日本工業規格
JIS
K
0610
-1996
ヒト血清アルブミンの免疫比濁による
簡易定量方法
Tentative method for quantitative analysis by
immunoturbidimetry of human serum albumin
1.
適用範囲 この規格は,化学製品又は試薬としてのヒト血清アルブミンの品質を決定するための免疫
比濁による簡易定量方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,付表 1 に示す。
2.
用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0211 及び JIS K 3600 による。
3.
共通事項 化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050 による。ただし,水は,JIS K 0557 に
規定する A3 又は A4 の水とする。
4.
簡易定量方法の要旨 ヒト血清アルブミンと抗ヒト血清アルブミン抗体とが結合して生成する抗原抗
体複合体の吸光度を測定することによって,ヒト血清アルブミンを定量する。この方法は,ヒト血清アル
ブミン 0.8〜8
µg を定量することができる。
5.
ヒト血清アルブミン溶液 ヒト血清アルブミン溶液は,次のとおりとする。
5.1
分析用試料溶液 定量方法の適用範囲内に入るよう試料ヒト血清アルブミンの濃度を水で調整する。
5.2
検量線用原液 精製ヒト血清アルブミン(
1
)
を水に溶かして,濃度 100mg/l の溶液を使用時に調製す
る。
注(
1
) JIS K 0602
の5.2(検量線用原液)の
注(
1
)
の方法によって精製したもの。
6.
試薬 試薬は,次のとおりとする。
(1)
トリス緩衝液 (50mmol/l, pH7.3) JIS K 9704 に規定する 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1, 3−プ
ロパンジオール 6.1g,JIS K 8150 に規定する塩化ナトリウム 8.8g,平均分子量が 6 000 のポリエチレ
ングリコール 40g,ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート 0.2g,JIS K 9501 に規定するアジ
化ナトリウム 1.0g を水に溶かして,1 000ml としたもの。
(2)
抗ヒト血清アルブミン抗体溶液 抗体標品(凍結乾燥品)をアジ化ナトリウム溶液 (1g/l) に溶解し,
抗ヒト血清アルブミン抗体量として約 6mg/ml になるように,使用時に調製する。
(3)
ヒト血清アルブミン溶液 5.による。
2
K 0610-1996
7.
装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1)
分光光度計
(2)
マイクロピペット JIS K 0970 に規定するもの,又はそれと同等以上の性能のもの。
(3)
遠心管 内径 14mm×高さ 100mm
(4)
恒温水槽 37±0.1℃に保持できるもの。
8.
操作 操作は,次のとおりとする。
(1)
分析用試料溶液 0.2ml(ヒト血清アルブミンとして 0.8〜8
µg を含む。)を遠心管にとり,トリス緩衝液
4.0ml
を加えて,37±0.1℃に保った恒温槽に,5 分間放置する。
(2)
抗ヒト血清アルブミン抗体溶液 0.2ml を加え,振り混ぜて,37±0.1℃に保った恒温槽に,20 分間放置
する。
(3) (1)
で分析用試料溶液の代わりに水を用い,(1)及び(2)の操作を行ったものを対照液とする。
(4)
試料を 10mm 吸収セルに移し,波長 340nm でその濁度を測定する。
(5) (6)
によって作成した検量線から,ヒト血清アルブミンの量を求める。
(6)
検量線の作成 検量線原液を用い,0〜100mg/l の範囲で段階的濃度(
2
)
の検量線溶液を調製して,これ
から 0.2ml をとり,(1)〜(4)と同様に操作し,ヒト血清アルブミン量と濁度との関係線を作成する。
注(
2
) 5
段階程度が一般的に用いられる。
9.
計算 試料中のヒト血清アルブミンの純度は,次の式によって算出する。
100
10
3
×
×
×
=
S
D
m
A
i
ここに,
A
: 試料中のヒト血清アルブミンの純度 (%)
S
: 試料の質量 (g)
D
: 試料の希釈倍率
m
i
: 検量線から読み取った質量 (mg)
10.
定量結果の表示
10.1
表示項目 表示項目は,次のとおりとする。
(1)
試料名及び試料起源
(2)
定量方法
(3)
定量値 (%)
10.2
定量値の取扱い 同一試料溶液について 2 回行い,その測定値の平均値を求める。
3
K 0610-1996
付表 1 引用規格
JIS K 0050
化学分析方法通則
JIS K 0211
分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0557
化学分析用の水
JIS K 0602
血清アルブミンの定量方法
JIS K 0970
プッシュボタン式液体用微量体積計
JIS K 3600
バイオテクノロジー用語
JIS K 8150
塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 9501
アジ化ナトリウム(試薬)
JIS K 9704
2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1, 3−プロパンジオール(試薬)
JIS K 0610
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
奥 山 典 生
神奈川歯科大学歯学部
(分科会長)
中 村 泰 治
昭和大学
大 熊 道 雄
横浜国立大学工学部
地 神 芳 文
工業技術院化学技術研究所生体機能化学部
鈴 木 正 信
通商産業省通商産業検査所化学部
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
伴 野 丞 計
日本赤十字社血醬分画センター開発研究部
小 林 信 弥
株式会社島津製作所東京分析センター
矢可部 芳 州
財団法人化学品検査協会化学品安全センター久留米研究所
玉 沖 英 恒
三共株式会社醱酵研究所
阿 保 正 伸
ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社研究開発部
友 松 保 幸
関東化学株式会社試薬事業本部学術部
河 崎 忠 好
ファルマシアバイオシステムズ株式会社
ファルマシア LKB サイエンティフィックサービスサンター
(関係者)
遠 藤 薫
工業技術院標準部繊維化学規格課
石 川 不二夫
財団法人バイオインダストリー協会
(事務局)(前期)
久 保 清 明
財団法人バイオインダストリー協会
(後期)
古 寺 武 利
財団法人バイオインダストリー協会