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K 0400-35-10 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。


K 0400-35-10 : 1999

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

1.1

  応用範囲

1

1.2

  妨害物質

1

2.

  引用規格

2

3.

  原理

2

4.

  試薬

3

5.

  装置

3

6.

  手順

3

6.1

  滴定

3

6.2

  空試験

4

7.

  試験結果の表現

4

7.1

  計算

4

7.2

  精度

4

8.

  試験報告

4


日本工業規格

JIS

 K

0400-35-10

: 1999

水質−塩化物の定量−

クロム酸塩を指示薬とする

硝酸銀滴定(モール法)

Water quality

−Determination of chloride−Silver nitrate titration

with chromate indicator (Mohr’s method)

序文  この規格は,1989 年に第 1 版として発行された ISO 9297,Water quality−Determination of chloride

−Silver nitrate titration with chromate indicator (Mohr's method)  を翻訳し,技術的内容を変更することなく作

成した日本工業規格である。ただし,原国際規格の適用範囲の 1.2 では飲料水も規定されているが,この

規格では除いてある。

ほとんどすべての天然水は,雨水,多くの廃水と同様に塩化物イオンを含んでいる。その濃度は天然水

の数 mg/から汚濁廃水,海水,塩水化した地下水の極めて高い濃度までいろいろである。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲

1.1

応用範囲  この規格は,水中の溶存塩化物の定量のための滴定法について規定する。この方法は,5

150mg/の濃度の溶存塩化物の直接定量に適用できる。適用範囲は,容量の大きいビュレットを用いる

か,又は試料の希釈によって,400mg/まで拡張することができる。多くの妨害のため,この方法は,塩

化物の含有量の低い高汚濁水には適用できない。

1.2

妨害物質  地下水及び表層水の通常濃度の通常成分は,定量を妨害しない。

この方法では,次の物質が妨害する。

−  臭化物,よう化物,硫化物,シアン化物,ヘキサシアノ鉄 (II) 酸塩,ヘキサシアノ鉄 (III) 酸塩

など不溶性の銀化合物を生成する物質。必要ならば,臭化物及びよう化物イオンを別に定量し,

それに応じて塩化物の定量結果を補正しなければならない。

−  アンモニウム,チオ硫酸イオンなどの銀イオンと錯体を生成する化合物。

−  鉄 (II) ,亜硫酸イオンなどクロム酸イオンを還元する化合物。

上記の妨害は,塩化物の値を高くするであろう。

強い着色又は濁りのある溶液,例えば,水和酸化鉄は,終点を不明りょうにする。

塩化物 70mg 共存下において,結果に約 2%の増加を与える妨害物質の濃度,mg/

λ

,の一覧表を

表 

示す。


2

K 0400-35-10 : 1999

表 1  妨害物質

物質

妨害する量

mg/l

Br

-

      3

I

-

      5

S

2-

        0.8

CN

-

      1

Fe (CN)

6

4-

      2

Fe (CN)

6

3-

      2

NH

4

+

100

S

2

O

3

2-

200

SO

3

2-

    70

SCN

-

      3

CrO

4

2-

 1

000

PO

4

3-

    25

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 9297 : 1989 Water quality

−Determination of chloride−Silver nitrate titration with chromate

indicator (Mohr’s method)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す

るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新

版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

JIS K 8312

  クロム酸カリウム(試薬)

JIS K 8550

  硝酸銀(試薬)

JIS K 8617

  炭酸カルシウム(試薬)

JIS K 8622

  炭酸水素ナトリウム(試薬)

ISO 385-1 : 1984, Laboratory glassware

−Burettes−Part 1 : General requirements.

ISO 5667-1 : 1980, Water quality

−Sampling−Part 1 : Guidance on the design of sampling programmes

ISO 5667-2 : 1982, Water quality

−Sampling−Part 2 : Guidance on sampling techniques.

参考  現在は ISO 5667-2 : 1991 が発行されている。

ISO 5667-3 : 1985, Water quality

−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of samples.

参考  現在は ISO 5667-3 : 1994 が発行されている。

ISO 5725 : 1986, Precision of test methods

−Determination of repeatability and reproducibility for a standard

test method by inter-laboratory tests.

参考  現在は ISO 5725-1: 1994 が発行されている。

3.

原理  添加した銀イオンと不溶性の塩化銀を生成して定量的に沈殿する塩化物の反応。指示薬として

加えたクロム酸イオンと赤褐色のクロム酸銀を生成する銀イオンの少過剰の添加。この反応が終点の指示

に用いられる。沈殿させるために,滴定中は pH5∼9.5 の範囲に保つ。


3

K 0400-35-10 : 1999

4.

試薬  試薬はすべて分析用と認められたものだけを,また,蒸留水又はこれと同程度の純度の水だけ

を用いる。

備考  銀化合物とその溶液は,すべて光に鋭敏である。銀塩は一時的に皮膚に褐色のしみをつける。

4.1

硝酸銀,標準液,c (AgNO

3

0.02mol/l

  あらかじめ 105℃で乾燥した JIS K 8550 に規定する硝酸銀

(AgN0

3

) 3.397 4g

を水に溶かし,全量フラスコ中で 1 000ml に薄める。

暗色又は褐色ガラス瓶にガラス栓をして暗所で貯蔵すれば,この溶液は数か月間安定である。

この溶液は,6.1 の操作に従って,塩化ナトリウム標準液 10ml(100ml に薄めた)に対して標定する。

なお,pH の調節は行う必要はない。

4.2

クロム酸カリウム,指示薬,100g/溶液  JIS K 8312 に規定するクロム酸カリウム (K

2

CrO

4

) 10g

水に溶かし,100ml に薄める。

4.3

塩化ナトリウム,標準液,c (NaCl)  0.02mol/l  あらかじめ 105℃で乾燥した JIS K 8005 に規定す

る容量分析用標準物質の塩化ナトリウム (NaCl) 1.168 8g を水に溶かし,全量フラスコ中で 1 000ml に薄め

る。

4.4

硝酸,c (HNO

3

0.1mol/l

  ガラス瓶に入れて貯蔵すれば溶液は無期限に安定である。

4.5

水酸化ナトリウム,溶液,c (NaOH) 

0.1mol/l

4.6

試薬  緩衝能力を改善するためのもの。

粉末状の JIS K 8617 に規定する炭酸カルシウム (CaCO

3

)

又は JIS K 8622 に規定する炭酸水素ナトリウ

ム (NaHCO

3

)

5.

装置  通常の試験室用の設備,及び

5.1

ビュレット  容量 25ml,ISO 385-1 に従うもの。

6.

手順  サンプリング及び試料の保存は,ISO 5667-1ISO 5667-2 及び ISO 5667-3 による。

6.1

滴定

−  測定試料 100ml,又はそれより少量の試料を 100ml に薄め(体積 V

2

)白い磁器皿並びに白い背景をつ

けたコニカルフラスコ又はビーカーにピペットでとる。

−  試料の pH が 5∼9.5 の範囲を外れる場合には,適宜,硝酸(4.4)又は水酸化ナトリウム溶液(4.5)を用い

て pH を調節し,その所要量を書き留める。

−  試料中のアンモニウムイオンの濃度が 10mg/l

を超える場合には,pH を 6.5∼7 に調節する。

−  一つの溶液試料について pH を調節し,次にもう一つの試料をとり,このときは,pH を測定すること

なく,同量の酸又は水酸化物溶液を加える。

備考  試料の pH が 5 未満の場合には,JIS K 8617 に規定する炭酸カルシウム又は JIS K 8622 に規定

する炭酸水素ナトリウム(4.6)を用いて pH を調節することが望ましい。

これは,また,試料の緩衝能力を大きくすることにもなる。

添加量は,滴定が終わってもなお試料中に炭酸塩の沈殿(炭酸カルシウムを用いたとき)が

残るようにするとよい。

−  クロム酸カリウム指示薬溶液(4.2)1ml を加える。溶液の色がちょうど赤味を帯びた褐色に変わるまで,

硝酸銀溶液を 1 滴ずつ加え,滴定する(

体積 V

3

−  塩化ナトリウム溶液(4.3)1 滴を加えると,色は消える。

−  塩化ナトリウム溶液で処理された試料は,次の滴定に比較として使用する。


4

K 0400-35-10 : 1999

−  滴定液の体積が 25ml を超えるときは,容量の大きいビュレットを用いるか,又はもっと少ない測定

試料を用いて定量を繰り返す。

6.2

空試験

−  測定試料の代わりに水 100ml を用いて,6.1 に従って,空試験液を滴定する。

−  空試験値は,4.1 の 0.2ml を超えない。超える場合には,水の純度を確かめる。

7.

試験結果の表現

7.1

計算

−  塩化物の含有量,

ρ

c

1

,mg/ l は,次の式で与えられる。

ρ

C1

(

)

2

V

f

c

V

V

b

s

×

×

ここに,

ρ

C1

塩化物の濃度 (mg/

 l

)

V

2

試験試料の体積 (ml) (最大 100ml:希釈を考慮すること)

V

b

空試験の滴定に要した硝酸銀溶液の体積 (ml)

V

S

試料の滴定に要した硝酸銀溶液(4.1)の体積 (ml)

c

硝酸銀溶液の実際の濃度 (mol/

 l

)

f

換算係数,

f

=35 453mg/mol

−  有効数字は 3 けたまでとし,1mg/

 l

までの結果を報告する。

7.2

精度  この方法の精度を表 に示す。(

1

)

8.

試験報告  報告書には,次の事項を含まなければならない。

a)

この規格の引用

b)

試料を完全な確認のために必要なすべての情報

c)

結果及び使用した表現方法

d)

結果に影響を与える可能性のある不随的事項とともに,この規格に規定されていないか,又は随意と

考えられる操作手順の詳細な説明。

表 2  精度データ

試料

L N 

mg/

 l

x

mg/

 l

σ

r

mg/

 l

CV

r

%

σ

R

mg/

 l

CV

R

%

飲料水 11

44

12.57

12.75

0.213

1.7

0.572

4.5

飲料水,塩化物イオン添加

9

36

63.79

64.20

0.372

0.6

0.787 1.2

都市下水 10

39

106.4

106.6

0.676

0.6

1.287

1.2

ここに,

L

試験室数

x

真値

σ

R

再現性の標準偏差

σ

r

繰返し性の標準偏差

N

値の数

x

平均値

CV

r

繰返し性の変動係数

CV

R

再現性の変動係数

                                                        

(

1

)

数値は,1983 年ドイツで行われた室間試験のもの。方法は外れ値の除外方法を除いて ISO 5725 によ

る。


5

K 0400-35-10 : 1999

平成 8 年度  JIS K 0102 改正原案作成委員会  構成表(平成 9 年 3 月現在)

氏名

所属

(委員長)

並  木      博

工学院大学工学部

佐  藤  寿  邦

横浜国立大学工学部

西  出  徹  雄 1)

工業技術院標準部消費生活規格課

乾      敏  一 2)

通商産業省環境立地局産業施設課

畑  野      浩 3)

環境庁水質保全局水質規制課

中  村      進

工業技術院物質工学技術研究所計測化学部

中  村  和  憲

工業技術院生命工学工業技術研究所

田  尾  博  明

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部

田  中  宏  明

建設省土木研究所下水道部

柴  田  康  行

国立環境研究所化学環境部

土  屋  悦  輝

東京都立衛生研究所環境保全部

渡  辺  真利代

東京都立衛生研究所環境保全部

日  野  隆  信

千葉県衛生研究所

小  倉  光  夫

神奈川県環境科学センター水質環境部

西  尾  高  好

財団法人日本環境衛生センター東日本支局環境科学

坂  本      勉

財団法人日本規格協会技術部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会技術部

浅  田  正  三

財団法人日本品質保証機構環境計画センター

梅  崎  芳  美

社団法人産業環境管理協会名誉参与

横  倉  清  治

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式

会社総合研究所)

神  代      啓

社団法人日本化学工業協会

池  田  久  幸

社団法人日本分析機器工業会(横河アナリティカルシ

ステムズ株式会社)

長  澤  忠  彦

社団法人日本鉄鋼連盟(住友金属工業株式会社)

山  田  昭  捷

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局流域下水道

本部)

土  屋  徳  之

石油連盟(興亜石油株式会社)

松  谷  成  晃

日本石鹸洗剤工業会(ライオン株式会社研究開発本

部)

波多江  正  和

日本製紙連合会技術環境部

佐  山  恭  正

日本鉱業協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所)

狩  野  久  直

日本練水株式会社研究所

久  島  俊  和

オルガノ株式会社総合研究所

川  瀬      晃

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部

米  倉  茂  男

元東京都立工業技術センター

岩  崎  岩  次

社団法人日本工業用水協会

(事務局)

秋  本      孝

社団法人日本工業用水協会

飛  渡  祥  弘

社団法人日本工業用水協会

本  郷  秀  昭

社団法人日本工業用水協会

備考1)  :発足当初は岡林哲夫(工業技術院標準部繊維化学規格課)

    2)  :発足当初は相澤徹(通商産業省環境立地局産業施設課) 

    3)  :発足当初は飯島孝(環境庁水質保全局水質規制課)

○は幹事兼任

(文責  梅崎  芳美)