>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

K 2241 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS K 2241 : 1997 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,塩素系極圧添加剤の使用を避けることと,市場の実態に合わすため,種類の区分を見

直し,改正を行った。


日本工業規格

JIS

 K

2241

: 2000

切削油剤

Cutting Fluid

1.

適用範囲  この規格は,主として金属の切削加工及び研削加工に用いる切削油剤について規定する。

関連規格  ASTM D 971  Interfacial Tension of Oil Against Water by the Ring Method

2.

引用規格  付表 に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構

成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

不水溶性切削油剤  水に希釈せずに使用する切削油剤。

(2)

水溶性切削油剤  水に希釈して使用する切削油剤。

(3)

脂肪油分  油剤中に含まれる動植物油脂・エステルの含有率。

(4)

極圧添加剤  切削時に摩擦局部の焼付きの抑制,切削性の向上を図るために基油に添加する物質。

(5)

界面活性剤  水に不溶の液体を乳化したり,粉末・固体を水中に分散させたり,繊維や金属の表面の

汚れを洗浄したりする作用などを営む一群の合成物質。

(6)

全硫黄分  鉱油,その他の添加剤に含まれる硫黄を合わせた,油剤に含まれる硫黄の含有率。

(7)

銅板腐食  銅板を試料にひたし,規定条件に保ったのち,銅板の変色程度を銅板腐食基準板と比較し

た試料の腐食の度合い。

(8)

耐荷重能  規定の試験機で一定の摩擦条件下において,すべり摩擦接触面に焼付き,その他の損傷を

起こさず,油剤によって支え得る最大荷重。

(9)

乳化安定度  水溶性切削油剤 A1 種の,規定の条件下での乳化状態の安定度合い。

(10)

不揮発分  試料中の水分など約 100℃までに揮発する成分を一定温度の恒温槽に一定時間保持して除

去した残さ(渣)率。

(11)

泡立ち  水溶性切削油剤の水希釈液を規定の条件でかくはんし,規定時間放置した後の液面上の泡の

量 (ml)。

(12)

金属腐食  水溶性切削油剤の水希釈液に各種金属を浸せき(漬)して,規定時間放置したのちの腐食

の有無。


2

K 2241 : 2000

4.

種類  切削油剤の種類は,表 の不水溶性切削油剤と表 の水溶性切削油剤とに区分するが,いずれ

も塩素系極圧添加剤は使用しない。不水溶性切削油剤は

表 に示すように,極圧添加剤の有無などによっ

て N1 種∼N4 種に区分し,さらに,動粘度,脂肪油分などによって細分する。また,水溶性切削油剤は

4

に示すように,希釈液の外観,表面張力,不揮発分などによって A1 種∼A3 種に区分し,さらに,pH,

金属腐食によって細分する。


3

K 2241 : 2000

表 1  不水溶性切削油剤の種類

N1

鉱油及び/又は脂肪油からなり,極圧添加剤を含まないもの。

N2

種 N1 種の組成を主成分とし,極圧添加剤を含むもの。

(銅板腐食が 150℃で 2 未満のもの。

N3

種 N1 種の組成を主成分とし,極圧添加剤を含むもの。

(硫黄系極圧添加剤を必す(須)とし,銅板腐食が 100℃で 2 以下,150℃で 2 以

上のもの。

N4

種 N1 種の組成を主成分とし,極圧添加剤を含むもの。

(硫黄系極圧添加剤を必す(須)とし,銅板腐食が 100℃で 3 以上のもの。

表 2  水溶性切削油剤の種類

A1

鉱油や脂肪油など,水に溶けない成分と界面活性剤からなり,水に加えて希釈す
ると外観が乳白色になるもの。

A2

界面活性剤など水に溶ける成分単独,又は水に溶ける成分と鉱油や脂肪油など,
水に溶けない成分からなり,水に加えて希釈すると外観が半透明ないし透明にな

るもの。

A3

水に溶ける成分からなり,水に加えて希釈すると外観が透明になるもの。

5.

品質及び性能  切削油剤は工具,と(砥)石の摩耗低減,仕上がり精度の向上などに有効な性能をも

ち,6.又は 7.の試験方法で試験を行ったとき,

表 又は表 の規定に適合しなければならない。


4

K 2241 : 2000

表 3  不水溶性切削油剤の種類及び性状

銅板腐食

種類

動粘度

mm

2

/s

 (40

℃)

脂肪油分

質量%

全硫黄分

質量%

100

1h

150

1h

引火点

流動点

耐荷重能

MPa

1

号 10 未満

2

10

未満

10

以上

70

以上

3

号 10 未満

N1

4

10

以上

10

以上

(

1

)

1

以下

130

以上

0.1

以上

1

号 10 未満

2

10

未満

10

以上

70

以上

3

号 10 未満

N2

4

10

以上

10

以上

5

以下

2

未満

130

以上

0.1

以上

1

号 10 未満

2

10

未満

10

以上

70

以上

3

号 10 未満

4

10

以上

10

以上

(

2

)

1

未満

130

以上

0.15

以上

5

号 10 未満

6

10

未満

10

以上

70

以上

7

号 10 未満

N3

8

10

以上

10

以上

(

2

)

1

以上

5

以下

2

以下

2

以上

130

以上

0.25

以上

1

号 10 未満

2

10

未満

10

以上

70

以上

3

号 10 未満

4

10

以上

10

以上

(

2

)

1

未満

130

以上

0.15

以上

5

号 10 未満

6

10

未満

10

以上

70

以上

7

号 10 未満

N4

8

10

以上

10

以上

(

2

)

1

以上

5

以下

3

以上

130

以上

−5 以下

0.25

以上

備考 N1 種∼N4 種のいずれも塩素系極圧添加剤を使用しない。 
(

1

)

硫黄系極圧添加剤に由来する硫黄分を含まない。

(

2

)

硫黄系極圧添加剤を必す(須)とする。


5

K 2241 : 2000

表 4  水溶性切削油剤の種類及び性状

乳化安定度

ml

(室温,24h)

硬水

不揮発分

全硫黄分

種類

外観

表面張力

10

-3

N/m

pH

油層 クリ

ーム

油層 クリ

ーム

質量

%

質量

%

泡立ち

試験

ml

 (24

±2℃)

金属腐食

(室温,48h)

1

号 8.5 以上

10.5

未満

変色がないこと

(鋼板)

A1

2

乳白色

8.0

以上

10.5

未満

こん

2.5

以下

2.5

以下

2.5

以下

80

以上

変色がないこと
(アルミニウム

板及び銅板)

1

号 8.5 以上

10.5

未満

変色がないこと

(鋼板)

A2

2

半透明
ないし

透明

40

未満

8.0

以上

10.5

未満

変色がないこと
(アルミニウム

板及び銅板)

1

号 8.5 以上

10.5

未満

変色がないこと

(鋼板)

A3

2

透明 40 以上

8.0

以上

10.5

未満

− 30 以上

5

以下

1

以下

変色がないこと
(アルミニウム

板及び銅板)

備考1. A1種∼A3種のいずれも塩素系極圧添加剤及び亜硝酸塩を使用しない。

2.

不揮発分及び全硫黄分は原液における性状を規定し,それ以外の項目は室温 20∼30℃において A1 種は基準

希釈倍率 10 倍の水溶液,A2 種及び A3 種は 30 倍の水溶液の性状を規定したものである。

希釈方法は,7.2 による。

6.

不水溶性切削油剤の試験方法

6.1

共通事項  化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050JIS Z 8402-1JIS Z 8402-2JIS Z 

8402-6

JIS Z 8103 による。

6.2

試料採取方法  不水溶性切削油剤は,JIS K 2251 に規定する方法によって一次試料を採取し,その

まま二次試料とする。

6.3

動粘度試験方法  動粘度試験方法は,JIS K 2283 による。

6.4

脂肪油分試験方法  脂肪油分試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  試料をけん化し,不けん化物とけん化物に分離する。けん化物を酸分解し,脂肪酸

分を定量して,脂肪油分に換算する。

(2)

試薬

(a)

ジエチルエーテル  JIS K 8103 に規定するもの。

(b)  1mol/l

アルコール性水酸化カリウム溶液  JIS K 8001 に規定する溶液の調製・規定及び保存方法に

よる。

(c)

アセトン  JIS K 8034 に規定するもの。

(d)

エタノール  JIS K 8102 に規定するもの。

(e)

石油エーテル  JIS K 8593 に規定するもの。

(f)

フェノールフタレイン滴定用指示薬溶液,メチルオレンジ滴定用指示薬溶液  JIS K 8001 に規定す

る滴定用指示薬溶液類の調製方法による。


6

K 2241 : 2000

(g)

塩酸  JIS K 8001 に規定する 1mol/l 塩酸による。

(h)

硫酸ナトリウム  JIS K 8987 に規定するもの。

(3)

試験の手順  (図 を参照)

(a)

試料約 10g を 0.1g のけたまで第 1 のフラスコ 300ml にはかり採り,1mol/l アルコール性水酸化カリ

ウム溶液 50ml と少量の沸石を加え,逆流冷却管を付けて水浴上で加熱し,約 1 時間沸騰させる。

その間フラスコを時々静かに振る。

(b)

けん化の終わった内容物は第 1 の分液漏斗 500ml に移し,第 1 のフラスコを約 40ml の温水で 2 回

洗い,この洗浄水を第 1 の分液漏斗に加え室温に冷却する。

(c)

冷却したのち,けん化に用いた第 1 のフラスコを約 50ml の石油エーテルで 2 回洗う。石油エーテ

ルは洗いながら第 1 の分液漏斗に注加する。

(d)

第 1 の分液漏斗は,栓を完全にして約 1 分間激しく振り,明らかに 2 層に分かれるまで静置する。

(e)  2

層に分離したのち,下層は第 2 の分液漏斗 300ml に移し,これに石油エーテル 50ml を加えて(d)

と同様に振って静置する。2 層に分離したならば下層は第 3 の分液漏斗 300ml に移し,同様の試験

手順を行い,最後の下層を第 1 の蒸留フラスコ 500ml へ移す。

(f)

石油エーテル溶液を合わせて第 1 の分液漏斗 500ml に入れる。第 2,第 3 の分液漏斗は更に少量の

石油エーテル及び水で洗い,第 1 の分液漏斗 500ml に入れ,水 30ml を加え振り混ぜて静置し,2 層

に分けて下層を第 1 の蒸留フラスコ 500ml に加える。

(g)

第 1 の分液漏斗の石油エーテル溶液は更に水 30ml を加えて振り混ぜて洗浄する。この操作を,洗

液がフェノールフタレイン溶液を指示薬として紅色が消えるまで繰り返す。洗液は第 1 の蒸留フラ

スコ 500ml に加える。

(h)

第 1 の蒸留フラスコ 500ml にメチルオレンジ溶液を指示薬として赤変するまで塩酸を加える。少量

の沸石を入れ逆流冷却管を付け水浴上で約 1 時間加熱する。酸分解によって脂肪酸が上層に浮上す

る。

(i)

酸分解したのち,内容物を第 4 の分液漏斗 500ml に移す。第 1 の蒸留フラスコ 500ml は約 40ml の

温水で 2 回洗い,洗浄温水は第 4 の分液漏斗 500ml に加え,室温に冷却する。

(j)

第 1 の蒸留フラスコ 500ml が室温になったら,次に 50ml のジエチルエーテルで 2 回洗い,第 4 の

分液漏斗 500ml に注加する。

(k)

第 4 の分液漏斗 500ml は栓を完全にして約 1 分間激しく振り,明らかに 2 層に分かれるまで静置す

る。

(l)  2

層に分離したのち,下層は第 5 の分液漏斗 300ml に移し,これにジエチルエーテル 50ml を加えて

(k)

と同様に振って静置する。2 層に分離したならば下層は第 6 の分液漏斗 300ml に移し,同様の試

験手順を行う。

(m)

ジエチルエーテル溶液を合わせて第 4 の分液漏斗 500ml に入れる。第 5,第 6 の分液漏斗は更に約

10ml

のジエチルエーテルで 2 回洗い,第 4 の分液漏斗 500ml に入れる。

(n)

ジエチルエーテル溶液は更に水 30ml ずつで振り混ぜて洗浄し,洗液がメチルオレンジ溶液を指示

薬として赤色を呈しなくなるまで繰り返す。

(o)

ジエチルエーテル溶液は約 20g の硫酸ナトリウム(無水)で脱水し,乾燥したろ紙でろ過し,第 2

の蒸留フラスコ 500ml に移す。

第 4 の分液漏斗及びろ紙は約 10ml のジエチルエーテルで 3 回洗い,

第 2 の蒸留フラスコ 500ml に加える。

(p)

ジエチルエーテル溶液は蒸留装置によって水浴上で加熱し,濃縮する。


7

K 2241 : 2000

(q)

約 30ml になったら冷却して質量既知の丸底フラスコ 100ml に移す。第 2 の蒸留フラスコ 500ml を

約 10ml のジエチルエーテルで 2 回洗い,丸底フラスコ 100ml に合わせる。(p)の試験手順と同様に

蒸留する。

(r)

次いでアセトン 3ml を加え蒸留する。さらに,水浴上で軽い減圧にして残存する溶剤及び水分を除

去し,真空デシケーターに入れて恒量になるまで保持する。30 分間の質量変化が試料に対して 0.1%

以下となれば恒量とみなし残量とする。

(4)

計算及び結果  脂肪油分はオレイン酸グリセリドとして,次の式によって小数点以下 2 けたまで算出

し,JIS Z 8401 によって小数点以下 1 けたに丸める。

100

048

.

1

×

×

=

m

B

A

ここに,

A

脂肪油分(質量%)

B

(r)

で得られた残量の質量 (g)

m

試料の採取量 (g)

1.048

脂肪酸を脂肪油(オレイン酸グリセリド)に換算する係数

(5)

精度  精度は,次による。

(a)

室内併行精度  同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を 2 回試

験したとき,試験結果の差は脂肪油分 10%未満で平均値の 5%(相対)

,脂肪油分 10%以上で平均値

の 3%(相対)を超えてはならない。

(b)

室間再現精度  異なる 2 試験室において別人が別試験器で同一試料をそれぞれ 1 回試験して求めた

試験結果の差は,脂肪油分 10%未満で平均値の 8%(相対)

,脂肪油分 10%以上で平均値の 5%(相

対)を超えてはならない。


8

K 2241 : 2000

図 1  脂肪油分試験手順表


9

K 2241 : 2000

図 1  脂肪油分試験手順表(続き)


10

K 2241 : 2000

6.5

全硫黄分試験方法  全硫黄分試験方法は,JIS K 2541 に規定するボンベ式硫黄分試験方法による。

6.6

銅板腐食試験方法  銅板腐食試験方法は,JIS K 2513 に規定する試験方法による。

6.7

引火点試験方法  引火点試験方法は,JIS K 2265 に規定するタグ密閉式,ペンスキーマルテンス密

閉式又はクリーブランド開放式引火点試験方法による。

6.8

流動点試験方法  流動点試験方法は,JIS K 2269 に規定する試験方法による。

6.9

耐荷重能試験方法  耐荷重能試験方法は,JIS K 2519 に規定する曾田式四球法による。

7.

水溶性切削油剤の試験方法

7.1

共通事項  化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050JIS Z 8402-1JIS Z 8402-2JIS Z 

8402-6

JIS Z 8103 による。

7.2

試料採取方法及び二次試料の調製方法  水溶性切削油剤は,JIS K 2251 に規定する方法によって一

次試料を採取し,試験方法によって,そのまま二次試料とするか,又は,二次試料を更に次の方法によっ

て調製した水希釈液を用いて試験を行う。

(1)

水溶性切削油剤 A1 種の水希釈液の調製方法  ビーカー2 000ml に水 900ml をとり,先端にゴム製キャ

ップを付けたガラス棒(

図 2)でかき混ぜながら(約毎分 120 回転)採取した水溶性切削油剤 A1 種

100ml

を加え,引き続き約 5 分間かき混ぜて調製する。

図 2  ガラス棒

(2)

水溶性切削油剤 A2 種及び A3 種の水希釈液の調製方法  ビーカー2 000ml に水 870ml をとり,7.2(1)

と同様な操作によって水溶性切削油剤 A2 種又は A3 種 30ml を加え,引き続き約 5 分間かき混ぜて調

製する。

7.3

表面張力試験方法  表面張力試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  液面と白金環の張力を鋼線の張りを指度として読み取り,表面張力を算出する。

(2)

試料  試料は 7.2(2)の水希釈液を使用する。

(3)

試験器  デュヌイ表面張力計(図 参照)


11

K 2241 : 2000

図 3  デュヌイ表面張力計

(4)

試験器の調整

(a)

鋼線①を張ってある台の上(鋼線の真下)に水準器を置き,装置が水平となるように水平調節ねじ

②を用いて調節する。

(b)

白金環③を垂直アーム④の先端にはめ込み,次に目盛板⑤の指針⑥を正確にゼロに合わせる。次に

止め金⑦⑧を外し,おもり⑨を用いて白金環③及び垂直アーム④がだいたい水平となるように調節

し,その後標示線⑩の先端と鏡⑪の横線が一致するように,つまみ⑫を用いて調節する。

(c)

止め金⑦でさお(桿)⑬を止めておき,白金環③上に質量の分かったものを載せ,次に止め金⑦⑧

を外せば,さお⑬は下方に下がる。さお⑬を水平にするため,鏡⑪を見ながら取っ手⑱を回す。鏡

⑪の横線と標示線⑩の先が一致したらこのときの指度を読み,次の式によって 1 目盛当たりの表面

張力を算出する。

R

g

W

π

θ

σ

4

100

/

×

×

=

ここに,

σ

:  1 目盛当たりの表面張力 (10

-3

N/m)

W

:  白金環に載せた質量 (g)

θ

:  目盛指度

g

: 9.8

(m/s

2

)

(重力の加速度)

R

:  白金環の中心半径 (cm)

備考  W/

θ

は,5 回以上の測定値の平均を取る。

(d)

鋼線①を必要以上に引っ張ったり,緩めたりすると 1 目盛当たりの表面張力が変化するので注意し

なければならない。目盛板⑤の針は,130 度以上回してはならない。

(5)

試験器の検定(水の表面張力測定)

(a)

白金環③を清浄な溶剤(アセトン,ジエチルエーテル)で洗い,次にガス炎(酸化炎)又はアルコ


12

K 2241 : 2000

ールランプの炎中で赤熱するまで焼く。これを垂直アーム④の先端に付けて再び指針⑥がゼロを示

したとき,標示線⑩の先が鏡⑪の線と一致するようにつまみ⑫で調節し,止め金⑦⑧でさお⑬を止

める。

(b)

試料容器⑭に 25±1℃の水を入れ台⑮の上に載せ,ねじ⑯を開き,台⑮を適当な高さまで上げ,白

金環③が試料容器⑭の中央になるようにしてねじ⑯を止める。さらに,ねじ⑰を回して白金環③を

水中約 1mm に浸して止め金⑦⑧を外したとき,水面と白金環③の面が平行であるかどうかを前と

横から見る。もし平行でなければ白金環③の柄の根本で曲げて水平にする。水平になったら白金環

③を水中約 6mm まで入れる。

(c)

ねじ⑰を回して試料容器⑭を台⑮とともに下げ,白金環③を水平に保持して更に下げると,白金環

③は表面張力のため引っ張られてさお⑬が下がる。これ元に戻すため,取っ手⑱を回して鋼線①を

ねじり,標示線⑩の先端と鏡⑪の線が一致するように,ねじ⑰と取っ手⑱を動かしていき,白金環

③が水面を離れる直前には特にゆっくり動かして白金環③が水面を離れたときの指針⑥の指度を読

み,次の式によって表面張力を算出する。

γ=P×F

ここに,

γ:  表面張力 (10

-3

N/m)

P

σ

×

θ

F

r

R

C

P

/

679

.

1

04534

.

0

01452

.

0

7250

.

0

2

+

+

σ

:  1 目盛当たりの表面張力 (10

-3

N/m)

θ

:  目盛指度

C

:  環の周囲の長さ (cm) =2

π

R

R

:  白金環の中心半径 (cm)

r

:  白金線の半径 (cm)

水の表面張力は 71∼72×10

-3

N/m

の範囲に出るのが普通であるから,この範囲の値になるまで測

定を繰り返す。満足する値が出た場合は,装置及び操作が共に良好な状態にあるから試料溶液の測

定を行う。

(6)

試料溶液の測定  7.2(2)の試料溶液を用い(5)に準じ,次の事項に注意して測定を行う。

(a)

振動及び通風のない場所で行うこと。

(b)

多量にガスの発生する場所は避けること。

(7)

結果  毎回新しく調整した試料溶液の 3 回の結果が,それぞれ(8)の差を超えないものは,その平均値

を JIS Z 8401 によって小数点以下 1 けたに丸めて表面張力とする。

(8)

精度  精度は,次による。

(a)

室内併行精度  同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き比較的短時間内に同一試料を

3

回試験したとき,試験結果の差は平均値の 2%(相対)を超えてはならない。

(b)

室間再現精度  異なる 2 試験室において別人が別試験器で同一試料をそれぞれ試験して求めた試験

結果の差は,平均値の 5%(相対)を超えてはならない。

7.4

乳化安定度試験方法  乳化安定度試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  水溶性切削油剤 A1 種を水及び硬水に振とう溶解し,静置して乳化状態の安定度合

いをみる。

(2)

硬水  JIS K 8122 に規定する塩化カルシウム 0.787g をはかり採り,水に溶かして 1 000ml とする。

備考  これは,ドイツ硬度 30 に当たる。


13

K 2241 : 2000

(3)

試験の手順  7.2(1)に従って調製した水希釈液,及び 7.2(1)の水の代わりに(2)の硬水を用いて調製した

試料をそれぞれ細分目盛 0.5ml,目盛部分の高さ 200±2mm のガラス製共栓付メスシリンダ 100ml に

100ml

ずつ採り,栓をして 24 時間静置し,静置後の溶液の油層,クリーム層の容量 (ml) を量る。

7.5

不揮発分試験方法  不揮発分試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  試験中の水分など約 100℃までに揮発する成分を恒温槽に保持して除去し,残さ

(渣)を不揮発分として算出する。

(2)

試料  試料は,7.2 の二次試料を使用する。

(3)

装置  105±1℃に保つことのできる通風のない電熱恒温槽で,電熱からの放射熱を避けるために下段

の鉄板上にセラミックス板などを敷いたもの。装置の大きさ及び構造は任意とする。

(4)

試験の手順  あらかじめペトリ皿 90mm4 個のふたを除き清浄にし,乾燥して 0.1g のけたまで測る。

これに試料 10±0.5g をはかり採り,105±1℃に調節した恒温槽に入れて 105±1℃に 2 時間保った後,

ペトリ皿を恒温槽から取り出し,上口デシケーター中で室温まで放冷して 0.1g のけたまで測る。

(5)

計算及び結果  不揮発分は,次の式によって算出する。

100

×

=

m

R

N

ここに,

N

:  不揮発分(質量%)

R

:  加熱後の残留物の質量 (g)

m

:  試料の採取量 (g)

4

個の不揮発分の平均値を取り,整数に丸めて不揮発分とする。

(6)

精度  精度は,次による。

(a)

室内併行精度  同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き比較的短時間内に,同一試料

を 2 回試験したとき,試験結果の差は,平均値の 3%(相対)を超えてはならない。

(b)

室間再現精度  異なる 2 試験室において別人が別試験器で同一試料をそれぞれ試験して求めた試験

結果の差は,平均値の 5%(相対)を超えてはならない。

7.6

pH

試験方法  試料は,7.2 で調製した水希釈液を用いる。pH 試験方法は,JIS Z 8802 の 7.(操作方

法)に規定する方法による。

7.7

全硫黄分試験方法  全硫黄分の試験方法は,JIS K 2541 に規定するボンベ式質量法による。ただし,

試料は 7.5 で得られた不揮発分とする。

7.8

泡立ち試験方法  泡立ち試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  試料溶液をかくはんして生じる泡の量 (ml) を泡立ちとして量る。

(2)

試料  試料は,7.2 で調製した水希釈液を用いる。

(3)

装置

(a)

試料容器  内径 27∼30mm のメスシリンダ 100ml。

(b)

恒温水浴  24±2℃に保つことのできるもので,試料容器の 85ml 目盛までひたすことのできる深さ

のもの。

(c)

かき混ぜ板  長さ約 80mm,幅 19∼22mm,厚さ約 1.5mm の鋼板。

(4)

試験の手順  7.2 に従って調製した水希釈液 60ml を試料容器に取り,これを恒温水浴中に 85ml 目盛

線までひたし,24±2℃になったら毎分 1 500 回転で 5 分間かき混ぜたのち,かき混ぜ板を取り出し,

約 15 分間静置して液面上の泡の量 (ml) を読む。試験は 3 回行い,毎回試験液を取り替えて行う。

備考  泡の量を読み取る場合,泡の表面には凹凸があるので,泡の面の最高と最低の読みの平均を取


14

K 2241 : 2000

り,それを泡立ちの量とする。

7.9

金属腐食試験方法  金属腐食試験方法は,次による。

(1)

試験方法の概要  鋼板・銅板・アルミニウム板を室温の試料溶液に浸せきして金属腐食を観察する。

(2)

試料  試料は,7.2 で調製した水希釈液を用いる。

(3)

試験片

(a)

寸法  長さ約 76mm,幅約 12mm,厚さ 2mm 以下とする。

(b)

材質  鋼板は,JIS G 3141 に規定する冷間圧延鋼板 (SPCC) とする。

銅板は,JIS H 3100 に規定する C1100P,C1201P,C1220P のいずれかとする。

アルミニウム板は,JIS H 4000 に規定する 1050 板 (A1050P) とする。

(4)

試験片の作製  試験片を最初に JIS R 6252 に規定する 240 番の研磨紙で,次に日本薬局方脱脂綿に JIS 

R 6111

に規定する 150 番の C 又は GC の研削材を付けてよく磨き,

さらに,

脱脂綿だけで強くこすり,

最後にジエチルエーテル,エタノールの順序で洗浄し,乾燥後直ちに用いる。磨き上げた金属板は,

清浄な耐食性金属ピンセットで取り扱う。

(5)

試験の手順  試験管に試験片を入れ,7.2 に従って調製した試料溶液を注入し,試験片を約半分までひ

たす。管口をコルク栓で軽く閉じたのち,試験管を傾けて金属板を試料溶液で完全に潤す。試験管を

ほぼ垂直にして室温に 48 時間放置する。規定時間後,試験片を試験管から取り出し,エタノール,ジ

エチルエーテル,エタノールの順序で洗浄したのち,磨いた同種の金属板と比較して変色の程度を見

る。この場合,外周部の幅 1mm だけ観察を除外する。同一の試料溶液について 3 回試験を行い,2 回

以上同じ結果を得たものについて,変色の有無を調べる。

8.

遵守事項  遵守事項は,次による。

切削油剤の取扱い,貯蔵,廃棄については,法令・規則等が関係各省庁から指示されているので(

参考

参照)

,切削油剤を取り扱う者は,これらを遵守しなければならない。

9.

製品の呼び方  製品の呼び方は,種類による。

例  不水溶性切削油剤  N1 種 1 号

10.

表示  容器の見やすいところに容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。ただし,

タンク車,タンクローリーなどで表示が困難な場合には,送り状に表示してもよい。

(1)

種類

(2)

正味容量  (l)  

(3)

製造業者名又はその略号

(4)

製造年月日又はその略号

(5)

消防法,労働安全衛生法など法規上の表示義務事項

1.  危険物の表示(危険物第四類第三石油類など)(消防法)

2.  有害物の表示(その名称,成分及びその含有量など)(労働安全衛生法)


15

K 2241 : 2000

付表 1  引用規格

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS H 3100

  銅及び銅合金の板及び条

JIS H 4000

  アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 2251

  原油及び石油製品−試料採取方法

JIS K 2265

  原油及び石油製品−引火点試験方法

JIS K 2269

  原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法

JIS K 2283

  原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法

JIS K 2513

  石油製品−銅板腐食試験方法

JIS K 2519

  潤滑油−耐荷重能試験方法

JIS K 2541

  原油及び石油製品−硫黄分試験方法

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8102

  エタノール (95) (試薬)

JIS K 8103

  ジエチルエーテル(試薬)

JIS K 8122

  塩化カルシウム二水和物(試薬)

JIS K 8593

  石油エーテル(試薬)

JIS K 8987

  硫酸ナトリウム(試薬)

JIS R 6111

  人造研削材

JIS R 6252

  研磨紙

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8402-1

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定義

JIS Z 8402-2

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

JIS Z 8802

  pH 測定方法


16

K 2241 : 2000

参考 

1.

切削油剤の取扱いについては,この規格で定めるほかに,主な法令・条例・規則として次のようなも

のがある。

(1)

消防法(法律第 186 号  昭和 63 年)

(2)

毒物及び劇物取締法(法律第 90 号  昭和 60 年)

(3)

環境基本法(法律第 91 号  平成 5 年)

(4)

大気汚染防止法(法律第 33 号  平成元年)

(5)

水質汚濁防止法(法律第 38 号  平成 2 年)

(6)

下水道法(法律第 87 号  全第 97 号  昭和 62 年)

(7) 

廃棄物処理及び清掃に関する法律(法律第 105 号  平成 4 年)

(8)

悪臭防止法(法律第 91 号  昭和 46 年)

(9) 

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(法律第 38 号  平成 2 年)

(10) 

労働安全衛生法(法律第 55 号  平成 4 年)

(11) 

化学物質の審査及び製造等の規則に関する法律(法律第 33 号  平成 2 年)

(12) 

特定化学物質の環境への排出量等の把握及び管理の改善の促進に関する法律(法律第 86 号  平成

11

年)

2.

取扱い方法及び貯蔵方法に関する注意事項の例

(1)

取扱い方法  飲まないこと。目に入れないこと。作業前後に皮膚及び衣服を清潔にすること。作業

環境,特に換気に注意すること。油剤の選択,給油,希釈,劣化,交換などに関する油剤の性状及

び性能を知り,油剤の管理を行うこと。

(2)

貯蔵方法  夏季炎天に置き過熱させないこと,冬季氷結させないこと,密封することなど,貯蔵時

の管理を行うこと。

JIS K 2241

(切削油剤)改正原案調査作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

重  松  日出見

湘南工科大学工学部

八  田      勲

工業技術院標準部材料機械規格課

福  永  健  文

資源エネルギー庁石油精製課

冨  田      進

湘南工科大学工学部

愛      恭  輔

神奈川県産業技術総合研究所

荻  原  詔  喜

社団法人潤滑油協会

谷  口      実

社団法人日本自動車工業会

遠  藤  治  彦

石川島播磨重工業株式会社

鹿  田      洋

株式会社東芝

嶋  野  高  正

三菱マテリアル株式会社

八  谷  耕  一

日本精工株式会社

正  野  健  治

日産自動車株式会社

村  木  和  之

ユシロ化学工業株式会社

木  村  茂  樹

日本工作油株式会社

山  本  隆  一

日本グリース株式会社

丹  羽  栄  次

協同油脂株式会社

早  川  義  展

東邦化学工業株式会社

渡  辺  昌  武

日興産業株式会社

高  橋  弘  之

大同化学工業株式会社

(事務局)

鈴  木  重  秋

全国工作油剤工業組合