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日本工業規格

JIS

 K

0608

-1996

リパーゼの定量方法

Methods for quantitative analysis of lipase

1.

適用範囲  この規格は,化学製品又は試薬としてのリパーゼの品質を決定するための定量方法につい

て規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,付表1に示す。

2.

リパーゼの国際生化学連合・酵素委員会の分類番号は,EC 3.1.1.3.である。

2.

用語の定義  この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0211 及び JIS K 3600 による。

3.

共通事項  化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050 による。ただし,水は,JIS K 0557 

規定する A3 又は A4 の水とする。

4.

定量方法の種類  リパーゼの定量方法の種類は,一括定量法の吸光光度法(ローリー法),分別定量法

の高速液体クロマトグラフ−紫外吸光光度検出法及び酵素活性による定量法とする。

(1)

吸光光度法(ローリー法)  たん白質と銅イオンの反応で生じたたん白質銅錯体,たん白質によって

還元されて生じたりんモリブデン青及びりんタングステン青の吸光度によって定量する。この方法は,

100

∼1 000mg/のたん白質を一括定量することができる。

備考  試料液中にエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム 2.5mmol/以上,2−メルカプトエタノ

ール 15mmol/以上,又はドデシル硫酸ナトリウム 0.5mol/以上をそれぞれ含むものは定量でき

ない。

(2)

高速液体クロマトグラフ−紫外吸光光度検出法  たん白質を高速液体クロマトグラフ法によって分

画し,220nm 付近の波長を用いて定量する。この方法は,含有成分を分子サイズによって分別し,20

∼100mg/のリパーゼを定量することができる。

備考  試料液中にエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム 0.2mol/以上,2−メルカプトエタノー

ル 50mmol/以上,又はドデシル硫酸ナトリウム 3mmol/以上をそれぞれ含むものは定量できな

い。

(3)

酵素活性による定量法  定められた温度及び pH 条件の下で,リパーゼを基質に作用させ,反応生成

物質の濃度を測定することによってリパーゼを定量する。この方法は,4∼20mg/のリパーゼを定量

することができる。

備考  酵素活性に影響を与える物質を含む場合は,定量できない。

5.

リパーゼ溶液  リパーゼ溶液は,次のとおりとする。


2

K 0608-1996

5.1

分析用試料溶液  それぞれ定量方法の適用範囲内に入るよう試料リパーゼの濃度を水で調整する。

ただし,高速液体クロマトグラフ−紫外吸光光度検出法の場合は,

水の代わりにりん酸塩緩衝液(

1

)

を用い,

酵素活性による定量法の場合は,水の代わりに反応最適 pH のりん酸塩緩衝液(

1

)

を用いる。

(

1

)  JIS K 0601

5.1(試薬)による。

5.2

検量線用原液  精製リパーゼ(

2

)

を水に溶かして,1.0g/の溶液を調製する。使用時に調製する。ただ

し,高速液体クロマトグラフ−紫外吸光光度検出法及び酵素活性による定量法の場合は,水の代わりにり

ん酸塩緩衝液(

1

)

を用いる。

(

2

)

イオン交換カラムクロマトグラフ法によって精製し,透析後凍結乾燥したもの。

6.

吸光光度法(ローリー法)

6.1

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(1)

アルカリ性硫酸銅酒石酸溶液  次に規定する A 液 50 容と B 液 1 容を混合したもの。使用時に調製す

る。

A

液  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム 0.40g,JIS K 8625 に規定する炭酸ナトリウム 2.0g

を水に溶かして 100ml としたもの。

B

液  JIS K 8983 に規定する硫酸銅 (II) 五水和物 0.5g を酒石酸カリウム溶液 (10g/l)(

3

)

に溶かし,

JIS K 8574

に規定する水酸化カリウムで調製した溶液 (0.5mol/l)  で pH6.3 に調整して

100ml

としたもの。

(

3

)  JIS K 8535

に規定する酒石酸カリウム−水 (2/1) 1g を水に溶かして100ml としたもの。JIS K 

8540

に規定する酒石酸ナトリウム二水和物1g を水に溶かして調製したものでもよい。

(2)

フェノール試薬  JIS K 8612 に規定するタングステン酸 (VI) ナトリウム二水和物 100g,  JIS K 8906

に規定するモリブデン酸ナトリウム 25g を共通すり合わせ丸底フラスコにとり,JIS K 9005 に規定す

るりん酸 50ml(約 0.7mol)

JIS K 8180 に規定する塩酸 100ml(約 1.2mol)及び水 700ml を加えて,

還流冷却下で 10 時間加熱する。これに JIS K 8994 に規定する硫酸リチウム 150g,水 50m1 及び JIS K 

8529

に規定する臭素を数滴加え,15 分間煮沸して過剰の臭素を除き,水を加えて 1としたもの。褐

色瓶に保存する。フェノールフタレインを指示薬とし,0.1mol/水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い,

酸濃度が 1mol/になるように水で調整する(

4

)

(

4

)

約1.9∼2倍の希釈になる。フェノール試薬は,市販品を用いてもよい。

(3)

リパーゼ溶液  5.による。

6.2

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

分光光度計

(2)

マイクロピペット  JIS K 0970 に規定するもの,又はそれと同等以上の性能のもの。

6.3

操作  操作は,次のとおりとする。

(1)

分析用試料溶液 0.2ml を試験管にとり,

アルカリ性硫酸銅酒石酸溶液 4.0ml を加えて 10 分間放置する。

(2)

フェノール試薬 0.4ml を加え,よく振り混ぜて 30 分間放置する。

(3)  (1)

で分析用試料溶液の代わりに水を用い,(1)及び(2)の操作を行ったものを対照液とする。

(4)

試料を 10mm 吸収セルに移し,波長 750nm でその吸光度を測定する。

(5)  (6)

によって作成した検量線からリパーゼの量を求める(

5

)

(

5

)

データ処理装置で行う場合は,装置に表示された記録又は指示値による。

(6)

検量線の作成  検量線原液を用い,0∼1 000mg/の範囲で段階的濃度(

6

)

の検量線溶液を調製して,こ


3

K 0608-1996

れから 0.2ml をとり,(1)及び(2)と同様に操作し,リパーゼ量と吸光度との関係線を作成する。

(

6

)  5

段階程度が一般的に用いられる。

備考  操作は,室温で行う。

6.4

計算  試料中のリパーゼの純度は,次の式によって算出する。

100

10

3

×

×

×

S

D

m

A

i

ここに,

A

: 試料中のリパーゼの純度 (%)

S

: 試料の質量 (g)

D

: 試料の希釈倍率

m

i

: 検量線から読み取った質量 (mg)

7.

高速液体クロマトグラフ−紫外吸光光度検出法

7.1

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(1)

溶離液

  紫外線吸収,溶離方式などを考慮し,カラムを腐食しないような緩衝液を使用する。

(2)

リパーゼ溶液

5.

による。

7.2

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

高速液体クロマトグラフ

(a)

検出器

  波長 190∼350nm で測定可能な分光光度計

(b)

カラム用管

  ステンレス鋼製,ガラス製など

(c)

カラム充てん剤

  サイズ排除クロマトグラフィー用多孔性親水性ゲル

(2)

マイクロシリンジ

  容量 25

µ

l

又は 50

µ

l

7.3

操作

  操作は,次のとおりとする。

(1)

分析条件の設定

  装置について最適条件を設定する。

次にその一例を示す。

(a)

カラム充てん剤

  排除限界が分子量 5×10

5

Da

程度の多孔性親水性シリカゲル

(b)

カラム用管

  内径 7.8mm,長さ 30cm  ステンレス鋼製

(c)

カラム槽温度

  室温

(d)

溶離液

  りん酸塩緩衝液 0.1mol/l, (pH7.0)

(

1

)

(e)

溶離液流量

  0.8ml/min

(f)

試料液量

  10

µ

l

(g)

検出波長

  220nm

(2)

一定量の分析用試料溶液をマイクロシリンジを用いて注入しクロマトグラムを得る。

(1)

に示した分析

条件例によるクロマトグラムを,

図 1

に示す。


4

K 0608-1996

図 1  クロマトグラムの一例

(3)

クロマトグラムからピーク面積に相当する値を求める。ピーク面積の測定は,

JIS K 0124

9.3

(ピー

ク面積)による。

(4)

(6)

で作成した検量線からリパーゼの量を求める。

(5)

JIS K 0124

9.4

(絶対検量線法)によって定量する。

(6)

検量線の作成

  検量線原液を用い,0∼100mg/の範囲で段階的濃度

(

6

)

の検量線溶液を調製して,

(2)

及び

(3)

の操作に従い,リパーゼ量とピーク面積との関係線を作成する。

7.4

計算

  試料中のリパーゼの純度は,次の式によって算出する。

100

10

3

i

×

×

×

S

D

m

A

ここに,

A

: 試料中のリパーゼの純度 (%)

S

: 試料の質量 (g)

D

: 試料の希釈倍数

m

i

: 検量線から読み取った質量 (mg)

8.

酵素活性による定量法

8.1

試薬

  試薬は,次のとおりとする。

(1)

りん酸塩緩衝液 (0.1mol/l

JIS K 0601

5.1

による。

(2)

基質乳化液

JIS K 0601

7.3

(操作)

(1)

によって調製したもの。調製後 2 日以上経過したものは使

用してはならない。

(3)

アセトン・エタノール溶液

JIS K 0601

7.1

(試薬)

(4)

による。

(4)

フェノールフタレイン溶液

JIS K 0601

7.1(5)

による。

(5)

0.05mol/l

水酸化ナトリウム溶液

JIS K 0601

7.1(6)

による。


5

K 0608-1996

(6)

0.05mol/l

塩酸

JIS K 0601

7.1(7)

による。

8.2

装置及び器具

  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

バイアル

  50ml

(2)

恒温水槽

  37±0.1℃に保持できるもの。

8.3

操作

  操作は,次のとおりとする。

(1)

基質乳化液 5ml 及び反応最適 pH に近いりん酸塩緩衝液 (0.1mol/l) 5ml をバイアル 50ml にとり,37±

0.1

℃に保った恒温水槽に約 5 分間放置する。

(2)

分析用試料溶液(リパーゼ 20mg/を含む。

)50

µ

l

を加えて振り混ぜ,37±0.1℃に 20 分間静置する。

(3)

アセトン・エタノール溶液 10ml を加え,バイアルを氷水中で冷却する。

(4)

 0.05mol/l

水酸化ナトリウム溶液 10ml,アセトン・エタノール溶液 10ml 及びフェノールフタレイン溶

液 1 滴を加え,0.05mol/塩酸で滴定する。

(5)

検量線原液を用いて調製した検量線溶液 (20mg/l)  から 0∼60

µ

l

を段階的にとり,

(1)

(2)

(3)

(4)

同様に操作し,リパーゼ量と滴定量について直線関係が成立する範囲内で関係式を作成する。

8.4

計算

  試料中のリパーゼの純度は,次の式によって算出する。

100

10

3

i

×

×

×

S

D

m

A

ここに,

A

: 試料中のリパーゼの純度 (%)

S

: 試料の質量 (g)

D

: 試料の希釈倍率

m

i

: リパーゼ量と滴定量の関係式から読み取った質量 (mg)

9.

定量結果の表示

9.1

表示項目

  表示項目は,次のとおりとする。

(1)

試料名及び試料起源

(2)

定量方法の種類

(3)

酵素活性による定量法の場合は,pH,温度及び基質名

(4)

定量値 (%)

9.2

定量値の取扱い

  同一試料溶液について 2 回行い,その測定値の平均値を求める。

付表 1  引用規格

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0124

  高速液体クロマトグラフ分析通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0557

  化学分析用の水

JIS K 0601

  工業用リパーゼの活性度測定方法

JIS K 0970

  プッシュボタン式液体用微量体積計

JIS K 3600

  バイオテクノロジー用語

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8529

  臭素(試薬)

JIS K 8535

    (+)  −酒石酸カリウム−水 (2/1) (試薬)

JIS K 8540

    (+)  −酒石酸ナトリウム二水和物(試薬)


6

K 0608-1996

JIS K 8574

  水酸化カリウム(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8612

  タングステン (VI) 酸ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 8625

  炭酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8906

  モリブデン酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8983

  硫酸銅 (II) 五水和物(試薬)

JIS K 8994

  硫酸リチウム一水和物(試薬)

JIS K 9005

  りん酸(試薬)

JIS K 0608

  原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

奥  山  典  生

神奈川歯科大学歯学部

(分科会長)

中  村  泰  治

昭和大学

大  熊  道  雄

横浜国立大学工学部

地  神  芳  文

工業技術院化学技術研究所生体機能化学部

鈴  木  正  信

通商産業省通商産業検査所化学部

細  川  幹  夫

通商産業省基礎産業局生物化学産業課

地  崎      修

工業技術院標準部繊維化学規格課

伴  野  丞  計

日本赤十字社血醤分画センター開発研究部

小  林  信  弥

株式会社島津製作所東京分析センター

矢可部  芳  州

財団法人化学品検査協会化学品安全センター久留米研究所

玉  沖  英  恒

三共株式会社醗酵研究所

阿  保  正  伸

ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社研究開発部

友  松  保  幸

関東化学株式会社試薬事業本部学術部

河  崎  忠  好

ファルマシアバイオシステムズ株式会社

ファルマシア LKB サイエンティフィックサービスセンター

(関係者)

遠  藤      薫

工業技術院標準部繊維化学規格課

石  川  不二夫

財団法人バイオインダストリー協会

(事務局)(前期)

久  保  清  明

財団法人バイオインダストリー協会

          (後期)

古  寺  武  利

財団法人バイオインダストリー協会