K 1603-3:2007
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
警告 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 使用目的 ························································································································· 2
6 妨害······························································································································· 2
7 試料の採取 ······················································································································ 2
8 試験室条件 ······················································································································ 3
9 試薬······························································································································· 3
10 装置 ····························································································································· 3
11 操作 ····························································································································· 3
12 計算式 ·························································································································· 4
13 精度及び偏り ················································································································· 4
13.1 精度 ··························································································································· 4
13.2 偏り ··························································································································· 4
14 試験報告 ······················································································································· 4
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 5
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,ウレタン原料工業会(JURA),日本プラスチ
ック工業連盟(JPIF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 1603の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 1603-1 第1部:イソシアネート基含有率の求め方
JIS K 1603-2 第2部:酸度の求め方
JIS K 1603-3 第3部:加水分解性塩素の求め方
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日本工業規格 JIS
K 1603-3:2007
プラスチック−
ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法−
第3部:加水分解性塩素の求め方
Plastics−
Aromatic isocyanates for use in the production of polyurethanes−
Part 3: Determination of hydrolysable chlorine
序文
この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 15028を基に,対応する部分については対応国際規
格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定され
ていない規定項目(使用目的,試験条件,かくはんモータ及びかくはん棒)を日本工業規格として追加し
ている。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明をつけて,附属書JAに示す。
警告
この規格の使用者は,一般的な試験操作に精通しているのが望ましい。この規格は,これを利用するこ
とによって生じる安全に関するすべての問題の処置を意図しているものではない。安全及び健康に関する
適切な基準の策定,並びに国のすべての規制への適合の確保は,この規格の使用者の責務である。
1
適用範囲
この規格は,2,4-トルエンジイソシアネート,2,6-トルエンジイソシアネート及びこれらの混合物の加水
分解性塩素の求め方を規定する。この試験方法は粗製又は精製されたポリメリックイソシアネートのよう
に溶解性のある他のイソシアネート類にも適用できる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 15028:2004,Plastics−Aromatic isocyanates for use in the production of polyurethanes−
Determination of hydrolysable chlorine (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
2
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には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
注記 対応国際規格:ISO 648,Laboratory glassware−One-mark pipettes (MOD)
ISO 385,Laboratory glassware−Burettes (MOD)
注記 ISO 15028:2004に記載されているISO 385-1は廃止されている。ISO 385は,ISO 385-1と技
術的に同等であることを確認している。
ISO 3696:1987,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods
ISO 4787,Laboratory glassware−Volumetric glassware−Methods for use and testing of capacity
ISO 6353-2,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
ポリウレタン(polyurethane)
有機ジイソシアネート又はポリイソシアネートとジヒドロキシル化合物又はポリヒドロキシル化合物と
の反応によって生成するポリマー。
3.2
加水分解性塩素(hydrolysable chlorine)
イソシアネートの製造中に生成し,試験条件下でメタノールと反応して塩化水素を生成する,有機又は
無機塩素化合物。
4
原理
加水分解性塩素は,メタノールと反応して塩化水素を生成する。反応終了後に,滴定可能な塩素化合物
量を,硝酸銀標準溶液で電位差滴定によって求める。
5
使用目的
この試験方法は,ポリウレタン用イソシアネート及びプレポリマーの研究,品質管理を目的とする評価
に使用できる。
6
妨害
チオシアン酸塩,シアン酸塩,硫化物,よう化物,及び銀イオンと反応する他の物質,並びに酸性溶液
中で銀イオンを還元する物質が測定を妨害することがある。
7
試料の採取
有機イソシアネートは,雰囲気中の水分と反応するので,試料の採取中は注意をする必要がある。通常
の試料採取方法(例えば,オープンドラムからの試料採取)は,速やかに行っても不溶性尿素によって試
料の汚染を引き起こす。したがって,常時,乾燥不活性ガス(例えば,窒素ガス,アルゴンガス又は乾燥
空気)で試料全体を覆う。
3
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警告 有機イソシアネートは,皮膚を通して吸収するか又は蒸気を吸引すると危険である。適切な換
気を行い,保護手袋及び保護めがねを着用する。
8
試験室条件
イソシアネートは,水分と反応するため,試験室の相対湿度を50 %以下とするのが望ましい。
9
試薬
すべての分析において,試薬等級品を用いる。特に指定がなければ,試薬はISO 6353-2の記載による。
十分に純度が高く,測定の精度を損なわなければ,他の等級品を用いてもよい。
特に指定がないかぎり,この規格の水とはISO 3696:1987の等級2の水をいう。
9.1
硝酸 JIS K 8541に規定する,質量分率69 %で密度が約1.42 g/mLのもの。
9.2
メタノール JIS K 8891に規定するもの。
9.3
0.01 mol/L硝酸銀標準液 標準塩酸を用いて重量測定法,又は電位差測定法によって,0.000 5 mol/L
の差まで検出できるように標定したもの。
10 装置
10.1 滴定装置 銀−塩化銀電極をもつ自動滴定装置(推奨),又は銀−塩化銀電極及びISO 385に規定す
るビュレット50 mLをもつ手動滴定装置。
10.2 全量ピペット JIS R 3505に規定する容量50 mLのもの。
10.3 ビーカー ISO 4787に規定する容量400 mLのもの。
10.4 マグネチックスターラー
10.5 かくはんモータ
10.6 かくはん棒 かくはんモータに取り付けられる,先端にかくはん羽根を備えたかくはん棒。
10.7 はかり 0.01 gの精度でひょう量できるもの。
11 操作
11.1 試料容器から,試料を9〜11 g(加水分解性塩素が0.01 %未満と予想される場合は,18〜22 g)を清
浄で乾燥したビーカー(10.3参照)400 mLに0.01 gまでひょう量する。メタノール(9.2参照)50 mLを
加え,かくはんモータ(10.5参照)を作動し,かくはん棒(10.6参照)を回転させてかくはんする。かく
はんを続けると,反応が始まり,ビーカーが温かくなり,ビーカーの側壁に結晶が析出する1)。ビーカー
に水を半分まで満たし(反応物を固化させず,また,塩化水素のロスを最小にするために,素早く水を加
える。),30分間穏やかに煮沸する。
注1) イソシアネートの中には反応しにくく,少し暖める必要があるものがある。一方,反応はする
が結晶が析出しないものもある。
11.2 水でかくはん棒をすすぎながら取り出し,ビーカーの内壁を洗う。ビーカーを氷浴中で約10 ℃に冷
却し,硝酸(9.1参照)を10滴加える。銀−塩化銀電極(10.1参照)を用い,マグネチックスターラー(10.4
参照)でかくはんしながら,0.01 mol/L硝酸銀標準液(9.3参照)で電位差滴定する。加水分解性塩素が0.2 %
より大きい場合は,0.01 mol/L硝酸銀標準液の代わりに0.1 mol/L硝酸銀標準液を使用する。
結果が10 ℃冷却で得られた結果と統計的に差がなければ,20 ℃冷却でもよい。
注記 10 ℃冷却を実施したラウンドロビンテストで統計データを採った。約20 ℃の冷却で十分であ
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るとの報告もある。
12 計算式
加水分解性塩素は,式 (1) によって質量分率(%)で算出する。
m
c
V
H
×
×
3.55
=
········································································· (1)
ここに,
H: 加水分解性塩素(質量分率 %)
V: 試料の滴定に要した硝酸銀溶液量(mL)
c: 硝酸銀溶液の濃度(mol/L)
m: 試料の質量(g)
3.55: 塩素の原子量(35.5 g/mol)とmgからgへの変換係数(1 000),
及び質量分率(%)への変換係数(100)とを組み合せた係数
(g/mol)。
13 精度及び偏り
13.1 精度
精度は,3か所の試験室で実施した限定されたラウンドロビンテストに基づいている。したがって,こ
の試験方法は係争の場合の判定には使用しないほうがよい。
13.1.1 繰返し精度(同一人分析)
同一人,同一日及び同一装置による2点の測定結果の差が,0.001〜0.2 %の加水分解性塩素の範囲にお
いて,0.000 5 %を超える場合は,測定結果が疑わしいことを考慮することが望ましい。
13.1.2 再現精度(試験室間)
異なった試験室での測定結果の差が,0.003 %を超えれば,その結果は疑わしいことを考慮することが
望ましい。
13.2 偏り
この試験方法での偏りは,確定されていない。
14 試験報告
試験報告には,次の事項を含まなければならない。
a) この規格番号(JIS K 1603-3)
b) 試料を完全に特定するために必要な事項
c) 試験結果(加水分解性塩素は0.001 %まで記載する。)
d) この規格には規定していないが,結果に影響を及ぼす可能性のある補足事項
e) 試験年月日
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附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 1603-3:2007 プラスチック−ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法
−第3部:加水分解性塩素の求め方
ISO 15028:2004,Plastics−Aromatic isocyanates for use in the production of
polyurethanes−Determination of hydrolysable chlorine
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び定
義
TDIの定義を削除
ISO
15028
3.1
用語及び定義以外では,TDI
という用語は使用されてい
ない。
削除
TDIの定義は不要
削除を提案する。
5 使用目的
使用方法に関する記載
−
−
追加
国際規格では規定なし
規定を追加することを提案する。
8 試験室条件
試験条件に関する記載
−
−
追加
国際規格では規定なし
規定を追加することを提案する。
9.1 硝酸
JIS K 8541に規定す
る,質量分率69 %で
密度が約1.42 g/mLの
もの。
7.1
ISO 6353-2に規定する,比
重が1.42のもの。
変更
技術的差異はない。
9.2 メタノー
ル
JIS K 8891に規定する
もの。
7.2
ISO 6353-2に規定するも
の。
変更
技術的差異はない。
10.5 かくはん
モータ
項目だけ追加
−
−
追加
国際規格では規定なし
規定を追加することを提案する。
10.6 かくはん
棒
かくはん棒の規定
−
−
追加
国際規格では規定なし
規定を追加することを提案する。
11.1
かくはんモータ(10.5
参照)を作動し,かく
はん棒(10.6参照)を
回転させて
9.1
かくはんモータの記載はな
く,かくはん棒を回転させ
る記載なし
追加
かくはん棒の使い方につい
ての規定なし
規定を追加することを提案する。
11.2
マグネチックスターラ
ー(10.4参照)で
9.2
電位差滴定時のかくはん方
法についての記載なし
追加
国際規格では,かくはんの
ための器具の規定なし
規定を追加することを提案する。
2
K
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6
0
3
-3
:
2
0
0
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
12 計算式
塩素の原子量
(35.5 g/mol)
10
the atomic mass of chlorine
(35,5)
追加
国際規格では,単位の記載
なし
規定を追加することを提案する。
式(1)の3.55の3行目の
係数に,単位(g/mol)
を追加
a constant(定数)
追加
国際規格では,単位の記載
なし
規定を追加することを提案する。
13.1.1 繰返し
精度(同一人
分析)
項目を追加
11.1
−
追加
項目なし
技術的には差異なし
13.1.2 再現精
度(試験室間)
項目を追加
11.1
−
追加
項目なし
技術的には差異なし
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 15028:2004:MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。