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K 0307:2008  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 原理······························································································································· 2 

4 試薬······························································································································· 2 

5 装置······························································································································· 3 

6 方法······························································································································· 3 

6.1 サンプルの準備及び注意事項···························································································· 3 

6.2 ナトリウム測定 ············································································································· 9 

7 計算······························································································································· 9 

8 試験報告書 ····················································································································· 10 

附属書A(規定)ISO形カセット ··························································································· 12 

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 15 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本衛生材料工業連合会 (JHPIA) 及

び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0307:2008 

ポリアクリル酸系高吸水性樹脂の 

空中浮遊量測定方法−原子吸光分光法 

Urine-absorbing aids for incontinence-Measurement of airborne respirable 

polyacrylate superabsorbent materials-Determination of dust in collection 

cassettes by sodium atomic absorption spectrometry 

序文 

この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 17191を基に,対応国際規格の技術的内容及び構成

の一部を変更して作成した日本工業規格である。 

ISO 17191を修正することにした主な理由は,個人ばく露量を測定する方法(以下,パーソナル法とい

う。)でのサンプル捕集方法の記載がなく,また,同等性能をもつサンプル捕集部品を使用可能にすること

にある。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,原子吸光分光法を用いてナトリウム (Na) を測定することによって,空中浮遊粉じん(塵)

中のポリアクリル酸系高吸水性樹脂粉じん(以下,PA粉じんという。)のパーソナル法について規定する。

PA粉じんサンプルは,ポリテトラフルオロエチレン製フィルター及びプラスチック製多孔支持板を取り付

けた,ポリスチレン・アクリロニトリル製などの大気監視カセットに捕集する。この方法は,0.2〜60 μg

(検出限界0.2 μg)の範囲の,PA粉じん捕集サンプルの測定に適用する。 

なお,この試験方法は,ポリアクリル酸系高吸水性樹脂取扱作業時のPA粉じん量測定に限定されるも

のであり,ポリアクリル酸系高吸水性樹脂及び高吸水性樹脂を使用する製品の規格については適用しない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 17191 : 2004,Urine-absorbing aids for incontinence−Measurement of airborne respirable 

polyacrylate superabsorbent materials−Determination of dust in collection cassettes by sodium atomic 

absorption spectrometry (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

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は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8839 2-プロパノール(試薬) 

ISO 3696 : 1987,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods 

原理 

大気監視カセットに捕集したPA粉じん中のナトリウム含有量を原子吸光分析法を用いて測定する。ナ

トリウムは,塩化カリウム溶液中でカリウムとの交換によって,PA粉じんから放出させて測定する。溶出

したナトリウム量を原子吸光分析法で測定し,大気監視カセット中に存在するブランクのナトリウム質量

を差し引いて,捕集したPA粉じんの質量を計算する。 

環境中に存在する微量のナトリウムによるノイズを最小限度にするために,PA粉じんを捕集する前に,

大気監視カセットをあらかじめ洗浄しておく。分析は,所定量の塩化カリウム溶液を大気監視カセットか

ら吸引して,直接原子吸光装置の試料原子化部(スプレーチャンバー)に注入して行う。 

試薬 

この測定方法に用いる試薬は,次による。塩化カリウム (4.1) 及び2-プロパノール (4.3) はガラス容器

に保管し,これら以外の試薬及び溶液は,すべてプラスチック容器に入れて保管する。 

4.1,4.2及び4.3に規定する試薬及び溶液は,大気監視カセットの清浄化又はナトリウム (Na) の分析に

用いる前に,原子吸光分析法でナトリウム (Na) 含有量を分析する。 

4.1 塩化カリウム JIS K 8121に規定する,電気伝導度測定用を用いる。又はナトリウム含有量10 μg/g

以下のもの。 

4.2 水 JIS K 0557に規定する水,好ましくはNa含有量0.01 mg/L未満のもの。又はISO 3696のグレー

ド1適合品で,Na含有量0.1 mg/L未満のもの。 

4.3 2-プロパノール (IPA) JIS K 8839に規定するもの。 

4.4 ナトリウム基準液 [Na 1 000 mg/L1)] 

注1) 1 mg/L=1 ppm 

4.5 塩化カリウム溶液 濃度ρ(KCl)=2 000 mg/L 

塩化カリウム(4.1) 2.0 gをポリプロピレン製フラスコにとり,水 (4.2) に溶かして1 Lとする。この溶液

のナトリウム含有量は,0.1 mg/L未満とする。 

4.6 ナトリウム標準液 ナトリウム (Na) 標準液は,特定標準物質(国家計量標準)品の保証期限内のも

の。 

原子吸光分析法用の濃度ρ(Na) は,0.1 mg/L,0.5 mg/L,1.0 mg/L及び2.0 mg/L とする。 

ポリプロピレン製全量フラスコ1 000 mLにナトリウム基準液1 000 mg/L (4.4)0.05〜2 mLを段階的 (0.05,

0.25,0.5,1 mL)にとり,2-プロパノール (4.3) 100 mLを加え,塩化カリウム溶液2 000 mg/Lを標線まで

加える。 

4.7 原子吸光ゼロ合わせ溶液 塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) に2-プロパノール (4.3) を添加し,2-プロ

パノールの濃度が10 %(体積百分率)になるよう調製する。 

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装置 

この測定方法に用いる装置は,次による。 

5.1 

原子吸光分析装置 JIS K 0121の5.(原子吸光分析)に規定するもの。 

5.2 

試料原子化部及びバーナー 微量ナトリウム測定用を用いる。 

5.3 

ナトリウム用中空陰極ランプ(ホロカソードランプ)  

5.4 

ピペット 0.5 mL及び4.5 mLの計量ができるもの。 

5.5 

プラスチック製手袋 粉なしのもの。 

5.6 

全量フラスコ 容量1 000 mL及び100 mLの,ポリプロピレン製又はほうけい酸ガラス製のもの。 

5.7 

スパーテル 

5.8 

大気監視カセット 大気監視カセット(以下,カセットという。)は,分粒特性4 μm 50 %の性能を

もつもの。フィルターは,材質がポリテトラフルオロエチレン製樹脂(以下,PTFEという。)で,直径0.3 

μmを超える空中浮遊粒子及びエアゾールの捕集効率が99.9 %のもの。サンプル捕集の部品によって,表1

に示す2種類がある。 

表1−カセットの種類 

種類 

カセットの構造例 

JIS形カセット 

図1参照 

ISO形カセット 

図A.1による 

5.9 

定流量ポンプ カセットで指定する流量を吸引する能力をもち,かつ,その流量を一定に保つ機能

をもつポンプ。 

5.10 フラットベッド(平台)形実験室用振とう(盪)機 PTFEフィルターからナトリウムを抽出するた

めに用いる,振とう(盪)できるもの(以下,平台形振とう機という。)。 

5.11 高性能エアフィルター (HEPA) 付きPTFEフィルター前処理装置 組立式マニホルドで,洗浄及び

乾燥に用いるPTFEフィルター前処理器具は,直径0.3 μmを超える空中浮遊粒子及びエアゾールを最低流

量5 L/minで捕集できる,高性能エアフィルター (HEPA) 付きの器具とする。このPTFEフィルター前処

理器具を複数もつもの(以下,前処理装置という。)を用いる。前処理装置の種類を,表2に示す。 

なお,高性能エアフィルター (HEPA) は,前処理乾燥用の除じんフィルターであり,カセット (5.8) に

は用いない。 

表2−前処理装置の種類 

種類 

装置 

JIS形前処理装置 

図2参照  

ISO形前処理装置 

図A.2及び図A.3参照  

方法 

6.1 

サンプルの準備及び注意事項 

6.1.1 

空気,PA粉じんサンプルの捕集前に行うPTFEフィルターの準備及び洗浄 

6.1.1.1 

JIS形カセットを用いる場合 

a) 空気サンプルの捕集に用いる前に清浄化したPTFEフィルター(図1参照)の準備した日付が追跡で

きるように,PTFEフィルター別に個別の番号をラベルに明示しておく。また,準備したPTFEフィル

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ターの約10 %(ブランクフィルター)は,ナトリウムの汚染度試験に用いる。 

b) 汚染度試験に用いるPTFEフィルターは,そのバッチの最初・中間・最後の部分から選ぶ。 

c) PTFEフィルターは空気捕集・測定用サンプルと同様に扱って,汚染度試験を行う。試験したPTFEフ

ィルターのナトリウム含有量が0.17 μgを超えていた場合には,すべてのPTFEフィルターを再度清浄

化して,再度10 %を試験して使用の可否を決定する。 

d) すすぎに使用した水 (4.2) の吸光度,及び汚染度試験を行った10 %のブランクフィルターのナトリウ

ムの測定値を記録する。3点以上の測定の平均値をブランク値とする。 

e) PTFEフィルターを2-プロパノール0.5 mLで潤し,次いで塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) で洗浄し,

水 (4.2) ですすいだ後乾燥する。 

f) 

必要数のPTFEフィルターを,フィルター内面に指が触れないように前処理装置(図2参照)に組み

立てる。分析者は汚染を軽減するために,プラスチック製手袋を着用する。PTFEフィルターは,ピ

ンセットで取り扱う。PTFEフィルターを落とした場合には廃棄する。試験用器具類を落としたとき

には,必ず洗浄してから再使用する。2-プロパノール0.5 mLを添加してPTFEフィルターを湿らせて

から,塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) を満たす。この塩化カリウム溶液を15分〜120分間,前処理

器具内に満たしておく。 

g) 前処理装置を用いて,PTFEフィルターから塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) を吸引する。前処理器具

が空になったら,直ちに吸引を止める。塩化カリウム溶液を吸引した後は,前処理器具から空気を吸

引してはならない。 

h) 次に前処理装置に水 (4.2) を満たして吸引する操作で,前処理器具内をすすぐ。この操作を更に3回

繰り返す。最後のすすぎが終了した後,前処理装置を用いて乾燥作業を行う。このとき,空気流量を

乾燥空気流量で0.85 L/min(一組当たり0.85 L/min)(6連式の場合は5.1 L/min)に調節する。約2時

間後にPTFEフィルターの外観の色は明るい白になり,カセット内の水滴はすべて蒸発しフィルター

が乾燥する。 

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1 ノズルカバー 

ノズル 

捕集板 

スペーサー 

PTFEパッキン 

PTFEフィルター 

金網 

フィルターベース 

チューブコネクター 

10 Oリング 
11 ホルダベース 
 

図1−JIS形カセットの例 

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図2−JIS形前処理装置の例 

6.1.1.2 

ISO形カセットを用いる場合 

ISO形カセット(図A.1参照)を用いる場合は,次の手順によって実施する。 

a) カセットを粉じん捕集用及びブランクとして使用する前に,カセットを組み立て,フィルターに2-プ

ロパノール0.5 mLを滴下して潤した後,塩化カリウム溶液(2 000 mg/L)で洗浄し水 (4.2) ですすいだ

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後,乾燥する。 

b) 必要数のカセットを,指がカセット内面に触れないように組み立てる。分析者は汚染を軽減するため

に,プラスチック製手袋を着用する。フィルター及び支持板は,ピンセットで取り扱う。フィルター

及び支持板を落とした場合には,廃棄する。取扱い器具類を落としたら,必ず洗浄してから再使用す

る。カセットには底面のプラグだけを取り付けて,他のプラグはプラスチックバッグ内に入れておく。

確実に密封するため,カセット接合面の全周にわたってテープをはり付ける。 

c) カセットに,2-プロパノール0.5 mLを滴下して湿した後,塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) を満たす。

この塩化カリウム溶液を15分〜120分間,カセット内に満たしておく。 

d) ISO形真空吸引瓶(図A.3参照)を用いて,カセットから溶液を吸引する。カセットが空になったら,

直ちに吸引を止める。溶液を吸引した後は,カセットから空気を吸引してはならない。次にカセット

に水(4.2)を満たして吸引する操作で,カセット内をすすぐ。この操作を更に3回繰り返す。 

e) 最後のすすぎが終了した後,カセットの流入口を,ISO形カセット乾燥装置(図A.2参照)前処理装

置に接続する。効率を考えて,前処理装置にはカセットを6個まで,並列に取り付けてもよい。乾燥

には,乾燥装置でカセットから空気を吸引する。必要な時間はカセットによって異なるが,経験によ

れば各カセットの空気流量が0.85 L/minの場合,120分で目に見える水分はすべて除去される。汚染

のおそれがあるので,乾燥しすぎは推奨できない。乾燥するとフィルターの外観の色は明るい白にな

り,カセット内の水滴はすべて蒸発する。 

f) 

ピンセットで流入口及び流出口にプラグを取り付ける。このとき直接指でプラグに触れてはならない。

プラグはプラスチック製手袋をした手で回しながら押し込んで締め付ける。12時間後にカセット内の

水分を再度検査する。水分が見えたら,できる限り短時間で乾燥して,水分を除去する。洗浄したカ

セットが開いてしまった場合は,使用前に再度洗浄しなければならない。 

g) 清浄化したカセットを空気サンプルの捕集に使用する前に,カセットを準備した日付が追跡できるよ

うに,カセット別に個別の番号をラベルに明示しておく。また,準備したカセットの10 %は,ナトリ

ウムの汚染度試験に使用する。 

h) 汚染度試験に使用するカセットは,そのバッチの最初・中間・最後の部分から選ぶ。 

i) 

カセットは空気捕集・測定用サンプルと同様に扱って,汚染度試験を行う。試験したカセットのナト

リウム含有量が0.17 μgを超えていた場合には,すべてのカセットを再度清浄化して,再度10 %を試

験して使用の可否を決定する。すすぎに使用した水 (4.2) の吸光度と,汚染度試験を行った10 %のブ

ランクカセットのナトリウム測定値を記録する。 

j) 

使用の可否を試験したカセットのほかに,ブランク値を測定するために,更に残りの清浄なカセット

5個を保管しておかなければならない。これは一連のカセットで空気を捕集してPA粉じんレベルを測

定するときに,この試験の検出限界を測定するためのものである。清浄にした1バッチのカセットを

2か所以上の場所に送るときには,その1か所につき5個ずつ保管しておく。ブランクのカセットで

試験に使用しないものがあるときは,それを別バッチのカセットに加えて,洗浄工程以降は一緒に扱

ってもよい。 

6.1.2 

PA粉じんサンプルの捕集及びトラベルブランク 

6.1.2.1 

PA粉じんサンプルの捕集 

1) カセットの捕集板に,附属のグリースガイドでシリコーングリスを塗布する。このとき,洗浄済み

のスパーテルを用い汚染のないように塗布する。洗浄,乾燥済みのPTFEフィルターをカセットに

設置し,カセットに捕集板などを確実に組み立て,漏れがないことを確認する。 

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2) 測定対象者のえり(襟)にピンなどでカセットを設置し,各人の腰部にベルトなどで定流量ポンプ

を設置する。 

3) カセットと定流量ポンプとの間は軟質塩化ビニル管などで接合し,PA粉じんサンプルの捕集を開始

する。 

4) このとき,定流量ポンプの流量は,各カセットの分粒特性に合致する指定流量 (2.0〜2.5 L/min) と

する。測定におけるPTFEフィルターの汚染の有無を確認するために,トラベルブランクとして洗

浄,乾燥済みのPTFEフィルターをカセットに入れPA粉じんサンプルの捕集現場に3カセットを持

ち込み,捕集済みPTFEフィルター及びトラベルブランク (6.1.2.2) を6.2によって分析・評価する。 

6.1.2.2 

トラベルブランク 

PA粉じんサンプル捕集・測定用に用意したカセットをナトリウム測定場所に持ち運ぶ場合,測定用のほ

かにトラベルブランクとして1か所に3カセット以上を用意し,測定用カセットと同様に持ち運び,取り

扱う。ただし,PA粉じん捕集には使用しないで移送だけ行う。捕集し終えたカセットと同様にトラベルブ

ランクのナトリウム分析を行う。 

トラベルブランク値が操作ブランク値 (7.3) と同等(等しいか又は小さい)とみなせるときには,移送

中の汚染は無視できるので,試料測定値から操作ブランク値を差し引いて濃度を算出する。 

移送中に汚染があり,トラベルブランク値が操作ブランク値より大きいときは,一般に欠測扱いとする。

この場合には汚染の原因を取り除いた後,再度PA粉じん捕集を行う。 

6.1.3 

PA粉じんサンプルの捕集後のナトリウム分析の準備 

6.1.3.1 

JIS形カセットを用いる場合 

検量線の作成並びにサンプル及びブランクの分析では,同一の試薬及び溶液を用いることが極めて重要

である。すべての試験サンプルに,同一バッチの溶液が使えない場合,残ったサンプルは,新たに調製し

た溶液で新たに検量線を作成し,別のシリーズとみなして測定を行う。 

カセットの汚染を避けるために,適切な注意を払う。指先,作業台面,試験室の床などは,ナトリウム

で汚染されているものと考える。カセット内のナトリウムは,わずか0.02 μg程度でも分析を妨害する。 

プラスチック製手袋は,着用してから,水 (4.2) で洗浄した後,風乾する。カセット内の部品に決して

直接指が触れないように,プラスチック製手袋を着用する。 

カセットのPTFEフィルターを取り出して2-プロパノール0.5 mLをピペットでとり,PTFEフィルター

上に滴下する。塩化カリウム溶液 (2 000 mg/L) 4.5 mLを加える。 

PTFEフィルターを平台形振とう機 (5.10) 上で1時間振とうする。サンプル及びブランク溶液を,流入

口を通し直接原子吸光分析装置 (5.1) に吸引する。 

6.1.3.2 

ISO形カセットを用いる場合 

ISO形カセット(附属書A)を用いる場合は,次の手順によって実施する。 

検量曲線の作成並びにサンプル及びブランクの分析では,同一の試薬及び溶液を使用することが重要で

ある。すべての試験サンプルに,同一バッチの溶液が使えない場合,残ったサンプルは,新たに調製した

溶液で新たに検量線を作成し,別のシリーズとみなして測定を行う。 

カセットの汚染を避けるために,適切な注意を払う。指先,作業台面,試験室の床などは,ナトリウム

で汚染されているものと考える。カセット内のナトリウムは,わずか0.02 μg程度でも分析を妨害する。 

プラスチック製手袋は着用してから,水 (4.2) で洗浄した後,風乾する。カセット内の部品に決して直

接指が触れないように,プラスチック手袋を着用する。 

カセット流入口のプラグを取り外す。2-プロパノール0.5 mLをピペットでとり,フィルター上に滴下す

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る。 

塩化カリウム (2 000 mg/L) 4.5 mLを加えて,ピンセットを用いてプラグを再度取り付ける。 

カセットを平台形振とう機 (5.10) 上で1時間振とうする。カセットは流入口側を上に向けて置く。分析

の準備ができるまで,カセットにはプラグを取り付けておく。カセット流入口のプラグを取り外して,サ

ンプル及びブランク溶液を,流入口を通してカセットから直接原子吸光分析装置 (5.1) に吸引する。 

6.2 

ナトリウム測定 

6.2.1 原子吸光分析装置 (5.1) の準備が完了して,フレームが安定したのを確認した後,原子吸光ゼロ合

わせ溶液 (4.7) を用いて,ナトリウム標準液 (4.6) の測定を行い,検量線を作成する。原子吸光ゼロ合わ

せ溶液 (4.7) 及び各標準溶液は,塩化カリウムが2 000 mg/L及び2-プロパノールが10 %(体積百分率)を

含有していることを確認する。 

6.2.2 吸光度を0.001の精度で記録する。 

6.2.3 材料の固形粒子がPTFEフィルター上に捕そくされて,吸引チューブを詰まらせることがある。し

たがって,サンプル5個を測定するごとに,原子吸光ゼロ合わせ溶液 (4.7) の吸光度の値を確認する。そ

のとき,標準液一つ (1.0 mg/L Na) についても確認する。標準液の吸光度測定値が,初期値から5 %以上

変動していたときは,チューブが詰まっているので,洗浄しなければならない。 

洗浄後に,標準液の吸光度を再度測定する。標準液の吸光度測定値が,チューブ洗浄後に初期値から著

しく(5 %以上)変化していたときは,校正をやり直す必要がある。再度校正を行った後に,直前のサン

プル溶液5個を再度測定する。 

6.2.4 サンプル測定用及び同一バッチのカセットから抜き出して保管しておいた,ブランクフィルター(又

はISO形カセット)5個 (6.1.1.1) についても測定を行う。 

計算 

7.1 

吸光度の値を縦軸に,ナトリウムの質量濃度を横軸にとり,二次回帰曲線法で検量線を作成する。 

7.2 

各測定サンプルについて,検量線 (7.1) から質量濃度を求める。その値を,次の式 (1) を用いてマ

イクログラム (μg) で表したPA粉じんの見掛けの質量 (ma) に換算する。 

Na

s

a

a

F

V

m

×

×

······································································· (1) 

ここに,  ma: マイクログラム (μg) で表したPA粉じんの見掛けの質量。 

ρa: PTFEフィルターから吸引した溶液中に抽出されたナトリウム

濃度を,検量線から求めた見掛けの質量濃度 (mg/L)。 

Vs: PTFEフィルターに加えた抽出溶媒の全体積 (5 mL)。 

FNa: PA粉じんに対するナトリウムの変換係数。 

この値は高吸水性樹脂の中和度によって変化するため,試験す
る高吸水性樹脂ごとに測定しなければならない。通常は5.88
である。 

7.3 

各PTFEフィルターのサンプルについての検量線から計算した(ブランクから求めた,6.1.1参照)

ブランクの値から,ブランクの平均値 (mb) を計算する。空試験の補正計算にはこの値を用いる。 

ブランクの標準偏差 (σ) を計算する。 

次の式 (2) によって,PA粉じんの検出限界 (Ld) を計算する。 

10 

K 0307:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

σ

m

L

3

b

d

+

=

············································································· (2)  

ここに,  Ld: PA粉じんの検出限界 

mb: ブランクの平均値 

σ: ブランクの標準偏差 

7.4 

各サンプルの測定値からブランクの平均値 (mb) を差し引いて,各サンプルのPA粉じんの補正値を

求める。マイクログラム (μg) で表したこの値 (mc) は,各PTFEフィルターで測定したPA粉じんの補正

質量であり,次の式 (3) によって計算する。 

b

a

c

m

m

m

=

············································································· (3) 

ここに, 

ma: 式 (1) を用いてPTFEフィルターで測定したPA粉じんの,ミリ

グラムで表した見掛けの質量。 

mb: 7.3で測定したブランクの平均値。 
mc: 各PTFEフィルターで測定したPA粉じんの補正質量。 

7.5 

7.4で求めたすべての補正値mcと,このテストの検出限界 (7.3) とを比較する。検出限界よりも大

きいときは,この補正値を報告するが,限界値と等しいか又はそれより小さい場合には報告しない。後者

の場合にはND(検出されない)として報告し,テストの検出限界を付記する。 

ISO形カセットを用いた場合には,PTFEフィルターをカセットと読み替える(例参照)。 

例 

ブランクPTFEフィルターの平均値:mb=0.029 

標準偏差:σ=0.14 

検出限界:Ld=mb+3σ=0.449 

検量限界:Lq=mb+6σ=0.869 

式 (1) を用いると, 

サンプル1:ρcal=0.128 mg/L したがって, ma=0.128×5×5.88=3.76 μg 

サンプル2:ρcal=0.009 mg/L したがって, ma=0.009×5×5.88=0.26 μg 

式 (3) を用いて, 

サンプル1:mc=3.76−0.029=3.73 μgで mc>Ld 

サンプル2:mc=0.26−0.029=0.24 μgで mc<Ld 

報告には,次のように記載する。 

サンプル1:mc=3.73 μg PA粉じん 

サンプル2:ND (Ld=0.45 μg) 

試験報告書 

試験報告書には,次を記載する。 

a) 試験者又は試験機関の名称及び所在地 

b) PA粉じんの種類,技術的項目を含むサンプルの同定に必要な情報(例えば,測定日,測定場所,測定

時間,カセットの種類,延人数) 

c) この規格(JIS K 0307)を参照した旨 

d) 必要ならば,サンプルの調製法の詳細 

e) 各カセット中のPTFEフィルター上のPA粉じんの質量測定値(μg) 

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K 0307:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

f) この規格に規定されていない操作,又は任意の操作,その他試験結果に影響した可能性のある状況の

詳細 

参考文献 作業環境測定ガイドブック1   平成18年5月25日改訂 第2版 

編集・発行 社団法人日本作業環境測定協会 

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12 

K 0307:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

ISO形カセット 

A.1 ISO形カセット,ISO形カセット乾燥装置及びISO形真空吸引瓶 

対応国際規格が規定するISO形カセット,ISO形カセット乾燥装置及びISO形真空吸引瓶の例を,図

A.1〜図A.3に示す。 

1 空気の流れ  

4 フィルター 

2 カセット流出口 

5 カセットリング(中間) 

3 支持板    

6 カセットリング(底部) 

図A.1−ISO形カセット 

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13 

K 0307:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.2−ISO形カセット乾燥装置 

1 HEPAフィルター 
2 カセット流入口 
3 支持板 
4 カセット流出口 
a 空気 

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K 0307:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1 タイゴンチューブ 
a ここに大気監視カセット流出口を接続 
b 排気 

図A.3−ISO形真空吸引瓶 

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K 0307:2008  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 0307 : 2008 ポリアクリル酸系高吸水性樹脂の空中浮遊量測定方法−原子吸
光分光法 

ISO 17191 : 2004,Urine-absorbing aids for incontinence−Measurement of airborne 
respirable polyacrylate superabsorbent materials−Determination of dust in collection 
cassettes by sodium atomic absorption spectrometry 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
名称 

内容 

箇条
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

4.2 水 

4.2 

水の規定。 

追加 

我が国で規定されているJIS
を追記。 

技術的差異はない。 

5.6 全量フラ
スコ 

ほうけい酸ガラス
製のもの 

ISO規格に記載なし。 

追加 

我が国で広く使用されている
ほうけい酸ガラス製を追加。 

技術的差異はない。 

5.7 スパーテ
ル 

− 

− 

追加 

ISO規格には脱落 

技術的差異はない。 

5.8 大気監視
カセット 

大気監視カセット
について規定。 

5.8 

図1で規定。 

選択 

大気監視カセットは,分粒特性
4 μm 50 %の性能をもつもの。

フィルター材質がポリテトラ
フルオロエチレン製樹脂
(PTFEフィルター)で,直径
0.3 μmを超える空中浮遊粒子

及びエアゾールの捕集効率が
99.9 %のもの。構造は国内で用
いられている形式も選択可能
とする。 

ISO規格では注記に記載されてお
り,不明確。JISでは明確に規定化
することとした。環境省の作業環
境測定ガイドラインに準じた測定
器で性能はISO規格で規定するも
のと同じ(技術的差異はない。)。 

5.9 定流量ポ
ンプ 

PA粉じん捕集用
定流量ポンプ 

ISO規格に記載なし。 

追加 

 
 

PA粉じん個人暴露量測定に必要。
今後ISOに規格の改正を提案す
る。 
 

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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K 0307:2008  

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
名称 

内容 

箇条
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

5.11 高性能エ
アフィルター 
(HEPA) 付き
PTFEフィルタ
ー前処理装置 

フィルター洗浄・
乾燥装置 

5.10 

ISO規格ではカセット乾
燥用として記載。 

追加 

前処理(洗浄・乾燥)用の除じ
んHEPAフィルターをもつ装
置。 

環境省の作業環境測定ガイドライ
ンに準じた測定器を前処理(洗
浄・乾燥)するために変更した。ISO
規格では注記に記されており,不
明確。JISでは明確に文章化するこ
ととした。技術的差異はない。 

6.1 
6.1.1空気,PA
粉じんサンプ
ルの捕集前に
行うPTFEフィ
ルターの準備
及び洗浄 
6.1.1.1 JIS形カ
セットを用い
る場合 

PTFEフィルター
洗浄方法 
(JIS形カセット
の場合) 

ISO規格に記載なし。 

選択 

PA粉じん個人暴露量測定に必要。
今後ISOに規格の改正を提案する。 
 

6.1.1.2 ISO形カ
セットを用い
る場合 
 

カセットの洗浄
方法 
(ISO形カセッ
トの場合) 

6.1.1 
 

一致 

6.1.2 PA粉じん
サンプルの捕
集及びトラベ
ルブランク 
6.1.2.1 PA粉じ
んサンプルの
捕集 

 
 
 
 
PA粉じんサンプ
ルの捕集方法 

ISO規格に記載なし。 

追加 

国産カセットを用いたPA粉じんサ
ンプル捕集の具体的な捕集方法に
ついて追加明記。 

6.1.2.2トラベル
ブランク 

トラベルブラン
ク 

ISO規格に記載なし。 

追加 

ブランク測定に関する具体的な方
法についての追加明記。 

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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K 0307:2008  

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
名称 

内容 

箇条
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.1.3 PA粉じん
サンプルの捕
集後のナトリ
ウム分析の準
備 
6.1.3.1 JIS形カ
セットを用い
る場合 
 

ナトリウム分析 
(JIS形カセット
の場合) 

ISO規格に記載なし。 

追加 

PA粉じん個人暴露量測定に必要。
今後ISOに規格の改正を提案する。 

6.1.3.2 ISO形カ
セットを用い
る場合 
 

ナトリウム分析 
(ISO形カセッ
トの場合) 

6.1.2 

一致 

− 

− 

精度 

削除 

試験結果の精度に関する記述
は,ISO形部品の精度であり,
JIS形部品の記載でないため,
解説に記載。 

技術的差異はない。 

附属書A 

ISO形カセット 

5.8 

変更 

規格の構成上の変更 

技術的差異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 17191 : 2004,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 一致……………… 技術的差異がない。 
  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 
  − 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD………………国際規格を修正している。 

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2

K

 0

3

0

7

2

0

0

8

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。