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K 0701

:2004

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電気化学

会(ECSJ)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 0701:1995 は改正され,この規格に置き換えられる。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


K 0701

:2004

(2)

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  共通事項

1

4.

  定義

1

5.

  酵素電極の構成及び測定方法

2

5.1

  酵素電極の構成

2

5.2

  測定方法 

2

6.

  電源

2

7.

  性能

3

8.

  構造

3

8.1

  構造一般 

3

8.2

  構成

3

8.3

  検出部

4

8.4

  増幅部・制御部

4

8.5

  指示部

4

8.6

  緩衝液等供給部

4

8.7

  廃棄部

4

8.8

  附属装置 

4

9.

  試験

4

9.1

  試薬

4

9.2

  試験条件 

4

9.3

  試験方法 

5

10.

  表示

5

11.

  取扱説明書 

5

 


日本工業規格

JIS

 K

0701

:2004

グルコース計測器

Glucose analyzer

1. 

適用範囲  この規格は,試料,例えば,血液,尿,発酵液,食品などに含まれるグルコース濃度を測

定するための計測器(以下,計測器という。

)について規定する。この規格は,グルコースオキシダーゼ又

はグルコースデヒドロゲナーゼを用いた酵素電極法に基づく機器,すなわち,次のいずれかの酵素

−  グルコースオキシダーゼ

−  グルコースデヒドロゲナーゼ

及びその反応を電気化学的に検知する次のいずれかの電極と

−  酸素電極

−  過酸化水素電極

−  還元形電子メディエータの酸化に基づく電流を計測する電極

を組み合わせた機器に適用する。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1302

  絶縁抵抗計

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0213

  分析化学用語(電気化学部門)

JIS K 0803

  溶存酸素自動計測器

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 9809

  生化学試薬−D(+)-グルコース

JIS Z 8103

  計測用語

3. 

共通事項  共通事項は,JIS K 0050 及び JIS K 8001 による。

4. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211JIS K 0213 及び JIS Z 8103 によるほか,次

による。

a) 

グルコースオキシダーゼ  グルコース(D-グルコース)の異性体の一つであるβ−体(β-D-グルコー

ス)を水素の受容体の存在下で酸化して D-グルコノ-δ-ラクトンを与える反応の触媒となる酵素。生

理的条件下では,水素の受容体として酸素が利用され,酸素は酵素反応の結果,過酸化水素となる。

参考  国際生化学連合の採択によるコード番号では EC 1.1.3.4 に分類されている。


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b)

グルコースデヒドロゲナーゼ  D-グルコースを水素の受容体の存在下で酸化して D-グルコノラクト

ンを与える反応の触媒となる酵素。水素の受容体としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ピ

ロロキノリンキノンなどを利用する酵素がある。

参考  国際生化学連合の採択によるコード番号では,D-グルコノ-δ-ラクトンを生成するもので,ニ

コチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用するものは,EC 1.1.1.47,又ピロロキノリンキノ

ンを利用するものは,EC 1.1.99.17 に分類されている。

c)

酵素電極  酵素と,酵素反応に関与する物質の電気化学検出を行う電極とを組み合わせて構成される

もの。

d)

酸素電極  JIS K 0803:1995 の 7.3(1)に規定する溶存酸素の電解分析用電極。

e)

過酸化水素電極  過酸化水素の電解分析用電極。

f)

電子メディエータ  酸化還元酵素又は酸化還元機能分子と電極との間の電子移動を仲介する物質。

5. 

酵素電極の構成及び測定方法

5.1 

酵素電極の構成

5.1.1 

酵素電極における酵素の保持方法の種類  酵素電極における酵素の保持方法は,次のいずれかによ

る。

a) 

電極表面の被覆膜に固定化したもの

b)

カラム中に固定化したもの

c)

電極表面付近に乾燥,又は固化して保持したもの

5.1.2 

反応を検知する電極の種類  反応を検知する電極の種類は,次のいずれかによる。

a)

隔膜形ポーラログラフ式酸素電極

b)

隔膜形ガルバニ電池式酸素電極

c)

ポーラログラフ式過酸化水素電極

d)

還元形電子メディエータの酸化に基づく電流を計測する電極

5.2 

測定方法

5.2.1 

試料の測定方式  試料の測定方式は,次のいずれかによる。

a)

バッチ方式

b)

フロー方式

5.2.2 

酵素電極の使用形態  酵素電極の使用形態は,次のいずれかによる。

a)

繰り返し使用可能なもの

b)  1

回だけ使用のもの

5.2.3 

試料濃度の計算方式  試料濃度の計算方式は,次のいずれかによる。

a)

電極電流の最大変化量から計算する方式

b)

電極電流の一定時間後の変化量から計算する方式

c)

電極電流の最大変化速度から計算する方式

d)

電極電流の最大変化加速度から計算する方式

e)

電極電流の変化量の時間積分から計算する方式

6. 

電源  計測器は,内部電源又は商用電源を用いる。商用電源で作動する計測器の場合,定格電圧は単

相交流 100 V,定格周波数は 50 Hz 専用,60 Hz 専用又は 50 Hz・60 Hz 共用とする。


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7. 

性能  計測器は,形態に応じ,次の性能を満足しなければならない。

a)

測定の再現性  測定の再現性は,9.3 a)の試験方法で行う。5.2.2 に規定する酵素電極の使用形態に応

じ,相対標準偏差が次の値の範囲内でなければならない。

−  繰り返し使用の酵素電極を用いる計測器  2 %以下

−  1 回だけ使用の酵素電極を用いる計測器  5 %以下

b) 

応答時間  酵素電極が 5.2.2 a)に規定する繰り返し使用可能なものである場合,応答時間の試験は,9.3

b)

の試験を行い,2 分間以内でなければならない。

c)

商用電源を用いる計測器の性能  商用電源を用いる計測器の場合,次の性能を満足しなければならな

い。

1)

電圧変動に対する安定性  9.3 c)の試験方法で行ったとき,指示値の変動は±3 %でなければならな

い。

2)

絶縁抵抗  9.3 d)の試験方法で行ったとき,その値が 5 MΩ以上でなければならない。

3)

耐電圧  9.3 e)の試験方法で行ったとき,異常を生じてはならない。

8. 

構造  計測器の構造は,次による。

8.1 

構造一般  計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。

a)

形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,かつ,堅ろうでなければならない。

b)

通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,円滑に作動しなければならない。

c)

各部は,安易に機械的,電気的故障を起こさず,危険が生じない構造でなければならない。

d)

保守・点検の際,作動がしやすく,かつ,危険のない構造でなければならない。

8.2 

構成  計測器は,図 又は図 に示す検出部,増幅部・制御部及び指示部から構成する。また,必

要があれば緩衝液など供給部,廃棄部及び附属装置を加える。

試料

A

B

緩衝液など

廃棄部

指示部

A: 
B:


:

酵素電極
測定セル

液の流れ
電気信号の流れ

   

検出部

増幅部・

御部

  1  計測器構成の例(フロー方式で,繰り返し使用可能な酵素電極を用いた一例)

試料

A

B

指示部

A: 
B

酵素電極
測定セル

液の流れ
電気信号の流れ

:


:

検出部

増幅部・

御部

  2  計測器構成の例(バッチ方式で,1 回だけ使用する酵素電極を用いた一例)


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8.3 

検出部  検出部は,酵素と試料とが接触し,かつ,酵素電極から発生する電気信号を増幅部・制御

部を介して指示部に供給するもので,酵素電極,測定セルなどで構成する。

a)

酵素電極  5.1 に規定する酵素,電極などで構成される。酵素は,電極被覆膜若しくはカラム中に固定

化されているか,又は電極表面付近に保持されているもので,劣化が生じた場合,それ自身,又は電

極など交換可能な構造。

b)

測定セル  酵素電極と試料とを接触した状態で保持するもので,試料の流動に支障が生じない構造。

8.4 

増幅部・制御部  増幅部・制御部は,酵素電極からの信号を増幅し,指示部へ信号を出力するとと

もに,酵素電極及び指示部の制御を行うための電気回路で構成するもの。

8.5 

指示部  指示部は,増幅部・制御部からの出力信号に基づき,グルコース濃度を表示又は印字でき

るもの。

8.6 

緩衝液等供給部  緩衝液等供給部は,緩衝液などを検出部に送液できるもの。

8.7 

廃棄部  廃棄部は,検出部からの測定後の溶液を排出,保存できるもの。

8.8 

附属装置  附属装置は,通常,次による。ただし,必要でない場合は,この限りではない。

a)

試料供給装置  試料供給装置は,あらかじめ準備した幾つかの試料を,定められた順序に従って検出

部に送液して測定を行ないグルコース標準液を随時送液して酵素電極の校正を行う機能をもつもの。

b)

出力電流記録計  出力電流記録計は,酵素電極の出力電流を記録する装置である。

c)

酵素交換表示部  酵素交換表示部は,酵素電極における酵素の活性が低下したとき,これを交換する

必要のあることを表示する機能をもつもの。

d)

電池交換表示部  電池交換表示部は,計測器の電源として内部電源(電池)を使用している場合,電

池の電圧が低下したとき,これを交換する必要のあることを表示する機能をもつもの。

9. 

試験

9.1 

試薬  試薬は,次による。

a)

水  JIS K 0050 に規定する分析用の水。

b)

グルコース  JIS K 9809 に規定するもの。

c)

グルコース標準液(10 g/l)  グルコース 5.00 g を正しくはかりとり,水  約 300 ml を加えたフラスコ

中にフラスコを振とうしつつグルコースを少しずつ加えて,グルコースを完全に溶かす。この溶液を

全量フラスコ 500 ml に移した後,グルコースを溶かしたフラスコの内壁を少量の水で洗い,同じ全量

フラスコに移す。この全量フラスコを 20±1℃の恒温水槽中に 30 分間以上保ち,同様に 20±1℃の恒

温水槽中に 30 分間以上保った水を標線まで加える。

d)

試験用標準液  グルコース標準液(10 g/l)を取扱説明書に記載された濃度になるように正しくはかり

とり,全量フラスコに入れ,20±1℃の恒温水槽中に 30 分間以上保ち,同様に 20±1℃の恒温水槽中

に 30 分間以上保った水を標線まで加える。製造業者が,この作製法に従って調製し,かつ,必要に応

じて防腐剤,高分子,塩などを添加したグルコース標準液を用いてもよい。

e)

緩衝液  取扱説明書に記載されたもの。

9.2 

試験条件  試験条件は,次による。

a)

測定セル温度  取扱説明書に記載された測定セル温度。ただし,酵素電極が 5.2.2 b)に規定する 1 回だ

け使用のものの場合には,周囲温度と同じでもよい。

b)

周囲温度  20℃以上 30℃以下。試験中の温度変化が±2℃とする。

c)

相対湿度  80 %以下。ただし,計測器に結露があってはならない。


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d)

電源  取扱説明書に記載されたとおりのもの。

e)

予備運転  使用前に,30 分間電源を入れておく。取扱説明書にこの事前準備が不要との記載があれば,

省略してよい。

f9.3

試験方法  試験方法は,次による。

a)

測定の再現性  酵素電極が 5.2.2 a)に規定する繰り返し使用可能なものを用いる計測器の場合は,取扱

説明書に記載されたグルコース標準液を 10 回送入し,得られたデータから変動係数を算出する。酵素

電極が 5.2.2 b)に規定する 1 回だけ使用のものを用いる計測器の場合には,取扱説明書に記載されたグ

ルコース標準液を送入して計測を行った後,検出部を交換する。この操作を 10 回繰り返し,得られた

データから変動係数を算出する。

b)

応答時間  測定セル内に緩衝液を送入した状態で酵素電極の出力電流が一定値に到達した後,製造業

者が指定するグルコース標準液を規定量添加し,出力電流を記録する。バッチ方式の動作が可能な計

測器では,試料送入時から,試料送入前後での出力電流の差が最終値の 90 %に達するまでの時間を求

める。フロー方式の作動が可能な計測器では,試料送入時から,出力電流が最大値を示すまでの時間

を求める。

c)

電圧変動に対する安定性  電源電圧を定格電圧に保って製造業者指定濃度のグルコース標準液を規定

量送入したときの指示値と,電源電圧を定格の±10 %変化させて同一の試験を行ったときの指示値と

をそれぞれ求める。電圧変動に伴う指示値の変化量と,定格電圧に保ったときの指示値との比を指示

値の変動とする。

d)

絶縁抵抗  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子,及び接触可能な金属部

分)との間の絶縁抵抗を JIS C 1302 に規定する直流 500 V 絶縁抵抗計で測定する。

e)

耐電圧  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接触可能な金属部分)との間に定格

周波数の交流電圧 1000 V を 1 分間加え,異常の有無を調べる。

10. 

表示  計測器には容易に消えない方法で,次の事項を記載しなければならない。

a)

名称及び製造業者が定めた計測器の形名

b)

電源種別及び容量

c)

伝送出力の種類(必要がある場合)

d)

製造業者名又はその略号

e)

製造年月又は製造番号

備考  これらの表示は,いずれかに分散させて表示してもよい。

11. 

取扱説明書  取扱説明書には,5.2.2 に規定する酵素電極の使用形態に応じて,次のことを記載する。

a)  5.2.2 a)

に規定する繰り返し使用可能な酵素電極を用いる計測器の取扱説明書

1)

使用方法に関する事項

1.1)

設置場所の選択及び周囲温度範囲(製造業者が保証する周囲温度範囲)

1.2)

計測器の構造,配線及び配管の概略

1.3)

試薬の主な成分,調製法及び保存法(製造業者が試薬などをすべて供給する場合には,主な成分,

又は保存法について記載すればよい。

1.4)

測定

1.4.1)

測定の準備


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1.4.2)

校正方法及び頻度

1.4.3)

測定方法

1.4.4)

測定可能なグルコース濃度範囲

1.4.5)

測定値の意義(特徴,測定原理,正確さ,使用目的など)

1.4.6)

測定の再現性

1.4.7)

測定停止時の処理

2)

保守に関する事項

2.1)

固定化酵素又は酵素電極の交換の標準的な頻度(酵素交換表示部のある計測器では,記載しなく

てもよい。

2.2)

固定化酵素又は酵素電極の交換方法及び酵素電極の組立方法

2.3)

検出部,配管などの清掃及び保守

2.4)

故障時の対策

2.5)

電池の交換方法[内部電源(電池)を用いない場合,記載する必要はない。

3)

使用上の注意事項

3.1)

日常点検の方法

3.2)

定期点検の方法

3.3)

酵素電極,固定化酵素カラム又は膜の保存方法

4)

安全性に対する注意事項

b)  5.2.2 b)

に規定する 1 回だけ使用の酵素電極を用いる計測器の取扱説明書

1)

使用方法に関する事項

1.1)

設置場所の選択及び周囲温度範囲(製造業者が保証する周囲温度範囲)

1.2)

試薬の主な成分,調製法及び保存法(製造業者が試薬などをすべて供給する場合には,主な成分,

又は保存法について記載すればよい。

1.3)

測定

1.3.1)

測定の準備

1.3.2)

校正方法及び頻度

1.3.3)

測定方法

1.3.4)

測定可能なグルコース濃度範囲

1.3.5)

測定値の意義(特徴,測定原理,正確さ,使用目的など)

1.3.6)

測定の再現性

2)

保守に関する事項

2.1)

故障時の対策

2.2)

電池の交換方法[内部電源(電池)を用いない場合,記載する必要はない。

3)

使用上の注意事項

3.1)

酵素電極の保存方法

4)

安全性に対する注意事項