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日本工業規格

JIS

 K

0609

-1996

固定化トリプシンの定量方法

Methods for quantitative analysis

of immobilized trypsin

1.

適用範囲  この規格は,化学製品又は試薬としての固定化トリプシンの品質を決定するための定量方

法について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,付表1に示す。

2.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。

2.

用語の定義  この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0211 及び JIS K 3600 による。

3.

共通事項  化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050 による。ただし,水は,JIS K 0557 

規定する A3 又は A4 の水とする。

4.

定量方法の種類  固定化トリプシンの定量方法の種類は,酵素活性を特異的に阻害する阻害物質の種

類によって,次のとおりとする。

(1)

アミノベンズアミジン法  たん白質の酵素活性部位に特異的に吸着する低分子量の阻害物質を作用さ

せ,未反応及び非特異的に吸着した阻害物質を洗浄除去した後,脱着分離させた阻害物質の吸光度を

測定することによって,たん白質を定量する。この方法は,固定化トリプシン 0.35∼3.5mg を定量す

ることができる。

備考  低分子阻害物質には,ベンズアミジン及びその誘導体,ロイペプチンなどがある。

(2)

トリプシンインヒビター(ダイズ)法  たん白質の酵素活性部位に特異的に吸着する高分子の阻害物

質を作用させ,未反応及び非特異的に吸着した阻害物質を洗浄除去した後,脱着分離させた阻害物質

を高速液体クロマトグラフ法を用いる分画測定によって,たん白質を定量する。この方法は,固定化

トリプシン 0.35mg を定量することができる。

備考  高分子阻害物質には,トリプシンインヒビター(ダイズ),トリプシンインヒビター(卵白),

アプロチニンなどがある。

5.

固定化トリプシン懸濁液  固定化トリプシン懸濁液は,次のとおりとする。

5.1

分析用試料溶液  それぞれ定量方法の適用範囲内に入るよう試料固定化トリプシンの濃度を水で調

整する。


2

K 0609-1996

5.2

検量線用原液  固定化精製トリプシン(

1

)

(

2

)

を水に懸濁して,トリプシン量に換算して濃度 3g/

度の懸濁液を使用時に調製する。

(

1

)

精製トリプシンは,イオン交換カラムクロマトグラフ法によって精製し,透析後凍結乾燥した

ものを用いる。

(

2

)

固定化トリプシンは,精製トリプシンを共有結合によって担体に結合させたものを用いる。

6.

アミノベンズアミジン法

6.1

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(1)

酢酸緩衝液 (0.1mol/l, pH4.0)   JIS K 8355 に規定する酢酸 6g に水を加えて 1としたものと,JIS K 

8372

に規定する酢酸ナトリウム(無水)8.2g を水に溶かして 1 000ml としたものを,pH 値が 4.0 にな

るように混合したもの。

(2)

りん酸塩緩衝液 (0.5mol/l, pH6.8)   次に規定する A 液と B 液とを,pH 値が 6.8 になるように混合し

たもの。

A

液  JIS K 9020 に規定するりん酸水素二ナトリウム 71.0g を水に溶かして,1 000ml としたもの。

B

液  JIS K 9007 に規定するりん酸二水素カリウム 68.0g を水に溶かして,1 000ml としたもの。

(3)

りん酸塩緩衝液 (0.05mol/l, pH7.0)    次に規定する A 液と B 液とを,pH 値が 7.0 になるように混合し

たもの。

A

液  (2)に規定するりん酸水素二ナトリウム 7.1g を水に溶かして,1 000ml としたもの。

B

液  (2)に規定するりん酸二水素カリウム 6.8g を水に溶かして,1 000ml としたもの。

(4)  4

−アミノベンズアミジン溶液  純度 98%以上の 4−アミノベンズアミジン二塩酸塩 100mg を水に溶

かして 50ml としたもの。

(5)

塩酸  (0.05mol/l)    JIS K 8180 に規定する塩酸 4.5ml に水を加えて 1 000ml としたもの。

(6)

固定化トリプシン懸濁液  5.による。

6.2

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

分光光度計

(2)

マイクロピペット  JIS K 0970 に規定するもの,又はそれと同等以上の性能のもの。

(3)

遠心管  内径 14mm×高さ 100mm

(4)

遠心分離機  3 000min

1

 {3 000rpm}

可能のもの

(5)

メンブランフィルター  孔径 0.45

µm のもの

6.3

操作  操作は,次のとおりとする。

(1)

分析用試料溶液 0.6ml

(トリプシンとして約 2mg を含む。

を遠心管にとり,

酢酸緩衝液 (0.1mol/l, pH4.0)

を加えて液量を 1.0ml にする。

(2) 3

000min

1

 {3 000rpm}

で 5 分間遠心分離を行い,上澄み液 0.4ml を除く。

(3) 4-

アミノベンズアミジン溶液 0.1ml 及びりん酸塩緩衝液 (0.05mol/l, pH7.0) 1.0ml を加え,3 000min

1

で 5 分間遠心分離を行い,上澄み液 1.1ml を除く。

(4)

りん酸塩緩衝液 (0.05mol/l, pH7.0) 1.0ml を加え,3 000min

1

で 5 分間遠心分離を行い,上澄み液 1.0ml

を除く。この操作を 3 回行う。

(5)

塩酸 (0.05mol/l) 1.0ml を加えて試験管ミキサーでよく混ぜ,3 000min

1

で 5 分間遠心分離を行い,上

澄み液 0.8ml を分取する。この操作を 2 回行う。ただし,2 回目の分取は,1.0ml とする。

(6)

分取液を合わせ (1.8ml),りん酸塩緩衝液 (0.5mol/l, pH6.8) 1.0ml を加え,メンブランフィルター(孔


3

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径 0.45

µm)でろ過する。

(7)  (1)

で分析用試料溶液の代わりに水を用い,(1)から(6)までの操作を行ったものを対照液とする。

(8)

試料を吸収セル 10mm に移し,波長 293nm でその吸光度を測定する。

(9)  (10)

によって作成した検量線から固定化トリプシンの量を求める(

3

)

(

3

)

データ処理装置で行う場合は,装置に表示された記録又は指示値による。

(10)

検量線の作成  検量線原液を用い,0∼3 000mg/の範囲で段階的濃度(

4

)

の検量線溶液を調製して,こ

れから 1ml をとり,(1)から(6)までと同様に操作し,固定化トリプシン量と吸光度との関係線を作成す

る。

(

4

)  5

段階程度が一般的に用いられる。酢酸緩衝液 (0.1mol/l, pH4.0)  で希釈する。

備考  操作は,室温で行う。

6.4

計算  試料中の固定化トリプシンの純度は,次の式によって算出する。

100

10

3

i

×

×

×

=

S

D

m

A

ここに,

A

:  試料中の固定化トリプシンの純度 (%)

S

:  試料の質量 (g)

D

:  試料の希釈倍率

m

i

:  検量線から読み取った質量 (mg)

7.

トリプシンインヒビター(ダイズ)法

7.1

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(1)

りん酸塩緩衝液  (0.05mol/l, pH7.0)  6.1 (3)に同じ。

(2)

トリプシンインヒビター溶液  トリプシンインヒビター(ダイズ)50mg を水に溶かして 50ml とした

もの。

(3)

塩酸 (0.05mol/l)  6.1 (5)に同じ。

(4)

溶離液  紫外線吸収,溶離方式などを考慮し,カラムを腐食しないような緩衝液を使用する。

(5)

固定化トリプシン懸濁液  5.による。

7.2

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

高速液体クロマトグラフ

(a)

検出器  波長 190∼350nm で測定可能な分光光度計

(b)

カラム用管  ステンレス鋼製,ガラス製など

(c)

カラム充てん剤  サイズ排除クロマトグラフィー用多孔性親水性ゲル

(2)

マイクロシリンジ  50

µl 又は 100µl

(3)

マイクロピペット  6.2 (2)に同じ。

(4)

遠心管  6.2 (3)に同じ。

(5)

遠心分離機  6.2 (4)に同じ。

7.3

操作  操作は,次のとおりとする。

(1)

分析用試料溶液 100

µl(トリプシンとして約 200µg を含む。)を遠心管にとり,トリプシンインヒビタ

ー溶液 0.5ml,りん酸塩緩衝液 (0.05mol/l, pH7.0) 1.0ml を加えて振り混ぜ 5 分間放置後,3 000min

1

で 5

分間遠心分離を行い,上澄み液 1.4ml を除く。

(2)

りん酸塩緩衝液 (0.05mol/l, pH7.0) 1.0ml を加え,よく混ぜ,3 000min

1

で 5 分間遠心分離を行い,上


4

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澄み液 1.0ml を除く。この操作を 2 回行う。

(3)

塩酸 (0.05mol/l) 1.0ml を加え,よく振り混ぜ,3 000min

1

で 5 分間遠心分離を行い,上澄み液 0.9ml

を分取する。この操作を 2 回行う。ただし,2 回目の分取量は,1.0ml とする。

(4)

分取液を合わせ (1.9ml),高速液体クロマトグラフ試料溶液とする。

(5)

高速液体クロマトグラフ分析条件の設定  装置について最適条件を設定する。次に,その一例を示す。

(a)

カラム充てん剤  排除限界が分子量 5×10

5

Da

程度の多孔性親水性シリカゲル

(b)

カラム用管  内径 7.8mm,長さ 30cm  ステンレス鋼製

(c)

カラム槽温度  室温

(d)

溶離液  JIS K 8986 に規定する硫酸ナトリウム 14.2g,JIS K 9009 に規定するりん酸二水素ナトリウ

ム二水和物 7.8g を水約 800ml に溶解し,水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l(

5

)

で pH7.0 に調整し,水

を加えて 1 000ml とする。

(e)

溶離液流量  0.8ml/min

(f)

試料液量  30

µl

(g)

検出波長  220nm

(

5

)

  JIS K 8576

に規定する水酸化ナトリウム4g を水に溶かして1 000ml としたもの。

(6)

  (4)

の試料溶液をマイクロシリンジを用いて注入し,クロマトグラムを得る。

(5)

に示した分析条件例によるクロマトグラムを

図 に示す。

図 1  クロマトグラムの一例

(7)

クロマトグラムからピーク面積に相当する値を求める。ピーク面積の測定は,JIS K 0124 の 9.3(ピー

ク面積)による。

(8)

  (10)

で作成した検量線から固定化トリプシンの量を求める。

(9)

  JIS K 0124

の 9.4(絶対検量線法)によって定量する。

(10)

検量線の作成  検量線原液を用い,0∼350mg/の範囲で段階的濃度の検量線溶液を調製して,(1)(9)

の操作に従い,固定化トリプシン量とピーク面積との関係線を作成する。


5

K 0609-1996

7.4

計算  試料中の固定化トリプシンの純度は,次の式によって算出する。

100

10

3

i

×

×

×

=

S

D

m

A

ここに,

A

:  試料中の固定化トリプシンの純度 (%)

S

:  試料の質量 (g)

D

:  試料の希釈倍数

m

i

:  検量線から読み取った質量 (mg)

8.

定量結果の表示

8.1

表示項目  表示項目は,次のとおりとする。

(1)

試料名及び試料起源

(2)

定量方法の種類

(3)

定量値 (%)

8.2

定量値の取扱い  同一試料溶液について 2 回行い,その測定値の平均値を求める。

付表 1  引用規格

JIS K 0050

  化学分析方法通則 

JIS K 0124

  高速液体クロマトグラフ分析通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0557

  化学分析用の水

JIS K 0970

  プッシュボタン式液体用微量体積計

JIS K 3600

  バイオテクノロジー用語

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8355

  酢酸(試薬)

JIS K 8372

  酢酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8986

  硫酸ナトリウム+水和物(試薬)

JIS K 9007

  りん酸二水素カリウム(試薬)

JIS K 9009

  りん酸二水素ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 9020

  りん酸水素二ナトリウム(試薬)


6

K 0609-1996

JIS K 0609

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

奥  山  典  生

神奈川歯科大学歯学部

(分科会長)

中  村  泰  治

昭和大学

大  熊  道  雄

横浜国立大学工学部

地  神  芳  文

工業技術院化学技術研究所生体機能化学部

鈴  木  正  信

通商産業省通商産業検査所化学部

細  川  幹  夫

通商産業省基礎産業局生物化学産業課

地  崎      修

工業技術院標準部繊維化学規格課

伴  野  丞  計

日本赤十字社血醤分画センター開発研究部

小  林  信  弥

株式会社島津製作所東京分析センター

矢可部  芳  州

財団法人化学品検査協会化学品安全センター久留米研究所

玉  沖  英  恒

三共株式会社醗酵研究所

阿  保  正  伸

ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社研究開発部

友  松  保  幸

関東化学株式会社試薬事業本部学術部

河  崎  忠  好

ファルマシアバイオシステムズ株式会社

ファルマシア LKB サイエンティフィックサービスサンター

(関係者)

遠  藤      薫

工業技術院標準部繊維化学規格課

石  川  不二夫

財団法人バイオインダストリー協会

(事務局)(前期)

久  保  清  明

財団法人バイオインダストリー協会

          (後期)

古  寺  武  利

財団法人バイオインダストリー協会