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K 1310-1-1 : 2000  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

これによってJIS K 1310 : 1959は廃止され,JIS K 1310-1-1〜JIS K 1310-4に書き換えられる。 

今回の制定は,対応する国際規格に整合させるために,ISO 904 : 1976を基礎として用いた。 

JIS K 1310-1-1 : 2000には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考) 中和滴定法 

附属書2(参考) 試料採取上の注意事項 

JIS K 1310 : 2000は,一般名称を“工業用塩酸”として,次の各部によって構成する。 

第1部 :全酸性度の求め方−第1節:中和滴定法 
第1部 :全酸性度の求め方−第2節:電位差滴定方法 
第2部 :密度測定による塩酸含有量の求め方 
第3部 :鉄含有量の求め方−1, 10−フェナントロリン吸光光度分析方法,電気加熱方式原子吸光分析

方法,高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法 

第4部 :強熱残分の求め方 


 

 

 

日本工業規格          JIS 

 

K 1310-1-1 : 2000 

 

 

工業用塩酸−第1部: 

全酸性度の求め方−第1節: 

中和滴定法 

Hydrochloric acid for industrial use− 

Part 1 : Determination of total acidity−Section 1 : Titrimetric method 

 

 

序文 この規格は,1976年に第1版として発行されたISO 904, Hydrochloric acid for industrial use−

Determination of total acidity−Titrimetric methodを基に,技術的内容を変更することなく作成した日本工業

規格である。また,附属書1(参考)には,従来,日本工業規格で規定していた内容を記述した。 

なお,この規格で点線の下線を施した箇所は,対応原国際規格にない事項である。 

 

1. 適用範囲 この規格は,工業用塩酸の全酸性度の求め方について規定する。 

備考1. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 904 Hydrochloric acid for industrial use−Determination of total acidity−Titrimetric method 

2. 試料採取上の注意事項は附属書2(参考)による。 

 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

 

3. 原理 ブロモクレゾールグリーンを指示薬として水酸化ナトリウム標準溶液で全酸性度を滴定する。 

 

4. 試薬 試薬は,次による。 

分析には,分析用試薬グレイドの試薬とブロモクレゾールグリーンに対して中性である蒸留水又は同等

の純度の水を用いる。 

a) 水酸化ナトリウム 1mol/l水酸化ナトリウムJIS K 8001の(19.)(19.1)によるもの。 

b) ブロモクレゾールグリーン 95% (vol%) エタノールで1g/lに調整したもの。 

 

5. 器具 器具は,次による。 

a) フラスコ 首の部分の直径が約30mmで底が平らなもので,容積が約500mlのフラスコ。 

b) 球形ガラスアンプル 適当な形と内容積の球形ガラスアンプル。例えば,キャピラリー部分の長さが

約50mmで,球形部分の直径が約20mm(図1を参照)のもの。 


K 1310-1-1 : 2000  

c) コニカルフラスコ 底が平らなもので,容積が約500mlのフラスコ。 

 

6. 操作 操作は,次のとおり行う。 

6.1 

サンプル採取方法及びサンプル採取量 

a) 5.a)のフラスコの首の部分までサンプルを入れる。 

b) あらかじめ0.1mgまで精ひょうした5.b)のガラスアンプルの球形部を炎で軽く温める。 

c) 球形ガラスアンプルのキャピラリーの先端をサンプルが入っている5.c)のフラスコに浸す。 

d) 冷却したガラスアンプルの球形部にサンプルが2/3 (2〜3ml) 入っていることを確認する。 

e) ガラスアンプルを取り出し,キャピラリーの先端をろ紙で注意深くふく。 

f) 

酸素炎中で球形ガラスアンプルのキャピラリー先端部分をふさぐ。 

g) 冷却後ガラスアンプルの先端を水で洗いろ紙でキャピラリーの先端をふく。 

h) ガラスアンプルをひょう量し(0.1mgまで)サンプル採取量を算出する。 

6.2 

滴定 

a) 200mlの冷たい水が入っているコニカルフラスコ5.c)にサンプリングしたガラスアンプル5.b)をコニ

カルフラスコの中に入れる。 

b) コニカルフラスコに栓をして,サンプリングしたガラスアンプルを壊すためにコニカルフラスコを,

振る。 

c) 塩酸蒸気が完全に吸収するまで振る(冷却した状態を保つ)。 

d) コニカルフラスコの栓を取り,栓を水で洗浄しコニカルフラスコ中に入れる。 

e) コニカルフラスコ内をガラス棒でかき回しても塩酸分が残っている可能性があるので、ガラスアンプ

ル及びキャピラリーの破片をかき回し残留塩酸分を流し出す。 

f) 

ガラス棒を取り出し水で洗浄しコニカルフラスコ内に洗浄液を入れる。 

g) 指示薬ブロモクレゾールグリーン溶液4.b)2滴を添加し,黄色から青色に変化するまで1mol/lの水酸

化ナトリウム溶液4.a)で滴定する。 

 

7. 計算 全酸性度は,次の式によって算出する。 

m

V

m

V

C

646

.3

100

03646

.0

 

ここに, 

C: 全酸性度(HClとして) (%)  

 

V: 滴定に要した1mol/l水酸化ナトリウムの量 (ml)  

 

m: 試料の質量 (g)  

0.03646: 1mol/l水酸化ナトリウム1mlの塩酸相当量 (g)  

備考 使用した標準溶液の濃度が正確に1mol/lでないときは補正が必要である。 


K 1310-1-1 : 2000  

 

 

図1 球形ガラスアンプル 


K 1310-1-1 : 2000  

附属書1(参考) 中和滴定法 

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

 

1. 要旨 試料を水で薄めた後,ブロモチモールブルーを指示薬として水酸化ナトリウム溶液で滴定して

塩酸濃度を求める。 

 

2. 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

 

3. 試薬 試薬は次による。 

a) ブロモチモールブルー溶液 (1g/l)  

JIS K 8001の4.4(指示薬)に規定するもの。 

b) 0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液 

JIS K 8001の4.5(19.2)(0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液)に規定するもの。 

 

4. 操作 操作は次のとおり行う。 

a) 水30mlをはかり瓶 (200ml) に入れて0.1mgまで量り,試料約2gを加えて再び0.1mgまで量る。 

参考 試料採取上の注意事項は,附属書2(参考)を参照。 

b) 指示薬としてブロモチモールブルー溶液 (1g/l) を数滴加え,直ちに0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液で

滴定する。だいだいから緑を帯びてはすぐ消えるようになったら1滴ごとによく振り混ぜ,1/2〜1/3

滴を加えて青緑になったときを終点とする。 

 

5. 計算 塩酸は,次の式によって算出する。 

100

01823

.0

W

V

f

A

 

ここに, 

A: 塩酸 (HCl) (%)  

0.01823: 0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液1mlの塩酸相当量 (g)  

 

f: 0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター 

 

V: 試料の滴定に要した0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液の量 (ml)  

 

W: 試料の質量 (g)  

 


K 1310-1-1 : 2000  

附属書2(参考) 試料採取上の注意事項 

この附属書(参考)は,附属書1(参考)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

 

1. 一般的注意事項 

a) 塩酸は,毒物及び劇物取締法によって劇物として規定されているので法規に従い,取り扱いには十分

な注意が必要である。 

b) 試料容器は運搬に適するもので,かつ,容器の破損が起きにくい構造,材質のものとする。 

c) 試料採取作業員には,あらかじめ塩酸取扱い時の危険性を十分に教育し,危険に対する注意を指示し

ておく。 

d) 試料採取は危険を伴うから,必要な保安上の知識をもつ者によって,又は,その監督下で行われなけ

ればならない。 

e) 試料採取作業に当たっては,保護眼鏡(ゴーグル),ゴム手袋,ゴム長靴,防毒マスク,ゴム又は,ビ

ニール衣などの保護具を着装する。 

 

2. 試料採取上の注意事項 

a) 塩酸は腐食性が強いので,取り扱う場合には常に保護具を着用して,作業が終わったならばシャワー

を浴びるか,又は入浴し,食事の直前には顔及び手を洗い,うがいをする。 

b) ミストの発生する場合において自然換気ができないときは,排出装置によって汚染空気を室外に排除

する。 

c) 吸引によって塩酸をサンプリングするときは,安全ピペット,真空パイプなどを使用する。 

d) 塩酸には,爆発性,引火性はないが,各種の金属を侵して水素を発生し,爆発するおそれがあるので,

万一容器の破損に備え,金属,還元性物質,強酸化剤,強塩基,強酸などから離しておくことが望ま

しい。 


K 1310-1-1 : 2000  

JIS K 1310(工業用塩酸試験方法)改正原案作成委員会 構成表 

 

氏名 

所属 

委員会 

分科会 

(委員長) 

松 野 武 雄 

横浜国立大学名誉教授 

○ 

 

 

西 村 英 俊 

通商産業省基礎産業局 

○ 

 

 

大 島 清 治 

通商産業省工業技術院標準部 

○ 

 

 

高 橋 和 夫 

通商産業省製品評価技術センター 

○ 

 

 

中 村   進 

物質工学工業技術研究所計測化学無機分

析研究室 

○ 

 

 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部 

○ 

 

 

神 代   啓 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

 

 

並 木   昭 

財団法人化学品検査協会 

○ 

 

 

吉 田 儀 章 

化成品工業協会技術部 

○ 

 

 

渡 辺 浄 光 

日本石鹸洗剤工業会 

○ 

 

 

堀   定 男 

日本製紙連合会技術環境部 

○ 

 

 

佐 藤 邦 弘 

日本化学工業株式会社生産管理部 

○ 

 

 

湯 村 崇 男 

日本化学繊維協会技術部 

○ 

 

 

一 戸 正 憲 

社団法人日本水道協会工務部 

○ 

 

 

小 野   宏 

旭化成工業株式会社 

○ 

◎ 

 

橋 本 俊 夫 

旭硝子株式会社基礎化学品事業本部 

○ 

○ 

 

安 食 亮 五 

旭化成株式会社川崎工場交換膜営業技術

部 

○ 

○ 

 

大 津 健 治 

ダイソー株式会社生産技術部 

 

○ 

 

新 宮 領 宏 

鐘淵化学工業株式会社高砂工業所化成製

造部 

 

○ 

 

西 尾 圭 司 

日本曹達株式会社研究技術本部 

○ 

○ 

 

鈴 木 邦 彦 

東亜合成株式会社名古屋工場技術部 

 

○ 

 

片 岡   基 

株式会社トクヤマRC統括企画室 

○ 

○ 

 

竹 居 弘 記 

東ソー株式会社環境保安部・品質保証部 

 

○ 

 

藤 井   昇 

鶴見曹達株式会社研究部 

○ 

○ 

 

須 永 忠 典 

日本ソーダ工業会 

○ 

○ 

(事務局) 

三 須   武 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○ 

 

内 田 幹 雄 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○ 

 

宮 越 正 行 

日本ソーダ工業会技術部 

○ 

○ 

 

備考 (◎分科会主査) 

 

(文責 藤井  昇)