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K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。


K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  原理

2

4.

  妨害物質

2

5.

  試薬

3

6.

  装置

3

7.

  サンプリング方法及び試料調製

5

8.

  手順

5

8.1

  濃縮

5

8.2

  ガスクロマトグラフ法

6

8.3

  空試験

6

9.

  内標準を用いた全手順をとおしての校正

7

10.

  評価

8

11.

  結果の表現

8

12.

  試験報告

8


日本工業規格

JIS

 K

0400-28-20

 : 1999

 (ISO

8165-1

 : 1992

)

水質−一価フェノール類の定量

−第 1 部:溶媒抽出濃縮後の

ガスクロマトグラフ法

Water quality Determination of selected monovalent phenols

Part 1 Gas-chromatographic method after enrichment by extraction

序文  この規格は,1992 年に第 1 版として発行された ISO 8165-1, Water quality Determination of selected

monovalent phenols

−Part 1 : Gas-chromatographic method after enrichment by extraction を翻訳し,技術的内容

及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

ガスクロマトグラフ法によるフェノール類の定量において,幾つかの前処理法が解決すべき問題に応じて

適用される。基本的には,この規格に示されている溶媒抽出方法がすべての水に適用されている。他の試

験方法と比較してこの操作による定量限界はそれほどに低くはない。一方,他の方法はアミン,ときには

アルコール類などの化合物による妨害を受けやすいため全種類の廃水には適用できない。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,表 に示すフェノール類の 0.1

µg/l∼1mg/の濃度を定量する方法として規定

している。その濃度範囲は,測定するフェノール類の性質及び使用するガスクロマトグラフ法によって異

なる。

他の一価フェノール類も,この方法の手順に従って分析できるが,この方法の適合性はそれぞれの場合

について検討することが望ましい。


2

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

表 1  この方法によって測定できるフェノール類

フェノール 2,

4

−ジクロロフェノール

2

−メチルフェノール 2,

5

−ジクロロフェノール

3

−メチルフェノール 2,

6

−ジクロロフェノール

4

−メチルフェノール 2,

4,

6

−トリクロロフェノール

2, 4

−ジメチルフェノール 2,

3,

5

−トリクロロフェノール

4

−エチルフェノール 2,

4,

5

−トリクロロフェノール

2,6

−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール

2, 3, 6

−トリクロロフェノール

2

−フェニルフェノール

2, 3, 4, 5

−テトラクロロフェノール

2

−ベンジルフェノール

2, 3, 4, 6

−テトラクロロフェノール

2

−ベンジル−4−メチルフェノール

2, 3, 5, 6

−テトラクロロフェノール

2

−クロロフェノール

ペンタクロロフェノール

3

−クロロフェノール

1

−ナフトール

4

−クロロフェノール

2

−ナフトール

4

−クロロ−2−メチルフェノール

6

−クロロ−3−メチルフェノール

4

−クロロ−3−メチルフェノール

2

−クロロ−4−tert−ブチルフェノール

2, 4

−ジクロロ−3, 5−ジメチルフェノール

4

−クロロ−2−ベンジルフェノール

2

−シクロペンチル−4−クロロフェノール

6

−クロロチモール

2, 3

−ジクロロフェノール

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8061

  亜硫酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8103

  ジエチルエーテル(試薬)

JIS K 8461

  1, 4−ジオキサン(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8891

  メタノール(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 8987

  硫酸ナトリウム(試薬)

3.

原理  ろ過していない試料のジエチルエーテルによる抽出と抽出物中のフェノール化合物の濃縮を定

められた条件のもとで行う。ガスクロマトグラフ法による測定には,異なった極性の 2 種のキャピラリー

カラム(同時にスプリットする。

)水素炎イオン化検出器 (FID) を使用する。また,クロロフェノール類

の場合は,電子捕獲検出器 (ECD) によって検出する。

4.

妨害物質  界面活性剤,乳化剤及び高濃度のアセトン,メタノールなどの極性溶媒は抽出に影響する。

試料中の懸濁粒子もまた抽出を妨害する。水試料中の他の液相(例えば,鉱油化合物,高揮発性塩素化炭

化水素,乳化した脂肪及びワックス)は,前処理と抽出操作を妨害する。このような場合,水相だけを試

験に用い,非水相の量を結果に記録しなければならない。

ガスクロマトグラフシステムについての妨害は種々の原因から起こり,使用者は操作マニュアルを参考

にして検討しなければならない。


3

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

5.

試薬  水及び試薬は一価フェノールをほとんど含まないものを使用する。水の空試験は 8.3 に従って

行う。もし,必要ならば,水を水酸化ナトリウムでアルカリ性として蒸留し,精製することが望ましい。

5.1

硫酸 (13)  JIS K 8951 に規定する硫酸を用いて調製する。

5.2

水酸化ナトリウム溶液 I, c2mol/l  JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製する。

5.3

水酸化ナトリウム溶液 II, c0.2mol/l  水酸化ナトリウム(5.2)を用いて 10 倍に希釈する。

5.4

亜硫酸ナトリウム (Na

2

SO

3

)

  JIS K 8061 に規定するもの。

5.5

メタノール (CH

3

OH)

  JIS K 8891 に規定するもの。

5.6

ジオキサン (C

4

H

8

O

2

)

  必要な場合は使用前に蒸留する。JIS K 8461 に規定する 1, 4−ジオキサンを

用いる。

5.7

ジエチルエーテル (C

4

H

10

O)

  JIS K 8103 に規定するもの。通常エーテルは,2, 6−ジ−tert−ブチル

フェノール[2, 6−ビス(1. 1’−ジメチルエチル)フェノール]又は 2, 6−ジ−tert−ブチル−4 メチルフェ

ノール「2, 6−ビス(1, 1’  −ジメチルエチル)−4−メチルフェノール]を加えて安定化させており,使用

前に次のようにして精製しなければならない。

水酸化ナトリウム溶液 I(5.2)[原国際規格では(5.3)となっているが,誤りであろう。

]10ml を JIS K 8103

に規定するジエチルエーテル 500ml に加え,50cm のビグリュウーカラムを用いて蒸留する。残留液 50ml

は捨てる。この残留液には過酸化物が含まれていることがあり,したがって適切に処理しなければならな

い。

5.8

シリカゲル,粒径  0.063∼0.200mm(70∼230 メッシュと同等)

5.9

ジエチルアミン (C

4

H

11

N)

  必要な場合は,使用前に蒸留する。

注意事項  ジエチルアミンは,毒性がある。

5.10

硫酸ナトリウム (Na

2

So

4

,無水  JIS K 8987 に規定するもの。

5.11

内標準貯蔵液  例えば,2, 4−ジブロモフェノール又は 2, 5−ジブロモフェノール 1g を JIS K 8034

に規定するアセトン 1に溶かす。

この溶液 1ml はフェノール 1mg を含む。

5.12

内標準液  例えば,内標準貯蔵液(5.11)1ml をアセトンで 100ml に薄める。

この溶液 1ml は,フェノール 10

µg を含む。

5.13

フェノール貯蔵液  例えば,各フェノール化合物 10.0mg をメタノールの入った全量フラスコ 100ml

に移し入れ,メタノールを標線まで加える。この溶液は各フェノール化合物 0.1mg/ml を含む。

メタノールの代わりに JIS K 8034 に規定するアセトンを使用してもよい。

同時定量のためには,数種のフェノール化合物を異なった量のメタノールに溶かしてもよい。

貯蔵液は褐色ガラス瓶に入れ,密栓して冷蔵庫中に貯蔵する。

5.14

フェノール標準液  貯蔵液(5.13)10ml をピペットでとり,全量フラスコ 100ml に入れ,メタノールを

標線まで加える。

この溶液は各フェノール化合物を 0.01mg/m1 含む。この溶液は使用前に新たに調製する。

6.

装置

6.1

貯蔵瓶  褐色ガラス瓶で 250ml 及び 1 000ml の容量のもの。

6.2

水浴

6.3

溶媒を蒸留するための蒸留装置  例えば,丸底フラスコ 1 000ml,蒸留ヘッド部,冷却管,アダプタ

ー,丸底フラスコ 1 000ml などの留出液の受器。


4

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6.4

抽出液を濃縮するための蒸留装置  丸底フラスコ 250ml にテーパー付きの先端,ガス導入管,蒸留

ヘッド,温度計,冷却管,アダプター,丸底フラスコ 50ml などの留出液の受器からなるもの(

図 参照)。

6.5

ガラスカラム  内径 12mm,長さ 20cm の底部にテーパーの付いた管でシリカゲル(5.8)5cm を詰めた

もの。ジエチルエーテル(5.7)であらかじめ洗浄しておく。

6.6

振とう器  垂直振とう器 (linear shaker)

6.7

分液漏斗  容量 100ml, 250ml, 1 000ml の四ふっ化エチレン樹脂  (PTFE)  製のコック付きのもの。

6.8

全量フラスコ  容量 5ml, 10ml, 1 000ml

6.9

ビーカー  容量 100ml, 250ml, 1 000ml

6.10

ビグリュウカラム  50cm

6.11

テーパー付き目盛丸底フラスコ  容量 10ml

6.12  PTFE

張りセプタム付きの試料瓶  容量 2ml, 5ml 又は抽出液を貯蔵できる容量のもの。

6.13

メスシリンダー  容量 250ml

6.14

エバポレータ  例えば,クデルナダニッシュ濃縮器

6.15

ガスクロマトグラフ  流路系がすべてガラス製で水素炎イオン化検出器又は電子捕獲検出器(ポリ

クロロフェノール類用)付きで,製造業者の取扱説明書に従ってガスが供給されるもの。

6.16

試料注入用シリンジ  1

µl, 5µl, 10µl, 50µl, 100µl

6.17

ガスクロマトグラフ用キャピラリーカラム(表 参照)

図 1  等温蒸留条件でのエーテル抽出液からのフェノールの濃縮装置


5

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表 2  分離条件例

キャピラリーカラムのサイズ

キャピラリーカ

ラムの組合わせ

キャピラリーカ

ラムの名称(

1

)

長さ  m

内径  mm

キャリヤーガス

流量

ml/min

昇温プログラム

1 a

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

 b

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

2 c

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

 d

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

3 e

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

 f

30

∼60 0.25∼0.32 H

2

又は He

<5

一般に:

60

℃(1 分∼150℃(15℃/min 昇

温)∼240℃(

2

)

(5℃/min 昇温)

(

1

)

カラムの商品名は

3を参照。

(

2

)

昇温プログラムは各分離プログラムと適合しなければならない。

表 3  表 に示したカラムの内容

表 に示した名称

商品名(

1

)

固定相

a, c, e,

DB5

95%

−ジメチル/5%ジフェニルポリシロキサン

b DB1701

86%

−ジメチル/14%−シアノプロピルフェニルポリシロキサン

d DB225

50%

−シアノプロピルメチル/50%メチルフェニルポリシロキサン

f FFAP

“遊離脂肪酸相”ジニトロテレフタル酸

(

1

)

商品名はこの規格の使用者の便宜のために示したもので,この名称の製品を JIS  (ISO)  とし
て認めるものではない。同様な結果が得られるならば,同等の製品を使用してもよい。

7.

サンプリング方法及び試料調製

−  あらかじめ試料 1 000ml につき硫酸(5.1)2ml を加えてある褐色のガラス瓶(肩が円すい状の)100∼1

000ml

に試料をとり,瓶を完全に試料で満たす。

−  これらの瓶は分析するまで約 4℃で貯蔵する。pH は 2 未満が望ましい。そうでないときは更に酸を加

える。

−  もし,酸化性物質が含まれる疑いがある場合,特に遊離塩素が存在する場合は,試料 1当たり亜硫酸

ナトリウム(5.4)約 0.1g を加える。

−  できれば,48 時間以内に濃縮操作を行う。

8.

手順

8.1

濃縮

8.1.1

一般的な手順

−  酸性とした試料 800ml を分液漏斗にとる。

−  内標準液(5.12)1ml を加えて 1 時間混ぜ合わせ均質にする。

−  ジエチルエーテル(5.7)180ml を加える。

−  混ぜ合わせ,コックをあけて分液漏斗中の圧力を希圧にした後,振とう器で 5 分間振り混ぜて抽出す

る(振り混ぜはおよそ 100min

1

とすることが望ましい。

−  相分離のため 30 分間静置し,水相を捨てる。

−  エーテル相を分液漏斗 250ml に移す(必要ならば,あらかじめジエチルエーテルで洗浄した石英ガラ

スウールを詰めたものでジエチルエーテルをろ過する。

−  抽出液を水酸化ナトリウム溶液 II(5.3)35ml ずつと,2 度振り混ぜ,洗浄する。

−  二相を分離するために約 30 分間静置し,分液漏斗(6.7)100ml にアルカリ性の水相を移す。

−  硫酸(5.1)2ml を加え分液漏斗を水で室温まで冷やす。ジエチルエーテル(5.7)15ml を加えて 5 分間振り


6

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混ぜ,15 分間放置する。

−  エーテル相を栓付きフラスコにとり,水相を捨てる。

8.1.2

混入 (contaminated water) した水の抽出

−  エーテル相を精製するために,シリカゲルカラム(6.5)に約 2ml/min の流量でエーテル相を通す。

−  エーテル相を蒸留装置(6.4)の濃縮フラスコに集める。

−  受器及びガラスカラムをジエチルエーテル(5.7)10ml で洗い,洗液を抽出液と合わせる。

8.1.3

濃縮

−  ジエチルアミン(5.9)100

µl を加え,0.04MPa(原国際規格では 0.4bar の記述。),室温(水浴,20∼22℃)

で等温蒸留を行って,エーテル溶液(8.1.1 及び 8.1.2 参照)を濃縮する。

−  溶液には窒素を通す。これは沸騰が遅くなることを防ぎ,フェノール化合物を保持するのに役立つ。

−  個々の気泡が認められるようにチューブのクリップによって窒素流量を調節する。

−  抽出液を 100∼200

µl になるまで濃縮する。

−  圧力を平常にし,送気管をジオキサン(5.6)100∼200

µl で洗う。同時に濃縮容器も注意深く回しながら

その壁を洗う。

−  濃縮液が集まるまでフラスコに栓をする(これには約 20 分を要する。

−  濃縮液をシリンジにとってその体積をはかり,これを小さい試料瓶に移す。

−  できるだけ早くガスクロマトグラフ分析に供する。分析しない場合は,抽出液を−20℃で凍結保存す

る。最大許容保存期間は一週間である。

備考1.  減圧には水流ポンプを用いてもよい。

2.

他のタイプの蒸留装置も使用できる(例えば,クデルナダニッシュ濃縮器)

3.

最初の試料 800ml,最終液量 200

µl で濃縮率は 4 000 である。試料体積を変えることによって

濃縮率を約 10

4

に増すことができ,また,高濃度の場合はジオキサン(5.6)で薄めて濃縮率を

減らすことができる。

8.2

ガスクロマトグラフ法

−  分離カラムの適合性を確認する(製造業者の取扱説明書を参照)

−  キャピラリーカラムは,ピークがテーリングを示さないかほとんど示さず,ピークがベースラインに

接するまで分離するものが適している。

−  起こり得る妨害を考慮し,対象物質は極性の異なった 2 種のカラムで同定する。

−  通常は,水素炎イオン化検出器を使用する。これは対象物質の濃度と検出器のシグナル間に直線関係

を示す。ポリクロロフェノール類には,高感度の点から電子捕獲検出器が更に適している。この検出

器は直線性の範囲は限られている。固有の応答ファクターは測定する各物質について定めなければな

らない。

−  確実な同定をする場合には,質量選択検出器による方法を適用してもよい。

−  分離条件例として

表 を参照する。

備考4.  同時に注入するには,二つのキャピーラリーカラムを試料導入部につながねばならない。こ

の方法によっても,すべての場合についてはピークが重なるのを避けることはできない。ピ

ークの重なりが起きたとき,異なった定量結果が得られる。小さい値が多分正しいものに近

い。このような場合,ほかの検出器系を用いることが望ましい。例えば,質量分析計の使用

及び誘導体化の手法を同定又は定量に適用することが望ましい。

8.3

空試験


7

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

−  分析前に,又は必要ならば分析途中に,水を用いて空試験を行う(5.を参照)

−  空試験は,すべての分析手順,すなわち,サンプリングに始まり,ガスクロマトグラムの評価までの

全段階について行う。

−  空試験の値は無視できる程度に低くなければならない。例えば,最小測定値の 10%未満。もし,空試

験値が低くない場合は,各段階の手順を行ってその原因を見出し,空試験値を(例えば,エーテル前

抽出操作による。

)低くする。測定値からの空試験値の差し引きによる補正は,空試験の標準偏差が全

手順を行ったものの標準偏差を超えないときだけ行うことができる。そうでなければ,空試験値はで

きるだけ小さくしなければならない。

9.

内標準を用いた全手順をとおしての校正

−  この手順を適用したとき,濃度の測定は,試料の注入誤差,又はある程度までの抽出溶媒の体積(抽

出溶媒と試料の体積比)による影響は受けない。対象物質 i と内標準 l の回収率がほぼ同じでも,定

量はマトリックスに影響されることがある。

内標準には,対象物質と物理−化学的に性状(抽出効率,蒸気圧,保持時間,検出器の測定シグナ

ル,ECD の応答性)が類似した物質を選択する。この化合物又は類似した物質は,試験液に含まれて

いないものでなければならない。分析前に内標準 l は既知濃度になるように測定試料に加える。適切

な物質の選択はしばしば困難であり,その適用性は,各測定時ごとに検討しなければならない。幾つ

かの内標準の適用が可能である。

この分析手順では,次の内標準が使用できる。

− 1,

4

−ジブロモフェノール又は

− 1,

5

−ジブロモフェノール

−  ある物質のために求めた校正関数は規定した濃度範囲でだけ使用し,これはまたガスクロマトグラフ

の状態によるので定期的に確認しなければならない。

−  全手順を通じて校正を行うときは,一定の量(例えば,1.0

µg)の内標準をアセトンに溶かしたものを

測定試料(例えば,800ml)に加える。

−  質量濃度

ρ

l

は校正及び測定試料について同じにしなければならない。内標準を添加する場合は,溶媒

の体積は 1ml/を超えてはならない。

表 に式(1),(2)及び後述で使用した添字の説明を示す。

表 4  記号として使用した添字の説明

見出し

意味

i

対象物質

e

検量線作成における測定値

l

内標準

−  内標準を添加して検量線用溶液を調製し,引き続き抽出,ガスクロマトグラフ定量を行う。横軸にと

った対象物質の質量濃度と内標準濃度の比  (

ρ

ie

/

ρ

l

)

を対象物質と内標準のピーク高さ(又はピーク面

積)の比  (y

ie

/y

le

)

に対してプロットして検量線を作成する。

1

1

1

i

ie

i

ie

ie

b

m

y

y

ρ

ρ

×

 (1)

ここに,

y

ie

:  検量線における対象物質 i の値,これは

ρ

ie

による。単位は測

定モードによる。例えば,ピーク面積。

y

le

:  検量線における内標準 l の値,これは

ρ

l

による。単位は測定


8

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

モードによる。例えば,ピーク面積。

ρ

ie

:  検量線用溶液中の対象物質 i の質量濃度  (

µg/l)

ρ

l

:  検量線用溶液中の内標準 l の質量濃度  (

µg/l)  (5.による水で

は,添加された濃度は常に同じ。

m

il

:  質量濃度比

ρ

ie

/

ρ

l

の関数としての y

ie

/

y

l

からなる検量線のこう

配(しばしば応答係数 F

l

と呼ばれる。

b

il

:  縦軸上の検量線の切片。

10.

評価

10.1

それぞれの結果 (single results) の定量

測定試料中の物質 i の質量濃度

ρ

i

は,内標準の濃度が常に一定であれば,式(2)から計算される。

1

1

1

1

ρ

ρ

×

i

i

i

i

m

b

y

y

 (2)

ここに,

ρ

i

測定試料中の物質 i の質量濃度  (

µg/l)

y

i

測定試料の抽出物中の物質 i の測定値(校正と測定試料
の測定に適用した同一操作条件による。

。単位は用いた

方法,例えば,面積値による。

y

l

測定試料の抽出物中の内標準の測定値,単位は用いた方
法による。

m

il

,

b

il

,

ρ

i

式(1)を参照。

10.2

回収率の測定上の注意

−  難しいマトリックスを含む試料で,回収率がばらつくために評価が確かでない場合は,マトリックス

の影響は既知物質の標準添加によって確認することができる。

−  高い回収率は測定結果に良好な再現性を得る必要条件である。これらの結果の数値からの大きい変動

は多分抽出手順の難しさによる。

−  ここで得られた回収率は,ここで使用した試料と溶媒量の比の場合についてだけ有効である。試料と

溶媒の体積比を変えたときは,回収率を再測定しなければならない。

10.3

結果のまとめ

−  異なった極性のカラムを用いた測定で,得られたそれぞれの結果から定量値を計算する。これらの結

果は,異なったカラムから得た結果の間の相違が測定法の標準偏差よりも小さい間は使うことができ

る。

−  大きな相違がある場合,分離されない混合物が変動の原因と考えられるので,低いほうの値を結果と

して採用する。このことは結果とともに明記しなければならない。

11.

結果の表現  結果の記載に当たっては,選んだ検出器の相対感度を考慮しなければならない。水素炎

イオン化検出器の場合は,10

µg/以下で 1µ/までの値とする。電子捕獲検出器の場合は,1µg/以下で 0.1g/l

程度の値とする。また,有効数字は 2 けた以下とする。

  2−メチルフェノール          15

µg/l

2, 4, 6

−トリクロロフェノール  0.2

µg/l

12.

試験報告  報告書には,次の事項を含めなければならない。


9

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

a)

この規格の引用

b)

試料の確認

c)

10.

に基づく測定結果

d)

適用した場合の試料の前処理

e)

この操作法による逸脱と他の測定結果に影響するすべての状況(抽出溶媒の選択,試料と抽出溶媒の

容量比,検量線作成での直線性からの偏差。


10

K 0400-28-20 : 1999 (ISO 8165-1 : 1992)

平成 8 年度  JIS K 0102 改正原案作成委員会  構成表(平成 9 年 3 月現在)

氏名

所属

(委員長)

並  木      博

工学院大学工学部

佐  藤  寿  邦

横浜国立大学工学部

西  出  徹  雄 1)

工業技術院標準部消費生活規格課

乾      敏  一 2)

通商産業省環境立地局産業施設課

畑  野      浩 3)

環境庁水質保全局水質規制課

中  村      進

工業技術院物質工学技術研究所計測化学部

中  村  和  憲

工業技術院生命工学工業技術研究所

田  尾  博  明

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部

田  中  宏  明

建設省土木研究所下水道部

柴  田  康  行

国立環境研究所化学環境部

土  屋  悦  輝

東京都立衛生研究所環境保全部

渡  辺  真利代

東京都立衛生研究所環境保全部

日  野  隆  信

千葉県衛生研究所

小  倉  光  夫

神奈川県環境科学センター水質環境部

西  尾  高  好

財団法人日本環境衛生センター東日本支局環境科学部

坂  本      勉

財団法人日本規格協会技術部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会技術部

浅  田  正  三

財団法人日本品質保証機構環境計画センター

梅  崎  芳  美

社団法人産業環境管理協会名誉参与

横  倉  清  治

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所)

神  代      啓

社団法人日本化学工業協会

池  田  久  幸

社団法人日本分析機器工業会(横河アナリティカルシステムズ株式会社)

長  澤  忠  彦

社団法人日本鉄鋼連盟(住友金属工業株式会社)

山  田  昭  捷

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局流域下水道本部)

土  屋  徳  之

石油連盟(興亜石油株式会社)

松  谷  成  晃

日本石鹸洗剤工業会(ライオン株式会社研究開発本部)

波多江  正  和

日本製紙連合会技術環境部

佐  山  恭  正

日本鉱業協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所)

狩  野  久  直

日本練水株式会社研究所

久  島  俊  和

オルガノ株式会社総合研究所

川  瀬      晃

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部

米  倉  茂  男

元東京都立工業技術センター

岩  崎  岩  次

社団法人日本工業用水協会

(事務局)

秋  本      孝

社団法人日本工業用水協会

飛  渡  祥  弘

社団法人日本工業用水協会

本  郷  秀  昭

社団法人日本工業用水協会

備考 1):発足当初は岡林哲夫(工業技術院標準部繊維化学規格課) 
 2)

:発足当初は相澤徹(通商産業省環境立地局産業施設課)

 3)

:発足当初は飯島孝(環境庁水質保全局水質規制課)

○は幹事兼任

(文責  梅崎  芳美)