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K 1557-6

:2009

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  原理

2

5

  装置

2

5.1

  光源及び検出器

2

5.2

  分光器

2

5.3

  測定用補助装置

2

5.4

  ソフトウェア 

2

6

  検量線の作成 

3

6.1

  検量線作成用試料の選定 

3

6.2

  基準値

3

6.3

  測定波長域及び光路長 

3

6.4

  スペクトル変動原因の減少 

3

6.5

  多変量の数学的処理

4

6.6

  検量線の最適化

4

7

  検量線の検証 

4

8

  検量線の転用 

4

9

  検量線の品質管理

5

10

  測定手順 

5

10.1

  一般

5

10.2

  検量線

5

10.3

  測定

5

10.4

  結果の図示 

5

11

  試験報告

5

附属書 A(参考)測定例の図表 

6

附属書 JA(参考)分光器の種類 

13

附属書 JB(参考)測定用補助装置 

14

附属書 JC(参考)近赤外(NIR)スペクトルの測定 

15

附属書 JD(参考)検量線作成用試料の選定 

17

附属書 JE(参考)多変量解析 

19

附属書 JF(参考)検量線を最適化するための統計的手法

21

附属書 JG(参考)分析誤差の原因

24

附属書 JH(参考)JIS と対応する国際規格との対比表 

26


K 1557-6

:2009

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,ウレタン原料工業会(JURA),日本プラスチ

ック工業連盟(JPIF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS K 1557

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

K

1557-1

  第 1 部:水酸基価の求め方

JIS

K

1557-2

  第 2 部:水分量の求め方

JIS

K

1557-3

  第 3 部:不飽和度の求め方

JIS

K

1557-4

  第 4 部:塩基性度の求め方

JIS

K

1557-5

  第 5 部:色数,粘度,酸価及び pH の求め方

JIS

K

1557-6

  第 6 部:近赤外(NIR)分光法による水酸基価の求め方


日本工業規格

JIS

 K

1557-6

:2009

プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール

試験方法−第 6 部:近赤外(NIR)分光法による

水酸基価の求め方

Plastics-Polyols for use in the production of polyurethanes-

Part 6: Determination of hydroxyl number by NIR spectroscopy

序文 

この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO 15063 を基に,技術的内容を変更して作成した日本

工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JH に示す。

適用範囲 

この規格は,近赤外(NIR)分光法を用いたポリウレタン原料であるポリオール中の水酸基価の求め方

について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 15063:2004

,Plastics−Polyols for use in the production of polyurethanes−Determination of

hydroxyl number by NIR spectroscopy (MOD)

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを示

す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0134

  近赤外分光分析通則 

JIS K 1557-1

  プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第 1 部:水酸基価の求め方

注記  対応国際規格:ISO 14900,Plastics−Polyols for use in the production of polyurethane−

Determination of hydroxyl number (IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。


2

K 1557-6

:2009

3.1 

水酸基価(hydroxyl number) 

試料 1 g 中の水酸基と当量の水酸化カリウムの質量(mg)で示す値。

3.2 

ポリウレタン(polyurethane) 

有機ジイソシアネート又はポリイソシアネートとジヒドロキシル化合物又はポリヒドロキシル化合物と

の反応によって生成するポリマー。

原理 

近赤外(NIR)測定による水酸基の吸収値と各試料の水酸基価[JIS K 1557-1 の規定による方法(以下,

標準法という。

)で求める。

]との相関を示す検量線を,多変量解析を行って作成し,その検量線を用いて

ポリオール中の水酸基価を求める。多変量解析によって求めた検量線の最適化の手法は,6.6 に規定する。

ただし,疑義などが生じた場合などには,標準法である JIS K 1557-1 の 8.3(精度及びかたより)によっ

て求めた値を用いることが望ましい。

注記  近赤外(NIR)スペクトル測定は,附属書 JC を参照。

装置 

装置は,次による。

これらの装置の構成及び設置は,近赤外(NIR)分光器製造業者の技術資料によって行う。

5.1 

光源及び検出器  近赤外(NIR)機器の光源は,石英ガラス製タングステンハロゲンランプを用いる。

検出器は,硫化鉛(PbS)

,セレン化鉛(PbSe)若しくはインジウムガリウムヒ化物(InGaAs)の光導電素

子による半導体形検出器又はトリグリシン硫酸(TGS)による焦電形検出器を用いる。 

5.2 

分光器  回折格子分光器,干渉フィルタ(filter-wheel)分光器,音響光学フィルタ(AOTF)分光器,

発光ダイオード(LED)分光器,フーリエ変換(FT)分光器などから選択して用いる。 

注記  分光器の種類は,附属書 JA を参照。

5.3 

測定用補助装置  キュベット,透過フローセル,透過プローブ,浸せき式プローブ,全反射(ATR)

プローブなどがあり,試料の性状及び用途によって選択して用いる。 

注記  各種測定用補助装置は,附属書 JB を参照。

5.4 

ソフトウェア  次の機能を備えたソフトウェアを用いる。 

a)

すべての試料の特定情報及びスペクトルデータが,正確に記録でき,参照データが利用できるもの。

b)

スペクトルの移動及び/又はコピーができるもの。

c)

スペクトルデータの加減演算及びスペクトルの平均化ができるもの。

d)

光学データの log(1/T)を微分又はほかの数学的処理形式に変換及び逆変換ができるもの。

e)

重回帰分析(MLR)

,主成分回帰分析(PCR)又は部分最小二乗法(PLS)の手法で計算できるもの。

f) PCR

若しくは PLS による解析結果,質量,スコア又は他の望ましいデータを,以降の試験用及び検証

用に保存し,かつ,これらデータを表示できるもの。

g)

検証の標準誤差(SEC)

,回帰係数及び二乗平均平方根偏差(RMSD)を計算でき,種々のグラフ表示

ができるもの。

h)

クロス−バリデーション(標準試料によって検量線の評価を行う。

)ができるもの。

i)

異常値が区別できるもの。


3

K 1557-6

:2009

j)

回帰式の作成及び保存並びに試料の水酸基価を算出できるもの。

検量線の作成 

6.1 

検量線作成用試料の選定 

検量線作成用試料の選定は,次による。

注記  検量線作成用試料選定は,附属書 JD を参照。

a)

選定する検量線作成用試料は,評価試料に存在すると考えられるすべての構成成分を含んでいるもの

とする。

b)

選定する検量線作成用試料は,評価試料の予測水酸基価を含む範囲のものとする。望ましくは,それ

以上の範囲のものを含むものとする。

c)

選定する検量線作成用試料の水酸基価は,必要な検量線の範囲にわたって,均等に分布しているもの

とする。

d)

選定する検量線作成用試料の数は,スペクトルの変化とモデル試料の水酸基価との関係が統計的に明

確化できるように十分に多くの数とする。

注記  検量線作成用試料の数は,評価試料の内容によって異なるため,統計的な手法によって確認

することになるが,その例は,JD.2 を参照。

e)

すべての検量線作成用試料のスペクトルは,

間違ったモデルとなることを避けるために同様の方法

[例

えば,同じ光路長(試料セルの厚み)を用い,かつ,スペクトルのベースライン,最高ピーク,最低

ピークなども同様とする。

]によって求めたものとする。

6.2 

基準値 

基準値は,次による。

a) 

検量線作成用試料の水酸基価の基準値は,標準法で求めた値を用いる。

b) 

基準値の測定は,複数回実施することが望ましい(JIS K 1557-1 に規定する精度を確保する回数とす

る。

。複数回実施した測定値の平均値を検量線作成に用いる。

c) 

標準法による測定及び NIR スペクトル測定は,同時期に行う。

6.3 

測定波長域及び光路長 

6.3.1 

測定波長域 

水酸基価の測定には,R-OH 結合音(2 000 nm∼2 300 nm)及び R-OH 第一倍音(1 380 nm∼1 500 nm)

の二つの主要な波長域を用いる。妨害となる吸光を補正するため,検量線に他のスペクトル領域を追加し

てもよい。

6.3.2 

光路長 

最適な光路長は,測定に用いる波長に依存し,検量線作成用試料の一連の中で最も水酸基価の高い試料

のスペクトル(最も吸光度が大きい)を光路長の異なるセルで測定して,最大吸光度が 1.0A∼1.5A 程度と

なるような長さにする。

6.4 

スペクトル変動原因の減少 

スペクトルの測定は,その変動を見るために,2∼3 回行う。標準法と近赤外(NIR)法との差が大きい

又は 2 回測定間の値の差が大きい場合には,その差異の発生の原因を明らかにする。同じ試料で,近赤外

(NIR)測定及び標準法での測定の繰返し及び異なった試料での測定を行うことによって,変動が,測定

によるものか試料の不均一性によるものか見極める。試料の測定は,順不同で行い,測定順による変動要

因を取り除く。


4

K 1557-6

:2009

ポリオールの近赤外(NIR)スペクトルは,測定時の温度の影響を受けるため,検量線を作成するとき

には,機器が置かれた環境条件の影響を考慮しなければならない。温度調整している実験室で測定を行う

場合には,試料を室温にし,室温下で測定することができるが,室温を一定に保つことができない実験室

で測定を行う場合は,セルを温度制御することが望ましい。室温以外の温度で測定する場合は,測定する

試料の温度の安定するまでの時間が,試料の種類,温度又はセルの光路長によって異なるため,測定前に,

試料の温度が一定になっていることを確認する。

6.5 

多変量の数学的処理 

a) 

検量線の決定のため,一連の近赤外(NIR)法での測定値及び標準法での測定値の関連を多変量解析

によって求める。

b) 

通常,検量線を作成するために,三つのタイプの回帰法を用いる。重回帰分析(MLR)

,主成分回帰

分析(PCR)及び部分最小二乗法(PLS)である。一般に,試料の組成が単純で,しかも一つ又は二

つの分析波長だけが必要な場合は,MLR を用いる。組成が,複雑又は精度を向上するために二つ以上

の波長が必要な場合には,PCR 又は PLS を用いる。

注記  多変量解析は,附属書 JE を参照。

6.6 

検量線の最適化 

統計的手法を用いて,検量線の性能を最適化する。

注記  検量線の最適化に用いる統計的手法は,附属書 JF を参照。

検量線の検証 

検量線の検証は,次による。

a) 

検量線の検証は,JIS K 0134 の 13.3.2(多変量解析法におけるデータの質の管理)

b)(データの質の

管理の実施)1)(関係式の作成時)の規定によって行う。

b)

検証用試料は,検量線作成に用いる試料と同じ基準で選定し(6.1 参照)

,次による。

1)

検証用に選択する試料は,水酸基価が検量線用試料の範囲にあり,その範囲に入らないものは用い

ない。

2)

検証用試料は,その水酸基価の範囲内で均等に分布するように選択する。

3) 

検証用試料は,検量線作成用試料と類似したスペクトル,すなわち,製造過程,試料採取,分析操

作などの変動要因を反映したスペクトルをもつものが望ましい。

c)

検証用スペクトルの測定は,検量線作成のときの測定と同じ手順で行う。

注記  分析誤差の原因は,附属書 JG を参照。

検量線の転用 

ポリオール中の水酸基価を知ることは,

ポリウレタン処方の設計に必要である。

この規格による方法は,

研究,品質管理,品質試験及びプロセス管理に用いるのに適している。

この検量線は,その作成に用いた近赤外(NIR)機器の検量線としてだけ有効である。検量線作成に用

いた機器と異なった機器(同じ製造業者の機器であっても,同一の機器とはみなさない。

)に検量線を転用

するときは,測定値の信頼性を失う可能性があることに注意する。そのため,機器の間で検量線を転用す

る必要がある場合は,次の規定を満足することを確認して転用する。

a) 

検量線の転用とは,ある近赤外(NIR)装置で作成した検量線を,別の近赤外(NIR)装置のスペクト

ルの解析に用いることである。


5

K 1557-6

:2009

b) 

検量線を転用する場合には,転用してもその性能が低下しないことを確認する。

c) 

検量線の転用は,試料採取方法が同じ場合にだけ行う。

注記  同種の光学システムをもつ同種の近赤外(NIR)装置又はより分解能の低い近赤外(NIR)装置

の場合には,検量線の転用は,比較的容易である。

検量線の品質管理 

検量線の品質管理は,JIS K 0134 の 13.3.1(検量線法におけるデータの質の管理)によって行う。

注記  検量線の品質管理の方法として,信頼限界(CL)を求めて,その値によって管理する方法も知

られている。

なお,CL の求め方は,

附属書 JF を参照。

10 

測定手順 

10.1 

一般 

測定の手順を次に示す。手順を変更する場合は,この手順で得られた結果と差がないことを前もって確

認する。

10.2 

検量線 

検量線の作成(箇条 6)の具体的手順は,次による。

a) 

水酸基価の測定領域を包含する同じ構造をもつ 10 又はそれ以上の検量線作成用試料を選定する。各試

料の水酸基価は,標準法によって求める。

b) a)

で選定した試料をセルの中に入れる。セルを目標の温度に温調する。

c) 

セルを近赤外(NIR)測定機器に設置し,6.3.1 に規定の波長範囲の吸収強度を記録する。次に,2∼3

回走査を行う。

d) a)

によって選定した検量線作成用試料について,b)及び c)の手順を繰り返す。

e) 

ソフトウェア(5.4 参照)によって検量線を作成する。

10.3 

測定 

試験試料について,10.2 の b)及び c)の手順を繰り返す。水酸基価が自動的に算出され,表示される。

10.4 

結果の図示 

必要な場合は,得られた値及び標準法による値の関係を図示する。

図 A.1∼図 A.6 に種類の異なるポリオールの測定で得た結果の例を示す。

11 

試験報告 

試験報告は,次の事項を含まなければならない。

a)

この規格の番号(JIS K 1557-6

b)

試験試料を特定するための必要なすべての詳細情報(製造業者,製品のタイプ,ロット番号,製造年

など)

c)

試験結果は,水酸基価が 100 以上であれば整数,100 未満であれば 0.1 の位まで表示する。

d) 

試験年月日

e)

結果に影響を与える可能性のある補足事項の詳細。


6

K 1557-6

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附属書 A

(参考)

測定例の図表

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

A.1 

近赤外(NIR)法及び標準法の測定結果 

試験を実施したポリオールは,6 種類で,その近赤外(NIR)法と標準法との水酸基価測定結果の相関関

係を

図 A.1∼図 A.6 に示す。

図 A.1  グリセリンのプロピレンオキサイド付加重合物

図 A.2  ビスフェノール A のプロピレンオキサイド付加重合物

図 A.3  ポリマーポリオール

図 A.4  プルロニック形ポリオール

図 A.5  プロピレングリコールのプロピレンオキサイド付加重合物

図 A.6  しょ糖のプロピレンオキサイド付加重合物


7

K 1557-6

:2009

R

2

=0.999 9

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.1−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係−グリセリンのプロピレンオキサイド付加重合物 

表 A.1−図 A.1 のデータ 

サンプル No.

1 2 3 4 5

水酸基価(平均)mg KOH/g

163

55.8 56.0 55.2 42.1

繰返し数

5  4  7 11 2

注記 1  図 A.1 には,全 29 データポイントをプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 70±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 5 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


8

K 1557-6

:2009

R

2

=0.999 5

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.2−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係−ビスフェノール のプロピレンオキサイド付加重合物 

表 A.2−図 A.2 のデータ 

サンプル No.

1 2 3

水酸基価(平均)mg KOH/g

347 274 227

繰返し数

5 5 7

注記 1  図 A.2 には,全 17 データポイントを計算しプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 110±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 2 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


9

K 1557-6

:2009

35.0

34.5

34.0

33.5

33.0

32.5

32.0

32.5

33.0

33.5

34.0                         34.5

R

2

=0.913 4

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.3−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係−ポリマーポリオール 

表 A.3−図 A.3 のデータ 

サンプル No.

1

水酸基価(平均)mg KOH/g

33.2

繰返し数 30

注記 1  図 A.3 には,全 30 データポイントを計算しプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 70±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 2 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


10

K 1557-6

:2009

R

2

=0.999 0

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.4−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係−プルロニック形ポリオール

表 A.4−図 A.4 のデータ 

サンプル No.

1 2 3

水酸基価(平均)mg

KOH/g

56.5 46.3 35.9

繰返し数

8 8 8

注記 1  図 A.4 には,全 24 データポイントを計算しプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 70±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 2 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


11

K 1557-6

:2009

R

2

=0.999 9

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.5−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係− 

プロピレングリコールのプロピレンオキサイド付加重合物 

表 A.5−図 A.5 のデータ 

サンプル No.

1 2 3 4 5 6 7 8

水酸基価(平均)mg KOH/g

287 278 271 112 55.1  35  34.5 27.4

繰返し数

13 4 4 5 4 6 4 6

注記 1  図 A.5 には,全 46 データポイントをプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 70±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 5 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


12

K 1557-6

:2009

R

2

=0.949 9

X  標準法による水酸基価(mg KOH/g) 
Y  近赤外(NIR)法による水酸基価(mg KOH/g)

図 A.6−標準法と近赤外(NIR)法との相関関係−しょ糖のプロピレンオキサイド付加重合物

表 A.6−図 A.6 のデータ 

サンプル No.

    1

水酸基価(平均)mg KOH/g

456

繰返し数

 15

注記 1  図 A.6 には,全 15 データポイントを計算しプロットした。 
注記 2  標準法は,JIS K 1557-1 による。

近赤外(NIR)法:FT-NIR 装置,モデル MB160(カナダ ABB Bomem Inc.製) 
測定温度 70±1  ℃,使い捨てガラスセル(約 2 ml)を用いた。

注記 3  測定は,無作為に選定した試料を,3 人の分析者によって同一実験室で実施。


13

K 1557-6

:2009

附属書 JA

(参考)

分光器の種類

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JA.1 

回折格子分光器(Grating monochromator 

分散形の分光器で,研究及び製造プロセス管理のために一般に用いられる。ホログラフィック回折方式

では,格子を回転させることによって,狭帯域の波長だけが,特定の時間に単一の検出器に送られる。

JA.2 

干渉フィルタ(filter-wheel)分光器 

干渉フィルタ分光器は,

一つ又は幾つかの狭い帯域の光を透過するフィルタが,

回転台に取り付けられ,

個別の波長が連続的に一つの検出器に導入される方式である。

JA.3 

音響光学フィルタ(AOTF)分光器 

音響光学フィルタ分光器は,固定フィルタを用いるため可動部がなく,波長選択が連続的に行える分光

器である。音響波と光学波とが異なる角度で結晶内を通過するように同一直線上でない位置に複屈折性の

二酸化テルル(TeO

2

)の結晶を配置している。音響周波数は,結晶格子中を伝ぱ(播)し,周波数に応じ

た屈折率の疎密が発生し,入射した白色光を回折し,単色光を取り出すことができる。この分光計を用い

ることの利点は応答の速さであり,波長又は波長の集まりを,コンピュータ処理によって,1 秒に数百回

も変えることができる。

JA.4 

発光ダイオード(LED)分光器 

発光ダイオード分光器は,異なるダイオードによって,それぞれの周波数域を作成する分光器である。

この分光器の主な利点は,小形であること,可動部品がないため構造的に安定性があること及び電力消費

が少ないことである。

JA.5 

フーリエ変換(FT)分光器 

フーリエ変換分光器を用いる FT-NIR 機器では,光は,可動する光学部分によって相対的に光路が異な

る二つの光線に分けられる。その二つの光線を再び結合することによって,目的とする波長のすべてを含

む干渉パターンが得られる。その干渉パターンをフーリエ変換によって,近赤外スペクトルデータとして

数学的に変換し,高い波長分解能をもったスペクトルが得られる。また,FT 信号を平均化することによっ

て,他のタイプの機器で得られるよりも,一般的に高い SN 比が得られる。


14

K 1557-6

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附属書 JB

(参考)

測定用補助装置

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JB.1  

キュベット 

キュベットは,光路長が固定式又は可変式で,材質は,石英製又はガラス製のものを,一般的に用いる。

JB.2  

透過フローセル 

この種のセルは,液体試料の連続又は断続的にモニタリングするときに用いる。

JB.3  

透過プローブ 

透過プローブは,透明液体,スラリー,懸濁液及びその他の高粘度試料の分析に適している。近赤外(NIR)

領域で吸光度が低い試料の測定では,吸光量を増やすために最長 10 cm までの光路長で測定することがで

きる。

JB.4  

浸せき式プローブ 

浸せき式プローブは,浸せき状態で分析を行う場合に用い,通常,双方向性光ファイバ及び可変光路長

プローブを用いる。光源の試料への放射は,ファイバの内部環を通って試験試料に到達し,散乱伝達光は,

外部環に集められ検出される。

JB.5  

全反射(ATR)プローブ 

全反射は,吸収媒体(試験試料)がより高い屈折率の結晶(赤外透過結晶)表面に密着している場合に

起こる。最適な角度の近赤外(NIR)光は,試料表面から数ミクロン以下の範囲で浸透しつつ,クリスタ

ル表面に沿って内部反射を繰り返して選択的吸収が起こる。得られるスペクトルは,従来の透過形プロー

ブで得たスペクトルと極めて近い。特殊用途のための全反射(ATR)プレート及びロッドが開発されてお

り,単一又は多重反射装置のいずれかを用いることができる。全反射(ATR)サンプリング装置は,実験

室で用いるが,

光ファイバープローブの形でも用いられるため,

オンライン分析にも用いることができる。

また,粘性液体及び高吸収材料を測定するのに有利である。


15

K 1557-6

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附属書 JC

(参考)

近赤外(NIR)スペクトルの測定

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JC.1 

近赤外(NIR)スペクトル測定は,ランバート・ベールの法則による。すなわち,吸収物質を含んで

いる均一試料の吸光度(A)は,吸収成分の濃度に比例する。試料の吸光度は,透過率(T)の逆数の常用

対数とする。

( )

T

A

/

1

log

10

=

ここに,

T: 透過率(試料に入射する放射光強度と試料を透過した

透過光強度との比。

ほとんどの装置では,試料への入射放射光強度を直接測定することはできない。そのため,試料なしの

状態で,空試験を行って入射する放射光強度を求め,次いで,試料測定を行い,透過率 を計算する。空

試験の方法は,使用方法及び装置によって異なり,それぞれに適した方法で実施する。すなわち,空試験

は,試料及びそのホルダは,取り除いてもよいし,サンプルホルダ(セル)を空にして,空のセルで空試

験をしてもよい。また,セルを,対象とするスペクトル領域で最小吸収となる物質で満たし,空試験を行

うこともできる。別の方法では,ビームを分割し,半分はテストセルを通し,残りは,空のセル又はセル

中のその物質を通過させるものもある。このように多くの空試験方法があるが,同じ空試験の方法を,検

量線作成用試料,検証用及び未知試料のすべてのスペルクトルの測定のために用いる。空試験及び試料測

定に用いた装置条件の違いは,最小にする。

従来,測定試料を装置に運び,適切な光学セル(対象波長領域で光を透過するウインドウをもつセル,

バイアル又はキュベット)に入れていた。一方,液送パイプは,連続分析のための手段で連続的に液体を

光学セルに通すのに用いる。光ファイバを用いれば,装置から離れた測定試料でも分析できる。光線は,

一つ又は複数の光ファイバを通して測定試料に送られ,もう一方のファイバは複数のファイバによって装

置に戻る。光線の送信及び受信のために単一のファイバを用いる装置が開発されている。さらに,ファイ

バの束を用いる装置が開発され,装置に外部設置形の検出器と光源を用いることができる。この場合,単

一ファイバ又はファイバの束が必要である。近赤外(NIR)領域で用いる光ファイバは,適切なグレード

を指定する必要がある。通常,それらは水分含有量の低い(低 OH)ファイバである。総ファイバ長は,

メーカの推薦する長さを超えてはならない。

ほとんどの近赤外(NIR)装置で,スペクトルデータを収集するために,各種の調整可能なパラメータ

を用いることがきる。これらのパラメータによっては,光学系及び数値解析並びにデータ収集速度(スキ

ャンスピード)を制御する。他の重要なプログラムパラメータとして波数,スキャン回数及びデータポイ

ント数を含む。多変量解析による検量に対して,装置について更に考慮すべきことは,温度制御と補償,

セル長の均一性,及び波長安定性がある。検量線作成試料,検証用試料及び分析用試料のスペクトルを収

集する際に,検量線に含まれていないスペクトルデータを収集するすべての調整可能なパラメータ及び要


16

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因が一定であることが重要である。

定義及び一般近赤外分光技術の詳細については,JIS K 0134 を参照。


17

K 1557-6

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附属書 JD

(参考)

検量線作成用試料の選定

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JD.1 

検量線作成用試料の数 

各種のポリオール又は新しいプロセスで製造したポリオールに対して,実用可能な検量線を作成する必

要がある。近赤外(NIR)スペクトルと水酸基価との相関は,一般的には,考えられる妨害事項を特定し,

望まれる精度の適切な検量線であることを検証する必要がある。

検量線作成用試料のセットは,必要なすべての特性の同定を行っておくことが望ましく,予測される水

酸基価の範囲を含み,試料物質の中には,発現する可能性のあるすべての妨害事項を含んでいるものとす

る。

なお,成分間で相互作用のある物質を含む試料は,用いない方がよい。検量線作成用試料の点数は,可

能な限り多いことが望ましく,特に,PLS 法を検量線作成の手法として用いる場合には,30∼50 の試料を

評価することが望ましく,かつ,含まれる水酸基価の値が,その範囲にわたって分布しているものが望ま

しい。一連の検量線作成用試料の水酸基価の範囲は,滴定法の標準偏差値の少なくとも 3 倍とするが,更

に 5 倍を満たすことが望ましい。一連の検証用試料として既知の独立した一連の試料が同定され,検量線

の妥当性を評価するために保管しておくことが望ましい。検証用試料の数は,検量線評価に用いられる試

料の数に依存する。一般的には,検量線用に用いる 4 物質に対して 1 物質が必要となる。もし,広い範囲

の水酸基価の試料がないときには,標準添加法を用いて範囲を広げることが必要となり,それによって,

検量回帰線を最適化することができる。試料を混合することによって水酸基価数を変化させることは,標

準添加法よりも望ましい。もし,標準添加法を用いる場合は,元の試料及び一連の検量線作成試料のスペ

クトルとの互換性に影響を与えるような変化は避ける。

注記  標準添加法とは,試料を既知量加えた測定対象を何点か測定し,試料量に対してピーク高さ及

び面積をプロットして直線を描き,この直線から本来の試料のピーク高さ及び面積を外挿法に

よって求めることをいう。

検量線作成用試料は,実際の製造条件を反映した方法で,また,分析のために通常行われる試料収集法

を反映して集められたものが望ましい。検量線作成用試料のスペクトルも,実際の条件,取扱技術,取扱

方法によって収集するものである。

これらの条件が満たされない場合又は他の変動が制御されない場合は,

それらの変動要因を含んだ一連の検量線作成用試料を用いることが望ましい。

一連の検量線作成用試料は,この分析法又は標準法で少なくとも繰り返し分析されなければならない。

もし,検量線作成用試料の水酸基の範囲が標準法での標準偏差値の 5 倍より小さい場合は,γ回の繰返し

測定を行い,γの 1/2 乗回数で検量線作成用試料の水酸基価の範囲が標準法の標準偏差値の少なくとも 3

倍を満たし,更に 5 倍を満たすことが望ましい。

検量線は,幾つかの有用な方法,例えば MLR,PCR,PLS の一つを用いて作成することができる。検量

線の質は,

附属書 JF に記載する幾つかの統計的な手法によって評価する。検量線は,クロス−バリデー

ションによって評価する(JF.2

。その他の統計的手法も検量線の全体的な評価に用いることができる。


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検量線作成用試料を用い,その検証用試料を統計的に解析し,その方法が適切な精度を与えるものであ

ることが推定された場合には,ボックスカー(boxcar)分布(限定された区間の水酸基価の範囲の中での

均等な分布)を得るように追加試料を付け加えることによって,検量線は,より性能のよいものにするこ

とができる。最終的な検量線モデルは,この規格の箇条 に規定するように作成し,検証する。

もし,検量線作成用の試料が異なった種類のポリオールで構成されていて,信頼性のある検量線を得る

ことが不可能な場合には,化学的類型によって試料を分類し,それぞれの分類ごとに別々に検量線を作成

する。分類分けの例としては,ポリエーテル,ポリエステル,製造技術[例えばエチレンオキサイド(EO)

/プロピレンオキサイド(PO)比]

,官能基数などによるものである。

JD.2 

検量線作成用試料の変化の原因となる因子 

検量線は,

実際の分析では除外できるような変化の原因となる因子を除いたものであることが望ましい。

もし,排除できない因子がある場合には,できれば,検量線作成用試料の中にも,そのような因子が含ま

れなければならない。

変化の原因となる因子を,次に示す。

−  化学組成

−  物理性状

−  試料の取扱方法,温度及び湿度

近赤外(NIR)の検量線を作成するために必要な試料の数は,分析する試料の複雑さに依存する。濃度

の異なる数種類の成分しか含まない単純な試料の場合は,スペクトルの変化も少なく,スペクトルと構造

とを相関づける試料の数は少なくてよい。一方,濃度を含めて,何種類かの構成成分をもつ複雑な試料の

場合は,相関を正しいものとするために,また,検量線の作成が適切であることを確認するためにも多く

の検量線作成用試料を必要とする。もし,5 以下の変数による多変量解析で検量線が引かれるときには

(MLR におけるピークの変化,PCR,PLS における因子)

,異常値を除いた後で少なくとも 30 の物質を用

いて作成する。多変量解析による検量線が 個(>5)の変数(MLR におけるピークの数,PCR,PLS にお

ける因子)を含むときは,一連の検量線作成用試料は,異常値を除いた後で少なくとも 6×個以上の試料

数を必要とする。


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K 1557-6

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附属書 JE

(参考)

多変量解析

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JE.1  

重回帰分析(MLR 

近赤外(NIR)分光法において,最も単純な演算法は,重回帰分析である。ポリオールの水酸基価の変

化と吸光度の変化との関係は,ランバート・ベールの法則によって解が得られる。

検量線の作成においては,MLR で使用するピークの数の選択が,重要な要素である。ピークの数が少な

すぎると,正確な検量線が作成できない。また,ピークの数が多すぎると,波長と吸光度との直線関係が

不安定な検量線になる。

検量線の作成においては,重回帰分析による検量線に含まれる特定波長の選択も,重要な要素である。

MLR の数学的処理の詳細については,JIS K 0134 を参照。

JE.2  

主成分回帰分析(PCR 

検量線作成用試料のすべてに共通する,吸光度の変化を表す,一連の少数の固有ベクトル(主成分)を

作ることが可能である。

重回帰分析における波長の選択と同様,この回帰分析では,検量線の作成において用いる主成分の数の

選択が,極めて重要である。主成分の数が少なすぎると,不正確な検量線しか作成できない。また,主成

分の数が多すぎると,検量線作成用試料からのノイズが検量線に含まれ,不安定な測定結果となる。

ある検量線に対する最適な主成分の数は,検量線作成用試料のスペクトルの中で,スペクトルとして識

別できる成分の数と関係がある。

PCR の数学的処理の詳細については,JIS K 0134 を参照。

JE.3  

部分最小二乗法(PLS 

PLS は,MLR 及び PCR とは別の演算法として,最も一般的に用いられる回帰法である。PLS は,PCR

と密接な関係がある,もう一つのスペクトル分離技術である。PCR は,最初にスペクトルのマトリックス

を固有ベクトルとスコアとに分解し,別の段階として,検量線作成用試料の試料濃度に対してスコアで検

量線を作成するが,PLS では,数学的な分離過程の間に,実際に濃度情報を使用して検量線を作成する。

PLS は,少なくとも 30 個の検量線作成用試料がある場合だけに用いるべき方法である。少ない試料を分

析し,PLS の演算によってモデル化すると,典型的なオーバーフィッティング(過剰適合)が発生する。

このため,この検量線の信頼性は,制限される。

演算中において,MLR の演算では傾き及び切片が見られるが,PLS の演算では因子が作成される。各々

の因子は,単一な変数としてではなく,変数の組合せとして表される。

一般に,計算された因子の全数は,試料母集団によって異なる成分の数に,ほぼ一致する。分析すべき

ポリオール試料の水酸基価,水分及び測定温度が異なるならば,三つから四つの因子によって,水酸基価

測定のための十分な相関が取れるよう処理することが望ましい。


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PLS の数学的取扱いの詳細については,JIS K 0134 を参照。


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附属書 JF

(参考)

検量線を最適化するための統計的手法

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JF.1  

標準誤差(SEC 

検量線の標準誤差(SEC)は,次の式によって算出する:

(

)

2

1

2

ref

NIR

=

df

Y

Y

SEC

ここに,

Y

NIR

検量線作成用試料をモデルによって計算した水酸基価

Y

ref

それ(Y

NIR

)に対応する標準法で求めた水酸基価

df: 検量線モデルにおける自由度

df は通常 nと等しくなる。ここで,は検量線作成用試料の数であり,はモデルで使用された変数

の数(MLR ではピークの数,PCR 及び PLS では因子の数)である。検量線の作成前に,スペクトルデー

タと基準値とが平均値に集中している場合,dfnk−1 である。

SEC は,検量線を用いた計算値と,基準値の一致具合を評価するため用いる。誤差には,検量線作成の

ための標準分析値の誤差,検量線作成におけるスペクトルの誤差,検量線の誤差(間違った変数の数の使

用,直線関係にない相関など)が含まれる。

SEC は,検量線作成用試料中の材料における,近赤外(NIR)法の計算値と基準値との差異に対する標

準偏差である。それは,適用された特定の回帰に起因する,残存誤差全体の指標である。一般に,SEC は,

検量線に用いる独立変数の数が増加すると減少する。このことは,項の数の増加によってデータ中のより

多くの変動が表せられるようになることを意味する。しかし,検量線作成のために多くの変数(因子)を

使い過ぎることによるオーバーフィッティングの発生が,結果として検量線の性能の過剰評価をもたらす

(SEC の値は,過度に低くなる)

。SEC 統計学は,検量線を作成するために用いる特定の一連の変数に対

して得られる,理論上,最も精度が高い有効な評価方法である。

多変量解析による検量線を評価するための,更に詳しい統計的試験法については,ASTM E 1655 の 15.5

を参照。

JF.2  

検量線における変数の数の最適化 

検量線の作成において,用いる変数の数(MLR におけるピーク又は PCR 及び PLS における因子)を決

めることは,検量線作成において極めて重要な過程である。一般に,変数の数が少な過ぎると,結果とし

て精度に欠ける検量線となる。変数の数が多過ぎると,検量線からの評価結果が不安定になる。このよう

な場合,ノイズ程度のスペクトルの小さな変化が,評価する上で統計的に重大な変動をもたらすことがあ

る。

検量線の作成において用いることが望ましい変数 の最大数は,一連の検量線作成用試料の中に存在し,


22

K 1557-6

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検出でき,スペクトルとして区別できる特性吸収の数に関係する。これには,ベースラインのずれ及び散

乱効果といった成分と無関係な内容を含んでいる場合がある。

十分な精度があり,検証に合格するような検量線であれば,個未満の変数を用いても,検量線を構築

できる。

標準法の精度の知識もまた,検量線に幾つの変数を含めるべきかを決めるのに有効である。検量線の標

準誤差と,標準法の再現性から計算される標準偏差とを比較することによって,検量線に含まれる変数の

最大数を見積もることができる。検量線の標準誤差が,標準法での標準偏差より低ければデータのオーバ

ーフィッティングを意味する。

その検量線の中に含まれることが望ましい変数の最適な数を求めるためにクロス−バリデーション手順

も使われる。クロス−バリデーション手順の詳細は,ASTM E 1655 の 15.3.6 を参照。PRESS(予測される

残留誤差の平方の総和)は,次の式によって算出する。

(

)

=

2

ref

NIR

Y

Y

PRESS

クロス−バリデーションの標準誤差(SECV)は,次の式によって算出する。

(

)

2

1

2

ref

NIR



=

n

Y

Y

SECV

PRESS 又は SECV は,そのモデルで使用された変数の数の関数として計算することができる。PRESS(又

は SECV)の値及び変数の数のプロットが,検量線中の変数の最適数に相当する最小の PRESS 値を決定す

るために,しばしば用いられる。もし,最小値が現れなければ,PRESS 値又は SECV 値が多少とも一定値

に近づく最初の点によって,含まれるべき変数の最大数の示唆が与えられるが,通常は最初の最小値が得

られる。

検量線で用いる変数の数を決定するためのこれらの手法は,単にガイドラインとしての意味しかない。

それらの手法が,いつでも安定な検量線モデルの作成に役立つとは限らない。変数の数を決めるための最

終的な評価は,その検量線が次に記載する方法で正しいことが検証できるかどうかによる。望まれる精度

をもつ検量線を作成するために,検量線で使用する変数の数を最後に決定しなければならない。

JF.3  

推定値に対する信頼限界 

MLR 又は PLS モデルを用いて算出された水酸基価に対する信頼限界(CL)は,次の式によって算出す

る。

(

)

2

/

1

2

D

SEC

t

CL

+

×

×

=

ここに,

t

モデル中の自由度の数に対するスチューデント

t

D

2

統計的なマハラノビスの距離

上記の式で計算された信頼限界は,スペクトルデータ中のどんな不確実性をも無視しているため,単な

る近似値である。

注記

マハラノビスの距離とは,統計学で用いられる距離の一種である。

形式的には,平均が

μ

(μ

1

μ

2

μ

3

...

μ

p

)

T

で,共分散行列(各変数間の共分散を配列した


23

K 1557-6

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行列)がΣであるような多変数ベクトル

x

(x

1

x

2

x

3

...

x

p

)

T

で表される一群の値に対する

マハラノビス距離は,次のように定義される。

)

(

)

(

)

(

1

μ

μ

Σ

=

x

x

x

D

T

JF.4  

異常値の決定 

検量線を作成する間に,異常値を特定しなければならず,検量線にそれら異常値を残しておくのであれ

ば,そうすることの価値について注意深く考察されるべきである。異常値の統計的な取扱いについての詳

細な記述は,ASTM E 1655 の箇条 16 を参照。

検量線作成中に 2 種類の異常値が特定できる。一つ目の異常値は,検量線作成用の他の試料に比べて,

大きく異なる化学組成をもつ物質によるものである。二つ目の異常値は,算出値が統計的に有意な量で標

準値と異なっている場合である。その他の異常値については,スペクトル中で差異を見つけ,データを調

べることによって識別できるであろう。統計的な異常値は,多変量回帰分析に著しい影響を及ぼす化学物

質を特定するのに用いられている。

誤った結果が出ることを避けるために,検量線の作成が完了する前に,その検量線に否定的な影響を与

えるすべての異常値を除かなければならない。


24

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附属書 JG

(参考)

分析誤差の原因

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

JG.1 

分析誤差の原因 

分析誤差の原因を特定する方法は,次による。

a)  ASTM E 1655

の箇条 20 に,このような方法による分析で最も起こりやすい誤差原因として,スペク

トル測定の誤差,試料採取の誤差,検量線作成の誤差及び分析における誤差を一般的誤差原因として

挙げている。

b)

標準法による水酸基価と近赤外(NIR)法による計算結果との相関を調べるために用いる最初の手法

の中には,固有の誤差があることが知られている。その情報は従来から,検量の標準偏差(SEC)を

矯正するために用いることができる。改良された SEC は,最初の誤差とは別の検量線モデルの中にあ

る誤差を見積もる。

α

,

df

2

2

app

cor

x

df

SEC

SEC

×

=

σ

ここに,

SEC

app

モデルに対して計算された標準誤差(SEC)

σ

2

標準法における分散

df

σ

2

を計算するために用いた標準法データの中の自由

度数

α

計算結果中の不確実性の期待度

x

2

特定の標準統計表で与えられる値


25

K 1557-6

:2009

参考文献   

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[13] ISO 2554,Plastics−Unsaturated polyester resins−Determination of hydroxyl value

注記  対応日本工業規格:JIS K 6901:2008  液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法 (MOD)

[14] ISO 4326,Non-ionic surface active agents−Polyethoxylated derivatives−Determination of hydroxyl value−

Acetic anhydride method

[15] ISO 4327,Non-ionic surface active agents−Polyalkoxylated derivatives−Determination of hydroxyl value−

Phthalic anhydride method

[16] ISO 4629,Binders for paints and varnishes−Determination of hydroxyl value−Titrimetric method

[17] ISO 6796 , Polyglycols for industrial use − Determination of hydroxyl number − Phthalic anhydride

esterification method

[18] ASTM E 168  Standard Practices for General Techniques of Infrared Quantitative Analysis

[19] ASTM E 1655  Standard Practices for Infrared Multivariate Quantitative Analysis


附属書 JH

(参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS K 1557-6: 2009

  プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第 6

部:近赤外(NIR)分光法による水酸基価の求め方

ISO 15063:2004

, Plastics− Polyols for use in the production of polyurethanes −

Determination of hydroxyl number by NIR spectroscopy

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格

番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

1  適用範

1

適用範囲

変更

“…求め方の指針”を“…求め

方”とした。 
 
適用範囲としての規定でない

ものを削除した。

対応国際規格では,題名は“求め方”

となっているが,適用範囲では,
“求め方の指針”となっており矛盾
している。また,本文にも規定と解

説とが混在しているため,この規格
では“求め方”として本文の構成を
変更し,指針から試験方法に変更し

た。 
対応:ISO に提案

4  原理

4

原理

変更

この規格の他箇条の規定部分

と重複する部分を削除した。 
対応国際規格の箇条 6 は,NIR
測定の一般的事項であり,この

箇条の注記として,附属書 JC
参照とした。

技術的差異はないが,この規格の使

用者の利便性を考慮して変更した。

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(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格
番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

5  装置 5.1

光源及び検出器

5.2  分光器 
5.3  測定用補助装置 
5.4  ソフトウェア

5 装置 5.1

一般

5.2  光源及び検出器 
5.3  分光 
5.4  試料採取器具 
5.5  ソフトウェア

変更

この規格では,規定としてふさ

わしくない説明部分を次のよ
うに附属書(参考)に移した。
分光器の種類(対応国際規格
5.3.2∼5.3.6):附属書 JA 
各種測定用補助装置(対応国際
規格 5.4.2∼5.4.4)

:附属書 JB

対応国際規格では,TGS が半導
体形検出器の一種となってい
るが,焦電形の間違いでありこ

の規格では,区別して記載し
た。

前記の理由,誤記の修正及びこの規

格の使用者の利便性を考慮して変
更した。 
 
 
 
 
 
 
 
 
対応:ISO に提案

6  検量線
の作成





10 
11

NIR スペクトル作成 
実用可能な検量線の作成 
検量線作成用試料の選定 
NIR スペクトルの測定 
標準法と基準値 
検量線作成

変更

①対応国際規格の箇条 6 は,一

般的説明事項であり附属書 JC
(参考)

(原理の注記)とした。

対応国際規格の箇条 7∼11 の一

般的説明事項は,この規格の附
属書 JD(検量線作成用試料の
選定)

,附属書 JE(多変量解析)

及び附属書 JF(検量線を最適化
するための統計的手法)(いず
れも参考)とし,規定事項を,

この規格のこの箇条にまとめ
た。 
②この規格の 6.3.2(光路長)の

最大吸光度は,1.0A∼1.5A に変
更した。

①前記の理由及びこの規格の使用

者の利便性を考慮して変更した。 
 
②実用範囲を考慮して変更した。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
対応:ISO に提案

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(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格
番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

7  検量線
の検証

12 
13 
 
14

多変量モデルの検証 
NIR 法による予測値の精
度 
分析誤差の原因

変更

①検証方法として JIS K 0134

の規定を用いた。 
②対応国際規格の箇条 13 は削
除した。

③対応国際規格の箇条 14 は,
一般的説明であり,附属書 JG
(参考)とした。

①対応国際規格では ASTM 規格を

用いているが,一般的でないため

JIS

の規定とした。

②規定として不要のため削除した。

③規定としてふさわしくないため
参考とした。 
対応:ISO に提案

8  検量線
の転用

15

検量線の転用

変更

箇条を変更した。

前記変更による。

9  検量線
の品質管

16

検量線の品質管理

変更

JIS K 0134

の規定に変更した。

なお,CL の求め方は,対応国
際規格の 11.9.1 を附属書 JF(参

考)とした。

対応国際規格の記載内容は説明的
であり,使用者の利便性から JIS 
規定を採用した。

10  測定手

17

測定手順

変更

箇条を変更した。

前記変更による。

11  試験報

18

試験報告

変更

箇条を変更した。

前記変更による。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 15063:2004,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD………………国際規格を修正している。 

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