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日本工業規格

JIS

 K

1321

-1994

硫酸

Sulfuric acid

H

2

SO

4

    FW : 98.08

1.

適用範囲  この規格は,工業用の硫酸について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,付表1に示す。

2.

この規格の対応国際規格を,

付表 に示す。

2.

種類  種類は,次のとおりとする。

(1)

薄硫酸

(2)

濃硫酸

(3)

発煙硫酸

(4)

精製希硫酸

(5)

精製濃硫酸特号

(6)

精製濃硫酸 

3.

品質  品質は,5.によって試験したとき,表 のとおりとする。


 

2

K 1321-

199

4

表 1  品質

項目

種類

薄硫酸

濃硫酸

発煙硫酸

精製希硫酸

精製濃硫酸特号

精製濃硫酸 1 号

硫酸分 (H

2

SO

4

) 60

80%

の 範 囲 内 で 標 準

品は 62.5%, 70%, 75%
及び 78%のもの。

硫酸分 (H

2

SO

4

) 90

100%

の範囲内で標準

品 は 93%, 95% 及 び

98%

のもの。

遊 離 無 水 硫 酸 分

(SO

3

)15

∼ 35% の 範 囲

内 で 標 準 品 は 22%,

25%

及び 28%のもの。

硫酸分 (H

2

SO

4

) 27

50%

の 範 囲 内 で 標 準

品は 34%のもの。

硫酸分 (H

2

SO

4

) 90

∼100%の範囲内で

標準品は 95%及び 98%のもの。

硫酸分 (H

2

SO

4

)

表示硫酸分以上

表示硫酸分以上

表示遊離無水硫酸分以上

表示硫酸分以上

表示硫酸分以上

表示硫酸分以上

又は遊離無水

硫酸分 (SO

3

強熱残分 %  0.05 以下 0.05 以下 0.05 以下 0.005

以下 0.001

以下 0.002  以下

硝酸イオン

− 0.001

以下 0.000

1

以下 0.001  以下

(NO

3

%

 

塩化物イオン

− 0.001

以下 0.000

05

以下 0.000

5

以下

(Cl

%

 

アンモニウム

− 0.001

以下 0.000

1

以下 0.000

1

以下

イオン

(NH

4

%

 

鉄 (Fe)

%

0.03

以下 0.03 以下 0.03 以下 0.001

以下 0.000

1

以下 0.000

1

以下

銅 (Cu)

%

0.001

以下

鉛 (Pb)

%

− 0.000

3

以下 0.000

5

以下

マンガン (Mn) %

− 0.000

05

以下

ひ素 (As)

%

− 0.000

1

以下 0.000

003

以下 0.000

1

以下

セレン (Se)   %

− 0.000

1

以下

よう素価 (SO

2

) %

− 0.002

以下 0.004  以下

過マンガン酸

− 0.000

3

以下

カリウム還

元性物質 (O) %

備考1.  硫酸分又は遊離無水硫酸分は,標準品のほか当事者間の協定によってもよい。

2.

表示硫酸分又は表示遊離無水硫酸分とは,容器又は送り状に表示されたものをいう。


3

K 1321-1994

4.

試料採取方法  試料採取方法は,次のとおりとする。

4.1

用語の定義  主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

代表試料  1 ロットの製品の平均品質を代表するように採取した試料。

(2)

頂部試料  液面下約 150mm の箇所から採取した試料。

(3)

上層試料  容器内硫酸深さの上部

3

1

の中央部から採取した試料。

(4)

中層試料  容器内硫酸深さの中部

3

1

の中央部から採取した試料。

(5)

下層試料  容器内硫酸深さの下部

3

1

の中央部から採取した試料。

(6)

全層試料  容器内硫酸の全層から採取した試料。

4.2

試料の採取  試料は,製品 1 ロットごとに次の容器から採取する。

(1)

小形容器(ポリエチレン缶,ドラム缶など。)

(2)

大形容器(タンクローリー,タンク車,タンク船,タンクなど。)

4.3

ロットの識別  試料容器には,ロットの識別ができるように,容器ごとに試料採取年月日及びロッ

ト番号を記入する。

4.4

試料採取の方法  小形容器又は大形容器のいずれか一つから,次の方法によって試料を採取する。

(1)

小形容器  乱数サイ,乱数表,その他の方法によって,表 の個数の容器をランダムに抽出し,各容

器から全層試料を採取し,混合して代表試料とする。

表 2  抜取個数

容器個数

抜取個数(最低)

1

∼ 10

1

11

∼100 2

101

∼300 3

301

∼500 4

501

以上 5

(2)

大形容器(

1

)

(2.1)

容器内から採取する場合  容器内から採取する場合,頂部,上層,中層又は下層のいずれかの場所

から行うものとする。

なお,タンクローリー及びタンク車の場合は試料採取器(

図 参照)によって最低 1 個,タンク

船及びタンクの場合は異なった位置で試料採取器によって最低 2 個の頂部試料,上層試料,中層試

料又は下層試料のいずれかを採取する。1 個の場合はそのまま代表試料とし,2 個以上の場合は混合

して代表試料とする。

(2.2)

パイプラインから採取する場合  硫酸がパイプライン内を移動中の任意の時期に,タンクローリー

及びタンク車の場合は試料採取器によって最低 1 個,タンク船及びタンクの場合は異なった時期に

試料採取器によって最低 2 個の試料を採取する。1 個の場合はそのまま代表試料とし,2 個以上の場

合は混合して代表試料とする。

(

1

)

タンク上部からの試料採取は,安全対策上問題が多いので,できるだけパイプラインから採取

することが望ましい。

4.5

装置及び器具  装置及び器具は,図 1に示すような形状で,鉛,ポリ塩化ビニル,ポリエチレン,

ふっ素樹脂,鋼,ガラスなどの適切な材質で作られたものを用い,使用前に,採取する硫酸でよく洗浄す

る。

(1)

小形試料採取器  図 に一例を示す。


4

K 1321-1994

(2)

大形試料採取器  図 に例を示す。

(3)

パイプラインからの採取装置  図 に一例を示す。

図 1  小形試料採取器の一例(ガラス製)

図 2  大形試料採取器の例


5

K 1321-1994

図 3  パイプラインからの採取装置の一例

4.6

操作  操作は,次のとおり行う。この場合,代表試料の量は 200ml 以上とする。

(1)

小形容器の場合  小形試料採取器の上端を開いたまま容器内に垂直に入れ,底部に達した後,口を閉

じて引き上げ,試料容器に移し入れて密栓する。この操作は,2 回以上繰り返す。

(2)

大形容器の場合

(2.1)

容器から採取する場合  タンクのふたを開き,広口瓶採取器の栓をしたまま所定の位置まで沈め,

栓を開いて採取器を満量にしてから引き上げ(

2

)

,試料容器に移し入れて密栓する。精製硫酸の場合

は,ひしゃくを沈めて頂部試料をくみ取ってもよい。

(

2

)

タンク車及びタンクローリーの揚酸管からの試料採取は,原則として行ってはならない。

(2.2)

パイプラインから採取する場合  パイプラインから試料を採取する場合は,試料採取に先立ってコ

ックを開いて硫酸を流出させ,コック及び試料の通路を清浄にしておく。

次に,コックを少し開いて試料容器に採取して密栓する。

備考  硫酸は,低温で結晶することがあるから注意が必要である。

4.7

試料採取上の注意  試料採取上の注意を,次に示す。

(1)

タンクなどの高所での採取作業は,落下の危険があるので十分に注意する。

また,積み上げられた容器の場合,崩れるおそれがあるので十分に注意する。

(2)

パイプラインから試料を採取する場合は,硫酸が漏れるおそれがあるから,採取量を明確にし,流量

を適切に調整できるようにしておく。

(3)

事故の際,試料採取場所の安全を確保するため,バルブなどによる流量の調整ができるように配慮し

ておくことが望ましい。

(4)

漏れた硫酸を安全に集めることのできる受器を用意し,試料採取作業員を保護するため,硫酸のはね

返りを防ぐようにする。

(5)

試料容器は,運搬に適するもので,破損しにくい構造のものとする。

(6)

濃度の低い硫酸は,鉄を侵して水素を発生し,爆発のおそれがあるから,十分に注意する。

備考  硫酸は,毒物及び劇物取締法,労働安全衛生法及び危険物船舶運送及び貯蔵規則によって,そ

れぞれ劇物,特定化学物質等及び腐しょく性物質として規制されているので,各法規に従い,

取扱いには十分な注意が必要である。

なお,硫酸取扱いに関する全般的な防災指針が社団法人日本化学会によって作成されている。

5.

試験方法

5.1

一般事項  試験について共通する一般事項は,次に示すもののほか,JIS K 0050 及び JIS K 8001 

よる。


6

K 1321-1994

(1)

試験用試料の質量の測定は,原則としてはかり瓶を用いて行う。

なお,硫酸分及び遊離無水硫酸分の測定以外は,ピペットなどによって一定の容量を取り,同一試

料の比重を測定して質量を求めてもよい。

(2)

試験は,同一試料について原則として 2 個の平行測定を行う。

5.2

比重又は密度

5.2.1

比重

(1)

要旨  比重は,比重浮ひょうを用いて測定し,比重 (20/20℃)  で表す。

備考  薄硫酸,濃硫酸及び精製硫酸では比重 (15/4℃),発煙硫酸では比重 (15/4℃)  又は (35/4℃)  で

表してもよい。

(2)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(2.1)

比重浮ひょう  JIS B 7525 に規定するもので,器差が既知のもの(

3

)

器差の求め方は,JIS K 0061 の 4.1.2 

備考 2.による。

(

3

)

メニスカスが読み取りやすくなるように,使用前に十分に洗浄する。

(2.2)

温度計  細分目盛 0.5℃以下の水銀温度計で,あらかじめ標準温度計によって校正したもの。

(2.3)

シリンダー  流し出し口付ガラス製で,内径は比重浮ひょうの最大直径より 25mm 以上大きく,高

さは比重浮ひょうをシリンダーに入れた場合,比重浮ひょうの下端がシリンダーの底から 25mm 以

上の位置にくるもの。

(2.4)

かき混ぜ棒  シリンダー中の液体の比重差を除くため,十分にかき混ぜることのできるガラス製の

もの。

(2.5)

恒温水槽  試料を 20.0±0.5℃に保持できるもの。

(3)

操作  操作は,次のとおり行う。

(3.1)

試料の適量を気泡が入らないようにシリンダーに取る。

(3.2)

かき混ぜ棒を用いてよくかき混ぜた後(

4

)

,温度計を指示目盛付近まで浸して試料の温度を測定する

(

5

)

(

4

)

この場合,試料を長時間かき混ぜること,激しくかき混ぜることなどによって試料が吸湿し,

又は遊離無水硫酸を放出することがあるので注意する。

(

5

)

シリンダーを(2)(2.5)に規定する恒温水浴に入れて比重を測定してもよい。この場合,(4)計算に

おいて,S

2

S

3

として計算することができる。

(3.3)

比重浮ひょうの上端を軽くつまみ,気泡が付かないように注意して試料中に浮かべる。

(3.4)

静止した後,これを約 2 目盛液中に沈めて手を離す。

(3.5)

比重浮ひょうがシリンダー内壁に触れないで静止した後,その示度を液面の上縁で,細分目盛の

2

1

で読み取る。

(3.6)

この測定を 2 回又は 3 回繰り返し,その読みの平均値を比重浮ひょうの示度とする。この場合,2

回又は 3 回の測定結果と平均値との差は,細分目盛の値以内でなければならない。

(4)

計算  比重浮ひょうを用いて,t℃で比重を測定した場合,次の式によって比重 (20/20℃)  を算出する。

S

=0.000 025×S

1

 (15

t) (a)

S

2

S

1

S (b)

S

3

S

2

− (20−tk(c)

23

998

.

0

3

4

S

S

 (d)


7

K 1321-1994

ここに,

S

比重 (15/4℃)  を目盛った比重浮ひょうを t℃で用い
たための比重浮ひょう自身の温度補正値

S

1

比重浮ひょうの示度

t

測定温度  (℃)

0.000 025

比重浮ひょうの熱膨張係数

S

2

比重  (t/4℃)

S

3

比重 (20/4℃)

k

20

℃以外の温度で測定する場合,薄硫酸,濃硫酸及び

精製硫酸のときは,

表 を用い,発煙硫酸のときは表

4

を用いて比例計算によって算出した補正値。

S

4

比重 (20/20℃)

0.998 23

20

℃の水の比重

上記の式をまとめると,次の式となる。

23

998

.

0

)

t

20

(

23

998

.

0

)

15

(

025

000

.

0

1

1

4

k

t

S

S

×

×

(e)

備考  補正値 は,計算によって求める。計算例を次に示す。

計算例

比重浮ひょうの示度 1.235,測定温度 18℃のとき薄硫酸の補正値 は,

表 を用いて

次の手順によって求める。

(1)

 15

℃の補正値 k

1

を求める。

比重浮ひょうの示度 1.220,15℃の k'

1

=0.000 68

比重浮ひょうの示度 1.240,15℃の k”

1

=0.000 72

よって,比重浮ひょうの示度 1.235,15℃のときの

71

000

.

0

220

.

1

240

.

1

220

.

1

235

.

1

)

68

000

.

0

72

000

.

0

(

68

000

.

0

1

×

k

(2)

 25

℃の補正値 k

2

を求める。

比重浮ひょうの示度 1.220,25℃の k'

2

=0.000 64

表 3  薄硫酸,濃硫酸及び精製硫酸の温度による比重補正表

(温度 1℃に対する の値=表の数値×10

5

比重浮ひょうの示度

測定温度  ℃

10 15 25  30  40  50

1.200

66 68 60 63  64  64

1.220

67 68 64 65  66  66

1.240

70 72 64 66  67  67

1.260

71 74 66 68  68  68

1.280

72 72 68 69  70  69

1.300

73 74 68 70  70  70

1.320

73 74 68 70  70  71

1.340

74 76 70 71  71  71

1.360

75 78 72 72  72  71

1.380

75 78 72 73  72  73

1.400

76 78 74 74  74  73

1.420

78 80 70 74  74  74

1.440

79 82 72 75  75  75

1.460

81 82 74 77  76  76

1.480

82 80 76 77  78  77

1.500

82 82 78 79  79  78

1.520

85 86 78 79  80  79


8

K 1321-1994

比重浮ひょうの示度

測定温度  ℃

10 15 25  30  40  50

1.540

86 88 78 80  80  80

1.560

88 92 78 81  81  81

1.580

88 90 82 83  82  82

1.600

90 92 82 83  84  83

1.620

91 92 84 85  86  85

1.640

93 94 84 86  86  86

1.660

94 94 88 88  88  88

1.680

96 96 88 90  90  89

1.700

98 98 90 92  92  91

1.720 101

102

92

94

94

94

1.740 103

102

96

98

97

97

1.760

107 108 100 100  100  100

1.780 109

110

100

101

102

101

1.800 108

110

100

102

102

101

1.810 108

110

98

101

101

100

1.820 106

108

96

99

100

100

1.830 104

106

94

97

98

97

1.832 103

104

94

97

98

97

1.834 103

104

94

95

96

96

1.836 101

102

94

95

96

95

1.838 100

102

92

94

95

94

1.839 100

102

92

94

94

94

1.840 100

102

90

93

94

93

1.8405 100

102

90

93

94

93

1.8410 100

104

90

93

94

93

1.8415 100

104

90

93

94

92

1.8410 100

102

90

93

94

92

1.8405 101

106

90

93

93

92

1.8400 101

106

90

93

93

92

1.8395 101

104

90

93

93

92

1.8390 101

104

90

93

94

92

1.8385 101

108

90

93

93

92

1.838 102

110

90

93

93

92

1.837 102

110

90

93

93

92

1.836 102

104

90

93

94

92

表 4  発煙硫酸の温度による比重補正表

(温度 1℃に対する の値=表の数値×10

5

比重浮ひょうの示度

測定温度  ℃

15 25 30 35 40

1.850

− 105.9

1.855

− 105.9

106.6

1.860

−  105.9 106.6 107.2

1.865

−  105.9 106.5 107.2 107.9

1.870

−  106.5 107.2 107.9 108.7

1.875

105.9 107.2 107.9 108.7 109.5

1.880

106.5 107.9 108.6 109.5 110.4

1.885 107.2

108.6

109.4

110.3

111.3

1.890 107.8

109.4

110.3

111.2

112.3

1.895

108.5 110.2 111.2 112.3 113.5


9

K 1321-1994

比重浮ひょうの示度

測定温度  ℃

15 25 30 35 40

1.900

109.3 111.1 112.2 113.4 114.7

1.905

110.1 112.1 113.3 114.6 116.1

1.910 111

113.2

114.4

116

117.7

1.915

112  114.3 115.8 117.5 119.4

1.920

113  115.6 117.3 119.1 121.3

1.925 114.1

117.1

118.9

121

123.5

1.930

115.3 118.7 120.7 123.1 125.9

1.935

116.7 120.4 122.7 125.4 128.7

1.940 118.2

122.3

124.9

128

131.8

1.945

− 130.9

135.2

1.950

− 134.1 −

比重浮ひょうの示度 1.240,25℃の k

2

=0.000 64

よって,比重浮ひょうの示度 1.235,25℃のときの

k

2

=0.000 64

(3)

比重浮ひょうの示度 1.235,18℃のときの補正値 を求める。

69

000

.

0

15

25

15

18

)

64

000

.

0

71

000

.

0

(

71

000

.

0

×

k

なお,20℃で比重を測定したときの比重 (20/20℃)  は,次の式によって算出する。

S

4

=1.001 65×S

1

ここに, 1.001

65

式(e)中の t=20℃としたときの係数

5.2.2

密度

(1)

要旨

  密度は,比重から計算によって求める。

(2)

計算

5.2.1

によって比重 (20/20℃)  を求め,密度 (20℃)  は,次の式によって算出する。

D

=0.998 20×S

4

ここに,

D

密度 (20℃)

0.998 20

20

℃の水の密度

5.3

硫酸分

(1)

要旨

  試料を水で薄めた後,指示薬を加え,水酸化ナトリウム溶液を用いる中和滴定によって硫酸分

を求める。中和滴定は,指示薬を用いるか又は電位差滴定のいずれかによる。

備考

濃度約 95%未満の不純物の少ない硫酸の場合の硫酸分は,

5.2

によって比重を測定し,比重

(20/20

℃)  は

備考表 1

,比重 (15/4℃)  は

備考表 2

によって求めてもよい。

備考表 1  比重 (20/20)  −硫酸分対照表

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

(20/20

℃) % (20/20℃)

% (20/20

℃)

% (20/20

℃)

% (20/20

℃) %  (20/20℃)

%

1.200 27.45 1.350 45.00 1.500 59.91

1.650 73.12

1.750 81.80 1.822 90.86

1.205 28.07 1.355 45.54 1.505 60.37

1.655 73.55

1.753 82.08 1.823 91.06

1.210 28.69 1.360 46.07 1.510 60.84

1.660 73.97

1.755 82.27 1.824 91.28

1.215 29.30 1.365 46.60 1.515 61.30

1.665 74.39

1.758 82.56 1.825 91.50

1.220 29.92 1.370 47.13 1.520 61.75

1.670 74.82

1.760 82.76 1.826 91.73

1.225 30.53 1.375 47.66 1.525 62.21

1.675 75.24

1.763 83.05 1.827 91.95

1.230 31.14 1.380 48.18 1.530 62.66

1.680 75.66

1.765 83.25 1.828 92.20


10

K 1321-1994

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

(20/20

℃) % (20/20℃)

% (20/20

℃)

% (20/20

℃)

% (20/20

℃) %  (20/20℃)

%

1.235 31.75 1.385 48.70 1.535 63.12

1.685 76.09

1.768 83.55 1.829 92.45

1.240 32.35 1.390 49.22 1.540 63.56

1.690 76.51

1.770 83.75 1.83  92.71

1.245 32.95 1.395 49.74 1.545 64.02

1.695 76.94

1.773 84.06 1.831 92.96

1.250 33.55 1.400 50.25 1.550 64.46

1.700 77.37

1.775 84.28 1.832 93.24

1.255 34.15 1.405 50.76 1.555 64.91

1.703 77.63

1.778 84.60 1.833 93.54

1.260 34.75 1.410 51.26 1.560 65.35

1.705 77.80

1.780 84.81 1.834 93.85

1.265 35.34 1.415 51.77 1.565 65.79

1.708 78.06

1.783 85.14 1.835 94.20

1.270 35.92 1.420 52.27 1.570 66.23

1.710 78.23

1.785 85.38 1.836 94.57

1.275 36.51 1.425 52.77 1.575 66.67

1.713 78.49

1.788 85.72 1.837 95.02

1.280 37.10 1.430 53.26 1.580 67.11

1.715 78.67

1.790 85.96 1.838

0

95.53

1.285 37.68 1.435 53.75 1.585 67.54

1.718 78.93

1.793 86.33 1.838

5

95.83

1.290 38.26 1.440 54.24 1.590 67.98

1.720 79.10

1.795 86.58 1.839

0

96.20

1.295 38.84 1.445 54.72 1.595 68.42

1.723 79.36

1.798 86.96 1.839

5

96.71

1.300 39.41 1.450 55.20 1.600 68.85

1.725 79.54

1.800 87.24 1.839

7

97.30

1.305 39.99 1.455 55.68 1.605 69.28

1.728 79.80

1.803 87.66 1.839

5

97.85

1.310 40.56 1.460 56.16 1.610 69.71

1.730 79.98

1.805 87.94 1.839

0

98.29

1.315 41.12 1.465 56.64 1.615 70.14

1.733 80.25

1.808 88.40 1.838

5

98.56

1.320 41.68 1.470 57.11  1.620 70.57

1.735 80.43

1.810 88.71 1.838

0

98.79

1.325 42.24 1.475 57.58 1.625 71.00

1.738 80.70

1.813 89.19 1.837

5

98.98

1.330 42.80 1.480 58.05 1.630 71.43

1.740 80.88

1.815 89.54 1.837

0

99.16

1.335 43.36 1.485 58.52 1.635 71.86

1.743 81.15

1.818 90.08 1.836 99.46

1.340 43.91 1.490 58.99 1.640 72.28

1.745 81.33

1.820 90.47 1.835 99.71

1.345 44.46 1.495 59.45 1.645 72.70

1.748 81.61

1.821 90.66 1.834 99.94

備考表 2  比重 (15/4)  −硫酸分対照表 

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

(15/4

℃) % (15/4℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

%

1.200 27.30 1.350 44.84 1.491 58.94

1.598 68.52

1.710 78.06 1.823 90.64

1.205 27.91 1.355 45.38 1.495 59.31

1.600 68.70

1.715 78.49 1.824 90.84

1.210 28.53 1.360 45.91 1.498 59.59

1.605 69.13

1.720 78.92 1.825 91.04

1.215 29.15 1.365 46.45 1.500 59.78

1.607 69.30

1.723 79.18 1.826 91.27

1.220 29.76 1.370 46.98 1.505 60.24

1.610 69.56

1.725 79.36 1.827 91.49

1.225 30.37 1.375 47.50 1.507 60.42

1.615 69.99

1.730 79.80 1.828 91.71

1.230 30.98 1.380 48.03 1.510 60.70

1.620 70.42

1.733 80.06 1.829 91.93

1.235 31.58 1.385 48.55 1.515 61.15

1.625 70.85

1.735 80.24 1.830 92.18

1.240 32.18 1.390 49.07 1.520 61.61

1.630 71.27

1.740 80.69 1.831 92.45

1.245 32.78 1.395 49.59 1.523 61.88

1.635 71.70

1.743 80.96 1.832 92.71

1.250 33.38 1.400 50.10 1.525 62.06

1.640 72.13

1.745 81.14 1.833 92.97

1.255 33.98 1.405 50.61 1.530 62.51

1.643 72.38

1.750 81.60 1.834 93.28

1.260 34.57 1.410 51.12 1.535 62.96

1.645 72.55

1.753 81.87 1.835 93.59

1.265 35.17 1.415 51.62 1.538 63.23

1.650 72.97

1.755 82.06 1.836 93.91

1.270 35.76 1.420 52.12 1.540 63.41

1.653 73.23

1.760 82.53 1.837 94.28

1.275 36.35 1.425 52.61 1.545 63.86

1.655 73.39

1.765 83.01 1.838 94.68

1.280 36.94 1.430 53.11  1.547 64.04

1.660 73.82

1.770 83.52 1.839  95.11

1.285 37.52 1.435 53.60 1.550 64.31

1.662 73.98

1.775 84.02 1.840 95.67

1.290 38.10 1.440 54.09 1.555 64.75

1.665 74.25

1.780 84.56 1.840

5

95.95

1.295 38.68 1.445 54.57 1.560 65.19

1.670 74.64

1.785 85.10 1.841

0

96.35

1.300 39.25 1.450 55.06 1.563 65.46

1.672 74.83

1.790 85.69 1.841

5

97.25

1.305 39.83 1.455 55.54 1.565 65.64

1.675 75.09

1.795 86.29 1.841

0

98.10

1.310 40.40 1.460 56.02 1.570 66.08

1.680 75.51

1.800 86.92 1.840

5

98.45


11

K 1321-1994

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

比重

H

2

SO

4

(15/4

℃) % (15/4℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

% (15/4

℃)

%

1.315 40.97 1.465 56.50 1.572 66.25

1.682 75.68

1.805 87.62 1.840

0

98.72

1.320 41.53 1.470 56.97 1.575 66.52

1.685 75.93

1.807 87.90 1.839

5

98.93

1.325 42.09 1.475 57.44 1.580 66.96

1.690 76.36

1.810 88.36 1.839

0

99.12

1.330 42.64 1.480 57.92 1.585 67.39

1.692 76.53

1.815 89.16 1.838

5

99.30

1.335 43.20 1.483 58.20 1.588 67.65

1.695 76.78

1.820 90.04 1.838 99.45

1.340 43.75 1.485 58.38 1.590 67.83

1.700 77.21

1.821 90.24 1.837 99.72

1.345 44.29 1.490 58.85 1.595 68.26

1.705 77.63

1.822 90.44 1.836 99.93

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液

  0.5mol/水酸化ナトリウム溶液の調製及び標定は,次のとおり行う。

(a)

調製

JIS K 8576

に規定する水酸化ナトリウム約 21g をポリエチレン製容器に取り,水約 400ml を

加え,流水で冷却しながら溶解し,水を加えて約 1とする。

(b)

標定

JIS K 8005

に規定するアミド硫酸を

JIS K 8005

4.

(乾燥条件)によって乾燥し,その 1∼

2g

を 0.1mg のけたまで量り取ってビーカー300ml に移し入れ,水約 25ml を加えて溶解する。以下,

(4) (4.2)

によって操作して滴定を行い,ファクターは次の式によって算出する。

55

048

.

0

100

×

×

V

S

G

f

ここに,

f

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液のファクター

G

アミド硫酸の質量 (g)

S

アミド硫酸の純度 (%)

V

滴定に要した 0.5mol/水酸化ナトリウム溶液の量 (ml)

0.048 55

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液 1ml のアミド硫酸相当

量 (g)

(2.2)

ブロモチモールブルー溶液 (1g/l)

JIS K 8842

に規定するブロモチモールブルー0.1g を,

JIS K 

8102

に規定するエタノール (95) 20ml に溶解し,水を加えて 100ml としたもの。

(2.3)

メチルレッド−メチレンブルー溶液

  次の 2 種類の溶液を使用前に体積比で 1 : 1 に混合する。保存

するときは,褐色瓶に入れて冷暗所に置く。

(2.3.1)

JIS K 8896

に規定するメチルレッド 0.1g を,

JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 100ml に溶解し

たもの。

(2.3.2)

JIS K 8897

に規定するメチレンブルー0.1g を,

JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 100ml に溶解

したもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

電位差滴定装置

JIS K 0113

に規定するもの。この場合,滴定槽,ビュレット,指示電極,参照電

極及び電位差計は,次のとおりとする。

(3.1.1)

滴定槽

  ビーカー100∼300ml

(3.1.2)

ビュレット

  20∼50ml

(3.1.3)

指示電極

  ガラス電極で,

JIS K 0113

又は

JIS Z 8805

に規定するもの。

(3.1.4)

参照電極

  カロメル電極又は銀−塩化銀電極で,

JIS K 0113

又は

JIS Z 8805

に規定するもの。

(3.1.5)

電位差計

JIS K 0113

に規定するもの又は

JIS Z 8802

に規定する pH 計で,形式 II 以上の性能をも

つもの。

(3.2)

ガラス球

図 4

に例を示す。


12

K 1321-1994

図 4  ガラス球の例

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料は,濃硫酸相当量として 0.5∼1g を小形はかり瓶に 0.1mg のけたまで量り取り

(

6

)

,あらかじめ

水約 100ml を入れたビーカー300ml に洗い移す

(

7

)

(

6

)

試料はよく振り混ぜた後,その中層から駒込ピペットを用いて取る。

なお,試料硫酸は密栓をしておかないと濃度変化を生じることがあるので,開栓後は直ちに

試料を量り取る。

(

7

)

小形はかり瓶のまま水中に投入してもよい。

(4.2)

溶液の温度が室温とほぼ等しくなった後,ブロモチモールブルー溶液 (1g/l)  又はメチルレッド−メ

チレンブルー溶液 2,3 滴を指示薬として加え,0.5mol/水酸化ナトリウム溶液で滴定し,液の色が

それぞれ青又はうすい緑に変わったときを終点とするか又は指示電極及び参照電極

(

8

)

を挿入し,か

き混ぜながら 0.5mol/水酸化ナトリウム溶液を用いて電位差滴定を行い,求めた滴定曲線の変曲点

を終点とする。

(

8

)

複合電極を用いてもよい。

備考

試料は,次のいずれかの方法を用いて量り取ってもよい。

(1)

濃硫酸相当量として約 10g を小形はかり瓶に 1mg のけたまで量り取り,

あらかじめ水約 200ml

を入れた全量フラスコ 250ml に洗い移す。室温に冷却後,水を標線まで加える。この中から

25ml

を全量ピペットを用いてビーカー300ml に取る。

(2)

ガラス球を使用する場合は,あらかじめ質量を量ったガラス球に,次のいずれかの方法によ

って試料約 1g を 0.1mg のけたまで量り取る。水約 150ml を入れたビーカー300ml にガラス球

を入れ,ガラス棒を用いて球及び毛細管部を破砕する。

(a)

図 4(1)のガラス球を用いる場合

  球部を炎の上で 2∼3 秒間加熱し,毛細管先端部を試料中

に浸す。球部が冷却するとともに試料が球部に入るので,試料の質量が約 1g(約 0.5ml)

となったとき,毛細管先端を試料から離し,ろ紙などで軽くぬぐう。直ちに,ガラスが破


13

K 1321-1994

損しないように注意して火炎中で毛細管先端部をよう(熔)封し,試料中に浸した部分を

水洗いして,ろ紙などで表面を清浄にし,デシケーター中で放冷する。

(b)

図 4(2)のガラス球を用いる場合

  片方の毛細管部にスポイト用ゴム球を連結し,他端を試

料中に浸し,ゴム球を徐々に緩めて試料をガラス球部に吸い込ませる。試料の質量が約 1g

(約 0.5ml)となったとき,ゴム球を取り外し,両毛細管部をろ紙などで軽くぬぐう。直ち

に,ガラスが破損しないように注意して火炎中で両毛細管先端部をよう封し,試料中に浸

した部分を水洗いして,ろ紙などで表面を清浄にし,デシケーター中で放冷する。

(5)

計算

  硫酸分は,次の式によって算出する。

100

52

024

.

0

×

×

×

W

f

V

S

ここに,

S

硫酸分 (H

2

SO

4

) (%)

V

滴定に要した 0.5mol/水酸化ナトリウム溶液の量 (ml)

f

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液のファクター

0.024 52

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液 1ml の硫酸分相当量 (g)

W

試料の質量 (g)

備考

(4.2)

備考(1)

の操作を行ったときには,試料溶液の分取比 0.1 を に乗じる。

(6)

許容差

  同一試験室において,同一試料を 2 個平行測定したときの差は,硫酸分として 0.20%を超え

てはならない。超えた場合は

JIS Z 8402

6.4.2

(適用方式 A)によって処理する。

5.4

遊離無水硫酸分

(1)

要旨

  試料を水で薄めた後,水酸化ナトリウム溶液を用いる中和滴定によって全無水硫酸分を求め,

これから計算によって遊離無水硫酸分を求める。中和滴定は,指示薬を用いる滴定か又は電位差滴定

のいずれかによる。

備考1.

遊離無水硫酸分は,

5.2

によって比重を測定し,比重 (20/20℃)  は

備考表3

,比重 (15/4℃)  は

備考表4

,比重 (35/4℃)  は

備考表5

によって求めてもよい。

2.

無水亜硫酸分及び強熱残分を多量に含む場合は,無水亜硫酸分を

5.15

によって,強熱残分を

5.5

によって求め,遊離無水硫酸分を補正する。


14

K 1321-1994

備考表 3  比重 (20/20)  −遊離無水硫酸分対照表

比重 (20/20℃)  遊離 SO

3

%

比重 (20/20℃)  遊離 SO

3

 %

1.870 0

  9.34

1.907 5

20.24

1.872 5

10.02

1.910 0

20.99

1.875 0

10.72

1.912 5

21.75

1.877 5

11.43

1.915 0

22.50

1.880 0

12.16

1.917 5

23.25

1.882 5

12.86

1.920 0

24.02

1.885 0

13.57

1.922 5

24.77

1.887 5

14.27

1.925 0

25.53

1.890 0

14.99

1.927 5

26.30

1.892 5

15.74

1.930 0

27.09

1.895 0

16.50

1.932 5

27.88

1.897 5

17.25

1.935 0

28.66

1.900 0

17.99

1.937 5

29.45

1.902 5

18.73

1.940 0

30.23

1.905 0

19.49

備考表 5  比重 (35/4)  −遊離無水硫酸分対照表

比重 (35/4℃)  遊離 SO

3

%

比重 (35/4℃)  遊離 SO

3

%

1.855 0

10.50

1.897 5

23.35

1.857 5

11.22

1.900 0

24.15

1.860 0

11.97

1.902 5

24.93

1.862 5

12.68

1.905 0

25.72

1.865 0

13.41

1.907 5

26.53

1.867 5

14.12

1.910 0

27.36

1.870 0

14.86

1.912 5

28.19

1.872 5

15.62

1.915 0

29.00

1.875 0

16.40

1.917 5

29.84

1.877 5

17.17

1.920 0

30.65

1.880 0

17.93

1.922 5

31.48

1.882 5

18.69

1.925 0

32.31

1.885 0

19.47

1.927 5

33.15

1.887 5

20.25

1.930 0

34.00

1.890 0

21.02

1.932 5

34.87

1.892 5

21.80

1.935 0

35.74

1.895 0

22.58

備考表 4  比重 (15/4)  −遊離無水硫酸分対照表

比重 (15/4℃)

遊離 SO

3

%

比重 (15/4℃)  遊離 SO

3

%

1.872 5

  9.48

1.910 0

20.34

1.875 0

10.17

1.912 5

21.08

1.877 5

10.86

1.915 0

21.83

1.880 0

11.58

1.917 5

22.58

1.882 5

12.29

1.920 0

23.32

1.885 0

12.99

1.922 5

24.08

1.887 5

13.70

1.925 0

24.83

1.890 0

14.40

1.927 5

25.58

1.892 5

15.12

1.930 0

26.35

1.895 0

15.87

1.932 5

27.13

1.897 5

16.62

1.935 0

27.91

1.900 0

17.36

1.937 5

28.68

1.902 5

18.10

1.905 0

18.84

1.907 5

19.59


15

K 1321-1994

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液

5.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

ブロモチモールブルー溶液 (1g/l)

5.3(2)(2.2)

による。

(2.3)

メチルレッド−メチレンブルー溶液

5.3(2)(2.3)

による。

(2.4)

メチルオレンジ溶液 (1g/l)

JIS K 8893

に規定するメチルオレンジ 0.1g を熱水 100ml に溶解し,

却後,遊離するスルホン酸などをろ過したもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

ガラス球

5.3(3)(3.2)

による。

(3.2)

肉厚瓶

  500ml

(3.3)

電位差滴定装置

5.3(3)(3.1)

による。

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

5.3(3)(3.2)

に規定するガラス球の質量を量り,

5.3(4)(4.2)

備考(2)

(a)

又は

(b)

のいずれかの方法によっ

て試料約 1g を 0.1mg のけたまで量り取る。

(4.2)

水約 150ml を入れた肉厚瓶にガラス球を入れ,栓をして激しく振り動かして球を破砕する。

(4.3)

引き続き振り動かして発生した白煙を溶解し,更に毛細管部をガラス棒で破砕し,この中に残った

試料を溶解する。

(4.4)

この溶液を

5.3(4)(4.2)

によって滴定する。

(5)

計算

(5.1)

全無水硫酸分は,次の式によって算出する。

100

016

020

.

0

1

×

×

×

W

f

V

A

ここに,

A

全無水硫酸分 (SO

3

) (%)

V

1

試料の滴定に要した 0.5mol/水酸化ナトリウム溶液の
量 (ml)

f

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液のファクター

0.020 016

0.5mol/l

水酸化ナトリウム溶液 1ml の無水硫酸分相当

量 (g)

W

試料の質量 (g)

(5.2)

遊離無水硫酸分は,

(5.2.1)

によって求める。ただし,

備考 2.

の場合は,

(5.2.2)

による。

(5.2.1)

遊離無水硫酸分は,次の式によって算出する。

E

A− (100−A)  ×4.444

ここに,

E

遊離無水硫酸分 (SO

3

) (%)

A

全無水硫酸分 (SO

3

) (%)

4.444

SO

3

と H

2

O

の式量化

(5.2.2)

遊離無水硫酸分は,次の式によって算出する。

E

=  (AC)  − [100−  (ACBD)]  ×4.444

ここに,

E

遊離無水硫酸分 (SO

3

) (%)

A

見掛けの全無水硫酸分 (SO

3

) (%)

B

無水亜硫酸分 (SO

2

) (%)

C

見掛けの全無水硫酸分 (SO

3

) (%)

のうち無水亜硫酸分

(SO

2

) (%)

に相当する無水硫酸分 (SO

3

) (%)

で,次の式に

よって算出する。

250

.

1

2

×

B

C


16

K 1321-1994

ここに, 1.250:

SO

3

と SO

2

の式量比

D

強熱残分 (%)

4.444

SO

3

と H

2

O

の式量比

この場合,無水亜硫酸分,強熱残分及び見掛けの全無水硫酸分は,次によって求め

る。

(a)

無水亜硫酸分

5.15

によって求める。ただし,アミド硫酸溶液の添加は行わ

ず,試料は比重から求めた質量が 1g となるように量り取る。

(b)

強熱残分

5.5

によって求める。

(c)

見掛けの全無水硫酸分

(4)

によって求める。ただし,指示薬はメチルオレ

ンジを用い,溶液の色が黄色に変わるときを終点とする。

5.5

強熱残分

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,強熱後,残留物の質量を量って強熱残分を求める。

(2)

装置

  装置は,次のとおりとする。

電気炉

800

±50℃の加熱に適するもの。

(3)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(3.1)

JIS H 6202

に規定する白金皿 90 番若しくは 100 番又は石英皿 100ml を 800±50℃で 15 分間強熱後,

デシケーター中で放冷し,その質量を 0.1mg のけたまで量る。

(3.2)

試料 50∼100g を

(3.1)

の白金皿又は石英皿に,0.1g のけたまで量り取る。

(3.3)

加熱して蒸発乾固した後,電気炉に入れ,引き続き 800±50℃

(

9

)

で約 15 分間強熱する。

(

9

)

温度の測定は,

JIS C 1601

及び

JIS C 1602

に規定する温度計を用い,

JIS Z 8704

によって行う。

(3.4)

デシケーターに入れて冷却後,強熱残留物を含む皿の質量を 0.1mg のけたまで量る。

(4)

計算

  強熱残分は,次の式によって算出する。

100

2

1

×

W

W

W

C

ここに,

C

強熱残分 (%)

W

1

強熱残留物を含む白金皿又は石英皿の質量 (g)

W

2

空の白金皿又は石英皿の質量 (g)

W

試料の質量 (g)

5.6

硝酸イオン

(1)

要旨

  試料に硫酸又は水を加えて硫酸濃度を調整し,ブルシンを加え,加熱して発色させ,吸光度を

測定して硝酸イオンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

硫酸

JIS K 8951

に規定する硫酸を用い,

JIS K 8832

に規定するブルシン二水和物 0.01g を硫酸 10ml

に溶解したときほとんど着色しないもの。

(2.2)

硫酸(約 75%

(2.1)

の硫酸を用いて調製したもの。

(2.3)

ブルシン溶液 (2g/l)

JIS K 8832

に規定するブルシン二水和物 0.2g を硫酸 100ml に溶解したもの。

この溶液は,使用時に調製する。

また,この溶液はピンクに着色してはならない。

(2.4)

硝酸イオン標準液 (0.005mgNO

3

/ml) 

JIS K 8548

に規定する硝酸カリウム 0.815g を量り取り,水


17

K 1321-1994

に溶解して全量フラスコ 1 000ml に入れ,水を標線まで加えて硝酸イオン標準原液 (0.5mgNO

3

/ml)

とし,使用時に必要量を水で正しく 100 倍に薄めたもの又は

JIS K 8001

4.2(1)

(一般用)に規定

する硝酸塩標準原液 (1mgNO

3

/ml)

を水で正しく 200 倍に薄めたもの。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

精製濃硫酸特号は試料約 20g を 0.1g のけたまで,

精製濃硫酸 1 号及び精製希硫酸は試料約 2g を 0.01g

のけたまで,全量フラスコ 25ml に量り取る。

(4.2)

冷却しながら硫酸又は水を加えて濃度約 75%[比重 (20/4℃) 1.67∼1.68]に調整し

(

10

)(

11

)

,ブルシン

溶液 (2g/l) 1ml を加え,硫酸(約 75%)を加えて 25ml とした後振り混ぜ,水浴中で約 12 分間加熱

して発色させ,流水中で室温まで冷却する。

(

10

)

 50

℃以上にならないように注意する。

(

11

)

試料の硫酸濃度によって濃度調整に用いる硫酸及び水の量が異なり,精製濃硫酸と精製希硫酸

とでは操作手順が変わる。その操作手順の一例を

参考表

に示す。

この場合,操作は番号順に行い,

5.

及び

6.

の操作を行うときは氷水中で冷却し,50℃以上に

ならないように注意する。

参考表  硝酸イオン定量操作手順の一例

単位

 ml

操作番号

検量線 NO

3

精製濃硫酸 精製濃硫酸

精製希硫酸

0

∼25

µg

特号の場合 1 号の場合

(34%)

の場合

1.

  試料(希硫酸)

− 2

2.

  水

5

∼0

 5

 5

3.4

3.

  NO

3

標準液

0

∼5

4.

  硫酸 (1+1)

 7

 7

 7

7

5.

  硫酸 12

2

11

11.6

6.

  試料(濃硫酸)

− 10  1  −

7.

  ブルシン溶液

 1

 1

 1

1

(4.3)

この溶液の一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

(定量)によって波長 410nm 付近

の吸光度を測定する

(

12

)

。この場合,対照液は

(2.2)

の硫酸(約 75%)とする。

(

12

)

発色後,40分以内に測定する。

(4.4)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.3)

で測定した吸光度を補正する。

(4.5)

硝酸イオン標準液 (0.005mgNO

3

/ml) 0

∼5ml を数個の全量フラスコ 25ml に段階的に取り,

(4.2)

及び

(4.3)

によって操作し,硝酸イオン量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線から硝酸イオンの量を求め,硝酸イオンは,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  硝酸イオン (NO

3

) (%)

A

:  検量線から求めた硝酸イオンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.7

塩化物イオン

5.7.1

定量方法の種類

  塩化物イオンの定量方法は,次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

塩化銀比濁法


18

K 1321-1994

(2)

イオンクロマトグラフ法

(3)

電位差滴定法

5.7.2

塩化銀比濁法

(1)

要旨

  試料を水で薄め,硝酸及び硝酸銀を加えて塩化物イオンを塩化銀として白濁させ,塩化物イオ

ン標準液と比較して塩化物イオンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

  イオン交換水を更に蒸留したもの。

(2.2)

硝酸 (12)

JIS K 8541

に規定する硝酸を水で薄めて調製したもの。

(2.3)

硫酸

JIS K 8951

に規定する硫酸をビーカーに取り,加熱して白煙処理し,塩化物イオンを追い出

したもの。

(2.4)

硝酸銀溶液 (20g/l)

JIS K 8550

に規定する硝酸銀 2g を水に溶解して 100ml としたもの。この溶液

は,褐色瓶に入れて保存する。

(2.5)

塩化物イオン標準液 (0.01mgCl

/ml)

JIS K 8005

に規定する塩化ナトリウムを

JIS K 8005

4.

よって乾燥し,その 1.648g を量り取り,水に溶解して全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線

まで加えて塩化物イオン標準原液 (1mgCl

/ml)

とし,使用時に必要量を水で正しく 100 倍に薄めた

もの又は

JIS K 8001

4.2(1)

に規定する塩化物標準原液 (1mgCl

/ml)

を水で 100 倍に薄めたもの。

(3)

器具

  器具は,次のとおりとする。

比色管

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料 5∼10g を 0.1g のけたまではかり瓶に量り取り,水 10ml を入れた比色管を冷却しながら,これ

に試料を洗い移す。

(4.2)

硝酸 (1+2) 3ml を加え,水を加え全量を 25ml とする。

(4.3)

硝酸銀溶液 (20g/l) 1ml を加えて振り混ぜ,15 分間放置して白濁させる。

(4.4)

塩化物イオン標準液 (0.01mgCl

/ml) 0

∼10ml を数個の比色管に段階的に取り,水を加えて液量を

15ml

にする。冷却しながら試料と同量の硫酸を加え,

(4.2)

及び

(4.3)

によって操作し,塩化物イオン

量と濁度との関係を示す標準列を調製し,黒地を背景とし,比色管の側面から透視して

(4.3)

で生じ

た白濁と比較し,塩化物イオンの量を求める。

(5)

計算

(4.4)

で求めた塩化物イオンの量から,塩化物イオンは,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  塩化物イオン (Cl

) (%)

A

:  比濁によって求めた塩化物イオンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.7.3

イオンクロマトグラフ法

(1)

要旨

  試料に窒素ガスを通して塩化物イオンを追い出し,炭酸水素ナトリウム溶液に吸収させ,イオ

ンクロマトグラフを用いてピーク高さ又は面積を測定し,塩化物イオンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

5.7.2(2)(2.1)

による。

(2.2)

吸収液 (2mmolNaHCO

3

/l)

JIS K 8622

に規定する炭酸水素ナトリウム 8.4g を水で溶解して 1

000ml

とし,この溶液 20ml を使用の都度水で 50 倍に薄めたもの。


19

K 1321-1994

(2.3)

溶離液

  溶離液は,装置の種類及び分離カラムに充てんした陰イオン交換体の種類によって異なる

ので,あらかじめ

(

13

)

の操作で分離の状態を確認する。分離の状態がよくない場合には,溶離液の

種類及び濃度を変えて分離状態を確認し,良好ならば,その溶離液を用いる

(

14

)

(

13

)

塩化物イオン標準液 (0.01mgCl

/ml)

の一定量をシリンジでイオンクロマトグラフの分離カラ

ムに注入し,溶離液を一定の流量(例えば,1∼2ml/min)で流してクロマトグラムを求め,塩

化物イオンが分離(分離度1.3程度)できるものを用いる。

また,定期的に分離カラムの性能を確認するとよい。

(

14

)

溶離液の調製方法の例を,次に示す。

A

液[炭酸水素ナトリウム溶液 (4mmol/l)  +炭酸ナトリウム溶液 (4mmol/l)]  JIS K 8622

に規定する炭酸水素ナトリウム 0.336g と,

JIS K 8625

に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.424g

とを水に溶かして 1とする。

B

液[炭酸水素ナトリウム溶液 (1.7mmol/l)  +炭酸ナトリウム溶液 (1.8mmol/l)]  JIS K 8622

に規定する炭酸水素ナトリウム 0.143g と,

JIS K 8625

に規定する炭酸ナトリウム(無水)0.191g

とを水に溶かして 1とする。

C

液[グルコン酸カリウム溶液 (1.3mmol/l)  +四ほう酸ナトリウム溶液 (1.3mmol/l)  +ほう

酸溶液 (30mmol/l)  +アセトニトリル溶液 (100g/l)  +グリセリン溶液 (5g/l)

  グルコン酸カリ

ウム 0.31g と,

JIS K 8866

に規定する四ほう酸ナトリウム 0.50g と,

JIS K 8863

に規定するほう

酸 1.86g と,

JIS K 8032

に規定するアセトニトリル 115ml と,

JIS K 8295

に規定するグリセリ

ン 4ml とを水に溶かして 1とする。

D

液[フタル酸溶液 (2.5mmol/l)  2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1, 3−プロパンジオー

 (2.4mmol/l)

  フタル酸 0.415g と

JIS K 9704

に規定する 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル

−1, 3−プロパンジオール[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]0.291g とを水に溶かし

て 1とする。

(2.4)

除去液

  除去液は,除去カラムを用いる場合に使用するが,装置の種類及び除去カラムの種類によ

って除去液が異なる。あらかじめ分離カラムと組み合わせて

(

13

)

の操作を行って,除去液の性能を

確認する。除去液の性能がよくない場合には,除去液の種類及び濃度を変えて除去性能を確認し,

良好ならばその除去液を用いる

(

15

)

(

15

)

除去液の調製方法の例を示す。

(a)

硫酸 (15mmol/l

  硫酸 (0.5mol/l)  (

JIS K 8951

に規定する硫酸 30ml を少量ずつ水 500ml

中に加え,冷却後水で 1とする。

)30ml を水で 1とする。

(b)

硫酸 (25mmol/l

  硫酸 (0.5mol/l) 50ml を水で 1とする。

(2.5)

塩化物イオン標準液 (0.01mgCl

/ml) 

5.7.2(2)(2.5)

による。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

塩化物追出し及び吸収装置

  塩化物追出し及び吸引装置の一例を

図 5

(吹込み方式)及び

図 6

(吸引

方式)に示す。いずれの方式も追出し瓶は,インピンジャー50ml 又はガス洗浄瓶 125ml でガスの吹

出し口から試料液面までの高さが 30mm 以上となるものを用い,吹出し口と底面との距離をできる

だけ短くする。吸収瓶はガス洗浄瓶 125ml で,ガスの吹出し口から吸収液の液面までの高さが 40mm

以上となるものを用いる。


20

K 1321-1994

図 5  塩化物の追出し装置(吹込み方式)の一例 

図 6  塩化物の追出し装置(吸引方式)の一例 

(3.2)

イオンクロマトグラフ

  イオンクロマトグラフには,分離カラムと除去カラム

(

16

)

を組み合わせた方

式のものと分離カラム単独の方式のものとがあるが,次に掲げる条件を満たすもので,塩化物イオ

ンを検出できるもの。

(

16

)

溶離液中の陽イオンを水素イオンに変換するためのもので,溶離液中の陽イオンの濃度に対し

て十分なイオン交換容量をもつ陽イオン交換膜又は同等の性能をもつ陽イオン交換体を充てん

したもの。除去液と組み合わせて用いる。

(a)

分離カラム

  ステンレス鋼製又は合成樹脂製

(

17

)

のものに,強塩基性陰イオン交換体(I 形)

(表層被

覆形又は全多孔性シリカ形など)を充てんしたもの

(

13

)

(

17

)

例えば,四ふっ化エチレン樹脂製,ポリエーテルエーテルケトン製などがある。

(b)

検出器

  電気伝導度検出器

(3.3)

記録部

  データ処理装置又は記録計

(3.4)

シリンジ

  1∼10ml

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 50g を 0.1g のけたまで追出し瓶に量り取る。

(4.2)

塩化物イオン追出し及び吸収装置を接続し,追出し用ガス

(

18

)

を 300∼500ml/min の流量で約 40 分間

通気し,吸収液 45ml を入れた吸収瓶に塩化物イオンを吸収させる。

(

18

)

吸引方式の場合は清浄な空気,吹込み方式の場合は窒素,酸素又は圧縮空気を用いる。

(4.3)

ガスの通気を止め,導管を取り外して導管の追出し瓶出口以降を少量の水で洗浄し,吸収液に合わ

せ,水を加えて 50ml とし,振り混ぜる。

(4.4)

イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量(例えば,1∼


21

K 1321-1994

2ml/min

)で流しておく。除去カラムを必要とする装置では,除去液を一定の流量で流しておく。

(4.5)

(4.3)

の試料溶液の一定量(例えば,50∼200

µ

l

の一定量)をシリンジを用いてイオンクロマトグラフ

の分離カラムに注入し,一定の流量(例えば,1∼2ml/min)の溶離液で溶離し,クロマトグラムを

記録する。

(4.6)

クロマトグラム上の塩化物イオンに相当するピーク高さ又は面積を

JIS K 0127

8.

(定量分析)に

よって測定する。

(4.7)

全操作を通じて空試験を行い,

(4.6)

で測定したピーク高さ又は面積を補正する。

(4.8)

塩化物イオン標準液 (0.01mgCl

/ml) 0

∼6ml を数個の全量フラスコ 50ml に段階的に取り,吸収液を

加えて 50ml として振り混ぜ,

(4.5)

及び

(4.6)

によって操作し,塩化物イオン量とピーク高さ又は面積

との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線から塩化物イオンの量を求め,塩化物イオンは,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  塩化物イオン (Cl

) (%)

A

:  検量線から求めた塩化物イオンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.7.4

電位差滴定法

(1)

要旨

  試料を水冷した後,あらかじめ冷却してある硫酸を加え,硝酸銀溶液を用いて電位差滴定を行

い,塩化物イオンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

5.7.2(2)(2.1)

による。

(2.2)

硫酸 (37)

JIS K 8951

に規定する硫酸を用いて調製したもの。

(2.3)

4mmol/l

硝酸銀溶液

JIS K 8550

に規定する硝酸銀 0.679 5g を量り取って水に溶解し,全量フラス

コ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えたもの。この溶液は,使用時に調製する。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

電位差滴定装置

JIS K 0113

に規定するもの。この場合,滴定槽,ビュレット,指示電極,参照電

極及び電位差計は,次のとおりとする。

(3.1.1)

滴定槽

  ビーカー100∼300ml,砕氷による冷却槽付。

(3.1.2)

ビュレット

  20∼50ml

(3.1.3)

指示電極

  銀電極

(3.1.4)

参照電極

JIS K 0113

又は

JIS Z 8805

に規定するカロメル電極又は銀−塩化銀電極で,内筒液を飽

和塩化カリウム溶液とし,外筒液を飽和硝酸カリウム溶液とする二重液絡型を用いるか又は塩橋

(密

度 1.48g/ml の硫酸)を用いる。

(3.1.5)

電位差計

JIS K 0113

に規定するもの。

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料 10∼30g

(

19

)

を 0.01g のけたまで滴定槽に量り取る。

(

19

)

塩化物イオンとして0.1∼1mg となるように量り取る。

(4.2)

滴定槽を冷却槽に入れ,試料が 10∼20℃となるまで冷却する。

(4.3)

あらかじめ 10∼20℃に冷却した硫酸 (3+7) 50±2ml を少量ずつ加える。


22

K 1321-1994

(4.4)

参照電極及び指示電極を挿入し,かき混ぜながら 4mmol/硝酸銀溶液を 0.2ml ずつ加えて電位差滴

定を行い,滴定曲線から終点を求める。

(4.5)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.4)

で求めた滴定値を補正する。

(5)

計算

  塩化物イオンは,次の式によって算出する。

100

8

141

000

.

0

×

×

W

V

C

ここに,

C

塩化物イオン (Cl

) (%)

V

滴定に要した 4mmol/硝酸銀溶液の量 (ml)

0.000 141 8

4mmol/l

硝酸銀溶液 1ml の塩化物イオン相当量 (g)

W

試料の質量 (g)

5.8

アンモニウムイオン

(1)

要旨

  試料に水酸化ナトリウムを加えて強アルカリ性とした後,水蒸気蒸留し,留出液にナトリウム

フェノラートと次亜塩素酸ナトリウムとを加えて生じるインドフェノール青の吸光度を測定してアン

モニウムイオンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (1120)

JIS K 8180

に規定する塩酸を用いて調製したもの。

(2.2)

水酸化ナトリウム溶液 (4g/l)

JIS K 8576

に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製したもの。

(2.3)

水酸化ナトリウム溶液 (300g/l)

JIS K 8576

に規定する水酸化ナトリウムを水に溶解し,約 10 分

間煮沸し,冷却して調製したもの。

(2.4)

次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 10g/l

  次亜塩素酸ナトリウム溶液の調製と有効塩素の定量

は,次のとおり行う。

(a)

調製

  次亜塩素酸ナトリウム溶液

(有効塩素 3∼12%)

(%)

100

有効塩素

ml

を水で 100ml に薄めたもの。

この溶液は,使用時に調製する。

(b)

有効塩素の定量

  次亜塩素酸ナトリウム溶液

(有効塩素 3∼12%のもの。

10ml

を全量フラスコ 200ml

に取り,水を標線まで加える。全量ピペットを用いてこの 10ml を共通すり合せ三角フラスコ 300ml

に取り,水を加えて約 100ml とする。

JIS K 8913

に規定するよう化カリウム 1∼2g 及び酢酸 (1+1)

6ml

を加えて密栓し,よく振り混ぜて暗所に約 5 分間放置した後,0.05mol/チオ硫酸ナトリウム溶

液で滴定し,溶液の色がうすい黄色になったとき,でんぷん溶液 (10g/l) 1∼2ml を指示薬として加

え,青が消えるときを終点とする。

別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正し,有効塩素は,次の式によって算出する。

000

1

773

001

.

0

10

200

)

(

×

×

×

×

V

f

b

a

A

ここに,

A

有効塩素 (g/l)

a

滴定に要した 0.05mol/チオ硫酸ナトリウム溶液の量 
(ml)

b

空試験に要した 0.05mol/チオ硫酸ナトリウム溶液の
量 (ml)

f

0.05mol/l

チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

V

次亜塩素酸ナトリウム溶液の量り取り量 (ml)


23

K 1321-1994

0.001 773

0.05mol/l

チオ硫酸ナトリウム溶液 1ml の有効塩素相

当量 (g)

(2.5)

ナトリウムフェノラート溶液

JIS K 8798

に規定するフェノール 25g を,

JIS K 8576

に規定する水

酸化ナトリウムを用いて調製した 5mol/水酸化ナトリウム溶液 55ml に溶解し,冷却後,

JIS K 8034

に規定するアセトン 6ml を加え,水で 200ml としたもの。この溶液は,使用時に調製する。

(2.6)

アンモニウムイオン標準液 (0.01mgNH

4

/ml)

JIS K 8116

に規定する塩化アンモニウム 0.297g を

量り取り,水に溶解して全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えてアンモニウムイオ

ン標準原液 (0.1mgNH

4

/ml)

とし,使用時に必要量を水で正しく 10 倍に薄めたもの又は

JIS K 8001

4.2(1)

に規定するアンモニウム標準液。

(2.7)

メチルレッド−メチレンブルー溶液

5.3(2)(2.3)

による。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

(3.1)

水蒸気蒸留装置

  水蒸気蒸留装置の一例を,

図 7

に示す。


24

K 1321-1994

図 7  水蒸気蒸留装置の一例


25

K 1321-1994

(3.2)

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 50g を 0.1g のけたまではかり瓶に量り取り,あらかじめ水 50ml を入れたビーカー300ml に

冷却しながら少量ずつ移し入れる。

(4.2)

メチルレッド−メチレンブルー溶液 2,3 滴を指示薬として加え,冷却しながら溶液が緑となるまで

水酸化ナトリウム溶液 (300g/l)  を加える。

(4.3)

蒸留フラスコに移し入れ,塩酸 (1+120) 10ml と水 40ml とを入れた全量フラスコ 200ml を受器とし

て,留出管の先端を溶液中に入れて連結する。

(4.4)

蒸留フラスコの漏斗から水酸化ナトリウム溶液 (300g/l) 30ml を加えて強アルカリ性とし,蒸留フラ

スコを加熱して沸騰し始めた後,水蒸気発生フラスコから水蒸気を蒸留フラスコに送り,水蒸気蒸

留を行う。留出速度は 1 分間に 3∼5ml とし,受器の液量が約 180ml になったとき蒸留をやめる。

(4.5)

受器の全量フラスコ 200ml を取り外し,水を標線まで加える。

(4.6)

この溶液から全量ピペットを用いて 25ml を取り,全量フラスコ 50ml に移し入れる。

(4.7)

ナトリウムフェノラート溶液 10ml を加えて振り混ぜた後,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素

10g/l

)5ml を加え,水を標線まで加えて振り混ぜる。

(4.8)

液温

(

20

)

を 20∼25℃に保って約 30 分間放置

(

21

)

する。

(

20

)

色の濃さは,溶液の温度によって異なるので,検量線作成時と同じ温度にする。

(

21

)

発色は,約 30 分間でほぼ一定となり,その後,約 30 分間は安定である。

(4.9)

この溶液の一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって波長 630nm 付近の吸光度

を測定する。この場合,対照液は水とする。

(4.10)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.9)

で測定した吸光度を補正する。

(4.11)

アンモニウムイオン標準液 (0.01mgNH

4

/ml) 0

∼10ml を数個の全量フラスコ 50ml に段階的に取り,

(4.7)

(4.9)

によって操作し,アンモニウムイオン量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線からアンモニウムイオンの量を求め,

アンモニウムイオンは,

次の式によって算出する。

100

×

× B

W

A

C

ここに,

C

:  アンモニウムイオン (NH

4

) (%)

A

:  検量線から求めたアンモニウムイオンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

B

:  試料溶液の分取比

5.9

5.9.1

定量方法の種類

  鉄の定量方法は,次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

1, 10

−フェナントロリン吸光光度法

(2)

原子吸光法

(3)

誘導結合プラズマ発光分光法

5.9.2

1, 10

−フェナントロリン吸光光度法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解する。溶液中の鉄を塩化ヒドロキシルアンモニウムによ

って還元し,1, 10−フェナントロリン及び酢酸アンモニウムを加えて生成する 1, 10−フェナントロリ

ン鉄錯体の吸光度を測定して鉄の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。


26

K 1321-1994

(2.1)

塩酸 (11)

JIS K 8180

に規定する塩酸を用いて調製したもの。

(2.2)

アンモニア水 (13)

JIS K 8085

に規定するアンモニア水を用いて調製したもの。

(2.3)

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l)

JIS K 8201

に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウムを用いて調製したもの。

(2.4)

L

−アスコルビン酸溶液 (50g/l)

JIS K 9502

に規定する L (+)  −アスコルビン酸を用いて調製し

たもの。

(2.5)

酢酸アンモニウム溶液 (200g/l)

JIS K 8359

に規定する酢酸アンモニウム 20g を水に溶解し,アン

モニア水 (1+1) 10ml を加えた後,水を加えて 100ml としたもの。

(2.6)

1, 10

−フェナントロリン溶液 (1g/l)

JIS K 8202

に規定する塩化 1, 10−フェナントロリニウム一

水和物 0.12g を水に溶解して 100ml とするか又は

JIS K 8789

に規定する 1, 10−フェナントロリン一

水和物(o−フェナントロリン)0.1g を

JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 20ml に溶解し,水を

加えて 100ml としたもの。

(2.7)

鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 

  鉄(99.9%以上)0.100g をビーカー200ml に量り取り,塩酸 (1+1) 10ml

を加え,加熱して分解した後,

JIS K 8541

に規定する硝酸 1ml を加えて加熱し,鉄を酸化する。放

冷後,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えて鉄標準原液 (0.1mgFe/ml) とし,使用

時に必要量を水で正しく 10 倍に薄めたもの又は

JIS K 0016

に規定する Fe10。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

精製濃硫酸特号及び精製濃硫酸 1 号は試料約 20g,精製希硫酸は試料約 2g,薄硫酸,濃硫酸及び発

煙硫酸は試料 1∼10g

(

22

)

を 0.01g のけたまでビーカー100ml に量り取る。

(

22

)

鉄として0.02∼0.15mg となるように量り取る。

(4.2)

加熱して蒸発乾固し,放冷後,塩酸 (1+1) 1ml

(

23

)

及び水約 5ml を加えて加熱溶解し,放冷後,全量

フラスコ 50ml に移し入れる。

(

23

)

塩酸 (1+1) 1ml で溶解しないときは,5ml まで加えてよい。

(4.3)

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l) 1ml

(

24

)

を加えて振り混ぜる。

(

24

)

  L

−アスコルビン酸溶液 (50g/l) 1ml を用いてもよい。

(4.4)

 1,10

−フェナントロリン溶液 (1g/l) 5ml 及び酢酸アンモニウム溶液 (200g/l) 5ml

(

25

)

を加え,水を標線

まで加えて約 20 分間放置する。

(

25

)

(

23

)

で塩酸 (1+1)  の使用量を増量した場合は,アンモニア水 (1+3)  を加えて pH 値を3∼8に

調整する。

(4.5)

この溶液の一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって,波長 510nm 付近の吸光

度を測定する。この場合,対照液は水とする。

(4.6)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.5)

で測定した吸光度を補正する。

(4.7)

鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 0∼15ml を数個の全量フラスコ 50ml に段階的に取り,塩酸 (1+1) 1ml を加

え,

(4.3)

(4.5)

によって操作し,鉄量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線から鉄の量を求め,鉄は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  鉄 (Fe) (%)


27

K 1321-1994

A

:  検量線から求めた鉄の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.9.3

原子吸光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固した後,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄め,吸光度を測定して鉄の量を

求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

JIS K 8180

に規定する塩酸を用いて調製したもの。

(2.2)

ランタン溶液

  酸化ランタン 60g を塩酸 (1+3) 400ml に溶解し,水浴上で乾固し,水に溶解して 1l

としたもの。この溶液 1ml は,ランタンとして約 50mg を含む。

(2.3)

鉄標準液 (0.025mgFe/ml)

5.9.2(2)(2.7)

の鉄標準原液 (0.1mgFe/ml) を使用時に必要量を水で正し

く 4 倍に薄めたもの又は

JIS K 0016

に規定する Fe50 を水で正しく 2 倍に薄めたもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

原子吸光分析装置

(3.2)

鉄中空陰極ランプ

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

精製濃硫酸特号及び精製濃硫酸 1 号は試料約 20g,精製希硫酸は試料約 2g,薄硫酸,濃硫酸及び発

煙硫酸は試料 1∼10g

(

26

)

を 0.01g のけたまでビーカー100ml に量り取る。

(

26

)

鉄として0.02∼0.25mg となるように量り取る。

(4.2)

加熱して蒸発乾固し,放冷後,塩酸 (1+3) 5ml を加え,加熱して溶解し,冷却後,全量フラスコ 25ml

に移し入れ

(

27

)

,水を標線まで加える。

(

27

)

妨害元素による妨害を受けるおそれのある場合は,ランタン溶液を加える。

(4.3)

原子吸光分析装置を用い,

JIS K 0121

6.

(操作方法)によって,

(4.2)

の溶液の吸光度を波長 248.3nm

で測定する。

(4.4)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.3)

で測定した吸光度を補正する。

(4.5)

鉄標準液 (0.025mgFe/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 25ml に段階的に取り,塩酸 (1+3) 5ml を

加え,

(4.3)

によって操作し,鉄量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線から鉄の量を求め,鉄は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  鉄 (Fe) (%)

A

:  検量線から求めた鉄の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.9.4

誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄めて誘導結合プラズマ発光分光分析

装置に導入し,発光強度を測定して,鉄の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

鉄標準液 (0.025mgFe/ml)

5.9.3(2)(2.3)

による。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。


28

K 1321-1994

誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

  操作条件は,

JIS K 0116

によって次の項目について

設定するほか,取扱説明書による。操作条件の一例を,

表 5

に示す。

表 5  操作条件の一例

項目

設定値

高周波出力  kW 1.3

プラズマガス流量  l/min 16 
補助ガス流量  l/min 1.0

キャリヤーガス流量  l/min 0.5 
測光高さ  mm 12 
分光器スリット幅

µm

入口 20,出口 40

分析線波長  nm 238.204

(5)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(5.1)

試料 20g

(

26

)

を 0.1g のけたまでビーカー100ml に量り取り,

加熱して蒸発乾固し,

硫酸を完全に除く。

(5.2)

冷却後,塩酸 (1+3) 5ml を加え,加熱して溶解する。

(5.3)

冷却後,全量フラスコ 25ml に移し,水を標線まで加える。

(5.4)

この溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,波長 238.204nm における発光強度を測定

する。

(5.5)

全操作を通じて空試験を行い,

(5.4)

で測定した発光強度を補正する。

(5.6)

鉄標準液 0∼10ml を全量フラスコ 25ml に段階的に取り,塩酸 (1+3) 5ml を加え,更に水を標線ま

で加え,

(5.4)

によって操作し,鉄量と発光強度との関係を示す検量線を作成する。

(6)

計算

  検量線から鉄の量を求め,鉄は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  鉄 (Fe) (%)

A

:  検量線から求めた鉄の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.10

5.10.1

定量方法の種類

  銅の定量方法は,次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

キュプラゾン吸光光度法

(2)

原子吸光法

(3)

誘導結合プラズマ発光分光法

5.10.2

キュプラゾン吸光光度法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,硫酸を加えて溶解した後,くえん酸二アンモニウムを加え,アンモニア水

で中和する。この溶液にキュプラゾンを加えて生じたキュプラゾン銅錯体の吸光度を測定して銅の量

を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

硫酸 (11)

JIS K 8951

に規定する硫酸を用いて調製したもの。

(2.2)

アンモニア水 (11)

JIS K 8085

に規定するアンモニア水を用いて調製したもの。

(2.3)

くえん酸二アンモニウム溶液 (100g/l)

JIS K 8284

に規定するくえん酸二アンモニウムを用いて

調製したもの。


29

K 1321-1994

(2.4)

キュプラゾン溶液 (1g/l

  キュプラゾン(ビスシクロヘキサノン・オキサリルジヒドラゾン)0.5g

JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 50ml 及び温水 50ml を加え,水浴上で加熱し,かき混ぜて

溶解し,不溶解残分のあるときはろ過し,水を加えて 500ml としたもの。

(2.5)

銅標準液 (0.01mgCu/ml)

JIS K 8660

に規定する銅 0.100g をビーカー200ml に量り取り,硝酸 (1

+1) 10ml を加え,加熱して分解した後,硫酸 (1+1) 10ml を加え,硫酸の白煙が発生するまで穏や

かに加熱して,硝酸を追い出した後放冷し,水に溶解して全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を

標線まで加えて銅標準原液 (0.1mgCu/ml) とし,使用時に必要量を水で正しく 10 倍に薄めたもの又

JIS K 0010

に規定する Cu10。

(2.6)

フェノールフタレイン溶液 (1g/l)

JIS K 8799

に規定するフェノールフタレイン 0.1g を

JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 90ml に溶解し,水を加えて 100ml としたもの。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 3g を 0.01g のけたまでビーカー100ml に量り取る。

(4.2)

穏やかに加熱して白煙が出なくなるまで乾固し,放冷する。

(4.3)

硫酸 (1+1) 5ml を加え,加熱して溶解し,冷却後,全量フラスコ 50ml に移し入れ,くえん酸二ア

ンモニウム溶液 (100g/l) 5ml を加える。

(4.4)

フェノールフタレイン溶液 2,

3

滴を指示薬として加え,

アンモニア水 (1+1)  を滴加して振り混ぜ,

紅色が現れるまで加えた後,30℃以下に冷却する。

(4.5)

これにキュプラゾン溶液 (1g/l) 10ml を加えて振り混ぜ,水を標線まで加え,約 5 分間放置する。

(4.6)

この溶液の一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって波長 600nm 付近の吸光度

を測定する。この場合,対照液は水とする。

(4.7)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.6)

で測定した吸光度を補正する。

(4.8)

銅標準液 (0.01mgCu/ml) 0∼6ml を数個の全量フラスコ 50ml に段階的に取り,

(4.3)

(4.6)

によって

操作し,銅量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線から銅の量を求め,銅は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  銅 (Cu) (%)

A

:  検量線から求めた銅の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.10.3

原子吸光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固した後,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄め,吸光度を測定して銅の量を

求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

ランタン溶液

5.9.3(2)(2.2)

による。

(2.3)

銅標準液 (0.01mgCu/ml)

5.10.2(2)(2.5)

による。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。


30

K 1321-1994

(3.1)

原子吸光分析装置

(3.2)

銅中空陰極ランプ

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 10g を 0.1g のけたまでビーカー100ml に量り取り,

5.9.3(4)(4.2)

(4.4)

によって操作する。こ

の場合,測定波長は 324.7nm を用いる。

(4.2)

銅標準液 (0.01mgCu/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 25ml に段階的に取り,

塩酸 (1+3) 5ml を加

え,

5.9.3(4)(4.3)

によって操作し,銅量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

この場合,測定波長は 324.7nm を用いる。

(5)

計算

  検量線から銅の量を求め,銅は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  銅 (Cu) (%)

A

:  検量線から求めた銅の量 (g)

W

:  料の質量 (g)

5.10.4

誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄めて誘導結合プラズマ発光分光分析

装置に導入し,発光強度を測定して,銅の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.4(2)(2.1)

による。

(2.2)

銅標準液 (0.025mgCu/ml)

5.10.2(2)(2.5)

に規定する銅標準原液 (0.1mgCu/ml) 又は

JIS K 0010

規定する Cu100 を,使用時に必要量を水で正しく 4 倍に薄めたもの。

(3)

装置

5.9.4(3)

による。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

5.9.4(4)

による。ただし,分析線波長は,324.754nm

を用いる。

(5)

操作

5.9.4(5)

による。ただし,鉄標準液に代えて銅標準液を用いる。

(6)

計算

  検量線から銅の量を求め,銅は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  銅 (Cu) (%)

A

:  検量線から求めた銅の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.11

5.11.1

定量方法の種類

  鉛の定量方法は,次の 2 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

原子吸光法

(2)

誘導結合プラズマ発光分光法

5.11.2

原子吸光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固した後,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄め,吸光度を測定して鉛の量を

求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。


31

K 1321-1994

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

ランタン溶液

5.9.3(2)(2.2)

による。

(2.3)

鉛標準液 (0.025mgPb/ml)

JIS K 8701

に規定する鉛 0.100g をビーカー200ml に量り取り,硝酸 (1

+1) 20ml を加え,加熱して分解し,放冷後,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加え

て鉛標準原液 (0.1mgPb/ml) とし,使用時に必要量を水で正しく 4 倍に薄めたもの又は

JIS K 0015

に規定する Pb50 を水で正しく 2 倍に薄めたもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

原子吸光分析装置

(3.2)

鉛中空陰極ランプ

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 100g を 1g のけたまでビーカー200ml に量り取り,

5.9.3(4)(4.2)

(4.4)

によって操作する。こ

の場合,測定波長は 283.3nm を用いる。

(4.2)

鉛標準液 (0.025mgPb/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 25ml に段階的に取り,塩酸 (1+3) 5ml を

加え,

5.9.3(4)(4.3)

によって操作し,鉛量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。この場合,測

定波長は 283.3nm を用いる。

(5)

計算

  検量線から鉛の量を求め,鉛は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  鉛 (Pb) (%)

A

:  検量線から求めた鉛の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.11.3

誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄めて誘導結合プラズマ発光分光分析

装置に導入し,発光強度を測定して,鉛の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.4(2)(2.1)

による。

(2.2)

鉛標準液 (0.02mgPb/ml)

5.11.2(2)(2.3)

に規定する鉛標準原液 (0.1mgPb/ml) の必要量を水で正し

く 5 倍に薄めたもの。

(3)

装置

5.9.4(3)

による。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

5.9.4(4)

による。ただし,分析線波長は,220.353nm

を用いる。

(5)

操作

5.9.4(5)

による。ただし,鉄標準液に代えて鉛標準液を用いる。

(6)

計算

  検量線から鉛の量を求め,鉛は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  鉛 (Pb) (%)

A

:  検量線から求めた鉛の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.12

マンガン


32

K 1321-1994

5.12.1

定量方法の種類

  マンガンの定量方法は,次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

過マンガン酸吸光光度法

(2)

原子吸光法

(3)

誘導結合プラズマ発光分光法

5.12.2

過マンガン酸吸光光度法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固した後,硫酸とりん酸の混酸及び水を加えて溶解し,過よう素酸ナトリウムを

加えて加熱し,マンガンを過マンガン酸に酸化し,その吸光度を測定してマンガンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

混酸

JIS K 8951

に規定する硫酸,

JIS K 9005

に規定するりん酸及び水を体積比で 15 : 23 : 62 に混

合したもの。

(2.2)

過よう素酸ナトリウム飽和溶液

JIS K 8256

に規定する過よう素酸ナトリウムを用いて調製したも

の。

(2.3)

亜硝酸ナトリウム溶液 (50g/l)

JIS K 8019

に規定する亜硝酸ナトリウムを用いて調製したもの。

(2.4)

尿素溶液 (200g/l)

JIS K 8731

に規定する尿素を用いて調製したもの。

(2.5)

マンガン標準液 (0.01mgMn/ml)

JIS G 2311

に規定する金属マンガン 0.1g をビーカー200ml に量

り取り,硝酸 (1+1) 10ml 及び硫酸 (1+1) 2ml を加え,加熱して分解後,蒸発乾固する。放冷後,

水を加えて溶解し,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えてマンガン標準原液

(0.1mgMn/ml)

とし,使用時に必要量を水で正しく 10 倍に薄めたもの又は

JIS K 0027

に規定する

Mn10

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 100g を 1g のけたまでビーカー200ml に量り取り,加熱して蒸発乾固する。

(4.2)

放冷後,混酸 5ml 及び少量の水を加え,加熱して溶解し,水を用いてビーカー100ml に移し入れ,

液量を約 15ml とする。

(4.3)

メタ過よう素酸ナトリウム飽和溶液(約 100g/l)3ml を加え,時計皿で覆って加熱し,溶液に過マ

ンガン酸の赤紫が生じてから,更に約 5 分間煮沸する。

(4.4)

冷却後,尿素溶液 (200g/l) 3ml を加え,全量フラスコ 25ml に移し入れ,水を標線まで加える。

(4.5)

この溶液の一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって,波長 530nm 付近の吸光

度を測定する

(

28

)

。この場合,対照液は水とする。

(

28

)

銅,ニッケル,コバルト,クロムなどを多量に含む場合は,全量フラスコ中に残っている溶液

に亜硝酸ナトリウム溶液 (50g/l)  を1滴ずつ加え,振り混ぜて過マンガン酸の赤紫を消失させ,

(4.5)

によってこの溶液の吸光度を測定し,

(4.5)

で測定した吸光度からこの吸光度を差し引いて

補正する。

(4.6)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.5)

で測定した吸光度を補正する。

(4.7)

マンガン標準液 (0.01mgMn/ml) 0∼10ml を数個のビーカー100ml に段階的に取り,混酸 5ml 及び水

を加えて液量を約 15ml とした後,

(4.3)

(4.5)

によって操作し,マンガン量と吸光度との関係を示す

検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線からマンガンの量を求め,マンガンは,次の式によって算出する。


33

K 1321-1994

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  マンガン (Mn) (%)

A

:  検量線から求めたマンガンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.12.3

原子吸光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固した後,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄め,吸光度を測定してマンガン

の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

ランタン溶液

5.9.3(2)(2.2)

による。

(2.3)

マンガン標準液 (0.1mgMn/ml)

5.12.2(2)(2.5)

による。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

原子吸光分析装置

(3.2)

マンガン中空陰極ランプ

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 100g を 1g のけたまでビーカー200ml に量り取り,

5.9.3(4)(4.2)

(4.4)

によって操作する。こ

の場合,測定波長は 279.5nm を用いる。

(4.2)

マンガン標準液 (0.01mgMn/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 25ml に段階的に取り,塩酸 (1+3)

5ml

を加え,

5.9.3(4)(4.3)

によって操作し,マンガン量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。

この場合,測定波長は 279.5nm を用いる。

(5)

計算

  検量線からマンガンの量を求め,マンガンは,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  マンガン (Mn) (%)

A

:  検量線から求めたマンガンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.12.4

誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解し,水で一定量に薄めて誘導結合プラズマ発光分光分析

装置に導入し,発光強度を測定して,マンガンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (13)

5.9.3(2)(2.1)

による。

(2.2)

マンガン標準液 (0.002mgMn/ml)

5.12.2(2)(2.5)

に規定するマンガン標準原液 (0.1mgMn/ml) を,

使用時に必要量を水で正しく 50 倍に薄めたもの又は

JIS K 0027

に規定する Mn2。

(3)

装置

5.9.4(3)

による。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

5.9.4(4)

による。ただし,分析線波長は,257.610nm

を用いる。

(5)

操作

5.9.5(5)

による。ただし,鉄標準液に代えてマンガン標準液を用いる。

(6)

計算

  検量線からマンガンの量を求め,マンガンは,次の式によって算出する。


34

K 1321-1994

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  マンガン (Mn) (%)

A

:  検量線から求めたマンガンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.13

ひ素

5.13.1

定量方法の種類

  ひ素の定量方法は次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法

(2)

還元気化−原子吸光法

(3)

還元気化−誘導結合プラズマ発光分光法

5.13.2

ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法

(1)

要旨

  試料中の還元物質を硝酸で酸化した後,この溶液に塩酸,よう化カリウム及び塩化すず (II) を

加えてひ素を亜ひ酸とし,次に亜鉛を加えて水素化ひ素とする。これをジエチルジチオカルバミド酸

銀のクロロホルム溶液に吸収発色させ,その吸光度を測定してひ素の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (11)

JIS K 8180

に規定するひ素分析用塩酸を用いて調製したもの。

(2.2)

硝酸

JIS K 8541

に規定するもの。

(2.3)

硫酸 (11)

JIS K 8951

に規定する硫酸を用いて調製したもの。

(2.4)

亜鉛

JIS K 8012

に規定するひ素分析用の砂状亜鉛で,粒度 1 000∼1 410

µm のものを用い,塩酸 (1

+10)  と水で表面を洗ったもの。

(2.5)

よう化カリウム溶液 (200g/l)

JIS K 8913

に規定するよう化カリウムを用いて調製したもの。

(2.6)

塩化すず (II) 溶液 (40g/l)

JIS K 8136

に規定する塩化すず (II) 二水和物 40g を

JIS K 8180

に規

定する塩酸 100ml に溶解し,

JIS K 8580

に規定する粒状すず 2,3 粒を加えて保存し,使用時に水で

10

倍に薄めたもの。

(2.7)

硫酸水素カリウム溶液 (200g/l)

JIS K 8972

に規定する硫酸水素カリウムを用いて調製したもの。

(2.8)

酢酸鉛 (II) 溶液 (100g/l)

JIS K 8374

に規定する酢酸鉛 (II) 三水和物を用いて調製したもの。

(2.9)

ジエチルジチオカルバミド酸銀クロロホルム溶液 (2.5g/l)

JIS K 9512

に規定する N, N−ジエチル

ジチオカルバミド酸銀 0.25g と

JIS K 8832

に規定するブルシン二水和物 0.1g とを,

JIS K 8322

に規

定するクロロホルムに溶解して 100ml としたもの。

(2.10)

ジエチルジチオカルバミド酸銀ピリジン溶液 (5g/l)

JIS K 9512

に規定する N, N−ジエチルジチ

オカルバミド酸銀 0.5g を,

JIS K 8777

に規定するピリジンに溶解して 100ml としたもの。

(2.11)

ひ素標準液 (0.001mgAs/ml)

JIS K 8044

に規定する三酸化二ひ素 0.132 3g を石英皿に量り取り,

水 10ml 及び水酸化ナトリウム溶液 (300g/l) 1ml を加え,水浴上で加熱して溶解する。冷却後,

5.11.2(2)(2.6)

に規定するフェノールフタレイン溶液 (1g/l) 2,3 滴を加え,硫酸 (1+5)  を滴加し,紅

色が消えるまで中和した後,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えてひ素標準原液

(0.1mgAs/ml)

とし,使用時に必要量を水で正しく 100 倍に薄めたもの又は

JIS K 0026

に規定する

As 1

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

水素化ひ素発生装置

  水素化ひ素発生装置の一例を,

図 8

に示す。


35

K 1321-1994

図 8  水素化ひ素発生装置の一例

(3.2)

分光光度計

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

精製濃硫酸特号は試料約 50g を 0.1g のけたまで,

精製濃硫酸 1 号及び精製希硫酸は試料約 5g を 0.01g

のけたまで石英皿に量り取り,硝酸 3ml と硫酸水素カリウム溶液 (200g/l) 10ml とを加え,加熱して

蒸発乾固した後,放冷する。

(4.2)

水 10ml と硫酸 (1+1) 6ml とを加え,加熱して可溶性塩を溶解する。

(4.3)

この溶液を水で水素化ひ素発生瓶に洗い移し,水を加えて全量を約 40ml とする。

(4.4)

塩酸 (1+1) 2ml,よう化カリウム溶液 (200g/l) 15ml 及び塩化すず (II) 溶液 (40g/l) 5ml を加えて振

り混ぜ,室温で約 10 分間放置する。

(4.5)

水素化ひ素発生瓶,導管及びジエチルジチオカルバミド酸銀クロロホルム溶液 10ml

(

29

)

を入れた水

素化ひ素吸収管を連結した後,水素化ひ素発生瓶に亜鉛約 5g を手早く投入する。

(

29

)

ジエチルジチオカルバミド酸銀ピリジン溶液を用いてもよい。この場合,ピリジンは揮発しな

いから,吸収後10ml に合わせなくてよい。

(4.6)

水素化ひ素発生瓶を約 25℃の水中に浸し,約 40 分間放置してジエチルジチオカルバミド酸銀クロ

ロホルム溶液に水素化ひ素を吸収させる。

(4.7)

この溶液にクロロホルムを加えて 10ml とし,その一部を分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって,波長 510nm 付近の吸光度を測定する。この場合,対照液はクロロホルムとする。

(4.8)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.7)

で測定した吸光度を補正する。

(4.9)

ひ素標準液 (0.001mgAs/ml) 0∼20ml を数個の水素化ひ素発生瓶に段階的に取り,水 10ml と硫酸 (1

+1) 6ml とを加え,更に水を加えて 40ml とし,

(4.4)

(4.7)

によって操作し,ひ素量と吸光度との関


36

K 1321-1994

係を示す検量線を作成する。

(5)

計算

  検量線からひ素の量を求め,ひ素は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  ひ素 (As) (%)

A

:  検量線から求めたひ素の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.13.3

還元気化−原子吸光法

(1)

要旨

  試料を硝酸で酸化し,蒸発乾固後,塩酸を加えて溶解し,テトラヒドロほう酸ナトリウムを加

えて水素化ひ素を生成させ,これを原子吸光分析装置に導き,吸光度を測定し,ひ素の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

硝酸

JIS K 8541

に規定するもの。

(2.2)

塩酸

JIS K 8180

に規定するひ素分析用。

(2.3)

塩酸 (21)

(2.2)

の塩酸を用いて調製したもの。

(2.4)

塩酸 (15)

(2.2)

の塩酸を用いて調製したもの。

(2.5)

水酸化ナトリウム

JIS K 8576

に規定するもの。

(2.6)

硫酸水素カリウム溶液 (200g/l)

JIS K 8972

に規定する硫酸水素カリウムを用いて調製したもの。

(2.7)

よう化カリウム溶液 (300g/l)

JIS K 8913

に規定するよう化カリウムを用いて調製したもの。

(2.8)

テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (10g/l

  テトラヒドロほう酸ナトリウム 10g と

JIS K 8576

規定する水酸化ナトリウム 5g とを水に溶解して 1 000ml としたもの。この溶液は,使用の都度調製

する。

(2.9)

ひ素標準液 (0.2

µ

gAs/ml)

5.13.2(2)(2.11)

によって調製したひ素標準原液 (0.1mgAs/ml) の必要量

を使用時に水で正しく 500 倍に薄めたもの又は

JIS K 0026

に規定する As1 を水で正しく 5 倍に薄め

たもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

水素化物発生装置

  水素化物発生装置の一例を

図 9

に示し,測定条件の一例を

表 6

に示す。


37

K 1321-1994

図 9  水素化物発生装置の一例

表 6  測定条件の一例

キャリヤーガス流量  l/min 0.5

試料流量  ml/mim 10 
テトラヒドロほう酸

ナトリウム溶液流量  ml/min 10

塩酸 (1+5)  流量  ml/min 10

(3.2)

原子吸光分析装置

(3.3)

ビーカー200ml

  ひ素の溶出のないもの。

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料 5g を 0.01g のけたまでビーカー200ml に量り取り,水 3ml を加え,冷却した後,硝酸 3ml と硫

酸水素カリウム溶液 (200g/l) 10ml とを加える。

(4.2)

白煙が出なくなるまで加熱する。

(4.3)

室温まで冷却後,塩酸 (2+1) 30ml を加え,加熱して可溶性塩を溶解する。

(4.4)

室温まで冷却後,少量の水を用い,全量フラスコ 50ml に移し入れる。

(4.5)

よう化カリウム溶液 (300g/l) 2ml を加えて軽く振り混ぜ,室温で約 10 分間放置後,水を標線まで加

える。

(4.6)

(4.5)

の溶液,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (10g/l)  及び塩酸 (1+5)  を水素化物発生装置に導

入(装置によって,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液及び塩酸の流量と濃度は異なる。

)し,水素

化物を発生させる。発生した水素化物と溶液を分離した後,水素化物を含む気体を加熱吸収セル(石

英)又は水素−アルゴンフレームに導入し,波長 193.8nm の吸光度を測定する

(

30

)

(

30

)

この溶液中のひ素の量が

(4.8)

の検量線の範囲を超える場合は,検量線範囲に入るようにこの溶

液から一定量を分取し,塩酸濃度とよう化カリウム濃度とを本体と合わせた後,

(4.6)

の操作を

行う。

(4.7)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.6)

で測定した吸光度を補正する。

(4.8)

ひ素標準液 (0.2

µgAs/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 50ml に取り,塩酸 (2+1) 30ml を加えた後,

(4.5)

及び

(4.6)

の操作を行って,ひ素量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。


38

K 1321-1994

(5)

計算

  検量線からひ素の量を求め,ひ素は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  ひ素 (As) (%)

A

:  検量線から求めたひ素の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.13.4

還元気化−誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を硝酸で酸化し,蒸発乾固後,塩酸を加えて溶解し,テトラヒドロほう酸ナトリウムを加

えて水素化ひ素を生成させ,これを誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導き,発光強度を測定し,

ひ素の量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

(2.9)

5.13.3(2)(2.1)

(2.9)

による。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

水素化物発生装置

5.13.3(3.1)

による。

(3.2)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(3.3)

ビーカー200ml

5.13.3(3.3)

による。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

  操作条件は,

JIS K 0116

によって次の項目について

設定するほか,取扱説明書による。操作条件の一例を,

表 7

に示す。

表 7  操作条件の一例

高周波出力  kW 1.4

プラズマガス流量  l/min 18.0 
補助ガス流量  l/min 1.0

測光高さ  mm 15 
分光器スリット幅

µm

入口 10,  出口 10

分析線波長  nm 193.759

(5)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(5.1)

(5.5)

5.13.3(4)(4.1)

(4.5)

による。

(5.6)

(5.5)

の溶液,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (10g/l)  及び塩酸 (1+5)  を水素化ひ素発生装置に

導入(装置によって,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液及び塩酸の流量と濃度は異なる。

)し,水

素化ひ素を発生させる。発生した水素化ひ素と溶液を分離した後,水素化ひ素を含む気体をプラズ

マに導入し,波長 193.759nm の発光強度を測定する

(

31

)

(

31

)

この溶液中のひ素の量が

(5.8)

の検量線の範囲を超える場合は,検量線範囲に入るようにこの溶

液から一定量を分取し,塩酸濃度とよう化カリウム濃度とを本体と合わせた後,

(5.6)

の操作を

行う。

(5.7)

全操作にわたって空試験を行い,

(5.6)

で測定した発光強度を補正する。

(5.8)

ひ素標準液 (0.2

µgAs/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 50ml に取り,塩酸 (2+1) 30ml を加えた後,

(5.5)

及び

(5.6)

の操作を行って,ひ素量と発光強度との関係を示す検量線を作成する。

(6)

計算

  検量線からひ素の量を求め,ひ素は,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  ひ素 (As) (%)


39

K 1321-1994

A

:  検量線から求めたひ素の量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.14

セレン

5.14.1

定量方法の種類

  セレンの定量方法は,次の 3 種類とし,そのいずれかによる。

(1)

3, 3'

−ジアミノベンジジン吸光光度法

(2)

還元気化−原子吸光法

(3)

還元気化−誘導結合プラズマ発光分光法

5.14.2

3, 3'

−ジアミノベンジジン吸光光度法

(1)

要旨

  試料を硝酸で酸化し,硫酸アンモニウム鉄 (III) を加えてセレンを共沈させ,分離して濃縮す

る。エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウムを加え,pH を調整後,3, 3'−ジアミノベンジジンを加

えてセレン錯体を生成させる。この溶液の pH を調整し,トルエンを用いて 3, 3'−ジアミノベンジジ

ンセレン錯体を抽出し,その吸光度を測定してセレンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

塩酸 (12)

JIS K 8180

に規定する塩酸を用いて調製したもの。

(2.2)

硝酸

JIS K 8541

に規定するもの。

(2.3)

硫酸

JIS K 8951

に規定するもの。

(2.4)

アンモニア水 (11)

5.10.2(2)(2.2)

による。

(2.5)

アンモニア水 (12)

JIS K 8085

に規定するアンモニア水を用いて調製したもの。

(2.6)

臭化カリウム

JIS K 8506

に規定するもの。

(2.7)

硫酸アンモニウム鉄 (III) 溶液 (90g/l)

JIS K 8982

に規定する硫酸アンモニウム鉄 (III)・12 水 9g

をビーカー100ml に量り取り,硫酸 (1+1) 4ml を加え,水を用いて 100ml としたもの。

(2.8)

エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液 (40g/l)

JIS K 8107

に規定するエチレンジアミ

ン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用いて調製したもの。

(2.9)

トルエン

JIS K 8680

に規定するもの。

(2.10)

プロモチモールブルー溶液 (1g/l)

5.3(2)(2.2)

による。

(2.11)

3, 3'

−ジアミノベンジジン溶液 (5g/l)

  3, 3'−ジアミノベンジジン塩酸塩 0.5g を水に溶解し,水を

用いて 100ml としたもの。この溶液は,使用時に調製する。

(2.12)

セレン標準液 (0.001mgSe/ml)

JIS K 8598

に規定するセレン 0.100g をビーカー200ml に量り取り,

硝酸 (2+1) 15ml を加え,水浴上で加熱して分解し蒸発乾固する。これを水に溶解し,放冷後,全

量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えてセレン標準原液 (0.1mgSe/ml) とし,使用時に

必要量を水で正しく 100 倍に薄めたもの。

(3)

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(3.1)

分光光度計

(3.2)

pH

JIS Z 8802

に規定するもの。

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料約 5g を 0.01g のけたまでビーカー200ml に量り取り,硝酸 0.5ml を加え,ビーカーを振りなが

ら水 10ml を滴加した後,水浴上で約 30 分間加熱する。

(4.2)

冷却して約 50℃とした後,臭化カリウム約 0.5g を加え,硫酸アンモニウム鉄 (III) 溶液 (90g/l) 2ml

とブロモチモールブルー溶液 (1g/l) 2,3 滴とを加える。


40

K 1321-1994

(4.3)

かき混ぜながら溶液が青になるまでアンモニア水 (1+1)  を加えた後,溶液が黄色になるまで煮沸

する。

(4.4)

沈殿が沈降するまで静置し,

JIS P 3801

に規定するろ紙 5 種 A でろ過し,温水で洗浄する。

(4.5)

沈殿は元のビーカーに洗い落とし,

ろ紙に付着した沈殿は温塩酸 (1+2)  約 4ml を滴加して溶解し,

元のビーカーに受け,ろ紙は水洗する。

(4.6)

加熱して鉄の沈殿を溶解し,水を用いて液量を約 30ml とする。

(4.7)

放冷後,エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液 (40g/l) 10ml を加え,アンモニア水 (1+

2)

を用い,pH 計によって pH 値を 1.5∼2.0 に調整する。

(4.8)

  3

,3'−ジアミノベンジジン溶液 (5g/l) 2ml を加えて振り混ぜ,水浴中で約 10 分間加熱する。

(4.9)

流水で冷却後,アンモニア水 (1+2)  を用い,pH 計によって pH 値を約 6 に調整し,分液漏斗に移

し入れ,水を用いて約 60ml とする。

(4.10)

全量ピペットを用いてトルエン 10ml を加え,約 1 分間激しく振り混ぜた後静置し,水溶液層を分

離する。

(4.11)

分液漏斗の脚部に脱脂綿を詰め,

トルエン層の一部をろ過しながら,

分光光度計の吸収セルに取り,

JIS K 0115

8.

によって,波長 420nm 付近の吸光度を測定する。この場合,対照液はトルエンとす

る。

(4.12)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.11)

で測定した吸光度を補正する。

(4.13)

水 10ml を入れた数個のビーカー200ml に硫酸 5g をそれぞれ加え,セレン標準液 (0.001mgSe/ml) 0

∼10ml を段階的に取り,

(4.2)

(4.11)

によって操作し,セレン量と吸光度との関係を示す検量線を

作成する。

(5)

計算

  検量線からセレンの量を求め,セレンは,次の式によって算出する。

100

×

W

A

C

ここに,

C

:  セレン (Se) (%)

A

:  検量線から求めたセレンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.14.3

還元気化−原子吸光法

(1)

要旨

  試料を硝酸で酸化し,塩酸を加えて加熱し,冷却後,テトラヒドロほう酸ナトリウムを加えて

水素化セレンを生成させ,これを原子吸光分析装置に導き,吸光度を測定し,セレンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

硝酸

JIS K 8541

に規定するもの。

(2.2)

塩酸

JIS K 8180

に規定するもの。

(2.3)

塩酸 (15)

(2.2)

の塩酸を用いて調製したもの。

(2.4)

水酸化ナトリウム

JIS K 8576

に規定するもの。

(2.5)

テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (10g/l)

5.13.3(2)(2.8)

による。

(2.6)

セレン標準液 A (0.5

µ

gSe/ml)

5.14.2(2)(2.12)

によって調製したセレン標準原液 (0.1mgSe/ml) の必

要量を使用時に水で正しく 200 倍に薄めたもの。

(2.7)

セレン標準液 B (0.25

µ

gSe/ml)

5.14.2(2)(2.12)

によって調製したセレン標準原液 (0.1mgSe/ml) の

必要量を使用時に水で正しく 400 倍に薄めたもの。


41

K 1321-1994

(2.8)

セレン標準液 C (0.1

µ

gSe/ml)

5.14.2(2)(2.12)

によって調製したセレン標準原液 (0.1mgSe/ml) の必

要量を使用時に水で正しく 1 000 倍に薄めたもの。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

(3.1)

水素化物発生装置

5.13.3(3)(3.1)

による。

(3.2)

原子吸光分析装置

(4)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(4.1)

試料 10g を 0.01g のけたまで三角フラスコ 200ml に量り取り,水を加えて約 20ml とした後,硝酸

0.5ml

を加え,水浴上で約 30 分間加熱する。

(4.2)

冷却後,全量フラスコ 50ml に移し入れ,水を標線まで加える。

(4.3)

全量ピペットを用いて 10ml

(

32

)

を三角フラスコ 200ml に取る。

(

32

)

この溶液中のセレン量が

(4.7)

の検量線範囲を超える場合には,検量線範囲内となるように分取

量を少なくする。

(4.4)

塩酸 10ml を加え,約 80℃の水浴上で 10 分間加熱する。

(4.5)

冷却後,全量フラスコ 50ml に移し入れ,水を標線まで加える。

(4.6)

5.13.3(4)(4.6)

による。ただし,分析線波長は 190.0nm を用い,

(

30

)

ではひ素をセレンと読み替える。

(4.7)

セレン標準液 A (0.5

µgSe/ml)  ,セレン標準液 B (0.25µgSe/ml)  ,セレン標準液 C (0.1µgSe/ml)  のいず

れかの 0∼10ml を数個の全量フラスコ 50ml に取り,

水を加えて液量を約 10ml とした後,

(4.4)

(4.6)

によって操作し,セレン量と吸光度との関係を示す検量線を作成する

(

33

)

(

33

)

使用する装置,水素化物発生方式などによって,検量線の直線範囲が異なるので,検量線が直

線となるように,セレン標準液を選択する。

(4.8)

全操作にわたって空試験を行い,

(4.6)

で測定した吸光度を補正する。

(5)

計算

  検量線からセレンの量を求め,セレンは,次の式によって算出する。

100

5

×

×

W

A

C

ここに,

C

:  セレン (Se) (%)

5

:  分取比

A

:  検量線から求めたセレンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.14.4

還元気化−誘導結合プラズマ発光分光法

(1)

要旨

  試料を硝酸で酸化し,塩酸を加えて加熱し,冷却後,テトラヒドロほう酸ナトリウムを加えて

水素化セレンを生成させ,これを誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導き,発光強度を測定し,セ

レンの量を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

(2.5)

5.14.3(2)(2.1)

(2.5)

による。

(2.6)

セレン標準液 (0.5

µ

gSe/ml)

5.14.3(2)(2.6)

による。

(3)

装置

  装置は,次のとおりとする。

(3.1)

水素化物発生装置

5.13.3(3)(3.1)

による。

(3.2)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件

5.13.4(4)

による。ただし,分析線波長は 190.026nm


42

K 1321-1994

を用いる。

(5)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(5.1)

(5.5)

5.14.3(4)(4.1)

(4.5)

による。

(5.6)

5.13.4(5)(5.6)

による。ただし,分析線波長は 190.026nm を用いる。この場合,

(

31

)

はひ素をセレン

と読み替える。

(5.7)

セレン標準液 (0.5

µgSe/ml) 0∼10ml を数個の全量フラスコ 50ml に取り,水を加えて液量を約 10ml

とした後,

(5.4)

(5.6)

によって操作し,セレン量と発光強度との関係を示す検量線を作成する。

(5.8)

全操作にわたって空試験を行い,

(5.6)

で測定した発光強度を補正する。

(6)

計算

  検量線からセレンの量を求め,セレンは,次の式によって算出する。

100

5

×

×

W

A

C

ここに,

C

:  セレン (Se) (%)

5

:  分取比

A

:  検量線から求めたセレンの量 (g)

W

:  試料の質量 (g)

5.15

よう素価 (SO

2

)

(1)

要旨

  あらかじめよう素溶液を加えたアミド硫酸中に試料を取り,でんぷんを加え,チオ硫酸ナトリ

ウム溶液で滴定してよう素価を求める。

(2)

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(2.1)

硫酸

JIS K 8951

に規定するもの。

(2.2)

アミド硫酸溶液 (100g/l)

JIS K 8587

に規定するアミド硫酸を用いて調製したもの。

(2.3)

0.05mol/l

よう素溶液

  0.05mol/よう素溶液の調製と標定は,次のとおり行う。

(a)

調製

JIS K 8913

に規定するよう化カリウム約 40g をビーカー500ml に量り取り,水約 25ml と

JIS 

K 8920

に規定するよう素約 13g とを加えて溶解した後,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標

線まで加え,更に

JIS K 8180

に規定する塩酸 3 滴を加え,褐色瓶に入れて暗所に保存する。

(b)

標定

JIS K 8005

に規定する三酸化二ひ素 0.100g を,コニカルビーカー250ml に量り取り,水酸化

ナトリウム溶液 (40g/l) 10ml を加えて溶解した後,硫酸 (1+35) 15ml を加えて十分にかき混ぜる。

次に,

JIS K 8622

に規定する炭酸水素ナトリウム 1g を水 50ml に溶解したものを加えてかき混ぜ,

でんぷん溶液 (10g/l) 1∼2ml を指示薬として加え,0.05mol/よう素溶液で滴定し,うすい青が現れ

るときを終点とする。

ファクターは,次の式によって算出する。

9

004

.

0

×

V

W

f

ここに,

f

0.05mol/

l

よう素溶液のファクター

W

三酸化二ひ素の質量 (g)

V

滴定に要した 0.05mol/よう素溶液の量 (ml)

0.004 9

0.05mol/

l

よう素溶液の三酸化二ひ素相当量 (g)

(2.4)

0.005mol/l

よう素溶液

  0.05mol/よう素溶液の必要量を使用時に,水

(

34

)

で正しく 10 倍に薄める。

(

34

)

煮沸して溶存酸素を追い出した後,冷却したもの。

(2.5)

0.01mol/l

チオ硫酸ナトリウム溶液

  0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液の調製と標定は,次のとおり


43

K 1321-1994

行う。この場合,標定は使用時に行う。

(a)

調製

JIS K 8637

に規定するチオ硫酸ナトリウム約 2.6g を水に溶解した後,全量フラスコ 1 000ml

に移し入れ,水を加えて 1 000ml とする。

(b)

標定

  0.005mol/よう素溶液 25ml をビーカー200ml に取り,0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液で滴

定し,溶液がうすい黄色になったとき,でんぷん溶液 (10g/l) 1∼2ml を指示薬として加え,最後の

1

滴で青が消えるときを終点とし,ファクターは,次の式によって算出する。

V

W

f

ここに,

f

: 0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

W

: 0.005mol/よう素溶液の使用量 (ml)

V

:  滴定に要した 0.01mol/チオ硫酸ナトリウムの溶液の量 (ml)

(2.6)

でんぷん溶液 (10g/l)

JIS K 8659

に規定するでんぷん(溶性)2g を量り取り,少量の水を加えて

十分に振り混ぜ,約 200ml の熱水中にかき混ぜながら少量ずつ注入した後,約 1 分間煮沸後放冷し

たもの。この溶液は,使用時に調製する。

(3)

操作

  操作は,次のとおり行う。

(3.1)

あらかじめ水

(

34

)

200ml

とアミド硫酸溶液 (100g/l) 10ml を入れたビーカー500ml に,試料中のよう素

価値に対して過剰の 0.005mol/よう素溶液を加える。

(3.2)

試料の比重を測定し,その比重から算出した質量が 40∼50g となるように試料をメスピペットを用

いて量り取り

(

35

)

,その先端を

(3.1)

の溶液中に挿入し,ビーカーを冷却しながら徐々に加える

(

36

)

(

35

)

別に,定量操作に用いた試料と同量を取り,その質量を0.1g のけたまで量り,試料の質量とし

てもよい。

(

36

)

このとき,30℃以上とならないように注意する。

(3.3)

直ちに 0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液がうすい黄色になったとき,でんぷん溶液

(10g/

l) 1

∼2ml を指示薬として加え,最後の 1 滴で青が消えるときを終点とする。

(3.4)

別に,ビーカー500ml に水

(

34

)

200ml

とアミド硫酸溶液 (100g/l) 10ml を入れ,これに試料と同量の硫

酸を加えて煮沸後冷却し,

(3.1)

で用いたのと同量の 0.005mol/よう素溶液を加え,

(3.3)

の操作を行

って空試験値を求め,

(3.3)

で求めた滴定値を補正する。

(4)

計算

  よう素価は,次の式によって算出する。

100

32

000

.

0

)

(

0

1

×

×

×

W

f

V

V

C

ここに,

C

よう素価 (SO

2

) (%)

V

1

試験に要した 0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液の量 
(ml)

V

0

滴定に要した 0.01mol/チオ硫酸ナトリウム溶液の量 
(ml)

f

0.01mol/l

チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

0.000 32

0.01mol/l

チオ硫酸ナトリウム溶液 1ml の SO

2

相当量

(g)

試料の質量 (g)

5.16

過マンガン酸カリウム還元性物質 (O) 

(1)

要旨  試料を過マンガン酸カリウム溶液中に取り,過剰の硫酸アンモニウム鉄 (II) を加え,過マンガ

ン酸カリウム溶液で逆滴定して過マンガン酸カリウム還元性物質を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。


44

K 1321-1994

(2.1)

硫酸  JIS K 8951 に規定するもの。

(2.2)

硫酸 (18)    JIS K 8951 に規定する硫酸と水とを体積比で 1 : 8 に混合し,過マンガン酸カリウム

溶液を滴加してうすい赤紫に着色させたもの。

(2.3)

  2mmol/l

過マンガン酸カリウム溶液  2mmol/過マンガン酸カリウム溶液の調製と標定は,次のとお

り行う。

(a)

調製  JIS K 8247 に規定する過マンガン酸カリウム 0.32g を水に溶解して 1.1とし,約 1 時間煮沸

した後,室温まで冷却して 1∼2 日間暗所に放置し,JIS R 3503 に規定するブフナー漏斗形ガラスろ

過器 3G3 を用いてろ過し(

37

)

,褐色瓶に入れて密栓し,冷暗所に保存する。

(

37

)

ろ過器は,乾燥したものを用いる。

(b)

標定  JIS K 8005 に規定するしゅう酸ナトリウム 0.167 5g を量り取り,硫酸 (1+8)  に溶解し,同

じ硫酸を用いて全量フラスコ 250ml に移し入れ,標線まで加える。この溶液は,使用時に調製する。

全量ピペットを用い,この溶液 10ml をビーカー300ml に取り,硫酸 (1+8) 100ml を加えて,2mmol/l

過マンガン酸カリウム溶液を滴加し,終点近くなったとき約 60℃に加熱し,更に 2mmol/過マンガ

ン酸カリウム溶液を滴加して,うすい赤紫が現れるときを終点とし,ファクターは,次の式によっ

て算出する。

M

N

f

ここに,

f

: 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液のファクター

N

:  しゅう酸ナトリウム溶液の使用量 (ml)

M

:  滴定に要した 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液の量 (ml)

(2.4)

  0.01mol/l

硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液  JIS K 8979 に規定する硫酸アンモニム鉄 (II) 六水和物約

4g

を量り取り,硫酸 (1+17)  に溶解して 1とする。使用時に,全量ピペットを用いてこの溶液 10ml

をビーカー300ml に取り,水 100ml を加えて 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液で滴定し,その相

当量 (ml) を求めておく。

(3)

操作  操作は,次のとおり行う。

(3.1)

(

34

)

100ml

を入れたビーカー300ml に,全量ピペットを用いて 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液

5ml

を加える。

(3.2)

試料約 50g を 0.1g のけたまではかり瓶に量り取り,(3.1)のビーカーを冷却しながら徐々に加える。

(3.3)

この溶液を約 55℃になるまで加熱する。

(3.4)

約 30 分間放冷後,全量ピペットを用いて,0.01mol/硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液 10ml を加え,直

ちに 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液で滴定し,うすい赤紫が現れるときを終点とする。

(3.5)

別に,ビーカー300ml に水(

34

)

100ml

及び試料と同量の硫酸を加えて煮沸後冷却し,2mmol/過マン

ガン酸カリウム溶液 5ml を加え,(3.3)及び(3.4)の操作を行って空試験値を求め,(3.4)で求めた滴定

値を補正する。

(4)

計算  過マンガン酸カリウム還元性物質は,次の式によって算出する。

100

08

000

.

0

)

(

2

1

×

×

×

W

f

V

V

C

ここに,

C

過マンガン酸カリウム還元性物質 (O) (%)

V

1

滴定に要した 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液の総
量 (ml)


45

K 1321-1994

V

2

0.01mol/l

硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液 10ml に相当す

る 2mmol/過マンガン酸カリウム溶液の量 (ml)

f

2mmol/l

過マンガン酸カリウム溶液のファクター

0.000 08

2mmol/l

過マンガン酸カリウム溶液 1ml の(O)相当量

(g)

W

試料の質量 (g)

6.

検査  検査は,5.によって試験し,表 の規定に適合しなければならない。

7.

表示  表示は,小形容器(ポリエチレン缶,ドラム缶など)の場合には,見やすいところに容易に消

えない方法によって,次の事項を表示しなければならない。ただし,大形容器(タンクローリー,タンク

車,タンク船,タンクなど)及びパイプラインの場合には,送り状に表示してもよい。

(1)

種類

(2)

硫酸分又は遊離無水硫酸分

(3)

正味質量又は正味容量

(4)

製造業者名又はその略号

(5)

製造年月又はその略号

(6)

製造番号又はロット番号

付表 1  引用規格

JIS B 7525

  比重浮ひょう

JIS C 1601

  指示熱電温度計

JIS C 1602

  熱電対

JIS G 2311

  金属マンガン

JIS H 6202

  化学分析用白金皿

JIS K 0010

  銅標準液

JIS K 0015

  鉛標準液

JIS K 0016

  鉄標準液

JIS K 0026

  ひ素標準液

JIS K 0027

  マンガン標準液

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0061

  化学製品の密度及び比重測定方法

JIS K 0113

  電位差・電流・電量・カールフイッシャー滴定方法通則

JIS K 0115

  吸光光度分析通則

JIS K 0116

  発光分光分析方法通則

JIS K 0121

  原子吸光分析通則

JIS K 0127

  イオンクロマトグラフ分析通則

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

JIS K 8012

  亜鉛(試薬)

JIS K 8019

  亜硝酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8032

  アセトニトリル(試薬)


46

K 1321-1994

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8044

  三酸化二ひ素(亜ひ酸)

(試薬)

JIS K 8085

  アンモニア水(試薬)

JIS K 8102

  エタノール (95) [エチルアルコール (95)]

(試薬)

JIS K 8107

  エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 8116

  塩化アンモニウム(試薬)

JIS K 8136

  塩化すず (II) 二水和物(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8201

  塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)

JIS K 8202

  塩化 1, 10−フェナントロリニウム一水和物(試薬)

JIS K 8247

  過マンガン酸カリウム(試薬)

JIS K 8256

  過よう素酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8284

  くえん酸水素二アンモニウム(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8322

  クロロホルム(試薬)

JIS K 8359

  酢酸アンモニウム(試薬)

JIS K 8374

  酢酸鉛 (II) 三水和物(試薬)

JIS K 8506

  臭化カリウム(試薬)

JIS K 8541

  硝酸(試薬)

JIS K 8548

  硝酸カリウム(試薬)

JIS K 8550

  硝酸銀(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8580

  すず(試薬)

JIS K 8587

  アミド硫酸(試薬)

(スルファミン酸)

JIS K 8598

  セレン(試薬)

JIS K 8622

  炭酸水素ナトリウム(試薬)

JIS K 8625

  炭酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8637

  チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)

JIS K 8659

  でんぷん(溶性)

(試薬)

JIS K 8660

  銅(試薬)

JIS K 8680

  トルエン(試薬)

JIS K 8701

  鉛(試薬)

JIS K 8731

  尿素(試薬)

JIS K 8777

  ピリジン(試薬)

JIS K 8789

  1, 10−フェナントロリン一水和物(

ο

−フェナントロリン)

(試薬)

JIS K 8798

  フェノール(試薬)

JIS K 8799

  フェノールフタレイン(試薬)

JIS K 8832

  ブルシン二水和物(試薬)

JIS K 8842

  ブロモチモールブルー(試薬)

JIS K 8863

  ほう酸(試薬)


47

K 1321-1994

JIS K 8866

  四ほう酸ナトリウム(ほう砂)

(試薬)

JIS K 8893

  メチルオレンジ(試薬)

JIS K 8896

  メチルレッド(試薬)

JIS K 8897

  メチレンブルー(試薬)

JIS K 8913

  よう化カリウム(試薬)

JIS K 8920

  よう素(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 8972

  硫酸水素カリウム(試薬)

JIS K 8979

  硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物(試薬)

JIS K 8982

  硫酸アンモニウム鉄 (III)・12 水(試薬)

JIS K 9005

  りん酸(試薬)

JIS K 9502

  L (+)  −アスコルビン酸(試薬)

JIS K 9512

  N, N−ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)

JIS K 9704

  2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1, 3−プロパンジオール[トリス(ヒドロキシメチル)

アミノメタン]

(試薬)

JIS P 3801

  ろ紙(化学分析用)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS Z 8402

  分析・試験の許容差通則

JIS Z 8704

  温度測定方法−電気的方法

JIS Z 8802

  pH 測定方法

JIS Z 8805

  pH 測定用ガラス電極

付表 2  対応国際規格

ISO 910

  Sulphuric acid and oleum for industrial use−Determination of total acidity, and calculation

of free sulphur trioxide content of oleum

−Titrimetric method

ISO 911

  Sulphuric acid for industrial use − Evaluation of sulphuric acid concentration by

measurement of density

ISO 913

  Sulphuric acid and oleum for industrial use−Determination of ash−Gravimetric method

ISO 914

  Sulphuric acid and oleum for industrial use−Determination of total nitrogen content−

Titrimetric method after distillation

ISO 2363

  Sulphuric acid and oleums for industrial use−Determination of oxides of nitrogen−2,

4-Xylenol spectrophotometric method

ISO 2717

  Sulphuric acid and oleum for industrial use−Determination of lead content−Dithizone

photometric method

ISO 2877

  Sulphuric acid for industrial use−Determination of chlorides content−Potentiometric

method

ISO 2899

  Sulphuric acid and oleums for industrial use−Determination of ammoniacal nitrogen

content

−Spectrophotometric method

ISO 3423

  Sulphuric acid and oleums for industrial use−Determination of sulphur dioxide content−

Iodometric method


48

K 1321-1994

ISO 5792

  Sulphuric acid for industrial use − Determination of arsenic content − Silver

diethyldith-iocarbamate photometric method


49

K 1321-1994

附属書 

この附属書は,ISO に規定する工業用硫酸及び発煙硫酸試験方法のうち,JIS K 1321(硫酸)の品質規

格に規定のない成分に対する試験方法,有害試薬の使用を中止したため JIS から削除した試験方法などに

ついて,ISO の規定の技術的内容を変更することなく翻訳して作成したものである。

ISO 910 

Sulphuric acid and oleum for industrial use

−Determination of total acidity, and calculation of free

sulphur trioxide content of oleum

−Titrimetric method

ISO 911 

Sulphuric acid for industrial use

−Evaluation of sulphuric acid concentration by measurement of density

ISO 914 

Sulphuric acid and oleum for industrial use

−Determination of total nitrogen content−Titrimetric

method after distillation

ISO 2363 

Sulphuric acid and oleums for industrial use

−Determination of oxides of nitrogen−2, 4-Xylenol

spectrophotometric method

ISO 2717 

Sulphuric acid and oleum for industrial use

−Determination of lead content−Dithizone photometric

method

ISO 3423 

Sulphuric acid and oleums for industrial use

−Determination of sulphur dioxide content−Iodometric

method


50

K 1321-1994

ISO 910

  工業用硫酸及び発煙硫酸−全酸度の定量及び発煙硫酸の 

遊離無水硫酸の計算−滴定法

1.

概要  この国際規格は,通常 H

2

SO

4

で表される工業用硫酸の全酸度を定量するための滴定法及び発煙

硫酸の遊離無水硫酸の計算法を規定する。

2.

適用範囲  二つの場合が考えられる。

a)

H

2

SO

4

含有率が 98% (m/m)  以下のもの。

b)

  H

2

SO

4

含有率が 98% (m/m)  を超えるもの。

3.

原理  試料を過酸化水素で酸化し,指示薬としてメチルレッドの存在において標準水酸化ナトリウム

溶液を用いて全酸度を滴定する。

4.

試薬  分析の際は,分析級と認められた試薬及びメチルレッドに対して中性な蒸留水又はそれに相当

する純水だけを使用する。

4.1

過酸化水素  60g/溶液,メチルレッドに対して中性

4.2

水酸化ナトリウム  1N 標準溶液

4.3

メチルレッド  1g/の 95% (v/v)  エタノール溶液

5.

装置  通常の実験装置及び次に示すもの。

5.1

フラスコ  容量約 500ml,頚部の直径約 30mm,すり合せガラス栓付。

5.2

球形ガラスアンプル  適宜の形状と容量のもの,例示した直径約 20mm のものでは毛細管の長さ約

50mm

図参照)。

図  球形ガラスアンプル

5.3

ビュレット  ISO 385 に規定する精度 0.05ml を保証するもの。

5.4

コニカルフラスコ  容量 500ml,すり合せガラス栓付。

6.

操作

6.1

H

2

SO

4

含有率が 98% (m/m)  以下のもの


51

K 1321-1994

6.1.1

試料  あらかじめ 0.000 1g まで質量を量ったはかり瓶に,試験用試料約 2g を 0.000 1g のけたまで

量り取る。

6.1.2

定量  試料(6.1.1)を水約 300ml を入れた 500ml コニカルフラスコに定量的に移し入れる。

過酸化水素溶液(4.1)5ml を加え,沸騰するまで加熱し,10 分間静かに沸騰させる。

冷却し,メチルレッド溶液(4.3)2 滴を加え,溶液の色が赤から黄色に変わるまで水酸化ナトリウム溶液

(4.2)

を用いて滴定する。

6.2

H

2

SO

4

含有率 98% (m/m)  を超えるもの

6.2.1

試料  瓶を振って試験用試料を注意深く混合する。硫酸が部分的に結晶しているときは,瓶をわず

かに加熱して試験用試料を溶かし,次に,再び注意深く混合する。

すり合せガラス栓付フラスコ(5.1)に試験用試料をほぼ満たす。あらかじめ 0.000 1g まで質量を量ったガ

ラスアンプル(5.2)の球部を炎でわずかに加熱する。

試験用試料を入れたフラスコ(5.1)にアンプルの細管端を浸し,冷却する間に球部の容積の約

3

2

まで充て

んするようにする(約 2∼3ml)

アンプルを引き上げ,ろ紙を用いて注意深く毛細管端部をぬぐう。ガラスが破損しないように,酸化炎

中で毛細管端部をシールする。炎の中から取り出して冷却する。毛細管を洗浄し,ろ紙を用いて注意深く

ぬぐう。

アンプルを 0.000 1g のけたまで量り,差から試料の質量を求める。

6.2.2

試験用溶液の調製  試料(6.2.1)を含むアンプルを冷水 300ml を入れたコニカルフラスコ(5.4)に注意

深く入れる。フラスコの栓をし,振って試料を入れたアンプルを破壊する。この操作の間フラスコを冷却

する。冷却しながら,蒸気が完全に吸収されるまでフラスコを振る。栓を外して水で洗い,洗液は同じフ

ラスコに集める。ガラス棒によってアンプルの破片,特に振ってもそのまま残るおそれのある毛細管部を

破砕する。

ガラス棒を引き上げ水で洗い,洗液は同じフラスコに集める。溶液を 500ml 全量フラスコに移し入れ,

標線まで薄め,混合する。

6.2.3

定量  試料溶液(6.2.2)から 100.0ml を分取し,500ml コニカルフラスコに移し入れる。

過酸化水素溶液(4.1)5ml を加え,沸騰するまで加熱し,10 分間静かに沸騰させる。冷却し,メチルレッ

ド溶液(4.3)2 滴を加え,溶液の色が赤から黄色に変わるまで水酸化ナトリウム溶液(4.2)で滴定する。

7.

結果の表示

7.1

H

2

SO

4

含有率 98% (m/m)  以下のもの  硫酸 (H

2

SO

4

)

の質量%で表した全酸度は,次の式によって与

えられる。

m

V

m

V

A

904

.

4

100

04

049

.

0

×

×

ここに,

V

滴定に用いた水酸化ナトリウム溶液(4.2)の容量 (ml)

m

試料量り取り量(6.1.1) (g)

0.049 04

1N

水酸化ナトリウム溶液 1ml に相当する硫酸の質量

(g)

7.2

H

2

SO

4

98% (m/m) 

を超えるもの

7.2.1

全酸度の計算  硫酸 (H

2

SO

4

)

の質量%で表した全酸度 は,次の式によって与えられる。


52

K 1321-1994

m

R

V

m

R

V

A

×

×

×

×

×

904

.

4

100

04

049

.

0

ここに,

R

試験溶液の量と定量のための分取量との比

V

及び m

7.1

に同じ

備考  使用した標準溶液の濃度が試薬リストに特記されたものと一致しないときは,適宜の修正を行

わなければならない。

7.2.2

発煙硫酸の遊離三酸化硫黄の計算  発煙硫酸の遊離三酸化硫黄 (SO

3

)

を計算する前に,次のもの

を求めることが必要である。

SO

3

で表した全酸度(7.2.2.1 参照)

硫酸としての結合水(7.2.2.2 参照)

硫酸含有率(7.2.2.3 参照)

7.2.2.1

三酸化硫黄 (SO

3

の質量%で表された全酸度の求め方  三酸化硫黄 (SO

3

)

の質量%で表された

全酸度 B は,次の式によって与えられる。

B

A×0.816 2

ここに,

A

硫酸 (H

2

SO

4

)

の質量%で表された全酸度(7.2.1 参照)

0.816 2

H

2

SO

4

の SO

3

への換算係数

7.2.2.2

硫酸 (H

2

SO

4

として結合している水の求め方  質量%で表された硫酸として結合している水 C

は,次の式によって与えられる。

C

=100−B

ここに,

B

:  三酸化硫黄 (SO

3

)

の質量%で表された全酸度(7.2.2.1 参照)

7.2.2.3

硫酸 (H

2

SO

4

含有率の求め方  質量%で表された硫酸含有率 は,次の式によって与えられる。

D

C×5.444

ここに,

C

質量%で表された硫酸としての結合水(7.2.2.2 参照)

5.444

H

2

O

の H

2

SO

4

への換算係数

質量%で表された発煙硫酸の遊離三酸化硫黄 (SO

3

)

含有率は,次の式で与えられる。

100

D

ここに,

D

:  質量%で表された硫酸含有率(7.2.2.3 参照)

8.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法

c)

定量のとき気の付いた特異な事項

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作


53

K 1321-1994

ISO 911

  工業用硫酸−密度測定による硫酸濃度の求め方

1.

概要及び適用範囲  この国際規格は,密度の測定によって工業用硫酸の硫酸濃度 (H

2

SO

4

)

の概略を求

める方法を規定する。

2.

原理  浮ひょうによって,20℃における密度を測定し,それに対応する硫酸 (H

2

SO

4

)

濃度を求める。

3.

装置  通常の実験装置及び次に示すもの。

3.1

浮ひょう  1 目盛 0.005g/ml で,20℃で校正されたもの(ISO/R 649 参照)。

3.2

ガラス製試験管  容量 500ml 以上,直径は浮ひょう(3.1)よりも 25mm 以上大きいもので,高さは浮

ひょうよりも 25mm 以上高いもの。

4.

操作

4.1

密度の測定  ガラス製試験管(3.2)中に試験用試料約 500ml を入れる。試験管内容物の温度を 20±

0.5

℃に調整する。

浮ひょう(3.1)を沈め,静止平衡に達したならば直ちに酸の温度が 20±0.5℃であることを再度確認する。

浮ひょうのスケール上の密度目盛を読む。

4.2

硫酸 (H

2

SO

4

濃度の求め方  表から浮ひょうの指示した密度に対応する濃度を読む。

5.

結果の表示  浮ひょうで読んだ密度を g/ml で表し,対応する硫酸 (H

2

SO

4

)

濃度を

表から求める。

6.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法

c)

定量のとき気の付いた特異な事項

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作


54

K 1321-1994

表  硫酸水溶液の密度と濃度の関係

密度

H

2

SO

4

密度

H

2

SO

4

密度

H

2

SO

4

密度

H

2

SO

4

20

20

℃  20℃

20

g/ml %

(m/m) g/ml %

(m/m) g/ml %

(m/m) g/ml %

(m/m)

1.000  0.3  1.205 28.3 1.410 51.5 1.615 70.4

1.005  1.0  1.210 28.9 1.415 52.0 1.620 70.8

1.010  1.7  1.215 29.6 1.420 52.5 1.625 71.2

1.015  2.5  1.220 30.2 1.425 53.0 1.630 71.7

1.020  3.2  1.225 30.8 1.430 53.5 1.635 72.1

1.025  4.0  1.230 31.4 1.435 54.0 1.640 72.5

1.030  4.7  1.235 32.0 1.440 54.5 1.645 72.9

1.035  5.5  1.240 32.6 1.445 55.0 1.650 73.4

1.040  6.2  1.245 33.2 1.450 55.4 1.655 73.8

1.045  7.0  1.250 33.8 1.455 55.9 1.660 74.2

1.050

7.7 1.255 34.4 1.460 56.4 1.665 74.6

1.055

8.4 1.260 35.0 1.465 56.9 1.670 75.1

1.060

9.1 1.265 35.6 1.470 57.4 1.675 75.5

1.065

9.8 1.270 36.2 1.475 57.8 1.680 75.9

1.070 10.6 1.275 36.8 1.480 58.3 1.685 76.3

1.075 11.3 1.280 37.4 1.485 58.8 1.690 76.8

1.080 12.0 1.285 37.9 1.490 59.2 1.695 77.2

1.085 12.7 1.290 38.5 1.495 59.7 1.700 77.6

1.090 13.4 1.295 39.1 1.500 60.2 1.705 78.1

1.095 14.0 1.300 39.7 1.505 60.6 1.710 78.5

1.100 14.7 1.305 40.2 1.510 61.1 1.715 78.9

1.105 15.4 1.310 40.8 1.515 61.5 1.720 79.4

1.110 16.1 1.315 41.4 1.520 62.0 1.725 79.8

1.115 16.7 1.320 41.9 1.525 62.4 1.730 80.2

1.120 17.4 1.325 42.5 1.530 62.9 1.735 80.7

1.125 18.1 1.330 43.1 1.535 63.4 1.740 81.2

1.130 18.8 1.335 43.6 1.540 63.8 1.745 81.6

1.135 19.4 1.340 44.2 1.545 64.3 1.750 82.1

1.140 20.1 1.345 44.7 1.550 64.7 1.755 82.6

1.145 20.7 1.350 45.3 1.555 65.1 1.760 83.1

1.150 21.4 1.355 45.8 1.560 65.6 1.765 83.6

1.155 22.0 1.360 46.3 1.565 66.0 1.770 84.1

1.160 22.7 1.365 46.9 1.570 66.5 1.775 84.6

1.165 23.3 1.370 47.4 1.575 66.9 1.780 85.2

1.170 23.9 1.375 47.9 1.580 67.3 1.785 85.7

1.175 24.6 1.380 48.4 1.585 67.8 1.790 86.3

1.180 25.2 1.385 49.0 1.590 68.2 1.795 87.0

1.185 25.8 1.390 49.5 1.595 68.7 1.800 87.7

1.190 26.5 1.395 50.0 1.600 69.1 1.805 88.4

1.195 27.1 1.400 50.5 1.605 69.5 1.810 89.2

1.200 27.7 1.405 51.0 1.610 70.0 1.815 90.1

備考  この表に示すデータは,International Critical Table, Vol.3, p.56 のデータを内挿して得た。


55

K 1321-1994

ISO 914

  工業用硫酸及び発煙硫酸−全窒素含有率の定量−蒸留後滴定法

1.

概要  この国際規格は,工業用硫酸及び発煙硫酸の全窒素含有率を定量するための蒸留後滴定法を規

定する。

2.

原理  試料中に存在する窒素を発生期の水素によってアンモニアに転化させる。蒸留し,アンモニア

を過剰の標準硫酸溶液に吸収させ,指示薬の存在で標準水酸化ナトリウム溶液を用い逆滴定する。

3.

試薬  分析の際は,分析級と認められた試薬だけを用い,蒸留水又はそれに相当する純水だけを用い

る。

3.1

デバルダ合金 (Al 45%Cu 50%Zn 5%)    粒径 0.2∼0.3mm

3.2

水酸化ナトリウム  250g/溶液

3.3

過マンガン酸カリウム  10g/溶液

3.4

硫酸  0.1N 標準溶液

3.5

水酸化ナトリウム  0.1N 標準溶液

3.6

混合指示薬  エタノール溶液

メチルレッド 0.1g を 95% (V/V) エタノール約 50ml に溶解し,メチレンブルー0.05g を加える。溶解後

同じエタノールを用いて 100ml に薄め,混合する。

3.7

リトマス紙(赤)

4.

装置  通常の実験装置及び次に示すもの。

4.1

重量ピペット  容量約 60ml,すり合せガラス栓付。

4.2

蒸留装置  球形すり合せガラスジョイント付が望ましい,又は定量的蒸留及び吸収が確実な装置。

例えば,この装置は,次のものからなる(

図参照)。

4.2.1

蒸留フラスコ (A)   容量 1 000ml,すり合せジョイント付

4.2.2

しぶき止め (B)   すり合せジョイント付,入口と出口に平行に内部には容量 50ml の円筒形滴下漏

斗をよう着する。

4.2.3

リービッヒコンデンサー (D)   有効長さ約 400mm,入出口にすり合せジョイント付

4.2.4

コニカルフラスコ (E)   容量 500ml,2 個の側球の付いたすり合せ受けジョイント付

4.2.5

ばねばさみ (F)

5.

操作(

1

)

(

1

)

この操作は,4.2に規定した装置について記してあるので,他の装置を使用するときは修正が必

要である。

5.1

試験用試料及び試験溶液の調製  質量ピペット(4.1)に試験用試料を満たし,差から試料約 50g を

0.01g

のけたまで量り取る。

温度が 40℃以下となるように冷却し,適宜の容量のビーカー内に入れた砕いた氷の上に試料を徐々に注

ぐ。


56

K 1321-1994

溶液は 100ml 全量フラスコに移し入れ,標線まで薄め,混合する。

この溶液 50.0ml を滴下漏斗 (C) を通して蒸留フラスコ (A) に移し入れる。

滴下漏斗 (C) を少なくとも 80ml の水を用いて洗い,洗液は蒸留フラスコ (A) に集める。

5.2

空試験  定量の際用いたのと同じ操作に従い,同量の氷及び試料以外は同じ試薬を用いて,定量と

同時に空試験を行う。

5.3

定量

5.3.1

装置の附属品  図に示すように,装置の各部を連結し,装置のジョイントにはシリコングリースを

塗る。標準硫酸(3.4)50.0ml をコニカルフラスコ (E) に移し入れる。

5.3.2

試料の酸化と中和  滴下漏斗 (C) から蒸留フラスコ (A) に十分な量の過マンガン酸カリウム溶

(3.3)を加え,溶液が数分間ピンク色を保つようにする。

蒸留フラスコ (A) を冷却し,混合指示薬溶液(3.6)2 滴を加え,滴下漏斗 (C) から水酸化ナトリウム溶液

(3.2)

を加えて中和する。蒸留フラスコ (A) を取り外し,その中にデバルダ合金(3.1)約 1g を加え,できる

だけ速やかに装置を再連結する。

5.3.3

蒸留  滴下漏斗 (C) から蒸留フラスコ (A) に水酸化ナトリウム溶液(3.2)25ml を加え,タップの上

に少なくとも数 ml の液が残るように注意する。注意して静かに煮沸させる。

1

秒間に 1 滴の割合で約 150ml を蒸留する。コニカルフラスコ (E) 内の液が約 200ml となったとき,留

出液の中性度をチェックする(この目的のため,留出液 1 滴をリトマス試験紙(3.7)上に落としたとき変色

してはならない。

加熱を止め,滴下漏斗 (C) のタップを開き,しぶき止め (B) を取り外しコンデンサー (D) を注意して

洗い,洗液はフラスコ (E) に集める。最後にフラスコ (E) を取り外す。

5.3.4

滴定  フラスコ (E) 及び 2 個の測球内の溶液を注意して混合し,混合指示薬(3.6)数滴を加え,標

準水酸化ナトリウム溶液(3.5)を用いて過剰の標準硫酸溶液(3.4)を逆滴定する。

滴定の際は注意してかき混ぜ,溶液が完全に混合するようにする。

6.

結果の表示  窒素 (N) の質量%で表示された全窒素含有率は,次の式で与えられる。

m

V

V

m

V

V

)

(

28

.

0

100

50

100

4

001

.

0

)

(

2

1

2

1

×

×

×

ここに,

V

1

空試験のためフラスコ (E) 内の過剰の標準硫酸溶液(3.4)
の逆滴定に使用した標準水酸化ナトリウム溶液(3.5)の容
量 (ml)

V

2

定量のためフラスコ (E) 内の過剰の標準硫酸溶液(3.4)
逆滴定に使用した標準水酸化ナトリウム溶液(3.5)の容量 
(ml)

m

試料(5.1)の質量 (g)

0.001 4

1N

硫酸溶液 1ml の窒素相当量 (g)

備考  標準溶液の濃度が試薬の項に規定したとおり正確でないときは,適切な修正を行わなければな

らない。

7.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法


57

K 1321-1994

c)

定量のとき気の付いた特異な事項

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作

図  代表的蒸留装置


58

K 1321-1994

ISO 2363

  工業用硫酸及び発煙硫酸−窒素酸化物の定量− 

2, 4

−キシレノール分光光度法

1.

概要  この国際規格は,工業用硫酸及び発煙硫酸中の窒素酸化物を定量するための 2, 4−キシレノー

ル分光光度法を規定する。

2.

適用範囲  この方法は,0.000 02% (m/m)  以上の窒素 (N) として表示した窒素酸化物の定量に適用す

る。

3.

参考  ISO 910  工業用硫酸及び発煙硫酸−全酸度及び発煙硫酸の遊離 SO

3

含有率の計算−滴定法

4.

原理  過マンガン酸カリウムによって亜硝酸態窒素を硝酸態窒素に酸化する。

規定した条件下で,硝酸態窒素は,2, 4−キシレノールと反応して硝酸塩誘導体を形成する。硝酸塩誘導

体を蒸留し,水酸化ナトリウム溶液に吸収させる。波長約 445nm において黄色を呈したニトロフェノール

を分光光度定量する。

5.

試薬  試験には蒸留水又はそれに相当する純水を用いる。

5.1

酢酸水銀 (II) [Hg (CH

3

COO) 

2

5.2

硫酸  密度約 1.84g/ml,96% (m/m)  又は約 36N(窒素酸化物を含まないもの。)

窒素酸化物を完全に除去するために,次のように操作する。密度 1.84g/ml の硫酸 80ml を水約 20ml に注

意して加え,白煙が発生するまで加熱する。冷却し希釈と加熱を 2 回繰り返す。

5.3

2, 4

−キシレノール溶液  10g/酢酸溶液

密度 1.05g/ml,

約 17.4N 氷酢酸溶液に 2, 4−キシレノール 1g を溶解し,

同じ酸を用いて 100ml に薄める。

この溶液は,使用の都度調製する。

5.4

過マンガン酸カリウム  約 0.1N 溶液

過マンガン酸カリウム 3.16g を水に溶解し,1 000ml に薄める。

5.5

水酸化ナトリウム  約 2N 溶液

水酸化ナトリウム 80g を水に溶解し,冷却した後,1 000ml 全量フラスコに移し入れる。標線まで薄め,

混合する。

5.6

過酸化水素  1g/溶液

5.7

硝酸カリウム  窒素 (N) 含有率 0.500g/の標準溶液

あらかじめ 120℃で乾燥し,デシケータ中で冷却した硝酸カリウム 3.609g を 1mg まで量り取る。1 000ml

全量フラスコに入れ,少量の水で溶解し,標線まで薄め,混合する。

この標準溶液 1ml は,窒素 (N) 500

µg を含む。

5.8

硝酸カリウム  窒素 (N) 含有率 0.050g/の標準溶液

標準硝酸カリウム溶液(5.7)50.0ml を取り,500ml 全量フラスコに移し入れ,標線まで薄め,混合する。

この標準溶液 1ml は,窒素 (N) 50

µg を含む。


59

K 1321-1994

6.

装置  通常の実験装置及び次に示すもの。

6.1

質量ピペット  容量約 50ml,すり合せガラス栓付。

6.2

水浴  35±1℃に調節できるもの。

6.3

蒸留装置  円錐形すり合せガラスジョイント付,例えば,次の部品からなる(図参照)。

6.3.1

蒸留フラスコ  250ml(すり合せジョイント付)

6.3.2

傾斜回収ベンド  75°(すり合せジョイント付)

6.3.3

リービッヒコンデンサ  水循環,有効長さ約 450mm(すり合せジョイント付)で,傾斜回収ベン

(6.3.2)と連結する。

6.4

分光光度計

7.

操作

7.1

試料及び試験溶液の調製  重量ピペット(6.1)に試験用試料を満たし,試料約 20g を 0.1g のけたまで

量り取る。

発煙硫酸(

1

)

又は濃度 75% (m/m)  を超える硫酸の場合は,試料を蒸留フラスコ(6.3.1)内の砕いた氷の上に

注ぎ入れ,

生成する溶液の濃度が約 75% (m/m)  となるような氷の量を計算しておく。

硫酸濃度が 75% (m/m)

以下の場合は,試料を蒸留フラスコ(6.3.1)内に移し入れ,最終溶液濃度が約 75% (m/m)  となるのに必要な

量の硫酸溶液(5.2)を加える。この操作の際,酸混合物の温度は 35℃以下に保つ。

(

1

)

硫酸又は発煙硫酸の全酸度の定量は,ISO 910による。

備考  定量の結果,窒素酸化物の含有率が 0.000 5% (m/m)  を超えたとき又はあらかじめ含有率がこの

限度を超えることが知られているときは,それに従って試料を減じ,硫酸溶液(5.2)を加えるこ

とによって質量を約 20g に調整する。この希釈は,最後の計算において考慮される。

7.2

空試験  試料に相当する量の硫酸溶液(5.2)に置きかえ,分析に用いたのと同量の砕いた氷とすべて

の試薬を用い,同じ操作によって空試験を行う。

7.3

検量線の作成  検量線上の各点に対し,蒸留によって標準溶液を調製する(7.3.1.2 参照)。

7.3.1

光路長さ 4cm を用いる分光光度測定標準溶液の調製。

7.3.1.1

希釈溶液の調製  10 個の 100ml 全量フラスコ中に,次の容量の標準窒素溶液(5.8)をそれぞれ取る。

窒素標準溶液(5.8)の容量  ml

対応する窒素 (N) の質量

µg

0

*

 0

2.0 100

4.0 200

6.0 300

8.0 400

10.0 500

12.0 600

14.0 700

16.0 800

20.0 1

000

*

対照溶液

各溶液を標線まで薄め,混合する。

7.3.1.2

各希釈溶液の蒸留  各希釈溶液(7.3.1.1)に対し,次のように操作する。水と氷の浴中に蒸留フラ

スコ(6.3.1)を置き,フラスコ内に希釈溶液(7.3.1.1)の 1 個を 10.0ml と酢酸水銀 (II) (5.1)(

2

)

0.200g

を加える。


60

K 1321-1994

(

2

)

酢酸水銀 (II) の添加は,塩化物の妨害を避けるのに必要なことが認められた。

次いで,硫酸溶液(5.2)20ml を常に温度が 35℃以下を保つように極めて徐々に,少量ずつかき混ぜながら

加える。水浴からフラスコを取り出し,2, 4−キシレノール溶液 1ml を加え,かき混ぜた後,フラスコを

35

±1℃に調節した水浴(6.2)中に入れる。30 分後に,容量が約 120ml となるのに必要な量の水をフラスコ

に加える。

蒸留装置にフラスコを連結し,加熱して沸騰させ,あらかじめ水酸化ナトリウム溶液(5.5)10ml を入れた

100ml

全量フラスコ中に,約 15 分間で 60ml の留出液を集める。容量約 60ml が集まったとき,コンデンサ

の水の循環を止め,更に数 ml 蒸留する。留出液の入ったフラスコは室温まで冷却し,標線まで薄め,混

合する。

集められ 100ml に薄められた留出液の窒素含有量は,次のとおりである。0, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80

及び 100

µg。

7.3.2

分光光度測定  対照溶液に対して装置をゼロ吸収に調整した後,波長約 455nm で分光光度計(6.4)

を用い測定を行う。

7.3.3

検量線図の作成  例えば,標準比色溶液 100ml 中に含まれる窒素 (N) 量を横軸に,それに対応す

る吸光度を縦軸にグラフをプロットする。

7.4

定量

7.4.1

蒸留  試験溶液(7.1)を入れた蒸留フラスコに酢酸水銀 (II) (5.1)0.200g 及び数分間安定なピンクの

着色を得るのに必要な量の過マンガン酸カリウム溶液(5.4)を加える。次いで,過酸化水素溶液(5.6)数滴を

加えることによって退色させ,2, 4−キシレノール溶液(5.3)1ml を加え,かき混ぜ,フラスコを 35±1℃に

調節した水浴(6.2)中に入れる。

30

分後にフラスコの内容物を水で約 120ml に薄める。

フラスコを蒸留装置に連結し,

加熱して沸騰させ,

あらかじめ水酸化ナトリウム溶液(5.5)10ml を入れた 100ml 全量フラスコ中に,約 15 分間で 60ml の留出液

を集める。容量約 60ml が集まったとき,コンデンサの水循環を止め,更に数 ml 蒸留する。

留出液を入れたフラスコは室温まで冷却し,標線まで薄め,混合する。

7.4.2

分光光度測定  装置を空試験溶液(7.2)に対してゼロ吸収に調整した後,7.3.2 に記したように分光

光度測定を行う。

8.

結果の表示  検量線図(7.3.3)によって,分光光度測定値に対応する窒素 (N) を定量する。窒素 (N) で

表示した窒素酸化物の含有率は,次の式によって質量%で与えられる。

0

1

100

m

m

×

ここに,

m

0

試料量り取り量 (g)

m

1

得られた窒素量 (g)

9.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法

c)

定量のとき気の付いた特異な事項

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作


61

K 1321-1994

図  代表的蒸留装置


62

K 1321-1994

ISO 2717

  工業用硫酸及び発煙硫酸−鉛含有率の定量−ジチゾン光度法

1.

概要  この国際規格は,工業用硫酸及び発煙硫酸の鉛含有率を定量するためのジチゾン光度法を規定

する。

2.

適用範囲  この方法は,1mg/kg を超える鉛 (Pb) 含有率の定量に適用する。

3.

原理  試料を蒸発し,塩酸に溶解し,塩化ヒドロキシルアンモニウムによって還元する。くえん酸ア

ンモニウムとシアン化カリウムは,妨害元素の錯化合物を形成する。ジチゾンのクロロホルム溶液によっ

て,pH8.5∼10 において鉛を抽出する。シアン化カリウムのアンモニア性溶液によって過剰のジチゾンを

除去する。

波長約 520nm でクロロホルム溶液中のジチゾン鉛を光度定量する。

4.

試薬  試験には蒸留水又はそれに相当する純水を用いる。

4.1

クロロホルム  すり合せジョイント付ほうけい酸ガラス製装置で再蒸留,密度 1.471∼1.474g/ml

4.2

塩酸  密度 1.19g/ml,約 38% (m/m)  溶液又は約 12N

4.3

くえん酸アンモニウム [HOCCOOH (CH

2

COONH

4

2

  100g/溶液

溶液の精製  溶液 100ml に,試験紙(4.11)でチェックしながら,pH 値が 8.5∼10 となるまで密度約 0.91g/ml

のアンモニア溶液を加える。溶液を分液漏斗に移し入れ,ジチゾン溶液(4.7)10ml を加え,はげしく振る。

分離し,

有機層を抜き出して捨てる。緑が残るまで毎回 5ml のジチゾン溶液(4.7)を用いて抽出を繰り返す。

分離し,有機層を抜き出して捨てる。

4.4

シアン化カリウム  50g/溶液(6.の警告参照).

4.5

塩化ヒドロキシルアンモニウム  100g/溶液

4.6

アンモニア  約 5N 溶液

備考  溶解している鉛によって,空試験によって得られた値が非常に高くなることを避けるため,新

たに調製した溶液を用いなければならない。実際に,希アンモニアは濃アンモニアよりも速や

かにガラス中に含まれる鉛を溶出する。

4.7

ジチゾン  0.025g/クロロホルム溶液

満足な品質のジチゾンが得られないときは,4.7.1 に記す方法によって精製することができる。

4.7.1

ジチゾンの精製  クロロホルム(4.1)75ml にジチゾン(ビフェニルチオカルバゾン)1g を溶解する。

溶液をろ過し,ろ液は 250ml 分液漏斗に集める。約 0.2N アンモニア溶液 100ml を加え,はげしく振る。

有機層を抜き,他の分液漏斗に集め,毎回約 0.2N アンモニア溶液 100ml を用いて同じ操作を更に 3 回繰

り返す(ジチゾンは,アルカリ性水層に移り,オレンジに呈色させ,一方,酸化生成物は有機層に残り,

多かれ少なかれ強烈な赤黄色を呈する。

有機層を捨て,オレンジ色の水抽出物を合わせ,これをろ過して 1 000ml ビーカーに移し入れる。

二酸化硫黄の飽和溶液を用い,わずかに酸性とすることによってジチゾンを沈殿させる。沈殿を沈降さ

せ,溶融ガラスるつぼでろ過し,酸の反応がなくなるまで水洗する。沈殿は,密度約 1.84g/ml の濃硫酸を

用いる真空暗色デシケータ中で 3∼4 日間乾燥する。乾燥した固形生成物を手早く粉砕し,速やかに小形暗


63

K 1321-1994

色ガラス瓶に移し入れる。このように精製し,かつ,太陽の直射を避けて貯蔵したジチゾンは,少なくと

も 6 か月間は保存できる。

4.7.2

溶液の調製  使用の直前に精製ジチゾン(4.7.1)25mg を 1mg まで量り取り,1 000ml 全量フラスコに

移し入れ,クロロホルム(4.1)に溶解し,同じクロロホルム(4.1)を用いて標線まで薄め,混合する。

この溶液は,乾燥した暗色ガラスの気密瓶に貯える。

4.8

シアン化カリウム  1g/アンモニア性溶液(6.の警告参照)

シアン化カリウム溶液(4.4)20ml を 1 000ml 全量フラスコに移し入れる。水で薄め,密度約 0.88g/ml アン

モニア溶液 10ml を加え,標線まで薄め,混合する。

4.9

標準鉛溶液  鉛 1 000g/相当。あらかじめ 105℃で乾燥し,デシケータ中で冷却した硝酸塩 [Pb (NO

3

)

2

] 1.600g

を 0.001g まで量り取り,適宜の容量のビーカーに入れる。少量の水と密度約 1.40g/ml の硝酸溶液

1ml

に溶解する。この溶液は,1 000ml 全量フラスコに定量的に移し入れ,標線まで薄め,混合する。

この標準溶液 1ml は,Pb1mg を含む。

4.10

標準鉛溶液  鉛 0.010g/相当

標準鉛溶液(4.9)10.00ml を 1 000ml 全量フラスコに移し入れ,密度約 1.40g/ml の硝酸溶液 1ml を加え,標

線まで薄め,混合する。

この標準溶液 1ml は,Pb10

µg を含む。

この溶液は,使用の都度調製する。

4.11

  pH

試験紙  8.5∼10 の範囲をカバーするもの。

5.

装置

備考  試薬瓶を含むすべてのガラス器具は,ほうけい酸ガラス又はその他の品質の鉛を含まないガラ

スとするか若しくは代替品としてプラスチック材料も使用される。これは約 7N の硝酸溶液で

洗い,3 回水洗する。

通常の実験装置及び次に示すもの。

5.1

重量ピペット  容量約 60ml,すり合せガラス栓付。

5.2

ビュレット  容量 25ml,0.05ml の目盛付(ISO/R385 参照)。

5.3

分光光度計

5.4

光電吸光計  500∼540nm の間に最大透過率をもつフィルター付。

6.

操作

警告  シアン化カリウムは,極めて有毒であるから,必要なあらゆる注意をもって取り扱わなければな

らない。特に,シアン化水素を遊離させるときを除いて,シアン化物を含む溶液に酸を加えないこと。

6.1

試料  重量ピペット(5.1)に試験用試料を満たし,差から試料約 50g を 0.02g まで量り取る。試料を適

当な容量,例えば,250ml のビーカーに移し入れる。

6.2

空試験  定量に用いたのと同量の試薬を用い,空試験,定量及び検量線の作成について同じ操作に

よって,空試験を平行して行う。

6.3

検量線の作成

6.3.1

1cm

セルを用いる光度測定に対する標準溶液列の作成  容量 100ml のすり合せガラス栓付分液漏

斗 11 個に,水 10ml と次表に示す量の標準鉛溶液(4.10)とをビュレット(5.2)で計量して加える。


64

K 1321-1994

標準鉛溶液(4.10)ml

相当する Pb の質量

µg

0

*

 0

1.0 10

2.0 20

3.0 30

4.0 40

5.0 50

6.0 60

7.0 70

8.0 80

9.0 90

10.0 100

*

対照溶液

これらの各溶液は,次のように処理する。

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(4.5)1ml 及びくえん酸アンモニウム溶液(4.3)10ml を加え,試験紙

(4.11)

でチェックしながらアンモニア溶液(4.6)を滴加することによって pH8.5∼10 の間に調整する。シアン

化カリウム溶液(4.4)2ml を加えて振り,ジチゾン溶液(4.7)5ml を加え,1 分間はげしく振ってジチゾン鉛を

抽出する。分離して有機層を抜き,50ml 全量フラスコに集める。最後のジチゾン溶液が,かき混ぜた後緑

を保つまで,ジチゾン溶液(4.7)5ml を連続的に用いて抽出を続ける。抜いた各有機層は,緑を呈する部分

を含めて同じ 50ml 全量フラスコに集める。有機層をクロロホルム(4.1)を用いて標線まで薄め,混合する。

有機層中に存在する過剰のジチゾンを除くため,ジチゾンの黄色が消失するまで,毎回 5ml のアンモニ

ア性シアン化物溶液(4.8)を用い,最少の操作数で抽出を行う。次いで,明るいピンク色を呈する有機層を

抜き,乾燥し酸洗いしたろ紙に通し,ろ液を乾燥した容器に集める。

備考  ジチゾン塩は,紫外線に特に敏感であるから,太陽光及び蛍光から保護しなければならない。

6.3.2

光度測定  吸収曲線の最大(波長約 520nm)で分光光度計(5.3)を用いるか又は適当なフィルター付

の光電吸光計(5.4)を用いて光度測定を行う。いずれの場合も,計器は対照溶液に対しゼロ吸収に調整する。

6.3.3

検量線図の作成  例えば,

µg/50ml 標準溶液列で表した鉛 (Pb) 含有率を横軸に取り,相当する吸

光度を縦軸に取ってグラフをプロットする。

6.4

定量

6.4.1

試験溶液の調製  試料(6.1)を入れたビーカーを砂浴上に置き,換気のよいドラフト内で注意しなが

ら蒸発乾固する。冷却し,塩酸溶液(4.2)2ml と水 25ml を加え,静かに加温して完全に溶解させる。放冷し,

溶液は適宜の容量の全量フラスコに定量的に移し入れ,標線まで薄め,混合する。

6.4.2

ジチゾン鉛の抽出  予想される鉛の含有率に応じて Pb10∼100

µg を含む試験溶液(6.4.1)を分取し,

適宜の容量の分液漏斗に移し入れる。次いで,標準溶液調製のため,6.3.1 に示すとおり,表の次の文節か

ら定量を進める。

備考  定量すべき Pb 含有率が 1mg/kg のオーダーのときは,ジチゾン鉛の抽出に対し,希釈すること

なく試験溶液全量を使用する。

6.4.3

光度測定  試験溶液及び空試験から導かれたジチゾン鉛のクロロホルム溶液について,6.3.2 に記

した方法によって,計器をクロロホルム(4.1)に対してゼロ吸収に調整した後,光度測定を行う。

7.

結果の表示  検量線(6.3.3)によって,光度測定の値に相当する鉛の量を求める。


65

K 1321-1994

鉛 (Pb) 含有率 mg/kg は,次の式によって与えられる。

0

2

1

)

(

m

D

m

m

×

ここに,

m

0

試料量り取り量 (g)

m

1

分取した試験溶液で検出された鉛の質量  (

µg)

m

2

分取した空試験溶液で検出された鉛の質量  (

µg)

D

試験溶液の分取比

8.

操作上の注意  分析に使用するすべてのクロロホルムは再生するのがよい。この目的のため,試験に

用いた有機層すべてを集め,塩酸の水溶液を用いて振ることによって鉛を除去する。次いで,アンモニア

溶液を用いて振ることによってジチゾンを除去する。

クロロホルムが無色となるまでこの操作を繰り返し,

次いで,水を用いて振ることによって洗浄し,最後に,少量の五酸化りんの存在で,すり合せガラスジョ

イント付のほうけい酸ガラス製装置で蒸留する。沸点は 61.2℃である。

9.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法

c)

定量のとき気の付いた特異な事項

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作


66

K 1321-1994

ISO 3423

  工業用硫酸及び発煙硫酸−二酸化硫黄含有率の定量− 

よう素滴定法

1.

概要及び適用範囲  この国際規格は,工業用硫酸及び発煙硫酸の二酸化硫黄含有率定量のためのよう

素滴定法を規定する。この方法は,二酸化硫黄含有率が 2mg/kg 以上の製品に適用する。

備考  二酸化硫黄含有率 50mg/kg 以上のときは,ISO/R 912 参照(訳者注:この ISO/R は,1981 年廃

止)

2.

原理  試料中に存在する二酸化硫黄を純窒素流によって置換し,既知容量のよう素溶液に吸収させる。

過剰のよう素を標準チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。

3.

試薬  分析の際は,分析試薬級と認められた試薬及び蒸留水又はそれに相当する純水だけを使用する。

3.1

硫酸ヒドラジン

3.2

よう素  約 1N,0.05N 又は 0.01N 溶液,必要に応じて使用(5.3 参照)。

この溶液は,使用の都度調製する。

3.3

チオ硫酸ナトリウム  0.1N,0.05N 又は 0.01N 標準溶液,必要に応じて使用。

この溶液は,使用の都度調製する。

3.4

でんぷん  5g/溶液。

3.5

窒素  酸素含有率 0.001%以下のもの。

窒素シリンダからの減圧弁は,塩化チタン (III) 150g/溶液を入れたガス洗浄瓶に連結することが推奨さ

れる。

3.6

砕いた氷  蒸留水又はそれに相当する純水から調製する。

4.

装置  通常の実験装置及び次に示すもの。

4.1

ガラス製装置  すり合せジョイント付,次のものからなる(図の例参照)。

A

: 三口フラスコ,容量 500ml 又は 250ml

B

: 円筒形滴下漏斗,フラスコの 2 個の横口の 1 個に連結

C

:  チューブ,ストップコック付,フラスコの中央口に連結し,フラスコ底部上約 1cm のレベルの末端に

溶融ガラス板付。

D

1

D

2

D

3

: 3 個のガス洗浄瓶,ドレクセル形,容量 100∼125ml で端部にガス分散のための溶融ガラス付

[気孔率 P16(気孔直径 4∼16

µm)]

4.2

ガラス製フラスコ  すり合せガラス栓付。

4.3

流量計又は泡カウンター

5.

操作

5.1

試料  フラスコ又は重量ピペット(4.2)に試験用試料を満たし,差から試料約 200g を 0.05g まで量り

取る。


67

K 1321-1994

試料が密度約 1.70g/ml 以上の硫酸又は発煙硫酸の場合は,温度を 10℃以下に保つように冷却しながら,

溶液の密度が約 1.70g/ml となるような量の砕いた氷(3.6)上に,徐々に試験用試料を注ぎ入れる。

5.2

空試験  定量に使用したのと同じ操作に従い,すべて同量の試薬を用いて,定量と平行して空試験

を行う。

5.3

装置の準備  予想される SO

2

含有率に応じて,第 1 のガス洗浄瓶  (D

1

)

に,表に示すように適宜の濃

度のよう素溶液(3.2)50.00ml を取る。

よう素標準溶液に相当する濃度の標準チオ硫酸ナトリウム溶液(3.3)25ml を第 2 と第 3 のガス洗浄瓶  (D

2

,

D

3

)

に分割する。そのとき,必要あれば十分なガス洗浄を確保するために,少量の水を加える。

予想される二酸化硫黄含有率

mg/kg

よう素溶液の濃度

N

2

∼30

約 0.01

>30∼150

約 0.05

>150

約 0.1

備考  D

2

と D

3

の 2 個の瓶は,同伴されるよう素を捕集

するためのものである。

瓶 D

1

を冷水浴中に置き,その後のすべての操作の際,内容物の温度が 10℃以上に上昇しないこと及び

明るい光線に暴露されないことをチェックする。

試料が亜硝酸又は硝酸イオンを含む場合は,フラスコ (A) 中に過剰の硫酸ヒドラジンを入れる。装置の

各部を連結し,窒素(3.5)を急速に流すことによって空気を置換する。

5.4

定量  試験用試料(5.1)を滴下漏斗 (B) を通じてフラスコ (A) 中に注ぎ入れ,流量計又は泡カウンタ

(4.3)によって測定した流量が約 20l/h となるようにして約 3 時間窒素流(3.5)を流す。この時間の最後に,

ガス洗浄瓶 D

1

内によう素の過剰がなお存在しなければならない。

ガス洗浄瓶 D

1

D

2

及び D

3

を取り外し,その内容物を定量的にビーカーに移し入れる。瓶は,数 ml の

水を用いて洗い,洗液はビーカーに集める。過剰のよう素は,でんぷん溶液(3.4)の存在で,適切な標準チ

オ硫酸ナトリウム溶液(3.3)を用いて滴定する。

6.

結果の表示  二酸化硫黄 (SO

2

) mg/kg

で表した二酸化硫黄含有率は,次の式で与えられる。

m

T

V

V

V

V

m

T

×

×

×

)

(

000

32

]

00

.

25

00

.

50

(

)

00

.

25

00

.

50

[(

000

1

32

1

0

0

1

ここに,

m

:  試料量り取り量 (g)

T

:  (3.3)で使用された標準チオ硫酸ナトリウム溶液の正しい規

定度

32

:  正確に 1N の標準チオ硫酸ナトリウム溶液 1ml に相当する二

酸化硫黄 (SO

2

)

の質量 (mg)

V

0

:  空試験に使用した標準チオ硫酸ナトリウム溶液の容量 (ml)

V

1

:  定量に使用した標準チオ硫酸ナトリウム溶液の容量 (ml)

備考  使用した標準溶液の濃度が試薬のリストに規定したとおり正確でないときには,適宜の修正を

行わなければならない。

7.

試験報告  試験報告は,次の事項を含むこと。

a)

使用した方法に関する参照文献

b)

結果及び使用した表示方法

c)

定量のとき気の付いた特異な事項


68

K 1321-1994

d)

この国際規格に含まれないか又は任意と認められる操作

図  ガラス器具の配列

JIS K 1321

改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

久保田  正  明

工業技術院物質工学工業技術研究所

五十嵐  一  美

通商産業省基礎産業局化学肥料室

地  崎      修

工業技術院標準部繊維化学規格課

田  坂  勝  芳

通商産業省通商産業検査所化学部化学工業品課

並  木      昭

財団法人化学品検査協会

宮  田  洋  治

三井東圧肥料株式会社

春  宮  紀  穂

大明化学工業株式会社

林      禎  一

森田化学工業株式会社

湯  村  崇  男

日本化学繊維協会

清  水  洸  一

石原産業株式会社

山  田  富  三

同和鉱業株式会社

池  谷      武

日産化学工業株式会社

木  村      隆

日鉱金属株式会社

市  川  五  朗

住友金属鉱山株式会社

鶴  田  利  行

硫酸協会