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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 1403-1992 

二クロム酸ナトリウム二水和物 

(重クロム酸ナトリウム) 

Sodium dichromate dihydrate 

Na2Cr2O7・2H2O FW : 298.00 

1. 適用範囲 この規格は,工業用の二クロム酸ナトリウム二水和物について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 品質 二クロム酸ナトリウム二水和物の品質は,4.によって試験したとき,表1のとおりとする。 

表1 品質 

単位% 

項目 

品質 

二クロム酸ナトリウム二水和物 (Na2Cr2O7・2H2O) 

99.3以上 

塩化物 (Cl) 

0.2以下 

硫酸塩 (SO4) 

0.2以下 

3. 試料採取方法 試料採取方法は,次のとおりとする。 

(1) 試料採取の時期は,包装の直前又は開封の直後とする。 

(2) 同じ条件下で製造され,同一品質とみなせる連続24時間を超えない生産量を1ロットとし,製品3t

ごとに1インクリメントを採取する。1インクリメントは,100gとする。 

(3) (2)によって採取したすべてのインクリメントを一つにまとめ,十分に混合した後,縮分を行って約

100gの分析用試料とする。 

(4) 分析用試料は,共栓付広口ガラス瓶又はポリエチレン製容器に移し入れ,密封して保存する。 

(5) (2)以外のロットの場合は,当事者間で採取試料が全体を代表するように定めた方法によって採取した

後,(3)によって調製し,共栓付広口ガラス瓶又はポリエチレン製容器に入れ,密封して保存する。 

備考 二クロム酸ナトリウム二水和物は,湿気を吸収しやすいので,試料採取及び試料調製の場合は,

十分注意することが必要である。 

4. 試験方法 

4.1 

一般事項 一般事項は,次のとおりとする。 

試験において共通する一般事項は,JIS K 0050による。数値の丸め方は,JIS Z 8401による。 

4.2 

二クロム酸ナトリウム二水和物 二クロム酸ナトリウム二水和物の定量は,次のいずれかによる。 

(1) 指示薬滴定法 

K 1403-1992  

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(2) 電位差滴定法 

4.2.1 

指示薬滴定法 

(1) 要旨 試料を水に溶かして硫酸を加え,指示薬としてフェロイン溶液を加えて,硫酸アンモニウム鉄 

(II) 溶液で滴定し,二クロム酸ナトリウム二水和物を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硫酸 (1+1) JIS K 8951に規定する硫酸を用いて調製したもの。 

(b) フェロイン溶液 JIS K 8978に規定する硫酸第一鉄0.695gを水に溶かし,これにJIS K 8789に規定

する1, 10−フェナントロリン一水和物1.49g又はJIS K 8202に規定する塩化1, 10−フェナントロリ

ニウム一水和物1.76gを加えて溶かし,水を加えて100mlとしたもの。 

(c) 0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液 JIS K 8979に規定する硫酸第一鉄アンモニウム80gを水

900mlに溶かし,硫酸 (1+1) 100mlを加える。 

標定 使用の都度,二クロム酸カリウム標準液の一定量を取り,(4)によって標定する。 

(d) 二クロム酸カリウム標準液 JIS K 8005に規定する二クロム酸カリウムをめのう乳鉢中で砕き,

150℃に調節した恒温乾燥器中で1時間乾燥し,シリカゲルデシケーター中で放冷する。その約16g

を0.1mgのけたまで量り取り,水に溶かして全量フラスコ1 000mlに移し入れ,水を標線まで加え

て調製したもの。 

このときの標準液の温度t1℃(1)を測る。 

注(1) 温度は,1℃単位で測る。 

(3) 器具 平形はかり瓶 50×30mm 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料約4gを質量既知の平形はかり瓶に素早く取り,直ちに栓をして0.1mgのけたまで量る。 

(b) 水に溶かして全量フラスコ250mlに移し入れ,水を標線まで加える。 

(c) この中から,全量ピペットを用いて25mlをビーカー500mlに分取し,水を加えて約400mlとし,硫

酸 (1+1) 40mlを加える。 

(d) 0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液で滴定し,クロム酸の黄色がほとんど消えてから,フェロイ

ン溶液3滴を加え,更にできるだけ少量ずつ滴定を続け,溶液が青から赤褐色に変わり,約30秒間

消えない点を終点とする。 

(e) 二クロム酸カリウム標準液の温度t2℃(1)を測り,全量ピペットを用いて,その25mlを別のビーカー

500mlに分取し,水を加えて約400mlとし,硫酸 (1+1) 40mlを加えて,(d)を行う。 

(5) 計算 二クロム酸ナトリウム二水和物は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

01294

.1

25

1000

1

×

×

=K

f

1

2

1

2

d

d

a

f

f

×

=

100

250

25

2

×

×

×

=

S

B

f

A

ここに, 

f1: 温度t1℃のときの二クロム酸カリウム標準液25ml[(4)(e)

における分取量]中に含まれる二クロム酸ナトリウム二
水和物の質量 (g)  

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K 1403-1992  

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K: 量り取った二クロム酸カリウムの100%換算量 (g) 

1.012 94: 二クロム酸カリウムから二クロム酸ナトリウム二水和物

への換算係数 

f2: 0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液1mlの二クロム酸

ナトリウム二水和物の相当量 (g)  

a: 温度t2℃における二クロム酸カリウム標準液25mlに相当

する0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液量 (ml)  

d1: 二クロム酸カリウム標準液調製時 (t1℃) の水の密度(表

2によって求める。) 

d2: 二クロム酸カリウム標準液使用時 (t2℃) の水の密度(表

2によって求める。) 

A: 二クロム酸ナトリウム二水和物 (%)  

B:  0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液の使用量 (ml) 

S: 試料の質量 (g)  

表2 水の密度 

温度 

℃ 

g/ml 

温度 

℃ 

g/ml 

0.999 96 

19 

0.998 40 

0.999 94 

20 

0.998 20 

0.999 90 

21 

0.997 99 

0.999 85 

22 

0.997 77 

0.999 78 

23 

0.997 54 

10 

0.999 70 

24 

0.997 30 

11 

0.999 60 

25 

0.997 04 

12 

0.999 50 

26 

0.996 78 

13 

0.999 38 

27 

0.996 51 

14 

0.999 24 

28 

0.996 23 

15 

0.999 10 

29 

0.995 94 

16 

0.998 94 

30 

0.995 65 

17 

0.998 77 

31 

0.995 34 

18 

0.998 60 

32 

0.995 03 

4.2.2 

電位差滴定法 

(1) 要旨 試料を水に溶かして硫酸を加えて,硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液で滴定して電極電位差を測り,

二クロム酸ナトリウム二水和物を求める。 

(2) 一般事項 この試験方法において共通する一般事項は,JIS K 0113による。 

(3) 試薬 4.2.1 (2)の(a),(c)及び(d)による。 

(4) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 平形はかり瓶 50×30mm 

(b) 電位差計 目盛範囲は,500〜1 100mVとする。 

(c) 指示電極 白金電極 

(d) 参照電極 カロメル電極 

(e) マグネチック・スターラー 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 4.2.1 (4)の(a)〜(c)を行う。 

(b) ビーカーをマグネチック・スターラーに設置する。 

(c) 電位差計の白金電極及びカロメル電極を挿入し,かき混ぜる。 

K 1403-1992  

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(d) 0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液で滴定し,クロム酸の黄色が消えてからは,できるだけ少量

ずつ滴定を続ける。電位差測定は,常に一定のかき混ぜ条件下で行うか,又は一時かき混ぜをやめ

て行う。 

(e) 0.2mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液の滴下によって,電位の変化率が最大となる点を終点とする。 

(f) 二クロム酸カリウム標準液の温度t2℃(1)を測り,全量ピペットを用いて,その25mlを別にビーカー

500mlに分取し,水を加えて約400mlとし,硫酸 (1+1) 40mlを加え,(b)〜(e)を行う。 

(6) 計算 4.2.1(5)による。 

4.3 

塩化物 塩化物の定量は,次のいずれかによる。 

(1) 硝酸銀滴定法 

(2) イオンクロマトグラフ法 

(3) 塩化銀比濁法 

4.3.1 

硝酸銀滴定法 

(1) 要旨 試料を水に溶かし,飽和炭酸ナトリウム溶液を加えて硝酸銀溶液で滴定し,塩化物を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 飽和炭酸ナトリウム溶液 JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム(無水)を用いて調製したもの。 

(b) 二クロム酸カリウム JIS K 8005に規定するもの。 

(c) 0.05mol/l硝酸銀溶液 JIS K 8550に規定する硝酸銀8.5gを水に溶かして1 000mlとする。この溶液

は,褐色瓶に入れて保存する。 

標定 JIS K 8005に規定する塩化ナトリウムを白金るつぼに取り,600℃で約1時間加熱した後,

デシケーター中で放冷する。その3gを0.1mgのけたまで量り取り,水に溶かして全量フラスコ1 

000mlに入れ,水を標線まで加える。全量ピペットを用いて25mlを分取して水約25mlを加え,ク

ロム酸カリウム溶液 (50g/l) 約0.5mlを加えた後,0.05mol/l硝酸銀溶液で滴定し,溶液が黄色から

かすかに赤褐色に変わったときを終点とする。 

(d) クロム酸カリウム溶液 (50g/l)  JIS K 8312に規定するクロム酸カリウム5.0gを水に溶かして

100mlとしたもの。 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料3gを10mgのけたまで量り取り,水約30mlを加えて溶かす。 

(b) 飽和炭酸ナトリウム溶液を溶液が黄色に変わるまで加える。 

(c) 静かにかき混ぜながら0.05mol/l硝酸銀溶液で滴定し,溶液が黄色からかすかに赤褐色に変わったと

きを終点とする。 

(d) 別に二クロム酸カリウム3gを10mgのけたまで量り取り,(a)〜(c)によって空試験を行う。 

(4) 計算 塩化物は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

773

001

.0

)

(

2

1

×

×

=

S

D

D

C

ここに, 

C: 塩化物 (%) 

D1: 滴定に用いた0.05mol/l硝酸銀溶液の量 (ml) 

D2: 空試験に用いた0.05mol/l硝酸銀溶液の量 (ml) 

0.001 773: 0.05mol/l硝酸銀溶液1mlの塩化物相当量 (g) 

S: 試料の質量 (g) 

4.3.2 

イオンクロマトグラフ法 

(1) 要旨 試料を水に溶かし,イオンクロマトグラフに導入する。電解質溶離液を移動相として用い,陰

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イオン交換体を固定相とした分離カラムで,陰イオンを展開溶離させ,それに続く除去カラムにおい

て溶出液中の陽イオンを交換して,移動相の電気伝導率を低減した後,電気伝導度検出器を用いて塩

化物を求める。 

(2) 一般事項 この試験方法において共通する一般事項は,JIS K 0127及びJIS K 0124による。 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(3.1) 溶離液(2) 

(a) A液 JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.848gとJIS K 8622に規定する炭酸水素ナト

リウム0.672gとを,水に溶かして2 000mlとしたもの。 

(b) B液 JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.424gとJIS K 8576に規定する水酸化ナトリ

ウム1.6gとを,水に溶かして2 000mlとしたもの。 

注(2) 種類及び濃度の異なる他の溶離液でも,同等又はそれ以上の機能のあることが確かめられてい

るときは,それを用いてもよい。 

(3.2) 除去液(3) 

(a) A液 n−ドデシルベンゼンスルホン酸32.65gに水約500mlを加え,加熱して溶かし,放冷後,水

を加えて2 000mlとしたもの。 

(b) B液 水1 500mlにJIS K 8951に規定する硫酸を1ml加え,かき混ぜたもの。 

注(3) 種類及び濃度の異なる他の除去液でも,同等又はそれ以上の機能のあることが確かめられてい

るときは,それを用いてもよい。 

(3.3) 塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) JIS K 8005に規定する塩化ナトリウムを白金るつぼに取り,600℃で

約1時間加熱した後,デシケーター中で放冷する。その1.649gを水に溶かして全量フラスコ1 000ml

に入れ,水を標線まで加える。全量ピペットを用いて,使用時にこの原液10mlを全量フラスコ1 

000mlに取り,水を標線まで加える。 

(4) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(4.1) イオンクロマトグラフ 装置は,JIS K 0127の4.(装置の構成)によるもののうち,次の条件を満

たすもので,塩化物,硫酸塩などを検出できるもの。装置の構成の一例を図1に示す。 

(a) 分離カラム ステンレス鋼製又は合成樹脂の管に,充てん剤を充てんした陰イオン分離カラム。 

カラムの寸法と充てん剤の種類は,JIS K 0127の4.4(1)(カラム)及び(2)(充てん剤)によるも

の,又はそれと同等以上のもの。 

(b) サプレッサー 溶離液中の陽イオンを交換して,溶離液の電気伝導率を低減するのに十分なイオン

交換機能をもつもので,カラム以外の形態のものも含む。 

(c) 検出器 電気伝導度検出器。ただし,それと同等以上の機能をもつことが,あらかじめ確かめられ

ているときは,他の種類の検出器を用いてもよい。 

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図1 イオンクロマトグラフの構成(一例) 

(4.2) 記録計 JIS K 0124の3.3(2)(記録計)による。 

(4.3) シリンジ 容量1mlのもの。 

(5) 測定用試料溶液の調製 測定用試料溶液の調製は,次のとおりとする。 

(a) 試料約10gを10mgのけたまで量り取り,ビーカー200mlに移す。 

(b) 水約100mlに溶かして全量フラスコ500mlに移し入れ,水を標線まで加える。 

(c) この中から,全量ピペットを用いて,5mlを全量フラスコ100mlに取り,溶離液を標線まで加える。

これを測定用試料溶液という。 

(6) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 装置の分離カラムに溶離液を,除去カラムに除去液を一定流速で流しておく。 

(b) シリンジを用いて,測定用試料溶液(4)の一定量(通常は,0.1ml以上)を試料導入部の導入口から

装置に導入し,クロマトグラムを記録する。 

注(4) 孔径0.45μm以下のろ過材を用いてろ過し,初めの約10mlを捨て,次のろ液を用いる。 

(c) クロマトグラム上の塩化物のピークについて,ピーク面積を算出する。ピーク面積の算出方法は,

JIS K 0127の8.2(ピーク面積)による。 

備考 あらかじめ,共存イオンのピークが塩化物のピークの位置と重ならないことを,確認しておく。 

(7) 検量線の作成 塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) から,0〜5mlの範囲で,容量を変えて溶液を取り,その

各々を別々の全量フラスコ100mlに移し入れ,それぞれ溶離液を標線まで加え,数段階の濃度の検量

線作成のための測定用試料溶液を調製する。これらについて,(6)(b),(c)を行い,測定用試料溶液100ml

中の塩化物の量とピーク面積との関係線を作成する。これを検量線という。 

この検量線及び(6)(c)で得たピーク面積から測定用試料溶液100ml中の塩化物の量 (mgCl) を求める。 

(8) 計算 塩化物は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

1000×

×

×

=

B

S

A

W

ここに, W: 塩化物 (%) 
 

A: 検量線から求めた測定用試料溶液中の塩化物の量 (mg) 

S: 試料の質量 (g) 

B: 測定用試料溶液の分取比100

備考 イオンクロマトグラフ法によって得られた結果に疑義が生じた場合は,硝酸銀滴定法によって

判定する。 

4.3.3 

塩化銀比濁法 

(1) 要旨 試料を水に溶かし,硝酸を加えて硝酸酸性とした後,硝酸銀溶液を加え塩素イオンを塩化銀と

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し,吸光度を測定して塩化物を求める。 

(2) 一般事項 この試験方法において共通する一般事項は,JIS K 0115による。 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硝酸 (1+2)  JIS K 8541に規定する硝酸を用いて調製したもの。 

(b) 硝酸銀溶液 (10g/l)  JIS K 8550に規定する硝酸銀1gを水に溶解して,100mlとしたもの。この液

は,褐色瓶に入れて保存する。 

(c) 塩化物標準液 (0.01mgCl/ml)  4.3.2(3)(3.3)において調製したもの。 

(4) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 分光光度計又は光電光度計 

(b) 恒温水槽 

(c) 比色管 100ml 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 比色管100mlを5個用意し,それぞれの比色管に試料1gを10mgのけたまで量り取る。水20mlを

加え,試料を溶かした後,硝酸 (1+2) 5mlを加える。 

(b) 塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) から,0〜30mlの範囲で容量を変えて溶液を取り,対照液を除く各々

の比色管、100mlに移し入れ,数段階の濃度の溶液を作成する。 

(c) 硝酸銀溶液 (10g/l) 1mlを対照液の比色管を除く各比色管に加える。 

(d) すべての比色管に水を加えて,全量を100mlにした後,よく振り混ぜる。 

(e) すべての比色管を40℃の恒温水槽で1時間加温する。 

(f) 各比色管の溶液をよく振り混ぜた後,溶液の一部を光度計の20mm光路長の吸収セルに取り,JIS K 

0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって波長750nmの吸光度を測定する。対照液は,試

料と硝酸 (1+2) を含有する比色管の溶液とする。 

試料に塩化物が多量の場合は,(a)の試料量り取り量を減じる。 

(g) JIS K 0115の8.2(標準添加法)によって塩化物の量と吸光度との関係線を作成し,試料溶液中の塩

化物の量 (mg) を求める。 

(6) 計算 塩化物は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

000

 1

×

×

=WA

C

ここに, 

C: 塩化物 (%) 

A: 検量線から求めた試料液中の塩化物の量 (mg) 

W: 試料の質量 (g) 

備考 塩化銀比濁法によって得られた結果に疑義が生じた場合は,硝酸銀滴定法によって判定する。 

4.4 

硫酸塩 硫酸塩の定量は,次のいずれかによる。 

(1) 重量法 

(2) イオンクロマトグラフ法 

(3) 赤外線吸収法 

4.4.1 

重量法 

(1) 要旨 試料を水に溶かした後,塩酸を加えて加熱し,エタノールを加えてクロム酸を還元してろ過す

る。ろ液に硫酸塩標準液を加え,次に塩化バリウム溶液を加えて硫酸バリウムの沈殿を作り,沈殿を

強熱して量り,硫酸塩を求める。 

K 1403-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 塩酸 (3+7)  JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製したもの。 

(b) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

(c) 酢酸 (1+1)  JIS K 8355に規定する酢酸を用いて調製したもの。 

(d) 塩化バリウム溶液 (100g/l)  JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物を用いて調製したもの。 

(e) エタノール (99.5)  JIS K 8101に規定するもの。 

(f) 硫酸塩標準液 (0.2mgSO4/ml)  JIS K 8962に規定する硫酸カリウムを粉砕し,約750℃で強熱後,

デシケーター中で放冷する。その3.62gを水に溶かして,全量フラスコ1000mlに入れ,水を標線ま

で加えて調製したもの。全量ピペットを用いて,使用時この原液100mlを全量フラスコ1 000mlに

取り,水を標線まで加える。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 磁器るつぼ 

(b) 電気炉 約700℃に保持できるもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料約10gを10mgのけたまで量り取り,ビーカー500mlに移し入れる。 

(b) 水約100mlを加えて溶かし,硫酸塩標準液 (0.2mgSO4/ml) 50mlを,全量ピペットを用いて加える。 

(c) 塩酸 (3+7) 約100mlを加えて加熱し,次にエタノール (99.5) 約20mlを加えて約30分間加熱し,

クロム酸を完全に還元した後,ろ過して温水で洗う。 

(d) ろ液及び洗液は,ビーカー500mlに受け,温水を加えて液量を約300mlとし,煮沸するまで加熱す

る。 

(e) かき混ぜながら,加熱した塩化バリウム溶液 (100g/l) 約50mlを徐々に加える。これに酢酸 (1+1) 

約20mlを加えた後,少量のろ紙パルプを加え,約2分間十分にかき混ぜ,硫酸バリウムの沈殿を

作り,水浴上で約30分間加熱した後,室温で一夜放置,熟成する。 

(f) 沈殿をろ紙6種Cを用いて,ろ過する。ろ液に塩素イオンの反応を認めなくなるまで,温水で洗浄

を続ける。 

(g) 沈殿は,ろ紙と共に,あらかじめ空焼きしてある質量既知の磁器るつぼに移し入れ,るつぼを傾け

て空気を十分に流通させながら,始めは徐々に加熱してろ紙を焼いた後,温度約700℃で約30分間

強熱する。 

(h) 冷却後,硫酸1滴を加えて沈殿を潤し,再び徐々に加熱し,最後に約700℃で約30分間強熱し,デ

シケーター中で放冷した後,0.1mgのけたまで質量を量る。 

(i) (a) において試料を加えない以外は,同一条件で(a)〜(h)によって操作し,添加した標準液に対する

沈殿の質量を量り,補正する。 

(5) 計算 硫酸塩は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

411

.0

)

(

×

×

=

S

G

T

G

W

ここに, 

W: 硫酸塩 (%) 

G: (4)(h)で量った質量 (g) 

T: (4)(g),(h)で用いたるつぼの質量 (g) 

G': 添加した硫酸塩標準液に相当する沈殿の質量 (g) 

0.4116: 硫酸バリウムから硫酸塩への換算係数 

S: 試料の質量 (g) 

K 1403-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4.2 

イオンクロマトグラフ法 

(1) 要旨 試料を水に溶かし,イオンクロマトグラフに導入する。電解質溶離液を移動相として用い,陰

イオン交換体を固定相とした分離カラムで,陰イオンを展開溶離させ,それに続く除去カラムにおい

て溶出液中の陽イオンを交換して,移動相の電気伝導率を低減した後,電気伝導度検出器を用いて硫

酸塩を求める。 

(2) 一般事項 この試験方法において共通する一般事項は,JIS K 0127及びJIS K 0124による。 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(3.1) 溶離液(2) 

(a) A液 4.3.2(3)(3.1)(a)による。 

(b) B液 4.3.2(3)(3.1)(b)による。 

(3.2) 除去液(3) 

(a) A液 4.3.2(3)(3.2)(a)による。 

(b) B液 4.3.2(3)(3.2)(b)による。 

(3.3) 硫酸塩希釈標準液 (0.01mgSO4/ml)  全量ピペットを用いて,4.4.1(2)(f)の硫酸塩標準液 

(0.2mgSO4/ml) 50mlを全量フラスコ1 000mlに取り,水を標線まで加える。 

(4) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(4.1) イオンクロマトグラフ 装置は,JIS K 0127の4.によるもののうち,次の条件を満たすもので,塩

化物,硫酸塩などを検出できるもの。装置の構成の一例を図1に示す。 

(a) 分離カラム ステンレス鋼製又は合成樹脂製の管に,充てん剤を充てんした陰イオン分離カラム。 

カラムの寸法と充てん剤の種類は,JIS K 0127の4.4(1)及び(2)によるもの,又はそれと同等以上

のもの。 

(b) サプレッサー 溶離液中の陽イオンを交換し,溶離液の電気伝導率を低減するのに十分なイオン交

換機能をもつもので,カラム以外の形態のものも含む。 

(c) 検出器 電気伝導度検出器。ただし,それと同等以式の機能をもつことが,あらかじめ確かめられ

ているときは,他の種類の検出器を用いてもよい。 

(4.2) 記録計 JIS K 0124の3.3(2)による。 

(4.3) シリンジ 容量1mlのもの。 

(5) 測定用試料溶液の調製 測定用試料溶液の調製は,次のとおり行う。 

(a) 試料約10gを10mgのけたまで量り取り,ビーカー200mlに移す。 

(b) 水約100mlに溶かして全量フラスコ500mlに移し入れ,水を標線まで加える。 

(c) この中から,全量ピペットを用いて,5mlを全量フラスコ100mlに取り,溶離液を標線まで加える。

これを測定用試料溶液という。 

(6) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 装置の分離カラムに溶離液を,除去カラムに除去液を,一定流速で流しておく。 

(b) シリンジを用いて測定用試料溶液(4)の一定量(通常は,0.1ml以上)を試料導入部の導入口から装

置に導入し,クロマトグラムを記録する。 

(c) クロマトグラム上の硫酸塩のピークについて,ピーク面積を算出する。ピーク面積の算出方法は,

JIS K 0127の8.2による。 

あらかじめ,共存イオンのピークが硫酸塩のピークの位置と重ならないことを確認しておく。 

(7) 検量線の作成 硫酸塩希釈標準液 (0.01mgSO4/ml) から,0〜10mlの範囲で,容量を変えて溶液を取り,

10 

K 1403-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

その各々を別々の全量フラスコ100mlに移し入れ,それぞれ溶離液を標線まで加え,数段階の濃度の

検量線作成のための測定用試料溶液を調製する。これらについて,(6)(b),(c)を行い,測定用試料溶液

100ml中の硫酸塩の量とピーク面積との関係線を作成する。これを検量線という。 

この検量線及び(6)(c)で得たピーク面積から測定用試料溶液100ml中の硫酸塩の量 (mgSO4) を求め

る。 

(8) 計算 硫酸塩は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

000

 1

×

×

×

=

B

S

A

W

ここに, W: 硫酸塩 (%) 
 

A: 検量線から求めた測定用試料溶液中の硫酸塩の量 (mg) 

S: 試料の質量 (g) 

B: 測定用試料溶液の分取比100

備考 イオンクロマトグラフ法によって得られた結果に疑義が生じた場合は重量法によって判定する。 

4.4.3 

赤外線吸収法 

(1) 要旨 試料を酸素気流中で高温に加熱し,硫黄を酸化して二酸化硫黄とし,これを酸素と共に赤外線

吸収検出器に送り,赤外線吸収量を測定する(積分法)。 

又は試料を一定容積内の一定圧力下の循環酸素気流中で加熱し,硫黄を酸化して二酸化硫黄とし,

過剰の酸素と共に循環ループ中の赤外線吸収器に送り,二酸化硫黄の赤外線吸収量を測定する(循環

法)。 

(2) 一般事項 この試験方法において共通する一般事項は,JIS Z 2616による。 

(3) 器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2616の6.(器具及び材料)による。 

(4) 装置 装置は,JIS Z 2616の7.7(2)(装置)又は7.8(2)(装置)による。 

(5) 試料量り取り量及び助燃剤添加量 試料は,るつぼを用いて,使用する装置に適した量(通常は,0.1

〜0.5gの範囲)とし,0.1mgのけたまで量り取り,助燃剤を添加する。助燃剤は,JIS Z 2616の6.12

(助燃剤)に示したものから適したものを選び,使用する装置に適した量を添加する。 

(6) 予備操作 予備操作は,JIS Z 2616の7.7(3)(予備操作)又は7.8(3)(予備操作)による。 

(7) 操作 操作は,JIS Z 2616の7.7(4)(定量操作)又は7.8(4)(定量操作)による。 

(8) 空試験 空試験は,JIS Z 2616の7.7(5)(空試験)又は7.8(5)(空試験)による。 

(9) 計算 硫酸塩は,JIS Z 2616の7.7(6)(計算)又は7.8(6)(計算)によって試料中の硫黄含有率として

求め,次の式によって換算し,小数点以下2けたに丸める。 

00

.3

×

=S

W

ここに, 

W: 硫酸塩 (%) 

S: 試料中の硫黄含有率 (%) 

3.00: 硫黄から硫酸塩への換算係数 

備考 赤外線吸収法によって得られた結果に疑義が生じた場合は,重量法によって判定する。 

5. 検査 検査は,4.によって行い,表1の品質に適合しなければならない。 

6. 表示 容器の見やすい箇所に,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 規格名称又は二クロム酸ナトリウム二水和物若しくは重クロム酸ナトリウム 

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K 1403-1992  

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(2) 正味質量 

(3) 製造番号又はロット番号 

(4) 製造年月又はその略号 

(5) 製造業者名又はその略号 

付表1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0124 高速液体クロマトグラフ分析のための通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則 

JIS K 8005 容量分析用標準試薬 

JIS K 8101 エタノール (99.5) [エチルアルコール (99.5)](試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8202 塩化1, 10−フェナントロリニウム一水和物(試薬) 

JIS K 8312 クロム酸カリウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬)(重炭酸ナトリウム) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(無水)(試薬) 

JIS K 8789 1, 10−フェナントロリン一水和物(o−フェナントロリン)(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8978 硫酸第一鉄(試薬) 

JIS K 8979 硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)(試薬) 

JIS Z 2616 金属材料の硫黄定量方法通則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

クロム塩類JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

岸   松 平 

武蔵工業大学 

寺 西 大三郎 

通商産業省基礎産業局 

細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

田 坂 勝 芳 

工業技術院標準部 

佐 藤 邦 弘 

日本化学工業株式会社生産管理部 

星 野 重 夫 

武蔵工業大学 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

小 口 順一郎 

大森クローム工業株式会社 

横 川 市 次 

株式会社ニッピ皮革センター 

菊 池 茂 夫 

菊池色素工業株式会社技術部 

平 手 直 之 

株式会社東芝総合研究所材料応用技術センター 

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K 1403-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

篠 塚   清 

堺化学工業株式会社 

室 井 俊一郎 

日本電工株式会社 

三 浦 礼 司 

東ソー株式会社山形工場 

桜 井 俊 彦 

カリ塩懇話会 

(事務局) 

佐々木 一 郎 

日本無機薬品協会 

分科会 構成表 

氏名 

所属 

(分科会主査) 

佐 藤 邦 弘 

日本化学工業株式会社生産管理部 

星 野 重 夫 

武蔵工業大学 

田 坂 勝 芳 

工業技術院標準部 

小 口 順一郎 

大森クローム工業株式会社 

室 井 俊一郎 

日本電工株式会社 

三 浦 礼 司 

東ソー株式会社山形工場 

桜 井 俊 彦 

カリ塩懇話会 

佐々木 一 郎 

日本無機薬品協会 

岸 岡 佑 之 

日本化学工業株式会社亀戸工場 

新 井   捷 

日本化学工業株式会社徳山工場 

加 藤 良 蔵 

日本電工株式会社研究所