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K 0311

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS K 0311:1999 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,全面的に見直し,定義,試料ガスの採取,試料の前処理,同定及び定量,結果の報告,

並びに測定データの品質管理について改正を行った。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 0311

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)試料ガス採取装置

附属書 2(参考)内標準物質の使用例


K 0311

:2005

(2)

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義及び記号 

2

4.

  測定方法の概要 

4

5.

  試料ガスの採取 

6

5.1

  試料ガスの採取の概要 

6

5.2

  試料ガス採取装置

6

5.3

  試薬

8

5.4

  試料ガスの採取の準備 

9

5.5

  試料ガスの採取量

10

5.6

  採取操作 

11

5.7

  試料の回収及び保存

11

5.8

  試料ガスの採取量の算出 

12

5.9

  試料ガスの採取の記録 

12

6.

  試料の前処理 

12

6.1

  試料の前処理の概要

12

6.2

  試薬

13

6.3

  器具及び装置 

15

6.4

  前処理操作 

15

7.

  同定及び定量 

21

7.1

  同定及び定量の概要

21

7.2

  試薬及び装置 

22

7.3

  測定操作 

23

7.4

  同定及び定量 

27

7.5

  検出下限及び定量下限 

29

7.6

  回収率の確認 

31

8.

  結果の報告 

31

8.1

  結果の表示方法

31

8.2

  濃度の単位 

32

8.3

  毒性当量 (TEQ) への換算 

32

8.4

  数値の取扱い 

32

9.

  測定データの品質管理 

34

9.1

  測定データの信頼性の確保 

34

9.2

  測定操作における留意事項 

36

9.3

  測定操作の記録

39


K 0311

:2005

(3) 

9.4

  精度管理に関する報告 

39

附属書 1(規定)試料ガス採取装置

49

附属書 2(参考)内標準物質の使用例

54

 


日本工業規格

JIS

 K

0311

:2005

排ガス中のダイオキシン類の測定方法

Method for determination of tetra- through octachlorodibenzo-p-dioxins

tetra

through octachlorodibenzofurans and dioxin-like polychlorinated

biphenyls in stationary source emissions

1. 

適用範囲  この規格は,燃焼,化学反応などに伴って煙道,煙突及びダクト(以下,ダクトという。)

に排出される排ガス中のテトラからオクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン及びテトラからオクタクロロ

ジベンゾフラン並びにダイオキシン様(よう)PCB(以下,ダイオキシン類という。

)のガスクロマトグラ

フ質量分析計(以下,GC/MS という。

)を用いた測定方法について規定する。ここで用いる GC/MS は,ガ

スクロマトグラフ (GC) のカラムにキャピラリーカラムを用い,分解能が 10 000 以上である二重収束形質

量分析計 (MS) の装置とする。

この規格における GC/MS の検出下限は,装置,測定条件によって変動はあるが,四塩素化物及び五塩

素化物で 0.1 pg,六塩素化物及び七塩素化物で 0.2 pg,八塩素化物で 0.5 pg,ダイオキシン様 PCB で 0.2 
pg 以下である。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0095

  排ガス試料採取方法

JIS K 0114

  ガスクロマトグラフ分析通則

JIS K 0123

  ガスクロマトグラフ質量分析通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0215

  分析化学用語(分析機器部門)

JIS K 0301

  排ガス中の酸素分析方法

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

JIS K 0901

  気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状,寸法並びに性能試験方法

JIS K 1107

  高純度窒素

JIS K 8040

  アセトン(残留農薬・PCB 試験用)

(試薬)

JIS K 8105

  エチレングリコール(試薬)

JIS K 8117

  ジクロロメタン(残留農薬・PCB 試験用)

(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8550

  硝酸銀(試薬)

JIS K 8574

  水酸化カリウム(試薬)

JIS K 8680

  トルエン(試薬)


2

K 0311

:2005

JIS K 8825

  ヘキサン(残留農薬・PCB 試験用)

(試薬)

JIS K 8891

  メタノール(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 8987

  硫酸ナトリウム(試薬)

JIS K 9702

  ジメチルスルホキシド(試薬)

JIS K 9703

  2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製体積計

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8808

  排ガス中のダスト濃度の測定方法

3. 

定義及び記号  この規格で用いる主な用語の定義及び記号は,JIS K 0095JIS K 0114JIS K 0123

JIS K 0211

及び JIS K 0215 によるほか,次による。

a)

ダイオキシン類  テトラからオクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン,テトラからオクタクロロジベ

ンゾフラン及びダイオキシン様 PCB の総称。

b)

異性体  塩素の置換数が同じで置換位置だけを異にする個々の化合物。

c)

同族体  塩素の置換数が同じで置換位置だけを異にする化合物の一群。

d)  PCDDs

  ポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

e)

PCDFs

  ポリクロロジベンゾプラン

f)

TeCDDs

  テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

g)  PeCDDs

  ペンタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

h)  HxCDDs

  ヘキサクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

i)

HpCDDs

  ヘプタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

j)

OCDD

  オクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン

k)  TeCDF s

  テトラクロロジベンゾフラン

l)

PeCDF s

  ペンタクロロジベンゾフラン

m)  HxCDF s

  ヘキサクロロジベンゾフラン

n)  HpCDF s

  ヘプタクロロジベンゾフラン

o)  OCDF

  オクタクロロジベンゾフラン

p)  2, 3, 7, 8-

塩素置換異性体  2,3,7,8-位に置換塩素をもつテトラからオクタクロロジベンゾ-パラ-ジ

オキシン 7 種とテトラからオクタクロロジベンゾフラン 10 種の計 17 化合物で,次に示すもの。

1)

テトラからオクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs

2, 3, 7, 8-

テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (2, 3, 7, 8-TeCDD)

1, 2, 3, 7, 8-

ペンタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (1, 2, 3, 7, 8-PeCDD)

1, 2, 3, 4, 7, 8-

ヘキサクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD)

1, 2, 3, 6, 7, 8-

ヘキサクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD)

1, 2, 3, 7, 8, 9-

ヘキサクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD)

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-

ヘプタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン  (1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD)

オクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (OCDD)

2)

テトラからオクタクロロジベンゾフラン(PCDFs


3

K 0311

:2005

2, 3, 7, 8-

テトラクロロジベンゾフラン  (2, 3, 7, 8-TeCDF)

1, 2, 3, 7, 8-

ペンタクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 7, 8-PeCDF)

2, 3, 4, 7, 8-

ペンタクロロジベンゾフラン  (2, 3, 4, 7, 8-PeCDF)

1, 2, 3, 4, 7, 8-

ヘキサクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF)

1, 2, 3, 6, 7, 8-

ヘキサクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF)

1, 2, 3, 7, 8, 9-

ヘキサクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF)

2, 3, 4, 6, 7, 8-

ヘキサクロロジベンゾフラン  (2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF)

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-

ヘプタクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF)

1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-

ヘプタクロロジベンゾフラン  (1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF)

オクタクロロジベンゾフラン (OCDF)

q)  PCBs

  ポリクロロビフェニル

r)

TeCBs

  テトラクロロビフェニル

s)

PeCBs

  ペンタクロロビフェニル

t)

HxCBs

  ヘキサクロロビフェニル

u)  HpCBs

  ヘプタクロロビフェニル

v)

ダイオキシン様 PCBDL-PCB)  ポリクロロビフェニル (PCBs) のうち,オルト位(2, 2', 6 及び 6')

に置換塩素をもたない化合物(ノンオルト体)及びオルト位に置換塩素が 1 個ある化合物(モノオル

ト体)の中で次に示すもの。コプラナーPCB とも呼ばれる。

1)

ノンオルト体

3, 4, 4', 5-

テトラクロロビフェニル  [3, 4, 4', 5-TeCB (IUPAC

*

No.81)]

*

International Union of Pure and Applied Chemistry

の略。

3, 3', 4, 4'-

テトラクロロビフェニル  [3, 3', 4, 4'- TeCB (IUPAC No.77)]

3, 3', 4, 4',5-

ペンタクロロビフェニル  [3, 3', 4, 4', 5-PeCB (IUPAC No.126)]

3, 3', 4, 4', 5, 5'-

ヘキサクロロビフェニル  [3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (IUPAC No.169)]

2)

モノオルト体

2, 3, 3', 4, 4'-

ペンタクロロビフェニル  [2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (IUPAC No.105)]

2, 3, 4, 4', 5-

ペンタクロロビフェニル  [2, 3, 4, 4', 5-PeCB (IUPAC No.114)]

2, 3', 4, 4', 5-

ペンタクロロビフェニル  [2, 3', 4, 4', 5-PeCB (IUPAC No.118)]

2', 3, 4, 4', 5-

ペンタクロロビフェニル  [2', 3, 4, 4', 5-PeCB (IUPAC No.123)]

2, 3, 3', 4, 4', 5-

ヘキサクロロビフェニル  [2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (IUPAC No.156)]

2, 3, 3', 4, 4', 5'-

ヘキサクロロビフェニル  [2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (IUPAC No.157)]

2, 3', 4, 4', 5, 5'-

ヘキサクロロビフェニル  [2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (IUPAC No.167)]

2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-

ヘプタクロロビフェニル  [2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (IUPACNo.189)]

w)

装置の検出下限  測定に使用する GC/MS で検出できる最小量。

x)

測定方法の検出下限  前処理から GC/MS による測定までの一連の操作において検出できる最小量。

y)

試料ガスにおける検出下限  検出できる試料ガス中の最小濃度。

z)

装置の定量下限  測定に使用する GC/MS で定量が可能な最小量。

aa)

測定方法の定量下限  前処理から GC/MS による測定までの一連の操作において定量が可能な最小量。

一般には,この定量下限付近に比べ,検出下限付近では 3 倍程度の誤差が見込まれている。

ab)

試料ガスにおける定量下限  定量が可能な試料ガス中の最小濃度。


4

K 0311

:2005

ac)  TEF

  2, 3, 7, 8-TeCDD 毒性等価係数  (2, 3, 7, 8-TeCDD toxic equivalency factor)  

ad)  TEQ

  2, 3, 7, 8-TeCDD 毒性当量  (2, 3, 7, 8-TeCDD toxic equivalent quantity)。等量と書かれる場合もあ

る。

ae)  RRF

  相対感度係数  ( relative response factor)

4. 

測定方法の概要  排ガス中のダイオキシン類を,円筒ろ紙などによる“ろ過捕集”,吸収瓶(インピン

ジャー)による“吸収捕集”又は吸着カラムによる“吸着捕集”で捕集し,捕集部から抽出後,クリーン

アップしてガスクロマトグラフ質量分析計 (GC/MS) で同定,定量する。この測定のフローを,

図 に示

す。

備考  ダイオキシン類は非常に有害性が高いので,吸入,誤飲,直接皮膚への接触などをできるだけ

避け,前処理室及び分析室の換気並びに廃液及び廃棄物の管理は十分に行う。また,その他の

薬品,溶媒などでも,吸入及び誤飲によって測定者の健康を損なうものがあるので,取扱いは

できるだけ慎重に行い,実験室の十分な換気に注意する。


5

K 0311

:2005

  1  排ガス中のダイオキシン類測定のフロー

内標準物質の添加(クリーンアップスパイク)

内標準物質の添加(シリンジスパイク)

目的の明確化,計画の立案

試料採取

標準液の測定

ダイオキシン類の同定

ダイオキシン類の定量

ダイオキシン類の濃度値確定

ダイオキシン類用試料保存・運搬

抽出液

クリーンアップ

試料からの抽出

GC/MS による同定と定量

実試料の測定

試料採取の準備,採取器具類の洗浄

代表試料の採取

装置の維持管理,GC カラム取付け 
分解能(

R

>10 000)などの調節

SIM キャリブレーション

検量線の直線性 
検出下限及び定量下限の確認 
クロマトグラムのピーク形状

SN 比評価,空試験値確認 
クロマトグラムのピーク形状 
妨害成分,感度変動

相対保持時間の一致 
イオン強度比の評価 
化合物の分離状況

化合物ごとの濃度 
TEQ 算出

:主作業

:サブ作業

:添加

:物又は試料

内標準物質の添加(サンプリングスパイク)


6

K 0311

:2005

5. 

試料ガスの採取  試料ガス採取の一般的事項は,JIS K 0095 による。

5.1 

試料ガスの採取の概要  排ガス試料の採取手順の概略を,図 に示す。

  2  試料ガスの採取の作業手順

5.2 

試料ガス採取装置  試料ガスの採取装置は,採取管部,捕集部,吸引ポンプ及び流量測定部で構成

する。

図 に採取装置の概略を,図 に採取管部の概略をそれぞれ示す。

試料ガス採取装置は,次の条件を備えていなければならない。

−  測定点の排ガス流速に対して相対誤差−5∼+10  %の範囲内で等速吸引による試料ガスの採取が可

能である。

−  ダイオキシン類について十分な捕集率がある。

−  ダイオキシン類の二次生成,分解などの起こり得る可能性がない。

−  試料採取後から抽出操作を行うまでの操作において,ダイオキシン類の損失がない。

−  採取装置のダストなどによる汚染及び試料採取中に現場の大気の混入などがない。

採取装置の例を

附属書 に示す。附属書 に示した装置は,ダイオキシン類に対して既に開発された実

績のあるもの又は上記条件を満たすことを十分に確認されたものである。ここに示した以外の装置であっ

ても,次の点が少なくとも組成の異なる 3 種類の排ガスについて確認されれば,確認に用いた排ガスの組

成の範囲内でその方法を用いてもよい(

1

)

:後に続く作業

:作業


7

K 0311

:2005

−  測定点での排ガス流量から算出される吸引流量が,装置の吸引流量調節の範囲内にある。

−  装置に漏れがない。

−  採取装置の後にもう一段ダイオキシン類が捕集できる部分,例えば,

附属書 の JISⅠ形採取装置

の吸着捕集部を追加して試料を採取し,追加した捕集部からダイオキシン類が検出されない。

附属書 の JISⅠ形採取装置と同時並行して同じ試料ガスを採取し,そのダイオキシン類の濃度が

±30  %以内で一致する。

(

1

)

確認に用いた排ガスの組成とは,温度,水分,流速,酸素濃度,ダスト濃度及びダイオキシン

類濃度であり,これらのどれか一つでも 30  %以上異なっていれば組成が異なると考える。ま

た,組成の範囲内とは,それぞれの±30  %を限度とする。

a)

採取管部  採取管は,排ガス温度に応じてほうけい酸ガラス製又は透明石英ガラス製のものを用いる。

採取装置のダストが捕集される部分の温度を 120  ℃以下に保てない場合は,水冷管を用いた冷却プロ

ーブを使用する。採取管は,次の条件を満足するものとする。

1)

採取管内外のガスの流れが乱れないようにする。ノズルの内径は 4 mm 以上とし,これを 0.1 mm の

単位まで正確に求めておく。

2)

先端は 30°以下の鋭角に仕上げるか,滑らかな半球状とし,内外面は滑らかになっていなければな

らない。

3)

採取管のノズルから捕集部までの管内は滑らかで,急激な断面の変化及び曲がりがあってはならな

い。

b)

捕集部  捕集部は,ガス状又はダストに吸着しているダイオキシン類を効率よく捕集する部分である。

フィルタによる捕集,液体による捕集,吸着剤による捕集などがあり,それらの組合せでダイオキシ

ン類を捕集する。

c) 

連結部  採取管部から採取ガスの露点温度以下に冷却されている部分までの連結導管は,ガラス製の

ものを用いる。それ以外の部分の連結導管及び接続には,ガラス製又はふっ素樹脂製のものを用い,

接続部にグリースは使用しない。

d)

吸引ポンプ  10∼40 L/min の流量で吸引でき,流量調節機能をもち,24 時間以上連続的に使用できる

もの。

e)

流量測定部  指示流量計として湿式又は乾式ガスメータを用いる。10∼40 L/min の範囲を 0.1 L/min ま

で測定できるもの。指示流量計の目盛は,定期的に製造業者などに依頼して校正しておく。

 

採取管部

捕集部

吸引ポンプ

流量測定部

排ガス

  3  試料ガス採取装置の概略図


8

K 0311

:2005

①  排ガス温度が高い場合

②  排ガス温度が低い場合

  試料ガス採取装置へ

  試料ガス採取装置へ

  ダクト

ガスの流れ方向

冷却水

冷却プローブ

  4  採取管部の概略図

5.3 

試薬  試料ガスの採取に用いる試薬は,次による。これ以外に採取装置によって必要な試薬は,そ

の装置の仕様による。これらの試薬は,空試験などによって測定に支障のないことを確認する。

a) 

水  JIS K 0557 に規定する A4(又は A3)の水。

b) 

アセトン  JIS K 8040 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

c)

トルエン  JIS K 8680 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

d) 

ヘキサン  JIS K 8825 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

e) 

メタノール  JIS K 8891 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

f) 

ジクロロメタン  JIS K 8117 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

g) 

ヘキサン洗浄水  a)の水を d)のヘキサンで十分洗浄したもの。

h)

サンプリングスパイク用内標準物質  試料採取から抽出までの操作の結果を確認するために添加する

内標準物質で,

13

C

又は

37

Cl

で標識した PCDDs,PCDFs 及び PCB のうち,適正な種類を 1 種類以上,

適正な濃度にトルエン又はノナンで溶かした溶液を用いる。

内標準物質には,このほかに,抽出からクリーンアップまでの前処理操作全体の結果を確認し,ダ

イオキシン類を定量するための基準とするために添加するクリーンアップスパイク用と,GC/MS への

試料液の注入を確認するために添加するシリンジスパイク用の内標準物質がある。クリーンアップス

パイク用内標準物質は少なくとも塩素数ごとに 2, 3, 7, 8-位塩素置換体を最低 1 種類ずつ用い,シリン

ジスパイク用内標準物質はサンプリングスパイク及びクリーンアップスパイクで使用したもの以外の

内標準物質を用いる。

表 に内標準物質の一例を示す(附属書 参照)。

 
 
 
 
 
 
 
 


9

K 0311

:2005

  1  ダイオキシン類の内標準物質の例

化合物

13

C

12

-1, 2, 3, 4-TeCDD

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDD

四塩素化物

37

C1

4

-2, 3, 7, 8-TeCDD

五塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

六塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

七塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

P

C

D

D

八塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDF

四塩素化物

13

C

12

-1, 2, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

五塩素化物

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

六塩素化物

13

C

12

-2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

七塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

P

C

D

F

八塩素化物

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

13

C

12

-2, 3', 4', 5-TeCB (#70)

13

C

12

-3, 3', 4, 4'- TeCB (#77) **

四塩素化物

13

C

12

-3, 4, 4', 5- TeCB (#81) **

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105) **

13

C

12

-2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114) **

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118) **

13

C

12

-2', 3, 4, 4', 5-PeCB (#123) **

五塩素化物

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126) **

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156) **

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157) **

13

C

12

-2, 3, 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167) **

六塩素化物

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169) **

13

C

12

-2, 2', 3, 3', 4, 4', 5-HpCB (#170)

13

C

12

-2, 2', 3, 4, 4', 5, 5'-HpCB (#180)

P

C

B

*

七塩素化物

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189) **

*

括弧内の数値は,IUPAC No.  を示す。

** DL-PCB

を示す。

5.4 

試料ガスの採取の準備

5.4.1 

事前調査  測定する焼却処理施設は,規模,排ガスの処理方法などによって排ガスの性状が異なり,

測定場所も作業するうえで危険な場合が多い。このため,あらかじめ測定現場を調査して排ガスの性状及

び作業上の安全性を確認しておく必要がある。この事前調査には,次の項目が含まれる。

なお,排ガスの採取位置は,代表的な性状のガスが採取できる位置とし,JIS Z 8808 の 4.(測定位置,

測定孔及び測定点)に規定する流速測定点のうち,可能な限り平均流速に近い地点(等速吸引が可能な地

点)とする。


10

K 0311

:2005

a)

排ガスの性状  排ガスの温度,流速,組成,圧力,水分量など。

b)

測定位置  地上からの高さ,測定孔の状況,送排風機の位置など。

c)

ダクト  ダクトの形状,大きさ(寸法)など。

d)

作業の安全性  測定ステージの広さ,はしごの状況など。

e)

電源,水道  電源,水道の有無。

f)

その他

5.4.2 

器材の準備  事前調査の結果から,測定現場の実態に合わせて必要な測定器材を選定,整備すると

ともに,次の準備を行う。

a)

排ガス中のダスト捕集に必要な器材。

b)

排ガス中のダイオキシン類を捕集する吸収瓶,吸着剤カラム,吸収液など。

c)

冷却用の氷又はドライアイス。

d)

採取後の捕集系の洗浄に必要な試薬[メタノール(

2

)

,ジクロロメタン(

3

)

(

2

)

アセトンを用いてもよい。

(

3

)

トルエンを用いてもよい。

e)

その他

5.4.3 

内標準物質の添加(サンプリングスパイク)  試料ガスの採取前に内標準物質を添加する操作をサ

ンプリングスパイクと呼び,ダイオキシン類が捕集される部分にサンプリングスパイク用の内標準物質を

添加する(

4

)

添加する内標準物質は,サンプリングスパイク,クリーンアップスパイク,シリンジスパイクでそれぞ

れ別の化合物を用い,

サンプリングスパイクでは適正な種類を 1 種類以上用いる。

内標準物質によっては,

質量分析計の分析条件によって分析に妨害を与える場合があるので,その使用に際しては,十分に検討・

確認をしておく必要がある[6.4.1

(

8

)

参照

,附属書 参照]。サンプリングスパイク用内標準物質の回収

率は 70  %以上又は 130  %以下でなければならない。

(

4

)

添加量は,排ガス濃度及び測定条件などによって,GC/MS での測定の検量線範囲内の量になる

ように決める。一般的には,1∼20 ng 程度添加する。

5.5 

試料ガスの採取量  試料ガスの採取量は,次のような手順によって決定する。採取時間については,

その目的に応じて試料ガスの発生状況などを十分考慮して代表試料が採取できるようにしなければならな

い。

a)

測定の目的から評価しなければならない最小の濃度を決定する。

b) 

特に指定がない限り,a)で決定した濃度の 1/30 以下に試料ガスにおける検出下限を設定する。

c)

式(1)によって測定に必要な最小の試料ガスの量を算出する。

DL

E

E

DL

1

1000

C

V

V

x

y

Q

V

×

×

×

=

 (1)

ここに,

V

測定に必要な最小の試料ガスの量(0  ℃,101.32 kPa)

(m

3

Q

DL

測定方法の検出下限(pg)

y

測定用試料の液量(µL)

x

GC/MS

への注入量(µlL)

V

E

抽出液量(mL)

V’

E

抽出液分取量(mL)

C

DL

必要となる試料ガスにおける検出下限(0  ℃,101.32 kPa)
(ng/m

3


11

K 0311

:2005

d)

算出された最小の試料ガスの量以上を試料ガスの採取量とする。

5.6 

採取操作  試料ガスの採取操作は,次による。

a) JIS 

8808

に準じて,排ガスの温度,流速,圧力,水分量などを測定し,測定点における排ガス流速

を計算する(

5

)

(

5

)

一酸化炭素,酸素などの連続測定を同時に行う場合には,特に断わらない限り試料採取時間帯

の 1 時間以上前から終了まで連続して行い,運転状態の同時確認を行う。

b)

試料ガスの採取量,採取時間を考慮して吸引流量を算出し,等速吸引となるようにノズルの内径を決

定する。

c)

採取装置を組み立て,漏れ試験を行う。漏れ試験は,採取管のノズルの口をふさいで吸引ポンプを作

動させ,ガスメータの指針が停止していればよい。この試験結果を記録しておく。

d)

採取管のノズルを,排ガスの流れと逆向きにして測定孔から測定点まで挿入し,ガスメータの指示値

を読み取っておく。吸引ポンプの作動とともに採取管のノズルの方向を排ガスの流れに正しく直面さ

せ,等速吸引によって排ガスを吸引する(

6

)

。そのときの注意点は,次による。

(

6

)

排ガス中のダストの濃度が 1 mg/m

3

 (0

℃,101.32 kPa)  以下の場合は,等速吸引を行わずに平均

流速程度で一定に吸引してもよい。また,等速吸引が不可能な場合も同様である。

1)

採取管のノズルから吸引するガスの流速は,測定点の排ガス流速に対して相対誤差−5∼+10  %の

範囲内とする。排ガスの流速を 60 分間ごとに測定し,等速吸引量を調節することが望ましい。

また,

等速吸引を行っているうちに吸引流量が低下し,等速吸引が困難な場合には,吸引を一時停止し,

捕集部のろ過材などを交換する。

2)

試料採取中も少なくとも 1 回は採取装置の漏れ試験を行う。この場合は,試料採取点の酸素の濃度

と採取装置のポンプ出口の酸素の濃度とに差がないことで漏れがないことを確認する。この試験結

果は記録しておく。酸素の濃度の測定は,JIS K 0301 による。また,フィルタ捕集部のろ過材の交

換,ドレインの水抜きなどでラインが外された場合には,復帰後に必ず行う。

3)

排ガスの温度が高温でダストが捕集される部分が 120  ℃を超える可能性のある場合には,採取管を

空冷などで冷やして 120  ℃を超えないようにする。また,場合によっては,

図 のような冷却プロ

ーブなどを使用し,ダストが捕集される部分が 120  ℃を超えないようにする。

4)

冷却する必要のある捕集部は,排ガスの採取中は水浴又はドライアイス浴に入れる。ダイオキシン

類が捕集される部分は遮光しておく。

5)

その他,捕集装置ごとにそれぞれの注意事項に従う。

e)

ガスメータの温度及び圧力を記録しておく。

f)

試料ガスの必要量を吸引採取したならば,採取管のノズルを再び逆向きにし,吸引ポンプを停止し,

ガスメータの指示を読み取った後,採取管を取り出す。

なお,ダクト内が負圧の場合は,吸引ポンプを作動させたまま速やかに採取管をダクト外に取り出

し,ポンプを停止する。

5.7 

試料の回収及び保存  試料ガスの採取が終了した後,試料ガス採取装置の分解は必要最小限とし,

外気が混入しないようにして遮光し,試験室に運搬する。試料ガス採取装置の各部を注意深く外す。採取

管及び導管はメタノール(

2

)

,ジクロロメタン(

3

)

で十分に洗浄する。洗浄液,捕集液は,褐色瓶に洗い移し

て保存する。フィルタ,吸着剤などは容器に入れ,遮光保存する。保存した試料は,速やかに前処理以降

の操作を行う。

なお,試料運搬中の容器の破損,溶媒及び試料成分の揮発などによる損失に注意しなければならない。


12

K 0311

:2005

5.8 

試料ガスの採取量の算出  標準状態における吸引した乾きガスの量は,式(2)によって求める。

3

10

32

.

101

15

.

273

15

.

273

v

m

a

m

SD

×

+

×

+

×

P

P

P

t

V

V

 (2)

ここに,  V

SD

標準状態 (0 ℃,101.32 kPa)  における試料ガスの採取量 
(m

3

)

V

m

ガスメータの読み (L)

t

ガスメータにおける吸引ガスの温度  (℃)

P

a

大気圧 (kPa)

P

m

ガスメータにおける吸引ガスのゲージ圧力 (kPa)

P

v

℃における飽和水蒸気圧 (kPa)

ただし,乾式ガスメータを使用し,その前でガスを乾燥させた場合は,式中の

P

V

の項を除いて計算す

る。

5.9 

試料ガスの採取の記録  試料ガスの採取を行った場合は,通常,次の項目についてまとめて整理し,

記録する。また,必要に応じて現場写真も撮る。

a)

試料採取の日時

b)

試料採取場所の状況  発生源の種類,使用状況,採取位置,付近の状況,概略図など。

c)

採取対象の条件及び状況  温度,水分量,静圧,流速,湿り及び乾き流量,その他採取系の着色など。

d)

試料採取の条件  試料採取装置の構成,漏れ試験の結果,等速吸引流量,吸引時間,吸引ガス量及び

必要に応じ捕集ダスト量など。

6. 

試料の前処理

6.1 

試料の前処理の概要  採取した試料は,内標準物質を添加した(クリーンアップスパイク)後,ろ

紙,樹脂,吸収液などの形態ごとに抽出する。これらの抽出液を合わせた後,必要に応じて分取し,硫酸

処理−シリカゲルカラムクロマトグラフ操作又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作(

7

)

を行い,そ

の後,アルミナカラムクロマトグラフ操作,高速液体クロマトグラフ操作,活性炭カラムクロマトグラフ

操作のいずれか又はこれらを組合せた精製操作を行う。試料中に鉱物油などの油分が多いときなどは,必

要に応じてジメチルスルホキシド分配処理操作を精製操作に加えてもよい。

これらの精製操作を行った後,

試料をガスクロマトグラフ質量分析法によって測定する。

表 に精製操作の概要を示す。また,図 に試

料の前処理から測定までのフローの一例を示す。

(

7

)

硫酸処理−多層シリカゲルクロマトグラフ操作でもよい。

  2  精製操作の概要

操作名

主な効果

硫酸処理−シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

大部分のマトリックスの分解除去 
着色物質,多環芳香族炭化水素,強極性物質の除去

多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

フェノール類,酸性物質,脂質,タンパク質,含硫黄化合物,
脂肪族炭化水素類,強極性物質,着色物質,多環芳香族炭化

水素の除去

アルミナカラムクロマトグラフ操作

低極性物質,有機塩素化合物の除去

高速液体クロマトグラフ操作 PCDDs 及び PCDFs,ダイオキシン様 PCB の分離精製

活性炭カラムクロマトグラフ操作 PCDDs 及び PCDFs,ダイオキシン様 PCB の分離精製

ジメチルスルホキシド(DMSO)分配処理操作

脂肪族炭化水素などの低極性物質の除去


13

K 0311

:2005

試料

(ろ紙,樹脂,吸収液,洗液)

抽出

★内標準物質の添加

  クリーンアップスパイク

アルミナカラムクロマトグラフ操作など

測定用試料

抽出液 

一部分取

硫酸処理-シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

★内標準物質の添加

  シリンジスパイク

  5  試料の前処理から測定までのフローの一例

なお,ここに挙げた精製操作以外の操作であっても,次の条件を満たすことが確認されれば,用いても

よい。この確認には,適用する試料媒体について,5 以上の採取地点の異なる試料を用いて 5 回以上の繰

返し,計 25 点以上のデータが必要である。

a)

対象とするダイオキシン類の回収率が 90  %以上である。

b)

この規格において規定されている精製操作で得られた試料液と適用しようとする新規の操作方法によ

って得られた試料液を,四重極形などの低分解能の GC/MS を用いて 7.3.1 a)のガスクロマトグラフの

条件で測定質量数が 50∼450 の範囲の全イオン検出法によって測定し,得られたそれぞれのクロマト

グラムを比較して精製効果に差がないか,又はこの規格の精製操作以上の効果が得られることを確認

する。

c)

適用しようとする新規の操作方法によって得られた試料液について 7.3.3 の測定を行い,分析対象成分

によるピークの出現する付近において質量校正用標準物質のモニターチャネルに変動がないことを確

認する。

6.2 

試薬  試料の前処理に用いる試薬は,次による。これらの試薬は,空試験などによって測定に支障

のないことを確認する。

a) 

水  JIS K 0557 に規定する A4(又は A3)の水。

b) 

メタノール  JIS K 8891 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

:物又は試料

:作業

:添加

:省略できる作業

:重要


14

K 0311

:2005

c) 

アセトン  JIS K 8040 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

d) 

トルエン  JIS K 8680 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

e) 

ジクロロメタン  JIS K 8117 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

f) 

ヘキサン  JIS K 8825 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

g) 

ジメチルスルホキシド  JIS K 9702 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

h)

デカン  測定に支障のない品質のもの。

i)

ノナン  測定に支障のない品質のもの。

j) 2, 

2, 

4

−トリメチルペンタン  JIS K 9703 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

k) 

硫酸ナトリウム  JIS K 8987 に規定するもの。

l) 

塩酸  JIS K 8180 に規定する特級,又は同等の品質のもの。

m) 

硫酸  JIS K 8951 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

n) 

水酸化カリウム  JIS K 8574 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

o) 

硝酸銀  JIS K 8550 に規定するもの。

p) 

ヘキサン洗浄水  a)の水を f)のヘキサンで十分洗浄したもの。

q)

クリーンアップスパイク用内標準物質  すべての炭素又は塩素原子が

13

C

又は

37

Cl

で標識したダイオ

キシン類のうち,適正な種類及び濃度のトルエン又はノナン溶液を用いる(

附属書 参照)。

r)

シリンジスパイク用内標準物質  すべての炭素又は塩素原子が

13

C

又は

37

Cl

で標識したダイオキシン

類のうち,適正な種類及び濃度のノナンなど測定用試料と同じ溶媒のものを用いる(

附属書 参照)。

s)

シリカゲル  カラムクロマトグラフ用シリカゲル  (粒径 63∼212

µm)  をビーカーに入れてメタノール

で洗浄し,メタノールを十分揮散させる。これを層の厚さを 10 mm 以下になるように蒸発皿又はビー

カーに入れ,130  ℃で約 18 時間加熱した後,デシケーター中で約 30 分間放冷する。調製後,密閉で

きる試薬瓶に入れ,デシケーター中に保存する。

t) 

水酸化カリウム [2 %(質量分率)]  シリカゲル  s)のシリカゲル 100 g に対して n)の水酸化カリウム

で調製した水酸化カリウム溶液 (50 g/L)40 mL を加えた後,ロータリエバポレータを用いて約 50  ℃で

減圧脱水し,水分のほとんどを除去した後,温度を 50∼80  ℃に上げて更に約 1 時間減圧脱水を続け

て粉末状にする。調製後,密閉できる試薬瓶に入れデシケーター中に保存する。

u) 

硫酸 [22 %(質量分率)]シリカゲル  s)のシリカゲル 100 g に対して m)の硫酸 28.2 g を添加後,十

分振とうし粉末状にする。調製後,密閉できる試薬瓶に入れデシケーター中に保存する。

v) 

硫酸 [44 %(質量分率)]シリカゲル  s)のシリカゲル 100 g に対して m)の硫酸 78.6 g を添加後,十

分振とうし粉末状にする。調製後,密閉できる試薬瓶に入れデシケーター中に保存する。

w) 

硝酸銀 [10 %(質量分率)]シリカゲル  s)のシリカゲル 100 g に対して o)の硝酸銀で調製した硝酸銀

溶液  (400 g/L) 28 mL を加えた後,ロータリエバポレータで水分を完全に除去する。硝酸銀シリカゲル

は,調製後,密閉できる着色容器に入れ,デシケーター中に保存する。

なお,調製,保管に当たっては,極力遮光する。

x)

アルミナ  カラムクロマトグラフ用アルミナ(塩基性,活性度 I)は,あらかじめ活性化したものが

入手できる場合はそのまま使用してもよい。活性化する必要のある場合には,ビーカーに層の厚さを

10 mm

以下にして入れて 130  ℃で約 18 時間加熱,又はペトリ皿に層の厚さを約 5 mm 程度にして入

れて 500  ℃で約 8 時間加熱処理した後,デシケーター中で約 30 分間放冷した後,密閉できる試薬瓶

中に保存する。活性化後は,速やかに使用する。

y)

高速液体クロマトグラフ用カーボンカラム  液体クロマトグラフ用のグラファイトカーボンカラム。


15

K 0311

:2005

又はこれと同等の分離性能をもつもの。

参考1.  例えば,Hypersil 社製 Hypercarb  (内径 4.6 mm,長さ 100 mm)などがある。

z)

活性炭カラム充てん剤  活性炭を含浸又は分散させたシリカゲル,又はこれと同等の分離性能をもつ

もの。

参考 2.  例えば,活性炭埋蔵シリカゲル(和光純薬工業株式会社),活性炭分散シリカゲル(関東化学

株式会社)などがある。

aa)

ガラス繊維ろ紙  孔径 0.5

µm 程度のもの。ブフナー漏斗に用いる。

参考 3.  市販品には,孔径の代わりに保留粒子径と称するものもある。

ab) 

窒素  JIS K 1107 に規定する高純度窒素 2 級。

6.3 

器具及び装置  試料の前処理に用いる器具及び装置は,メタノール(又はアセトン)及びトルエン

(又はジクロロメタン)で十分洗浄し,空試験によって測定に支障がないことを確認する。

a)

ガラス器具  JIS R 3503 及び JIS R 3505 に規定するもの。コックの部分がふっ素樹脂製のものを用い

てもよい。

b)

ソックスレー抽出器  JIS R 3503 に規定するもの又はこれと同等の性質のもの。接続部にグリースを

使用してはならない。

c)

濃縮器  クデルナーダニッシュ (KD) 濃縮器又はロータリエバポレータ。接続部にグリースを使用し

てはならない。

d)

カラムクロマトグラフ管  内径 10 mm,長さ 300 mm(又は内径 15 mm,長さ 300 mm)のダイオキシ

ン類の吸着及び混入,妨害物質の溶出などがないガラス製又はこれと同等の材質のカラムクロマトグ

ラフ管。

e)

ブフナー漏斗

f) 

高速液体クロマトグラフ

6.4 

前処理操作

6.4.1 

内標準物質の添加(クリーンアップスパイク)  回収した各捕集部の試料に,クリーンアップスパ

イクとして内標準物質(

8

)

を一定量添加する。添加量は,各部に添加した合計量で,通常,四塩素化物から

七塩素化物では 0.1∼2 ng,八塩素化物では 0.2∼4 ng,DL-PCB では 0.1∼2 ng である。試料中のダイオキ

シン類の濃度が非常に高く,通常の内標準物質の添加量では定量範囲を超えてしまうことが予想される場

合には,この範囲を超えて添加してもよい。

(

8

)

クリーンアップスパイクの内標準物質は,PCDDs 及び PCDFs については少なくとも塩素数ご

とに 2, 3, 7, 8-塩素置換体を最低 1 種類ずつ,

PCB

についてはノンオルト体の DL-PCB を全種類,

モノオルト体の DL-PCB 又はその他の PCB を塩素化物ごとに 1 種類ずつそれぞれ添加する。で

きれば毒性等価係数のある化合物はすべて添加することが望ましい。

添加する内標準物質は,シリンジスパイクとは別の化合物を用いるが,内標準物質によって

は,GC/MS の測定条件によって測定に妨害を与える場合があるので,その使用に際しては,十

分に検討・確認をしておく(

附属書 参照)。

クリーンアップスパイクで添加した内標準物質の回収率は,シリンジスパイクした内標準物

質を基準にして求め,50∼120  %の範囲内でなければならない。その範囲内でない場合には,

再度前処理をやり直す。

6.4.2 

各捕集部からの抽出  捕集部ごとに抽出操作を行い,それらの抽出液を混合して抽出液とする。抽

出液の調製までの分析フローの例を,

図 に示す。各捕集部からの抽出操作は,次による。


16

K 0311

:2005

a)

固体からの抽出  ろ過材,吸着剤などの固体からの抽出には,ソックスレー抽出又はこれと同等の抽

出方法(

9

)

で抽出する(

10

)

。ろ過材などに捕集されたダストについては,次の操作を行った後,抽出操作

を行う。

ダスト 1 g に対して塩酸が 20 mmol 以上になるように塩酸 (2 mol/L) を加え,時々かき混ぜながら

発泡を確認しつつ約 1 時間放置し,更に塩酸を加えても発泡がないことを確認する。次に孔径 0.5

µm

程度のガラス繊維ろ紙を用いてブフナー漏斗などでろ過し,ヘキサン洗浄水で十分に洗浄後,更に少

量のメタノール又はアセトンで洗浄して水分を除き風乾する(

11

)

ろ液は,ジクロロメタンによる液−液振とう抽出を行い,ソックスレー抽出液と合わせる。

(

9

)

ソックスレー抽出法と同等かどうかの判定は,飛灰などの標準試料を測定して測定結果が標準

値と一致しているか,飛灰などの試料をソックスレー抽出と併行して測定して測定結果が一致

するか否かで判定する。判定には,少なくとも 3 試料 3 回の繰返しの計 9 個のデータを用いる。

(

10

)

ソックスレー抽出においては試料中に残存する水分の影響で抽出効率が悪くなるおそれがある

ので,水分の適切な除去を行い,抽出する。ソックスレー・ディーンスターク形抽出器を用い

る方法(EPAMethod 1613 など参照。

)も推奨される。また,長時間の操作になるので,操作中

の光分解に注意する。

(

11

)

風乾の操作においては,試料中のダイオキシン類の揮散及び汚染を最小限に抑えるように注意

深く行う。

b)

液体からの抽出  水溶液の吸収液及びその洗浄液は,一つに合わせて分液漏斗に入れ,溶液 1 L に対

してジクロロメタンを 100 mL の割合で添加し,振とう幅約 5 cm,毎分 100 回以上で約 20 分間振り混

ぜて抽出する。この抽出を 3 回行い,抽出液を合わせて硫酸ナトリウムを用いて脱水する。

2.2’-

オキシビスエタノール(ジエチレングリコール)などの有機溶媒及びその洗浄液は,分液漏斗

に移し,同量のヘキサン洗浄水を加え,溶液 1 L に対してジクロロメタンを 100 mL の割合で添加し,

同様に液−液振とう抽出を 3 回行い,抽出液を合わせて硫酸ナトリウムを用いて脱水する。

6.4.3 

抽出液の調製  各捕集部から得られた抽出液を合わせて溶媒を加え,一定量とし,抽出液とする。


17

K 0311

:2005

  6  抽出液調製までのフローの例

6.4.4 

硫酸処理−シリカゲルカラムクロマトグラフ操作又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

  6.4.3 で得られた抽出液の適量を分取し(

12

)

,濃縮器で約 5 mL に濃縮し,次いで,窒素気流によってトル

エンを除去し(

13

)

,約 500

µL の濃縮液とする。この濃縮液を,次に示す硫酸処理−シリカゲルカラムクロ

マトグラフ操作,又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作によって精製する。

(

12

)

再測定の必要な場合があるため,抽出液の一部を保存しておくことが望ましい。

(

13

)

窒素気流による濃縮操作によって目的物質の損失を招かないように,溶液の表面が動いている

のがようやく見える程度に窒素気流を調節して溶液が飛散しないように注意し,また,完全に

乾固させてはならない。溶液に大きな渦ができるほど窒素を吹き付けたり,完全に乾固させる

と,目的物質の損失を招くことがある。

ろ過

・適量の水を加える

ろ液

残さ

残さ

ろ液

ろ過

HCI(2mol/L)処理

液−液振とう抽出

ジクロロメタン(3 回)

内標準物質の添加

(クリーンアップスパイク)

抽出液

ソックスレー抽出

(トルエン,

16 時間以上)

液−液振とう抽出

ジクロロメタン(3 回)

ジクロロメタン

ジクロロメタン層

水層

水層

濃縮

ダスト 1g に対して 20mmol

以上の塩酸

・風乾

・脱水

・脱水

円筒ろ紙

樹脂

吸収プローブ洗液

吸収液,洗液

:検体又は試料

:作業

:添加

:物又は試料


18

K 0311

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a)

硫酸処理−シリカゲルカラムクロマトグラフ操作  硫酸処理−シリカゲルカラムクロマトグラフ操

作の手順は,次による。

なお,ここに示す手順は標準的なものであり,精製の効果を十分得ることが可能であれば,必ずし

もこのとおりでなくてもよい。

1)

濃縮液を分液漏斗 (300 mL) にヘキサン 50∼150 mL で洗い込みながら移し入れ,

硫酸 5 mL を加え,

穏やかに振とうし,静置後,硫酸層を除去する。この操作を硫酸層の着色がうすくなるまで 3,4

回繰り返す(

14

)

2)

ヘキサン層をヘキサン洗浄水 50 mL で洗浄し,洗液がほぼ中性になるまで繰り返し洗浄し,硫酸ナ

トリウムで脱水後,濃縮器で約 2 mL に濃縮する。

3)

6.3

の d)のカラムクロマトグラフ管の底部に石英ガラスウールを詰め,ヘキサン 10 mL で管内を洗

浄し,石英ガラスウール上部までヘキサンを残す。シリカゲル 3 g をヘキサン 10 mL を入れたビー

カーに量りとり,ガラス棒で緩やかにかき混ぜて気泡を除き,カラムクロマトグラフ管に充てんす

る。ヘキサンを流下させ,シリカゲル層を安定させた後,その上に硫酸ナトリウムを約 10 mm の厚

さになるように積層し,ヘキサン数 mL で管壁に付着している硫酸ナトリウムを洗い落とす。

シリカゲルカラムにヘキサン 50 ml を流下させた後,液面を硫酸ナトリウム層の直上まで下げ,

2)

で調製した溶液をカラムに静かに移し入れ,ヘキサン 1 mL で数回洗い込み,液面を硫酸ナトリウ

ム層の直上まで下げ,ヘキサン 150 mL を入れた円筒形滴下漏斗をカラムクロマトグラフ管の上部

に装着し,ヘキサンを約 2.5 mL/min(毎秒 1 滴程度)の流量でゆっくり流下させる(

15

)

4)

溶出液は濃縮器で約 2 ml に濃縮する。

(

14

)

硫酸の添加は,硫酸と有機物の反応による溶媒の突沸に十分注意し,数 ml 程度から始め,着色

の度合いによって徐々に添加する。また,必ず手袋及びマスクなどの保護具を使用する。

(

15

)

カラムクロマトグラフ操作におけるダイオキシン類の溶出条件は,フライアッシュの抽出液な

どすべてのダイオキシン類を含む試料液を用いて分画試験を行って確認する。分画試験は,少

なくとも充てん剤のロットごとに行う。

b)

多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作  多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作は,次の手順

による。

なお,ここに示す手順は標準的なものであり,精製の効果を十分得ることが可能であれば,必ずし

もこのとおりでなくてもよい。

1)

6.3

の d)のカラムクロマトグラフ管(内径は 15 mm のもの)の底部に石英ガラスウールを詰め,シ

リカゲル 0.9 g,水酸化カリウム[2  %(質量分率)]シリカゲル 3 g,シリカゲル 0.9 g,硫酸[44  %(質量

分率)]シリカゲル 4.5 g,硫酸[22  %(質量分率)]シリカゲル 6 g,シリカゲル 0.9 g,硝酸銀[10  %(質

量分率)]シリカゲル 3 g 及び硫酸ナトリウム 6 g を順次充てんする(

16

)

。このカラムを,

図 に示す。

2)

ヘキサン 50 mL を流下させた後,液面を硫酸ナトリウム層の上面まで下げる。

3)

濃縮液をカラムに静かに注ぎ入れ,液面を硫酸ナトリウム層の上端まで下げる。

4)

ヘキサン 1 mL で抽出液の容器を洗浄し,洗液はカラム内壁を洗いながら入れる。この洗浄操作を 2

∼3 回繰り返す。

5)

ヘキサン 120 mL を入れた円筒形滴下漏斗をカラムクロマトグラフ管の上部に装着し,ヘキサンを

約 2.5 mL/min(毎秒 1 滴程度)の流量で流下させる(

15

)

6)

溶出液を濃縮器で約 2 mL に濃縮する。充てん部の着色が多い場合は,1)6)の操作を繰り返す。

(

16

)

硫酸処理と同様な効果は硫酸シリカゲルだけを用いた処理で得られるため,試料によっては多


19

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層シリカゲルカラムクロマトグラフ管の代わりに硫酸[22  %(質量分率)]シリカゲルカラムクロ

マトグラフ管を用いてもよい。硝酸銀[10%(質量分率)]シリカゲルは,特に硫黄分が多い試料に

対して用いると効果的である。

  7  多層シリカゲルカラムの例

6.4.5 

その他の精製操作  6.4.4 で得られた濃縮液を,次に示すいずれかの操作又はそれらの組合せで精

製を行い,PCDDs 及び PCDFs 測定用と DL-PCB 測定用の濃縮液を調製する。

なお,ここに示す手順は標準的なものであり,精製の効果を十分得ることが可能であれば,必ずしもこ

のとおりでなくてもよい。

a)

アルミナカラムクロマトグラフ操作  アルミナカラムクロマトグラフ操作は,PCDDs 及び PCDFs 測

定用と DL-PCB 測定用とに濃縮液を分けて行う手順を次に示す。

同定及び定量の操作条件によっては,

濃縮液を分けないで行うことも可能である。その場合の手順はこの限りではない。

1)

  PCDDs

及び PCDFs 測定用アルミナカラムクロマトグラフ操作  PCDDs 及び PCDFs 測定用のアル

ミナカラムクロマトグラフ操作は,次の手順による。

1.1) 6.3

の d)のカラムクロマトグラフ管の底部に石英ガラスウールを詰め,ヘキサン 10 mL で管内を洗

浄し,石英ガラスウール上部までヘキサンを残す。アルミナ 10 g(

17

)

をヘキサン 10 mL を入れたビ

ーカーに量りとり,ガラス棒で緩やかにかき混ぜて気泡を除き,カラムクロマトグラフ管に充て

んする。ヘキサンを流下させ,アルミナ層を安定させた後,その上に硫酸ナトリウムを約 10 mm

の厚さになるように積層し,

ヘキサン数 mL で管壁に付着している硫酸ナトリウムを洗い落とす。

ヘキサン 50 ml を流下させた後,液面を硫酸ナトリウム層の上面まで下げる。

1.2)

濃縮液を正確に二分した後,その一つを窒素気流によって約 0.5 ml まで濃縮して 1.1)のカラムに

静かに移し入れ,ヘキサン 1 mL で数回洗い込み,液面を硫酸ナトリウム層の直上まで下げた後,

ジクロロメタン[2  %(体積分率)]を含むヘキサン溶液 100 mL を約 2.5 mL/min(毎秒 1 滴程度)で

流して第 1 画分をとる。この画分は測定が終了するまで保管する。

1.3)

さらにジクロロメタン[50  %(体積分率)]を含むヘキサン溶液 150 ml を,約 2.5 mL/min で流して第

2

画分をとる。この画分に PCDDs 及び PCDFs が含まれる(

15

)

1.4)

第 2 画分を濃縮器で約 2 ml に濃縮する。

(

17

)

アルミナの活性は製造ロット及び開封後の保存期間によって,かなり変化が認められる。活性

の低下したものでは,1, 3, 6, 8-TeCDD 及び 1, 3, 6, 8-TeCDF などが第 1 画分に溶出したり,八塩

硝酸銀[10%(質量分率)]シリカゲル 3g

硫酸[22%(質量分率)]シリカゲル 6g

硫酸[44%(質量分率)]シリカゲル 4.5g

水酸化カリウム[2%(質量分率)]シリカゲル 3g


20

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素化物がジクロロメタン[50%(体積分率)]を含むヘキサン溶液の規定量では第 2 画分に溶出しな

い場合もあるため,フライアッシュの抽出液などを用いた分画試験で活性度を確認する必要が

ある。

2)

ダイオキシン様 PCB 測定用アルミナカラムクロマトグラフ操作  DL-PCB 測定用のアルミナカラム

クロマトグラフ操作は,次の手順による。

2.1) 6.3

の d)のカラムクロマトグラフ管の底部に石英ガラスウールを詰め,ヘキサン 10 mL で管内を洗

浄し,石英ガラスウール上部までヘキサンを残す。アルミナ 10 g(

17

)

をヘキサン 10 mL を入れたビ

ーカーに量りとり,ガラス棒で緩やかにかき混ぜて気泡を除き,カラムクロマトグラフ管に充て

んする。ヘキサンを流下させ,アルミナ層を安定させた後,その上に硫酸ナトリウムを約 10 mm

の厚さになるように積層し,

ヘキサン数 mL で管壁に付着している硫酸ナトリウムを洗い落とす。

ヘキサン 50 mL を流下させた後,液面を硫酸ナトリウム層の上面まで下げる。

2.2)

濃縮液を正確に二分した後,その一つを窒素気流によって約 0.5 ml まで濃縮して 2.1)のカラムに

静かに移し入れ,ヘキサン 1 mL で数回洗い込み,液面を硫酸ナトリウム層の直上まで下げた後,

ヘキサン 40 ml を約 2.5 mL/min(毎秒 1 滴程度)で流して鎖状炭化水素などを溶出させる(

15

)

2.3)

ジクロロメタン [5 %(体積分率)]  を含むヘキサン溶液 120 mL を約 2.5 mL/min(毎秒 1 滴程度)

で流して第 1 画分を得る。この画分には DL-PCB が含まれる(

15

)

2.4)

さらにジクロロメタン[50  %(体積分率)]  をを含むヘキサン溶液 160 ml を,約 2.5 ml/min で流

して第 2 画分を得る。この画分は測定が終了するまで保管する。

2.5)

第 1 画分を濃縮器で約 2 mL に濃縮する。

b)

高速液体クロマトグラフ操作  高速液体クロマトグラフ操作は,次の手順による。ここで示す操作条

件は,使用する機器,カラムなどによって若干異なってくるので,あらかじめ飛灰の抽出液などを用

いて分画試験を行って確認しなければならない。

1)

流路切替えバルブを装着した高速液体クロマトグラフに活性炭 (porous graphitized carbon) カラム

を移動相の流れの向きが切り替えられるように装着し,溶離液の流量を 2 ml/min に設定する。検出

器として吸光光度検出器を接続し,検出器出口から溶出液を分取できるようにしておく。

2)

溶離液をトルエンとして通常の流れの向きで流し,十分にカラムを洗浄した後,溶離液をヘキサン

にしてカラム及び装置の流路内をヘキサンで置換する。検出器の指示値の変化でヘキサンに置換し

たかどうかを判断するのがよい。

3)

濃縮液を更に窒素気流によって 100

µL 程度に濃縮する。この液を高速液体クロマトグラフに注入し,

溶離液をヘキサンのままで 4 分間流し,溶出液 8 mL を分取して第 1 画分とする。ここには,DL-PCB

以外の PCB が含まれている。

4)

次いで,溶離液をジクロロメタン [50 %(体積分率)]  を含むヘキサン溶液として 20 分間流し,溶出

液 40 ml を分取して第 2 画分とする。ここには,DL-PCB のモノオルト体が含まれている。

5)

さらに,溶離液をトルエン[30  %(体積分率)]を含むヘキサン溶液として 20 分間流し,溶出液 40 ml

を分取して第 3 画分とする。ここには,DL-PCB のノンオルト体が含まれている。

6)

最後に,オーブンを 50  ℃に加熱し,カラムでの移動相の流れの向きを逆にしてトルエンを 15 分間

流し,溶出液 30 mL を分取して第 4 画分とする。ここには,PCDDs 及び PCDFs が含まれている。

7)

第 2 と第 3 画分を一つにし,DL-PCB 測定用として濃縮器で約 2 mL に濃縮し,第 4 画分を PCDDs

及び PCDFs 測定用として同様に濃縮する。

c)

活性炭カラムクロマトグラフ操作  活性炭カラムクロマトグラフ操作は,次の手順による。ここで示


21

K 0311

:2005

す操作条件は,使用するカラムによって異なってくるので,あらかじめフライアッシュの抽出液など

を用いて分画試験を行って確認しなければならない。

1) 6.3

の d)のカラムクロマトグラフ管の底部に石英ガラスウールを詰め,その上に硫酸ナトリウムを

厚さ約 10 mm,活性炭カラム充てん剤を 1 g,硫酸ナトリウムを厚さ約 10 mm に積層して充てんす

る。

トルエンを流下させて十分洗浄した後,

ヘキサンを流下させてカラム内をヘキサンに置換する。

2)

濃縮液を更に窒素気流で 100

µL 程度に濃縮する。この液をカラムに負荷し,ヘキサン 50 mL を 2.5

ml/min

で流下させる。

3)

次いで,

ジクロロメタン[25  %(体積分率)]を含むヘキサン溶液 150 mL を流下させ,

第 1 画分を得る。

ここに,DL-PCB のモノオルト体が含まれている。

4)

次いで,トルエン 200 mL を流下させ,第 2 画分を得る。ここには,PCDDs,PCDFs 及び DL-PCB

のノンオルト体が含まれている。

5)

この第 1 画分及び第 2 画分を濃縮器で約 2 mL にそれぞれ濃縮する。

d)

ジメチルスルホキシド(DMSO)分配処理操作  ジメチルスルホキシド(DMSO)分配処理操作は,

次の手順による。

この操作は,

脂肪族炭化水素などの低極性物質の除去を目的として行うものであり,

PCDDs

及び PCDFs 測定用,DL-PCB 測定用に分けることはできないので,他の精製操作と組合せて行

う。

1)

分液漏斗にヘキサン飽和の DMSO 25 ml を入れ,これに濃縮液をヘキサンで洗浄しながら移し入れ,

振とう抽出を 4 回行って得られた合計約 100 mL の DMSO 抽出液に,ヘキサン 40 mL を加え,洗浄

する。

2)

分液漏斗にヘキサン 75 ml 及びヘキサン洗浄水 100 mL を入れ,1)の操作で得られた DMSO 抽出液

約 100 mL を加え,振とう抽出を 3 回行う。ヘキサン抽出液約 225 mL をとる。

3)

得られた合計約 225 mL のヘキサン抽出液を分液漏斗に入れ,水酸化カリウム水溶液(2 mol/L)10 mL

による洗浄を行う。さらに,水 25 mL で 2 回洗浄し,硫酸ナトリウムで脱水した後,濃縮器で 2 mL

に濃縮する。

6.4.6 

測定用試料の調製  6.4.5 の精製操作によって得られた PSDDs 及び PCDFs 測定用,DL-PCB 測定用

の各濃縮液にシリンジスパイク用内標準物質を検量線作成用標準液と同程度になるように添加してノナン

(

18

)0.5 mL

を加え,再度,窒素気流(

13

)

で一定液量(20∼100 µL)にしたものをそれぞれ PCDDs 及び PCDFs

測定用,DL-PCB 測定用試料とする。

(

18

)

トルエン,デカン又は 2, 2, 4-トリメチルペンタンを用いてもよい。

7. 

同定及び定量

7.1 

同定及び定量の概要  ダイオキシン類の同定と定量は,キャピラリーカラムを用いるガスクロマト

グラフ (GC) と二重収束形質量分析計 (MS) を用いるガスクロマトグラフ質量分析法によって行う。分解

能は 10 000 以上が要求されるが,使用する内標準物質によっては 12 000 が必要である。10 000 以上の高分

解能での測定を維持するため,質量校正用標準物質を測定用試料と同時にイオン源に導いて測定イオンに

近い質量のイオンをモニターして質量の微少な変動を補正するロックマス方式による選択イオン検出法

(SIM 法)で検出し,保持時間及びイオン強度比からダイオキシン類であることを確認した後,クロマト

グラム上のピーク面積から内標準法によって定量を行う。

この規格における GC/MS の検出下限は,装置,測定条件によって変動するが,四塩素化物及び五塩素

化物で 0.1 pg,

六塩素化物及び七塩素化物で 0.2 pg,

八塩素化物で 0.5 pg,

DL-PCB で 0.2 pg 以下である。


22

K 0311

:2005

7.2 

試薬及び装置

7.2.1 

試薬  定量と同定に用いる試薬は,次による。

a)

質量校正用標準物質  ペルフルオロケロセン (PFK) などの質量分析用高沸点成分を使用する。

b)

標準物質  内標準法によるダイオキシン類の同定及び定量に使用する標準物質は,表 に示すものを

用いる。

c)

内標準物質  サンプリングスパイク,クリーンアップスパイク及びシリンジスパイクに用いた内標準

物質[5.3 の及び

(

7

)

参照]

d) 

検量線作成用標準液  b)の標準物質とクリーンアップスパイク及びシリンジスパイクの内標準物質を

混合して,GC/MS の定量範囲内で GC/MS の検出下限の 3 倍程度の低濃度から 5 段階程度をノナン(

18

)

で希釈して調製する(検量線作成用標準液の調製例は,

附属書 を参照)。

  3  ダイオキシン類の標準物質

化合物

四塩素化物

2, 3, 7, 8-TeCDD

五塩素化物

1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

六塩素化物

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

七塩素化物

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

P

C

DD

八塩素化物

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

四塩素化物

2, 3, 7, 8-TeCDF

1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

五塩素化物

2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

六塩素化物

2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

七塩素化物

1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

PCD

F

八塩素化物

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

四塩素化物

3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114)

2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

2', 3, 4, 4', 5-PeCB (#123)

五塩素化物

3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157)

2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

六塩素化物

3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

化合物

*

D

L-PCB

七塩素化物

2, 3, 3', 4, 4, 4', 5'-HpCB (#189)

*

括弧内の数値は,IUPAC No.  を示す。

7.2.2 

ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC/MS)  定量と同定に用いるガスクロマトグラフ質量分析計は,

次による。


23

K 0311

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a)

ガスクロマトグラフ (GC) 

1)

試料導入部  スプリットレス方式,オンカラム注入方式又は大量注入方式(温度プログラム気化注

入方式など)(

19

)

で 250∼280  ℃で使用可能なもの。

(

19

)

大量注入方式の場合,ダイオキシン類の脱塩素によって定量に影響を与える可能性がある,例

えば,OCDD が HpCDDs の濃度に比較して高濃度である場合,HpCDDs の定量が正確でなくな

ることが考えられるので注意する。

2)

カラム  内径 0.1∼0.52 mm,長さ 25∼60 m の溶融シリカ製のキャピラリーカラム。

PCDDs

及び PCDFs の測定では,2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体が可能な限り単離でき,すべての化合

物についてクロマトグラム上における溶出順位の判明しているカラムを使用する。すべての 2, 3, 7,

8-

位塩素置換異性体を他の異性体と完全に分離できるカラムは報告されていないので,溶出順位の

異なる 2 種以上のカラムを併用して 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体すべてを単独に定量できるようにす

ることが望ましい。単独に定量できない 2, 3, 7, 8-位塩素素置換異性体がある場合,重なっている異

性体の影響が無視できず,測定結果に大きく影響することがあるので注意する[8.1 の a)参照]

DL-PCB

の測定では,12 種類の DL-PCB が他の PCB 化合物と可能な限り単離でき,4 塩素化から

10

塩素化の PCB 化合物すべてについてクロマトグラム上における溶出順位の判明しているカラム

を使用する。

参考 PCDDs 及び PCDFs の溶出順位が報告されているカラムとしては,BPX-DXN(SGE),CPS-1

(Quadrex)

,CP-Sil 88(Chrompack)

,DB-5(J&W)

,DB-17(J&W),DB-210(J&W)

,DB-225

(J&W)

,OV-17(Quadrex)

,RH-12ms(Inventx)

,SP-2331(Supelco)などがあり,PCB の溶出

順位が報告されているカラムとしては,DB-5ms(J&W)

,HT8(SGE)

,RH-12ms(Inventx)な

どがある。これらの商品は,一般に入手できるものとして掲げたが,これを推奨するものでは

ない。

3)

キャリヤーガス  純度 99.999 %[(体積分率)]以上の高純度ヘリウム。

4)

カラム恒温槽  温度制御範囲が 50∼350  ℃であり,測定対象物質の最適分離条件の温度にできるよ

うな昇温プログラムの可能なもの。

b)

質量分析計 (MS) 

1)

方式  二重収束方式

2)

分解能  10 000 以上。ただし,内標準物質として

13

C

12

-OCDF

を使用する場合,キャピラリーカラム

の選択によっては 12 000 程度が必要となる。

3)

イオン検出方法  質量校正用標準物質を用いたロックマス方式による選択イオン検出 (SIM) 法

4)

イオン化方法  電子衝撃イオン化 (EI) 法

5)

イオン源温度  250∼300  ℃

6)

イオン化電流  0.5∼1 mA

7)

電子加速電圧  30∼70 V

8)

最大イオン加速電圧  5∼10 kV

7.3 

測定操作

7.3.1 

ガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の設定  ガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の

設定は,次による。

a)

ガスクロマトグラフ (GC)   PCDDs 及び PCDFs,DL-PCB のガスクロマトグラフの操作条件は,次に

よる。


24

K 0311

:2005

1)

PCDDs

及び PCDFs  PCDDs 及び PCDFs の測定においては,クロマトグラム上における 2, 3, 7, 8-

位塩素置換異性体のピークが他の異性体のものと良好な分離が得られ,各塩素化物の保持時間が適

切な範囲にあり,安定した応答が得られるようにガスクロマトグラフの条件を設定する。設定した

条件における各化合物の分離状況を飛灰の抽出液などの試料を測定して確認しておく。

付表 13

にその一例を示す。

2)

DL-PCB

  DL-PCB においては,DL-PCB のクロマトグラム上でのピークが他の化合物のものと良好

な分離が得られ,各塩素化物の保持時間が適切な範囲にあり,安定した応答が得られるようにガス

クロマトグラフの条件を設定する。設定した条件における各化合物の分離状況を飛灰の抽出液など

の試料を測定して確認しておく。

付表 及び付表 にその一例を示す。

参考  ここに示す条件は,参考として示したものである。

b)

質量分析計 (MS)  質量分析計は,次のことを満足するような条件に設定する。

1)

分解能  分解能は 10 000 以上とする。ただし,内標準物質として

13

C

12

-OCDF

を使用する場合,ガ

スクロマトグラフのカラムの選択によっては 12 000 程度が必要になる。

2)

検出方法  質量校正用標準物質を用いたロックマス方式による選択イオン検出 (SIM) 法を用いる。

3)

測定質量/電荷数(m/z)  試料及び内標準物質の塩素化物ごとに,二つ以上の選択イオンの質量/電

荷数(m/z)とロックマス用の選択イオンの質量/電荷数(m/z)を設定する(

20

)

。PCDDs 及び PCDFs の設

定質量/電荷数(m/z)の例を

表 に,DL-PCB の設定質量/電荷数(m/z)の例を,表 にそれぞれ示す。

(

20

)

キャピラリーカラムによって得られるピークの幅は 5∼10 秒間程度であるが,一つのピークに

対して十分な測定点を確保するため,クロマトグラムにおける単独成分ピークの最も幅の狭い

ピークであっても,そのピークを構成する測定点が 7 点以上となるように選択イオン検出のサ

ンプリングの周期を設定しなければならない。1 回の測定で設定可能なチャネルの数は,要求

される感度との兼ね合いとなるので,十分に検討した上で設定する必要がある。

クロマトグラム上の各ピークの保持時間を考慮して,時間分割によるグルーピング方式によ

って測定してもよいが,この場合には,グループごとに,適切な内標準物質ピークが出現する

ように条件の設定を行う必要がある。

7.3.2 

質量分析計の調整  質量分析計の調整は,装置が作動している状態で必要な項目の条件を設定した

後,質量校正用標準物質を導入し,質量校正用プログラムによって行う。質量目盛,分解能(10 000 以上)

などを測定目的に応じて所定の値に校正する。特に,分解能は測定質量範囲の全域で 10 000 以上に調節し

なければならない。通常,測定を開始する前に行い,質量校正結果は保存しておく。

7.3.3 SIM

測定操作  SIM 測定操作は,次による。

a)

 GC/MS

を所定の条件に設定する。

b)

質量校正用標準物質を導入しながらそのモニターチャネルの応答が安定したら,測定試料の測定を行

う。

c)

設定した各塩素化物の質量数について,クロマトグラムを記録する。

d)

測定終了後,データ処理作業に入る前に個々の試料ごとに質量校正用標準物質のモニターチャネル,

妨害成分の有無,2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体の分離の確認を行う(

21

)

(

21

)

質量校正用標準物質のモニターチャネルのクロマトグラムで,測定対象化合物の出現時間にお

いてシグナルに±20  %以上の変動が認められた場合には,その化合物については定量してはな

らない。主な要因として,試料の前処理が不十分であることが考えられるので,試料の前処理

を再度十分に行い,ロックマスの変動を最小限に抑える必要がある。


25

K 0311

:2005

  4  PCDDs 及び PCDFs 測定の設定質量/電荷数(モニターイオン)*の例

塩素置換体

M

(M+2)

(M+4)

TeCDDs

319.896 5

321.893 6

PeCDDs

353.857 6

355.854 6

357.851 7

**

HxCDDs

387.818 6

389.815 6

391.812 7

**

HpCDDs

423.776 7

425.773 7

OCDD

457.737 7

459.734 8

TeCDFs

303.901 6

305.898 7

PeCDFs

339.859 7

341.856 8

HxCDFs

373.820 7

375.817 8

HpCDFs

407.781 8

409.778 8

分析対象物質

OCDF

439.745 7

441.742 8

443.739 8

13

C

12

-TeCDDs

331.936 8

333.933 9

37

Cl

4

-TeCDDs 327.8

7

13

C

12

-PeCDDs

365.897 8

367.894 9

369.891 9

13

C

12

-HxCDDs

399.858 9

401.855 9

403.853 0

13

C

12

-HpCDDs

435.816 9

437.814 0

13

C

12

-OCDD

469.778 0

471.775 0

13

C

12

-TeCDFs

315.941 9

317.938 9

13

C

12

-PeCDFs

351.900 0

353.897 0

13

C

12

-HxCDFs

385.861 0

387.858 0

13

C

12

-HpCDFs

419.822 0

421.819 1

内標準物質

13

C

12

-OCDF

451.786 0

453.783 0

455.780 1

質量校正用標準物質

(PFK)

330.979 2

(4, 5-塩素化物定量用)

380.976 0

(5, 6-塩素化物定量用)

430.972 9

(7, 8-塩素化物定量用)

442.972 9

(7, 8-塩素化物定量用)

*

質量数は,IUPAC,  Element by element review of their atomic weight, Pure Appl Chem.,

56

,  [6] P.695-768 (1984) を基にして算出した。

** PCB

の妨害を受けることがある。


26

K 0311

:2005

  5  DL-PCB 測定の設定質量/電荷数(モニターイオン)*の例

塩素置換体

M

(M+2)

(M+4)

TeCBs

289.922 4

291.919 4

293.916 5

PeCBs

323.883 4

325.880 4

327.877 5

HxCBs

357.844 4

359.841 5

361.838 5

分析対象物質

HpCBs

391.805 4

393.802 5

395.799 5

13

C

12

-TeCBs

301.962 6

303.959 7

305.956 7

13

C

12

-PeCBs

335.923 7

337.920 7

339.917 8

13

C

12

-HxCBs

369.884 7

371.881 7

373.878 8

内標準物質

13

C

12

-HpCBs

403.845 7

405.842 8

407.839 8

質量校正用標準物質

(PFK)

304.982 4

330.979 2

380.976 0

*

質量数は,IUPAC,  Element by element review of their atomic weight, Pure Appl Chem.,

56

,  [6] p.695-768 (1984) を基にして算出した。

7.3.4 

検量線の作成  検量線の作成は,次による。

a)

標準液の測定  各検量線作成用標準液を 1 濃度に対して最低 3 回 GC/MS に注入し,7.3.3 の SIM 測定

操作を行って,全濃度領域で合計 15 点以上のデータをとる。

b)

ピーク面積の強度比の確認  得られたクロマトグラムから,各標準物質の対応する二つのイオンのピ

ーク面積の強度比を求め,塩素原子の同位体存在比から推定されるイオン強度比と±15  %以内で一致

することを確認する(7.4.1

  表 参照)。

c)

相対感度の算出  相対感度の算出は,次による。

1)

各標準物質及び内標準物質のピーク面積を求め,各標準物質の対応するクリーンアップスパイク内

標準物質に対するピーク面積の比と注入した標準液中のその標準物質と内標準物質の濃度の比を用

いて検量線を作成し,検量線が原点を通る直線になっていることを確認する(測定対象の標準物質

とそれに対応する内標準物質の例は,

附属書 を参照)。

相対感度(RRF

cs

)は,式(3)によって測定ごとに求め,得られた全濃度域合計 15 点以上のデータ

を平均する。この場合,データの変動係数が 5  %を目安に可能な限り小さくなるようにし,変動係

数が 10  %を超える化合物があってはならない。変動係数が 10  %を超える場合は,GC/MS の状態

を確認して,必要ならば,調整し直したり,直線性のある範囲に定量範囲を狭めるなどの処置をし

て検量線を作成し直す。

RRF

cs

cs

s

s

cs

A

A

Q

×

 (3)

ここに,  RRF

cs

:  測定対象物質のクリーンアップスパイク内標準物質との相対感

Q

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質の量 (pg)

Q

s

:  標準液中の測定対象物質の量 (pg)

A

s

:  標準液中の測定対象物質のピーク面積(

22

)

A

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

(

22

)

ここで用いるピーク面積は,一方の測定チャネルのピーク面積,両測定チャネルのピーク面積

の合計値,又は両測定チャネルのピーク面積の平均値のいずれかとし,試料の測定までのすべ


27

K 0311

:2005

ての測定において同じものを用いなければならない。

2)

同様にして,クリーンアップスパイク内標準物質のシリンジスパイク内標準物質に対する相対感度

(RRF

rs

)

を式(4)によって,サンプリングスパイク内標準物質のクリーンアップスパイク内標準物質

に対する相対感度  (RRF

rs

)

を式(5)によってそれぞれ算出する(クリーンアップスパイク内標準物質

とシリンジスパイク内標準物質との対応の例及びサンプリングスパイク内標準物質とクリーンアッ

プスパイク内標準物質との対応の例は,

附属書 を参照)。

rs

cs

rs

rc

rs

A

A

Q

Q

RRF

×

 (4)

ここに,  RRF

rs

:  クリーンアップスパイク内標準物質のシリンジスパイク内標準

物質との相対感度

Q

rs

:  標準液中のシリンジスパイク内標準物質の量 (pg)

Q

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質の量 (pg)

A

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

A

rs

:  標準液中のシリンジスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

cs

ss

ss

cs

ss

A

A

Q

Q

RRF

×

 (5)

ここに,  RRF

ss

:  サンプリングスパイク内標準物質のクリーンアップスパイク内

標準物質との相対感度

Q

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質の量 (pg)

Q

ss

:  標準液中のサンプリングスパイク内標準物質の量 (pg)

A

ss

:  標準液中のサンプリングスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

A

cs

:  標準液中のクリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

7.3.5 

試料の測定  6.で調製した測定用試料の測定は,次による。

a)

検量線の確認  ある一定の周期(1 日に 1 回以上)で,検量線作成用標準液の中から一つ以上選び,

7.3.3

の SIM 測定操作に従って測定し,7.3.4 と同様にして各化合物のそれに対応したクリーンアップ

スパイク内標準物質に対する相対感度  (RRF

cs

)

を求める。さらに,クリーンアップスパイク内標準物

質のそれに対応したシリンジスパイク内標準物質に対する相対感度  (RRF

rs

)

を求める。

これらの相対感度が,7.3.4 で求めた検量線作成時の相対感度(RRF

cs

及び RRF

rs

)に対して RRF

CS

については±10  %以内,RRF

RS

±20  %以内であれば,7.3.4 で求めた相対感度を用いて測定を行う。

この範囲をはずれた場合には,その原因を取り除き,再測定を行うか,再度,検量線を作成する。

さらに,保持時間についても,その変動を調べ,保持時間が一日に±5  %以上,内標準物質との相

対保持比が±2  %以上変動する場合には,その原因を取り除き,その直前に行った一連の試料の再測

定を行う。

b) 

試料の測定  6.で調製した測定用試料を 7.3.3 の SIM 測定操作に従って測定し,各塩素化物の質量数

についてクロマトグラムを得る。

7.4 

同定及び定量

7.4.1 

ピークの検出  7.3.5 で得られたクロマトグラムにおけるピークの検出は,次による。

a) 

シリンジスパイク内標準物質の確認  6.4.6 で調製した測定用試料中のシリンジスパイク内標準物質

のピーク面積が標準液におけるシリンジスパイク内標準物質のピーク面積の 70  %以上であることを

確認する。この範囲から外れた場合は,原因を調査し,その原因を取り除いて再度測定する。

b)

ピークの検出  クロマトグラム上において,ベースラインのノイズ幅 (N) に対して 3 倍以上のピーク


28

K 0311

:2005

高さ (S) であるピーク,すなわち,ピーク高さで S/N=3 以上となるピークについて,次の同定及び

定量の操作を行う。

ここで,ノイズ幅 (N) 及びピーク高さ (S) は,一般に次のようにして求める。まず,ピークの近

傍(ピークの半値幅の 10 倍程度の範囲)のノイズを計測し,その標準偏差の 2 倍をノイズ幅 (N) と

するか,経験的にノイズの最大値と最小値との幅はおおよそ標準偏差の 5 倍となるため,その幅の 2/5

をノイズ幅 (N) とする。一方,ノイズの中央値をベースラインとし,ベースラインのノイズを基にピ

ークトップを決めてこの幅をピーク高さ (S) とする。

なお,得られたクロマトグラムのベースラインは,必ず装置のゼロ点より高くならなければノイズ

を計測することはできないので,測定に先立ってベースラインを確認,必要に応じてオフセットなど

を適切に調節しなければならない。

c) 

ピーク面積の算出  b)で検出されたピークについて,そのピーク面積を算出する。

7.4.2 

ダイオキシン類の同定  試料の同定は,次による。

a)

ダイオキシン類の同定  モニターした二つ以上のイオンにおけるクロマトグラム上のピーク面積の比

が標準物質のものとほぼ同じであり,

表 に示す塩素原子の同位体存在比から推定されるイオン強度

比に対して±15  %以内(検出下限の 3 倍以下の濃度では±25  %)であれば,そのピークはダイオキ

シン類又は PCB によるものであるとする。標準物質のない化合物の同定は,分析に用いたカラムの溶

出順位を参考にして行う。

b)

  2

378-位塩素置換異性体の同定  同定された PCDDs 及び PCDFs の中の 2,  3,  7, 8-位塩素置

換化合物は,クロマトグラム上のピークの保持時間が標準物質とほぼ同じであり,対応する内標準物

質との相対保持時間が標準物質と一致することで同定する。

c)

DL-PCB

の同定  同定された PCB の中の DL-PCB は,クロマトグラム上のピークの保持時間が標準物

質とほぼ同じであり,対応する内標準物質との相対保持時間が標準物質と一致することで同定する。

  6  塩素原子の同位体存在比から推定されるイオン強度比

M M+2

M+4

M+6

M+8

M+10

M+12

M+14

TeCDDs 77.43  100.00  48.74  10.72  0.94

0.01

PeCDDs 62.06  100.00  64.69  21.08  3.50

0.25

HxCDDs

51.79

100.00

80.66

34.85 8.54 1.14 0.07

HpCDDs

44.43

100.00

96.64

52.03

16.89 3.32 0.37 0.02

OCDD 34.54  88.80 100.00 64.48  26.07  6.78  1.11  0.11

TeCDFs

77.55

100.00

48.61

10.64

0.92

 

PeCDFs 62.14  100.00  64.57  20.98  3.46

0.24

HxCDFs

51.84

100.00

80.54

34.72 8.48 1.12 0.07

HpCDFs

44.47

100.00

96.52

51.88

16.80 3.29 0.37 0.02

OCDF 34.61  88.89 100.00 64.39  25.98  6.74  1.10  0.11

TeCBs

76.67

100.00

49.11

10.83

0.93

 

PeCBs

61.42

100.00

65.29

21.43

3.56

 

HxCBs 51.22 100.00  81.48  35.51  8.75  1.17

HpCBs 43.93 100.00  97.67  53.09  17.38  3.43

備考1.  M は,最低質量数の同位体を示す。

2.

イオン強度比は,塩素数ごとにそれぞれ最大強度を示すイオンを 100  %とした値である。

7.4.3 

ダイオキシン類の定量

a)

各化合物の定量  抽出液全量中の同定された 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体又は DL-PCB の量  (Q

i

)

は,


29

K 0311

:2005

それに対応するクリーンアップスパイク内標準物質の添加量を基準にして内標準法で式(6)によって

求める。他の化合物についても同様にして求める(測定対象物質,標準物質及びそれに対応するクリ

ーンアップ内標準物質の例は,

附属書 を参照)。

cs

csi

csi

i

i

RRF

Q

A

A

Q

×

 (6)

ここに,

Q

i

:  抽出液全量中の化合物の量 (ng)

A

i

:  クロマト上の化合物のピーク面積(

23

)

A

csi

:  対応するクリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

Q

csi

:  対応するクリーンアップスパイク内標準物質の添加量 (ng)(

23

)

RRF

cs

:  対応するクリーンアップスパイク内標準物質との相対感度(

24

)

(

23

)

試料を抽出後,分取し,内標準物質を添加した場合は,その補正を行う。

(

24

)

  2, 3, 7, 8-

位塩素置換異性体及び DL-PCB 以外の化合物の定量には,各塩素化物に用いている標

準物質とクリーンアップ用内標準物質との相対感度の平均値を用いる。

b)

濃度の算出  得られた各化合物の量から,試料中の濃度を式(7)によって算出し,特に指定がない場合

は JIS Z 8401 の規定によって数値を丸め,有効数字を 2 けたとする。

(

)

SD

t

i

i

V

1

Q

Q

C

×

 (7)

ここに,

C

i

:  試料中の化合物の濃度 (0 ℃,101.32 kPa)  (ng/m

3

)

Q

i

:  抽出液全量中の化合物の量 (ng)

Q

t

:  空試験での化合物の量 (ng)

V

sD

: 0

℃,101.32 kPa における試料ガスの採取量 (m

3

)

備考  酸素の濃度による補正が必要な場合には,実測した濃度を式(8)によって所定の酸素の濃度に換

算したものを濃度とする。

s

s

n

21

21

C

O

O

C

×

 (8)

ここに,

C

:  酸素の濃度 O

n

における濃度 (0 ℃,101.32 kPa) (ng/m

3

)

O

n

:  換算する酸素の濃度  (%)

O

s

:  排ガス中の酸素の濃度(

25

) (

%)

C

s

:  排ガス中の実測濃度 (0 ℃,101.32 kPa) (ng/m

3

)

(

25

)

ガス中の酸素の濃度が 20  %を超える場合は,O

s

=20 とする。

7.5 

検出下限及び定量下限

7.5.1 

装置の検出下限及び定量下限  最低濃度(各標準物質をそれぞれ四塩素化物及び五塩素化物で 0.1

∼0.5 pg,六塩素化物及び七塩素化物で 0.2∼1.0 pg,八塩素化物で 0.5∼2.5 pg,DL-PCB で 0.2∼1.0 pg を

含む。

)の検量線作成用標準液を GC/MS で測定し,各化合物を定量する。この操作を 5 回以上繰り返し,

得られた測定値から式(9)によって標準偏差を求め,その 3 倍を装置の検出下限,10 倍を装置の定量下限と

する。ここでは,測定値の丸めを行わずに標準偏差を算出し,得られた検出下限は,有効数字を 1 けたと

し,定量下限は,検出下限と同じけたまでで丸める。

ここで得られた装置の検出下限が,四塩素化物及び五塩素化物で 0.1 pg,六塩素化物及び七塩素化物で

0.2 pg,八塩素化物で 0.5 pg,DL-PCB で 0.2 pg より大きいときには,器具,機器などを確認して,これ

らの値以下になるように調節する。

この装置の検出下限及び定量下限は,使用する GC/MS の状態などによって変動するため,ある一定の

周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,使用する GC/MS 及び測定条件を変更し

た場合などには必ず確認する。


30

K 0311

:2005

(

)

1

2

i

n

x

x

s

å

 (9)

ここに,

s

:  標準偏差

x

i

:  個々の測定値 (pg)

x

:  測定値の平均値 (pg)

n

:  測定回数

7.5.2 

測定方法の検出下限及び定量下限  測定に用いるのと同量の吸収液,吸着剤及びフィルタから抽出

した抽出液に式(10)によって算出した量の標準物質を添加し,前処理,GC/MS での測定,同定及び定量を

行う。これを 5 回以上行い,得られた測定値の標準偏差を式(9)によって求め,その 3 倍を測定方法の検出

下限,10 倍を測定方法の定量下限とする。ここでは,測定値の丸めを行わずに標準偏差の算出し,得られ

た検出下限は有効数字を 1 けたとし,定量下限は,検出下限と同じけたまでで丸める。

この測定方法の検出下限及び定量下限は,前処理操作及び測定条件によって変動するため,ある一定の

周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,前処理操作及び測定条件を変更した場合

などには必ず確認する。

i

v

v

L

Q

Q

×

 (10)

ここに,

Q

:  標準物質の添加量 (pg)

QL

'

:  装置の定量下限 (pg)

v

:  測定用試料の液量  (

µL)

v

i

: GC/MS への注入量  (

µL)

7.5.3 

試料ガスにおける検出下限及び定量下限  試料ガスにおける検出下限及び定量下限は,試料ガスの

採取量などによって異なってくるため,式(11)及び式(12)によって試料ごとに求める。

V

V

V

v

v

DL

C

1

000

1

E

E

i

DL

×

×

×

 (11)

V

V

V

v

v

QL

C

1

000

1

E

E

i

QL

×

×

×

 (12)

ここに,

C

DL

:  試料ガスにおける検出下限 (0 ℃,101.32 kPa) (ng/m

3

)

C

QL

:  試料ガスにおける定量下限 (0 ℃,101.32 kPa) (ng/m

3

)

DL

:  測定方法の検出下限 (pg)

QL

:  測定方法の定量下限 (pg)

v

i

: GC/MS への注入量  (

µL)

v

:  測定用試料の液量  (

µL)

V

:  試料ガスの採取量 (0 ℃,  101.32 kPa) (m

3

)

V

E

:  抽出液量 (mL)

V

'

E

:  抽出液の分取量 (mL)

7.5.4 

試料測定時の検出下限の確認  実際の試料の測定において,2,  3,  7, 8-位塩素置換異性体及び

DL-PCB

の中でピークが検出されなかったものについては,そのクロマトグラム上において,検出下限を

次の手順で求め,

その値から算出される試料ガス中の濃度が 7.5.3 で求めた試料ガスにおける検出下限以下

であることを確認する。この値が試料ガスのおける検出下限を超える場合は,前処理操作,測定操作に問

題がなかったかどうかを確認し,その原因を取り除いて再測定し,少なくとも試料測定時の検出下限から

算出される試料ガス中の濃度が,評価しなければならない濃度の 1/30 以下になるようにする。


31

K 0311

:2005

a)

対象とする化合物のピーク近傍のベースラインにおいてノイズ幅を求める。

b)

ノイズ幅の 3 倍のピーク高さに相当するピークの面積を標準液のクロマトグラムなどから推定する。

c)  

得られたピーク面積を用いて,その面積に相当する量を算出し,試料測定時の検出下限とする。

7.6 

回収率の確認

7.6.1 

クリーンアップスパイク回収率の算出  クリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積とシリ

ンジスパイク内標準物質のピーク面積の比及び対応する相対感度  (RRF

rs

)

を用いて式(13)によって回収率

を計算し,クリーンアップの回収率を確認する。

このクリーンアップの回収率が 50  %以上 120  %以下の範囲から外れるときは再度前処理を行い,再測

定する。

csi

rs

rsi

rsi

csi

c

100

Q

RRF

Q

A

A

R

×

×

 (13)

ここに,

R

c

クリーンアップスパイク回収率  (%)

A

csi

クリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

A

rsi

対応するシリンジスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

Q

rsi

対応するシリンジスパイク内標準物質の添加量 (ng)

RRF

rs

対応するシリンジスパイク内標準物質との相対感度

Q

csi

クリーンアップスパイク内標準物質の添加量 (ng) (

26

)

(

26

)

内標準物質添加後の分取・分割の補正を行う。

7.6.2 

サンプリングスパイク回収率の算出  サンプリングスパイク内標準物質のピーク面積とクリーン

アップスパイク内標準物質のピーク面積の比及び対応する相対感度  (RRF

ss

)

を用いて式(14)によって回収

率を計算し,サンプリングスパイクの回収率を確認する。

このサンプリングスパイクの回収率が 70  %以上 130  %以下の範囲から外れるときは,その原因を取り

除き,再度,試料採取を行い,再測定する。

ssi

ss

csi

csi

ssi

s

100

Q

RRF

Q

A

A

R

×

×

 (14)

ここに,

R

s

サンプリングスパイク回収率  (%)

A

ssi

サンプリングスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

A

csi

対応するクリーンアップスパイク内標準物質のピーク面積(

22

)

Q

csi

対応するクリーンアップスパイク内標準物質の添加量 (ng)

RRF

ss

対応するクリーンアップスパイク内標準物質との相対感度

Q

ssi

サンプリングスパイク内標準物質の添加量 (ng) (

26

)

8. 

結果の報告

8.1 

結果の表示方法  ダイオキシン類測定結果の表示方法は,特に指定がない場合には,次による。

a) PCDDs

及び PCDFs  PCDDs 及び PCDFs の濃度の測定結果には,2,  3,  7, 8-位塩素置換異性体の

濃度,四塩素化物∼八塩素化物(TeCDDs∼OCDD 及び TeCDFs∼OCDF)の同族体濃度,それらの総

和を記載する。

各化合物の濃度は,試料ガスにおける定量下限以上の値はそのまま記載し,試料ガスにおける検出

下限以上で定量下限未満のものは,定量下限以上の値と同等の精度が保証できない値であることが分

かるような表示方法(例えば,括弧付きにするとか別な欄にするなど。

)で記載する。試料ガスにおけ

る検出下限未満のものは,検出下限未満であったことが分かるように記載する。

単独で定量できなかった 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体については,単独で定量できていないことがわ


32

K 0311

:2005

かるように結果表の 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体の欄に重なっている異性体の名称を明記する。

例えば,

1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

に 1, 2, 3, 4, 8-PeCDF が重なっている場合,1, 2, 3, 7, 8-PeCDF の欄に“1, 2, 3, 7, 8 + 1,

2, 3, 4, 8-PeCDF

”と記載する。

各同族体の濃度及びそれらの総和は,検出された化合物の濃度で算出する。

これらの表示方法は,

表 のとおりとし,試料ガスにおける検出下限及び定量下限も明記する。ま

た,8.3 の毒性当量(TEQ 濃度)を求めて結果をまとめる場合には,

付表 及び付表 を参考にする

とよい。

b)

  DL-PCB

  DL-PCB の濃度の測定結果には,各化合物の濃度とそれらの総和を a)と同様に記載する。

表示方法は,

表 のとおりとし,試料ガスにおける検出下限及び定量下限も明記する。また,8.3 の毒

性当量(TEQ 濃度)を求めて結果をまとめる場合には,

付表 及び付表 を参考にするとよい。

8.2 

濃度の単位  ダイオキシン類の実測値は,ng/m

3

 (0

℃,101.32 kPa)  で表示する。

8.3 

毒性当量 (TEQ) への換算  ダイオキシン類の濃度を毒性当量に換算する場合は,測定濃度に毒性等

価係数 (TEF) を乗じて ng−TEQ/m

3

 (0

℃,101.32 kPa)  として表示する。

a)

毒性等価係数 (TEF)   特に指定がない場合は,表 に示す TEF を使用して毒性当量を求める。別の

TEF

を用いた場合には,用いた TEF を注などで明記する。

b)

毒性当量 (TEQ) の算出  各化合物の毒性当量を算出し,その合計を毒性当量とし,その算出は,次

のように行うことが望ましい。ただし,いずれの場合でも算出方法は必ず明記する。

1)

特に指定がない場合は,定量下限以上の値はそのままその値を用い,定量下限未満で検出下限以上

の値と検出下限未満のものは 0(ゼロ)として各化合物の毒性当量を算出し,それらを合計して毒

性当量を算出する。

2)

毒性当量算出の目的に応じて,1)以外にも次の方法があり,指定がある場合は,次による。

2.1)

定量下限以上の値と定量下限未満で検出下限以上の値はそのままその値を用い,検出下限未満の

ものは試料ガスにおける検出下限を用いて各化合物の毒性当量を算出し,それらを合計して毒性

当量を算出する。

2.2)

定量下限以上の値と定量下限未満で検出下限以上の値はそのままその値を用い,検出下限未満の

ものは試料ガスにおける検出下限の 1/2 の値を用いて各化合物の毒性当量を算出し,それらを合計

して毒性当量を算出する。

8.4 

数値の取扱い  濃度の表示における数値の取扱いは,特に指定がない場合には,次による。

a)

濃度については,JIS Z 8401 によって数値を丸め,有効数字を 2 けたとして表し,検出下限未満の場

合には,検出下限未満であったことを表示する。ただし,表示するけたは試料ガスにおける検出下限

のけたまでとし,それより下のけたは表示しない。

b)

検出下限については,JIS Z 8401 によって数値を丸め,有効数字を 1 けたとして表示する。

c)

毒性当量の算出に当たっては,表示された測定濃度から各化合物の毒性当量を計算し,その合計の値

をもって有効数字 2 けたで a

)と同様に数値を丸める。つまり,個々の化合物の毒性当量については

丸めの操作は行わない。

 
 
 
 


33

K 0311

:2005

  7  PCDDs,PCDFs の同族体及び化合物の表示方法

PCDDs PCDFs

塩素置換体

同族体

化合物

同族体

化合物

四塩素化物 TeCDDs

2, 3, 7, 8-

その他

TeCDFs

2, 3, 7, 8-

その他

五塩素化物 PeCDDs

1, 2, 3, 7, 8-

その他

PeCDFs

1, 2, 3, 7, 8-

2, 3, 4, 7, 8-

その他

六塩素化物 HxCDDs

1, 2, 3, 4, 7, 8-

1, 2, 3, 6, 7, 8-

1, 2, 3, 7, 8, 9-

その他

HxCDFs

1, 2, 3, 4, 7, 8-

1, 2, 3, 6, 7, 8-

1, 2, 3, 7, 8, 9-

2, 3, 4, 6, 7, 8-

その他

七塩素化物 HpCDDs

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-

その他

HpCDFs

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-

その他

八塩素化物

OCDD

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-

OCDF

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-

PCDDs

− PCDFs −

Σ(四塩素化物∼八塩素化物)

PCDDs+PCDFs

  8  DL-PCB の化合物の表示方法

ノンオルト体

モノオルト体

四塩素化物 (TeCB)

3, 3', 4, 4'- (#77)

3, 4, 4', 5- (#81)

五塩素化物  (PeCB)

3, 3', 4, 4', 5- (#126)

2, 3, 3', 4, 4'- (#105)

2, 3, 4, 4', 5- (#114)

2, 3', 4, 4', 5- (#118)

2', 3, 4, 4', 5- (#123)

六塩素化物  (HxCB)

3, 3', 4, 4', 5, 5'- (#169)

2, 3, 3', 4, 4', 5'- (#156)

2, 3, 3', 4, 4', 5- (#157)

2, 3', 4, 4', 5, 5'- (#167)

七塩素化物  (HpCB)

2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'- (#189)

全ノンオルト体

全モノオルト体

Σ(四塩素化物∼八塩素化物)

全 DL-PCB

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


34

K 0311

:2005

  9  毒性等価係数

化合物 TEF

(1998)*

2, 3, 7, 8-TeCDD

1

1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

1

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

0.1

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

0.1

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

0.1

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

0.01

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

0.000 1

PCDDs

その他 0

2, 3, 7, 8-TeCDF

0.1

1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

0.05

2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

0.5

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

0.1

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

0.1

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

0.1

2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

0.1

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

0.01

1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

0.01

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

0.000 1

PCDFs

その他 0

3, 4, 4', 5-TeCB (#81) 0.0

1

3, 3', 4, 4'-TeCB (#77) 0.0

1

3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126) 0.1

DL-PCB

ノンオルト体

3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169) 0.01

2', 3, 4, 4', 5-PeCB (#123) 0.0

1

2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118) 0.0

1

2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105) 0.0

1

2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114) 0.0

5

2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167) 0.000

01

2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156) 0.0

5

2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157) 0.0

5

DL-PCB

モノオルト体

2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189) 0.000

1

*

この TEF は,1998 年に WHO/IPCS から提案されたものを表す。

9. 

測定データの品質管理  ダイオキシン類の測定は,極めて低濃度の測定であるため,測定精度の管理

を十分に行う必要がある。測定データの品質管理は,次による。

9.1 

測定データの信頼性の確保

9.1.1 

内標準物質の回収率の確認

a)

サンプリングスパイク内標準物質の回収率  サンプリングスパイク内標準物質の回収率を確認し,各

サンプリングスパイクの回収率が 70∼130  %の範囲内でない場合は,その原因を調査し,改善後,再

度,試料ガスの採取を行う。

b)

クリーンアップスパイク内標準物質の回収率  クリーンアップスパイク内標準物質の回収率を確認

し,各クリーンアップスパイク内標準物質の回収率が 50∼120  %の範囲内でない場合には,再度,抽

出液からクリーンアップをやり直す。


35

K 0311

:2005

9.1.2 

検出下限及び定量下限の確認

a)

装置の検出下限及び定量下限  最低濃度(各標準物質をそれぞれ四塩素化物及び五塩素化物で 0.1∼

0.5 pg

,六塩素化物及び七塩素化物で 0.2∼1.0 pg,八塩素化物で 0.5∼2.5 pg,DL-PCB で 0.2∼1.0 pg

を含む。

)の検量線作成用標準液を GC/MS で測定し,各 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体を定量する。この

操作を 5 回以上繰り返し,得られた測定値から標準偏差を求め,その 3 倍を装置の検出下限,10 倍を

装置の定量下限とする。

ここで得られた装置の検出下限が,四塩素化物及び五塩素化物で 0.1 pg,六塩素化物及び七塩素化

物で 0.2 pg,八塩素化物で 0.5 pg,DL-PCB で 0.2 pg より大きいときには,器具,機器などを確認して,

これらの値以下になるように調節する。

この装置の検出下限及び定量下限は,使用する GC/MS の状態などによって変動するため,ある一

定の周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,使用する GC/MS 及び測定条件

を変更した場合などには必ず確認する。

b)

測定方法の検出下限及び定量下限  測定に用いるのと同量の吸収液,吸着剤及びフィルタを抽出した

抽出液に GC/MS への注入量が装置の定量下限と同じ量になるように標準物質を添加し,前処理,測

定,同定及び定量を行う。これを 5 回以上行い,得られた測定値の標準偏差を求め,その 3 倍を測定

方法の検出下限,10 倍を測定方法の定量下限とする。

この測定方法の検出下限及び定量下限は,前処理操作及び測定条件によって変動するため,ある一

定の周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,前処理操作及び測定条件を変更

した場合などには必ず確認する。

c)

ガス試料における検出下限及び定量下限  試料ガスにおける検出下限及び定量下限は,試料ガスの採

取量などによって異なってくるため,測定方法の検出下限及び定量下限を用いて試料ごとに求める。

得られた試料ガスにおける検出下限は,評価しなければならない濃度の 1/30 以下でなければならない。

d)

試料測定時の検出下限の確認  実際の試料の測定において,2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体及び DL-PCB

の中でピークが検出されなかったものについては,そのクロマトグラム上において,ピーク近傍のベ

ースラインのノイズ幅から,試料測定時の検出下限を推定し,その値から算出された試料ガスにおけ

る濃度が試料ガスにおける検出下限以下でなければならない。

その値が試料ガスにおける検出下限を超える場合は,前処理操作,測定操作に問題がなかったかど

うかを確認し,その原因を除いて再測定し,少なくとも試料測定時の検出下限から算出される試料ガ

ス中の濃度が,評価しなければならない濃度の 1/30 以下になるようにする。

9.1.3 

空試験  空試験は,ろ過材,吸着剤,吸収液,前処理時に使用する試薬などの汚染のレベルを確認

する空試験(以下,操作ブランク試験という。

)と,試料ガス採取及び試料の運搬における汚染を確認する

ための空試験(以下,トラベルブランク試験という。

)の 2 種類とする。

備考  試験値が大きいと測定感度が悪くなるばかりでなく,測定値の信頼性が低下するため,空試験

値は極力低減を図らなければならない。そのため,必要に応じてクリーンドラフト内で前処理

操作などを行うことが望ましい。

a)

操作ブランク試験  操作ブランク試験は,測定用試料の調製又は GC/MS への導入操作などに起因す

る汚染を確認し,測定に支障のない測定環境を設定するために行うものである。試料採取用と同一ロ

ットのろ過材,吸着剤及び吸収液を用意し,6.及び 7.の操作を試料と同様に行う。

この試験は,試薬のロットが変わるときなど一定の周期で定期的に行い,操作時の汚染などに対し

て十分に管理をしなければならない。さらに,次の場合には測定に先立って行い,操作ブランク試験


36

K 0311

:2005

の結果が十分低くなるようにしておくことが望ましい。

1)

新しい試薬又は機器を使用したり,修理した機器を使用するなどの前処理操作に大きな変更があっ

た場合。

2)

試料間汚染が予想されるような高い濃度の試料を測定した場合。

b)

トラベルブランク試験  トラベルブランク試験は,試料ガス採取準備時から採取試料の運搬までの汚

染の有無を確認するためのものであり,採取操作以外は試料と全く同様に扱い,持ち運んだものにつ

いて,6.及び 7.の操作を試料と同様に行う。

この試験は,試料採取から採取試料の運搬までに汚染が考えられる場合[電気集じん(塵)機で集

められた灰などによる汚染]には必ず行わなければならないが,それ以外の場合には,汚染防止が確

実に行われていることが確認できれば毎回行わなくてもよい。しかし,試料採取における信頼性を確

保するため,あらかじめトラベルブランク試験について十分検討しておき,必要があればそのデータ

が提示できるようにしておく。

トラベルブランク試験を行う場合には,少なくとも 3 試料以上行い,その結果の平均値  (e)  を求め

て,次のように測定値の補正を行う。

1)

トラベルブランク試験の結果の平均値  (e)  (以下,トラベルブランク値という。

)が操作ブランク

試験の結果  (a) (以下,操作ブランク値という。

)と同等(等しいか,小さい)とみなせる  (ea)  と

きには,移送中の汚染は無視できるものとする。

2)

トラベルブランク値  (e)  が操作ブランク値  (a)  より大きい  (ea)  場合には,次のようにする。

2.1)

トラベルブランク値  (e)  が,試料の測定値  (d)  以下であり  (de)  ,測定値  (d)  がトラベルブラ

ンク試験結果の標準偏差の 10 倍から算出した濃度値  (f)  以上  (df)  の場合には,測定値  (d)  か

らトラベルブランク値  (e)  を差し引いて濃度を計算する。

2.2)

測定値  (d)  がトラベルブランク試験結果の標準偏差の 10 倍から算出した濃度値  (f)  より小さい

(d

f)  ,又はトラベルブランク値  (e)  が試料の測定値  (d)  より大きい  (ed)  場合には,測定値

の信頼性に問題があるため,通常,欠測扱いとする。このような場合には,汚染の原因を発見し

て取り除いた後,再度,試料ガスの採取を行う。

9.1.4 

二重測定  二重測定用として,同一の試料ガスを同時に 2 台の装置で採取する。この採取は,可能

であれば,10 回の試料ガス採取につき 1 回程度の頻度で行い,2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体及び DL-PCB で

定量下限以上検出された化合物の測定値について,その平均値を求め,個々の測定値が平均値の±30  %以

内であることを確認する。

試料ガスの採取の操作について十分な検討がなされ,

信頼性を十分確保できていることが確認できれば,

上記の頻度で二重測定用の試料ガスの採取を行わなくてもよいが,試料ガスの採取における信頼性につい

て,必要時にそのデータが提示できるようにしておく。

9.1.5 

標準物質  測定値の信頼性を確保するため,国家計量標準にトレーサブル又は国家計量標準機関が

認めた標準物質を用いて計量機器を定期的に校正する。また,これらの標準液は,溶媒の揮散などによっ

て濃度変化がないようにガラス製の密閉容器に入れて冷暗所に保管し,厳重な管理下で保管する。

9.2 

測定操作における留意事項

9.2.1 

試料ガスの採取  試料ガスの採取においては,次の点に注意する。

a)

試料ガス採取用機材の準備及び保管  使用する円筒ろ紙,樹脂及び吸収液は,十分に洗浄して空試験

値のないものを用いる。特に吸着剤は,洗浄後から試料採取までの保管において,周辺空気からの汚

染などがないように密閉して保管する。


37

K 0311

:2005

b)

試料ガスの採取装置  各試料ガスの採取装置に使用する器具及び部品などは洗浄し,器具などからの

汚染を十分に低減する。試料ガスの採取に当たっては,採取装置の各部を固定し,気密性を点検し,

装置の漏れがないことを確認する。ダイオキシン類が捕集されている部分は遮光する。

c)

ガスメータ  ガスメータの信頼性を確保するため,国家計量標準にトレーサブル又は国家計量標準機

関が認めた計量標準を用いて計量機器を定期的に校正する。

d)

代表試料の採取  試料ガスの採取においては,目的とする試料に対して代表試料の採取が適切に行わ

れるものでなければならない。一般に,連続運転の焼却炉などにおける排ガスの測定においては,4

時間平均を基準とし,炉の燃焼状態が安定した時点から,最低 1 時間以上経過した後に試料ガスの採

取を開始する。

間欠運転炉については,定常運転時の排ガスが代表試料と考えられる場合は,炉の立上げ及び停止

時を除いた定常運転時に試料ガスを採取し,立上げ及び停止時が大きく影響すると考えられるような

場合は,それらを含むように採取するなど,その運転状況に応じて試料ガスを採取する。

なお,このような試料ガスの採取に当たっては,温度,一酸化炭素の濃度などを連続測定するなど

して試料ガスの採取開始から終了までの運転状態の変化を記録し,

報告書に添付することが望ましい。

e)

試料ガスの採取操作  試料ガスの採取操作においては,採取時におけるフィルタ捕集部でのダイオキ

シン類の二次生成及び損失がないこと,更に採取後の試料からダイオキシン類が十分に回収できるこ

とが大切である。また,試料ガスの採取は,JIS Z 8808 に準じ,等速吸引しなければならない。その

ための流量,温度,圧力,水分量,組成などを事前に測定し,等速吸引流量を計算して,適切な吸引

ノズル(内径 4 mm 以上)を取り付ける。

f)

試料の保管・運搬  採取後の試料の保管は周囲空気からの混入及び周囲への漏えいを防ぐために密閉

して保管する。また,試料の保管及び運搬時も遮光する。

9.2.2 

前処理操作  前処理操作においては,次の点に注意する。

a)

試料からの抽出

1)

液−液抽出においては,目的の溶媒層への抽出が十分に行われるように溶媒の選択及び抽出条件を

確認する。

2)

ソックスレー抽出においては,ソックスレー抽出を行うガラス繊維ろ紙は十分に乾いていることを

確認する。

3)

光による分解を防ぐため,試料に強い光の当たることを避ける。特にソックスレー抽出などで光が

長時間当たる場合には遮光して行う。

b)

硫酸処理−シリガゲルカラムクロマトグラフ操作又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作

1)

硫酸処理においては,抽出液の着色が完全にないことを確認する。

2)

カラムクロマトグラフ操作においては,分画条件は使用する充てん剤の種類及び活性度,又は溶媒

の種類及び量によって異なるので,あらかじめフライアッシュの抽出液のように全化合物が含まれ

たものを用いて分画試験を行って条件を確認しておく。

c)

アルミナカラムクロマトグラフ操作  アルミナの極性は製造ロット及び開封後の保存状態若しくは保

存期間によってかなり変化が認められる。活性の低下したものでは,ダイオキシン類の場合,1, 3, 6,

8-TeCDD

,1, 3, 6, 8-TeCDF などが第 1 画分に溶出したり,八塩素化物がジクロロメタン (50 vol%)  を

含むヘキサン溶液の規定量では溶出しなかったりすることがあり,DL-PCB の場合,一部がヘキサン

溶出画分に溶出することがあるので,あらかじめフライアッシュの抽出液のように全化合物が含まれ

たものを用いて分画試験を行って条件を確認しておく。


38

K 0311

:2005

9.2.3 

同定及び定量  同定及び定量においては,次の点に注意する。

a)

ガスクロマトグラフ質量分析計  使用するガスクロマトグラフ質量分析計は,目的に応じて測定条件

を設定し,試料の測定が可能なように機器を調整する。このとき,応答の直線性,安定性などのほか,

測定の誤差となる干渉の有無及びその大きさ,その補正方法など,十分信頼できる測定ができるかど

うかを確認しておく。

1)

ガスクロマトグラフの調整  カラム槽温度,注入口温度,キャリヤーガス流量などの条件を設定し,

応答が安定していること,各塩素化物の保持時間が適切な範囲にあり,かつ,ピークが十分に分離

されていることなどを確認する。スプリットレスの時間,パージガス流量などを適切な値に設定す

る。

キャピラリーカラムは,

測定対象成分と他成分との分離が十分でない場合には,新品と交換する。

ただし,キャピラリーカラムを 300 mm 程度切断(両端又は片端)することによって測定対象物質

と他成分との分離に問題がなければ交換しなくてもよい。

2)

質量分析計の調整  質量分析計に質量校正用標準物質(ペルフルオロケロセン:PFK など)を導入し,

質量分析計の質量校正用プログラムなどによってマスパターン及び分解能(10 000 以上)などの校

正を行うとともに,装置の感度などの基本的な確認を行う。この調整の結果を記録して保管する。

3)

ガスクロマトグラフ質量分析計の操作  条件キャピラリーカラムによって得られるピークの幅は,5

∼10 秒間程度であるが,一つのピークに対して十分な測定点を確保するため,クロマトグラムにお

ける単独成分ピークのもっとも幅の狭いピークであってもそのピークを構成する測定点が 7 点以上

となるように選択イオン検出のサンプリングの周期を設定しなければならない。1 回の測定で設定

可能なモニターチャネルの数は,要求される感度との兼ね合いとなるので,十分に検討した上で設

定する必要がある。

クロマトグラム上の各ピークの保持時間を考慮して,時間分割によるグルーピング方式によって

測定してもよいが,この場合にはグループごとに,適切な内標準物質ピークが出現するように条件

の設定を行う必要がある。

4)

装置の維持管理  ガスクロマトグラフ質量分析計の性能を維持するには,日常的な保守管理を欠か

してはならない。特に,ガスクロマトグラフとのインタフェース及びイオン化室内の汚れは,感度

及び分解能,測定精度の低下に大きく影響するので,適宜,洗浄する必要がある。

b)

検量線の作成  検量線は,測定をはじめて開始するときに作成し,その後,標準液が更新されるとき,

分析条件が変更されたときなど測定上の変更があった場合又は感度が大きく変動した場合に作成し直

す。

測定の精度を維持するためには,上記以外のときでも定期的に更新することが望ましい。どの程度

の周期で更新するかは,測定条件,装置の稼動状況などによって異なってくるので,感度変動などの

状況から 3 か月間というような一定の期間か,一定の測定試料数で決めておく。

c)

装置の感度変動  1 日 1 回以上,定期的に 1 濃度以上の標準液を測定して,内標準物質の感度が検量

線作成時に比べ大きく変動していないことを確認する。また,ダイオキシン類の各異性体と内標準物

質の相対感度の変動が,検量線作成時の相対感度に比べて±10  %以内にあることを確認し,この範囲

を超えて変動した場合には,その原因を取り除き,検量線の再作成をして試料の再測定を行う。

さらに,

保持時間については,

分離カラムの劣化などによって徐々に保持時間が変動する場合には,

必要に応じて対応を取ればよいが,比較的短い間に変動(通常,1 日に保持時間が±5  %の範囲外,

内標準物質との相対保持比が±2  %の範囲外)した場合には,その原因を取り除き,それ以前の試料


39

K 0311

:2005

の再測定を行う。

9.2.4 

異常値及び欠測値の取扱い  測定機器の感度の変動が大きい,空試験値が大きい,二重測定の結果

が大きく異なるなどの場合には,測定値の信頼性に問題があるため,再測定を行ったり,欠測扱いとして

再度,試料の採取を行わなければならない。このような問題が起こると,多大な労力,時間及び経費がか

かるだけでなく,調査結果全体の評価に影響を及ぼすことになるため,事前の確認などを十分に行い,異

常値及び欠測値を出さないように注意しなければならない。また,異常値及び欠測値が出た経緯を十分に

検討し,記録に残して,以後の再発防止に役立てることが重要である。

9.3 

測定操作の記録  次の情報を記録し,整理及び保管する。

a)

試料ガスの採取に使用する装置及び器具の調節,校正及び操作。

b)

容器,樹脂,吸収液,捕集用フィルタなどの準備,取扱い及び保管の状況。

c)

試料ガスの採取時の状況。

採取方法,採取地点,採取日時,温度,水分量,静圧,流速,湿り及び乾きの流量,漏れ試験の結

果,その他,採取系の着色など。

d)

試料ガスの採取条件。

吸引流量,採取時間,採取量,その他。

e)

測定装置の校正及び操作。

f)

前処理から測定に至るまでの操作の記録。

g)

測定値を得るまでの各種の数値。

9.4 

精度管理に関する報告  精度管理に関する次の情報を記録し,必要があればデータとともに報告す

る。

a)

ガスメータのトレーサビリティ,校正の記録

b)

ガスクロマトグラフ質量分析計の日常的点検,調整の記録(装置の校正など)

c)

測定機器の測定条件の設定と結果

d)

標準物質などの製造業者及びトレーサビリティ

e)

検出下限及び定量下限の測定結果

f)

操作ブランク試験及びトラベルブランク試験の結果

g)

試料採取,前処理操作などの回収試験の検証結果

h)

測定機器の感度の変動

i)

測定操作の記録(試料採取から前処理及び測定に関する記録)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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K 0311

:2005

付表  1  PCDDs 及び PCDFs のガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の一例

①測定対象物質

TeCDDs

, TeCDFs, PeCDFs の同族体及び 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :SP-2331(Supelco)

内径 0.25 mm,長さ 60 m,膜厚さ 0.20

µm

カラム温度  :120  ℃ (1 min) → (50 ℃/min)  →200  ℃

→ (2 ℃/min)  →260  ℃ (25 min)

注入口温度  :260  ℃

試料導入法  :スプリットレス方式 (90 s)

試料注入量  :1

µL

②測定対象物質

PeCDDs

, HxCDDs, HxCDFs の同族体及び 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :SP-2331(Supelco)

内径 0.25 mm,長さ 60 m,膜厚さ 0.20

µm

カラム温度  :120  ℃ (1 min) → (50 ℃/min)  →200  ℃

→ (2 ℃/min)  →260  ℃ (25 min)

注入口温度  :260  ℃

試料導入法  :スプリットレス方式 (90 s)

試料注入量  :1

µL

③測定対象物質

HpCDDs

, OCDD, HpCDFs, OCDF の同族体及び 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :DB-17(J&W)

内径 0.32 mm,長さ 30 m,膜厚さ 0.25

µm

カラム温度  :120℃ (1 min) → (20 ℃/min)  →160  ℃

→ (3 ℃/min)  →280  ℃ (5 min)

注入口温度  :280  ℃

試料導入法  :スプリットレス方式 (90 s)

ガスクロマトグラフ

試料注入量  :1

µL

分解能

:10 000 以上

電子加速電圧 :70 V

イオン化電流 :1 mA

イオン源温度 :260  ℃

質量分析計

検出方法

:ロックマス方式による SIM 法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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K 0311

:2005

付表  2  PCDDs 及び PCDFs のガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の一例

①測定対象物質

TeCDDs

∼HxCDDs, TeCDFs∼HxCDFs の同族体及び 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :SP-2331(Supelco)

内径 0.25 mm,長さ 60 m,膜厚さ 0.20

µm

カラム温度  :120  ℃ (1min) → (50 ℃/min)  →200  ℃

→ (2 ℃/min)  →260  ℃

注入口温度  :260  ℃

試料導入法  :スプリットレス方式 (60 s)

試料注入量  :1

µL

②測定対象物質

HpCDDs

, OCDD, HpCDFs, OCDF の同族体及び 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  : DB-5(J&W)

内径 0.32 mm,長さ 30 m,膜厚さ 0.25

µm

カラム温度  :120℃ (1 min) → (50 ℃/min)  →180  ℃

→ (3 ℃/min)  →280  ℃

注入口温度  :300  ℃

試料導入法  :スプリットレス方式 (60 s)

ガスク口マトグラフ

試料注入量  :1

µL

分解能

:10 000 以上

電子加速電圧 :70 V

イオン化電流 :1 mA

イオン源温度 :270  ℃

質量分析計

検出方法

:ロックマス方式による SIM 法


42

K 0311

:2005

付表  3  PCDDs 及び PCDFs のガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の一例

①測定対象物質

TeCDDs

∼OCDDs, TeCDFs∼OCDFs の同族体ごとの合計及び主な 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :SP-2331(Supelco)

内径 0.25 mm,長さ 60 m,膜厚さ 0.20

µm

カラム温度  :120  ℃ (1min) → (50 ℃/min)  →200  ℃

→ (2 ℃/min)  →260  ℃ (30 min)

注入口温度  :170→300  ℃ (100 ℃/min)

試料導入法  :オンカラム注入方式

試料注入量  :1

µL

②測定対象物質

TeCDDs

∼OCDDs, TeCDFs∼OCDFs の同族体ごとの合計及び一部の 2, 3, 7, 8-位塩素置換異性体

使用カラム  :DB-17(J&W)

内径 0.32 mm,長さ 30 m,膜厚さ 0.25

µm

カラム温度  :120  ℃ (1 min) → (20 ℃/min)  →160  ℃

→ (3 ℃/min)  →280  ℃

注入口温度  :150→300  ℃ (100 ℃/min)

試料導入法  :オンカラム注入方式

ガスクロマトグラフ

試料注入量  :1

µL

分解能

:10 000 以上

電子加速電圧 :35∼40 V

イオン化電流 :0.5 mA

イオン源温度 :270  ℃

質量分析計

検出方法 :ロックマス方式による SIM 法

付表  4  DL-PCB のガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の一例

測定対象成分

DL-PCB

使用カラム  :DB-5 ms(J&W)

内径 0.32 mm,長さ 60 m,膜厚さ 0.25

µm

カラム温度  :150  ℃ (1 min) → (20 ℃/min)  →185  ℃ (3min)

(2

℃/min)  →245  ℃ (3min)

(6

℃/min)  →290  ℃ (10min)

注入口温度  :170→300  ℃ (100 ℃/min)

ガスク口マトグラフ

試料導入法  :オンカラム注入方式

分解能

:10 000 以上

電子加速電圧 :35∼40 V

イオン化電流 :0.5 mA

イオン源温度 :270  ℃

質量分析計

検出方法

:ロックマス方式による SIM 法

 
 
 
 
 


43

K 0311

:2005

付表  5  DL-PCB のガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件の一例

測定対象成分

DL-PCB

使用カラム  :HT8(SGE)

内径 0.22 mm,長さ 50 m,膜厚さ 0.25

µm

カラム温度  :130  ℃ (1 min) → (20 ℃/min)  →220  ℃

 (5

℃/min)  →320  ℃

注入口温度  :280  ℃

ガスクロマトグラフ

試料導入法  :スプリットレス方式 (90 s)

分解能

:10 000 以上

電子加速電圧 :30∼50 V

イオン化電流 :0.5 mA

イオン源温度 :335  ℃

質量分析計

検出方法

:ロックマス方式による SIM 法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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K 0311

:2005

付表 6-1  測定結果の記載例

Ⅰ.排ガス中の PCDDs 及び PCDFs 測定結果

最終排出口(0  ℃,101.32 kPa)

実測濃度

ng/m

3

試料ガス
における

定量下限

ng/m

3

試料ガスに
おける検出

下限

ng/m

3

毒性等価係

毒性当量(TEQ)

ng-TEQ/m

3

 2,3,7,8-TeCDD

1

 TeCDDs

 1,2,3,7,8-PeCDD

1

P

PeCDDs 

C 1,2,3,4,7,8-HxCDD

0.1

D 1,2,3,6,7,8-HxCDD

0.1

D 1,2,3,7,8,9-HxCDD

0.1

 HxCDDs

 1,2,3,4,6,7,8-HpCDD

0.01

 HpCDDs

 OCDD

0.000

1

 Total

PCDDs

 2,3,7,8-TeCDF

0.1

 TeCDFs

 1,2,3,7,8-PeCDF

0.05

 2,3,4,7,8-PeCDF

0.5

P PeCDFs

C 1,2,3,4,7,8-HxCDF

0.1

D 1,2,3,6,7,8-HxCDF

0.1

F 1,2,3,7,8,9-HxCDF

0.1

 2,3,4,6,7,8-HxCDF

0.1

 HxCDFs

 1,2,3,4,6,7,8-HpCDF

0.01

 1,2,3,4,7,8,9-HpCDF

0.01

 HpCDFs

 OCDF

0.000

1

 Total

PCDFs

Total (PCDDs

+PCDFs)

備考1.  実測濃度中の括弧付の数値は,検出下限以上定量下限未満の濃度であることを示す。

2.

実測濃度中の“ND”は,検出下限未満であることを示す。

3.

毒性等価係数は,WHO/IPCS(1998)の TEF を適用した。

4.

毒性当量は,定量下限未満の実測濃度を 0(ゼロ)として算出したものである。

 
 
 
 
 
 
 


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K 0311

:2005

付表 6-2  測定結果の記載例

Ⅱ.排ガス中の DL-PCB 測定結果

最終排出口(0  ℃,101.32 kPa)

実測濃度

ng/m

3

試料ガスに
おける定量

下限

ng/m

3

試料ガスに
おける検出

下限

ng/m

3

毒性等価係

毒性当量(TEQ)

ng-TEQ/m

3

3,4,4’,5-TeCB  (# 81)

0.000 1

3,3’,4,4’-TeCB  (# 77)

0.000 1

3,3’,4,4’,5-PeCB (#126)

0.1

3,3’,4,4’,5,5’-HxCB(#169)

0.01

ノンオルト体

Total

2’,3,4,4’,5-PeCB (#123)

0.000 1

2,3’,4,4’,5-PeCB (#118)

0.000 1

2,3,3’,4,4’-PeCB (#105)

0.000 1

2,3,4,4’,5-PeCB (#114)

0.000 5

2,3’,4,4’,5,5’-HxCB (#167)

0.000 01

2,3,3’,4,4’,5-HxCB (#156)

0.000 5

2,3,3’,4,4’,5’-HxCB (#157)

0.000 5

2,3,3’,4,4’,5,5’-HpCB (#189)

0.000 1

モノオルト体

Total

Total

  DL-PCB

備考1.  実測濃度中の括弧付の数値は,検出下限以上定量下限未満の濃度であることを示す。

2.

実測濃度中の“ND”は,検出下限未満であることを示す。

3.

毒性等価係数は,WHO/IPCS(1998)の TEF を適用した。

4.

毒性当量は,定量下限未満の実測濃度を 0(ゼロ)として算出したものである。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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K 0311

:2005

付表 7-1  測定結果の記載例

Ⅰ.排ガス中の 2,3,7,8-位塩素置換 PCDD 及び PCDF 並びに DL-PCB 測定結果

最終排出口(0  ℃,101.32 kPa)

実測濃度

Cs

(ng/m

3

)

酸素 12%

換算濃度

C

(ng/m

3

毒性等

価係数 TEF

毒性当量

TEQ

(ng-TEQ/m

3

)

2,3,7,8-TeCDD

1

1,2,3,7,8-PeCDD

1

1,2,3,4,7,8-HxCDD   0.1

1,2,3,6,7,8-HxCDD   0.1

1,2,3,7,8,9-HxCDD   0.1

1,2,3,4,6,7,8-HpCDD     0.01

OCDD

0.00 1

P

C

DD

Total PCDDs

2,3,7,8-TeCDF

0.1

1,2,3,7,8-PeCDF

0.05

2,3,4,7,8-PeCDF

0.5

1,2,3,4,7,8-HxCDF   0.1

1,2,3,6,7,8-HxCDF   0.1

1,2,3,7,8,9-HxCDF   0.1

2,3,4,6,7,8-HxCDF   0.1

1,2,3,4,6,7,8-HpCDF     0.01

1,2,3,4,7,8,9-HpCDF     0.01

OCDF

0.00 1

PCD

F

Total PCDFs

Total (PCDDs+PCDFs)

3,4,4’,5-TeCB  (# 81)

0.000 1

3,3’4,4’-TeCB  (# 77)

0.000 1

3,3’,4,4’,5-PeCB (#126)

0.1

3,3’4,4’,5,5’-HxCB(#169)

0.01

Total

ノンオルト体

2’3,4,4’,5-PeCB (#123)

0.000 1

2,3’,4,4’,5-PeCB (#118)

0.000 1

2,3,3’,4,4’-PeCB (#105)

0.000 1

2,3,4,4’,5-PeCB (#114)

0.000 5

2,3’,4,4’,5,5’-HxCB (#167)

0.000 01

2,3,3’,4,4’,5-HxCB (#156)

0.000 5

2,3,3’,4,4’,5’-HxCB (#157)

0.000 5

2,3,3’,4,4’,5,5’-HpCB (#189)

0.000 1

DL

PCB

Total

モノオルト体

Total DL-PCB

Total

ダイオキシン類

 
 


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K 0311

:2005

付表 7-2  測定結果の記載例

Ⅱ.排ガス中の PCDDs 及び PCDFs 同族体の測定結果

最終排出口

(0  ℃,101.32 kPa)

実測濃度

Cs

(ng/m

3

酸素 12%

換算濃度

C

(ng/m

3

TeCDDs

PeCDDs

HxCDDs

HpCDDs

OCDD

P

C

DD

Total PCDDs

TeCDFs

PeCDFs

HxCDFs

HpCDFs

OCDF

PCD

F

Total PCDFs

Total (PCDDs

+ PCDFs)

備考1.  実測濃度の欄中の括弧付の数値は,検出下限以上定量下限未満の濃度

であることを示す。

2.

実測濃度の欄中の“<a”は,検出下限(a)未満であることを示す。

3.

酸素 12  %換算濃度(C)は,次の式によって算出した。

s

s

21

12

21

C

O

C

×

=

O

s

=

    %)

4.

毒性等価係数は,WHO/IPCS(1998)の TEF を適用した。

5.

毒性当量は,定量下限未満の実測濃度を 0(ゼロ)として算出したも
のである。

6.

この測定の試料ガスにおける検出下限及び定量下限(0  ℃,101.32

kPa

)は,次のとおりである。

試料ガスにおける検出下限

(ng/m

3

試料ガスにおける定量下限

(ng/m

3

TeCDD

PeCDD

HxCDD

HpCDD

OCDD

TeCDF

PeCDF

HxCDF

HpCDF

OCDF

DL-PCB


49

K 0311

:2005

附属書 1(規定)試料ガス採取装置

1. 

適用範囲  この附属書は,試料ガス採取装置について規定する。

2. 

試料ガス採取装置の種類及び概要  試料ガス採取装置の種類及び概要を次に示す。ここに示す試料ガ

ス採取装置は,既に多く使用されている実績のあるもの又は本体 5.2 に規定されている条件を満たすこと

が十分確認されたものである。ここに示した以外の装置でも,本体 5.2 に規定されている条件を満たすこ

とが確認されれば用いることができる。

a)

  JIS

Ⅰ形装置  排ガス中のダイオキシン類をフィルタによるろ過捕集,吸収瓶による液体捕集及び吸着

カラムによる吸着捕集で捕集する採取装置の基本となる装置である。

b)

  JIS

Ⅱ形装置  排ガスをフィルタによるろ過捕集した後,アルミナ系の吸着剤を特殊加工して成形した

円筒フィルタ状の吸着剤によって吸着捕集する装置である。

c)

JIS

Ⅲ形装置  排ガスを冷却プローブで冷却して液体捕集し,その後,吸着捕集とフィルタによるろ過

捕集を行う欧州の規格(EN1948)に規定されている装置である。

3. JIS

Ⅰ形装置

3.1 

使用範囲  この装置は,あらゆる排ガスに適用可能である。

3.2 

装置の構成  この装置は,採取管部に続いて,フィルタ捕集部,液体捕集部(Ⅰ),吸着捕集部,液

体捕集部(Ⅱ)からなる。この装置の概要を,

附属書 図 に示す。

a)

フィルタ捕集部  フィルタ捕集部には,JIS Z 8808 の 8.3(普通形試料採取装置)に規定する 2 形のダ

スト捕集器を用いる。ろ紙を用いる場合はシリカ繊維製の円形又は円筒形のものを用いる。ダストチ

ューブの場合には,ガラス繊維又はシリカ繊維を詰める。いずれも使用に先立ち,空試験成分及び他

の妨害成分がないことを確認しておく。

ダスト量が少なくサンプリング及び測定に支障を来さない場合は,フィルタ捕集部を省略すること

ができる。また,燃焼装置の種類によっては,円筒ろ紙の前にシリカ繊維などの入ったダストチュー

ブを用いる。

b)

液体捕集部  内容積 0.5∼1L の吸収瓶を直列に連結し,ヘキサン洗浄水を 100∼300 ml 入れたものと

2.2'-6

オキシビスエタノール(ジエチレングリコール)を 100∼300 ml 入れたものの 2 種類を用いる。

捕集部(I)では 1 本目と 2 本目の吸収瓶にヘキサン洗浄水を入れ,3 本目の吸収瓶は空とし,捕集部

(II)では 1 本目にジエチレングリコールを入れ,2 本目は空とした。

c)

吸着捕集部  洗浄,乾燥した吸着剤 40∼70 g 程度をガラス管(内径 30∼50 mm,長さ 70∼200 mm,

容量 100∼150 ml)に充てんし,両端をガラスウールなどによって,吸着剤が動かないように固定し

てカラムとし,液体捕集部(I)と液体捕集部(II)との間に縦形に連結して固定する。

必要な場合には吸着剤カラムを 2 段で用いてもよい。

d)

連結部  フィルタ捕集部から液体捕集部までの連結導管はできるだけ短くし,ガラス製又はふっ素樹

脂製のものを用いる。各部の接続には,共通球面すり合せ接手管,ふっ素樹脂製管継手などを用い,

接続部にグリースは使用しない。


50

K 0311

:2005

附属書   1  JISⅠ形採取装置の概要

3.3 

試薬  この装置に用いる試薬は,次による。これらの試薬は,空試験などによって測定に支障のな

いことを確認する。

a) 

水  JIS K 0557 に規定する A4(又は A3)の水。

b) 

ヘキサン  JIS K 8825 に規定するもの,又は同等の品質のもの。

c)

2

 2'-オキシビスエタノール(ジエチレングリコール)  測定に支障のない品質のもの。

d) 

ヘキサン洗浄水  a)の水を d)のヘキサンで十分洗浄したもの。

e)

ろ過材  ろ紙を用いる場合は円形又は円筒形で JIS K 0901 に規定するろ過材のうち,シリカ繊維製を

用いる。ダストチューブを用いる場合は,ガラス繊維又はシリカ繊維を用いる。いずれも使用に先立

ち,アセトン及びトルエンでそれぞれ 30 分間超音波洗浄を行い,真空乾燥する。又はシリカ繊維製の

ろ過材については,電気炉を用いて 600  ℃で 6 時間程度加熱する。洗浄又は加熱したろ過材はダイオ

キシン類の空試験成分及び他の分析を妨害する成分を含まないことを確認してから使用する。

f)

吸着剤  スチレン−ジビニルベンゼン共重合体。この吸着剤は使用前に,アセトンで洗浄し,トルエ

ンで 16 時間以上のソックスレー抽出による洗浄を行う。又はアセトン,トルエン(2 回)で順にそれ

ぞれ 30 分間超音波洗浄を行う。その後,真空乾燥器中 50  ℃以下で 8 時間加熱し,密閉容器中で保存

する。洗浄した吸着剤は,排ガス試料からの抽出と同様の操作を行い,抽出液を濃縮し,ダイオキシ

ン類の空試験成分及び他の分析を妨害する成分を含まないことを確認してから使用する。

参考  吸着剤として,“XAD-2”が一般に入手できるが,これを推奨するわけではない。同等以上の効

果が得られることが証明されれば,他のものを用いてもよい。

3.4 

操作上の注意

a)

フィルタ捕集部は,排ガス中の水分が凝縮しない温度から 120  ℃の範囲になるようにする。排ガス温

度が高い場合には,採取管部との連結管の長さを調節するなどして 120  ℃を超えないようにする。排

ガス温度が低い場合には,水分が凝縮しない程度に保温する必要がある。

b)

等速吸引中,ろ過材の抵抗が増加して等速吸引が困難になった場合は,吸引を一時停止し,フィルタ

捕集部のろ過材を交換する。

c)

液体捕集部は,各吸収瓶を 5∼6  ℃以下に保てるように氷浴又はドライアイス浴に入れる。

ジエチレングリコール

氷又はドライアイス

液体捕集部( Ⅰ )

吸着捕集部  液体捕集部

(

)

フィルタ捕集部

円筒ろ紙

吸引ポンプへ

吸着剤カラム

採取管部から

吸着剤カラム

ジエチレングリコール

氷又はドライアイス


51

K 0311

:2005

d)

吸着捕集部は,30  ℃以下に保つ。雰囲気温度が高い場合には,液体捕集部と同様に氷浴などで冷却す

る。

e)

捕集部はすべて遮光する。

4. JIS

Ⅱ形装置

4.1 

使用範囲  この装置は,次の範囲の試料ガスにおいて適用可能である。この範囲外での使用につい

ては,本体 5.2 に規定された確認を行う必要がある。

a)

対象排ガス  一般及び産業廃棄物焼却炉の排ガス

b)

水分量  36  %以下

c)

一酸化炭素濃度  平均実測濃度で 670 ppm 以下

4.2 

装置の構成  この装置は,採取管部に続いて,フィルタ捕集部,吸着捕集部からなる。この装置の

構成の概要を

附属書 図 に示す。

a)

フィルタ捕集部  フィルタ捕集部には,JIS Z 8808 の 8.3(普通形試料採取装置)に規定する 2 形のダ

スト捕集器を用いる。ろ紙を用いる場合はシリカ繊維製の円形又は円筒形のものを用いる。ダストチ

ューブの場合には,ガラス繊維又はシリカ繊維を詰める。いずれも使用に先立ち,空試験の成分及び

他の妨害成分がないことを確認しておく。

ダスト量が少なくサンプリング及び測定に支障を生じない場合は,フィルタ捕集部を省略すること

ができる。また,燃焼装置の種類によっては,円筒ろ紙の前にシリカ繊維などの入ったダストチュー

ブを用いる。

b)

吸着捕集部  アルミナ系の吸着剤を特殊加工して成形した円筒フィルタ状の吸着剤を用いて吸着捕集

する。

この吸着捕集部での捕集効率を確保するために,

捕集部通過流量が 33 L/min

(湿りガス,

120

℃,

101.32 kPa

)以下,試料ガスの採取量 3.8 m

3

(乾きガス,0  ℃,101.32 kPa)以下で使用する。

c)

連結部  フィルタ捕集部から液体捕集部までの連結導管はできるだけ短くし,ガラス製又はふっ素樹

脂製のものを用いる。各部の接続には,共通球面すり合せ接手管,ふっ素樹脂製管継手などを用い,

接続部にグリースは使用しない。

吸引ポンプ

ドレン瓶

ガスメータ

温度計

採取管

円筒ろ紙

ダイオアナフィルタ

ダクト

附属書   2  JISⅡ形採取装置の構成の概略図

4.3 

試薬  この装置に用いる試薬は,次による。これらの試薬は,空試験などによって測定に支障のな

いことを確認する。

a)

ろ過材  ろ紙を用いる場合は,円形又は円筒形で JIS K 0901 に規定するろ過材のうち,シリカ繊維製


52

K 0311

:2005

を用いる。ダストチューブを用いる場合は,ガラス繊維又はシリカ繊維を用いる。いずれも使用に先

立ち,アセトン及びトルエンでそれぞれ 30 分間超音波洗浄を行い,真空乾燥する。又はシリカ繊維製

のろ過材については,電気炉を用いて 600  ℃で 6 時間程度加熱する。洗浄又は加熱したろ過材はダイ

オキシン類の空試験成分及び他の分析を妨害する成分を含まないことを確認してから使用する。

b)

吸着剤  アルミナ系の吸着剤を特殊加工して成形した円筒フィルタ状の吸着剤。この吸着剤は,通常

洗浄された状態で入手できるので,特に使用前の洗浄は行わなくてよい。ただし,使用する吸着剤の

ロットごとに,ダイオキシン類及び他の分析を妨害する成分を含まないことを確認してから使用する。

参考  この吸着剤は,商品名“ダイオアナフィルタ”として市販されている。

4.4 

操作上の注意

a)

フィルタ捕集部及び吸着捕集部は,排ガス中の水分が凝縮しない温度から 120  ℃の範囲になるように

する。排ガス温度が高い場合には,採取管部との連結管の長さを調節するなどして 120  ℃を超えない

ようにする。排ガス温度が低い場合には,水分が凝縮しない程度に保温する必要がある。

b)

等速吸引中,ろ過材の抵抗が増加して等速吸引が困難になった場合は,吸引を一時停止し,フィルタ

捕集部のろ過材を交換する。

c)

捕集部はすべて遮光する。

d)

捕集効率を確保するために,捕集部通過流量が 33 L/min(湿りガス,120  ℃,101.32 kPa)以下,試料

ガス採取量 3.8 m

3

(乾きガス,0  ℃,101.32 kPa)以下で使用する。

e)

冷却プローブを用いた場合などで吸着捕集部の前で水分が凝縮する場合は,使用を避ける。また,タ

ール分が 3mg/m3(0℃,101.32kPa)を越えて存在する場合にも使用しない。

5. JIS

Ⅲ形装置

5.1 

使用範囲  この装置は,ほとんどの排ガスに適用できる。ただし,ダスト濃度が非常に高く,ダイ

オキシン類の濃度も非常に高い排ガスについては,本体 5.2 に規定された確認を行った後,使用する。

5.2 

装置の構成  この装置は,採取管部に続いて,冷却プローブ,液体捕集部,吸着及びフィルタ捕集

部からなる。この装置の構成概要を,

附属書 図 に示す。

a)

冷却プローブ  後段の液体捕集部で試料ガスが 20  ℃以下になるように冷却する。

b)

液体捕集部  液体捕集部は,1 段目に水,2 段目に 1.2-エタンジオール(エチレングリコール)を入れ

たもので,1 段目で試料ガスを 20℃以下に冷却し,ガス中の水分を凝縮させ,ダストも一緒に捕集す

る。2 段目は,1 段目を通過したダストとガス状のダイオキシン類を捕集する。水浴などで冷却する必

要がある。

c)

吸着及びフィルタ捕集部  ウレタンフォームなどの吸着剤をフィルタの前後に接続したもので,液体

捕集部を通過したガス状のダイオキシン類と粒径の小さいダストを捕集する。

d)

連結部  フィルタ捕集部から液体捕集部までの連結導管はできるだけ短くし,ガラス製又はふっ素樹

脂製のものを用いる。各部の接続には,共通球面すり合せ接手管,ふっ素樹脂製管継手などを用い,

接続部にグリースは使用しない。


53

K 0311

:2005

附属書   3  JISⅢ形装置の構成概略図

5.3 

試薬  この装置に用いる試薬は,次による。これらの試薬は,空試験などによって測定に支障のな

いことを確認する。

a) 

水  JIS K 0557 に規定する A4(又は A3)の水。

b)

  1.2-

エタンジオール  JIS K 8105 に規定するエチレングリコール,又は同等の品質のもの。

c)

フィルタ  フィルタは,シリカ繊維製又はガラス繊維製のものを用いる。使用に先立ち,JIS K 8040

に規定するアセトン及び JIS K 8680 に規定するトルエンでそれぞれ 30 分間超音波洗浄を行い,真空

乾燥する。又はシリカ繊維製のろ過材については,電気炉を用いて 600  ℃で 6 時間程度加熱する。洗

浄又は加熱したろ過材はダイオキシン類の空試験の成分及び他の分析を妨害する成分を含まないこと

を確認してから使用する。

d)

吸着剤  ポリウレタンフォーム又はそれと同等の性能のもの。この吸着剤は使用前に,水及び JIS K 

8040

に規定するアセトンで洗浄し,アセトンで 16∼24 時間のソックスレー抽出による洗浄を行う。

又はアセトンで 30 分間超音波洗浄を 3 回行う。その後,真空乾燥器中 50  ℃以下で 8 時間加熱して十

分乾燥し,密閉容器中で保存する。洗浄した吸着剤は,排ガス試料からの抽出と同様の操作を行い,

抽出液を濃縮し,ダイオキシン類の空試験の成分及び他の分析を妨害する成分を含まないことを確認

してから使用する。

5.4 

操作上の注意

a)

冷却プローブは,後段の液体捕集部で試料ガスが 20  ℃以下に冷却する。

b)

液体捕集部の 1 段目で試料ガスが 20  ℃まで冷却できることを確認する。

c)

捕集部はすべて遮光する。

 

冷却水

冷却プローブ

ダクト

ガスの流れ方向

フィルタ

吸引ポンプへ

エチレングリコール

エチレングリコール

ポリウレタンフォーム


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K 0311

:2005

附属書 2(参考)内標準物質の使用例

序文  この附属書は,内標準物質の使用例について記載するものであり,規定の一部ではない。

内標準物質の使用は,GC/MS の分析条件などによって使用方法が異なる部分があるため,使用の詳細

については特に規定せず,最低限の要求事項だけを規定した。ここでは,一般的な使用の例を示し,その

際の検量線作成用標準液,定量の際の分析対象物質とそれに対応する内標準物質などを例として示した。

これを参考にして各試験所において,その操作手順,GC/MS の分析条件に照らし合わせて使用を検討す

る必要がある。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


55

K 0311

:2005

1. 

内標準物質の使用例

例 

例 

内標準物質

サンプリング

スパイク

クリーンアップ

スパイク

シリンジスパ

イク

サンプリング

スパイク

クリーンアップ

スパイク

シリンジスパ

イク

13

C

12

-1, 2, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4-TeCDD

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDD

37

Cl

4

-2,

7,

8-TeCDD

 

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7,- 8HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

13

C

12

-2, 3', 4', 5-TeCB (#70)

 

13

C

12

-3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

13

C

12

-3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

13

C

12

-2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114: )   

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

13

C

12

-2', 3, 4, 4', 5-PeCB (2

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157)  

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

13

C

12

-2, 2', 3, 3', 4, 4', 5-HpCB (#170)

 

13

C

12

-2, 2', 3, 4, 4', 5, 5'-HpCB (#180)

 

備考  括弧内の数値は,IUPAC No.を示す。

 
 
 
 
 
 
 


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2. 

検量線作成用標準液の調製例(1.の例 の場合)

濃度 (ng/ml)

標準物質

STD1 STD2 STD3 STD4 STD5

2, 3, 7, 8-TeCDD

1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

0.4 2.0  10  40 200

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

1.0 5.0  25 100 500

OCDD 2.0

10

50

200

000

2, 3, 7, 8-TeCDF

1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

0.4 2.0  10  40 200

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

1.0 5.0  25 100 500

OCDF 2.0

10

50

200

000

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4-TeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDD

100 100 100 100 100

13

C

12

-OCDD

200 200 200 200 200

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

100 100 100 100 100

13

C

12

-OCDF

200 200 200 200 200

3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114)

2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

2', 3, 4, 4', 5-PeCB (#123)

3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157)

2, 3', 4, 4', 5, 5'HxCB (#167)

3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

1.0 5.0  25 100 500


57

K 0311

:2005

2.

検量線作成用標準液の調製例(1.の例 1 の場合)  (続き)

濃度 (ng/ml)

標準物質

STD1 STD2 STD3 STD4 STD5

2, 2', 3, 3', 4, 4', 5-HpCB (#170)

2, 2', 3, 4, 4', 5, 5'-HpCB (#180)

2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

13

C

12

-3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

13

C

12

-3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

13

C

12

ー3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

100 100 100 100 100

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


58

K 0311

:2005

3. 

測定対象物質,標準物質とクリーンアップスパイク内標準物質との対応例(1.の例 の場合)

標準物質

対応するクリーンアップ

スパイク内標準物質

2, 3, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDF

2, 3, 7, 8-TeCDD

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDD

1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

13

C

12

-3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

13

C

12

-3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

2, 3, 4, 4', 5-PeCB (#114)

2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

2', 3, 4, 4', 5-PeCB (#123)

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

2, 3, 3', 4, 4', 5'-HxCB (#157)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

2, 2', 3, 3', 4, 4', 5-HpCB (#170)

2, 2', 3, 4, 4', 5, 5'-HpCB (#180)

2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


59

K 0311

:2005

4. 

クリーンアップスパイク内標準物質とシリンジスパイク内標準物質との対応例(1.の例 の場合)

クリーンアップスパイク

内標準物質

対応するシリンジスパイク

内標準物質

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDF

13

C

12

-2, 3, 7, 8-TeCDD

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4-TeCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1-, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9-OCDD

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDD

13

C

12

-3, 3', 4, 4'-TeCB (#77)

13

C

12

-3, 4, 4', 5-TeCB (#81)

13

C

12

-2, 3', 4, 4', 5-PeCB (#118)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5-PeCB (#126)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5-HxCB (#156)

13

C

12

,-2, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#167)

13

C

12

-3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCB (#169)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4', 5, 5'-HpCB (#189)

13

C

12

-2, 3, 3', 4, 4'-PeCB (#105)

5. 

サンプリングスパイク内標準物質とクリーンアップスパイク内標準物質との対応例(1.の例 の場

合)

サンプリングスパイク

内標準物質

対応するクリーンアップスパイク

内標準物質

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-2, 3, 4, 7, 8-PeCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 6, 7, 8-HxCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDF

13

C

12

-1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-HpCDF