サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 0400-80-10 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 10260 : 1992 (Water quality−

Measurement of biochemical parameters−Spectrometric determination of the chlorophyll-a concentration) を基礎

として用いた。 

JIS K 0400-80-10には,次の附属書がある。 

附属書A(参考) 底生植物濃度の定量 

附属書B(参考) 文献 

附属書1(参考) 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

K 0400-80-10 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 原理 ······························································································································ 2 

4. 試薬 ······························································································································ 2 

5. 装置 ······························································································································ 2 

6. サンプリング方法及び貯蔵 ································································································ 3 

7. 手順 ······························································································································ 3 

7.1 ろ過 ···························································································································· 3 

7.2 抽出方法A ··················································································································· 3 

7.3 抽出方法B ···················································································································· 3 

7.4 吸光度測定 ··················································································································· 4 

8. 計算及び試験結果の表現 ··································································································· 4 

9. 精度 ······························································································································ 5 

10. 試験報告 ······················································································································ 5 

附属書A(参考) 底生植物濃度の定量 ··················································································· 6 

附属書B(参考) 文献 ········································································································ 7 

附属書1(参考) ·················································································································· 8 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 9 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0400-80-10 : 2000 

水質−生化学的パラメータの測定− 

クロロフィルa濃度の吸光光度定量 

Water quality−Measurement of biochemical parameters− 

Spectrometric determination of the chlorophyll-a concentration 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 10260, Water quality−Measurement of biochemical 

parameters−Spectrometric determination of the chlorophyll-a concentrationを翻訳し,技術的内容及び規格票の

様式を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を

日本工業規格として追加している。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

クロロフィルaは,すべての緑色植物中に必ず存在する光合成色素である。表層水中のクロロフィル含有

量は水質の栄養状態の一つの指標である。クロロフィルaの濃度を定量することによって藻類の量及び潜

在的な光合成能についての情報が得られる。クロロフィル類の最も重要な代謝産物は,フェオフィチン類

及びフェオフォルバイド (phaeoforbide) である。クロロフィルとフェオ色素の比は,藻類の生理的状態を

示すものである。 

1. 適用範囲 

1.1 

この規格は,クロロフィルaの濃度の定量方法を規定する。この操作は,天然表層水中の植物プラ

ンクトンに適用でき,また,バイオアッセイにおける藻類成長試験に適用できる。適切なサンプリング方

法を用いれば,これは底生植物群落(付着藻類)にも適用できる(附属書A参照)。 

1.2 

クロロフィルb,クロロフィルcなどの藻類色素及び二,三のクロロフィル代謝産物は,試験に影響

しない。フェオ色素類はクロロフィルaの定量を妨害する。これを補正し,同時に不活性な藻類の分率を

求めるために,フェオ色素を半定量的に定量する。 

1.3 

クロロフィルは,特にそれが抽出されたとき,光及び酸素に対して敏感である。酸化分解及び光化

学的分解を避けるために,試料を明るい光又は空気にさらしてはならない。試料を均一にすると,場合に

よっては抽出効率が向上することがある。 

1.4 

エタノールによる抽出操作は75℃,5分間の加熱を伴い,これはクロロフィラーゼを不活性化し,

色素の分解 (lysis) を促進する。吸光度測定前の抽出物(懸濁物が付着したろ紙以外の)の貯蔵はできるだ

け短いことが望ましいが,4℃の冷蔵では3日間まで可能である。−25℃より低温では,抽出物は最低30

日間貯蔵は可能である。 

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.5 

手順では最終抽出物を清澄にするためにろ過又は遠心分離を行うが,なお,わずかな濁りが残るこ

とがある。酸性化の段階でも濁りを生じることがある。したがって,665nmで測定した吸光度は,750nm

の吸光度を差し引いて,濁りの補正をしなければならない。 

1.6 

ある種の希少な光合成(栄養性)細菌 (phototrophic bacteria) [例えば,クロロビウム (Chlorobium)]

の色素は,クロロフィルaの濃度の定量の妨害になる [1]。665nmの吸光度へのクロロフィルb及びクロ

ロフィルcの寄与は無視できる [2]。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 10260 : 1992, Water quality−Measurement of biochemical parameters−Spectrometric 

determination of the chlorophyll-a concentration (MOD)  

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0410-3-1 水質−サンプリング−第1部:サンプリング計画策定の指針 

備考 ISO 5667-1 : 1980, Water quality−Sampling−Part 1 : Guidance on the design of sampling 

programmesが,この規格と一致している。 

JIS K 0410-3-2 水質−サンプリング−第2部:サンプリング技術の指針 

備考 ISO 5667-2 : 1991, Water quality−Sampling−Part 2 : Guidance on sampling techniquesが,この規

格と一致している。 

JIS K 8101 エタノール (99.5) (試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

3. 原理 ろ過による藻類その他の懸濁物の水試料からの捕集。ろ紙上の残留物から藻類色素を熱エタノ

ールへ抽出。抽出物中のクロロフィルaの濃度の吸光光度定量。抽出物の酸性化前後における665nmの吸

光度の差からクロロフィルaとフェオ色素の濃度の算出 [3] [4]。 

4. 試薬 試薬は,分析用と認められたものだけを,また,水は分析用と同等の純度のイオン交換水だけ

を用いる。 

4.1 

塩酸,c (HCl)=3mol/L JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。 

4.2 

エタノール (C2H5OH), 90% (vol) 溶液 JIS K 8101に規定するエタノール (99.5) を用いて調製す

る。 

備考 通常,エタノールの変性剤は妨害しない。しかし,未知の各バッチについては純エタノール 

(90vol%) による比較試験を勧める [4]。 

5. 装置 通常の試験室用の装置及び 

5.1 

分光光度計 750nmまでの可視部用。分解能1nm,スペクトルバンド幅2nm以下,感度0.001吸光

度単位以下で,光路長1〜5cmの吸収セルを備えたもの。 

5.2 

真空ろ過装置 クランプ付きのろ紙ホルダー。 

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

有機バインダーを含まないガラス繊維ろ紙 水試料のろ過用。1μmを超える粒子の99%以上を捕集

できるもの。適切な直径は25〜50mm。 

5.4 

抽出物ろ過用ろ紙 5.3と同様で,直径の小さいもの。例えば,25mm。又は遠心分離器 加速度6 000G

で適切な抽出管用のローターを備えたものを用いてもよい。 

5.5 

恒温水槽 抽出容器用の台 (rack) を備え,75±1℃に調節できるもの。 

5.6 

抽出容器 例えば,四ふっ化エチレン樹脂 (PTFE) の内張りをしたねじぶた付きの広口褐色ガラス

バイアル。容量30〜50mlで,6 000Gの遠心分離に適したもの。 

6. サンプリング方法及び貯蔵 JIS K 0410-3-1及びJIS K 0410-3-2に従って試料を捕集する。水試料は,

冷暗所に保存すれば8時間未満は容認できるが,できれば,サンプリング直後に7.1〜7.3を実施する。必

要があれば,抽出物をそのまま気密の褐色ガラス製の抽出容器(5.6)に−25℃以下で,30日間まで貯蔵する。

水試料又は固形物が付着したろ紙を凍結貯蔵してはならない。 

7. 手順 

7.1 

ろ過 

− 試料を振り混ぜて,よく混合する。試料の一定量Vs(藻類の濃度によって,普通0.1〜2L)を適切な

ホルダに取り付けたガラス繊維ろ紙(5.3)でろ過する。ろ紙を真空乾燥し,乾いたら直ちにホルダーか

ら取り外し,抽出容器に入れる。抽出容器に収まらない場合は,ちぎって細片にする。 

− 指で触れてはならない。 

7.2 

抽出方法A 

− エタノール(4.2)の必要量を75℃に加熱する。 

− ろ紙又はろ紙片の入った容器に,加熱した少量のエタノール(通常,30〜40ml)を注ぎ入れる。数分

間冷却した後,抽出を容易にするために,なるべく棒状のホモジナイザーでろ紙をすりつぶす。少量

のエタノール(4.2)でホモジナイザーを洗って,付着している試料の粒子を取り除く。この懸濁液から

の抽出は,少なくとも3分間行う。 

備考 通常の抽出は,室温で数時間又は一夜行う。抽出が長引いたり,抽出物を数日間貯蔵する場合

は,抽出容器は冷暗所に保存しておくことが望ましい。 

− 懸濁物を目の細かいろ紙(5.4)で,全量フラスコ.(50ml又は100ml)中にろ過する。抽出容器をエタ

ノール(4.2)で洗って残った抽出物を取り去り,ろ紙もよくすすいで,全量フラスコ中に移す。エタノ

ールを標線まで加え,栓をしてよく混合する。これが液量Veの抽出物である。 

− 7.4を行う。 

7.3 

抽出方法B 

− エタノール(4.2)の一定量Ve(通常,20ml又は25ml)を抽出容器(5.6)にとり,これにろ紙片を浸す。

抽出剤の蒸発損失を防ぐために,ねじぶたをしっかり閉める。少し振り混ぜて,ろ紙片 (filter residue) 

を再び懸濁させる。管を恒温水槽(5.5)中に浸し,抽出剤の水位を水槽の水位に合わせる。必要があれ

ば,少し振り混ぜながら5分間加熱する。抽出容器を恒温水槽から取り出し,約15分間待って室温に

冷却する。 

− 抽出と測定の間の時間はなるべく短いことが望ましい。 

備考1. この段階の抽出物は,測定前一夜,冷暗所に保存してもよい(7.4参照)。貯蔵が長引いても,

3日間を超えてはならない。 

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 抽出物の上澄み液をろ紙(5.4)でろ過し,清浄な抽出容器(5.6)に入れる。ただし,新しい溶媒ですすい

ではならない(備考2.参照)。 

− 又は抽出容器を,清澄な上澄み液が得られるのに十分な時間,遠心分離してもよい。 

− 吸光度の測定には清澄な抽出物又は上澄み液を用いる。 

備考2. この手順を用いた場合,抽出剤の初めの体積Veは正確に分かっており,栓はしっかりと閉ま

っていて,抽出時の蒸発によって減少することはないので,単に抽出物の体積のごく一部を

とれば十分である。さらに,ろ紙(7.1参照)の残留水分は,抽出物の体積の5%よりはるか

に少ないもので無視できる。 

7.4 

吸光度測定 

7.4.1 

− 清浄な抽出液の一部をピペットを用いて吸収セルにとる。酸性化用に十分な量を残しておく(7.4.2参

照)。 

− エタノール(4.2)を満たしたセルを対照として,665nm及び750nmの吸光度(それぞれA665及びA750)

を測定する。 

備考 665nmの吸光度は0.01〜0.8にあることが望ましい。このためには,ろ過した水の体積,抽出液

の体積,希釈,光路長などを適切に選ぶとよい。まず,最初に試料500ml,ろ紙直径50mm,

エタノール20ml及び吸収セル5cmを用いる。 

7.4.2 

抽出物の一部(通常,5〜10ml)を,その体積10ml当たり塩酸(4.1)0.01mlで,酸性にする。振り混

ぜて5〜30分間後,665nm及び750nmの吸光度を再び測定する。 

8. 計算及び試験結果の表現 

8.1 

クロロフィルaの濃度ρc,μg/Lを,次の式によって算出する。 

(

)

d

V

V

R

R

K

A

A

s

e

c

a

c

×

×

×

=

3

10

1

ρ

 ························································ (1) 

ここに,  

A=A665−A750 

酸性化前の抽出物の吸光度(7.4.1参照) 

Aa=A665−A750 

酸性化後の抽出物の吸光度 

Ve 

抽出物の体積,ml 

Vs 

ろ過した試料の体積,L 

Kc=82L/μg・cm 

クロロフィルaに対する比吸収係数 (the specific 
operational spectral absorption coefficient) (数値は 
[2] による) 

R=1.7 

酸性化でフェオフィチンになった純クロロフィルa
溶液に対するA/Aa比(7.4.2参照)(数値は [2] によ
る) 

吸収セルの光路長,cm 

103 

Veに合わせるための係数 

8.2 

フェオ色素の濃度ρp,μg/Lを,次の式によって算出する。 

c

s

e

c

a

p

d

V

V

K

R

A

ρ

ρ

×

×

×

=

3

10

 ··························································· (2) 

8.3 

エタノール90vol%中のクロロフィルaの比吸収係数を82,純クロロフィルaの最大酸比 (R) を1.7

とすると,水試料中のクロロフィルaの濃度ρcは,次のように簡単になる。 

background image

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(

)

d

V

V

A

A

s

e

a

c

×

×

×

=

6.

29

ρ

·························································· (3) 

− フェオ色素の濃度については,式(2)が式(4)のように簡単になる。 

d

V

V

A

s

e

a

p

×

×

×

=

8.

20

ρ

 ································································ (4) 

備考1. フェオ色素の計算値は,クロロフィルaの濃度に比べて信頼性に欠ける。室間試験の結果,ク

ロロフィルaの定量の室間変動は5〜11%,フェオ色素のそれは6〜46%であった。 

2. A/Aa比は,試料中に分解産物でない (undegraded) クロロフィルaだけが存在するときは1.7,

試料中にクロロフィルaの分解産物だけが存在するときは1である。 

エタノール(4.2)中のクロロフィルaに対する比吸収係数 (82) は, [5] に推薦する665nm

における比吸収係数による。そこに示されている数値 (84) は,クロロフィルb及びクロロ

フィルcの存在を見込んだものである。クロロフィルaのアセトン溶液の吸光度は,665nm

で同じ濃度のエタノール溶液のそれより2〜3%高い [2] [4]。 

8.4 

試験結果をμg/L(又はmg/m3)で記録し,有効数字は最大2けた又は小数点以下1位とする。例え

ば 

クロロフィルaの濃度 5.5μg/L 

フェオ色素の濃度 

<0.1μg/L 

9. 精度 1983年に実施された室間試験では表1の結果 [6] が得られた。 

表1 精度データ(1) 

試料 

na 

μg/L 

σr 

μg/L 

VCr 

σR 

μg/L 

VCR 

18 

71 

126.5 

5.46 

4.3 

6.36 

5.0 

18 

70 

2.8 

20.3 

3.67 

18.1 

2.90 

11.3 

17 

67 

5.6 

24.6 

2.21 

9.0 

2.8 

11.4 

:試験室数 

σr 

:繰返し性の標準偏差 

:数値の数 

VCr 

:繰返し性の変動係数 

na 

:外れ値の百分率 

σR 

:再現性の標準偏差 

:全平均 

VCR :再現性の変動係数 

注(1) 一般的には,繰返し性の変動係数の方が再現性の変動係数より

も小さいが,ISOの原文のまま掲載した。 

10. 試験報告 報告書には,次の事項を含めなければならない。 

a) この規格の引用 

b) 水試料の確認 

c) 8.に従った試験結果の表現 

d) もしあれば,試料の前処理 

e) この規格に規定されていないこと及び結果に影響を及ぼす可能性があるすべての状況 

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考) 底生植物濃度の定量 

序文 この附属書は,この規格の参考として記述したものであり,規定の一部ではない。 

A1. 底生植物の定量 植物プランクトンのサンプリングは,JIS K 0410-3-1及びJIS K 0410-3-2に従って

行う。 

底生植物(付着藻類)のサンプリングは,集落を作っている基盤によって異なる。石その他水面下の物

体の一定の表面積をナイフ又はかみそりの刃で削るとよい。砂利及び小石は,直接溶媒中に採取する。ガ

ラススライドなどの水にさらされた人工の基盤を使用すると,容易に定量的サンプリングができる。集落

を生じたガラススライド又は取り外した藻類はサンプリング現場から水と一緒に輸送する。懸濁している

底生藻類又は既知質量の沈積物は,以降,この規格の方法に従って,植物プランクトンと同様に取り扱う。 

A2. 抽出試薬 1966年に藻類の抽出に対してUNESCO-SCORに推薦されて以来,アセトンが広く用いら

れてきた。しかし,アセトンの抽出効率が,ある場合には劣ることが明らかになったので,アルコールを

用いた。熱エタノールとメタノールは同程度に効果的であり,冷アセトンよりはかなり効果的である [4]。

しかし,フェオ色素の妨害を補正するためにクロロフィル抽出物を酸性化する場合には,メタノールの使

用には問題がある。吸収極大が短波長側に移るので,例えば,酸濃度,溶媒及びろ紙の水含有量,酸性化

と測定間の時間などによって,最大酸比がかなり変動することになる。 

これらの問題は手順上の追加措置,例えば,有機塩基(ジメチルアニリン又はジフェニルアニリン)に

よる中和を行うことによって解決される。加えて,メタノールは有毒である。これらの理由によって,淡

水又は海水試料中のクロロフィルaの定量には,基準の抽出剤としてエタノールの使用を勧める。 

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考) 文献 

序文 この附属書は,この規格で参考とした文献を記述したものであり,規定の一部ではない。 

[1] TOLSTOY, A and TOTH, I., Bacteriochlorophyll-d and its interference on determination of chlorophyll a, Arch. 

Hydrobiol. 89 (1980), pp.160-170.  

[2] NUSCH, E. A. , Comparison on different methods for chlorophyll and phaeopigment determination, Arch. 

Hydrobiol. Beih. Ergebn. Limnol. 14 (1980) pp.14-36 

[3] LORENZEN, C. J., Determination of chlorophyll and phaeopigments; spectrophotometric equations, Limnol. 

Oceanogr. 12 (1967) pp.343-346.  

[4] MARMER, A. F. H., NUSCH, E. A. , RAI, H and RIEMANN, B., The measurement of photosynthetic pigments 

in freshwaters and standardization of methods : Conclusions and recommendations.  

Arch. Hydrobiol. Beih. Ergebn. Limnol. 14 (1980) pp.91-106.  

[5] VOLLENWEIDER. R. A. , A mannual on methods of measuring primary production in aquatic environments, 

IBP Handbook No.12, 2nd. ed.(1971) Blackwell Science Publ. Oxford, Edinburgh.  

[6] NUSCH, E. A. , Results from an interlaboratory ring test concerning the determination of chlorophyll a, Z. 

Wasser Abw. Forsch. 17 (1984) pp.189-194.  

K 0400-80-10 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考) 

序文 この附属書は,この規格の参考として記述したものであり,規定の一部ではない。 

抽出溶媒 この規格では,抽出溶媒として従来広く用いられていたアセトンに代わってエタノールを用い

ており,その理由については,附属書AのA2に記述されている。しかし,我が国では,一級水系の河川,

湖沼などについての調査方法などでは,アセトンが用いられている。このほか,メタノールも用いられて

いる。 

建設省河川局監修[河川水質試験方法(案)試験方法編(1997年版)] 

background image

9

K

 0

4

0

0

-8

0

-1

0

 : 

2

0

0

0

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

序文 この附属書は,対応する国際規格との対比表を参考として記述したものであり,規定の一部ではない。 

JIS K 0400-80-10 : 2000 
水質−生化学的パラメータの測定−クロロフィルa濃度の吸光光度定量 

ISO 10260 : 1992 
水質−生化学的指標の測定−クロロフィルa濃度の吸光光度定量 

(I) JISの規定 

(II)

国際
規格
番号 

(III) 国際規格の規定 

(IV) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容 
表示箇所:本体,附属書1 
表示方法:点線の下線,側線 

(V) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

項目番号 

内容 

項目
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内容 

序文 

定形文,附属書1(参考)
を追加 

 定形文 

MOD/追加  附属書1(参考)を追加 

この方法は,これまで国内で使用さ
れてきている経緯があり,参考とし
て紹介した。 

1.適用範囲 

1.  

IDT 

1.1 適用試料,サンプリング方

法など 

1.1 適用試料,サンプリング方

法など 

IDT 

1.2 クロロフィルb, cの影響,

その他の妨害 

1.2 クロロフィルb, cの影響,

その他の妨害 

IDT 

1.3 抽出操作での注意点 

1.3 抽出操作での注意点 

IDT 

1.4 抽出物の保存上の注意点 

1.4 抽出物の保存上の注意点 

IDT 

1.5 抽出液の濁りの補正の必要

性 

1.5 抽出液の濁りの補正の必要

性 

IDT 

1.6 光合成細菌の妨害 

1.6 光合成細菌の妨害 

IDT 

2.引用規格 

サンプリング計画,技術,
試薬 

2. サンプリング計画,技術 

MOD/追加  JIS試薬を追加 

品質が保証された試薬を使用する
必要があるため。 

3.原理 

3.  

IDT 

4.試薬 

4.  

4.1 塩酸,濃度,調製はJIS試

薬 

4.1 塩酸,濃度 

MOD/追加  JIS試薬を規定内容として

追加 

品質が保証された試薬を使用する
必要があるため。 

4.2 エタノール,濃度,調製は

JIS試薬 

4.2 エタノール,濃度 

MOD/追加  JIS試薬を規定内容として

追加 

品質が保証された試薬を使用する
必要があるため。 

5.装置 

5.  

background image

1

0

K

 0

4

0

0

-8

0

-1

0

 : 

2

0

0

0

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I) JISの規定 

(II)

国際
規格
番号 

(III) 国際規格の規定 

(IV) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容 
表示箇所:本体,附属書1 
表示方法:点線の下線,側線 

(V) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

項目番号 

内容 

項目
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内容 

5.1 分光光度計 

5.1 分光光度計 

IDT 

5.2 真空ろ過装置 

5.2 真空ろ過装置 

IDT 

5.3 有機バインダーを含まない

ガラス繊維ろ紙 

5.3 有機バインダーを含まない

ガラス繊維ろ紙 

IDT 

5.4 抽出物ろ過用ろ紙 

5.4 抽出物ろ過用ろ紙 

IDT 

5.5 恒温水槽 

5.5 恒温水槽 

IDT 

5.6 抽出容器 

5.6 抽出容器 

IDT 

6.サンプリ
ング及び貯
蔵 

試料の取扱い 

6. 試料の取扱い 

IDT 

7.手順 

7.  

7.1 試料のろ過法 

7.1 試料のろ過法 

IDT 

7.2 抽出方法A(抽出溶媒に温

エタノール) 

7.2 抽出方法A(抽出溶媒に温

エタノール) 

IDT 

7.3 抽出方法B(抽出溶媒にエ

タノール) 

7.3 抽出方法B(抽出溶媒にエ

タノール) 

IDT 

7.4 吸光度測定 

7.4 吸光度測定 

IDT 

8. 計算及び
試験結果の
表現 

8.  

8.1 クロロフィルaの算出 

8.1 クロロフィルaの算出 

IDT 

8.2 フェオ色素濃度の算出 

8.2 フェオ色素濃度の算出 

IDT 

8.3 クロロフィルa,フェオ色素

の算出(簡便法) 

8.3 クロロフィルa,フェオ色素

の算出(簡便法) 

IDT 

9.精度 

試験室間のデータ 

9. 試験室間のデータ 

MOD/追加  繰返し性の変動係数と再現

性の変動係数が逆転してい
るが,そのまま掲載したこ
とを注で追加した。 

ISO原文の確認,参考文献の確認を
行い,それぞれ同様であったので,
注として表現した。 

background image

11

K

 0

4

0

0

-8

0

-1

0

 : 

2

0

0

0

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I) JISの規定 

(II)

国際
規格
番号 

(III) 国際規格の規定 

(IV) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容 
表示箇所:本体,附属書1 
表示方法:点線の下線,側線 

(V) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

項目番号 

内容 

項目
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内容 

10.試験報告 

規格の引用,測定条件など
報告事項 

10. 規格の引用,測定条件など

報告事項 

IDT 

附属書A(参考)底生植物濃度の定量 

附属書
A(参
考) 

底生植物濃度の定量 

MOD/追加  附属書序文で定形文を追加 JIS Z 8301 : 2000規格票の様式の規

定に従ったため。 

附属書B(参考)文献 

附属書
B(参
考) 

文献 

MOD/追加  附属書序文で定形文を追加 JIS Z 8301 : 2000規格票の様式の規

定に従ったため。 

附属書1(参考) これまで国内で使用されて

いる抽出溶媒(アセトン)
を使用した方法の紹介,そ
の文献 

− 

− 

MOD/追加  これまで国内で使用されて

いた方法(アセトン)の紹
介,その文献 

この方法は,これまで国内で使用さ
れてきている経緯があり,参考とし
て紹介した。 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 
 
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− IDT ························· 技術的差異がない。 
− MOD/追加··············· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− MOD ······················· 国際規格を修正している。 

12 

K 0400-80-10 : 2000 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表(平成11年3月現在) 

氏名 

所属 

(委員長) 

並 木   博 

横浜国立大学名誉教授 

○ 宮 崎 正 浩 

工業技術院標準部消費生活規格課 

谷   重 男 

通商産業省環境立地局産業施設課 

後 藤 芳 一1) 

通商産業省環境立地局環境政策課 

畑 野   浩 

環境庁水質保全局水質規制課 

佐 藤 寿 邦 

横浜国立大学工学部 

○ 渡 辺 真利代 

立正大学地球環境科学部 

○ 中 村 和 憲 

工業技術院生命工学工業技術研究所 

○ 米 澤 義 堯 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

○ 田 中 宏 明 

建設省土木研究所水道部 

○ 菅 谷 芳 雄 

国立環境研究所地域研究グループ 

○ 土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所環境保健部 

日 野 隆 信 

千葉県衛生研究所 

小 倉 光 夫 

神奈川県環境科学センター水質環境部 

○ 坂 本   勉 

財団法人日本規格協会技術部 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会技術部 

○ 高 月 峰 夫 

財団法人化学品検査協会安全性評価技術研究所 

○ 梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会名誉参与 

千 田 正 昭 

社団法人日本分析機器工業会(日本分光株式会社) 

横 倉 清 治 

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社) 

○ 竹 島   正 

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局) 

狩 野 久 直 

日本練水株式会社研究所 

久 島 俊 和 

オルガノ株式会社総合研究所 

○ 川 瀬   晃 

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部 

米 倉 茂 男 

元東京都立工業技術センター(現東京都立産業技術研究所) 

岩 﨑 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

(事務局) 

山 本   功 

社団法人日本工業用水協会 

本 郷 秀 昭 

社団法人日本工業用水協会 

備考1):発足当初は林 明夫(通商産業省環境立地局環境政策課) 

○は、小委員会委員兼任 

文責 渡辺真利代