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K 0350-90-10

:2005

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本工業用水協会(JIWA)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 0350-90-10

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(参考)硫黄細菌の種類ごとの出現頻度の記載例


K 0350-90-10

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目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  共通事項

2

4.1

  ガラス器具類 

2

5.

  試料

2

5.1

  試料の採取 

2

5.2

  試料の取扱い 

3

6.

  試験方法

3

6.1

  器具及び装置 

3

6.2

  試料の前処理 

3

6.3

  操作

3

7.

  結果の表示 

4

附属書 1(参考)硫黄細菌の種類ごとの出現頻度の記載例 

5

 


日本工業規格

JIS

 K

0350-90-10

:2005

工業用水中の硫黄細菌試験方法

Testing method for detection of sulfur bacteria in industrial water

1.

適用範囲  この規格は,工業用水中の硫黄細菌の存在を顕微鏡によって定性的に判定する試験方法に

ついて規定する。

2.

引用規格  付表 に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101JIS K 0102JIS K 0550 及び JIS K 0211 

よるほか,次による。

3.1

硫黄細菌  硫黄及び硫黄化合物を酸化することによってエネルギーを得ている化学合成独立栄養細

菌であり,主に硫化水素を酸化して硫黄とし,更に硫酸にまで酸化することのできる細菌群の総称。

備考  硫黄細菌は,硫黄酸化細菌ともいわれ,色素の有無によって無色硫黄細菌及び有色硫黄細菌に

大別できる。

無色硫黄細菌は,好気性で糸状体を形成するものとしてベギアトア(Beggiatoa),チオトリッ

クス(Thiothrix),チオプロカ(Thioploca)などがあり,かん(桿)状を呈するものにチオバシラス

(Thiobacillus)

,アクロマチウム(Achromatium)などの属が知られている。有色硫黄細菌は,嫌気

性で紅色を呈するかん状のクロマチウム(Chromatium),チオカプサ(Thiocapsa),緑でかん状のク

ロロビウム(Chlorobium)などの属がある。有色硫黄細菌は,光合成色素(バクテリオクロロフィ

ル)を含み,光合成を行うことから,光合成細菌ともいわれている。

工業用水で障害を生じるものは,主に糸状体を形成する種類であり,代表的なものはベギア

トア属である。ベギアトアの細胞の大きさは幅 1∼7

µm,長さ 1.5∼20 µm であり,多数の細胞

が一列に連なって分岐しない長い糸状体を形成し,滑るように緩やかに運動する。糸状体は多

数集合して灰白色の薄い膜状(くもの巣状)の集落を形成する。オシラトリア(Oscillatoria)[らん

(

藍)藻類]と糸状体の形態が類似しているが,光合成色素をもたないため糸状体はほとんど無色

であり,また,糸状体の中に硫黄粒が多数認められるので区別できる。

ベギアトアに類似するチオトリックス属もしばしば見られる。チオトリックスの細胞は幅 0.5

∼2.5

µm,長さ 1.5∼15  µm であり,多数の細胞が連なって分岐しない長い糸状体を形成する。

糸状体は運動せず,ほかのものに付着したり,ロゼットと呼ばれる放射形の集合体となること

がある。糸状体の中には硫黄粒が多数認められる。

工業用水中に硫黄細菌が繁殖すると,浄水過程におけるろ過障害,異臭の発生など水質の悪

化,給配水又は冷却水系統などの閉そく(塞),熱交換器の効率低下,金属部分の腐食など多様


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な障害の原因となる場合がある。

4.

共通事項  共通事項は,次による。

4.1

ガラス器具類  ガラス器具類は,一般に JIS R 3503 及び JIS R 3505 に規定するものを使用する。ただ

し,特殊な器具を必要とする場合には,それぞれの項目に,その一例を図示又は説明する。

5.

試料

5.1

試料の採取  試料は,試料容器又は採水器を用いて採取する。

5.1.1

試薬  試薬は,次による。

a) 

ホルムアルデヒド液  JIS K 8872 に規定するホルムアルデヒド液[37  %(質量分率)](

1

)(

2

)

を用いる。

(

1

ホルムアルデヒド液の取扱いについては,関係法令などに従い,十分に注意する。

(

2

ホルムアルデヒド液に代えて 1,5-ペンタンジアール(グルタルアルデヒド)液[25  %(質量分率)]

を用いてもよい。

5.1.2

器具  器具は,次による。

a) 

試料容器  共栓ガラス瓶又は清浄なポリエチレン製瓶 100∼1 000 ml。

b) 

採水器  ハイロート採水器。図  1 に一例を示す。

                                                                  A:ガラス瓶(100∼1 000ml)

                                                                  B:栓

                                                                  C:鎖

                                                                  D:開栓用鎖

                                                                  E:瓶の保持板の止め金具用鎖

                                                                  F:瓶の保持板

                                                                  G:携帯箱

                                                                  H:携帯箱のふた

                                                                    I:おもり

  1  ハイロート採水器及び携帯箱の一例

5.1.3

操作  試料の採取は,次による。

a) 

表層水の採取  湖沼,河川,水路,貯水槽などの表層水で,直接採取できる場合は,試料容器で試料

を採取する。直接採取できない場合は,採水器を用いて採取する。

b) 

各深度の水の採取  一定の深さの水は,採水器を用いて採取する(

3

)

(

3

ハイロート採水器による採取が困難な場合には,バンドーン採水器を用いて採取し,試料容器

に移す。

c) 

給水栓からの採取  栓を開き,配管中の水を十分に放出した後,試料容器に採取する。

d) 

配管,装置からの採取  c)と同様に操作して採取する。

5.2

試料の取扱い  試験は試料採取後,直ちに行う。直ちに試験ができない場合には,試料 100 ml につ

きホルムアルデヒド液 3 ml[3  %(体積分率)](

4

)

を添加し,0∼5  ℃(凍結させない。)の暗所に保存する。


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(

4

)  1,5-

ペンタンジアール(グルタルアルデヒド)液[25  %(質量分率)]を用いる場合は,試料 100 ml に

つき 4 ml[4  %(体積分率)]を添加する。

6.

試験方法

6.1

器具及び装置  器具及び装置は,次による。

a)

マイクロピペット  0.05∼0.1 ml。

b)

駒込ピペット  1∼10 ml。

c)

スライドガラス  JIS R 3703 に規定するもの。大きさは,76×26 mm のもの。

d)

カバーガラス  JIS R 3702 に規定するもの。大きさは,18×18 mm,24×24 mm 又は 32×24 mm のも

の。

e)

顕微鏡及びその附属品  顕微鏡は,総合倍率 20∼600  倍が得られるもので,次のものから成る。

1)

顕微鏡  JIS B 7132 に規定する生物顕微鏡(

5

)

2)

対物レンズ  呼び倍率 4,10,20 及び 40 のもの。

3)

接眼レンズ  呼び倍率 5∼15  のもの。

4)

十字標本移動器(メカニカルステージ)  顕微鏡に取り付け,スライドガラスを前後左右に移動でき

るもの。

(

5

位相差装置又は微分干渉装置が附属していると便利である。

f)

遠心管  1 ml ごとに標線が入った,ねじぶた付きのガラス製の容量 10∼50 ml のもの。市販の滅菌済

みのポリエチレン製のものを用いてもよい。

g)

遠心機  JIS T 1701 に規定するもの。遠心力 15 000∼30 000 m/s

2

{

約 1 500∼3 000 g}で制御できるもの。

6.2

試料の前処理  硫黄細菌が少なく,濃縮が必要とされる場合は,次による。

a)

よく振り混ぜて均一にした 5.の試料の適量を,遠沈管にとり,

遠心機を用いて,

遠心力(

6

)15 000

∼30 000

m/s

2

{

約 1 500∼3 000 g}で 20 分間(

6

)

遠心分離する。遠心分離を停止する場合には,沈殿物を巻き上げ

ないようにするため,自然停止させる。

(

6

ここで示した遠心分離条件は目安であり,試験対象生物の変形,破壊がない条件を予備試験な

どで調べておく。

b)

沈殿物を巻き上げないように注意して上澄み液を駒込ピペットなどで吸引除去し,沈殿物を含めて残

りの体積をもとの体積の

2

1

10

1

(

7

)

にする。

(

7

)

硫黄細菌の存在量に応じて,適宜,選択する。硫黄細菌が少ない場合は,一度濃縮した試料を

集め,再度,遠心分離して濃縮するとよい。

c)

6.3

の操作を行う直前に,沈殿物が均一になるようによく振り混ぜる。

6.3

操作  操作は,次による。

a)

よく振り混ぜて均一にした 5.の試料又は 6.2 で得た試料 0.05∼0.1 ml をスライドガラスにとり,カバ

ーガラスを載せ(

8

)

,顕微鏡を用いて,20∼600  倍で観察する。

(

8

カバーガラスから試料がはみ出さないようにカバーガラスの大きさを,適宜,選択するととも

に,カバーガラスを載せる場合に,試料がはみ出さないように注意する。

b)

各視野に出現する生物のうち,生物図鑑などの資料を参考にして,硫黄細菌と判断される形態をもつ

生物の有無を硫黄細菌の種類ごとに確認する(

9

)(

10

)

(

9

)

視野を移動しながら,硫黄細菌の存在の有無を確認する。硫黄細菌の数が多い場合は,10∼20


4

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視野について検鏡し,少ない場合は,カバーガラスの全面を検鏡する。できれば,種類ごとの

出現頻度を区別して記載する。

 

種類ごとの出現頻度の記載例を,

附属書 に示す。

(

10

)

硫黄細菌の存在が確認できたら,顕微鏡写真を撮影しておくことが望ましい。

参考  生物図鑑などの資料には,次のようなものがある。

下水試験方法(社団法人日本下水道協会)(1997 年版)

上水試験方法(社団法人日本水道協会)(2001 年版)

日本の水道生物−写真と解説−(社団法人日本水道協会)(1993)

環境微生物図鑑(株式会社講談社)(1995)

Standard Methods for The Examination of Water and Wastewater (APHA,AWWA,WEF)(20th

Ed.,)(1998)

Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology(Williams&Wilkins)(1989)

7.

結果の表示  結果には,試料の採取場所,採取日時,試験日時,硫黄細菌の存在の有無とその種類,

参考として用いた図鑑名などを付記する。写真撮影を行った場合は,併せて添付する。できれば,前処理

操作の有無,硫黄細菌の大きさ及びその出現頻度を付記するとよい。

付表  1  引用規格

JIS B 7132

  生物顕微鏡

JIS K 0101

  工業用水試験方法

JIS K 0102

  工場排水試験方法

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0550

  超純水中の細菌数試験方法

JIS K 8872

  ホルムアルデヒド液(試薬)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製体積計

JIS R 3702

  顕微鏡用カバーガラス

JIS R 3703

  顕微鏡用スライドガラス

JIS T 1701

  医療用遠心機


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附属書 1(参考)硫黄細菌の種類ごとの出現頻度の記載例

序文  この附属書は,本体 6.3 において確認された硫黄細菌の種類ごとに出現頻度の記載例を示したもの

であり,規定の一部ではない。

1. 

記載例  記載例は,次による。

附属書表  1  硫黄細菌の種類ごとの出現頻度の記載例 1

記号

出現頻度

種類ごとのおおよその出現頻度

ccc

極めて多い

おおむね  80  %以上

cc

非常に多い

おおむね  45  %以上  80  %未満

c

多い

おおむね  30  %以上  45  %未満

+

普通

おおむね  15  %以上  30  %未満

r

少ない

おおむね   8 %以上  15  %未満

rr

非常に少ない

おおむね   2 %以上   8 %未満

rrr

極めて少ない

おおむね   2 %未満

出現しない

附属書表  2  硫黄細菌の種類ごとの出現頻度の記載例 2

記号

出現頻度

おおよその判断基準

+++

非常に多く出現する

すべての視野に数個体以上

++

多く出現する

すべての視野に 1 個体以上

+

出現する

幾つかの視野に散見

出現しない