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K 0306:2004  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が、技術的性質をもつ特許権、出願公開後の特許出願、実用新案権、又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は、

このような技術的性質を持つ特許権、出願公開後の特許出願、実用新案権、又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について、責任はもたない。 

JIS K 0306には,次に示す附属書がある。 

附属書(規定)検知管の性能試験方法 

K 0306:2004  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 測定方法の概要 ··············································································································· 1 

5. 種類 ······························································································································ 2 

6. 器具及び装置 ·················································································································· 2 

7. 測定手順 ························································································································ 4 

附属書(規定)検知管の性能試験方法 ······················································································ 6 

1 検知管の性能試験方法 ······································································································· 6 

2. 検知管の表示事項 ············································································································ 6 

  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0306:2004 

空気中の揮発性有機化合物の検知管による測定方法 

measuring method for volatile organic compounds in airborme by gas 

detector tube 

序文 揮発性有機化合物を取扱う際の環境管理を行うために,近傍の空気中濃度の測定が必要なことが多

い。この規格は,これらの測定を簡易に行えるよう作成した日本工業規格である。 

1. 適用範囲 この規格は空気中の揮発性有機化合物の内,トリクロロエチレン(トリクロロエテン)及

びテトラクロロエチレン(テトラクロロエテン)の濃度を長時間用測長形検知管を用いて測定する方法に

ついて規定する。また,この規格は測定対象物質の濃度が数 10 から数 100 μg/m3 及びその前後で,検

知管に対する妨害物質の影響が無視できる場合に適用する。 
 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7516 金属製直尺 

JIS K 0804 検知管式ガス測定器 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS Z 9015 計数値検査に対する抜取検査手順 

JIS Z 9010 計量値検査のための逐次抜取方式(不適合品パーセント,標準偏差既知) 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 検知剤 試料空気中の測定対象物質と速やかに反応して,反応部分と未反応部分が明確に区別できる

試薬を担体粒子に添着したもの。 

b) 測長形検知管 透明な管に検知剤を充てんしたもので,着色層の長さにより測定対象物質濃度を測定

する検知管。 

c) 長時間用検知管 数 10 分間の平均物質濃度測定を目的とする検知管。 

d) 前処理管 除湿剤又は分解反応剤など試料空気の前処理剤を充てんした管で,検知管の前段に接続し

て用いるもの。 

e) 試料空気採取装置 前処理管及び検知管を接続し,試料空気を一定の通気速度で検知管等を通して, 

測定対象物質(トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン)を採取する装置。 

4. 測定方法の概要 測定方法は, 測定対象物質用の検知管を通して試料空気を電動ポンプにて連続的に

吸引する方式とし,測定対象物質と検知剤との反応により生じた変色先端の濃度目盛から,測定対象物質

濃度を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 種類 測定対象物質による検知管の種類は,表1の測定対象物質の名称をそれぞれ付けて表す。 

表 1 測定対象物質による検知管の種類 

 N0 

        測定対象物質 

   検知管の名称  

    化学式 

 1 

 トリクロロエチレン 

 Cl2C=CHCl 

 2 

 テトラクロロエチレン 

 Cl2C=CCl2 

6. 器具及び装置  

6.1 

試料空気採取装置  

6.1.1 

概要 前処理管,検知管と接続した試料空気採取装置の例を,図1に示す。試料空気採取装置は検

知管取付口,吸引ポンプ,吸引流量の調整部及び表示部を備え,連続的に試料空気を吸引できる構造のも

のとする。 

図 1  

図 2 前処理管,検知管を接続した試料空気採取装置の例(破線の部分が一体となったものでもよい) 

6.1.2 

性能 試料空気採取装置の品質及び性能は, 次のとおりとする。 

a) 安定性 吸引ポンプは,前処理管及び検知管を接続した状態で,検知管の使用条件を満足する吸引量

で吸引でき,脈動が無く ±5% 以内の安定した流速で吸引できること。 

b) 再現性 設定流量は ±5% 以内で再現性があること。 

6.1.3 

試験  

a) 安定性試験 図1の例に示すように,試料空気採取装置に前処理管及び検知管を接続し,さらに前処

理管の前段に石鹸膜流量計を接続した状態で装置を連続運転し,10 分ごとに石鹸膜流量計の指示値を 

3 回以上記録する。 

b) 再現性試験 6.1.3 a) の試験について,いったん電源を切り再度電源を投入して3回繰り返す。 

6.2 

検知管及び前処理管  

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6.2.1 

構造 前処理管及び検知管は,内径が均一で全長がそろったガラス管などの透明な管に一定量の前

処理剤又は検知剤を充てんし,これが緩まないように栓などを当て,さらに管の両端を密閉したものとす

る。検知管の濃度目盛は,容易に消えないものとする。 

6.2.2 

品質及び性能 検知管の品質及び性能は,表2のとおりとする。試験方法は附属書に示す。 

表 2 検知管(1)の品質及び性能 

   項目 

             品質及び性能 

 外観 

 ピンホール, き裂, きずなどが無く, 目盛は鮮明であること。 

 測定下限 

 トリクロロエチレン  30μg/m3 以下であること。 

 テトラクロロエチレン 30μg/m3 以下であること。 

 測定上限 

 トリクロロエチレン  300μg/m3 以上であること。 

 テトラクロロエチレン 300μg/m3 以上であること。 

 指示精度 

 目盛範囲の1/3以上の試験用ガス濃度に対する誤差 

  検知管の指示値                25% 以内 

  指示値の平均値                15% 以内 

 目盛範囲の1/3以下の試験用ガス濃度に対する誤差 

  検知管の指示値                35% 以内 

  指示値の平均値                25% 以内 

 変色先端面の傾斜  図2に示す⊿ L/Mの値              20% 以内 

 温度による影響   温度 10±2(℃) 及び 30±2(℃) において,指示精度を満足すること。 

  

湿度による影響 

相対湿度 20±10(%) 及び 80±10(%) において,指示精度を満足すること。 

 ガス入口側検知剤 

 端面の傾斜 

 図3に示す⊿ lの値                2mm 以内 

注(1)ここで検知管と表記してあるのは,前処理管を含んだ性能である。  

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0.20

⊿L

                ここに,M:指示濃度値の平均値 

                    L1:最低指示濃度 

                    L2:最高指示濃度 

                 

2―L

 ⊿L=L

                    

+L

M=

図 3 変色先端面の傾斜 

図 4 試料空気入口側検知剤端面の傾斜 

7. 測定手順  

a) 測定点の選定 測定対象物質の漏えいが予想される地点について、高さが 1.5m の箇所を測定点とし

て選定する。また必要に応じて試料空気をいったん採取バッグ(2)等に採取し,試料空気の均一化を図

った上で検知管に導入する。 

注(2) 試料空気の吸着や透過,変質ができるだけ少ない,ポリふっ化ビニルやポリエステル等の 

       材質で,必要とする採気量の2倍以上の容積のもの。また採取用のポンプについても試料 

       空気の吸着や変質ができるだけ少ないものを選択する。 

b) 測定準備  

1) 測定点における温度,湿度を測定し,検知管の仕様書に示されている使用範囲内であることを確認

する。 

2) 使用する検知管の温度を測定場所の温度になるようにする。(3)またこのときに直射日光に当たら

ないよう注意する。 
注(3) 冷蔵庫などで冷暗保管していた検知管などを使用する場合は、外気温と同等になってから 

    使用する。 

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3) 仕様書に従い試料空気採取装置の漏れ試験を行う。 

4) あらかじめ同一型式の使用済み前処理管及び検知管を,試料空気採取装置の検知管取付口に接続し

て通気し,検知管の仕様書に記載された吸引速度に設定しておく。 

c) 測定  

1) 前処理管及び検知管の両端をカットし,これを図1の例に示すように,検知管表面に印刷されてい

る矢印の向きに試料空気が流れるように試料空気採取装置の検知管取付口へ取り付ける。 

2) 試料空気採取装置を作動すると同時に,流量計を確認して仕様書記載の吸引流量(例えば300ml/mIn)

と異なっていれば調整する。 

3) 検知管の仕様書に記載の時間試料空気を採取する。この間に流速が変わるようであれば,所定の流

量に調整して一定に保つ。 

4) 吸引終了後すみやかに検知管を取り外し,変色層先端の濃度目盛を読みとる。(4)(5) 

注(4) 検知管によっては,通気終了後の時間経過により変色した色が退色したり,変色層の長さ 

              が変化する場合があるので,通気終了後に変色層の先端に印を付け,すみやかに読み取り 

              を行う。 

 (5) 変色層先端面が斜めの場合には,中間で濃度を読みとる。 

5) 検知管の指示値が温度による影響を受けることがある(仕様書に記載されている)場合には,それ

ぞれの検知管の仕様書に従って補正する。(6) 

注(6) 通気中に温度が変化した場合には,平均温度で補正する。 

6) 試料空気通気量が所定の量とならなかった場合は, 4)又は5)で読み取った濃度を次の式により補

正する。 

                

Vʼ

 V  

C=Cʼ×

             ここに, C:測定対象物質濃度(μg/m3) 

                  Cʼ:4)の読取値(7)(μg/m3) 

                  V:所定の空気通気量(m3) 

                  Vʼ:流量計で測定した通気量(m3) 

注(7) 5)に従って温度補正した場合には,補正後の値。 

d) 妨害物質の検討  
  検知管の変色の原理は,多くの場合測定対象物質だけの特異的反応ではなく,化学的性質の似た物質 

    に共通する反応である。従って測定対象物質と同じ反応をする物質が共存する場合には,測定対象物 

    質の濃度より高い指示(プラスの誤差)を与える。反対に共存物質が変色反応を妨害してマイナス誤差 

    を与える場合や,変色境界を不明りょうにする場合がある。測定に際しては,共存する可能性のある 

    物質について調査し,検知管の仕様書,技術資料等を参考にその影響について考慮検討する必要があ 

    る。 

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附属書(規定)検知管の性能試験方法 

検知管の性能試験方法  

1.1 

試験   

a) 抜取検査方法 抜き取りは附属書 表1による。なお,この場合の抜取検査は JIS Z 9015 又は 
    JIS Z 9010 に従って行う。 

附属書表 1 抜き取り試験方法 

       試験項目 

  全数試験 

  抜取試験 

 外観 

   ○ 

 指示精度 

   ○ 

 変色先端面の傾斜 

   ○ 

 温度による影響 

   ○ 

 湿度による影響 

   ○ 

 ガス入口側検知剤端面の傾斜 

   ○ 

備考 表中の○印は,試験を行うものを示す。なお試験は前処理管を含めて行う。 

b) 試験場所の標準状態 試験場所の標準状態は,JIS Z 8703[気温(20±2)℃,湿度(65±20)%,気圧(86

〜106)kPa]による。 

c) 外観 ピンホール,き裂,きず,目盛などを目視及び手触りによって調べる。 

d) 試験用ガス 試験用ガスは JIS K 0804 附属書に記載の方法で作成する。 

e) 指示精度 検知管に添付の仕様書によって明示された方法によって,各濃度ごとに、検知管に試験用

ガスを通気し,検知管の指示値を求め誤差を算出する。 

f) 

変色先端面の傾斜 検知管に添付の仕様書によって明示された方法によって,各物質濃度範囲ごとに,

検知管に試験用ガスを通気し,変色先端面の最低指示濃度(L1)及び最高指示濃度(L2)を求める(図

2参照)。 

g) 温度による影響 10±2(℃) 及び 30±2(℃) において e)に規定する試験を行う。 

h) 湿度による影響 相対湿度 20±10(%) 及び 80±10(%) において e)に規定する試験を行う。 

i) 

ガス入口側検知剤端面の傾斜 JIS B 7516 に規定する金属製直尺を用いてはかる。(図3参照) 

2. 検知管の表示事項  

2.1 

表示 検知管及び検知管の収納箱には,容易に消えない方法で,附属書 表2によって表示をする。 

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附属書表 2 検知管及び収納箱の表示 

     表示事項 

   検知管 

   収納箱 

 測定対象物質及びその化学式 

    ○(1) 

    ○ 

 濃度目盛 

    ○ 

 製造業者又はその略号 

    ○ 

    ○ 

 製造番号(2) 

    ○ 

    ○ 

 有効年月 

    ○ 

 測定濃度範囲 

    ○ 

 廃棄方法 

    ○ 

注(1) 検知管の測定対象物質名及び化学式の表示は,いずれか一方でよい。 

  (2) 製造番号の表示は,検知管又は収納箱のいずれかでよい。 

  

   

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