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日本工業規格

JIS

 K

0517

-1976

高純度炭化水素の屈折率測定方法

Testing Method for Refractive Index of High Purity Hydrocarbons

1.

適用範囲  この規格は,温度 20∼30℃における屈折率が 1.33∼1.50 の範囲にある液状の高純度炭化水

素の屈折率を小数点以下 5 位まで測定する方法について規定する。

引用規格:

JIS C 7610

  ナトリウムランプ

JIS K 8594

  石油ベンジン(試薬)

JIS K 8858

  ベンゼン(試薬)

2.

用語の意味  屈折率 は光が等方性の第 1 の物質から第 2 の物質に入るとき,入射角を i,屈折角を r

とすると次の式で示される。

r

i

n

sin

sin

=

等方性の物質において,光の波長,温度及び圧力が一定のときはその屈折率はその物質に固有の定数で

ある。屈折率は一般にナトリウムスペクトルの D 線を用い,温度 20℃において空気に対して測定された値

とし,

20

D

n

をもって示す。光が屈折率 の物質から屈折率 のプリズムに入るとき,その入射角 を直角

にすると次のようになる。

n

N

r

=

sin

1

したがって,が既知であれば,を測定して を求めることができる。

3.

測定方法の概要  屈折率の測定は,小数点以下 5 位まで正確に測定できる精密屈折計を用い,単色光

で臨界角法によって行う。

屈折計の調整には,屈折率既知の標準ガラス片を用いる。

4.

装置

(1)

屈折計  アッベ改良形で,ナトリウム D 線に対する屈折率 1.33∼1.50 の範囲で小数点以下 5 位まで測

定可能なものとする。

(2)

恒温そう  プリズム温度を試験温度に対して±0.02K で一定に保つことができるもの。恒温そうの温

度は屈折計に取り付けた温度計の読み(プリズム温度)を基準に調整する。

(3)

光源  JIS C 7610(ナトリウムランプ)の波長 589.3nm のものとする。

(4)

標準ガラス片  屈折率既知で,±0.00002 まで正確なものとする。

参考  標準ガラス片の代わりにアメリカ国立標準局 (NBS) の SRM 1816 イソオクタン  (

20

D

n


2

K 0517-1976

1.39148)

を用いることができる。

5.

試薬

(1)

石油ベンジン  JIS K 8594〔石油ベンジン(試薬)〕の特級とする。

(2)

ベンゼン  JIS K 8858〔ベンゼン(試薬)〕の特級とする。

(3)

α

−ブロモナフタレン

6.

測定方法

6.1

装置の準備

(1)

プリズム面はベンゼンを十分に浸み込ませた脱脂綿(

1

)

で汚れのしまがつかなくなるまで繰り返しふく。

(2)

次に,石油ベンジンを浸み込ませた脱脂綿でガラス部分とその周りのみがかれた面とがきれいになる

まで繰り返し軽くふく。

(3)

屈折計に取り付けた温度計の示す温度が,試験温度に対して±0.02K(

2

)

にあるように恒温そうの温度を

調整する。

光源は点燈後,30 分以上経過してから使用する。

(

1

)

プリズム面は乾いた脱脂綿でこすってはならない。

(

2

)

試料の温度誤差が 0.02K の場合,メチルシクロヘキサンの屈折率は 1×10

5

の誤差となる。測

定場所の周辺温度は,試験温度に対して±1K 以内に調節することが望ましい。

6.2

装置の調整

(1)

屈折計のプリズム面と標準ガラス片の表面とを 6.1 によってきれにした後,

きれいなブラシではらう。

丁番の部分を広く開き,標準プリズムのみがかれた表面の中央に

α

−ブロモナフレタンの 1 滴(直径

約 1.5mm)を落とす。屈折計の固定プリズムの表面に標準プリズムを押しつけ,プリズムと標準ガラ

ス片との間の全面に

α

−ブロモナフレタンの均一な薄膜を作り(

3

)

,その場所が均等に照らされる(

4

)

うにする。

(2)

屈折計の目盛を標準ガラス片に表示された屈折率に相当する読みに設定する。望遠鏡の視野にはっき

りした境界線ができるまで,光源の位置を調整して固定する。望遠鏡の接眼レンズを調整して焦点を

十字線に合わせる。

(3)

境界線が十字線の交点と合致するまで手車を動かし,目盛を読む。この設定を少なくとも 2 回以上繰

り返し,その読みを平均する。

なお,境界線を観測している間,光源の位置をわずかに移動させて,境界線を明確にする。

(4)

平均の目盛の読みをナトリウム D 線の換算表で屈折率に換える。補正を行わないで正しい読みを得る

には,

得られた平均値が標準ガラス片に表示された屈折率と 0.00002 以上の差異があってはならない。

(5)

調整が必要な場合は,手車を動かして屈折計の目盛を標準ガラス片に表示された屈折率に相当する読

みに設定する。境界線が十字線の交点の左にあれば望遠鏡の左にある小さいねじを緩め,線が一致す

るまで右のねじを徐々に締める。境界線が右にあれば逆の処置をする。最後の調整で両方のねじを適

度に固定する。(3)及び(4)により設定を再び検査する。

(

3

)

密着しない場合は,標準ガラス片を取り外して接触面を(1)に従って再び清浄にする。

なお,

α

−ブロモナフタレンの液量は,標準プリズムの面以外に液体がはみ出さない状態で,

しかも接触面を完全に満たす量とする。

(

4

)

均等に照らされていない場合は,光路調整ノブを回して更に光源を望遠鏡の縦軸と一致させた


3

K 0517-1976

ときに,不規則な暗点が望遠鏡の視野に現れる。

このような場合は,標準ガラス片を静かに押し動かして,直角の接触面に水平な 3∼5 本の干

渉帯が望遠鏡の視野の中心に現れるように標準ガラス片の光入射面の角度(位置)を調節する。

備考  屈折計によっては,調整の手順が異なる場合がある。その場合は,その機器の取扱い説明書に

よる。

6.3

試料の調製(準備)  試料は少なくとも 0.5ml を要する。試料には浮遊固体,水分又は光線を散乱

させる他の物質を含有していてはならない。水分は一般に塩化カルシウムで処理し,その塩化カルシウム

は,ろ過又は遠心分離で除去する。

乾燥剤の作用,ろ過器での選択吸着作用,その他の理由によって試料の組成が変化しないように配慮す

る必要がある。

6.4

測定操作

(1)  6.1

(1)及び(2)によって,プリズムの表面を十分にきれいにする。屈折計の温度計の示度が試験温度

±0.02K 以内になるように恒温そうを調整する。

(2)

弱粘性の液試料(

5

)(

6

)

を測定する場合はプリズム箱を閉じて,プリズムと循環水間の温度平衡を確保す

るため 4∼5 分間放置する。

マイクロピペットでプリズム箱上面にある試料注入孔に試料を入れる。光路調整ノブを回して補助

レンズを光路内に入れ,観測(

7

)

する。

(3)

試料が望遠鏡と同一線にあるように光源の位置を調整し,手車を回して境界線をほぼ十字線の交点に

合わせる。補助レンズで後のプリズム面を見ながらプリズムの左端だけが照らされてくるまで光源を

右方へ移動(

8

)

する。

(4)

接眼レンズを調整し,十字線に焦点を合わせた後,手車で十字線の交点に境界線を合わせ,屈折計の

目盛を読む。光源の位置を再び調整して,同じ測定操作を繰り返す。このようにして少なくとも 4 回

の測定を繰り返し,その平均値(

9

)

を記録する。

(5)  強粘性液の測定する場合は,プリズム箱を開いて,先端を丸くした木の棒(金属及びガラスを

用いてはならない)で試料を平らに広げながら入れる。プリズム箱は丁番と錠の部分を無理に

引っぱらないように静かに閉じる。

(6)

揮発性試料を測定する場合は,プリズム部分又は光源の位置を変えることなく,プリズム面を

きれいにして,試料を入れて直ちに目盛を読む。

(7)

プリズム間の空間が液体で完全に満たされていれば観測面は一様に照らされている。気(ほう)

泡又は液体が満たされていない空間があれば黒く現れる。空間が完全に満たされていないとき

はプリズム箱を数回少し開いて,液を入れる。プリズム間の空間が液体で完全に満たされるま

では屈折率を測定してはならない。

(8)

光源の移動を余り大きく行うと垂直の干渉線が背面に現れるので,移動し過ぎないように注意

する。

(9)

干渉線を間違って読むことを避けるために,同じ光源の位置で 4 回読みとるよりは,測定の度

ごとに光源の位置を調整して測定を行う。

備考  屈折計によっては,測定操作の手順が異なる場合がある。その場合は,その機器の取り扱い説

明書による。


4

K 0517-1976

7.

計算及び報告  目盛りの読み(平均値)を屈折計に附属している換算表で換算して,小数点以下 5 位

まで求め,例えばナトリウム D 線で,測定温度 20℃の場合,

20

D

n

=……として報告する。

8.

測定の精度  精度は,次の基準によって判定する。

(1)

繰り返し精度  同一人,同一装置による 2 回の試験結果の差は,0.00006 を超えてはならない。

(2)

再現精度  別人,別装置による二つの試験結果の差は,0.00006 を超えてはならない。

化学部会  標準炭化水素専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

重  田  為  良

工業技術院公害資源研究所

原      伸  宣

東京工業大学

並  木      昭

通商産業省工業品検査所

冨  田      弘

工業技術院東京工業試験所

太  田  耕  二

通商産業省基礎産業局

森  川      武

工業技術院標準部

浅  川  皓  司

東京化成工業株式会社

江  上      正

高千穂化学工業株式会社

亀  山      清

和光純薬工業株式会社

加  藤      亮

関東高圧化学株式会社

根  本  美  明

関東化学株式会社

大  津      毅

日本揮発油株式会社

梶  川  正  雄

東亜燃料工業株式会社

酒  井  和  男

日本石油株式会社

根  来  一  夫

日本鉱業株式会社

(事務局)

山  田  耕  平

工業技術院標準部繊維化学規格課