日本工業規格
JIS
K
1425
-1959
さらし粉及び高度さらし粉
Bleaching Powder and High Test Hypochlorite
1.
適用範囲 この規格は,工業薬品としてのさらし粉および高度さらし粉について規定する。
2.
品質 さらし粉および高度さらし粉は,表 1 および表 2 の規定に適合しなければならない。
(1)
さらし粉
表 1
種類
成分
1
号
2
号
3
号
有効塩素 (%)
33
以上 32 以上 30 以上
備考 パルプおよび紙用は,1 号とする。ただし,1 号以外を使用する場合は,当事者間の協定によら
なければならない。
(2)
高度さらし粉
表 2
種類
成分
1
号
2
号
有効塩素 (%)
70
以上 60 以上
3.
試料のとり方
3.1
試料は,日光の直射を避け,かつ乾燥した場所で着荷後 3 日以内につぎの方法によりとる。ただし,
特別の場合は,試料をとる時期および場所は,当事者間の協定によらなければならない。
試料採取最小容器数は,
表 3 による。ただし,1000 個をこえる場合は,はしたに対し表 3 を適用し,こ
れを加算しなければならない。
表 3
容器数
試料採取最小容器数
1
∼
10
1
11
∼
50
2
51
∼
100
3
101
∼
500
5
501
∼ 1000
10
3.2
容器が箱のときはそのふたをとり,上層約 30 mm を除き,
図 1 に示すように対角線上 3 箇所におい
て,底から約 30 mm 上部の箇所まで垂直に
・
さ
・
し(
図 4)を突きさし,これを数回回転したのち引きぬいて
とる。
2
K 1425-1959
3.3
容器が鉄製ドラムかんのときは,そのふたをとり,上層約 30 mm を除き,
図 2 に示すようにさしを
中心にむけて突きさし,これを数回回転したのち引きぬいてとる。
3.4
容器が袋のときは口を開き,
図 3 に示すようにその中心を貫く一直線上 3 箇所において垂直にさし
を突きさし,これを数回回転したのち引きぬいてとる。
3.5
各容器からとった試料は 1 ロットごとに 1 箇所に集め,よく混和したのち,その中から全体を代表
する約 200g をとり,共せんガラスびんに入れ,密封してたくわえ,試験に供する。
図 1
図 4 さしの例
図 2
図 3
備考 塩素にたえる材質の適当なさしを使う。
3
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4.
試験方法
4.1
有効塩素 試料約 4g をはかりびんにとり,すみやかにふたをしたのち,正確にはかる。つぎにこれ
をにゅうばちに移し,手早く少量の水を用いてじゅうぶんにすりくだき,のり状とする。
さらし粉の場合はメスフラスコ 500ml 中に,高度さらし粉の場合はメスフラスコ 1000 ml 中に,それぞ
れ洗い移し,水で標線までうすめ,せんをして約 10 分間放置したのち,じゅうぶんに振る。その 50ml を
三角フラスコにとり,よう化カリウム 2g を加え,つぎに酢酸 (1+1) 10ml を加えたのち,N/10 チオ硫酸ナ
トリウム溶液(
1
)
ででんぷん溶液(
2
)
を指示薬として滴定し,つぎの式によって有効塩素 (%) を算出する。
ただし,でんぷん溶液は,溶液がうす黄色になってから加える。別によう化カリウムについて同一条件
で空試験を行ない,その使用量を差し引く。
(1)
さらし粉
100
10
003546
.
0
×
×
×
=
S
G
H
(2)
高度さらし粉
100
20
003546
.
0
×
×
×
=
S
G
H
ここに
H
:
有効塩素 (%)
G
:
N/10
チオ硫酸ナトリウム溶液使用量 (ml)
S
:
試料 (g)
注(
1
)
N/10
チオ硫酸ナトリウム溶液のつくり方 チオ硫酸ナトリウム(結晶)約26g を炭酸ナトリウ
ム(無水)約0.2g とともに,炭酸を含まない水約1000ml に溶かす。これにアミルアルコール約
10ml
を加え,せんをして振って,2日間放置する。
このファクターは,つぎの方法によって求める。
130
∼150℃で約 2 時間乾燥し,デシケーター中で冷却したよう素酸カリウム(標準試薬)1
∼1.5g を正確にはかり,水を加えて溶かし,メスフラスコ 250ml に移し,水で標線までうすめ
る。その 25ml をとり,よう化カリウム約 2g および塩酸 (2+1) 約 5ml を加えたのち,でんぷ
ん溶液を指示薬として,本溶液で滴定する。ただし,でんぷん溶液は,溶液がうす黄色になっ
てから加える。別によう化カリウムについて同一条件で空試験を行ない,その使用量を差引く。
(
2
)
でんぷん溶液のつくり方 でんぷん約 1g を少量の水でねり,熱水約 200ml 中にかき混ぜながら
加えたのち,約 1 分間煮沸し,冷却後ろ過してつかう。
5.
数値の取扱い方 規格数値は,つぎの位の数値を JIS Z 8401 により丸めた結果を示す。
備考 塩酸と酢酸は,JIS K 8002(試薬試験用溶液類の調製方法)に規定された,つぎの濃度のもの
を使用する。
塩酸:比重約 1.18(約 35%)
酢酸:比重約 1.06(約 99%)