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K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

JIS K 0400-38-10

には,次の附属書がある。

附属書(参考)  参考文献

JIS K 0400-38

は,次に示す各部からなる。

JIS

K

0400-38-10

  水質−シアン化物の定量−第 1 部:全シアン化物の定量

JIS

K

0400-38-20

  水質−シアン化物の定量−第 2 部:容易に遊離するシアン化物の定量

JIS

K

0400-38-30

  水質−シアン化物の定量−第 3 部:塩化シアンの定量

JIS

K

0400-38-40

  水質−シアン化物の定量−第 4 部:pH6 での拡散によるシアン化物の定量


K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

2

1A.

  引用規格

3

2.

  定義

3

第 1 章  シアン化水素の遊離及び吸収

3

3.

  原理

3

4.

  試薬

3

5.

  装置

4

6.

  サンプリング方法及び試料

5

7.

  手順

6

7.1

  シアン化水素の遊離及び吸収

6

7.2

  空試験

6

7.3

  シアン化物イオンの定量分析

6

第 2 章  シアン化物イオンの定量−ピリジン−バルビツル酸による吸光光度法

6

8.

  適用性

6

9.

  原理

7

10.

  試薬

7

11.

  装置

7

12.

  手順

7

13.

  試験結果の表現

8

14.

  精度

8

15.

  試験報告

8

第 3 章  シアン化物イオンの定量−チンダル効果を用いる滴定法

9

16.

  適用性

9

17.

  原理及び反応

9

18.

  試薬

9

19.

  装

9

20.

  手順

10

21.

  試験結果の表現

10

22.

  精度

11

23.

  試験報告

11

第 4 章  シアン化物イオンの定量−指示薬を用いる滴定法

11

24.

  適用性

11

25.

  原理

11

26.

  試薬

11


K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

目次

(2) 

27.

  装置

11

28.

  手順

12

29.

  試験結果の表現

12

30.

  試験報告

12

附属書(参考)  参考文献

13


日本工業規格

JIS

 K

0400-38-10

: 1999

 (I

6703-1

: 1984

)

水質−シアン化物の定量−

第 1 部:全シアン化物の定量

Water quality

−Determination of cyanide−

Part 1 : Determination of total cyanide

序文  この規格は,1984 年に第 1 版として発行された ISO 6703-1, Water quality-Determination of cyanide-Part

1 : Determination of total cyanide

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本

工業規格である。

シアン化物の毒性に注意し,シアン化物及びその溶液を取り扱うときは特別な注意が必要である。

すべての操作は,ドラフトの中で行う。目及び皮膚への接触は避ける。ピペットを用いるときは常に,安

全ピペット(バルブによるピペット操作)を使用する。試料及びシアン化物又は重金属類を含む溶液は,

公的規制に従って無害化する。

この規格で規定するその他の化学薬品も危険である。例えば,ピリジン。

シアン化物は,シアン化水素酸(青酸)

,シアン化物イオン及びシアノ錯体として水中に存在している。こ

れらは,

全シアン化物又は容易に遊離するシアン化物として定量される。

シアン化合物を塩素処理すれば,

塩化シアン (ClCN) が生成し,この化合物は別に定量しなければならない。

第 部,第 部及び第 部に述べる方法は,水質の管理及び都市下水,工場排水の試験に適している。こ

れらは,処理施設においてシアン化物の分解に用いられる技術として適切であり,これらは,遊離したシ

アン化水素[又は JIS K 0400-38-30 (ISO 6703-3)  では塩化シアン]のキャリヤーガスストリッピングによ

る分離に基づいている。

第 部に規定されている方法は,微量のシアン化物の定量に適しているが,銅及びニッケルの濃度が高い

と影響を受ける。

この規格は,4

章からなる。第 章は,シアン化水素の遊離及び吸収を扱う。他の三つの章はシアン化物

イオンの定量分析のための次のような方法について述べる。

−  ピリジン−バルビツル酸による吸光光度法(

第 章)

−  チンダル効果を用いる滴定法(

第 章)

−  指示薬を用いる滴定法(

第 章)

それぞれの方法には,利点と欠点があるので,三つの方法の明細が必要である。それらはいずれも,すべ

ての場合に適用できるものではない。

それぞれの方法の適用性は 8.16.及び 24.に記載する。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。

備考  シアン化物を含む又はシアン化物を生成する物質の化学的挙動の相違によって,シアン化物イ

オンの定量に,一つの方法だけを規定することはできない。


2

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

1.

適用範囲  この規格は,水中の全シアン化物(2.参照)の定量のための三つの方法について規定する。

この方法は,シアン化物 100mg/未満を含む水に適用する。しかし,より高濃度のものは,試料を適切

に薄めて定量することができる。

方法及びそれに対応する適切なシアン化物含有量の範囲は,次のとおりである。

−  ピリジン−バルビツル酸による吸光光度法:0.002〜0.025mg

−  チンダル効果を用いる滴定法:>0.005mg

−  指示薬を用いる滴定法:>0.05mg

多くのイオン及び化合物が定量を妨害する。これらを,それ未満では妨害しない濃度とともに

表 に示

す(このリストは網羅的ではない。

。単独又はその組合せで存在しても,この限界濃度まではシアン化水

素の分離の妨害とはならない。アルデヒド,例えば,ホルムアルデヒドの存在は,シアノヒドリンの生成

のためシアン化物の値を低くする原因となる。

もし,妨害物質の限界濃度のいずれかが超過しそうであれば,安定化(6.参照)の前に試料を蒸留水で

薄めなければならない。

その他の妨害は,脂肪酸によって起こる。これが蒸留され,アルカリ溶液による滴定時に石けんを生成

する。元素状硫黄の共存によっても妨害が起こる。

表 1  妨害物質

妨害物質

限界濃度

mg/l

硫化物イオン

*

 1

000

多硫化物イオン 500

硫化物及び多硫化物イオン 1

000

硫化物イオン

*

 500

チオ硫酸イオン 1

000

チオシアン酸イオン 1

000

炭酸イオン 1

000

シアン酸イオン 1

000

硝酸イオン 500
亜硝酸イオン 500
アンモニウムイオン 2

000

鉄(II)及び鉄(III)イオン 5

000

銀イオン 50
水銀イオン 50

クロム酸イオン 300
プロピオン酸 1

000

フェノール 1

000

アントラセン 100
ナフタレン 100
アニスアルデヒド 10

ピペロナール 10
ピロール 100
ピリジン 10

塩素(元素) 250
過酸化水素 10
過ほう酸イオン 10

*

いずれかが誤りである。おそらく後者は
亜硫酸イオンと考えられる。


3

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

1A.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8101

  エタノール (99.5) (試薬)

JIS K 8136

  塩化すず(II)二水和物(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8318

  P−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム三水和物(試薬)

JIS K 8322

  クロロホルム(試薬)

JIS K 8362

  酢酸カドミウム二水和物(試薬)

JIS K 8443

  シアン化カリウム(試薬)

JIS K 8495

  P−ジメチルアミノベンジリデンロダニン(試薬)

JIS K 8550

  硝酸銀(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8777

  ピリジン(試薬)

JIS K 8799

  フェノールフタレイン(試薬)

JIS K 8913

  よう化カリウム(試薬)

JIS K 8953

  硫酸亜鉛七水和物(試薬)

JIS K 8961

  硫酸カドミウム−水 (3/8) (試薬)

JIS K 8983

  硫酸銅(II)五水和物(試薬)

2.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

全シアン化物 (totalcyanide)   CN 基をもつ有機物を含めて,この方法の条件下でシアン化水素を生成

する単純又は複雑に結合したシアン化物。シアノヒドリンは一部検出される。水中で一部又は完全に,そ

れぞれ,シアン化物イオン又はシアン化水素酸を生成することが明らかな化合物の CN 基。モノニトリル

類 (R-CN),シアン酸,チオシアン酸イオン及び塩化シアンは含まれない。

第 1 章  シアン化水素の遊離及び吸収 

3.

原理  銅 (I) イオンの存在下での試料と塩酸の加熱。遊離したシアン化水素の水酸化ナトリウム溶液

を含む吸収容器中への空気流による導入。

備考1.  濃度によるが,コバルトのシアノ錯体は5〜15%しか分解されないので,定量的には測定でき

ない。これはある有機シアン化合物にも適用される。

2.

この規定された分解手順のシアノヒドリンへの効果は十分には分かっていない。

4.

試薬  分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな

ければならない。

4.1

塩酸,

ρ

1. 12g/ml 

  JIS K 8180 に規定するもの。

4.2

塩酸,c (HCl)  1mol/l  塩酸(4.1)を用いて調製する。

4.3

水酸化ナトリウム,溶液,c (NaOH)  1mol/l  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調

製する。


4

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

4.4

水酸化ナトリウム,溶液,c (NaOH)  5mol/l  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調

製する。

4.5

塩化すず(II),溶液(

1

)

  JIS K 8136 に規定する塩化すず(II)二水和物 (SnCl

2

・2H

2

O) 50g

を塩酸 (1mol/l) 

(4.2)10ml

に溶かし,水で 100ml に薄める。

毎週新しい溶液を調製する。

4.6

フェノールフタレイン,溶液,クロロホルムを含む  JIS K 8799 に規定するフェノールフタレイン

0.03g

を JIS K 8101 に規定するエタノール 90ml に溶かし,JIS K 8322 に規定するクロロホルム 10ml を加

える。

4.7

硫酸亜鉛−硫酸カドミウム,溶液(

1

)

  JIS K 8953 に規定する硫酸亜鉛七水和物 (ZnSO

4

・7H

2

O) 100g

及び硫酸カドミウム八水和物 (3CdSO

4

・8H

2

O)

JIS K 8961 に規定する硫酸カドミウム−水 (3/8) を用い

る。

]100g を水に溶かし,水で 1 000ml に薄める。

4.8

硫酸銅(II),溶液  JIS K 8983 に規定する硫酸銅(II)五水和物 (CuSO

4

・5H

2

O) 200g

を水に溶かし,水

で 1 000ml に薄める。

4.9

酢酸カドミウム,溶液(

1

)

  JIS K 8362 に規定する酢酸カドミウム二水和物 [Cd (CH

3

COO)

2

・2H

2

O]

300g

を水に溶かし,水で 1 000ml に薄める。

4.10

緩衝液,pH5.4  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム (NaOH) 6g を約 50ml の水に溶かし,これ

に,こはく酸 (C

4

H

6

O

4

) 11.8g

を加え,水で 100ml に薄める。

5.

装置  通常の試験室用の装置,及び

5.1

ストリッピングによるシアン化水素分離装置  図 に示す装置又は同等の装置を推奨する。次の部

品から構成される。

5.1.1

三つ口蒸留フラスコ  容量 500ml,標準コニカルジョイント(センターネック 29/32,サイドネッ

ク 14.5/23)

5.1.2

還流冷却器(リービッヒ冷却器)

5.1.3

吸収容器  逆流防止付き

5.1.4

導入漏斗

5.1.5

流量計

5.1.6

洗浄瓶  容量 250ml,空気洗浄用

5.2

pH

計  蒸留フラスコのサイドネックに適合するガラス電極をもつもの

5.3

全量フラスコ  容量 25,50,250 及び 1 000ml

                                                        

(

1

)

塩化すず(II)は,還元剤として加える。亜鉛塩は,安定なヘキサシアノ鉄酸亜鉛を生成させ,カドミウム塩は,
硫化物を固定用として,及び滅菌効果のために加える。


5

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

図 1  ストリッピングによるシアン化水素の分離装置

6.

サンプリング方法及び試料

−  試料に不溶解のシアン化物が含まれている場合は,試料及び希釈試料中に不溶解物が均一に分布して

いることを確認する必要がある。サンプリング直後に,試料又は希釈試料 1当たり水酸化ナトリウム

溶液(4.4)5ml,フェノールフタレイン溶液(4.6)10ml 及び塩化すず(II)溶液(4.5)5ml を添加する。塩酸


6

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

(lmol/l)  (4.2)

又は水酸化ナトリウム溶液(4.3)を,水がわずかに赤くなるまで滴加し,pH を約 8 に調節

する。色の濃い試料の pH 値は,pH 計(5.2)又は pH 試験紙で確かめて同様に調節する。最後に,試料

1l

当たり硫酸亜鉛−硫酸カドミウム溶液(5.7)10ml を添加する。

−  試料の分析はできるだけ早く行う。試料の貯蔵が必要な場合は冷暗所に保管する。

−  硫酸亜鉛−硫酸カドミウム溶液を添加すると,ヘキサシアノ鉄酸塩を含む沈殿を生成する。

そのため,

分取試料を採取する直前に,試料は均一にしなければならない。繰り返し定量を行う場合,前処理し

た試料の液相におけるシアン化水素酸及びガス状シアン化水素との平衡を乱すことによるガス状シア

ン化水素の損失を小さくするため,分取試料はできるだけ速やかに採取しなければならない。

サンプリング前に必要とする試料の体積がすでに分かっている場合は,この体積だけをとり,その

全試料について定量を行うことを勧める。

7.

手順

7.1

シアン化水素の遊離及び吸収

−  吸収容器(5.1.3)に水酸化ナトリウム溶液(4.3)10ml を入れ,容器を冷却管に接続する。吸引管を取り付

け,空気流量を 20l/h に調節する。次の順序で蒸留フラスコに,水 30ml,硫酸銅(II)溶液(4.8)10ml,塩

化すず(II)溶液(4.5)2ml,試料(6.参照)100ml 及び塩酸 (1mol/l)  (4.1)10ml を加える。水酸化ナトリウ

ム溶液(4.3)約 100ml を入れた洗浄瓶を導入漏斗に接続し,内容物が沸騰するまでフラスコを加熱する。

空気流量を 20l/h に再び調節する。毎秒 1,2 滴の割合で還流させる。

−  もし,シアン化物濃度が低い(0.1mg/未満)ことが予想されるときは,試料の体積を 200ml に増加さ

せてもよい。この場合は,硫酸銅(II)溶液(4.8)の体積を 20ml に,塩化すず(II)溶液(4.5)を 4ml に,塩酸

(lmol/l(4.1)

を 20ml に増加する。

−  1 時間後に煮沸を止める(

2

)

7.2

空試験  8.1 及び第 2章に規定された適切な方法によって,空試験を定量と並行して行う。ただ

し,試料に代えてシアン化物を含まない水を用い,試料と同様な方法で処理する(6.参照)

7.3

シアン化物イオンの定量分析  第 章(ピリジン−バルビツル酸による吸光光度法),第 章(チン

ダル効果を滴定終点に用いる滴定法),第 章(指示薬を滴定終点に用いた滴定法)に規定するように行

う。

第 2 章  シアン化物イオンの定量−ピリジン−バルビツル酸による吸光光度法 

8.

適用性  この方法は,シアン化物 0.002〜0.025mg を含む吸収液に適用できる。シアン化物の含有量が

高い吸収液は水酸化ナトリウム溶液(10.1)で薄めてもよい。

この方法は,窒素酸化物又は二酸化硫黄が,シアン化物の分離中に吸収容器に到達する場合は適用でき

ない。他の妨害物質には,クロラミン T 溶液との作用に影響を与える物質がある。

                                                        

(

2

吸収容器の内容物が濁っていたり,妨害が予想されるとき(例えば,試料が硫化物 1 000mg 以上又は脂肪酸を

含むならば)煮沸及びストリッピング操作を繰り返す。

吸収容器の内容物を導入漏斗を通して,

酢酸カドミウム溶液(4.9)10ml 及び緩衝液(4.10)40ml を入れた 2 番目の

蒸留フラスコに移す。

吸収容器を水約 60ml ですすぎ,洗液を蒸留フラスコの内容物に加える。試薬の追加を行わずに,7.1 に示す

ように,吸収容器への充てん,加熱及びストリッピング操作を繰り返す。


7

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

さらに,着色したり,濁ったりした吸収液及び色素を生成する物質を含む吸収液はこの方法では分析で

きない。

これらの妨害の可能性を考えて,硝酸銀溶液による滴定法(

第 章及び第 章参照)によって結果を確

かめることを推奨する。

9.

原理  シアン化物イオンとクロラミン T の活性塩素との反応。塩化シアンの生成に次いで,これとピ

リジンとの反応によるグルタコンジアルデヒドの生成。これが,2mol のバルビツル酸と縮合して赤紫の色

素を生成。

10.

試薬  分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな

ければならない。

10.1

水酸化ナトリウム,溶液,c (NaOH)  0.4mol/l  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて

調製する。

10.2

シアン化カリウム (KCN)  JIS K 8443 に規定するもの。

10.3

クロラミン T,溶液  クロラミン T 三水和物 (C

7

H

7

ClNaNO

2

S

・3H

2

O) 0.5g

JIS K 8318 に規定する P

−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム三水和物を用いる。

を全量フラスコ 50ml の中で水に溶かし,

標線まで薄める。

毎週,新しい溶液を調製する。

10.4

ピリジン−バルビツル酸溶液

−  バルビツル酸 (C

4

H

4

N

2

O

3

) 3g

を全量フラスコ 50ml に入れ,バルビツル酸をちょうど湿らせるに十分な

水でフラスコの壁を洗い落とす。これに JIS K 8777 に規定するピリジン (C

5

H

5

N) 15ml

を加え,渦を

巻くようにして混合する。塩酸(5.1)3ml を加え,水で標線まで薄める。

−  これを一夜冷蔵庫に貯蔵する。もし,必要があれば,不溶解のバルビツル酸を除くためにろ過する。

この溶液は,暗所に貯蔵すれば,1 日間は安定であり,冷蔵庫に貯蔵すれば 1 週間は安定である。

10.5

シアン化カリウム,10mgCN-/l,標準液

−  シアン化カリウム (KCN) (10.2)25mg を水酸化ナトリウム溶液(10.1)に溶かし,全量フラスコ 1 000ml

の中で,同じ水酸化ナトリウム溶液で 1 000ml に薄める。

−  この溶液は,使用直前に又は多数定量を行う場合は,日に 1 度,硝酸銀溶液(18.1)による滴定によって

標定する。

11.

装置  通常の試験室用の装置,及び

11.1

分光光度計  光路長 10mm のセルを用いる。

12.

手順

12.1

−  吸収容器の内容物を全量フラスコ 25ml に移す。吸収容器を水約 3ml ずつで 3 回すすぎ,すすいだ液

をフラスコに移し,水で標線まで薄め,混合する。

−  この溶液 10ml をピペットで,別の全量フラスコ 25ml に移し,混合しながら緩衝液(4.10)2ml,  塩酸

(1mol/l)  (4.2)4ml

及びクロラミン T 溶液  (10.3)  1ml を加える。このフラスコに栓をし,5±1 分間放置

する。


8

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

−  ピリジン−バルビツル酸溶液(10.4)3ml を加える。水を標線まで加え,混合する。

−  対照液(

3

)

に対して光路長 10mm のセルで,578nm における吸光度を測定する。測定はピリジン−バル

ビツル酸溶液を添加後,20±5 分間後に行う。

−  空試験液(7.2)の吸光度を同様に測定する。

12.2

検量線の作成

12.2.1

標準液の調製

−  シアン化カリウム標準液(10.5)2,5,20 及び 25ml をそれぞれピペットで四つの全量フラスコ 250ml に

とる。水酸化ナトリウム溶液(10.1)で標線まで薄め,混合する。

−  13.1 

第 及び第 段落に従って操作する。

12.2.2

吸光度測定  12.1 の第 段落に従って操作する。

12.2.3

検量線のプロット  溶液のシアン化物含有量,mg,に対して吸光度のグラフをプロットする。吸

光度と濃度との関係は直線である。このグラフはときどき,特に新しい包装の試薬を使用した場合は,確

認する。

標準液の絶対値は,硝酸銀溶液による滴定によって確認する。

13.

試験結果の表現

−  全シアン化物の濃度,mg/は,次の式によって求められる。

(

)

s

b

a

V

f

f

m

m

×

×

×

2

1

100

ここに,

m

a

検量線から読み取った試験液中のシアン化物の含有量,mg

m

b

空試験液のシアン化物の含有量,mg

V

s

試料の体積,ml(8.1 参照)

f

1

=0.4:

吸収容器の内容物の 40%だけを定量に用いたとして

f

2

=0.97:

サンプリング直後に保存剤の添加による試料の体積が増加
する。中和のために,試料各 1当たり,試薬を 10ml 以上を
用いたとき,この係数は,10ml につき 0.01 だけ低くなる。

−  この試験結果は,

表 に示された精度を考慮に入れ,mg/l,で報告する。

14.

精度  表 に示す精度データは,室間試験で得られた。試料はごみ埋立地の地下水から採取した。

15.

試験報告  報告書には,次の事項を含めなければならない。

a)

用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-10 (ISO 6703-1) 

吸光光度法]

b)

結果及び用いた表現方法

c)

定量中に気付いた異常な特別事項

d)

結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の

第 章及び第 章に規定されて

いないか,又は随意と考えられる手順の詳細な説明。

                                                       

(

3

)

吸収液の代わりに,水酸化ナトリウム溶液(10.1)10ml を用いて対照液とする。


9

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

表 2  精度データ(吸光光度法)

試料

試験室数

シアン化物

含有量

mg/l

変動係数

%

ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液 14

4.4  8

安定化した試料 17

0.60

28

ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを添加 
した安定化試料

17

1.0

25

第 3 章  シアン化物イオンの定量−チンダル効果を用いる滴定法 

16.

適用性  この方法は,シアン化物が 0.005mg を超えて含まれている吸収液に適用できる。

この方法は,

吸収液がわずかに濁っているときは滴定できるが,かなり濁っているときは適用できない。

強く濁っている吸収液は,クロロホルム 1〜2ml と振り混ぜることによって

クリーンナップ

すること

ができる。相分離は遠心分離器の使用によって促進できる。

備考  原国際規格では四塩化炭素を使用しているが,この規格ではクロロホルムに変更した。

17.

原理及び反応  シアノ銀錯イオンの生成は,次の式に従う。

2CN

+Ag

→ [Ag (CN)

2

]

ここで,過剰の銀イオンが存在すると,シアン化銀の沈殿が生成する。

[Ag (CN)

2

]

+Ag

→2AgCN

よう化カリウムを添加すると終点の検出が改善される(よう化銀の溶解度積はシアン化銀のそれより小

さいため

I

+Ag

→AgI

コロイド状よう化銀の生成は,チンダル効果によって示される。

18.

試薬  分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな

ければならない。

18.1

硝酸銀,溶液,c (AgNO

3

0.01mol/l  JIS K 8550 に規定する硝酸銀を用いて調製する。

18.2

硝酸銀,溶液,c (AgNO

3

0.001mol/l  この溶液の貯蔵及びビュレットの使用は暗所で行う。この

溶液の力価は頻繁な間隔で確認するか,又は使用前に硝酸銀溶液(18.1)を用いて新しい溶液を調製する。

18.3

よう化カリウム,溶液  JIS K 8913 に規定するよう化カリウム 20g を水に溶かし,水で薄めて 100ml

にする。

19.

装置(図 参照)  通常の試験室用の装置,及び

19.1

自動ビュレット(暗色ガラス)  容量 10ml,0.005ml の正確さで体積が測れるもの。自動ビュレッ

トが入手できなければ,ミクロビュレット。

19.2

マグネチックスターラー  黒い台と黒い回転子付き。

19.3

高輝度光源  例えば,焦点調節ができるレンズ及び絞り付きの顕微鏡ランプ,絞り付きのスライド

プロジェクター,又は絞り若しくは光ファイバー光学系付きのダブルビームランプ。絞り穴の口径は 4〜

6mm

でなければならない。

19.4

滴定容器  ガラス製,印のないもの。内径約 25mm,容量は 20ml。


10

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

20.

手順

−  吸収容器の内容物を全量フラスコ 25ml に移す。この容器を約 3ml ずつの水で 3 回すすぎ,すすぎ液

もこのフラスコに入れ,標線まで水で薄め,混合する。

−  滴定はなるべく,暗い部屋の中で行うとよい。

−  光線のビーム中に全量フラスコを置く(

図 参照)。もし,この溶液が濁っていれば,16.を参照する。

チンダル効果が明確に認められないときは,ピペットを用いてこの溶液 10ml ずつを 2 個とり,2 個の

滴定容器(19.4)に移し,それぞれによう化カリウム溶液(18.3)1 滴を加える。

−  一つの滴定容器をマグネチックスターラーに載せ,回転子を入れる。もう一つの滴定容器を最初の容

器と光源との間に置く(

図 参照)。ダブルビームランプを使用する場合は,容器を並べて置く。硝酸

銀溶液(18.2)が入っているビュレットの先端を溶液の中につけ,マグネチックスターラーのスイッチを

入れて滴定を始める。よう化銀の生成は遅いので,ゆっくりと滴定を行う。

−  チンダル効果による濁りが明りょうに認められるときが終点である。これは硝酸銀溶液を加えない対

照試料との比較によって容易に認めることができる。使用した硝酸銀溶液の体積を記録する。もし,

滴定量が 5ml を超えるときは,全量フラスコから 2 個の少ない分取量(例えば,1ml)をピペットを

用いて二つの滴定容器にとり,これに水酸化ナトリウム溶液(10.1)を加えて全体積を 10ml とする。滴

定を繰り返す。

−  滴定容器を交換し,回転子を入れる。二つ目の溶液を最初と同じ濁りの程度まで滴定し,用いた硝酸

銀溶液の体積を記録する。

−  空試験液(7.2)を用いて同様な操作を行う。この試験において,二つの滴定に使用した硝酸銀溶液の合

計量は,通常が 0.02ml である。ただし,それぞれの場合において,0.04ml を超えてはならない。

図 2  チンダル効果を用いたシアン化物イオンの定量装置

21.

試験結果の表現

−  全シアン化物の濃度,mg/は,次の式によって求められる。

(

)

s

V

f

f

f

V

V

V

×

×

×

×

+

3

2

1

0

2

1

000

1

ここに,

V

0

:  空試験の二つの滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の全体積 (ml)

V

1

:  初めの滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)

V

2

:  2 回目の滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)

V

s

:  試料の体積 (ml)

f

1

= 0.052:0.001mol/硝酸銀溶液 1ml に相当する CN

の質量 (mg)


11

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

f

2

= 0.8:吸収溶液の内容物の 80%だけを滴定に用いたとして

f

3

= 0.97:サンプリング直後の保存剤の添加による試料の体積が増

加する。中和のために,試料各 1当たり,試薬 10ml 以上を用
いたとき,この係数は,10ml につき 0.01 だけ低くなる。

−  試験結果は,

表 に示した精度を考慮に入れて,mg/で報告する。

22.

精度  室間試験から得られた精度データを表 に示す。試料はごみ埋立地の地下水から採取した。

23.

試験報告  報告書には,次の事項を含めなければならない。

a)

用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-10 (ISO 6703-1) 

チンダル効果を用いる滴定法]

b)

結果及び用いた表現方法

c)

定量中に気付いた異常な特別事項

d)

結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の

第 章及び第 章に規定されて

いないか,又は随意と考えられる手順の詳細な説明。

表 3  精度データ(滴定法)

試料

試験室数

シアン化物

含有量

mg/l

変動係数

%

ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液 14

4.5  11

安定化した試料 17

0.62

31

ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを添加 
した安定化試料

17

1.0

21

第 4 章  シアン化物イオンの定量−指示薬を用いる滴定法 

24.

適用性  この方法は,0.05mg を超えるシアン化物を含む吸収溶液に適用できる。

この方法は,吸収溶液に色が付いていたり,強い濁りがあれば適用できない(

4

)

25.

原理  硝酸銀溶液による吸収容器の内容物の滴定。この銀イオンの過剰と 5−(4−ジメチルアミノベ

ンジリデン)ロダニンとの赤い銀錯体の生成。

26.

試薬  分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな

ければならない。

19.

に規定した試薬,及び

26.1

指示薬溶液  5−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ロダニン 0.02g(JIS K 8495 に規定する

ρ

−ジ

メチルアミノベンジリデンロダニンを用いる。

)を JIS K 8034 に規定するアセトンに溶かし,アセトンで

薄めて 100ml とする。

この溶液は,暗所に保管すれば約 1 週間は安定である。

27.

装置  通常の試験室用の装置,及び

27.1

マグネチックスターラー  回転子付き

                                                       

(

4

)

色が付いたり,著しい濁りがあれば,電位差法を用いる。


12

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

27.2

ビュレット  容量 10ml

27.3

滴定容器  ガラス製,容量 50ml

28.

手順

−  吸収容器の内容物をビーカー50ml に移す。この容器を水約 5ml ずつで 3 回すすぎ,すすいだ液をビー

カーに加える。指示薬溶液(26.1)0.1ml を加える。硝酸銀溶液(18.2)を入れたビュレットの先端を液に浸

す。マグネチックスターラーのスイッチを入れて,液の色が黄色から赤に変わるまで滴定する。

色はごく短い時間安定である。

もし,硝酸銀溶液(18.2)が 10ml 以上必要であれば,硝酸銀溶液(18.1)を用いて滴定する。

−  空試験液を使用して,同様に行う(

5

)

この空試験においては硝酸銀溶液(18.2)の体積は通常 0.08ml である。しかし,0.2ml を超えてはなら

ない。

29.

試験結果の表現

−  全シアン化物の濃度,mg/は,次の式によって求められる。

(

)

s

V

f

f

V

V

×

×

×

2

1

0

1

000

1

ここに,

V

0

:  空試験に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (mg)

V

1

:  滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (mg)

V

s

:  試料の体積 (mg) (7.1 参照)

f

1

= 0.052:0.001mol/の硝酸銀溶液(18.2 参照)の 1ml に相当する

CN

の質量 (mg)

f

2

= 0.97:サンプリング直後に添加した保存剤によって試料体積が

増加したとして。この係数は,中和によって,試料各 1当たり,
試薬 10ml 以上を用いたとき,10ml につき 0.01 だけ低くなる。

− 0.1mg/近くまでの結果を報告する。

備考  もし,0.01mol/硝酸銀溶液(18.1)を使用したときは,適切な補正を行わなければならない。

30.

試験報告  報告書には,次の事項を含めなければならない。

a)

用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-10 (ISO 6703-1) 

指示薬を用いる滴定法]

b)

結果及び用いた表現方法

c)

定量中に気付いた異常な特別事項

d)

結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の

第 章及び第 章に規定されて

いないか,又は随意と考えられる手順の詳細な説明。

                                                       

(

5

)

空試験液は,水酸化ナトリウム溶液(4.3)10ml 及び水 20ml を用いて調製する。


13

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

附属書(参考)  参考文献

序文  この附属書は,この規格で参考とした文献を記述したものであり,規定の一部ではない。

[1]

 Mertens.

H.,

Z. f. Wasser und Abwasser-Forschung. 9, (1976), pp. 183-195.

[2]

 Mertens.

H.,

Vom. Wasser52, (1979), pp. 61-74.


14

K 0400-38-10 : 1999 (ISO 6703-1 : 1984)

平成 8 年度  JIS K 0102  改正原案作成委員会  構成表(平成 9 年 3 月現在)

氏名

所属

(委員長)

並  木      博

工学院大学工学部

佐  藤  寿  邦

横浜国立大学工学部

西  出  徹  雄  1)

工業技術院標準部消費生活規格課

乾      敏  一  2)

通商産業省環境立地局産業施設課

畑  野      浩  3)

環境庁水質保全局水質規制課

中  村      進

工業技術院物質工学技術研究所計測化学部

中  村  和  憲

工業技術院生命工学工業技術研究所

田  尾  博  明

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部

田  中  宏  明

建設省土木研究所下水道部

柴  田  康  行

国立環境研究所化学環境部

土  屋  悦  輝

東京都立衛生研究所環境保全部

渡  辺  真利代

東京都立衛生研究所環境保全部

日  野  隆  信

千葉県衛生研究所

小  倉  光  夫

神奈川県環境科学センター水質環境部

西  尾  高  好

財団法人日本環境衛生センター東日本支局環境科学部

坂  本      勉

財団法人日本規格協会技術部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会技術部

浅  田  正  三

財団法人日本品質保証機構環境計画センター

梅  崎  芳  美

社団法人産業環境管理協会名誉参与

横  倉  清  治

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社 
総合研究所)

神  代      啓

社団法人日本化学工業協会

池  田  久  幸

社団法人日本分析機器工業会(横河アナリティカルシステ 
ムズ株式会社)

長  澤  忠  彦

社団法人日本鉄鋼連盟(住友金属工業株式会社)

山  田  昭  捷

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局流域下水道本部)

土  屋  徳  之

石油連盟(興亜石油株式会社)

松  谷  成  晃

日本石鹸洗剤工業会(ライオン株式会社研究開発本部)

波多江  正  和

日本製紙連合会技術環境部

佐  山  恭  正

日本鉱業協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所)

狩  野  久  直

日本練水株式会社研究所

久  島  俊  和

オルガノ株式会社総合研究所

川  瀬      晃

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部

米  倉  茂  男

元東京都立工業技術センター

岩  崎  岩  次

社団法人日本工業用水協会

(事務局)

秋  本      孝

社団法人日本工業用水協会

飛  渡  祥  弘

社団法人日本工業用水協会

本  郷  秀  昭

社団法人日本工業用水協会

備考  1):発足当初は岡林哲夫(工業技術院標準部繊維化学規格課)

2)

:発足当初は相澤徹(通商産業省環境立地局産業施設課)

3)

:発足当初は飯島孝(環境庁水質保全局水質規制課)

○は幹事兼任

(文責  梅崎  芳美)