


17

K 2519-1995

荷重がかかってから 10 分間以内に振動や異常音を生じた場合も,試験機を停止し給油弁を閉じる。

(4)

試験中振動や異常音発生の徴候が認められないときは,荷重をかけ始めてから 10 分±15 秒間試験を

続ける。

(5) 10

分間後,試験機を停止し給油弁を閉じ,負荷レバーに衝撃を与えないように注意しながら手又は自

動負荷装置の逆運転によって荷重を取り除く。次いで,カバーを外し,ブロックホルダーとレバー機

構を取り外す(

16

)

(

16

)

ブロックホルダーが摩擦熱で高温になっているので,やけどをしないよう注意する。

(6)

試験ブロックの表面状態を 5.6.2 によって判定し,スコーリングが認められなければ,(7)の手順に,

スコーリングが認められれば(9)の手順に移る。取付不良,複数の摩耗こん,ゴーストスコアが認めら

れた場合は,スコーリングの有無にかかわらず再試験を行う。

(7)  (6)

でスコーリングが認められなければ,再度上部試料槽の中の試料を 40∼42℃に保ち,新しい試験カ

ップを回転軸に取り付け,更に試験ブロックも新しい面が試験面になるようにブロックホルダーに取

り付けた後,負荷レバーの荷重を次の要領に従って,(6)の荷重より高くして(2)(6)に従って試験を行

う。

この操作をスコーリングが生じるまで繰り返す。

(a)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》未満のときは,26.7N《6Lb》ずつ高くする。

備考  負荷レバーの荷重が 120.1N《27Lb》のときは,155.7N《35Lb》まで荷重を高くする。

(b)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》以上のときは,44.5N《10Lb》ずつ高くする。

(8)  (7)

でスコーリングの生じる荷重が得られたら次の要領に従って,その荷重より低くして(2)(6)に従っ

て試験を行う。

(a)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》又は 133.4N《30Lb》未満のときは,13.4N《3Lb》低くする。

(b)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》を超えるときは,22.2N《5Lb》低くする。

(a)

(b)でスコーリングが生じなければ,このときの負荷レバーに載せたおもりの質量値を OK 値と

する。(a)でスコーリングが生じた場合は,このときのおもりより 1.36kg《3Lb》低い質量値を OK 値

とする。(b)でスコーリングが生じた場合は,このときのおもりより 2.27kg《5Lb》低い質量値を OK

値とする。

備考  ある荷重の試験において,スコーリングか否かの判定が困難であった場合は,同じ荷重で試験

を繰り返し,スコーリングを生じるか,又は疑わしい結果が得られたらスコーリングを生じる

荷重とする。

もし,2 回目の試験でスコーリングを生じない場合は,同じ荷重で 3 回目の試験を行い,ス

コーリングを生じなければスコーリングを生じない荷重とする。3 回目の試験でスコーリング

を生じるか,又は疑わしい結果が得られた場合は,この荷重での試験はスコーリングを生じる

荷重とする。

(9)  (6)

でスコーリングが認められた場合,再度上部試料槽の中の試料を 40∼42℃に保ち,新しい試験カッ

プを回転軸に取り付け,更に試験ブロックも新しい面が試験面になるようブロックホルダーに取り付

けた後,負荷レバーの荷重を次の要領に従って,(6)の荷重より低くして(2)(6)に従って試験を行う。

この操作をスコーリングが生じなくなるまで繰り返す。

(a)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》又は 133.4N《30Lb》未満のときは,26.7N《6Lb》ずつ低くす

る。

(b)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》を超えるときは,44.5N《10Lb》ずつ低くする。


18

K 2519-1995

備考  負荷レバーの荷重が 155.7N《35Lb》のときは,120.1N《27Lb》に荷重を下げる。

(10) (9)

でスコーリングの生じない荷重が得られたら,次の要領に従って,その荷重より高くして(2)(6)

に従って試験を行う。

(a)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》未満のときは,13.4N《3Lb》高くする。

(b)

負荷レバーの荷重が 133.4N《30Lb》以上のときは,22.2N《5Lb》高くする。

(a)

(b)でスコーリングが生じなければ,このときの負荷レバーに載せたおもりの質量値を OK 値と

する。(a)でスコーリングが生じたときは,このときのおもりより 1.36kg《3Lb》低い質量値を OK 値

とする。(b)でスコーリングが生じたときは,このときのおもりより 2.27kg《5Lb》低い質量値を OK

値とする。

備考  ある荷重の試験において,スコーリングか否かの判定が困難なときは,同じ荷重で試験を繰り

返し,スコーリングを生じるか,又は疑わしい結果が得られたらスコーリングを生じる荷重と

する。

もし,2 回目の試験でスコーリングを生じないときは,同じ荷重で 3 回目の試験を行い,ス

コーリングを生じなければスコーリングを生じない荷重とする。3 回目の試験でスコーリング

を生じるか,又は疑わしい結果が得られたときは,この荷重での試験はスコーリングを生じる

荷重とする。

(11)

スコア値は,スコーリングを生じた最小の荷重のときのおもりの質量値とする。

(12) OK

値を求めた後の試験ブロックを溶剤で洗浄し,乾燥する。顕微鏡を用いて,OK 値における試験ブ

ロックの摩耗こんの幅を 0.05mm のけたまで測定する。

参考  試験の手順を図式化して示すと参考図 2のようになる。


19

K 2519-1995

参考図 2  OK 値未知の場合

備考  判定困難な場合は,参考図 に従って行う。


20

K 2519-1995

参考図 3  概略 OK 値既知の場合

備考  判定困難な場合は,参考図 に従って行う。


21

K 2519-1995

参考図 4  判定困難な場合

5.6.2

摩耗こんの判定  試験ブロック表面の摩耗こんを観察し,正常摩耗か,スコーリングか,又は異常

摩耗かを次によって判定する。

(1)

正常摩耗は,摩耗こんが長方形で摩擦面に目視で溶融が認められない状態をいい,例を

図 8(a)(d)

示す。

(2)

スコーリングは,摩耗こんが長方形以外の形状で変形している状態(測線が出る,条こんに粗い横し

まが現れる)及び摩擦面に目視で明らかな溶融が認められる状態をいい,例を

図 8(m)(q)に示す。

(3)

異常摩耗は,(1)及び(2)以外の摩耗こんが観察された場合をいい,スコーリングの有無にかかわらず,

その結果は棄却し再試験を行う。

なお,取付け不良による摩耗こんは,幅が均一でなく,両端部の幅の差が平均幅の 20%を超えてい

るとき及び試験ブロックの端に偏った状態をいい,例を

図 8(e)(h)に示す。

また,摩擦レバー,負荷レバー,ブロックホルダーの刃形支点のさび又は摩損による摩耗こんは複

数の摩耗こんやゴーストスコアの状態をいい,例を

図 8(i)(l)に示す。

備考1.  スコーリングか否かの判定は,目視によるもので,拡大鏡や顕微鏡を使用してはならない。

2.

高荷重において発熱によって摩耗こんの一端又は摩耗こん内に変色を起こすことがあるが,

スコーリングか否かの判定においては無視する。

3.

摩耗こん幅が狭く,その一端を越える細い線が多数にあっても明らかな溶融が認められない

ときは,スコーリングとしない。

4.

最初の試験で判定が困難な場合は同じ荷重で試験を繰り返し,その結果,スコーリング又は


22

K 2519-1995

疑わしい結果が得られたならばスコーリングと判定する。

もし 2 回目の試験がスコーリングではない場合は,同じ荷重で 3 回目の試験を行い,その

結果がスコーリングではない場合はスコーリングなしと判定する。3 回目の試験でスコーリ

ング又は疑わしい結果が得られたときは,この荷重での試験はスコーリングと判定する。


23

K 2519-1995

図 8  試験ブロック表面の摩耗こん(例)


24

K 2519-1995

5.7

結果  OK 値又はスコア値は,負荷レバー先端にかけたおもりの質量値で表す(

17

)

。OK 値が 13.6kg

《30Lb》以上の場合は 2.27kg《5Lb》の倍数で,13.6kg《30Lb》未満の場合は 1.36kg《3Lb》の倍数で表す。

(

17

) OK

値及びスコア値には荷重皿及び負荷レバーの質量を加えない。

備考  必要に応じて OK 値における試験カップと試験ブロックの間の接触圧力を次の式によって算出

し,結果に付記する。

S

D

G

W

L

P

k

+

=

)

(

81

.

9

þ

ý

ü

î

í

ì

+

=

S

D

G

W

L

P

k

)

(

ここに,  P

k

:  接触圧力 (MPa) {kgf/mm

2

}

L

:  負荷レバーの機械的てこ定数  (=10)

G

:  負荷レバーの定数(個々の試験機の負荷レバーに刻印されて

いる) (kg)

W

:  荷重皿に載せたおもりの質量 (kg)

D

:  摩耗こんの長さ (mm) (≒12.7mm)

S

:  摩耗こん幅の平均値 (mm)

5.8

精度  チムケン法によって得られた試験結果の許容差(確率 0.95)は,次のとおりである。

備考  試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402 の規定によって処理する。

(1)

室内併行精度  同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を 2 回試験し

たときの試験結果の差の許容差を

表 に示す。

(2)

室間再現精度  異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験したと

き,2 個の試験結果の差の許容差を

表 に示す。

表 2  チムケン法の精度

単位  質量%

室内併行許容差

室間再現許容差

0.22

0.55

:試験結果の平均値

5.9

試験結果の報告  試験結果には,次の事項を記載する。

(1)

試料名,採取場所及び採取年月日

(2)

  JIS

の規格番号:JIS K 2519

(3)

試験方法の名称及び 5.7 によって得られた結果

(4)

特記事項

X

X

X


25

K 2519-1995

付表 1  引用規格

JIS B 0601

  表面粗さ−定義及び表示

JIS B 0621

  幾何偏差の定義及び表示

JIS B 0651

  触針式表面粗さ測定器

JIS B 1501

  玉軸受用鋼球

JIS B 7410

  石油類試験用ガラス製温度計

JIS B 7451

  真円度測定機

JIS B 7502

  マイクロメータ

JIS B 7503

  ダイヤルゲージ

JIS B 7505

  ブルドン管圧力計

JIS C 1601

  指示熱電温度計

JIS G 3522

  ピアノ線

JIS K 1503

  アセトン

JIS K 2201

  工業ガソリン

JIS K 2203

  灯油

JIS K 2213

  タービン油

JIS K 2251

  原油及び石油製品−試料採取方法

JIS Z 2244

  ビッカース硬さ試験方法

JIS Z 2245

  ロックウェル硬さ試験方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8402

  分析・試験の許容差通則

JIS Z 8801

  試験用ふるい

関連規格  ASTM D 2782-88  Standard Test Method for Measurement of Extreme−Pressure Properties of

Lubricating Fluids (Timken Method)


26

K 2519-1995

附属書  チムケン法試験カップ及び試験 

ブロックの品質及び検査方法 

1.

適用範囲  この附属書は,チムケン法に使用する試験カップ及び試験ブロックの品質並びに検査方法

について規定する。

2.

品質  試験カップ及び試験ブロックは,チムケン法試験用として適切な品質のものであって,3.検査

方法によって試験を行ったとき,附属書表 の規定に適合しなければならない。

附属書表 1  チムケン法試験カップ及び試験ブロックの品質

品質項目

試験カップ

試験ブロック

検査方法

幅 13.1±0.05 12.32±0.5

長さ

− 19.05±0.41

3.(1)

外径 49.19±0.07

3.(2)

形状寸法

mm

同心度 0.013 以下

3.(3)

表面粗さ

µm

中心線 平均 粗さ

(Ra)

0.35

∼0.55 0.35∼0.55

3.(4)

ロックウェル C

硬さ (HRC)

61.0

∼63.0 61.5∼63.5

3.(5)

表面硬さ

ビッカ ース 硬さ

(HV)

740

∼800 780∼840

3.(6)

3.

検査方法  試験カップ及び試験ブロックの幅,長さ,外径,同心度,中心線平均粗さ,表面硬さ(ロ

ックウェル C 硬さ及びビッカース硬さ)の測定は,次による。

備考  測定は,原則として 23±5℃で行う。

(1)

幅・長さの測定  試験カップの幅及び試験ブロックの幅・長さは,マイクロメータを使用し,2 か所

以上について 0.001mm のけたまで測定した後,その平均値を 0.01mm 単位に丸める。

(2)

外径の測定  試験カップの外径は,マイクロメータを使用し,外径を 2 か所以上について 0.001mm の

けたまで測定し,その平均値を 0.01mm 単位に丸める。

(3)

同心度の測定  試験カップの同心度は,JIS B 7451 に規定する真円度測定機を使用し,試験カップの

外周の平均円を測定してその中心点を求める。次に,同様に外周の測定位置とほぼ同じ高さの内周の

平均円を測定してその中心点を求め,外周と内周の各平均円の中心点のずれを 0.001mm の単位で測定

し,表示する。

備考  真円度及び同心度の定義は,JIS B 0621 の規定による。

(4)

中心線平均粗さの測定  試験カップ及び試験ブロックの中心線平均粗さは,JIS B 0651 に規定する触

針式表面粗さ測定器などを使用し,試験カップの場合は 2 か所以上について,試験ブロックの場合は

各試験面ごとに,倍率 5 000 倍,カットオフ値 0.8mm 及び測定長さ 4mm の条件で表面粗さを測定し,

中心線粗さを求めて 0.01

µm の単位で表す。試験カップは 2 か所以上の測定値の平均値を表示し,試

験ブロックは各試験面(4 面)の測定値の平均値を表示する。

備考  中心線平均粗さの定義及び表示は,JIS B 0601 の規定による。


27

K 2519-1995

(5)

ロックウェル 硬さの測定  試験カップ及び試験ブロックのロックウェル C 硬さの測定は,試験カッ

プの場合は 1 か所について,試験ブロックの場合は試験面ごとに,JIS Z 2245 の規定によって行い,

その結果を小数点以下 1 位で表す。

備考  ロックウェル C 硬さの測定条件は,試験荷重 1 470N {150kgf}  及び荷重保持時間 10 秒間とする。

(6)

ビッカース硬さの測定  試験カップ及び試験ブロックのビッカース硬さの測定は,試験カップの場合

は 1 か所について,試験ブロックの場合は試験面ごとに,JIS Z 2244 の規定によって行い,その結果

を整数で表す。

備考  ビッカース硬さの測定条件は,試験荷重 490N {50kgf},負荷速度及び荷重保持時間 10 秒間とす

る。


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K 2519-1995

工業標準原案作成委員会

氏名

所属

(委員会長)

小  西  誠  一

元防衛大学校

高  木  譲  一

工業技術院標準部材料規格課

吉  田      裕

資源エネルギー庁石油部

高  橋  千  晴

工業技術院計量研究所熱物性部

近  藤  輝  男 

工業技術院資源環境技術総合研究所エネルギー資源部 
ヘテロ分子工学研究所

有  賀  正  夫

社団法人石油学会

高  木  茂  男

社団法人日本海事検定協会

高  野  敏  夫

社団法人自動車技術会

中  西  忠  雄

防衛庁装備局管理調達補給室

福  嶋  信一郎

日本鋼管株式会社鉄鋼技術センター環境・エネルギー部

中  村      準

三菱重工業株式会社技術本部横浜研究所

吉  田  彰  夫

いすゞ自動車株式会社材料開発部

岩  田  圭  一

東京電力株式会社火力部

君  島  孝  尚

石川島播磨重工業株式会社技術研究所

加  藤  良  三

東燃株式会社製造計画部

松  崎      昭

日本石油株式会社中央技術研究所

小久保  陽  生

出光興産株式会社製造部

橘      宗  昭

昭和シェル石油株式会社商品技術室

伊  達  和  人

株式会社日鉱共石石油精製本部製油部

下  平      武

日本科学機器団体連合会

(事務局)

西  川  輝  彦

石油連盟技術環境部

工業標準原案作成分科会

氏名

所属

(分科会長)

橘      宗  昭

昭和シェル石油株式会社商品技術室

小  嶋      誠

工業技術院標準部材料規格課

伊  藤      玄

出光興産株式会社製造部

近  藤      修

日本石油株式会社中央技術研究所

番  馬      章

三石テクノ株式会社業務部

高  木  茂  男

社団法人日本海事検定協会

鈴  木      繁

東燃株式会社総合研究所

長谷部  好  昭

富士石油株式会社袖ヶ浦製油所技術管理部

広  田  義  則

株式会社コスモ総合研究所

高  橋      己

株式会社共石製品技術研究所

一ノ瀬  裕  人

キグナス石油精製株式会社業務部

今  泉  雄  二

昭和シェル石油株式会社中央研究所

大  滝  盛  司

ゼネラル石油株式会社中央研究所

隠  岐  明  重

モービル石油株式会社鶴見研究所

下  平      武

日本科学機器団体連合会

大  森  道  昭

日本科学機器団体連合会

橘  田  英  男

吉田科学株式会社

(事務局)

久保田      亘

石油連盟技術環境部