>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

JIS K 0410-3-8

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  湿性沈着のサンプリング

JIS K 0410

シリーズは,次に示す各部からなる。

JIS

K

0410-3-1

  水質−サンプリング−第 1 部:サンプリング計画策定の指針

JIS

K

0410-3-2

  水質−サンプリング−第 2 部:サンプリング技術の指針

JIS

K

0410-3-3

  水質−サンプリング−第 3 部:試料の保存及び取扱いの指針

JIS

K

0410-3-4

  水質−サンプリング−第 4 部:天然及び人造湖からのサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-6

  水質−サンプリング−第 6 部:河川水のサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-7

  水質−サンプリング−第 7 部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリング方法の指針

JIS

K

0410-3-8

  水質−サンプリング−第 8 部:湿性沈着のサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-9

  水質−サンプリング−第 9 部:海水のサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-10

  水質−サンプリング−第 10 部:廃水のサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-11

  水質−サンプリング−第 11 部:地下水のサンプリングの指針

JIS

K

0410-3-12

  水質−サンプリング−第 12 部:底質のサンプリングの指針

原国際規格の ISO 5667 シリ−ズには,

第 部∼第 12 部連続で各部が規定されているが,この中の ISO 

5667-5 : 1991

は,飲料水及び食品,清涼飲料水加工処理用水のサンプリングの指針となっており,日本工

業規格の制定は行っていない。


K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

(1) 

目次

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  対象成分

2

4.1

  主成分

2

4.2

  こん跡量の無機及び有機化合物

2

5.

  サンプリング装置,貯蔵及び保存

2

5.1

  試料容器

2

5.2

  試料容器による汚染

3

5.3

  試料容器による吸着

3

5.4

  試料の移し換え

3

5.5

  試料の輸送

3

5.6

  試料の貯蔵

3

5.7

  試料の保存

3

5.8

  サブサンプリング

3

5.9

  現地測定

4

6.

  サンプリング技術

4

6.1

  試料の体積

4

6.2

  有機物質

4

6.3

  物理的測定項目及び無機化合物

4

6.4

  試料の捕集

4

6.5

  サンプラー

5

7.

  サンプリング場所

5

7.1

  一般的考察

5

7.2

  現場設定基

5

7.3

  測定局の密度

8

7.4

  気象学的状況との関係

8

8.

  サンプリングの時期及び頻度

8

8.1

  あらしの解析

8

8.1.1

  イベントサンプリング

8

8.1.2

  逐次サンプリング

8

8.1.3

  指向性サンプリング

8

8.1.4

  連続サンプリング

8

8.2

  年サイクル

8

8.3

  傾向

9


 (ISO 5667-8: 1993)

目次

(2) 

9.

  試験結果の表現

9

10.

  サンプリングの質の管理及びサンプリング計画

9

10.1

  品質の管理

9

10.2

  サンプリング計画書

10

11.

  サンプリングの安全

10

11.1

  一般安全対策

10

11.2

  化学薬品取扱時の安全対策

10

附属書 A(参考)  湿性沈着のサンプリング

11


日本工業規格

JIS

 K

0410-3-8

:

2000

 (I

5667-8:

1993

)

水質−サンプリング−

第 8 部:湿性沈着の

サンプリングの指針

Water quality

−Sampling−

Part 8 : Guidance on the sampling of wet deposition

序文  この規格は,1993 年に第 1 版として発行された ISO 5667-8,Water quality−Sampling−Part 8 : Guidance

on the sampling of wet deposition

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本

工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

−  この規格は,湿性沈着の質のサンプリングに関するサンプリング計画の策定,装置及び技術の選択に

関する指針を示す。雨量の測定については触れない。

−  この規格は,乾性沈着又はもや (mist),霧 (fog),雲水のような別の種類の湿性沈着は,その測定がま

だ研究段階にあるので対象としない。しかし,その重要性については,ときにはその負荷が降水と同

等又はそれを超えることがあるという研究結果からも注目することが望ましい。したがって,降水デ

ータだけで全負荷の計算ができることはまれである。

−  主な目的を 1.1 及び 1.2 に要約する。

1.1

地域排出の規制  湿性沈着による特定の生態系への負荷(すなわち,質量・面積・時間)の決定に

は,点又は面発生源からの汚染物質の排出,変質及び輸送についての情報が必要である。この情報は遠隔

及び地域排出源からの相対負荷の評価とともに,汚染物質の生態系への影響の研究と相まって,妥当な排

出規制の設定に用いることができる。

1.2

大気中汚染物質 (airborne pollutants) の長距離輸送  地域的規模の降水組成の時間的,空間的変化

の測定には,選定した測定局が代表的なものであり,地域の点又は面汚染源から離れていることが必要で

ある。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 5667-8 : 1993

  Water quality−Sampling−Part 8 : Guidance on the sampling of wet deposition


2

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0410-3-1

  水質−サンプリング−第 1 部:サンプリング計画策定の指針

備考  ISO 5667-1 : 1980, Water quality−Sampling−Part 1 : Guidance on the design of sampling

programmes

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

ISO 5667-3 : 1985

  Water quality−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of samples

参考  現在は ISO 5667-3 : 1994 が発行されている。

JIS K 0410-3-3

  水質−サンプリング−第 3 部:試料の保存及び取扱の指針が,ISO 5667-3 : 1994,

Water quality

−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of samples が,こ

の規格と一致している。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

湿性沈差 (wet deposition)   液体(雨)又は固体(雪・氷)として大気中から落ちてきた水。

備考  寒冷地では,冬の降水は通常凍結又は固形物の状態である。降水は水のほか液体の汚染物質を

含むことがある。雪のサンプリングの困難さ(6.4.2 参照)は別として,結果の解釈において考

慮する要因がほかにもある。

3.2

乾性沈着 (dry deposition)   乾性沈着は,水以外のすべての粒子状,液状又は気体状化合物及び粒

子状物質の重力及び乱流過程による沈着である。

41.

対象成分

4.1

主成分  現在使用中の降水監視網 (precipitation monitoring network) の大部分は,主要なイオン類及

び栄養塩類を pH,酸度及び電気伝導率などの他の項目と一緒に測定するように設計されている。

4.2

こん跡量の無機及び有機化合物

−  各種燃料の燃焼及び産業活動の結果,放射性物質を含めて多数のこん跡量の無機化合物が大気中に放

出される。多くのこん跡量の金属が飛散灰粒子に吸着され,これらは容易に降水によって除去され,

又は重力沈降によって地上に沈着する。

−  こん跡量の有機化合物は,その多くが水生生物に対して有毒である点で重要である。沈着速度は緩慢

であるが,過程は連続的であり,時間とともにかなりの蓄積を招くことになる。大気輸送もまた環境

中の有機汚染物質の分布に対する重要な経路である。大気中のこん跡量の元素が雨滴生成の適当な核

になりうる場合には(物質は粒子又は細かいエ−ロゾルの形である。

,大気中に分布する粒子及び蒸

気が降水によって除去される場合と同様にこれらの湿式除去が起こる。

5.

サンプリング装置,貯蔵及び保存  試料の貯蔵及び保存に関する詳細は,ISO 5667-3 を参照するとよ

い。こん跡量の金属及び有機化合物は降水中に極めて微量存在するので,これらの試料を取り扱うときは

汚染を避けるため最大限の注意を払うことが望ましい。

5.1

試料容器  試料の分析に当たる試験室は,試料の採取,貯蔵及び輸送に用いる容器の種類の選定に

ついて相談を受けることが望ましい。


3

 (ISO 5667-8: 1993)

5.1.1

有機物質  容器としては,四ふっ化エチレン樹脂(以下,PTFE という。)内張りのふた付きのほう

けい酸ガラス又は石英ガラス瓶がよい。試験室で試料を取り扱う場合,汚染を避けるため最大限の注意を

払うことが望ましい。

5.1.2

無機物質  無機化合物に対しては,高品質のポリエチレン容器が適しており,最も広く用いられて

いる。しかし,場合によってはガラス,PTFE 又は高品質ポリプロピレン容器も使用できる。

5.2

試料容器による汚染

−  漏斗及び捕集瓶は,各サンプリング後に清浄にすることが望ましい。洗浄過程における汚染を検出す

るために,使用する各タイプ 10 本につき 1 本の試料瓶を次のように処理するとよい。

−  最純の蒸留水を漏斗を用いて瓶に入れる。瓶の内容物を試料と同時に,必要なすべての測定項目につ

いて試料と同じ方法で分析する。この試験結果が“瓶の空試験値”である。

5.3

試料容器による吸着  ある種の試料成分,特にこん跡量の金属及び有機化合物は,試料容器の器壁

に吸着する傾向がある。こん跡量の金属の場合は,試料を硝酸酸性にするとよい。これによって金属イオ

ンを溶液中に保管できる。試料容器又は保存剤を選定する前に,容器及び保存剤が試験項目に対して適切

であるかどうか,また試験室で用いられている試験方法に対して支障がないかどうかを決めるために試験

室の化学者と相談する。

5.4

試料の移し換え  試料の移し換えは,試料汚染の主要な原因の一つであり,できるだけ避けること

が望ましい。無機成分用の捕集器の多くには,密閉できるポリエチレン内張りを用いるとよい。しかし,

試料の移し換えを行う場合は,試料容器及び漏斗は清浄で,移し換えはダストのない場所で行うことが望

ましい。

備考  付近に煙その他の形の汚染(ガソリン又は溶媒蒸気などの)がないことが望ましい。

5.5

試料の輸送  捕集後,試料は常にできるだけ早く分析に供することが望ましい。発送前に,野外サ

ンプリング用紙に記録された試料瓶がすべて箱の中にあることを必ず確認する。発送の日付及び輸送方法

を野外サンプリング用紙に記入する。

研究者も野外サンプリング用紙のコピーを保管しておくことが望ましい。

5.6

試料の貯蔵

−  発送及び発送のための包装を待つ間並びに分析に供するまでの間試験室においては,サンプリング及

び貯蔵の手順書(例えば,ISO 5667-3)に規定するような適切な試料の貯蔵を現場において,行うこ

とが望ましい。

−  現場では,試料は特に試験室で規定しない限り,冷暗所に貯蔵するとよい。

−  輸送時には,試料は気密容器に入れ,断熱コンテナー (insulated container) に貯蔵する。

−  試験室では,試料は特別の貯蔵施設に貯蔵するとよい。

5.7

試料の保存  ISO 5667-3 には,試料の取扱い及び保存の一般指針が示されている。野外で降水を捕

集してから試験室で試料を実際に分析するまでの間に,試料容器の中では物理的変化及び化学的,生物化

学的反応が生じるので,この変化を防ぎ又は最小限にとどめるため,試料は発送前に保存処理を行わなけ

ればならない。これには試料の暗所保管,暗色容器の使用,化学保存剤の添加,反応を遅らせるための温

度低下,試料の凍結,現地抽出操作,カラムクロマトグラフィーなどの方法,又はこれらの方法の組合せ

が用いられる。選んだ保存方法が後の分析を妨害しないように注意しなければならない。

5.8

サブサンプリング  サブサンプリングは現地作業者が行い,瓶ごとにラベルを貼るとよい。特に,

ラベルには試料をろ過したか,試料に化学保存剤を添加したかを明示する。これは後の分析に関係してく

る。


4

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

5.9

現地測定

−  野外測定は常に別のサブ試料について行い,このサブ試料は測定後に廃棄する。これは決して化学分

析用に試験室に持ち帰る水試料について行ってはならない。

−  電気伝導率(比電導度)は,決して pH 測定に使用した試料水について測定してはならない。pH プロ

ーブから拡散した塩化カリウムが試料の電気伝導率を変化させるからである。

6.

サンプリング技術

6.1

試料の体積  降水サンプラーを設計する前に,必要な化学分析を実施し,目的を達成するのに必要

な試料の最小量を,分析を担当する試験室と相談して知っておく必要がある。次いで,最小試料体積を集

めるのに必要な捕集口の面積を,研究計画に応じて一つのイベントと考えられる最小の降水深さから計算

するとよい。この計算にはサンプラーの予想捕集効率を勘定に入れて補正を加えることが望ましい。雨水

のサンプリングのより詳細は 6.4.1 に示す。

6.2

有機物質  有機化学分析用の降水試料を捕集するための試料捕集器は有機物質に“不活性”な材料

で作ることが望ましい。推奨される材料は,ステンレス鋼,ガラス及び PTFE である。プラスチック材料

はすべて避ける。ステンレス鋼を用いるときは,いずれの溶接又はろう付けも試料の吸収表面とならない

ことを確かめる注意が必要である。これらの手法に用いられる融剤のあるものは試料を汚染することがあ

る。降水直後に採取又は抽出したイベント試料だけが,有機測定項目の定量に必要な代表性のある結果を

与えることに注意するとよい。

6.3

物理的測定項目及び無機化合物  無機化学分析用の降水のサンプリングには,プラスチック又はガ

ラス捕集器が推奨される。こん跡量の金属はプラスチック捕集器の内面に吸着されることがあるので,こ

ん跡量の金属試料は吸着を防止し,試料を保存するために一定量の硝酸を入れた別の捕集器に捕集すると

よい。降雨の溶存相と粒子相を区別する必要があるときは,酸性にする前に試料をろ過(例えば,<0.5

µm

メンブレンフィルター)するとよい。

6.4

試料の捕集  降水試料は,製造材料及び現場決定に関する基準が考慮されていれば,簡単な容器か

ら自動湿性沈着専用捕集器 (automatic wet-only collector) に至る適切なものに捕集できる。降水の化学成分

の正確な代表的情報が必要なときは,湿性沈着専用捕集器が推奨される。しかし,全沈着物捕集器 (bulk

collector)

も,それによる結果が湿性沈着専用捕集器によるものとわずかしか異ならないことが立証できれ

ば,使用できる。鳥のふん(糞) (bird droppings) による汚染を防ぐためにいろいろな形の防護物を併用

するとよい。

6.4.1

雨  雨水捕集器の原理は雨を漏斗又はバケツの口に捕集し,取り出すまで貯蔵することである。所

要捕集口の面積を決めることが望ましい。これにはサンプリング戦略が関係する。例えば,サンプリング

網がイベントサンプリングに基づき,対象とする最小イベントが降雨 1mm であれば,開口面積は降水 1mm

で試料 60∼80ml が得られるものであることが望ましい。これが一般に分析に必要な最小体積である。し

かし,最近の分析技術を使用すれば,もっと少量の試料で十分かもしれない。雨量計を用い,捕集器によ

る測定値と実際の雨量計による測定値を比較して捕集効率を求めるとよい。

6.4.2

−  降雪の代表試料の捕集は,穏やかな条件のとき以外は常に困難である。これは捕集器の空気力学的閉

そくによる空気流の排除 (displacement) 及び加速によるものである。その結果,降ってくる雪が捕集

器の開口部から排除されてしまうことになる。

−  この効果は,降下速度が小さい雪のほうが雨の場合より重要である。


5

 (ISO 5667-8: 1993)

−  捕集器内部の風の渦が,集まった雪を捕集器から除いてしまうことがよくあるので,捕集器には雪が

たまりやすいように遮へい(蔽)物を付けた深い円筒を用いるとよい。さらに,湿性沈着専用の雪捕

集器は,加熱して融雪し,捕集器の下部に液体として貯蔵する点を除けば,雨水捕集器に似ているか

ら,標準雪量計を雪捕集器の近くに設置して降雪量を測定するとよい。

6.5

サンプラー  現在,多様な降水サンプラーが市販されている。すべての種類のサンプラーの詳細を

示すことは,この規格の意向ではない。装置の供給者のマニュアル中の取扱説明書及び保守管理手引書を

指針として使用するとよい。

6.5.1

イベントサンプリング

−  作業者が現場にいるか,又は日単位で採取するときは,イベントの始まりに清浄なバケツを置き,イ

ベントの終りには速やかに取り去ることを,最低の要求事項として勧める。しかし,無人 (off-site) の

サンプリングでは,湿度感知グリッド及びモーター駆動のふたを操作するソリッドステート制御回路

を備えた自動湿性沈着専用サンプラーが推奨される。これらのセンサーは,降水の終わりに感知グリ

ッドから水分を蒸発させるためのヒーターを備えている。

−  自動サンプラーの場合,イベントサンプリングは毎日のサンプリング,すなわち,捕集バケツを 24

時間ごとに空にし,又は交換することによって近似させることができる。

6.5.2

混合試料

−  6.5.1 に簡単に述べた自動サンプラーは,混合試料のサンプリングに用いるとよい。サンプリング期間

中イベントごとにふたが自動的に開く。試料は捕集バケツ自身又は漏斗/バケツに附属した瓶の中に

自動的にためることができる。

サンプリング期間の終了時に捕集器を空にするか,

又は瓶を取り外し,

試料は試験室において化学分析に供する。

−  自動採取器を利用できないときは,バケツを用いて各イベントを個別に採取し,大きな瓶で混合試料

を調製することによって同じ効果を達成できる。バケツ中の試料は,各イベントの後に瓶にあける。

漏斗及びバケツは,各降雨イベント後に清浄にする。サンプリング期間の終了時に瓶は,化学分析用

に試験室に持ち込む。

6.5.3

指向性サンプリング  指向性サンプリングは,降水の汚染の原因がどの方向にあるかを決めるとき

に行うとよい。地表付近の指向性サンプリング用に設計された装置は,通常,漏斗及び風向計から構成さ

れている。漏斗の底の出口は,降水を風向計の向きに従って多数の瓶の一つに導く。地表面近くの風向は,

あらしの進行方向とはかなり異なることがあるので,気象データの詳細な解析が必要である。

7.

サンプリング場所

7.1

一般的考察  降水サンプリング網の設計を始める前に,目的を明確にする必要がある。これによっ

て,必要なサンプリングの規模及び密度が決まる。計画は研究目的(例えば,地域汚染源の測定,長距離

輸送の測定,汚染源の数など)に対して特異的で,応用性があり,応え得るものでなければならない。

7.2

現場設定基準 (siting criteria) に関する指針

7.2.1

序文:都市及び遠隔

−  都市及び工業地帯は,一般に地域的問題,又は都市地域汚染源の研究に用いられ,これらは汚染源か

らその影響の及ぶ環境までの距離は数百 m から数 km にわたる短距離である。

−  遠隔現場は,地方的 (regional) 又は大陸規模の研究に用いられる。地方的研究では発生源−受容地

(receptor)

の距離が数十∼数百 km であり,大陸又は広域研究では発生源−受容地の距離は数百∼数千

km

に達する。


6

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

−  地方測定局 (regional station) の主目的は,汚染物質の排出,又は地方の土地利用状況の変化,若しく

はその他人間の活動に起因する大気沈着の長期変化を評価することである。

−  これらの測定局は,建物が密集した地域又はその他の地域汚染源からの汚染のばらつきによって不当

に影響されることがないよう,バックグラウンド調査により決定され,地方の代表的な場所で必然的

に田舎にあることが望ましい。

−  大規模調査のための遠隔現場は気候学的,及び気象学的特性並びに発生源の特質を考慮して選定する

とよい。さらに,この現場は決められたサンプリング期間中,土地利用の変化,建設などを含めて,

いかなる点源,又は地方拡散源の影響も避けることが望ましい。これらは,その地域のバックグラウ

ンド監視又は調査によって決められる。

−  次の現場設定基準は,地方規模の降雨の監視に推奨される。地域発生源に対する一般的現場設定基準

は,そこの事情に応じて決められるべきものであるから,提示できない。地方規模は,通常,地理学

的及び気候学的に十分均質な田園地帯を包含する。それは数十∼数百 km に広がり,その地方外の発

生源からの影響はかなり均質であると考えることができる。この規模のデータの特徴は,降水の沈着

化学に関係する汚染物発生,変質,損失及び輸送の大規模過程に関する情報を与えることである。

−  現場設定基準は,代表的データの収集を保証するために,できる限り従うことが望ましい。この基準

に完全には従えない場合があることも認めなければならない。この場合,基準からのずれを明確にす

る根拠を示す必要がある。

7.2.1.1

既知の人工汚染源からの距離

−  地方的又は大陸的研究では,サンプラーの 50km 以内の降水化学に影響しそうな人工発生源は存在し

ないことが望ましい。現場から 50km 以上離れた発生源が地方的影響を及ぼすと考える。

備考1.  ほとんどすべての小工業化国では,適切な現場を見つけることが困難で,これがこの種の研

究の着手に影響しているようである。

−  現場は,次の場合は,地方代表性があると考えないほうがよい。

a) 10km

以内に連続した工業発生源,市街又は準市街地域がある。

b)

その地方特有のものでない限り,50km 以内に大きな発生源(例えば,年間 SO

2

>10 000t)がある。又

は 50km 以内の点源の排出量合計が年間 10 000t を超える。

c) 1km

以内に地表の汚染物貯蔵所(例えば,塩の山)がある。

d) 1km

以内に大きな輸送基地,炉,焼却器又は下水処理場がある。又は 100m 以内に空輸,船積みその

他,地上輸送のような小さな汚染源又は移動汚染源がある。

7.2.1.2

現場への交通の利便  現場は年間を通じて交通の便,なるべく道路による,がよく,電気の供給

があることが望ましい(できれば)

7.2.1.3

地形

−  サンプラーはなるべく開けた場所で,風からの遮へい物になる木に囲まれた平たんな乱れのない土地

に設置するとよい。サンプラー付近の地面の傾斜に注意する。

−  建物及び樹木は気流を乱し,また,余分な乱流を作り出すことによって,地域的な問題を生じさせる

ことがある。これはサンプラーの捕集効率に影響を及ぼし,しかも,それが極めて接近しているとき

は試料を汚染することがある。これを回避する最低距離を決めることは困難であるが,一般的指針と

して,それらの高さの 5∼10 倍以内(できれば)にサンプラーを接近させないほうがよい。地域の地

形学的要因は,一般に雪の捕集の場合が雨の場合より重要である。

−  選定した場所は適切な防護措置を講じることによって,破壊行為から守ることが望ましい。


7

 (ISO 5667-8: 1993)

−  次の場所は,降水捕集量に劇的な影響を及ぼす強い突風を生じやすいので,避けるほうがよい。

a)

強い垂直渦流帯

b)

りょう(稜)線 (ridge) の風下の渦流帯

c)

風が吹き抜けるりょう線の頂部

d)

建物の屋根

7.2.1.4

植生  サンプラーのすぐ近くの一帯は草で覆われ,なるべくサンプラーから木の高さの 5∼10 倍

以上(できれば)の距離にある樹木に囲まれていることが望ましい。この場所では,耕した畑又は舗装さ

れていない道路(すなわち,植生に覆われていない場所)のような風による汚染源となる箇所がないこと

が望ましい。

7.2.1.5

地面上の高さ  捕集器の口は,風に吹かれた粗い粒子又は水滴が入り込まないように地面の 1∼

2m

上方にあることが望ましい。

7.2.1.6

周辺の阻害物の位置  サンプラーは捕集装置より背の高い障害物からできるだけ離したほうが

よい。一般的指針としては,サンプラーより高い障害物はサンプラー上の高さの 5∼10 倍の距離(できれ

ば)以内に近付けないほうがよい。

7.2.1.7

電力利用の可能性  電力は送電線,電池又は発電機(長期間サンプリングが必要な場合)で供給

できる。サンプラーの近くでは 7.2.1.6 の勧告に従い,送電線は地下にあることが望ましい。発電機の場合

は,排気を浄化し,サンプラーの主風向から少なくとも 10m 風下に設置するとよい。

備考2.  自動サンプラーは,ふた及びセンサーを作動させるための電力が必要である。さらに,電力

は夏季にはサンプラーを冷却し,冬季には試料を加熱,解凍するために必要である。

7.2.1.8

気象学的状況

−  各測定局には独自の地域的気候があり,現場の選定時にはこれを考慮することが望ましい。気象学的

バックグラウンドデータ及び調査は,各現場において現場の選定のために必要である。

−  現場は,これまでのデータの調査又はバックグラウンド研究から定めた国の主要な地理的,気候的地

域を代表するようにネットワークの中で配置することが望ましい。

−  降雨量及び降雪量を正確に計るために,標準雨量計,雪量計を降水化学採取器の付近に設置するとよ

い。

備考3.  気象学的測定は降水化学データの解釈に重要である。したがって,サンプラーが上述の基準

に合うように設置できれば,測候所は理想的な場所である。

なお,原国際規格では,さらに“気象学的測定は降水化学データの解釈に重要である。

”の

表現があるが,重複しているのでこの規格では削除してある。

7.2.2

水上基地 (water based)

−  表面積の大きい外洋,海及び湖では,物質収支計算の入力として水面に直接到達する湿性沈着をはか

る必要をしばしば生じる。この場合,次の三つの形態のいずれかが推奨される。

a)

浮体に載ったサンプラー

b)

浅瀬 (shoal) 上のサンプラー

c)

小島上のサンプラー

−  プラットフォームが浮かんでいるブイでは漂流を避けるためにしっかりと底に固定することが重要で

ある。できれば,悪天候下でもサンプラー及び附属装置を垂直に保つための十分なおもりを付けてお

くとよい。水しぶきの影響を避けるための用心(保護シールドなどの)をすることが望ましい。しか

し,水しぶきの影響を完全に防止することは不可能であり,このことが取り組む研究の種類を制限す


8

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

ることになろう。

7.3

測定局の密度

−  監視網に対する測定局の密度には,二つの要因がある。第一に,ネットワーク内の地域又は地方にわ

たって対象とするパラメーターの空間的変動性,第二に,この変動性の評価に要求される信頼性であ

る。

−  一般に,主要発生源又は発生源地域の風下地域は大きな空間的,時間的変動性を示し,高い測定局密

度が必要である。この密度は発生源地域からの距離によっても変化し,距離が大きくなるにつれて必

要な局の密度は低くなる。

−  局の密度を決める一つの方法は相関関数に基づくもので,近接局との相関が低い地域ではネットワー

ク密度を増やし,高い相関がある地域では減らす。

7.4

気象学的状況との関係

−  気象学的状況の健全な知識は,マクロ規模(すなわち,地方規模)ではネットワークの全体設計に,

またミクロ規模(地域規模)では個々のサンプラーの配置に有用である。

−  ネットワークの設計では,大陸気団の季節的運動及び卓越風の風向を考慮することが望ましい。

8.

サンプリングの時期及び頻度

8.1

あらしの解析

8.1.1

イベントサンプリング  個々の降雨,あらし又は降雪などがイベントである。イベント降水試料の

化学分析によって特定のあらしに付随する汚染物質の性質の決定が可能になり,発生源地方の推定のため

の風の軌跡解析又は同様な技術を利用する機会が与えられる。

8.1.2

逐次サンプリング  一つのイベント期間の降水組成の変化に関する情報が必要なとき逐次サンプ

リングが推奨される。これでは一つの降雨イベントの期間中に,二つ以上の試料を順次捕集する。サンプ

リングは捕集時間又は捕集体積を基に行うことができる。

8.1.3

指向性サンプリング

−  指向性サンプリングは降水の質を決定し,それをあらしの進行方向及び汚染の動きと関係づけること

が必要な場合に用いることが望ましい。

−  この目的に対するサンプリングは,一つイベントについて行うことが望ましい。降水の質と運動を関

連づけるためには,気団の軌跡を計算するため,適切な時間及び広さにわたる気象観測を入手するこ

とが望ましい。このようにして,その軌跡が異なる汚染地域又は地方を横切ってきた気団からの降水

を比較することができる。

8.1.4

連続サンプリング  降水に関する詳細な情報及び関連する要因が必要なときに用いられる連続サ

ンプリングでは,対象種を現地で実時間で連続化学分析する。これは逐次サンプリングよりもよい時間分

解 (time resolution) を示し,降水組成と風向その他気象データとの分単位ごとの相関が分かる。さらに,

貯蔵した降水試料の変質の問題もなくなる。

8.2

年サイクル

−  降水の質の年サイクル(季節的変動)を決めるには,できれば最低 5 年間にわたってサンプリングを

頻繁に(理由がたち,経費的に許されるなら,できれば毎週又は毎日)行うことが望ましい。

−  試料を 1 週間を超えて蓄積すると試料の質に変化を生じることがある。ある場合,例えば,有機成分

を分析するとき,これは長すぎ,毎日のサンプリングを考えるとよい。季節の天候類型によって,季

節の変数に基づいてサンプリングを分級することが可能かもしれない。多量の降水がある季節の間,


9

 (ISO 5667-8: 1993)

より多くの試料を捕集するとよい。

8.3

傾向

−  降水の質の傾向を年基準(季節変動は除いて)で見たいときは,二つの方法を取ることができる。

−  最初の方法は,数年間にわたる等間隔(毎日又は毎週)のサンプリングである。できれば最低 10

年間データが入手できれば,降水の何らかの傾向を十分な信頼性をもって決めることができる。

−  第二の方法は,まず季節変動を決め,次いで,水質変動の最も少ない季節を選ぶ。サンプリングは,

数年間にわたってその季節に実施するとよい。季節平均を傾向分析によって年ごとに比較するとよ

い。

−  第二の方法を選ぶ前に,選んだ季節が正しく,かつ,気象学的状況 (regime),汚染源地帯などがよ

く理解されていることを確かめるために,かなりのバックグラウンド情報を考慮し調査することが

望ましい。

9.

試験結果の表現

−  試験結果は,濃度又は負荷(沈着速度)として表現するとよい。

−  湿性沈着に基づいて負荷を計算する場合には,他の形の沈着の重要性にも注意を払うことが望ましい。

10.

サンプリングの質の管理及びサンプリング計画案 (protocol)

10.1

品質の管理

−  過程の各段階の正確さ及び精度を実証するには,ネットワークのすべての点に関して品質管理試験及

び日常手順 (routines) を内容とする優れた品質保証プログラムが不可欠である。

−  少なくとも,次の事項を含むことが望ましい。

−  一つ以上のネットワーク現場に,一つ以上のサンプラーを設置することが望ましい。これによって

捕集システムの変動性及び降水の場の均質性が示され,かつ,精度の測定ができる。

−  野外容器ブランク(すなわち,水が入っていない状態の捕集器)

−  野外ダイナミックブランク(すなわち,野外捕集器に入れられた水)

−  ブラインド (blind) 試料(標準)の提示

−  野外検査報告書

−  予防的維持管理

−  捕集器,試験室装置などの校正

備考  野外容器ブランク及び野外ダイナミックブランクの目的は,試料容器及び捕集漏斗システムに

おいてどのような汚染を生じるかを決めることである。

−  さらに,試料を分析する試験室では分析方法の操作を確認するために認められている試験室内の操作

(すなわち,空試験,並行試験,対照標準,添加試料)を実施するとよい。

−  最後に,データは,データバンクに納める前に,いろいろな編集及び収支確認を受けることが望まし

い。

−  ネットワークで 2 種類以上のサンプラー又は試験室を用いるときは,同等性の程度をみるために双方

の比較を行うとよい。これは計画に関与している試験室に比較試料を送ったり,ネットワークの少な

くとも一つの現場にサンプラーを共同設置するなどして達成される。この他の指針は ISO/TC 147 SC7

で現在検討中の品質管理に関する文献中に見られる。


10

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

10.2

サンプリング計画書  サンプリング計画書は,サンプリング要員のための確認リストとして,また

試験室における後の評価の資料として使用できる。推奨計画書の一例を

附属書 に示す。計画書にはサン

プリング地点,サンプリングの種類,現場の観察,安定化方法及びサンプリング要員の詳細を含むことが

望ましい。

11.

サンプリングの安全

11.1

一般安全対策

−  JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1)  には,幾つかの安全対策が示されている。

−  サンプリング時の安全及び化学薬品の取扱いに関する国の規制を順守する。試料は広範囲の気象条件

下で捕集されるので,いかなる野外試験でも出会うべき障害に関する知識及び障害を最小にする手段

を考えておくことが望ましい。野外調査員は,サンプリング旅行に出発する前に適切な装備をしてい

ることを確かめるとよい。予防措置としては,特に,孤立した場所又は急速な天候変化を生じる場所

で作業する人には救命用品及び救急用品を勧めたい。

11.2

化学薬品取扱時の安全対策  水試料の保存に使用する酸及び塩基は注意して貯蔵,使用する。蒸気

の吸入又は皮膚,眼及び衣服への直接接触を避けるために十分注意する。酸及び塩基を取り扱うときは保

護眼鏡を使用するとよい。酸及び塩基は口によるピペット操作を行ってはならない。


11

 (ISO 5667-8: 1993)

附属書 A(参考) 

湿性沈着のサンプリング

序文  この附属書は,湿性沈着のサンプリング時における推奨する計画書の一例を参考として示したもの

で,規定の一部ではない。


12

K 0410-3-8: 2000 (ISO 5667-8: 1993)

平成 9 年度  国際整合化調査研究委員会  構成表(平成 10 年 3 月現在)

氏名

所属

(委員長)

並  木      博

横浜国立大学名誉教授

宮  崎  正  浩

1

)

工業技術院標準部消費生活規格課

谷      重  男

2

)

通商産業省環境立地局産業施設課

林      明  夫

3

)

通商産業省環境立地局環境指導課

畑  野      浩

環境庁水質保全局水質規制課

佐  藤  寿  邦

横浜国立大学工学部

中  村  和  憲

工業技術院生命工学工業技術研究所

田  尾  博  明

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部

福  井      学

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部

田  中  宏  明

建設省土木研究所下水道部

菅  谷  芳  雄

国立環境研究所地域環境研究グループ

土  屋  悦  輝

東京都立衛生研究所環境保健部

渡  辺  真利代

東京都立衛生研究所環境保健部

竹  内  準  一

東京都下水道局

日  野  隆  信

千葉県衛生研究所

小  倉  光  夫

神奈川県環境科学センター水質環境部

坂  本      勉

財団法人日本規格協会技術部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会技術部

高  月  峰  夫

財団法人化学品検査協会安全性評価技術研究所

梅  崎  芳  美

社団法人産業環境管理協会名誉参与

横  倉  清  治

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社)

竹  島      正

4

)

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局)

狩  野  久  直

日本錬水株式会社研究所

久  島  俊  和

オルガノ株式会社総合研究所

川  瀬      晃

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部

米  倉  茂  男

元東京都立工業技術センター(現東京都立産業技術研究所)

岩  﨑  岩  次

社団法人日本工業用水協会

(事務局)

宮  寺  秀  雄

社団法人日本工業用水協会

本  郷  秀  昭

社団法人日本工業用水協会

備考

1

)

:発足当初は,西出徹雄(工業技術院標準部消費生活規格課)

2

)

:発足当初は,乾  敏一(通商産業省環境立地局産業施設課)

3

)

:発足当初は,藤冨正晴(通商産業省環境立地局環境指導課)

4

)

:発足当初は,山田昭捷(東京都下水道局)

○は試料採取関係の小委員会委員兼任

(文責  梅崎芳美)